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事件 平成 15年 (ワ) 1039号 不正競争行為差止請求事件
平成 15年 (ワ) 17285号 不正競争行為差止等請求事件
原告(反訴被告) 株式会社ゴーカンパニー (以下「原告」という。)
訴訟代理人弁護士 関根秀太
同 神内健次
同 酒井剛毅
補佐人弁理士 浜田治雄
被告(反訴原告) ベネット アトランティック インコー ポレイテッド (以下「被告ベネット」という。)
被告 株式会社ファイン(以下「被告ファイン」という。)
被告ベネット及び同ファイン訴訟代理人弁護士 原秋彦
同 水野信次
被告ベネット及び同ファイン補佐人弁理士 原島典孝
被告 高島株式会社(以下「被告高島」という。)
訴訟代理人弁護士 天野博之
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2004/08/30
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告ベネット及び被告高島は,別紙第1商標目録及び別紙第2商標目録記載の各商標を付した別紙商品目録記載1ないし14の商品の販売が,被告の商標権を侵害しあるいは不正競争防止法に反する旨を広告し,又は書面若しくは口頭によって第三者に通知してはならない。
2 被告ベネット及び被告高島は,原告に対し,連帯して,金300万円及びこれに対する被告ベネットについては平成15年3月18日から,被告高島については平成15年2月18日から,各支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4 被告ベネットの反訴請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用は,本訴反訴を通じ,これを5分し,その3を被告ベネットの負担とし,その1を被告高島の負担とし,その余を原告の負担とする。
6 この判決の第1項及び第2項は,仮に執行することができる。
事実及び理由
請求
〔本訴〕 1 被告らは,別紙第1商標目録及び別紙第2商標目録記載の各商標(以下,併せて「原告商標」という。)を付した別紙商品目録記載1ないし14の商品の販売が,被告の商標権を侵害し,あるいは不正競争防止法に反する旨を広告し,又は書面若しくは口頭によって第三者に通知してはならない。
2 被告らは,原告に対し,金3000万円及びこれに対する被告ファインについては平成15年2月18日から,被告高島については平成15年2月18日から,被告ベネットについては平成15年3月18日から,それぞれ支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3 被告らは,原告に対し,繊研新聞の朝刊第3面に,別紙謝罪広告目録記載の謝罪広告を,同目録記載の活字で3回掲載せよ。
〔反訴〕 1 原告は,別紙第3商標目録記載1ないし3の各商標(以下,併せて「本件第3目録商標」という。)のいずれかを付した衣服を製造,輸入,譲渡,販売又は販売のための広告をしてはならない。
2 原告は,前項の衣服を廃棄せよ。
3 原告は,被告ベネットに対し,金1億5301万円及びこれに対する平成15年7月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
〔本訴〕 原告は,原告が原告商標を付してカジュアルウェアを製造,販売することについて,被告らが商標権侵害又は不正競争防止法違反になる旨の虚偽の事実を陳述・流布したとして,不正競争防止法2条1項14号,3条,4条及び7条に基づき,被告らに対し,上記事実の陳述・流布行為の差止め並びに損害賠償及び謝罪広告の掲載を求めた。
〔反訴〕 被告ベネットは,原告が第3目録商標を付した衣服を製造,販売することが不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為に当たるとして,同法3条及び4条に基づき,原告に対し,上記行為の差止め等及び損害賠償を求めた。
1 争いのない事実等(争いがない事実以外は証拠を末尾に表記する。) (1) 当事者 原告は,ジーンズ,ジャケットなどの衣服等の製造,輸入及び販売を業とする会社である。
被告ベネットは,1990年(平成2年),米国マサチューセッツ州で設立され,マウンテンパーカなどのアウトドアウェアの製造,販売等を業とする米国会社である(甲1)。
被告高島は,繊維の原料,糸,織物及びその製品等の輸出入並びに販売業等を事業目的とする会社である。
被告ファインは,衣服等の輸出入業,並びにその斡旋業務等を事業目的とする会社である。
(2) 原告の有する商標権 原告は,平成4年6月18日,訴外カキウチ株式会社から,次の商標権を譲り受け,同年10月12日にその旨の移転登録を受けた。
登録番号 第1633655号 登録日 昭和58年11月25日 更新登録日 平成6年1月28日 商品の区分 第17類 指定商品 被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く),但し,被服を除く 登録商標 別紙第1商標目録記載のとおり (3) 被告ベネットの有する商標権 被告ベネットは,平成5年4月26日,訴外カキウチ株式会社から,次の商標権(以下「被告商標権」という。)を譲り受け,同年6月17日,その旨の移転登録を受けた。
登録番号 第2036225号 登録日 昭和63年4月26日 商品の区分 旧第24類 指定商品 おもちゃ,人形,娯楽用具,運動具,釣り具,楽器,演奏補助品,蓄音機(電気蓄音機を除く),レコード,これらの部品及び付属品 登録商標 別紙登録商標目録記載のとおり (4) 被告ベネットの使用する商標等 被告ベネットは,別紙第4商標目録記載の標章(以下「被告ベネット商標」という。)及び通常文字からなる「Penfield」や「PENFIELD」との商標(以下,これらの商標と被告ベネット商標とを併せて「Penfield商標」という。)を付した被服及び運動用特殊衣服(以下,併せて「被告ベネット商品」という。)を製造,販売している。
(5) 原告の使用する商標等 原告は,遅くても平成6年以降,原告商標を付したジャケット等のカジュアルウェアを製造し,販売している(以下,原告が原告商標を付して製造販売している衣服を「原告商品」という。)。原告商品の売上高は,卸売価格で年間数億円から10億円ほどであり,平成8年度(当該年8月から翌9年7月まで,以下同じ。)には約13億円であった。
(6) 被告らの行った警告等 ア 被告ベネット及び被告高島は,平成12年から平成13年にかけて,少なくとも2回にわたり,繊研新聞において,「Penfield」ブランドを付した被服関連製品を製造・販売することができるのは被告ベネット及び同社が正規に承認した代理店のみであり,それ以外の業者による製造・販売は被告ベネットの商標権を侵害し,あるいは不正競争防止法違反となる旨の広告を行った(甲2の1,2)。
イ 被告ベネットは,平成13年11月7日付内容証明郵便により,茨城県土浦市(以下省略)所在の訴外株式会社セキに対し,「PENFIELD」の商標を付した商品の販売行為が同被告の商標権を侵害し,あるいは不正競争防止法2条1項1号及び2号の不正競争行為を構成するものであるとして,上記商品の販売を直ちに停止するよう要求する旨の警告書を送付した。
また,被告ベネットは,上記と同様の警告書を,平成13年11月20日付内容証明郵便により,東京都港区(以下省略)所在の訴外株式会社ダイエー代表取締役Tに対し,同年12月3日付内容証明郵便により,東京都台東区(以下省略)所在の訴外マルゲンMに対し,それぞれ送付した。
2 争点 〔本訴〕 (1) 被告ベネットらが行った前記1(6)の広告の掲載及び警告書の送付(以下「本件警告」という場合がある。)は,不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に該当するか。(争点1) ア 前記1(6)の本件警告の内容は,虚偽かどうか。
イ 被告らは,共同して本件警告を行ったかどうか。
(2) 原告の被った損害額はいくらか。謝罪広告の必要性はあるか。(争点2) 〔反訴〕 (3) 原告が本件第3目録商標を付した衣類を製造,販売する行為は,不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に該当するか。(争点3) 被告ベネット商標は,遅くても平成5年初めの時点までに被告ベネットの商品等表示として周知となったかどうか。
(4) 被告ベネットの被った損害額はいくらか。(争点4)
当事者の主張
〔本訴〕 1 争点1(被告らの不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為の成否)について (1) 本件警告の内容は,虚偽かどうか。
(原告の主張) ア 商標権侵害の不成立 被告ベネットは,旧商品区分第24類に属するおもちゃ,人形,娯楽用具,運動具,釣り具,楽器,演奏補助品,蓄音機(電気蓄音機を除く),レコ-ド,これらの部品及び附属品を指定商品とする被告商標権を有する。被告商標権の指定商品である運動具には運動用特殊衣服が含まれるが,原告商品はカジュアルウェアであり,運動用特殊衣服ではない。
したがって,原告が原告商標を付して原告商品を製造,販売することは被告商標権の侵害に当たらない。
イ 不正競争行為の不成立 被告ベネットは,日本国内において,被告ベネット商標を付した登山服等の運動用特殊衣服やカジュアルウェアなどの商品を販売しているが,日本における売上高は多い年でも年間数千万円程度の微々たるものであり,被告らが本件警告を開始した平成12年以前には特に目立った宣伝・広告を行っていなかった。
また,被告ベネットの本国である米国での販売実績を見ても,同社の米国における売上高は年間110万米ドルから150万米ドル程度であり,仮に,この売上高がすべて被告ベネット商標を付した商品の売上によるものであるとしても,決して多い販売量であるとはいえない。
以上によれば,被告ベネット商標は,被告ベネットの商品等表示として著名であるとはいえず,周知であるともいえない。
したがって,原告が原告商標を付して原告商品を製造,販売することは,不競法2条1項1号又は2号の不正競争行為には当たらない。
ウ 本件警告の虚偽性 以上のとおり,原告が原告商品を製造,販売することは,被告ベネットの商標権の侵害に当たらず,また,不正競争防止法2条1項1号又は2号に当たらないにもかかわらず,被告らは,前記第2,1,(6)のとおり,「PENFIELD」ブランドを付した衣服を製造・販売することができるのは,被告ベネット及び同社が正規に承認した代理店のみであり,それ以外の業者による製造・販売は,被告ベネットの商標権を侵害し,あるいは不正競争防止法違反となる旨の広告を新聞に掲載し,さらに原告の取引先等に同様の内容の警告書を送付した。
そして,本件警告における「『PENFIELD』ブランドを付した衣服」が原告商品を指すことは明らかである。
したがって,本件警告を発するなどの被告らの行為は,不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為に該当する。
(被告らの反論) ア 商標権侵害の成立 (ア) 被告ベネットは,旧第24類の運動具(運動用特殊衣服を含む)について被告商標権を有する。原告は,運動用特殊衣服について,何らの商標権も有しないが,かねてから,被告商標権の登録商標と称呼を同じくし,これと明らかに類似する本件第3目録商標に,「Outdoor Sports Spirits」とのキャッチコピーを組み合わせた表示を商品に付した上で,通気性,防寒性,保温性などにおいて特殊な機能を有することを強調するなどして,その商品が運動用特殊衣服であるかのように表示して商品を販売し,また,被告ベネットは,現にアノラック,ヤッケ等の運動用特殊衣服に属する商品を販売し,原告の有する商標権を侵害している。
(イ) 本件警告は,上記(ア)の事情を前提として行われたものである。すなわち,前記第2,1,(6),アの新聞広告における,「それ[被告高島]以外の業者による「『PENFIELD』ブランドを付した被服製品の製造・販売については登録商標権の侵害」となり得ることを示唆する記載は,原告による被告商標権の侵害を念頭においた記載であり,この記載内容は虚偽ではない。
また,同様に,前記第2,1,(6),イの警告書における,「商標225号」に類似する「PENFIELD」標章が付された,運動用特殊被服に属する「フード付ジャケット」(アノラック)等の販売行為が,「弊社[被告ベネット]の商標権を侵害」するおそれがあることを示唆する記載も,原告商品の販売による被告商標権の侵害を念頭においた記載であり,この記載内容は虚偽ではない。
イ 不正競争行為の成立 (ア) 被告ベネットは,1990年(平成2年)に設立され,主に被服及び運動用特殊衣服の製造販売を目的として1975年(昭和50年)に米国マサチューセッツ州で設立された「Penfield Sports-wear, Inc.」(以下「ペンフィールド社」という。)の業務を全面的に引き継いだ。
ペンフィールド社及びその後継会社である被告ベネットは,1975年(昭和50年)以来,被告ベネット商標をハウスマークとして使用し,これとともに,通常文字からなる「Penfield」「PENFIELD」との商標を継続して使用し,今日に至っている。
(イ) 被告ベネット商標を付した被告ベネット商品は,もともと登山やカヌー,スキー等の運動を行う際に着用することを目的として開発され,販売されてきたが,その優れた品質とリーズナブルな価格等のために,米国においては長年にわたって好評を博し,その一部はカジュアルウェアないしタウンウェアとして消費者に広く愛用されるに至った。
我が国へは1978年(昭和53年)以降,輸入され,1990年(平成2年)以降は,被告ベネット商品の販売部門を担当する「Cape Heights, Inc.」(以下「ケープ・ハイツ社」という。)を経由して輸入されている。
被告ベネット商標は,被告ベネットの製造,販売する被服等の商品を表示するものとして,1978年(昭和53年)以来広く知られているが,特に平成2年以降,我が国で被告ベネット商品の人気が急上昇し,遅くとも平成5年初めの時点では,被告ベネット商標は,被告ベネットの商品等表示として周知となった。
(ウ) 被告ベネット商標が,遅くとも平成5年初めの時点で被告ベネットの商品等表示として周知となったことは,以下の事情から明らかである。
a 被告ベネット商品の日本向け輸出販売額は順調に増加し,平成2年に総額約34万7000米ドル,平成3年に総額約109万4000米ドル,平成4年に総額約237万7000米ドル,平成5年に総額約375万7000米ドルに上昇した。
さらに,それ以降も,平成6年に637万5901米ドル,平成7年に769万9416米ドル,平成8年に1310万6000米ドルとなった。
b 平成5年2月,米国商務省・米国大使館が主催した「U.S.アパレル展 ’93」において出展商品の一つとして被告ベネット商標を付した製品が出品され,Penfield商標が紹介された。
c 1980年代後半から1990年にかけアウトドア活動がブームとなり,主要なファッション雑誌がインポートアウトドア衣料の特集記事を掲載したが,1990年(平成2年)代初頭に被告ベネット商品が,「POPEYE」,「HOT・Dog Press」,「MEN'S NON-NO」,「FINE BOYS」,「BOON!」などの主要なファッション雑誌の特集記事や広告記事において,注目ブランドとして繰り返し取り上げられた。
d 平成6年2月に発行された「日本繊維新聞」及び「繊研新聞」において,同年に開催された「U.S.アパレル展 ’94」の模様を紹介した記事が掲載され,そこでも数ある出展ブランドの中からPenfield標章が取り上げられた。
e 原告は,被告ベネット商品の人気に便乗するべく,平成5年1月28日,被告ベネット商標と酷似する商標を第25類の商品について登録出願した(平成5年商標登録願第6658号)が,これに対し,特許庁審査官は,出願の時点で既に周知な商標である被告ベネット商標が存在するとして,商標法4条1項15号により拒絶査定をした。
(エ) 原告は,本件警告当時,「Penfield標章」に酷似する本件第3目録商標を使用して衣服,特に,アノラック,ヤッケ等の運動用特殊衣服に属する商品を販売し,宣伝広告をしていた。
アノラックやヤッケは登山用衣服であるが,被告ベネットが力を入れて販売してきたもので,米国はもとより,日本にも輸出され,広く販売されており,原告の広告の態様等を見ると,故意に被告ベネット商品との混同を生じさせることを目的とし,被告ベネットが永年蓄積してきたアノラック,ヤッケ等の登山用衣服のブランドイメージに便乗して利益を得ようという原告の不当な意図のあることは明らかである。
したがって,原告の上記行為は,不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たる。
(オ) 以上のような事情を前提として,被告ベネットらは,本件警告等において,不正競争防止法違反の事実を記載したのであり,その記載内容は虚偽ではない。
(2) 被告らは,共同して本件警告を行ったかどうか。
(原告の主張) 本件警告は,必ずしも被告ら全員によって同時に行われたものではないが,短期間の間に連続して行われていること及び被告ベネット商標の使用権が被告ベネットから被告高島にライセンスされ,被告高島から被告ファインにサブライセンスされているという契約関係からすれば,被告ベネット,被告高島及び被告ファインが相談した上で,本件警告を共同して行ったものであることは明らかであり,本件警告はいずれも被告らの共同行為と評価されるべきである。
実質的に見ても,実際の行為者に限定して不正競争行為を差し止めた場合,別の当事者によって同様の不正競争行為が繰り返される危険性は極めて高いと思われ,被告ら全員について前記不正競争行為の差止めを認める必要性が高い。
(被告らの認否) 争う。
2 争点2(原告の損害)について (原告の主張) (1) 被告らの上記不正競争行為の後,原告は,取引先から,被告らのした広告及び警告を理由とする大量の返品を受け,新規の注文量も大幅に下落した。この結果,原告商品の売上高は,1999年度と比べて,2000年度は1億1000万円以上,2001年度は2億3000万円以上減少した。
これにより,原告は相当額の損害を被ったが,本件訴訟においてはその一部として,金3000万円の損害賠償を請求する。
(2) また,被告らの上記不正競争行為により,原告は,営業上の信用を毀損されたから,信用回復措置として,繊研新聞の朝刊第3面に,別紙謝罪広告目録記載の謝罪広告を,同目録記載の活字で3回掲載することを求める。
(被告らの認否) 争う。
〔反訴〕 3 争点3(原告の不競法2条1項1号の不正競争行為の成否)について (被告ベネットの主張) (1) 被告ベネット商標の周知性 前記1(1)(被告らの主張)イのとおり,被告ベネット商品は,特に平成2年以降,我が国で人気が急上昇し,遅くとも平成5年1月初めの時点までには,被告ベネット商標は,被告ベネットの商品等表示として周知となった。
(2) 原告の不正競争行為 原告は,平成5年秋以降,本件第3目録商標を付して原告商品を販売し,また,本件第3目録商標を原告商品の広告・宣伝に使用してきた。
本件第3目録商標は,被告ベネット商標に類似しており,原告が本件第3目録商標を使用して原告商品を販売等することにより,取引者及び一般需要者の間に,原告商品が被告ベネット商品であるとの誤認混同を生じさせ,あるいは,原告商品が被告ベネットからライセンスを得た者によって生産,販売されている商品であるなど,原告商品が被告ベネットと何らかの関連のある会社によって生産,販売されているという誤認混同を生じさせた。
原告の上記行為は,不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たる。
(原告の認否) 前記1(1)(原告の主張)イのとおり,被告ベネット商標は,被告ベネットの商品等表示として周知ではない。
したがって,原告が原告商標を使用して原告商品を販売することは,不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たらない。
4 争点4(被告ベネットの損害)について (被告ベネットの主張) (1) 逸失利益 ア 原告は,平成5年秋から現在に至るまでに,本件第3目録商標を用いた原告商品を販売し,卸売価格で年間数億円から10億円程度の売上を上げ,特に,平成8年度(同年8月から翌9年7月まで)は13億円以上の売上を上げた。したがって,平成6年1月1日から平成12年12月末日までの6年間の原告商品の総売上額は,少なく見積もっても38億円(5億円×5年+13億円)を下回ることはない。
原告は,上記売上総額の少なくとも10パーセントに相当する金3億8000万円の利益を上げているから,この利益相当額が上記6年間において,被告ベネットが被った損害であると推定される。
イ 次に,平成13年1月1日から本件反訴提起の日までの期間の原告商品の総売上額は,少なく見積もっても年間5億円で総額12億5000万円(5億円×2年6か月)を下回ることはない。
被告ベネットは,上記売上総額の10パーセントに当たる1億2500万円の使用料相当の損害を被った。
ウ 以上より,平成6年1月1日から本件反訴提起の日までの約9年6か月間で,被告ベネットが原告の不正競争行為によって被った損害は5億0500万円を下らない。
(2) 信用毀損による損害 原告の不正競争行為により,被告ベネットはその営業上の信用を毀損された。被告ベネットが被った営業上の信用毀損に基づく損害は合計300万円を下らない。
(3) 調査費用 原告の不正競争行為を理由とした本件反訴を提起するために,被告ベネットは,原告商品の販売状況の調査など原告の不正競争行為を明らかにするための調査を実施した。当該調査に要した費用は,1万円を下らない。
(4) 弁護士費用 原告によって提起された本訴に対して応訴し,また,原告の不正競争行為を理由とした本件反訴を提起して,これらの訴訟を追行するために,被告ベネットは被告ベネット訴訟代理人にこれらの訴訟行為を委任したが,これに要する弁護士費用のうち,少なくとも300万円は原告による不正競争行為と相当因果関係のある損害である。
(5) 小括 被告ベネットは,原告に対し,損害賠償として,上記(1)のうち直近3年間における損害に相当する1億5000万円及び上記(2)ないし(4)のうち301万円の合計額である1億5301万円並びにこれに対する不法行為の後の日である平成15年7月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
(原告の認否) 争う。
当裁判所の判断
〔本訴〕 1 争点1(被告らの不競法2条1項14号の不正競争行為の成否)について (1) 事実認定 争いのない事実等に証拠(甲1ないし3,6,7,9ないし13,19,乙5ないし9,11,12,14,17,32ないし34,37,38,41,43,48ないし52,60,68,71,枝番号の表記は省略する。)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められ,これを覆すに足りる証拠はない。
ア 被告らの関係等 被告ベネットは,1990年(平成2年)2月,Hにより米国マサチューセッツ州法人として設立された会社である。(甲1) Hは,1975年(昭和50年),被服及び運動用特殊衣服の製造,販売等を目的として,米国マサチューセッツ州でペンフィールド社を設立した。ペンフィールド社は,設立時から被告ベネット商標を使用して特殊なスポーツウェアやアウトドア衣料品等を製造,販売してきたが,被告ベネットの設立後は,ペンフィールド社の業務は,被告ベネットに全面的に引き継がれ,そのころから,被告ベネットの商品は,ケープ・ハイツ社を通じて販売されるようになった。(乙5,8,9) 被告高島は,平成元年ころから,被告ベネット商品を輸入販売するようになり,平成12年には被告ベネット商品の独占的販売代理店となり,さらに,平成13年には日本における被告ベネット商標を使用した被告ベネット商品の製造販売についてのライセンシーとなった。被告高島は,被告ベネット商品の製造をすべて被告ファインに請け負わせ,被告ファインから納品された被告ベネット商品のほとんどを改めて被告ファインに卸し,被告ファインがこれを小売業者等に販売している。(乙38,41,43,60) イ 被告ベネットの有する商標権 ペンフィールド社は,1977年(昭和52年)5月31日,米国において,指定商品をジャケットとして被告ベネット商標の商標登録を受けた。被告ベネットは,1990年(平成2年)7月24日,ペンフィールド社から米国における上記商標権の譲渡を受けた。(乙6) また,被告ベネットは,平成5年4月26日,訴外カキウチ株式会社から,被告商標権を譲り受け,同年8月23日,その移転登録を受けた(乙17)。
なお,被告らは,被服を指定商品とする商標権を有しない。
ウ 原告商標の使用状況等 原告は,遅くとも平成6年以降,原告商標を付した原告商品を製造し,販売している。原告商品の内容は,ダウンジャケットやナイロンジャケット等のジャケット類,ハーフコート,ブルゾン,パーカー,スウェット,ダウンベスト,フリースなどのいわゆるカジュアルウェアであり,原告は,これらの衣服に原告商標を付したり,その広告に原告商標を使用するなどしてきた。(甲6,7,9ないし13) エ 本件警告の内容等 (ア) 被告ベネット,被告高島及びケープ・ハイツ社は,平成12年から平成13年にかけて,少なくとも2回にわたり,繊研新聞において,「謹告 『Penfield』は,ベネット・アトランティック社のブランドです。『Penfield』のコピー商品にご注意下さい。」と題する広告を行った。この広告には,「Penfield」ブランドを付した被服関連製品を製造,販売することができるのは被告ベネット及び同社が正規に承認した代理店のみであり,それ以外の業者による「Penfield」ブランドを付した被服製品の製造・販売は被告ベネットの商標権の侵害ないしは不正競争防止法に反する行為に該当するので,許されず,違法となる(甲2の1),及び,ケープ・ハイツ社以外の業者による「Penfield」ブランドを付した被服製品の製造,販売は,被告商標権の侵害ないしは周知商標との混同行為を禁じる不正競争防止法に反する行為に該当するので,違法となる(甲2の2)などの内容が記載されていた。
(イ) 被告ベネットは,平成13年11月7日付内容証明郵便により,原告の取引先である茨城県土浦市(以下省略)所在の訴外株式会社セキに対し,警告書を送付した。同警告書には,被告ベネットは衣服製品に関し,「PENFIELD」商標(被告商標権)の唯一の権利者であること,訴外株式会社セキは,「PENFIELD」標章を付したナイロンジャケット及びナイロンパーカジャケットを販売しているが,その販売行為は,被告ベネットの商標権を侵害し,あるいは,不正競争防止法2条1項1号及び2号所定の不正競争行為を構成するから,上記販売行為を停止することを求める,などの内容が記載されていた。(甲3の1) また,被告ベネットは,平成13年11月20日付内容証明郵便により,原告の取引先である東京都港区(以下省略)所在の訴外株式会社ダイエー代表取締役Tに対し,上記警告書と同様の内容の警告書を送付した(甲3の2)。
さらに,被告ベネットは,平成13年12月3日付内容証明郵便により,原告の取引先である東京都台東区(以下省略)所在の訴外マルゲンのMに対し,上記警告書と同様の内容の警告書を送付した(甲3の3)。
(ウ) 被告ベネット又は被告ベネット及び被告高島が上記(ア)及び(イ)の本件警告を行った当時,「PENFIELD」又は「Penfield」の文字を含む標章を衣服について使用していたのは,被告ら以外には,原告のみであるから,被告ベネット又は被告ベネット及び被告高島が本件警告を行った目的は,原告商品について原告商標を原告が使用することを停止させることであったことは明らかである。
オ 「運動用特殊衣服」に関する説明等 昭和50年通産省令85号による改正前の商標法施行規則3条の別表において,被告商標権の指定商品である「運動具」に含まれる商品として,「運動用特殊衣服」が例示されている。特許庁商標課による「商品及び役務の区分解説」には,運動用特殊衣服の説明として「この概念には,スポーツをする際に限って着用する特殊な衣服が含まれる。なお,『トレーニングパンツ』『ランニングシャツ』等は,スポーツ以外の日常生活でも使用され,特殊なものでもないことから,この概念には含まれず,本類被服に属する。」と記載されている(甲19)。
カ 被告ベネット商品の輸入実績 平成2年から平成5年までの間に,被告ベネット又はケープ・ハイツ社が,被告ベネット商品を我が国に輸入した実績(販売金額)は,インボイス等の客観的な資料によれば,おおむね次のとおりである。
平成2年 約20万8000米ドル (乙41別紙C-A〜C-E,乙71別紙3A-1) 平成3年 約59万5000米ドル (乙41別紙C-F〜C-K,乙71別紙3A-2) 平成4年 約83万9000米ドル (乙7の6,乙41別紙C-L〜C-O,乙71別紙3A-3) 平成5年 約23万1000米ドル (乙7の7,乙32ないし34,乙41別紙C-P,乙71別紙3A-4) キ U.S.アパレル展への出展 ケープ・ハイツ社は,平成5年2月8日から10日まで東京池袋サンシャインシティで開かれた,米国商務省・米国大使館主催の「U.S.アパレル展 ’93」において,被告ベネット商品を出品した(乙9)。
また,翌年にも,平成6年2月1日から3日まで東京池袋サンシャインシティで開かれた,米国商務省・米国大使館主催の「U.S.アパレル展 ’94」において,被告ベネット商品を出品した。そして,平成6年2月に発行された日本繊維新聞及び繊研新聞において,「U.S.アパレル展 ’94」の紹介記事が掲載され,出品された商品の中から,ケープ・ハイツ社の「ペンフィールド」ブランドが取り上げられ,紹介された。(乙11の1〜2) ク 雑誌への掲載 次のような発行部数が20万部ないし70万部の生活情報誌等の商品広告において,被告ベネットの商品が,他のブランドの商品とともに紹介された(乙68)。
「HOT・DOG PRESS」平成3年10月10日号(乙48の1) 「FINEBOY」平成4年4月号(乙51の1) 「BOON」平成4年1月号(乙52の1) 「BOON」平成4年11月号(乙52の2) 「FINEBOY」平成5年1月号(乙51の2) 「FINEBOY」平成5年10月号(乙51の3) 「HOT・DOG PRESS」平成5年11月10日号(乙48の2) 「MEN'S NON・NO」平成5年12月号(乙50の1) 「POPEYE」平成5年12月30日・1月6日合併号(乙49) 「MEN'S NON・NO」平成7年4月号(乙50の2) ケ 原告の出願と特許庁における拒絶査定 原告は,平成5年1月28日,熊の頭を描いた英文字のPに酷似する図形と「PENFIELD」の文字からなる商標を第25類の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴を指定商品として登録出願した(商標出願平5-6658)。これに対し,特許庁審査官は,平成12年7月7日(発送日)付けで,上記出願に係る商標は,被告ベネットがダウンジャケット,ダウンベスト等に使用する著名な被告ベネット商標と類似し,その商標を指定商品に使用すると被告ベネット又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから,商標法4条1項15号に該当するとして,拒絶査定をした。原告は,これに対し,拒絶査定不服審判を請求し,現在,特許庁に係属中である。(乙12の1〜2,14の1〜5,37の1) (2) 判断 前記(1)認定の事実に基づき,被告らが不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為を行ったかどうかについて,判断する。
ア 本件警告の内容の虚偽性 前記認定のとおり,本件警告は,原告が原告商品について原告商標を使用することが被告ベネットの有する被告商標権を侵害する行為に当たること,又は周知な被告ベネット商標と商品又は出所の混同を来す不正競争行為に該当することが,それぞれ記載されている。そこで,本件警告の記載内容である,被告商標権の侵害行為又は不正競争行為が存在したか否かについて検討する。
(ア) 被告商標権侵害の有無 a 被告ベネットが有する被告商標権に係る指定商品である「運動具」には「運動用特殊衣服」が含まれるところ,前記認定のとおり,商標法上の商品の区分にいう「運動用特殊衣服」とは,スポーツをする際に限って着用する特殊な衣服を指すと解するのが相当である。
これに対し,原告商品は,いわゆるカジュアルウェアであるから,指定商品である「運動用特殊衣服」には含まれず,また,カジュアルウェアと運動用特殊衣服とでは,需要者,用途,品質・性能等が異なり,通常は商品を取り扱う店舗や売り場も異なることから,原告商品は運動用特殊衣服に類似する商品にも当たらないと解される。
b 被告らは,原告がアノラック,ヤッケ等の運動用特殊衣服に属する商品を販売している旨主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。また,被告らは,原告が,通気性,防寒性,保温性などにおいて特殊な機能を有することを強調するなどして,その商品が運動用特殊衣服であるかのように表示して商品を販売しているとも主張する。乙27によれば,原告商品の広告において,「通気性・防寒性・保湿性など機能面でも徹底的にこだわっており」との記載があることが認められるが,そこに挙げられている原告商品は,広告文言に「ストリートからアウトドアまでシーンを選ばない」とあるように,日常生活において着用する被服であることは明らかであり,上記の文言も,日常生活において着用する被服として「通気性・防寒性・保湿性」が優れていることを意味するものと理解され,運動用特殊衣服であるかのような表示であるとは解されない。したがって,被告らの上記主張は採用できない。
c 以上によれば,原告商品は被告商標権の指定商品と同一又は類似する商品とはいえないから,被告ベネットらが,本件警告を発する前の原告商品の販売態様を前提とする限り,原告商品について原告商標を使用した原告の行為が,被告ベネットの有する被告商標権を侵害する行為に該当することはない。したがって,本件警告のうち,被告商標権の侵害に係る記載は事実に反し,虚偽であると認められる。
(イ) 不正競争行為の成否 被告らは,被告ベネット商標が遅くても平成5年初めの時点において周知性を獲得した旨主張する。しかし,当裁判所は,被告ベネット商標は,被告らの主張する平成5年初めの時点において,被告ベネットの商品等表示として周知性を獲得していなかった判断する。その理由の詳細は,以下のとおりである。
a 被告らは,被告ベネット商品の日本向け輸出販売額が,平成2年に総額約34万7000米ドル,平成3年に総額約109万4000米ドル,平成4年に総額約237万7000米ドル,平成5年に総額約375万7000米ドルと右肩上がりとなり,それ以降も,平成6年に637万5901米ドル,平成7年に769万9416米ドル,平成8年に1310万6000米ドルとなった旨主張し,被告ベネットの代表者であるHの宣誓供述書(乙41)にはこれに沿う記載がある。
しかし,前記認定のとおり,被告ベネット商品の平成2年から平成5年までの輸入販売金額は,客観的な資料に基づき認められる,平成2年が約20万8000米ドル,平成3年が約59万5000米ドル,平成4年が約83万9000米ドル,平成5年が約23万1000米ドルにとどまり,上記宣誓供述書の記載のうち,この認定額を超える部分は,的確な裏付けを欠き,直ちに信用することができず,他に被告らの主張に係る輸入販売金額を認めるに足りる証拠はない。
被告らは,平成6年以降の輸入販売金額の推移を間接事実として主張する。しかし,このうち,平成6年及び平成7年については,インボイス等の客観的な証拠は一切提出されていないことから,そもそも,被告らの主張に係る,同年における輸入販売金額を認定することはできない。また,被告らは,被告ベネット商標について周知性を取得したのは,平成5年初めの時点であると主張していることに照らして,その3年後である平成8年の輸入販売額をもって,被告ら主張に係る事実の存在を推認することはできない。
b 被告らは,被告ベネット商品の輸入販売金額のほかに,被告ベネット商品が「U.S.アパレル展’93」「U.S.アパレル展’94」に出品されたこと,被告ベネット商品がファッション雑誌の記事に取り上げられたこと,「U.S.アパレル展’94」の新聞記事で「Penfield標章」が取り上げられたこと,被告ベネット商標に類似する商標の登録出願が商標法4条1項15号により拒絶査定されたことなどを被告ベネット商標の周知性獲得の根拠として主張する。
これらの点については,前記認定のとおり,おおむね被告らの上記主張に沿った事実関係が認められるが,被告ベネット商品の輸入販売金額が前記の金額にとどまること,被告ベネット商品が生活情報誌等の広告記事に取り上げられた回数は平成5年1月までで合計5回と少なく,しかも他の商品とともに紹介されたにすぎないこと,特許庁審査官は被告ベネット商標に類似する商標の登録出願について,被告ベネット商標が著名であり,商標法4条1項15号に当たるとして拒絶査定をしたが,被告ベネット商標が著名であるとする具体的な理由は示されておらず,しかも,これに対しては拒絶査定不服審判が係属中であること等の事実に照らすならば,前記の事実関係を考慮しても,被告ベネット商標は平成5年1月初めの時点においては広く需要者に知られていなかったと認めるのが相当である。
c 以上によれば,原告が原告商品について原告商標を使用することは,被告らとの関係で不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為に該当することはないから,本件警告のうち,不正競争防止法違反に係る記載は事実に反し,虚偽であると認められる(なお,本件では,被告らは,周知性を獲得したのは平成5年初めの時点であるとのみ主張し,同主張を前提として,専ら当該時点で周知性を獲得していたか否かについて,立証活動を行ってきた経緯に照らして,上記の時点以降において,被告ベネット商標が周知性を獲得をしたか否かを審理の対象に含めることは,相当でないと判断する。)。
イ 本件警告を行った行為主体 前記認定のとおり,本件警告のうち,新聞広告を行ったのは被告ベネット及び被告高島であり,内容証明郵便により警告書を送付したのは,被告ベネットである。
この点について,原告は,被告らが共同して本件警告を行ったと評価されるべきであると主張する。前記認定のとおり,被告高島は被告ベネット商品の製造販売について被告ベネットのライセンシーとなっていること,被告ファインは被告高島から被告ベネット商品の製造を請け負い,そのほとんどを買い受けて小売業者等に販売していることが認められるが,これらの事実から直ちに,被告らが共同して本件警告を行ったと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
ウ 小括 原告と被告ベネット及び被告高島が競争関係にあることは争いがなく,また,本件警告が原告の営業上の信用を害するものであることは,その記載内容から明らかである。
以上に認定,判断したところによれば,被告ベネット及び被告高島が本件警告を行った行為は,不正競争防止法2条1項14号所定の営業誹謗行為に当たるものと認められる。
2 争点2(原告の損害)について そこで,原告が被告ベネット及び被告高島の行った営業誹謗行為により被った損害について判断する。
(1) 逸失利益 原告は,本件警告により原告商品の売上高が2000年度及び2001年度に合計3億4000万円以上減少した旨主張する。
本件警告が,原告の取引先を読者とすると認められる繊研新聞に掲載され,また,直接,原告の取引先に送付されたことからすれば,本件警告が原告商品の売上高に悪影響を及ぼしたことが推認できるが,本件全証拠によっても,本件警告と相当因果関係のある売上高の減少額を確定することはできない。
したがって,原告の売上高減少による損害の主張は認められない。
(2) 無形損害 前記認定のとおり,原告は遅くても平成6年以降,現在に至るまで,原告商標を付した原告商品を製造し,販売しており,その売上高は年間数億円から10億円程度であったこと及び本件警告の態様及び相手方,内容,回数その他の諸事情を総合考慮すれば,本件警告により原告が被った無形損害は,300万円と認めるのが相当である。
(3) 小括 以上のとおりであるから,原告の本訴請求は,被告ベネット及び被告高島に対し,営業誹謗行為差止め並びに連帯して300万円,及びこれに対する被告ベネットについては平成15年3月18日から,被告高島については平成15年2月18日から,それぞれ支払い済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。なお,本件全証拠によるも,謝罪広告の必要性を認めることはできない。
〔反訴〕 3 争点3(原告の不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為の成否)について 被告ベネットは,遅くても平成5年初めの時点において被告ベネット商標は周知性を獲得した旨主張するが,これが認められないことは,前記1で判示したとおりである。
よって,その余の点につき判断するまでもなく,被告ベネットの反訴請求は理由がない。
〔本訴及び反訴〕 4 結論 以上のとおりであるから,原告の本訴請求は主文掲記の限度で理由があり,被告ベネットの反訴請求は理由がない。よって,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 榎戸道也
裁判官 神谷厚毅
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