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事件 平成 25年 (ワ) 3832号 不正競争行為差止請求事件
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裁判所 東京地方裁判所 
判決言渡日 2014/01/20
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
判例全文
判例全文
平成26年1月20日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官

平成25年(ワ)第3832号 不正競争行為差止請求事件

口頭弁論終結日 平成25年10月16日

判 決

東京都江戸川区<以下略>

原 告 株 式 会 社 フ キ

同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 木 内 加 奈 子

同 訴 訟 代 理 人 弁 理 士 木 内 光 春

同 補 佐 人 弁 理 士 片 桐 貞 典

同 中 島 由 布 子

東京都江戸川区<以下略>

被 告 株 式 会 社 後 藤 製 作 所

同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 橘 高 郁 文

同 補 佐 人 弁 理 士 峯 唯 夫

同 齋 藤 康

主 文

1 被告は,錠前,キーホルダーの販売及び宣伝広告に当たり,別紙

被告標章目録記載の標章1を付してはならない。

2 被告は,鍵加工機械装置の販売及び宣伝広告に当たり,別紙被告

標章目録記載の標章6を付してはならない。

3 被告は,別紙被告標章目録記載の標章1を付した錠前,キーホル

ダーを製造し,販売し,又は販売のために展示してはならない。

4 被告は,別紙被告標章目録記載の標章6を付した鍵加工機械装置

を製造し,販売し,又は販売のために展示してはならない。

5 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

6 訴訟費用はこれを10分し,その9を原告の負担とし,その余を

1
被告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

1 被告は,鍵,錠前,キーホルダー,鍵加工機械装置の販売及び宣伝広告に当

たり,別紙被告標章目録記載の標章1ないし7を付してはならない。

2 被告は,別紙被告標章目録記載の標章1ないし7を付した鍵,錠前,キーホ

ルダー,鍵加工機械装置を製造し,販売し,又は販売のために展示してはなら

ない。

第2 事案の概要

本件は,原告が,別紙原告標章目録記載の標章1ないし3(以下,それぞれ

「本件標章1」などといい,これらを併せて「本件標章」という。)は原告の

販売する鍵,錠前,キーホルダー,鍵加工機械装置その他関連商品及び錠前修

理保守サービスを表示する商品等表示として周知であるから,被告が,本件標

章と同一又は類似の標章である別紙被告標章目録記載の標章1ないし7(以下,

それぞれ「被告標章1」などといい,これらを併せて「被告標章」という。)

を鍵,錠前,キーホルダー,鍵加工機械装置若しくはこれらの宣伝広告に付し,

又は被告標章を付した上記商品を販売するなどして原告の商品と混同を生じさ

せる行為は,不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当するところ,

被告は,被告標章1ないし5及び7を使用しており,かつ,被告標章6を使用

するおそれがあると主張し,同法3条1項に基づく侵害の停止・予防請求とし

て,上記商品又はその宣伝広告に被告標章を付すこと及び被告標章を付した上

記商品を販売等することの差止めを求める事案である。

1 前提事実(争いのない事実以外は,証拠等を末尾に記載する。)

(1) 当事者等

ア 原告は,合鍵製作用のキーブランクを含む鍵,合鍵複製機,錠前,防犯

金具等の各種防犯商品の販売取付け及び施工並びに合鍵複製を業とする株

2
式会社である。

イ 被告は,合鍵製作用のキーブランクを含む鍵,合鍵複製機の製造,販売

及び輸出等を業とする株式会社である。

ウ 原告の代表者であるA(以下「原告代表者」という。)と被告の前代表

者であったB(以下「被告創業者」という。)は兄弟であり,被告の現在

代表者であるC(以下「被告代表者」という。)は被告創業者の子であ

る。

(2) 被告による被告標章の使用等

ア 被告は,被告標章2ないし5を使用する原告の元販売代理店に対し,被

告標章7を付したキーブランクを販売した。

イ 被告は,キーブランク,封筒に被告標章7を付し,かつ,被告の運営す

るウェブページに被告標章7を表示して使用している。

ウ 被告は,本件標章と同一又は類似の標章を使用する可能性がある。

(3) 本件標章と被告標章

ア 本件標章

(ア) 本件標章1

本件標章1は,鍵頭を右(向かって右をいう。以下同じ。)にして横

向きに置いた黒色の鍵母材の図形の中に,白抜きの欧大文字で「FUK

I」と横書きしてなる標章である。鍵母材の右端(鍵頭の上部)には,

キーリング穴 を模した 小さい丸 型が白抜 きで表示され ている。 また,

「FUKI」の文字は,右上に向かってやや傾いており,「F」の上の

横棒は「UKI」の上に直線状に長く伸ばされている。

(イ) 本件標章2

本件標章2は,片仮名で「フキ」と横書きしてなる標章である。「フ

キ」の文字は,棒状に直線的に表記されており,横棒に比べて縦棒の方

がやや太く,また,「キ」の縦線が上から下へ向かって左側へ移動し垂

3
直方向に対して右に傾いている。

(ウ) 本件標章3

本件標章3は,ゴシック体の欧大文字で「FUKI」と横書きしてな

る標章である。

イ 被告標章

(ア) 被告標章1は,本件標章1と同一の標章である(以下,本件標章1

と被告標章1を併せて「本件標章1」という。)。

(イ) 被告標章2は,本件標章とほぼ同一の標章(ただし,「FUKI」

の文字がやや細い。)の下部に,鍵頭部分に文字の一部が重なるように

して,横書きで「HACHIOUJI」と表示したものである。

(ウ) 被告標章3ないし5は,それぞれ「フキ八王子」,「名古屋フキ」,

「北海道フキ」と横書きしてなる標章である。

「フキ」の文字の表示態様は,本件標章2とほぼ同一である。

(エ) 被告標章6は,本件標章2と同一の標章である(以下,本件標章2

と被告標章6を併せて「本件標章2」という)。

(オ) 被告標章7は,本件標章3と同一の標章である(以下,本件標章3

と被告標章7を併せて「本件標章3」という。)。

(4) 本件標章についての商標登録

ア 被告創業者は,昭和38年9月11日,別紙商標権目録3のとおり,本

件標章3について商標登録出願を行い(出願番号38−038936),

昭和39年12月1日にその登録を受けた(登録番号0660152号)

(乙131。登録時から平成17年1月26日の書換登録までの指定商品

は第13類「手動利器,手動工具,金具(他の類に属するものを除く)」

である。)(以下「本件商標権3」という。)。

イ 被告創業者は,昭和46年6月25日,本件標章1,2及びゴシック体

の片仮名で「フキ」と横書きした商標(本件標章2の「フキ」の文字の全

4
ての線が直線的に構成されているのに対し,ゴシック体ながら「フ」の文

字の斜め線部分が標準文字のように曲線的な部分を有し,「キ」の文字の

斜め線部分も本件標章2と異なり,縦線が標準文字と同じく垂直方向に対

して左に傾いている商標である。)について,次のとおり,本件商標権3

の連合商標として,商標登録出願を行い,昭和49年から50年にかけて

登録査定を受け,昭和50年から51年にかけてその登録を受けた(甲1

0ないし17)。

(ア) 本件標章1に係る商標 権(以下, a及びbを併せて「本 件商標権

1」という。)

a 出願番号 46−066230,登録番号 1183493号(別

紙商標権目録1(1)のとおり。登録時から平成18年3月29日の書

換登録までの指定商品は第9類「産業機械器具,動力機械器具(電動

機を除く)風水力機械器具,その他の機械器具で他の類に属しないも

の,これ らの部品 及び附 属品( 他の類 に 属するも のを除く )機械 要

素」である。)

b 出願番号 46−066232,登録番号 1191200号(別

紙商標権目録1(2)のとおり。平成18年3月22日の書換登録まで

の指定商品は第13類「鍵」である。)

(イ) 本件標章2に係る商標権(以下「本件商標権2」といい,本件商標

権1ないし3及び下記(ウ)の商標権を併せて「本件商標権」という。)

出願番号 46−066231,登録番号 1105386号(別紙

商標権目録2のとおり。平成17年7月13日の書換登録までの指定

商品は第13類「手動利器,手動工具,金具(他の類に属するものを

除く)」である。)

(ウ) 上記ゴシック体片仮名の「フキ」に係る商標権

出願番号 46−66229,登録番号 1183492号

5
ウ 被告代表者は,被告創業者から本件商標権の承継を受け,平成23年1

月4日受付により,その登録をした(甲10,12,14,16,乙13

1)。

2 争点

(1) 本件標章は被告にとって「他人の商品等表示」に当たるか。

(2) 本件標章の周知性

(3) 被告による原告元販売店に対する本件標章1及び2の使用許諾の有無

(4) 混同のおそれの有無

(5) 被告による本件標章の使用は,商標権者による登録商標の使用として適

法なものか。

第3 争点に対する当事者の主張

1 争点(1)(本件標章は被告にとって「他人の商品等表示」に当たるか。)

(原告の主張)

(1) 原告による本件標章の使用

ア 本件標章1

原告は,昭和46年頃から現在に至るまで,本件標章1を合鍵複製機,

各種工具,錠前,キーアクセサリーその他関連商品又はその包装に付して

販売しており,上記商品は,全国各地において,少なくとも5年以上にわ

たり販売されている。また,原告は,本件標章1を上記商品の広告カタロ

グ及び販売ディスプレイ用架台,名刺,注文書,納品書,封筒,店舗の看

板,のぼり,社用車(解錠サービス及び錠前修理施工サービスの際に使用

するもの)等に表示して使用している。

イ 本件標章2

原告は,昭和46年頃から現在に至るまで,本件標章2を合鍵複製機,

各種工具,錠前,キーアクセサリーその他関連商品又はその包装に付して

販売し,また,本件標章2を上記商品の広告カタログ及び販売ディスプレ

6
イ用架台,名刺,納品書,封筒,店舗の看板,のぼり,社用車(解錠サー

ビス及び錠前修理施工サービス等の際に使用するもの)等に表示して使用

している。

さらに,原告は,昭和46年頃から現在に至るまで,本件標章2の左側

に「株式会社」を付け,原告の社名表示としても使用している。

ウ 本件標章3

原告は,昭和46年頃から現在に至るまで,本件標章3を合鍵作成用の

キーブランクに打刻し,また,キーマシンの鍵固定具に付して使用してい

る。

さらに,原告は,鍵,キーホルダー,キーマシン,ネームマシン等の広

告及びカタログにおいて,本件標章3の右側に「CO.,LTD.」を付

し,原告社名の英語表示として使用している。

(2) 以上のとおり,原告は,昭和46年から現在に至るまで,累計5000

種類以上にわたる商品に本件標章を使用し,また,原告の社名表示としても

使用しているのであって,本件標章を商品若しくはその包装に付した商品又

はその広告に本件標章を付して展示若しくは販売した商品の年間平均売上高

は14億9389万4872円,昭和46年から平成24年までの累計売上

高は612億4968万9747円に達する。

よって,本件標章は,原告が提供する鍵,錠前,キーホルダー,鍵加工機

械装置その他関連商品又は錠前修理保守のサービスを表示するものとして広

く認識されているものであり,原告の商品等表示であることは明白である。

(3) 本件標章が被告又は原告・被告の一体事業を表示するものではないこと

ア 被告は,本件標章は被告を表示するものであり,または,本件標章は原

告及び被告の製造・販売一体事業を表示するものであるから,被告にとっ

て「他人の」商品等表示に当たらないと主張するが,次のとおり失当であ

る。

7
イ 原告と被告が一体のグループを形成するものではないこと

(ア) 東京高判平成17年3 月16日( 平成16年(ネ)第2 000号

〔アザレ化粧品事件〕によれば,各企業の事業に一体性が認められるた

めには,@商品に製造元と販売元の各表示がある,A企業間で株式の持

ち合いや役員の重複がある,B製造業者に独占的販売権がある,C商品

の販売網の作成に当たり,両者が協力している,D商品の製造について

両者が協議の上決定する,E企業の設立に当たり協力したことが考慮さ

れるべきとされているところ,原告及び被告間にこのような関係はない。

(イ) すなわち,E被告創業者が原告の設立を容認し,被告の製造した商

品を原告が販売した限りにおいては被告の協力があったことを認めるが,

原告の設立に当たり,被告から金銭的・人的援助があったわけではない。

また,@原告の販売する商品には,被告の表示は一切ない。さらに,A

原告と被告間に資本関係や役員の兼任関係はなく,B原告は,その販売

する商品について被告に制限されることなく自由に製造業者を選定でき

るのであるから,被告に独占的な製造権はない。加えて,C原告は,自

らの販路拡大のため,原告の販売代理店を全国各地に展開し,それら販

売代理店の株式を保有することにより,原告を中心とするフキグループ

を構築したが,上記全国展開に当たり,被告が出資し,又は何らかの協

力をしたことは全くなかった。さらに,D原被告間で商品開発会議等が

開かれたことは一度もなく,商品の製造に当たり両者が協議して決定す

ることはなかった。

したがって,上記裁判例において示された基準に従って検討しても,

原告と被告が一体のグループを形成するものとは評価できない。

(ウ) 被告の主張は,原告代表者と被告創業者が兄弟であることや,商品

の製造を被告が,販売を原告が分担した事実のみを捉えて,原告と被告

が一体のグループであると主張するものであり,失当である。

8
(エ) したがって,原告と被告は一体のグループを形成するものではない。

ウ 本件標章が被告又は原告と被告の一体事業を表示するものではないこと

上記イのとおり,原告と被告が一体事業を構成する関係にない以上,本

件標章が原告と被告の一体事業を表示することもない。被告がその主張の

根拠として挙げる証拠は,頒布された先,時期,枚数が不明であり(甲2

73,乙12,18,22),又は被告に対し送付された内部文書にすぎ

ないものであって(乙17),被告の主張を裏付けるに足りない。また,

乙19,20,21には被告名の表示はなく,本件標章と被告とを結びつ

ける証拠となるものではない。

したがって,本件標章は,原告と被告の一体事業を表示するものに当た

らない。

被告が原告との一体性を主張すること自体,原告の商品等表示としての

周知性ただ乗りしようとする意図があるといわざるを得ない。

エ 本件標章が被告の商品等表示ではないこと

(ア) 被告は,平成21年11月以前に本件標章1及び2を使用したこと

はなく,本件標章3の使用により,本件標章1,2についても使用した

とみなすべきと主張しているにすぎない。そして,被告は,遅くとも昭

和46年の原告設立以降は本件標章3を自己のために使用したことはな

く,原告のために本件標章3をキーブランクに刻印し,これを納入して

いたにとどまるものであるところ,上記使用(キーブランクへの刻印)

は,原告のために行われたものであり,以下のとおり,上記刻印は原告

を示す表示であって,被告を示す表示ではない。

(イ) キーブランクの刻印が原告を示す表示であること

a 原告の販売店を訪れ,合鍵複製を依頼した需要者が,本件標章3が

刻印されたキーブランクや当該キーブランクを用いて作製された合鍵

を見た場 合,販売 店の名 称が「 フキ」 を 含むこと と,本件 標章3 が

9
「FUKI」というものであることを併せて考え,本件標章3は原告

の標章であると理解するのが当然である。これに加えて,合鍵を需要

者に引き渡す際に,合鍵又はその包装に被告を示す表示が全く付され

ていないことも考慮すれば,上記需要者が,本件標章3を,称呼にお

いて異なる被告の表示であると理解することなど不可能である。

原告が傘下の代理店や卸売業者にキーブランクを販売する場合にも

同様に,キーブランク又はその包装に被告を示す表示は付されないか

ら,上記取引者が本件標章3を被告の表示であると認識することはな

い。

そもそも,鍵に付された標章が製造業者ではなく販売業者の商標と

して認識されることは,鍵の業界では常識である。これは,原告の現

在販売するキーブランクに付した「iNAHO」,「TLH」の標章

が原告を表示するものとして需要者に認識されていることや,美和ロ

ック株式会社の元鍵に付された「MIWA」,株式会社アルファの元

鍵に付された「ALPHa」が,販売業者である上記各社の標章とし

広く認識されていることからも明らかである。

b 以上のとおり,キーブランクに刻印された本件標章3は,販売業者

である原告の表示として出所表示機能及び品質保証機能を果たすもの

であるから,原告を示す表示であって,被告を示すものではない。

(ウ) 被告がキーブランク以外の商品に本件標章3を使用していないこと

被告は,原告設立後,キーマシンの流通への関与を中止し,下請業者

から原告に直接商品が納入されるよう流通経路を整理したと主張してい

るから,原告設立後に,キーマシンについて本件標章3を使用したこと

がないことを自白している。

オ 以上によれば,本件標章3は原告のみの商品等表示であって,被告にと

って「他人の」商品等表示に当たる。

10
(被告の主張)

(1) 原告の主張は争う。

(2) 本件標章の使用の経緯

ア 被告創業者は,昭和34年に合鍵複製業を創業し,その妻の名が「 フ

キ」であったことから,妻への感謝の気持ちを込めて,鍵に「FUKI」

(本件標章3)と刻印して使用するようになり,昭和38年に本件標章3

について商標出願をし,昭和41年6月頃には有限会社後藤製作所を設立

し(昭和45年7月に株式会社後藤製作所(被告)に組織変更),良質か

つ量産可能な合鍵複製機を製作し,その製造販売体制を整備するとともに,

本件標章3を刻印したキーブランクを製造・販売してきた。

イ 原告代表者は,昭和38年頃,被告に入社し,昭和40年頃,被告創業

者の勧めを受けて合鍵複製業を営む新橋キーセンターを開業した。原告代

表者は,昭和42年1月,有限会社ゴトウを設立し(昭和45年8月に株

式会社ゴトウに組織変更),被告から本件標章3を刻印したキーブランク

等の納入を受け,問屋としてこれを販売するようになった。

ウ 原告は,昭和46年4月頃,上記株式会社ゴトウと伊藤刃物製作所が合

併して設立されたものであるが,原告設立に当たり,「フキ」を原告の社

名としたのは,原告が,被告と提携・協力して「FUKI」印の商品を販

売していくことを当然の前提としたものにほかならない。これにより,兄

である被告創業者の経営する被告が製造部門を,弟である原告代表者の経

営する原告が販売を分担するという,密接に関連した系列企業組織が構築

された。これは,原被告間の昭和48年12月25日付け契約の内容(甲

18・被告は本件商標権等を原告に無償で使用許諾するが,原告代表者

原告の代表者の地位を失った場合には上記使用権は直ちに失われる旨のも

の。)からも明らかである。

エ 被告は,原告の設立以後も,従前どおり本件標章3を付したキーブラン

11
ク等の商品を製造し,これを原告に納入することにより,製造業者として

上記商品の品質に係る信用を担保してきた。なお,被告は,原告設立以前

から,本件標章3を付した商品を大量に製造し,原告設立前の昭和45,

46年頃には,加賀商会に対し,キーブランク等を大量に販売したことも

あった。また,「電子キー・セット」(乙18)には,表表紙に原告,裏

表紙に被告の各名称が表示されている上,被告は,原告設立後も,キーブ

ック(乙12),封筒(甲273),便箋(乙22)に本件標章3を表示

するなどして,被告標章3の使用を継続している。

(3) 以上の事実経過に照らせば,本件標章3は,被告の商品を表示するもの

としてその使用を開始されたものであり,これが,より発展して,原告及び

被告からなる一体的企業組織の商品に使用される標章となったものであって,

後から本件標章3を付した商品の販売を分担するようになった原告が,被告

に代わって表示の主体となったとみることはできない。原告と被告が,キー

ブランク等の商品の製造・販売一体事業を構成していたことは,被告が,有

限会社野村商会に対し,多額の代償金を支払って,競合商品であるNSK印

キーブランクを排除し,原告及び被告の利益を確保したことや,原告に対し,

キーマシンの販売権限を承継させて利益を確保させたこと,昭和55年に3

度にわたり原告に対し4ないし5000万円を貸し付けていることからも明

らかである。なお,原告代表者自身も,「両者の共同商標であるフキ印マー

クを使用して販路の拡張に努めてきました…」(乙17)と述べ,本件標章

が被告の商品等表示でもあることを認めている。

(4) 以上のとおり,本件標章は,原告と被告との,キーブランク等の鍵関連

商品の製造・販売一体事業を表示するものであるところ,需要者も,本件表

書を,原告と被告の鍵関連商品の製造・販売一体事業を示すものとして認識

している。

ア すなわち,キーブランクは,キーブランク製造業者において製造され,

12
問屋又は販売代理店を経て合鍵製造業者に至るものであるから,キーブラ

ンクに付された標章が出所識別機能を発揮する場面は,製造業者から合鍵

複製業者へと流通する間に限られる。合鍵複製サービスの取引において,

上記サービスの提供を受けようとする者は,複製された鍵(キーブランク

を加工したもの)を受領するのみであり,キーブランクを自ら選択するよ

うなことはしないのであって,キーブランクに表示された標章が,これら

の者に対し,出所識別標識として機能する余地はない。

したがって,キーブランクという商品の取引者・需要者は,上記流通経

路(製造業者から合鍵複製業者)における者であって,合鍵複製サービス

を受ける者ではない。

イ そして,上記取引者・需要者は,キーブランクに刻印された標章はキー

ブランクの製造業者を表示するものと理解するものであり,上記取引者・

需要者が,上記標章を,合鍵複製サービス提供者を表示するものと理解す

ることはない。これは,我が国においてキーブランクを自社製造している

メーカーは被告と株式会社クローバーのみであるところ,クローバー社の

キーブランクには,同社を表すものとして四葉のクローバーマークが表示

されていることからも明らかである。

ウ なお,被告が主として使用してきた標章は本件標章3であるが,本件標

章1及び2は,本件標章3と社会通念上同一の商標であり,出所表示機能

において差異がない。

すなわち,本件標章1・2と本件標章3における書体の相違や文字の種

類の相違は同一性の判断に影響を与えるものではない。また,本件標章1

における「鍵図」は,鍵関連商品との間では識別力がないから(乙28),

本件標章1が文字書体に鍵図を加えていることも,同一性の判断に影響を

与えるものではない。

したがって,本件標章1ないし3は一体のものとしてキーブランクその

13
他の鍵関連商品の取引者に認識されるものであり,いずれも,被告又は原

告・被告の一体事業を表示するものとして認識されるものである。

(5) したがって,本件標章は,被告にとって「他人の商品等表示」に当たら

ない。

2 争点(2)(本件標章の周知性

(原告の主張)

(1) 本件標章は原告の商品等表示として周知性を有すること

ア 原告商品の売上げ等

本件標章を商品又はその包装に付した商品,広告又は取引書類に本件標

章を付して展示又は頒布した商品の平均年間売上高は14億9389万4

872円であり,昭和46年から平成24年までの累計売上高は612億

4968万9747円である。

イ 原告商品の市場占有率

原告代表者が,昭和38年に合鍵複製業を開始した後,合鍵の必要性の

啓蒙に努めるなどした結果,原告は,昭和49年に本件標章を付したキー

マシンの販売において市場の80%のシェアを獲得し,さらに,昭和53

年に本件標章を付した合鍵のキーブランクの販売において市場の85%以

上のシェアを獲得した。

ウ 事業規模の拡大

原告の売上げは,設立当時昭和46年頃には3.7億円であったが,昭

和51年には12億円に達し,従業員も設立当時は5人であったが,平成

12年には本社のみで35名,平成20年には50名と増加し,原告グル

ープ全体で多いときには300名を超えた。また,平成19年には自社ビ

ルを建設した。

エ 販路の拡大

原告は,昭和46年頃から現在に至るまで,合鍵の必要性を啓蒙し,事

14
業内容を紹介するパンフレットや案内ハガキを作成し,代理店経営者を広

く募っている。また,原告は,昭和49年7月以降,年に2,3回の頻度

で定期的に技術講習会を開催し,その参加者総数は開始から1年余りで5

00名を超えた。

その結果,昭和53年には,原告の代理店が全国24か所に及ぶに至っ

たところ,上記 代理店の多く は,原告の 許諾を受けて商 号の一部に「 フ

キ」を採り入れ,本件標章を付された商品を販売し,また,合鍵複製業等

に際し本件標章を表示して,「フキ」ブランドを全国的に周知させた。

さらに,原告は,昭和51年,昭和62年及び平成元年に原告の代理店

らの参加により米国視察旅行を開催し,ブランドの価値を向上させた。

オ 宣伝広告等

原告は,昭和46年から現在に至るまで,本件標章が付された原告商品

のチラシ及びカタログ(1種類につき4000〜8000枚)を,合鍵製

造業者の取引者・消費者のみならず,金物業界,金庫業界,自動車業界等

のメーカー,ディーラー等に配布している。また,原告は,昭和48年か

ら定期刊行物「フキニュース」を発行し,各種方法で配布している。

また,原告は,大型広告を掲出し,自社ビルの屋上に看板を設置してい

るほか,定期的に展示会を主催し,販売促進活動を行っている。

なお,原告は,上記展示会等の宣伝広告のため,昭和46年以降現在ま

で,年間平均750万円(累計3億1043万0607円)の費用をかけ

たほか,チラシ等のため,販売促進費として,別途相当額の費用をかけて

いる。

カ 以上によれば,本件標章は, 遅く とも昭和53年には,原告の商品 等

(鍵,錠前,キーホルダー,鍵加工機械装置その他関連商品又は錠前修理

保守サービス)を表示するものとして全国的に周知となった。

(2) 本件標章の周知性が現在も維持されていること

15
ア 原告は,本件標章について商標権を有する被告代表者からの要求を受け

て,平成21年頃から,本件標章3を付したキーブランクの取り扱いを一

部見合わせ,「TLH」や「iNAHO」等を刻印したキーブランク等を

取り扱っている。

イ しかし,原告は,請求書,明細書,納品書等のフォームや名刺,注文書

等に本件標章を付し,また,原告のホームページや同ホームページからダ

ウンロードできるチラシ・カタログ等に本件標章を表示するなどして,現

在も本件標章の使用を継続しているのであって(甲19ないし22,24

ないし2 7, 189 ,21 4,2 40な いし24 4, 288 ないし 30

3),本件標章の使用を中止したわけではない。このように,原告が新ブ

ランド(「TLH」,「iNAHO」)と併用して本件標章の使用を現在

も継続している以上,本件標章についての周知性が喪失しておらず,現在

も維持されていることは明らかである。

(被告の主張)

(1) 原告の主張は争う。

(2) 原告が本件標章の使用を中止していること

ア 原告は,平成15年頃から「TLH」を刻印したキーブランクを取り扱

うようになり,平成21年12月吉日付け案内状(乙29)及び平成22

年年賀状(乙30)で,「FUKI」から「TLH」,「iNAHO」に

切り替えることを宣言し,その後,原告が販売する商品において本件標章

3の使用が中止されている(乙31,35,36,40ないし44)。さ

らに,原告は,現在配布しているキーブック(乙37)において,キーブ

ランクから本件標章3の刻印部分を抹消して掲載している上,キーマシン

等,キー ブラ ンク以 外の商 品にお いても ,本件標 章3 の表示 を中止 し,

「TLH」の表示に変更している(乙31)。また,原告のホームページ

でも,「オリジナルブランド」として「TLH」,「iNAHO」が表示

16
されているのみで,本件標章3は表示されていない。

なお,原告は,上記のとおり案内状等を発出する前から,本件標章3を

付した商品の被告への発注量を減少させ,本件標章3を付した商品の欠品

を意図的に仕組んだ上,「TLH」印の商品への振替販売を積極的に行っ

ている。

イ 原告は,上記のとおり本件標章3の使用を中止するのに併せて,従前の

カタログ(甲31ないし35)で各頁に表示していた本件標章1を,現在

のカタログですべて削除し(乙31),かつ,全国各地における営業所名

を「株式会社フキ仙台」等から「株式会社イナホ仙台」等に変更するなど

して,本件標章1及び2の使用も中止している。

(3) 以上によれば,キーブランク等の商品の需要者である合鍵複製業者にお

いて,原告のブランド は「TLH」,「 iNAHO」に変更さ れており,

「FUKI」ではなくなったと認識されていることが明らかである。

したがって,本件標章は原告の商品等表示として周知ではない。

3 争点(3)(被告による原告元販売店に対する本件標章1及び2の使用許諾の

有無)

(原告の主張)

(1) 原告元販売店のうち,株式会社フキ八王子は被告標章1ないし3を,株

式会社名古屋フキは被告標章1及び4を,株式会社北海道フキは被告標章5

を,現在使用している。

(2) 被告は,被告標章7を付したキーブランクを原告元販売店に販売してお

り,原告・被告間における訴訟前の交渉内容からすると,本件標章1及び2

の形式的商標権者である被告代表者が被告に対し本件標章1及び2の使用を

許諾し,その権原に基づいて,被告が原告元販売店に対し,被告標章1ない

し5の使用を,明示又は黙示に許諾していることが明らかである。

(被告の主張)

17
被告が,原告の元販売店に被告標章7を付したキーブランクを販売している

ことは認めるが,その余は不知又は争う。

4 争点(4)(混同のおそれの有無)

(原告の主張)

本件標章は,原告の長年にわたる使用の結果,原告の商品等表示として周知

性を獲得しているものであるところ,原告と被告は同業者であり,販売地域,

販売商品も共通している。特に,被告は,原告の元販売店に対し,被告の製造

したキーブランク,キーマシン等を販売又は使用許諾しているところ,原告の

元販売店が,被告標章を被告の商品等表示として使用した商品を販売した場合,

需要者が,原告の商品及び業務との混同を生ずるおそれがあることは明白であ

る。

(被告の主張)

原告の主張は争う。争点(2)において主張したとおり,原告は,ホームペー

ジにおいて「TLH」,「iNAHO」を原告のオリジナルブランドとして掲

載し,その営業所も「イナホ名古屋」等に変更しているのであるから,合鍵複

製業者は,原告の商品及び業務に係るブランドは「TLH」,「iNAHO」

であり,本件標章ではないと認識しているのであり,被告が被告標章をその商

品等表示として使用したとしても,需要者混同が生じるおそれはない。

5 争点(5)(被告による本件標章の使用は,商標権者による登録商標の使用と

して適法なものか。)

(被告の主張)

(1) 被告代表者は,前記前提事実(4)のとおり,本件標章について本件商標権

を有し,被告に本件標章を使用させてきたのであるから,被告による本件標

章の使用は,商標権に基づく登録商標の使用として適法なものである。

(2) この点に関し,原告は,本件商標権は原告代表者に帰属するものであり,

また,被告による商標権の行使は権利の濫用に当たると主張するが,次のと

18
おり失当である。

ア 本件商標権が原告代表者に帰属するものではないこと

(ア) 被告創業者は,原告設立前である昭和38年頃,本件標章3の商標

登録出願を行って本件商標権3を取得したものであり,本件商標権3が

被告創業者に帰属するものであることは明らかである。そして,本件標

章1及び2は,本件標章3と実質的に同一の標章であるにもかかわらず,

本件標章1及び2に係る商標権である本件商標権1及び2のみ,その実

質的権利者が原告代表者であるというのは不合理である。

(イ) 原告は,本件標章1及び2は原告代表者がデザイナーに依頼して作

成させたものであると主張するが,本件標章1に使用されている書体は,

被告が本件商標権1の登録出願以前から使用していたものであり(乙1

2),被告創業者が昭和45年に出願した商標の中にも同様の書体が使

用されている(乙14)。また,本件標章1における鍵の図形も,被告

が昭和45年以前から使用していたものであり(乙12),被告創業者

は,これと同様の図形について意匠出願をしている(乙15)。さらに,

本件標章2は,被告が創業時から使用してきた「FUKI」標章を片仮

名表記にしたものにすぎず,その書体にも格別の創作性はない。

したがって,本件標章1及び2は,原告が新たに創作したといえるよ

うなものではないから,その実質的権利者が原告代表者であるという原

告の主張は前提を誤るものである。

(ウ) 原告と被告は,平成21年7月10日から,一連の紛争を解決する

ための交渉を開始したが,原告が本件商標権について言及したのは,交

渉開始から1年が経過した後のことであり,かつ,原告と被告は,本件

商標権が被告側に帰属することを前提として,どの範囲まで使用許諾を

受けられるかという観点で協議をしていたものであるから,原告の主張

は,原告の行動とも合致していない。

19
(エ) 本件商標権の登録費用及び維持管理費用は,専ら被告が負担したも

のであり,原告はその一部を負担したにすぎない。

(オ) 以上によれば,本件商標権は被告創業者(承継により被告代表者

に帰属するものであり,原告代表者に帰属するものではない。

イ 本件商標権の行使が権利の濫用に当たらないこと

周知標章と登録商標が衝突する場合でも,商標権者は登録商標の使用を

することができるのが原則であり,権利の濫用に当たるときに例外的に使

用が制限されるものにすぎない。そして,権利濫用に当たるか否かは,商

標の登録出願と周知標章の周知性取得との時期的先後によって判断される

ものとされるところ,被告創業者は,原告が本件商標権の使用許諾を受け

て本件標章の使用を開始する2年半以上前に本件商標権1及び2について

商標登録出願をしているのである。加えて,本件標章の使用に係る事実経

過にも照らせば,被告創業者から本件商標権を相続した被告代表者や被告

が本件商標権の行使として本件標章を使用することが権利の濫用に当たる

わけがない。

(原告の主張)

(1) 被告の主張は争う。

(2) 本件商標権が原告代表者に帰属するものであること

ア 本件標章1及び2は,原告代表者が,昭和46年に新会社として原告を

設立するに当たり,社名及びその商品に付するための商標として,デザイ

ナーに依頼して作成させたものであり,被告とは無関係に創作されたもの

である。

イ しかるに,当時,本件商標権3が既に商標登録されていたため,これと

称呼において類似する本件標章1及び2は,連合商標制度により,被告創

業者名義以外の名義で商標登録することができなかった。そこで,原告代

表者は,昭和46年6月中旬頃,被告創業者に対し,原告のために本件標

20
章1及び2に係る出願登録手続及び登録後の維持管理手続をすることを依

頼し,被告創業者はこれを了承した。これにより,本件標章1及び2は,

被告創業者の名義を借りて登録されるに至ったものであり,本件商標権は

実質的には原告代表者に帰属するものである。

(3) 被告による商標権の行使が権利の濫用に当たること

ア 被告は,商標登録時期が原告の本件標章に係る周知性の獲得時期よりも

早いことを根拠として,被告による登録商標の使用は権利の濫用に当たら

ないと主張する。しかし,登録商標の使用が周知商品等表示との関係で権

利濫用に当たるか否かは,商標登録時期と周知性の獲得時期の先後のみで

単純に判断すべきではない。

イ 田村善之「商標法概説 第2版」は,現時点において周知性が確立され

ている場合には,商標登録周知性獲得時点より先であるとしても,登録

商標使用の抗弁は主張できないとするところ,この考えに従えば,被告は

登録商標使用の抗弁を主張できないことになる。また,周知性獲得が商標

登録以降であっても,周知性を獲得した標章が有する商品の出所識別機能

を著しく害する 等の理由から ,周知標章 に対する商標権 の行使(差止

求)が権利濫用に当たるとされた裁判例が存在するところ(東京地裁平成

11年4月28日〔ウイルスバスター事件〕),登録商標の使用も商標権

の行使の一態様であるから,原告が商標権の登録商標の使用として本件標

章を使用することは,上記裁判例と同様に権利濫用として許されないとい

うべきである。

ウ 加えて,被告は,争点(1)において主張したとおり,原告設立後は本件

標章を使用したことがなかったにもかかわらず,原告が本件標章につき全

国的な周知性を獲得した後である平成21年11月に,突然本件標章の使

用を開始し,原告の獲得した信用にただ乗りし,取引者・需要者の商品の

出所混同を招いているものであって,このような被告の行為は,まさに不

21
正競争に該当するものである。

エ したがって,被告による登録商標の使用は権利の濫用に当たる。

第4 当裁判所の判断

1 前記前提事実に加え,証拠(各認定事実の末尾に摘示する。)及び弁論の全

趣旨によれば,各争点の検討の前提として,以下の事実が認められる。

(1) 被告創業者による事業の開始

ア 被告創業者は,昭和34年頃から「後藤製作所」の屋号で鍵の製作等を

行うようになり,遅くとも昭和38年頃までには,その妻の名である「フ

キ」にちなんで「FUKI」と刻印したキーブランク(鍵型をした母材に

鍵の差込み方向に鍵溝を切ったもので鍵山を設ける前のもの。合鍵作製用

の鍵母材。以下「FUKI印キーブランク」という。)を製造するように

なった(甲277,278,乙1)。

イ 被告創業者は,前記前提事実(4)のとおり,昭和38年9月11日,本

件標章3について商標登録出願を行い,昭和39年10月15日に登録査

定を受け,同年12月1日に商標登録を受けた(乙131)。

ウ 被告創業者は,昭和41年6月頃,有限会社後藤製作所を設立し,昭和

45年7月,上記有限会社後藤製作所を株式会社後藤製作所に組織変更し

た(以下,上記組織変更の前後を通じて「被告」ということがある。)。

(2) 原告代表者による事業の開始・推移

ア 原告代表者は,昭和38年10月頃から,被告創業者の作業所内で,被

告創業者の指導の下,被告創業者が製造したFUKI印キーブランクの納

入を受け,被告創業者の購入した合鍵複製用機械等の設備を使用するなど

して,合鍵複製業を営むようになった(甲1,277)。

イ 原告代表者は,昭和40年10月頃,被告創業者の了承を得て,「新橋

キーセンター」を創設し,被告創業者(上記(1)ウのとおり法人成りした

後は被告)から納入を受けたFUKI印キーブランク等を用いて合鍵複製

22
を行うとともに,上記のとおり被告創業者又は被告から納入を受けたFU

KI印キーブランクや合鍵複製用機械(キーマシン)等の販売を行うよう

になった(甲1,3,277)。

ウ 原告代表者は,昭和42年1月,有限会社ゴトウを設立し,昭和45年

7月には株式会社ゴトウに組織変更をした(甲1,277,278)(以

下,組織変更の前後を通じて「ゴトウ社」という。)。

(3) 被告によるキーブランク等の製造・販売(原告設立以前)

ア 被告は,上記(1)のとおり製造したFUKI印キーブランクを,原告代

表者(法人成り した後はゴト ウ社)に納 入するほか,有 限会社加賀商 会

(以下「加賀商会」という。)にも納入しており,加賀商会に対するFU

KI印キーブランクの納入数は,昭和45年7月には約11万本に及んだ

(乙48)。また,被告は,昭和45年頃,「N.S.K」と刻印したキ

ーブランク(以下「NSK印キーブランク」という。)を製造し,有限会

社野村商会(以下「野村商会」という。)及び渡芳製作所に納入していた

(乙49,50)。

なお,ゴトウ社,野村商会及び加賀商会,渡芳製作所は,いずれもキー

ブランク等の商品を,主としてその代理店や中間卸売業者を介して小売店

に対し卸売りするものであった。

イ 被告は,昭和45年2月頃,野村商会と原告代表者の経営するゴトウ社

との間で取引先を巡り紛争が生じたことを原因として,同年3月18日,

野村商会との間で,野村商会が中間卸売業者に対するNSK印キーブラン

クの販売を中止し,上記中間卸売業者に対する販売については被告に一任

すること,被告がキーブランク及びキーマシンの販売数量に応じた代償金

を野村商会に支 払うことなど を内容とす る契約を締結し た(乙16, 5

2)。

ウ 被告は,上記イのとおり野村商会が販売を中止した中間卸売業者に対す

23
る卸売を,ゴトウ社に行わせることとし,ゴトウ社は,上記業者に対し,

NSK印キーブランクの代わりに,FUKI印キーブランクを販売するよ

うになった(甲277)。

エ 昭和45年8月ないし10月度及び46年1月ないし3月度における被

告のキーブランクの販売先及び販売数量は次のとおりである(乙51)。

(ア) 昭和45年8月度

ゴトウ社 19万8197本(FUKI印。以下同じ)

加賀商会 13万6868本(FUKI印。以下同じ)

渡芳製作所 5万7076本(NSK印。以下同じ。)

(イ) 同年9月度

ゴトウ社 22万3856本

加賀商会 9万2020本

渡芳製作所 7万7138本

(ウ) 同年10月度

ゴトウ社 40万1698本

加賀商会 7万5999本

渡芳製作所 5万4085本

(エ) 同年11月度

ゴトウ社 39万2596本

加賀商会 10万1348本

渡芳製作所 11万0996本

(オ) 昭和45年12月度

ゴトウ社 26万7341本

加賀商会 15万0843本

渡芳製作所 8万2907本

(カ) 昭和46年1月度

24
ゴトウ社 36万6293本

加賀商会 12万5526本

渡芳製作所 5万9332本

(キ) 同年2月度

ゴトウ社 31万3391本

加賀商会 15万6982本

渡芳製作所 10万7603本

(ク) 同年3月度

ゴトウ社 41万2868本

加賀商会 15万2780本

渡芳製作所 6万3271本

オ 昭和45年に被告が発行したキーブック(乙12。その取り扱うキーブ

ランク等の商品を掲載したリストであり,合鍵作製時に,対応するキーブ

ランクを識別するために,取引先に頒布されるもの。)には,その表表紙

に「TRADE MARK FUKI」との表示があり,中表紙にも「F

UKI印」の表示や,本件標章1における書体と同一の書体(「F」の文

字の一番上の横線を「I」の文字の上まで延ばしたもの。ただし,鍵の図

形は異なる。)による「FUKI」の表示がある。上記キーブックに掲載

されているキーブランクのうち,「ALPHA」,「GOAL」,「MI

WA」等に対応するとされるものや,国産自動車用(ニッサン,トヨタ,

ホンダ,ダイハツ等)とされるものには本件標章3が,国内外の自動車以

外のもの又は外車用とされるものには「G.S」が刻印されており(その

他の一部の商品には,刻印がないものがある。),キーマシンにも「FU

KI」の表示がみられる(乙12)。

カ ゴトウ社は,昭和45年12月15日,被告に対し,「商標利用の類似

商品販売業者阻止について申し入れ」と題する書面を内容証明郵便により

25
送付した(乙17)。上記書面には,「株式会社ゴトウは昭和38年10

月株式会社後藤製作所との間に後藤製作所が製造する製品の売買契約を締

結し爾来両者の共同商標であるフキ印マークを使用して販路の拡張に努め

てきました」「次のことを実行されますよう申し入れます 一,NSK印

を取り止めフキ印のみとする自衛手段を執ること」「なおフキ印とNSK

印を現在のまま持続される場合はフキ印が他の製品の単価より安い価格で

売れるようご配慮願いたく右申し添えます。」との記載がある。

(4) 原告の設立

ア 原告代表者は,昭和46年6月24日,伊藤刃物商事の経営者らと共

に,原告を設立した(甲1,277,283,284)。

イ 原告代表者は,原告設立に当たり,デザイナーに依頼して本件標章1

及び2のデザインを行わせ,後記(7)アでみるとおり,原告の社名表示及

びシンボルマークとして使用するようになった(甲6ないし9,27

7)。

ウ 同年7月20日付け日本刃物工具新聞の「社名変更のお知らせ」(甲

5)には,「多くの方々からご愛顧をいただいてまいりましたブランド

FUKIにちなみ,社名を株式会社フキと改称いたしました。」との記

載がある。

エ 被告創業者が,昭和46年6月25日,本件商標権1の連合商標とし

て本件商標権1及び2の出願を行ったことは,前記前提事実(4)イのとお

りである。

(5) 本件契約

ア 被告創業者,被告,原告代表者及び原告は,昭和48年12月25日,

次の内容を含む契約を締結した(以下「本件契約」という。)(甲18)。

(ア) 被告創業者は,原告代表者に対し,商標権1件,意匠権1件,商標

登録出願により生じた権利3件及び意匠登録出願を受ける権利3件を原

26
代表者に譲渡する。(第1条

(イ) 被告創業者は,原告,原告代表者及び被告に対し,本件商標権3ほ

か2件の商標権の使用を許諾し,かつ,本件商標権1・2ほか1件が登

録された場合にその使用を許諾することを予約する。(第2条

(ウ) 原告代表者は,被告及び被告創業者に対し,上記(ア)によって取得

した権利の使用又は実施を許諾する。(第3条

(エ) 上記(ア)ないし(ウ)の譲渡及び使用等許諾はいずれも無償の通常使

用権又は通常実施権とし,その範囲は日本国内全域,存続期間は各権利

の存続期間全部とする。(第4条

(オ) 原告代表者が上記(イ)により取得した通常使用権は商標登録原簿に

登録することとし,被告創業者は必要書類を原告代表者に交付する。登

録費用は原告代表者の負担とする。(第5条

(カ) 原告 及び 原 告代 表 者は , 本件 標 章3 を付 し た鍵 母 材( 半製 品 を含

む。)については,上記(イ)の規定にかかわらずすべて被告又は被告創

業者の製造したものを購入販売することとし,被告又は被告創業者以外

の者から購入した鍵母材に上記標章を付してはならない。(第7条

(キ) 原告及び原告代表者は,上記(イ)により使用を許諾された商標権を

付した商品の品質が優秀であることを保証し,これらの各商標権が有す

る信用を毀損するような行為をしないことを約束する。被告及び被告創

業者が上記(ウ)により取得した使用権又は実施権の行使についても同様

とする。(第8条第1項

(ク) 原告代表者が上記(イ)のとおり取得した商標の使用権は,原告代表

者が原告の代表取締役たる地位を失った場合は直ちにその権利を失う。

第9条第1項

(ケ) 被告創業者は,原告若しくは原告代表者が上記(カ)若しくは(キ)の

いずれかに該当したとき又は原告若しくは原告代表者が破産し若しくは

27
実質的に営業を停止し,3か月以内に営業再開の見込みがないときは,

2週間の予告期間を置いた書面による催告後本契約を解除することがで

きる。(第10条第1項

イ 上記ア(ア)及び(イ)に係る権利の譲渡及び通常使用権(通常実施権)は,

昭和49年頃,原簿に設定登録された(甲19)。

(6) 原告の営業形態等

ア 原告は,ゴトウ社と同様,キーブランク,キーマシン,鍵関連小物類等

の商品の卸売を行うことを業とするものであったが,その取り扱う商品は,

キーブランク,キーマシン,鍵関連小物類等のほか,取替用錠前・シリン

ダー,解錠用具,防犯用品等の鍵関連用品に広く及ぶようになった(甲2

3,24,28ないし42,124)。なお,被告創業者は,昭和40年

頃からキーマシンについて意匠登録出願を行い(乙3ないし9),株式会

社泰明製作所等 に製造させた キーマシン を被告に納入さ せた上で(乙 2

5),ゴトウ社に卸売りしていたが,原告設立後,被告の仲立ちを取り止

め,原告が製造業者と直接取引を行うことができるよう取り計らった(乙

26)。

イ 原告は,昭和51年頃から日本各地に代理店を設けて上記商品の販売等

を行わせるようになり,平成元年以降,上記代理店を原告の出資により株

式会社とし,これらの会社の商号を,地名と「フキ」を組み合わせたもの

(「株式会社山陽フキ」,「株式会社青森フキ」等)とするとともに,そ

の社名の「フキ」部分の表示に本件標章2を用いるものとした(甲1,2

06,208,209,219ないし230,262,263,265な

いし268)。

ウ 原告は,代理店との間で継続的取引基本契約を締結して,上記契約に基

づき,キーブランク等の商品を継続的に納入した(甲203,210ない

し214,221ないし230)。

28
エ 原告の昭和47年から平成24年までの売上額及び広告宣伝費の推移は

別紙一覧表のとおりである(甲202)。

(7) 原告による本件標章の使用等

ア 本件標章1及び2

(ア) 原告の設立後現在に至るまで,原告又は原告の販売代理店の会社案

内,名刺,キーブック又はカタログ,取引書類(注文書,納品書,請求

書等),封筒,価格表,チラシ,定期刊行物,加盟店向け資料等の,社

名等を表示する部分(表表紙又は裏表紙,チラシ隅等)には,原告の社

名のうち「フキ」の部分が本件標章2を用いた書体で表示されるととも

に,本件標章1が掲載されている(会社案内につき甲1,206,20

8,209,220,名刺につき甲22,キーブック又はカタログにつ

き甲23,24,28ないし42,124,293〔124については

本件標章1,293については本件標章2のみ〕,取引書類につき甲1

9ないし21,25ないし27,299ないし303〔25ないし27,

303については本件標章2のみ〕,封筒につき甲201,価格表につ

き甲43,125ないし134〔125ないし134については本件標

章1のみ〕,チラシにつき甲44ないし50,117ないし123,1

35ないし183,185ないし187,190ないし200,204,

215ないし217,244,294ないし298〔198ないし20

0,215,294については本件標章1のみ〕,定期刊行物につき甲

51ないし59,61,64ないし103,105ないし115,20

5,218,231,232,239,245ないし259,加盟店向

け資料等につき甲203,210ないし213,233,234)。ま

た,原告のホームページでは,原告の社名のうち,「フキ」の部分を,

本件標章1を用いて表示するとともに,本件標章2を表示している(甲

214,240ないし243,288ないし290,292)。

29
(イ) 原告のキーブック又はカタログ,チラシ等に掲載されている商品の

中には,キーマシン等に,本件標章1及び2を印刷したラベルが貼られ

ているものがあり(甲23,28,29,31ないし35,137,1

39,144,152,160,162,163,165ないし167,

181,182),その他,ケース,スプレー類,ショップスタンド,

看板類,ネームマシンに本件標章1が表示されているものや(甲30,

31,33ないし35,190ないし194,197),キーホルダー

等の鍵関連小 物の包装 に本件標 章1が表 示され,さら に,原告 の社名

(本件標章2を用いたもの)が表示されているもの(甲31ないし33,

35),本件標章1のみが表示されているもの(甲45ないし47,4

9)などがみられる。なお,原告のキーブック,カタログ,価格表のう

ち,平成21年以前のものの中には,キーブランク等の商品の写真や価

格表を掲載した各頁に,本件標章1が表示されているものがある(甲2

3,29ないし35,38ないし43)。

イ 本件標章3

原告のキーブック(甲23)には,本件標章3が刻印されたキーブラン

クが主に掲載されているが,「G.SS」,「G.S」が刻印されたキー

ブランクも掲載されている。「FUKI」印は,キーブランク以外に解錠

用具(甲30の19頁),補助錠(甲40の110頁,41の118頁,

42の21頁,121),取付部品(甲42の204頁)にも付されてい

るものがみられるが,その数は極めて少ない。また,上記キーブック,カ

タログ,チラシ,定期刊行物の一部には,商品等紹介ページの下などに,

「FUKI.CO.,LTD」と表示されているものがある(甲29ない

し35,38ないし42,45ないし50,68ないし70,78,87

ないし92,94ないし103,135ないし155,157ないし16

0,162ないし179,182,185,190,192ないし197,

30
203,204,215,293,295,296)。

ウ 原告のチラシ又は定期刊行物には,キーブランク,キーマシン,鍵関連

小物類等が掲載されており,そのうち,キーブランクについては,本件標

章3が付された ものが多いが ,「GSS 」等が付された ものもみられ る

(甲102ないし115)。

原告は,上記キーブランク,キーマシン,鍵関連小物類等のほか,取替

用錠前・シリンダー,解錠用具,防犯用品等の鍵関連用品を広く取り扱っ

ているが,上記鍵関連用品のうち,キーブランク等以外のものについては,

本件標章が付されていないものが多い。

(8) 被告による本件標章の使用等

ア 被告は,FUKI印キーブランクのほか,「GSS」,「GTS」,

「W&S」,「J&S」を刻印したキーブランクを製造しており(甲26

9),原告設立後は,FUKI印キーブランクについては,専ら原告に対

し納入してきた。

イ 平成15年頃設立されたジャパンキーサービス(千葉県松戸市所在)の

カタログ(甲2 69)には, 「FUKI 」,「GSS」 ,「GTS」 ,

「W&S」,「J&S」のロゴマーク入り商品は被告が製造する商品であ

る旨の表示及び「GSS,GTS」のキーブランクを販売する旨の記載が

あり,顧客(合鍵販売業者)に安価でキーブランク商品を提供することを

目指す旨記載している(甲269)。原告も,平成21年7月15日付け

の通知書において,「ジャパンキーサービス等が弊社の販売先に弊社の仕

入れ価格よりも 安価で販売し ている事も 発注数が減った 一因でござい ま

す。」と指摘している(乙54)。

ジャパンキーサービスは,被告から仕入れた「GSS」「GTS」を主

力とするキーブランクを,合鍵販売業者へ販売する業務を行い,平成24

年4月16日時点で,「FUKI」印のキーブランクを掲載したキーブラ

31
ンクリストを販売している(甲271)。

(9) 本件紛争の経緯(乙53ないし125)

ア 平成21年7月,原告は,FUKI印キーブランクの在庫過剰を理由と

して,同月の発注から,いわゆる売れ筋のキーブランク商品(1種類当た

りの発注本数が多い商品)についての年間契約を中止して被告への発注を

取り止め,これにより,被告に対する発注本数が,従前の10%程度まで

急減することとなった。原告の同年7月15日付け通知書においては,原

告の過剰在庫のほか,平成20年において,被告からの納品について大量

の欠品が生じたことが指摘されている(乙54)。

イ 他方,原告は,平成21年頃から,被告から納入を受けるFUKI印キ

ーブランクでは なく,原告が 外国工場に 発注して製造納 入させる「T L

H」を刻印したキーブランク(以下「TLH印キーブランク」という。)

の販売に注力するようになっており,鍵図の中に「TLH」の文字を記し

た商標の出願を行った(平成21年11月4日出願。その後,平成22年

3月5日に登録された。乙28)。

ウ 被告は,上記アのような状況(売れ筋商品の年間契約が中止され,更に

総発注本数も上記のように減少した状況)では,原告に対し納入する商品

を優先製造することができないので,納期遅れが発生する旨を原告に通知

し,さらに,原告が上記イのとおりFUKI印キーブランクではなくTL

H印キーブランクの販売に注力していることや,被告の提供する新番情報

を競合品であるTLH商品の製造に利用していることなどを指摘した上で,

原告の背信行為により原被告間の友好関係が破綻に至った以上,本件商標

権の使用許諾を解除し,被告においてFUKI印を付した商品の販売を開

始することを検討する旨の書面を送付した(乙61,63)。

この頃,原告は,平成21年9月吉日付けで,取引先に対し,FUKI,

GSS印のキーブランクの欠品番号となる商品が増加したことを詫びると

32
ともに,TLH 印キーブラン クへの振替 えを依頼する旨 の案内状(乙 4

5)を送付した。

エ 上記ウの被告からの書面に対し,原告は,被告のFUKI印キーブラン

ク在庫については全部買い取る方針である旨及び商標権の買取りを含めて

検討したい旨回答したが(乙64),被告は,商標権を原告又は原告代表

者に売却するつもりはないとの被告創業者の意向である旨を回答した(乙

65)。

オ 原被告間では,同年11月20日付けで,原告におけるFUKI印商品

の在庫の扱いや,商標の取扱い等について協議がもたれたが,協議が調う

には至らなかった(乙71)。

原告は,本件商標権3についてはFUKI印キーブランクの在庫がなく

なるまでの使用を,本件商標権1及び2については今後とも引き続いての

使用を希望する旨を通知し(乙72),さらに,同年12月26日付けで,

本件商標権3については,キーブランク以外の商品について被告創業者か

ら口頭で使用許諾を受けているので使用を継続したい,本件商標権1及び

2については被告創業者に承諾を得て出願登録された権利であり,登録手

続等の費用を原告が負担していることなどから,今後とも使用したい旨を

通知した(乙74)。

この頃,原告は,「お得意様各位」に宛てて,「新ブランドについての

ご案内」(平成21年12月吉日付け)と題する文書を配布し,そこには,

「弊社は,今日まで商品にFUKI印を取り扱ってまいりましたが,今後

FUKI印の在庫がなくなり次第自動的に「iNAHO(イナホ)」印の

商品の販売となります。」と記載されていた。

カ 原被告間では,その後も在庫の処分,本件標章を付した商品の販売終了

時期,鍵図iNAHO商標の出願等について協議及び書面のやり取りが行

われた。原告は,一旦は,本件商標1,2については,6か月間使用する

33
(平成22年1月25日付け通知書),平成23年12月31日を以って

終了する(同年1月27日付け通知書)としていたが,平成22年3月1

2日付け通知書(乙87)では,本件商標権3について,「商標通常使用

権設定の解除を受け,平成22年○月○日を以って各商標が及ぶ範囲の製

品・商品の製造を中止することを承諾しました。」とする一方で,本件商

標権1及び2を原告名義に変更するべきである旨主張した。

その後も,原告と被告の間で協議が続けられたが,協議は進展せず,原

告は,同年7月1日には協議を白紙撤回する旨の通知書(乙96)を送付

した。

キ 被告代表者は,平成24年3月13日付け書面(乙112)により,原

告に対する本件商標権の使用許諾契約を解除する旨の意思表示をし,上記

書面は,その頃原告に到達した。

ク 原被告間の上記協議は平成24年末頃まで継続したが,協議が調うには

至らなかった。

(10) 協議不調後の原告の本件標章の使用状況等

ア 原告は,平成22 年の年賀状(乙3 0)において,「弊社 は,FUK

I・GSS印のキーブランクを取り扱ってまいりましたが,現在商標とし

て使用しているTLH印のキーブランクに力を注ぎ,FUKI印の在庫が

なくなり次第自動的にTLH印のキーブランクの販売といたします。また,

キーブランク以外の商品につきましては,FUKI・TLH・iNAHO

ブランドを販売させて頂きますが,FUKI印の在庫が無くなり次第自動

的にTLH・iNAHO印の商品の販売といたします。」と記載した。

イ 原告は,上記通知どおり,FUKI印キーブランクの取扱いを順次終了

し,そのカタログ等に掲載するキーブランク及びキーマシンの写真から本

件標章1・3を抹消している(乙31,37)。また,キーブランク及び

キーマシン以外の商品についても,順次TLH,iNAHO印に変更して

34
いる(乙33ないし35)。

ウ 原告の平成25年のカタログ(甲293)には,裏表紙及び注文書等書

式頁において,原告の社名表示として本件標章2が表示されているのみで,

本件標章1は表示されていない。また,掲載商品に本件標章3を付したも

のも見当たらない。

(11) 以上の事実を前提に,各争点について判断する。

2 争点(1)(本件標章は被告にとって「他人の商品等表示」に当たるか。)

(1) 不正競争防止法2条1項1号は,他人の周知な表示と同一又は類似する

表示を使用して需要者混同させることにより,当該表示に化体した他人の

信用にただ乗りして顧客を獲得する行為を不正競争として禁止し,もって公

正な競業秩序の維持・形成を図ろうとするものであるから,同号における商

品等表示の帰属主体とは,自らの判断と責任において主体的に,当該表示を

付された商品を市場に置き,あるいは営業活動を行うなどの活動を通じて,

当該表示につき,商品等の出所,品質等について信用を蓄積し,当該商品の

取引者・需要者の間において,当該表示に化体された信用の主体として認識

されるに至った者をいうと解するのが相当である。したがって,ある者が,

同号における商品等表示の帰属主体に当たるか否か(当該商品等表示が誰に

帰属するものであるか)は,当該商品の性質,流通形態,当該商品等表示

内容や態様,当該商品の宣伝広告の規模や内容等を考慮した上で,当該商品

等の出所,品質等について信用を蓄積してきた主体は誰であるかという観点

と,当該商品の取引者・需要者において,当該表示が何人のものとして認識

されているかという観点を併せて検討するのが相当である。

(2) 本件標章3についての検討

ア 事案の内容に鑑み,本件標章3から検討する。

本件標章3は,主としてキーブランクに刻印されて使用されてきたもの

であるところ(前記1(7)イ。なお,前記1(7)イのとおり,本件標章3が

35
補助錠等に付されたことがあったものと認められるが,その数はごくわず

かなものにとどまるものとみられるのであるから,このような商品におけ

る本件標章3の使用が,本件標章3に係る信用の蓄積や取引者・需要者

認識に影響するものとは考え難い。),FUKI印キーブランクは,原告

設立以前は,被告から,原告の前身であるゴトウ社のほか,加賀商会にも

相当数が販売されていたものであり,ゴトウ社及び加賀商会が,それぞれ

の代理店や中間卸売業者に卸売りし又は小売店等に直接販売した上で,最

終的には小売店等において合鍵に加工され,販売されていたものであると

認められる(前記1(3)ア,エ)。

しかし,昭和46年6月の原告の設立後,本件紛争までの間においては,

FUKI印キーブランクは,被告から原告に納入され,原告から,その販

売代理店又は当該販売代理店の傘下にある小売店(合鍵複製業者)に卸売

されて,合鍵に加工され,顧客に交付されていたものである(前記1(6)

アないしウ)。原告は,FUKI印キーブランクを市場に置くとともに,

そのキーブック,チラシ,定期刊行物等に掲載し,これらを上記小売店等

に頒布するなどして(前記1(6)イ及びウ,(7)イ,ウ),FUKI印キー

ブランクについて,その販売を促進するための活動を行ってきたものであ

り,このようにFUKI印キーブランクを長期間にわたり単独で卸売販売

し,営業活動を行うことにより,本件標章3について,販売者としての信

用を蓄積してきたものであるということができる。

また,キーブランクの,合鍵作製用の鍵母材という商品の性質や,卸売

業者から中間卸売業者又は販売代理店に卸売され,又は小売店に直接販売

された上で,最終的に合鍵に加工されて販売されるものという流通経路に

加え,原告のカタログ,チラシ,定期刊行物等が,その内容から,いずれ

も小売店(合鍵複製業者)を対象としたものとみられることに照らせば,

キーブランクの需要者としては,小売店(合鍵複製業者)を想定するのが

36
適切であると解されるところ,上記需要者は,原告の頒布するキーブック

やチラシ等に掲載されるキーブランクの多くに本件標章3が刻印されてい

ることや,原告以外からFUKI印キーブランクを入手できない状況が,

30年以上の長きにわたり続いたことなどから,FUKI印キーブランク

の販売者は原告であるとの認識を有するに至っているものと解することが

できる。

イ しかし,他方で,被告は,前記1(1)アないしウ,(3)ア,エのとおり,

昭和38年頃までに,その妻の名にちなんで本件標章3を考案し,FUK

I印キーブランクの製造販売を開始したものであり,昭和46年頃までは,

原告の前身であるゴトウ社のほか,加賀商会にも,FUKI印キーブラン

クを相当数販売していたものであって,原告設立後には,FUKI印キー

ブランクの納入先を原告に一本化したものの,被告は,商品の製造業者と

して原告とは独立した地位にあったものとみることができるというべきで

ある。そうすると,被告は,製造業者として,FUKI印キーブランクを

自らの判断と責任において主体的に市場に置いてきた者と評価するのが相

当である。そして,FUKI印キーブランクの製造業者は被告のみであっ

たものと認められるのであるから,被告は,その製造業者として,FUK

I印キーブランクの品質等についての信用を蓄積してきたものとみること

ができるというべきである。

加えて,被告は,国内最大手のキーブランク製造業者であるとされると

ころ(甲269),キーブックの他社品番対照表(甲23,乙127)か

らは,キーブランクに刻印される標章のうち,流通量の多いものは,本件

標章3のほか,「G.S.S」(被告製造)やクローバー印,「MMJ」

など限られており,その製造業者も限られていることがうかがわれること

に照らせば,キーブランクの需要者である合鍵製造業者においては,被告

がFUKI印キーブランクの製造業者であることを認識している可能性が

37
高いものと解されるところである。また,仮に,上記需要者が被告の名称

までを認識していないとしても,当該表示がある者の商品等表示に当たる

というためには,当該表示がある特定の者の商品等を他の者の商品等から

識別するものとして知られていれば足り,それ以上に識別された商品の主

体の名称までが需要者に知られている必要はないと解される。そして,本

件標章3がキーブランクの鍵頭に刻印されているものであり,上記刻印は,

通常は製造時に付されるものであること,本件標章3が,かつては加賀商

会が販売するキーブランクにも付されていたことに照らせば,キーブラン

クの需要者において,本件標章3を,キーブランクの製造業者を識別する

ものとして認識しているものというべきである。

ウ そうすると,本件標章3については,原告は販売業者として,被告は製

造業者として,それぞれの信用を蓄積してきたものであり,昭和46年か

ら30年以上にわたり,被告のみが製造し,原告のみが販売する状況が続

いたことにより,需要者において,原告及び被告の双方が,その信用を蓄

積してきた主体(製造業者及び販売業者)として認識されるに至ったもの

とみることができ,本件標章3の商品等表示としての帰属主体は,原告及

び被告であると解するのが相当であるというべきである。

エ(ア) この点に関し,原告は,被告は原告設立後から本件紛争に至るまで

の間,専ら原告のためにFUKI印キーブランクを製造し納入したのみ

であり,本件標章3を自己のために使用したことはないと主張しており,

被告が本件標章3を付した商品を自らの判断と責任において主体的に市

場においたことや,被告がその信用を本件標章3に蓄積したことを争う

ものと解される。しかし,被告は,前記1(1)アでみたとおり,その妻

の名にちなんで本件標章3を考案し,キーブランクに刻印して,最初に

市場に置いた者であり,その販売先も,平成46年頃まではゴトウ社に

限られなかったものである。また,同年時点での被告のFUKI印キー

38
ブランクの販売量は,既に30ないし40万本にも及んでいたものであ

って,原告設立後は,上記納入先を原告に限定したにすぎないものとみ

られるのであるから,原告の設立をもって,被告がFUKI印キーブラ

ンクを主体的に市場に置くものではなくなったとみるのは相当ではない。

加えて,原告は,原被告間で商品開発会議等が開かれたことがない旨の

主張をしているところ,本件紛争の経緯において原被告間でやり取りさ

れた書面の内容(乙57,61の新番に関する記載)からは,商品の開

発等は,むしろ被告において行われていたことがうかがわれるのであっ

て,被告が,単に原告からの依頼に基づき商品を製造し,納入するもの

と評価することのできるものではない。

そうすると,被告は,FUKI印キーブランクの製造業者として,F

UKI印キーブランクを主体的に市場に置き,その信用を蓄積してきた

ものと評価すべきものであって,原告の上記主張を採用することはでき

ない。

(イ) また,原告は,@本件標章3と原告の称呼が同一である一方,本件

標章3と被告の称呼は全く異なること,A鍵に付された標章が製造業者

ではなく販売業者を指すことが業界の常識であることから,キーブラン

クの需要者は,本件標章3を原告のみを表示する標章であると理解する

のが通常であり,本件標章3を被告と結びつけて理解することは不可能

であるとも主張する。

しかし,原告の上記主張は,キーブランクの需要者を,合鍵複製の依

頼者(一般顧客)とみることを前提とするものであるところ,キーブラ

ンクの商品としての性質,流通経路,FUKI印キーブランクの宣伝広

告の内容等に照らし,FUKI印キーブランクの需要者としては,小売

店(合鍵製造業者)を想定することが適切であると解されることは前述

のとおりである。また,合鍵複製の依頼者(一般顧客)を需要者とみる

39
ことができるとしても,上記依頼者は,本件標章3が,加工済みの合鍵

に刻印されているものであることから,上記標章を,合鍵製作用の材料

(キーブランク)の製造業者又は合鍵複製を行う主体のいずれか又は両

方を示すものと認識するものと解されるのであって,本件標章3が,お

よそ製造業者の標章と認識され得ないものであるとの原告の主張は採用

することができない。また,合鍵複製を行う主体である専門店は,その

名称に必ずし も「フキ 」を含む ものでは ないことがう かがわれ るから

(甲212),称呼の同一を理由とする原告の主張も採用することがで

きない。

さらに,原告の挙げる「ALPHa」,「MIWA」の例が,いずれ

も錠前メーカーのいわゆる純正キーに付されるものであるとみられるも

のであって(甲23,35),キーブランクとはその需要者を異にし,

キーブランクの標章に対する需要者の認識の例とするのは適切ではない

ことに照らせば,キーブランクの刻印が販売業者を示すものであるとの

理解が鍵の業界では常識であるとの原告の主張も相当ではないというべ

きである。

(ウ) 原告は,原告と被告は一体事業を構成する関係になかったから,本

件標章3が原告と被告の双方に帰属することはあり得ないとも主張する。

しかし,前述のとおり,原告及び被告は,被告において,既に30な

いし40万本という販売実績のあるFUKI印キーブランクの納入先を,

原告の設立を契機に原告のみとし,その後30年以上の長きにわたり,

被告は,FUKI印キーブランクを原告のみに納入し,原告も,キーブ

ランクとしてはFUKI印のものをメインに取り扱い,積極的に営業活

動を行ってその販売を伸ばすという関係にあったものであり,このよう

な関係に基づき,需要者が,本件標章3を,被告が製造し原告が販売す

る商品を表示するものと認識するに至ったものと評価することができる

40
のであって,原告と被告の役員関係に重複がないことや株の持ち合いが

ないことなどによって,需要者の上記認識が左右されるものではないと

解されるから,原告の上記主張も採用することができない。

(3)ア 以上のとおり,本件標章3は,原告及び被告の双方に帰属するものと

認められるものである。

しかし,前記(2)エ(ウ)でみたとおり,本件標章3が,原告及び被告の

双方に帰属するものと認められるのは,原告と被告が,被告において,主

として原告のみにFUKI印キーブランクを納入し,原告においてFUK

I印キーブランクをメインに取り扱い,積極的に営業活動を行うという協

力関係を前提とするものであるということができるところ,前記1(9)の

とおり,原告と被告は,上記のような協力関係を既に解消しているものと

認められる。

そこで,上記協力関係を解消済みである現時点において,本件標章3が

原告のみに帰属するものであると評価できるかどうかについて,更に検討

する。

イ 前記1(5)のとおり,原告,原告代表者,被告及び被告創業者は,昭和

48年12月25日に本件契約を締結しているところ,本件契約が,被告

創業者から原告及び原告代表者に本件商標権3の使用を許諾する旨のもの

であり,原告及び原告代表者は,本件標章3を被告又は被告創業者の製造

したキーブランク以外に付してはならず,又は被告又は被告創業者以外か

らキーブランクを購入してはならない旨の条項や,原告代表者が原告の代

表取締役たる地位を失った場合に本件商標権3の使用権を失う旨の条項,

さらには,被告創業者が,一定の場合に本件契約を解除することができる

旨の条項を含むものであることを考慮すれば,原告と被告との間において,

上記アでみた協力関係が解消された場合に,本件標章3が原告のみに帰属

することになるものとみることはできない。

41
ウ 原告は,本件標章3の周知性の獲得は,専ら原告の行為に基づくもので

あり,その信用も原告に集中的に帰属するものであるから,被告が原告の

許諾なく本件標章3を使用することは,原告の上記信用に対するただ乗り

になると主張する。

しかし,原告代表者が原告を創業し,その売り上げを順調に伸ばすこと

ができたのは,被告創業者が,原告代表者に技術指導等を行い,設備を提

供するなどして合鍵複製業を営むことができるよう環境を整えた上,原告

代表者の営む「新橋キーセンター」やゴトウ社等に,継続的にキーブラン

ク等の商品を大量に供給してきたこと(前記1(2)アないしウ,(3)ア),

被告が,野村商会に代償金支払と引き換えに中間卸売業者に対するキーブ

ランクの卸売を中止させ,当該中間卸売業者に対するキーブランクの卸売

をゴトウ社に行わせたこと(前記1(3)イ,ウ),昭和45,6年頃には,

他社に対しても本件標章3を付したキーブランクを相当数納入していたに

もかかわらず(前記1(3)エ),原告設立後は,上記キーブランクの納入

先を原告のみとするに至ったこと(争いがない),被告創業者が,既に月

当たり30ないし40万本の納入実績を有するに至っていたFUKI印キ

ーブランクの刻印である本件標章3について,本件契約により,原告及び

原告代表者に無償で使用許諾したこと(前記1(5)),被告が中間卸売業

者として介在していたキーマシンについて,原告が製造業者と直接取引が

できるよう取り計らったこと(前記1(3)オ)などによるところも大きい

ものと解される。加えて,被告は,FUKI印キーブランクの製造業者と

して,一定の品質を有するFUKI印キーブランクを継続的に原告に納入

することにより,その信用の構築に寄与してきたものとみることができる

のであるから,被告が本件標章3を使用することが,原告の構築した信用

ただ乗りするものに当たると評価できるものではない。

エ 以上によれば,本件標章3が,現時点において原告のみに帰属する商品

42
等表示であるとは認められない。

(4) 小括

したがって,本件標章3は,被告にとって「他人の商品等表示」に当たら

ないから,本件標章3と同一の標章である被告標章7に関する原告の請求は,

その余の点について検討するまでもなくいずれも理由がない。

(5) 本件標章1,2について

ア 前記1(7)アのとおり,原告は,その創業時以降,約40年にわたり,

その会社案内,名刺,キーブック又はカタログ,取引書類,価格表,チラ

シ,定期刊行物,ホームページ等において,本件標章2を,原告の社名の

うち「フキ」部分の表示に用いるとともに,本件標章1を表示して掲載し,

さらに,その販売するキーマシン,刻印機,ケース,スプレー類,ショッ

プスタンド,看板類,ネームマシン,鍵関連小物等に本件標章1若しくは

2又はその両方を表示して販売してきたものと認められる。そうすると,

原告は,本件標章1及び2を,その営業表示及び鍵関連用品類の商品表示

として使用し,その信用を蓄積してきたものと認められるのであって,本

件標章1及び2は,原告の商品等表示であると認められる。他方,被告は,

キーブランクの包装用箱に本件標章1を使用していることが認められるも

のの(甲274,275,乙47),その他,本件紛争に至るまでの間,

本件標章1及び2をその製造する商品に付すなどして使用したことは証拠

上認められないのであるから,本件標章1及び2を付した商品を自らの判

断と責任において主体的に市場に置くなどの活動を通じて,当該標章につ

いて信用を蓄積してきたものと評価することはできず,かつ,需要者にお

いて,本件標章1及び2に化体された信用の主体として認識されるに至っ

ているものとも評価することができない。

イ この点に関し,被告は,本件標章1及び2は本件標章3と社会通念上同

一の商標であり,一体のものとして鍵関連商品の需要者に認識されるもの

43
であるから,本件標章3と同様に,原告及び被告の商品等表示に当たると

主張する。

しかし,前記前提事実(3)アのとおり,本件標章1は,鍵母材の図形の

中に,特徴的な書体により「FUKI」と横書きしてなる標章であり,本

件標章2は,変形片仮名文字により「フキ」と横書きしてなる標章であっ

て,ゴシック体の欧大文字で「FUKI」と横書きしてなる標章である本

件標章3と実質的に同一の標章であるということはできない。また,前記

(3)アでみたとおり,原告と被告は,代表者同士の親族関係を基礎として

FUKI印キーブランクの製造と販売を分担し,その信用を構築してきた

ものと評価できるものではあるが,原告の事業は,キーブランクの販売の

みにとどまるものではなく,合鍵複製業や,鍵関連用品全般の販売に及ぶ

ものであったのであり(前記1(6)ア),上記鍵関連用品のうち,被告が

製造し納入するものではないものも相当数あったことがうかがわれるので

あるから,原告と被告が,その事業全体において一体のグループを構成す

るものであったとは評価することができない。そうすると,原告が上記の

とおりその事業全般において用いていた標章である本件標章1及び2を,

本件標章3と同様に被告の商品等表示であるとみることはできないものと

いうべきである。

ウ したがって,本件標章1及び2は,被告にとって「他人の商品等表示

に該当する。

3 争点(2)(本件標章の周知性

(1) 前記1(6)及び(7)並びに2(5)アでみたとおり,原告は,昭和46年6月

の原告設立後から,会社案内や広告物,定期刊行物,取引書類等にその社名

を表示する際に本件標章1及び2を使用してきた上,鍵関連用品に本件標章

1又は2を表示して使用してきたものであり,原告が全国各地に代理店を有

し,また,専ら原告の販売する鍵関連用品を小売りし又は合鍵複製業に用い

44
る多数の専門店を有することや,原告の売上高の推移が別紙一覧表のとおり

であり,昭和52年以降,年間10億円から20億円程度で推移しているこ

とも考慮すれば,平成21年時点で,本件標章1及び2は,鍵,錠前,鍵加

工機械装置(キーマシン),キーホルダー等の鍵関連用品の需要者において

周知となっていたものと認められる。

(2) 前記1(9)のとおり,原告は,平成21年頃からTLH印キーブランクの

販売に注力するようになり,その他の商品についても,本件標章1の表示を

順次抹消し,「iNAHO」印に変更するなどして,本件標章1及び2の使

用を順次縮小していることが認められる。しかし,前記のとおり,本件標章

1及び2は,昭和46年6月から原告がその使用を開始したものであり,上

記(1)でみた事情に照らし,平成21年時点において,本件標章1及び2が

原告の商品等表示として周知性を獲得してから相当の時間が経過していたも

のと解することができる。これに加えて,原告が,平成21年以降,本件標

章1及び2の使用を完全に中止したものではなく,原告のホームページや取

引書類を中心に,原告の社名を表示する際などにおける使用を継続している

こと(甲19ないし21,24ないし27,214,240ないし244,

288ないし303)も考慮すれば,原告が平成21年以降本件標章1及び

2の使用を縮小したとしても,なお,上記周知性が消滅するには至っていな

いものと評価できるものである。これに反する被告の主張は採用しない。

4 争点(3)(被告による原告元販売店に対する本件標章1及び2の使用許諾の

有無)

(1) 被告標章2及び3は株式会社フキ八王子により,被告標章4は株式会社

名古屋フキにより,被告標章5は株式会社北海道フキにより,各使用されて

いるものであるところ(甲262ないし268),被告は,原告の元販売店

に被告標章7を付したキーブランクを販売していることを認めており,本件

証拠上も,被告が上記フキ八王子及び名古屋フキに対しキーブランクを納入

45
したものと認められる(甲264,265)。

しかし,上記キーブランク販売の事実を超えて,被告が,上記各社と実質

的に同一であり,又は上記各社における本件標章の使用について実質的に支

配管理しているなどの事情は認められない。

(2) 原告は,被告が上記各社に対し被告標章2ないし5の使用を許諾してい

ると主張し,その証拠として被告及び被告代表者代理人の平成22年7月9

日付け回答書(甲261)に,原告の元販売代理店に本件標章の継続使用を

認めないとする理由はない旨記載されていることを挙げるが,被告が上記各

社に対し被告標章2ないし5の使用を許諾していることを具体的に裏付ける

に足りるものではない。また,仮に,被告が,上記各社が被告標章2ないし

5の使用を継続することを容認しているものであるとしても,被告自身が被

告標章2ないし5を使用しているものと認められるものでもない。

(3) そうすると,被告が被告標章2ないし5を使用しているものとは認めら

れず,かつ,被告標章2ないし5を使用するおそれがあるものとも認められ

ないから,被告標章2ないし5に関する原告の請求は,その余の点につき検

討するまでもなく理由がない。

したがって,被告標章1及び6のみにつき,更に検討する。

5 争点(4)(混同のおそれの有無)

(1) 争点(1)及び(2)でみたとおり,本件標章1及び2は,原告の販売する鍵

関連用品又は原告の営業を表示するものとして需要者の間に広く認識されて

いるものに当たり,かつ,被告にとって「他人の商品等表示」に当たるもの

である。

前記前提事実(3)のとおり,本件標章1は被告標章1と,本件標章2は被

告標章6と同一の標章であるから,被告が被告標章1若しくは6を鍵,錠前,

鍵加工機械装置,キーホルダーに付して使用し,又は被告標章1又は6を付

した鍵,錠前,鍵加工機械装置,キーホルダーを販売し若しくは販売のため

46
に展示する行為は,被告の商品と原告の商品につき混同を生じさせる行為に

当たるものと認められる。

(2) 被告は,原告が「TLH」,「iNAHO」をその商品等表示として用

いていることから,混同のおそれを否定する主張をするが,本件標章1及び

2が原告の商品等表示として周知性を失っていないものと認められる以上,

上記「TLH」,「iNAHO」の使用により,混同のおそれが否定される

ものではない。

6 小括

以上によれば,被告が被告標章1若しくは6を鍵,錠前,鍵加工機械装置,

キーホルダーに付して使用し,又は被告標章1若しくは6を付した鍵,錠前,

鍵加工機械装置,キーホルダーを販売し若しくは販売のために展示する行為は,

不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当するものと認められる。

7 争点(5)(被告による本件標章の使用は,商標権者による登録商標の使用と

して適法なものか。)

(1) 前記前提事実(4)イ及びウのとおり,被告代表者は,本件標章1及び2に

ついて,本件商標権1及び2を有するところ,原告は,本件商標権1及び2

は実質的には原告代表者に帰属するものであり,また,本件商標権1及び2

の行使としての被告による本件標章1及び2の使用は,権利の濫用に当たる

と主張する。

(2)ア そこで,まず,本件商標権1及び2の帰属の点についてみると,確か

に,本件標章1及び2は,原告の設立に当たり,原告がデザイナーに依頼

してデザインを行わせたものであり(前記1(4)イ),本件商標権3が既

に登録されていたことから(前記前提事実(4)ア),平成8年6月12日

法律第68号による改正前の商標法7条1項所定の連合商標制度により,

本件商標権3の連合商標として,被告創業者によって出願されるに至った

ものであると認められる。

47
イ しかし,そもそも,前記1(1),(3)のとおり,被告創業者は,昭和38

年頃までに本件標章3の使用を開始し,原告設立前である昭和45,6年

頃には,月当たり30ないし40万本のFUKI印キーブランクを製造販

売するなど,本件標章3について,既に相当程度の信用を蓄積していたも

のであって,原告がその社名を「フキ」とし,本件標章1及び2をその社

名表示及びシンボルマークとして用いることを決めたのも,ゴトウ社が,

被告から納入を受けるFUKI印キーブランクを販売することにより,顧

客から信用を獲得していたことによるものであると解されるところである。

これは,原告創業時の新聞広告記事(前記1(4)ウ)からもうかがうこと

ができる。

このように,本件標章1及び2が,本件標章3の信用に由来して作成さ

れたものであり,その称呼において本件標章3と同一のものである以上,

本件商標権1及び2を被告創業者が取得することも合理性を有するものと

いうべきであって,原告の依頼したデザイナーによりデザインされたもの

であることや,その商標登録出願が原告代表者の依頼を契機としてなされ

たものであることなどによって,その実質的権利者が原告代表者となると

いうことができるものではない。

ウ 加えて,原告,原告代表者及び被告創業者は,原告及び原告代表者が被

告創業者から本件商標権1及び2の使用許諾を受ける旨の内容を含む本件

契約を締結し,平成8年6月12日法律第68号により連合商標制度が廃

止され,同改正後の商標法が施行された平成9年4月1日以降も,上記使

用許諾関係を変更することがなかったものである上,被告創業者は,平成

21年に原告代表者から本件商標権の買い取りを打診された際に,本件商

標権を原告又は原告代表者に売却するつもりはない旨を回答しているので

あって(前記1(9)エ),原告代表者及び被告創業者において,本件商標

権1及び2が原告代表者に実質的に帰属するものであるとの共通認識がも

48
たれ,又はこれが合意されていたような事情も認めることができない。

エ 原告は,本件商標権1及び2の登録手続費用等を原告が負担したことが

あること等を挙げるが,原告が本件商標権1及び2につき無償で使用許諾

を受け,これを使用してきたものであることに照らせば,上記費用の負担

をもって,本件商標権1及び2が原告代表者に帰属することを裏付けるも

のとみることはできない。

オ したがって,本件商標権1及び2が実質的に原告代表者に帰属するもの

であるとは認められない。

(3) 次に,本件商標権1及び2の行使としての被告による本件標章1及び2

の使用が権利の濫用に当たるか否かという点について検討する。

ア 前記前提事実(4)イのとおり,本件商標権1及び2は,いずれも,原告

の設立(昭和46年6月24日)の翌日である同年25日に商標登録出願

されたものであるところ,前記1(4)イのとおり,本件標章1及び2は,

原告が,その設立に併せて作成し,使用を開始したものであるから,本件

商標登録出願時において,本件標章1及び2が,原告の営業等を表示する

ものとして周知であったとは認められない。したがって,本件商標権1及

び2について,本件標章1及び2が原告の商品等表示として周知であった

にもかかわらず被告創業者によって商標登録出願されるに至ったものであ

るなどの事情は認められない。

イ また,前記(2)イでみたとおり,本件標章1及び2は,本件標章3につ

いて相当程度の信用が蓄積されていたことから,本件標章3に由来するも

のとしてデザインされ,その使用が開始されたものであって,本件標章1

及び2が被告創業者によって商標登録出願されたのも,本件標章3の考案

者であり,かつ,その使用を開始した者である被告創業者が,既に本件商

標権3を取得していたことによるものであって,本件商標権1及び2の商

標登録出願を被告創業者が行い,本件商標権1及び2の設定登録を受けた

49
ことについて,被告創業者と原告又は原告代表者との間で信義に反するよ

うな点は何ら見受けられない。

ウ さらに,前記1(6),(7)でみた原告の営業形態,その売上高,宣伝広告

費の推移,本件標章1及び2の使用状況等に照らせば,本件標章1及び2

が,現在,原告の商品等表示として周知となっていることは認めることが

できるものの,それを超えて全国的に著名となるに至っているとまで評価

することはできない。原告は,被告が製造し,納入するキーブランクをそ

の主力商品として販売してきたものであり,本件標章1及び2は,そのよ

うな原告の営業及び商品を表示するものとして使用されてきたものであっ

て,本件標章1及び2に蓄積されている出所及び品質に関する信用のうち

一部は,被告に由来するものであると解することができるものであるから,

被告が,本件商標権1及び2の指定商品の範囲内で本件標章1及び2を使

用したとしても,本件標章1及び2が取引において果たしている出所識別

機能を著しく害し,商標法の趣旨に反する結果が招来されるということは

できない。

エ 以上の事情を総合すれば,被告代表者による本件商標権1及び2の行使

として,被告が本件標章1及び2を本件商標権1及び2の指定商品の範囲

で使用することが,権利の濫用に当たるとは認められない。

(4) 原告は,被告が鍵,錠前,キーホルダー,鍵加工機械装置の販売等に当

たり被告標章1及び6を使用し,又は被告標章1及び6を付した鍵,錠前,

キーホルダー,鍵加工機械装置を販売等することの差止めを求めているとこ

ろ,鍵及び鍵加工機械装置については本件商標権1の指定商品である「鍵」

及び「金属加工機械器具」に,鍵,錠前及びキーホルダーについては本件商

標権2の指定商品である「金属製金具」(錠前のうち,電気式又は金属製の

もの以外のものについては,「錠(電気式又は金属製のものを除く。)」)

及び「キーホルダー」に含まれるものと認められる。

50
したがって,被告が鍵及び鍵加工機械装置の販売等に当たり被告標章1を

使用し,又は被告標章1を付した鍵及び鍵加工機械装置を販売等すること並

びに被告が鍵,錠前及びキーホルダーの販売等に当たり被告標章6を使用し,

又は被告標章6を付した鍵,錠前及びキーホルダーを販売等することは,登

録商標の使用として適法なものに当たる。

他方,被告が錠前及びキーホルダーの販売等に当たり被告標章1を使用し,

又は被告標章1を付した錠前及びキーホルダーを販売等すること並びに被告

が鍵加工機械装置の販売等に当たり被告標章6を使用し,又は被告標章6を

付した鍵加工機械装置を販売等することについては,本件商標権1及び2の

使用権の範囲外の行為であるから,その違法性は阻却されない。

なお,現時点において,被告が錠前,キーホルダー,鍵加工機械装置に被

告標章1,6を使用しているものとは認められないが,前記2(5)アのとお

り,被告はキーブランクの包装用箱に本件標章1を使用していることや,前

提事実(2)ウのとおり,被告が本件標章と同一又は類似の標章を使用する可

能性があることを被告自身も争っていないことに照らせば,被告が錠前,キ

ーホルダーに被告標章1を,鍵加工機械装置に被告標章6を使用するおそれ

がないということはできない。

また,被告標章1,6を付した商品の製造は不正競争防止法2条1項1号

の不正競争に該当する行為ではないが,上記標章を付した商品の販売又は販

売のための展示の予防に必要な行為(不正競争防止法3条2項)として,そ

差止めを求めることができるものと解されるところ,原告の主張は上記趣

旨を含むものと認められる。

第5 結論

以上によれば,原告の請求は,被告が錠前,キーホルダーの販売及び宣伝広

告に当たり被告標章1を付し,又は被告標章1を付した錠前,キーホルダー

を製造し,販売し若しくは販売のために展示すること並びに被告が鍵加工機

51
械装置の販売等に当たり被告標章6を付し,又は被告標章6を付した鍵加工

機械装置を製造し,販売し若しくは販売のために展示することの差止めを求

める限度で理由がある。なお,仮執行宣言は相当でないのでこれを付さない。

したがって,主文のとおり判決する。



東京地方裁判所民事第29部




裁判長裁判官 大 須 賀 滋



裁判官 小 川 雅 敏



裁判官 森 川 さ つ き




52
(別紙)

商標権目録1(1)

登録番号 1183493号

出願番号 46−066230号

出願日 昭和46年6月25日

登録日 昭和51年2月5日

商標




商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務

6 金属製荷役用パレット,荷役用ターンテーブル,荷役用トラバーサー,金属

製人工魚礁,金属製養鶏用かご,金属製の吹付け塗装用ブース,金属製セメ

ント製品製造用型枠,金属製の滑車・ばね及びバルブ(機械要素に当たるも

のを除く。),金属製管継ぎ手,金属製フランジ,キー,コッタ,てんてつ

機,金属製道路標識(発光式又は機械式のものを除く。),金属製航路標識

(発光式のものを除く。),金属製貯蔵槽類

7 金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機

械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器

具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工

用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,ミシン,農業用機械器具,靴

製造機械,製革機械,たばこ製造機械,ガラス器製造機械,塗装機械器具,

包装用機械器具,陶工用ろくろ,プラスチック加工機械器具,半導体製造装

置,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,動力機械器具(陸上の乗物



53
用のものを除く。),風水力機械器具,業務用電気洗濯機,業務用攪はん混

合機,業務用皮むき機,業務用食器洗浄機,業務用切さい機,業務用電気式

ワックス磨き機,業務用電気掃除機,修繕用機械器具,機械式駐車装置,乗

物用洗浄機,消毒・殺虫・防臭用散布機(農業用のものを除く。),機械要

素(陸上の乗物用のものを除く。),芝刈機,電動式カーテン引き装置,廃

棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置

8 組ひも機(手持ち工具に当たるものに限る。),くわ,鋤,レーキ(手持ち

工具に当たるものに限る。),靴製造用靴型(手持ち工具に当たるものに限

る。)

9 アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵

器,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲー

ト,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火

装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道

用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,

潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転

技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター

10 業務用美容マッサージ器

11 乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,牛乳殺菌

機,工業用炉,原子炉,飼料乾燥装置,ボイラー,暖冷房装置,冷凍機械器

具,業務用衣類乾燥機,美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除

く。),業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,

水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,し尿処理

槽,業務用ごみ焼却炉,太陽熱利用温水器,浄水装置

12 荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の

乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,落下


54
傘,乗物用盗難警報器

15 調律機

16 印刷用インテル,活字,マーキング用孔開型板

17 ゴム製又はバルカンファイバー製のバルブ(機械要素に当たるものを除

く。),ガスケット,管継ぎ手(金属製のものを除く。),パッキング,消

防用ホース,石綿製防火幕,オイルフェンス

19 人工魚礁(金属製のものを除く。),養鶏用かご(金属製のものを除

く。),吹付け塗装用ブース(金属製のものを除く。),セメント製品製造

用型枠(金属製のものを除く。),送水管用バルブ(金属製又はプラスチッ

ク製のものを除く。),道路標識(金属製又は発光式若しくは機械式のもの

を除く。),航路標識(金属製又は発光式のものを除く。),石製液体貯蔵

槽,石製工業用水槽

20 荷役用パレット(金属製のものを除く。),養蜂用巣箱,美容院用いす,理

髪店用いす,プラスチック製バルブ(機械要素に当たるものを除く。),貯

蔵槽類(金属製又は石製のものを除く。)

21 かいばおけ,家禽用リング

26 漁網製作用杼,メリヤス機械用編針

28 遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。)




55
(別紙)

商標権目録1(2)

登録番号 1191200号

出願番号 46−066232号

出願日 昭和46年6月25日

登録日 昭和51年3月25日

商標




商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務

6 鍵




56
(別紙)

商標権目録2

登録番号 1105386号

出願番号 46−066231号

出願日 昭和46年6月25日

登録日 昭和50年2月3日

商標




商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務

3 研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布

6 かな床,はちの巣,金属製金具

8 手動利器,手動工具

11 水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー


14 キーホルダー

16 装飾塗工用ブラシ

17 ゴム製又はバルカンファイバー製の座金及びワッシャー,蹄鉄(金属製のも

のを除く。)

18 かばん金具,がま口口金

20 カーテン金具,金属代用のプラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナッ

ト・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを

除く。),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製

のものを除く。),錠(電気式又は金属製のものを除く。)

21 魚ぐし,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ



57
26 針類,被服用はとめ




58
(別紙)

商標権目録3

登録番号 0660152号

出願日 昭和38年9月11日

登録日 昭和39年12月1日

商標




商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務

3 研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布

6 かな床,はちの巣,金属製金具

8 手動利器,手動工具

11 水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー

14 キーホルダー

16 装飾塗工用ブラシ

17 ゴム製又はバルカンファイバー製の座金及びワッシャー,蹄鉄(金属製のも

のを除く。)

18 かばん金具,がま口口金

20 カーテン金具,金属代用のプラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナッ

ト・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを

除く。),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製

のものを除く。),錠(電気式又は金属製のものを除く。)

21 魚ぐし,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ



59
26 針類,被服用はとめ




60

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