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事件 平成 15年 (ワ) 3454号 不正競争行為差止等請求事件
原告 有限会社ラクショクフーズ
同訴訟代理人弁護士 関口悟
被告 有限会社楽食
同訴訟代理人弁護士 畠山晃
同 河合弘之
同 町田弘香
同 泊昌之
同 松村昌人
同 松尾慎祐
同 望月賢司
同 光岡健介
同 川田剛
同 人見勝行
裁判所 名古屋地方裁判所
判決言渡日 2004/06/24
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
1 被告は,別紙被告包装箱目録イないしホ記載の各包装箱並びに別紙被告シール目録イ及びロ記載の各シールを使用してはならない。
2 被告は,上記各包装箱及び各シールを廃棄せよ。
3 被告は,国際EAN協会が管理する共通商品コードのうち「JANメーカコード」コード番号4903355を,被告の使用する包装箱及びシールに使用してはならない。
4 被告は,原告に対し,1000万円及びこれに対する平成15年9月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
本件は,原告が製造販売している焼売の包装箱等に類似する包装箱等を被告が使用して混同を生じていると主張して,被告に対し,不正競争防止法(以下,条文を示すときは「法」という。)2条1項1号,3条1項,2項に基づき,上記の類似する包装箱等の使用差止めとその廃棄を求めるとともに,法4条に基づき,損害の一部の賠償を求めるほか,原告のメーカコード番号を無断で使用していると主張して,その使用差止めを求める事案である。
1 前提事実(当事者間に争いのない事実等) (1) 当事者等 ア 原告は,平成10年7月28日,漢方生薬の輸入販売等を目的とし,「有限会社泰山製薬」の商号をもって設立された有限会社であり,平成12年6月26日,現在の商号に変更するとともに,その目的を焼売,ギョウザ,春巻等中華料理食品の製造及び販売等に変更した(乙2,3,弁論の全趣旨)。
イ 被告は,平成13年10月25日に,上記と同様の中華料理食品の製造及び販売等を目的として設立された有限会社である(弁論の全趣旨)。
ウ 楽食株式会社(以下「訴外会社」という。)は,昭和51年5月18日に設立され,上記と同様の中華料理食品の製造販売を業としてきたが,平成12年1月31日,第1回目の不渡りを出して事実上倒産し,任意再生が試みられたが,平成14年1月24日,原告から破産を申し立てられたことにより,同年5月17日午前10時,横浜地方裁判所において破産宣告を受けた(乙10の1,12,27)。
(2) 原告は,平成12年7月下旬若しくは8月ころから,「チルド赤箱焼売」,「チルド肉焼売」,「チルド牛肉焼売」,「チルド焼賣横濱名菜」及び「チルド肉シュウマイ」の各商品名を有する焼売をそれぞれ順に別紙原告包装箱目録イないしホの包装箱に入れて販売し,さらに,「チルド肉焼売まんぷく」及び「チルド中華焼売」の各商品名を有する焼売をそれぞれ順に別紙原告シール目録イ,ロのシールを貼付して販売している(以下,上記各包装箱と各シールを併せて「本件包装箱等」といい,上記各焼売の商品を併せて「本件各商品」という。甲1,6)。
(3) 被告は,平成14年1月ころから,「チルド赤箱焼売」,「チルド肉焼売」,「チルド牛肉焼売」,「チルド焼賣横濱名菜」及び「チルド肉シウマイ」の各商品名を有する焼売をそれぞれ順に別紙被告包装箱目録イないしホの包装箱に入れて販売し,さらに,「チルド肉焼売まんぷく」及び「チルド中華焼売」の各商品名を有する焼売をそれぞれ順に別紙被告シール目録イ,ロのシールを貼付して販売している(以下,上記各包装箱と各シールを併せて「被告包装箱等」という。甲1,22,乙27)。
(4) 被告包装箱等は,字体,図柄,配置,配色などから成るデザイン,規格,材質等の面において,いずれも対応する本件包装箱等に酷似している(甲1)。
(5) 「JANコード」とは,国際EAN協会が管理する共通商品コードのうち,同協会から財団法人流通システム開発センター(以下「流通コードセンター」という。)に貸与された単一のコード又はその集合を指し,そのうち,流通コードセンターが事業者を識別するために事業者単位で事業者に貸与する7又は9けたのコードを「JANメーカコード」と称するところ(甲2),訴外会社は,流通コードセンターにJANメーカコードの貸与申請を行い,コード番号「4903355」(以下「本件バーコード」という。)の貸与を受け,使用していた。
(6) 被告は,その販売する商品に本件バーコードを表示して使用している(甲1,弁論の全趣旨)。
2 争点 (1) 本件包装箱等と類似する被告包装箱等を使用して焼売を販売する被告の行為が,法2条1項1号の商品主体混同行為に該当するか。具体的には, ア 本件包装箱等は,原告を出所とする商品表示足り得るか。
イ 本件包装箱等は,本件各商品を表示するものとしての周知性を有するか。
ウ 被告包装箱等を使用して焼売を販売することにより,本件各商品との混同を生じさせるか。
(2) 原告は,被告による本件バーコードの使用の差止めを求めることができるか。
(3) 原告の被った損害額 3 争点についての当事者の主張 (1) 争点(1)(不正競争行為の成否)について (原告の主張) ア 商品表示性の有無について 本件包装箱等は,元々は訴外会社の製造販売する商品を表示するものとして使用されてきたが,同社は,平成12年3月ころから同年7月までの間,支払を滞らせたことが原因で仕入業者から材料の納入を受けられず,商品の製造,納品ができなかったことが原因で,取引先から取引停止処分を受けた。その結果,訴外会社は信用を完全に失った。
その後,原告は,同年7月7日,訴外会社から営業譲渡を受ける旨の契約を締結し(同月10日,訴外会社の株主総会で承認された結果,効力を生じた。),本件包装箱等を使用するようになったことから,本件包装箱等は原告の商品を表示するものとしての資格を取得した。
この点につき,被告は,上記営業譲渡は,訴外会社の債権者であった株式会社山房の会長のCの実弟である原告代表者が乗っ取りの目的を秘して行ったもので,訴外会社においてはこれを承認する株主総会が開催されたこともない旨主張するが,原告代表者は,連鎖倒産を恐れた訴外会社の債権者らから何度にもわたる依頼を受け,やむなく,別会社(原告)によって新たに営業すべく,訴外会社から営業譲渡を受けたにすぎず,株主総会についても,訴外会社の代表取締役であったD(以下「D」という。)が,取締役会の開催の有効性についてのみ弁護士と相談していることに照らすと,開催されていないとは考えられない。
周知性の有無について (ア) 法2条1項1号は,「他人の商品等表示(略)として需要者の間に広く認識されているもの」と類似商品等表示を使用し,又はその商品等表示を使用した商品を譲渡するなどして,他人の商品等と混同を生じさせる行為を不正競争として定めているが,本号の基となっている「工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約(以下「パリ条約」という。)」10条の2第3項1号には周知性の要件はなく,また,商品等の表示に化体・形成された他人の信用の冒用を規制し,それによって公正な競業秩序を維持するとの本号の趣旨に照らせば,上記の周知性の要件は,商標法64条が定める防護標章登録の要件である「需要者の間に広く認識されている」ことや,同法4条1項10号が定める商標登録阻止事由の要件よりも緩やかに解されるべきである。
すなわち,周知性が特に問題となるのは,偶発的に混同のおそれが生じた場面であり,周知性を要件とすることによって,その安全弁や調整弁の役割を果たすことが期待されているにすぎないから,本件のように,被告が意図的に本件各商品との混同を惹起させようとしている場合にまで周知性を厳格に解する必要はない。したがって,周知性としては,混同を防止しようとする本法の保護に値する程度のものを要求されているにすぎず,混同によって営業上の信義則に反するような事態が生ずる程度,又は他者から区別されるべき優越的地位を有する程度に知られていれば足りると解すべきである。
そして,周知性は,全国にわたり広く認識されていることを要するものではなく,一地方において広く認識された商品表示であれば足りるし,当該表示における信用が,取引者又は消費者のいずれの顧客層において形成されても,これを保護する必要があり,その場合に取引者又は消費者の全員が知っている必要もない。
(イ) 原告は,平成12年7月10日,訴外会社から,同社の営業全般の譲渡を受け,本件包装箱等の使用を継続しているのであり,遅くとも,被告が設立された平成13年10月ころまでには,名古屋及び岐阜の中部圏並びに横浜を中心とする首都圏において,よく知られるようになった。
このことは,@営業を引き継いだ直後の平成12年9月2日における出荷数量が,「チルド赤箱焼売」は1506パック,「チルド肉焼売」は111パック,「チルド牛肉焼売」は0,「チルド焼賣横濱名菜」は24パック,「チルド肉シュウマイ」は6パック,「チルド肉焼売まんぷく」は0,「チルド中華焼売」は126パックであったにもかかわらず,平成13年9月28日には,「チルド赤箱焼売」1万3953パック,「チルド肉焼売」は1716パック,「チルド牛肉焼売」は876パック,「チルド焼賣横濱名菜」414パック,「チルド肉シュウマイ」は396パック,「チルド肉焼売まんぷく」は1044パック,「チルド中華焼売」は1038パックに増加していること,A平成13年10月ころ,原告は,中部地方では,中部水産株式会社,名北魚市場株式会社など十四,五社の卸業者と取引を継続的に行っており,関東地方でも,菊美商事株式会社,東都水産株式会社,横浜魚類株式会社,千葉魚類株式会社,三共水産株式会社,川崎魚市場株式会社,三光水産株式会社,株式会社小田原魚市場,いづみ食品株式会社ほか約7社の卸売業者と取引を継続的に行っていたこと,Bそのころ,ユニシス情報の統計によれば,原告の「チルド赤箱焼売」の売上げは中華総菜部門で全国順位100位前後まで評価されていたこと(甲16,17)などの事実から明らかである。
この点について,被告は,平成14年1月12日以降,原告が,被告とは関係がない旨を明らかにしたため原告の売上げが落ちたことや原告が不当な安売りや営業妨害をしていることなどを理由に,原告の商品には周知性が無く,それまでの原告の関東における売上げは,Dの信用や手腕によるものである旨主張する。しかしながら,Dが原告を退職した後に,原告の関東地方における売上げが減少したのは,Dの信用や手腕によるものではなく,被告が徹底した値引攻勢をかけたからであり,これに対して,原告は取引を始める際に値引き等をすることはあっても,不当な安売りをすることはないので,被告の上記主張は不当である。
(ウ) その後も,原告は,新たな商品の開発をして他社との差別化を図り,卸売業者や消費者に対する知名度を上げるとともに,宣伝努力や販売努力を続けることによって,徐々に売上げを伸ばしてきた。
例えば,@平成14年2月からは,業界新聞である「みなと新聞」(昭和21年2月創刊)に何度も新規商品等の広告を載せるなどしてきたし,Aバーコードを利用して集計するポス(POS)システムによれば,「チルド赤箱焼売」の売上げは,平成14年6月には総合225位となっているところ,この時点では,原・被告が本件バーコードを使用していたため,両社の売上げが集計されているが,その内容を見ると,被告の地盤といわれる関東地方においては365位,京浜では220位であるのに対し,原告が強い東海地方では64位,近畿地方では74位と高位を占めているし,B平成15年10月には,原告がバーコードを変更して販売した「ニュー赤箱シュウマイ」の売上げは,関東地方における売上げが入っていないにもかかわらず,総合191位となり(東海地方では13位,近畿地方では68位),同年11月には,関東地方の集計が加わったことから更に順位が上がり,総合179位となる(京浜地方では691位,関東全域では1023位,東海地方では8位,近畿地方では88位)など,京浜,関東全域においても原告単独で好成績を上げている。
そして,現在では,被告による不当な値引攻勢により,訴外会社から引き継いだ中部水産株式会社との取引が中止され,菊美商事株式会社,東都水産株式会社への売上げが低下したが,取引を継続しているものも何社にもなる上,大東魚類株式会社のように新規に取引を始めた会社もある。
(エ) よって,原告は,遅くとも被告が設立された平成13年10月ころには,混同によって営業上の信義則に反するような事態が生ずる程度に広く知られており,他社から区別されるべき優越的地位をも獲得していたというべきであるから,本件包装箱等は,本件各商品を表示するものとして周知性を獲得している。
混同のおそれの有無 (ア) 商品主体混同行為における混同とは,商品と商品の混同ではなく,商品主体間の混同であり,また,それは現実のものであることは要せず,そのおそれがあれば足りるところ,混同は,競争関係の近似性と表示の近似性によって生ずるのであるから,表示の近似性が強ければ強いほど混同のおそれが大きいといえる。
また,不正競争防止法における類比の判断においては,各商品主体間の競争関係の有無,程度,商品表示選択の動機等も考慮に入れた上で,当該取引業界の実情に照らして,上記おそれがあるか否かを決すべきである。
(イ) しかるところ,被告と原告は,いずれも焼売の製造販売業者であり,取引形態は,主として各地方における市場内卸業者への販売や委託販売であって,スーパーなどを含む小売店への直売は限られている。しかも,原告は,Dが事実上経営していた訴外会社の営業を引き継いでいるのに対し,被告はそのDによって事実上経営されている。
そのような状況の下で,被告は本件包装箱等に酷似する被告包装箱等を使用した上,類似商号を用いて営業を行い,かつ,原告が訴外会社から引き継いだ取引先に対し,原告と同様にDを営業担当者として値引攻勢等を行って取引を求めてきたのであるから,競争関係の近似性及び表示の近似性は極めて高い。
実際に,被告がその製造販売する焼売に使用してもいない豚肉や牛肉の表示をしたことにより,原告は,商品の同一性を誤認した消費者から苦情を受けている。
したがって,被告包装箱等の使用によって,原告商品等との混同を招くおそれがある。
(被告の主張) ア 商品表示性の有無について 原告主張の事実は否認する。
ある表示が,出所を示す取引通用力を取得していなければ,そもそも法2条1項1号商品表示性すら有していないというべきところ,本件包装箱等は,いったん地に落ち周知性が失われた訴外会社と別個の出所を示す取引通用力を有しているとはいえず,上記商品表示性は存在しない。
すなわち,原告は,訴外会社から営業譲渡を受けたと主張するが,訴外会社の救済の名目でその経営に関与していた原告代表者が,債権者からの差押えが予想された状況の下で,会社乗っ取りの目的を秘して,Dに対し,実際に権利を移転するのではない,財産保全のため形式的に行うにすぎないなどと申し向けて欺き,自ら保管していた訴外会社の代表者印を用いてその外観を作出したものにすぎず,訴外会社の臨時株主総会議事録及び営業譲渡代金についての領収証も,同様に偽造されたものである。ちなみに,原告は,訴外会社の債権者らから,上記営業譲渡を対象として,詐害行為取消しの訴えを提起されている。
周知性の有無について 原告主張の事実は否認する。
(ア) 周知性とは,不正競争防止法による保護の対象となる(出所を識別し得るような)商品等表示が,その需要者の間に広く認識されていることを意味するが,そこでいう広く認識される程度とは,その商品の出所を積極的に表示する程度に知られていることが必要であり,特定の少数の人々に知られている程度では足りない。
また,商品の包装箱等が周知性を獲得するためには,その形態が他の包装箱等と比べて需要者の感覚に訴える独自の特徴を有し,需要者が一見して特定の営業主体の商品であることを理解し得る程度の識別力を備えていることと,当該包装箱等の形態が特定の営業主体の商品に排他的に使用され,その排他的使用が長期間にわたるか,又は短期間であっても強力に宣伝広告されたことが必要である。
(イ) しかして,原告は,訴外会社から営業譲渡を受けた後,製造販売等の努力を重ねて売上げを伸ばし,遅くとも平成13年10月ころまでに本件包装箱等が原告の商品を表示するものとして周知性を獲得した旨主張するが,以下のとおり,そのような事実は存在しない。
まず,原告は,訴外会社から事業を引き継いで間もない平成12年9月2日の売上げと,被告が営業を開始したころである平成13年9月28日の売上げを比較し,後者の数量が多いことから,あたかも原告が大幅に売上げを増加させたかのように主張するが,前者は市場の休日に当たるから売上げが少ないのは当然であり,休日でない平成12年9月13日の売上げとを比較すれば大差なく,かつ,いずれも焼売市場の規模と対比すれば,あまりに零細な数字の出荷高にとどまっているから,上記主張はミスリーディングである。
かえって,原告の売上げは,焼売業界で幅広い人脈と信用を有するD及び訴外会社の関係者らが,平成12年7月5日から原告の被用者として働き始めたことによって支えられ,同年10月にDらが原告を退社した以後も,依然としてDらが原告に在籍していると信じていた取引先からの注文によって支えられていたものである。このことは,@本件包装箱等は,平成13年7月ころまで,訴外会社の社名をもって使用されていたこと,A平成13年10月,被告が設立され,営業が開始されたことにより,関東地方において,Dらが原告に帰属していないことが知られるようになり,さらに,原告が,平成14年1月12日,被告と全く関係がないことを明らかにした書面を出したことによって,同地方における原告の売上げが,被告が同種の商品を販売していないものを除き,ほぼ無くなる事態となったこと,B同地方において原告をほぼ駆逐した被告が名古屋に進出するようになり,問屋の一部が原告との取引を見直そうとするや,原告は,不当な安売りを行ったり,被告の取引先に対し,被告と取引を行うと刑事罰を受ける旨記載した内容証明郵便を送付したり,全日本同和会を名乗る人物らを率いて面談を強要し,被告と取引を行えば種々の危害を加える旨申し向けるなどの妨害行為を行ったことなどに照らせば明らかである。
(ウ) 次に,原告は,その後の宣伝努力や販売努力によって,知名度が高まったと主張するが,@「みなと新聞」で行った広告宣伝は,被告設立後のものであり,しかも,本件包装箱等についてのものではない。そもそも,「みなと新聞」は,山口県に本社を有する販売部数も少ない業界紙にすぎない上,販売地域も限定されているから,この新聞による広告効果はほとんどない。また,A日本ユニシスの順位は,現実のシェアを反映していない。すなわち,中部地方において焼売を扱っている店舗は愛知県で425店舗,三重県で219店舗,岐阜県で179店舗あり,これに独立店舗を入れると数はこれにとどまらないところ,日本ユニシスにデータを提供しているのは,吉良町農業協同組合等のごく一部の限られた小規模企業・店舗にすぎず,大手販売店は,通常,売れ筋商品を秘密にしたいため,ポスデータを公表することはない。例えば,有名な崎陽軒より原告の商品の順位が上であることも,日本ユニシスの順位が実勢を反映していないことから生ずる逆転現象にすぎない。そして,焼売の販売部門で知名度があると思われる株式会社横浜シウマイの売上高は,平成14年5月決算期で45億6000万円,株式会社ホソヤミートのそれは68億6000万円となっており,これらと対比すると原告の売上げはわずかである。したがって,日本ユニシスのデータは,およそ本件包装箱等の周知性を立証するものではない。さらに,Bニュー赤箱シュウマイの包装箱は,本件包装箱等と異なっており,その売上げによって後者の周知性を基礎付けるものではない。
(エ) 以上の事情に加えて,焼売の容器は多種類あり,パッケージのデザイン変更もなされていることを考慮すると,本件包装箱等について周知性は認められず,原告が,仮に,中部地方における売上状況をもって優越的地位を取得したと主張するのであれば,そのような地位は,被告の取引を違法に妨害した結果得たものであるから,保護に値しないというべきである。
混同のおそれの有無について 原告主張の事実は否認する。
(2) 争点(2)(本件バーコードの専用使用権の有無)について (原告の主張) 本件バーコードを使用する権限は,重要な営業用財産であるから,訴外会社が平成12年7月7日に原告との間で営業譲渡契約を締結した際,譲渡の対象とされた財産に含まれている。ところが,訴外会社の代表者であったDが,上記営業譲渡の後に勝手に被告に名義を変更し,その後,被告が何ら権限なく本件バーコードを使用しているため,混乱が生じている。したがって,原告が有する本件バーコードについての使用権限に基づき,被告に対して,その使用の差止めを求める。
(被告の主張) 原告主張の事実は否認する。
被告は,本件バーコードを訴外会社から譲り受け,使用料を支払って使用している。前記のとおり,訴外会社から原告に対して営業譲渡は行われておらず,原告こそ,使用料を支払わずに不当に使用を継続している。
(3) 争点(3)(原告の損害額)について (原告の主張) 原告は,被告の行為によって,平成13年10月ころから売上げが減少し,年間1億2000万円以上の損害を被っている。
(被告の主張) 原告主張の事実は否認する。
当裁判所の判断
1 争点(1)(不正競争行為の成否)について (1) 不正競争防止法は,「他人の商品等表示(略)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似商品等表示を使用し,……他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」を不正競争と定め(2条1項1号),一定の要件の下に,差止め及び損害賠償の対象としている(3,4条)。その趣旨は,一般に,商品等表示は,商品の販売若しくは営業の遂行に際し,その商品又は営業を他の事業者のものと区別するために使用されるものであり,かかる事実状態が積み重なることによって,その商品又は営業に対する需要者の信用が次第にその表示に化体,形成されるが,そのような他人の商品等表示と同一又は類似の表示を使用して需要者の間に混同を生じさせることにより,表示に化体した他人の信用に不当にただ乗りする行為を規制することにあると解される。
この点について,まず,被告は,本件包装箱等は,訴外会社と別個の出所を示す取引通用力を有しているとはいえず,法2条1項1号の定める商品表示性は存在しない旨主張するが,商品表示性の有無は,その表示が一定の出所ないし主体を示すものとしての特徴,すなわち自他識別機能を有しているかという問題であり,その出所ないし主体がだれなのかという問題とは関わりないところ,証拠(甲1)によれば,本件各包装箱は,その字体,図柄,配置,配色などから成るデザイン等の面において,いずれも相応の特徴を有しており,焼売の容器等として極めてありふれたものではないと認められるから,上記商品表示性を肯定するのが相当である。
(2) ところで,上記のような趣旨に照らせば,法2条1項1号の規定する「需要者の間に広く認識されている」こと,すなわち「周知性」とは,保護の対象となる表示について他人の信用が蓄積されたと評価できる程度に,換言すれば,他者による冒用を許すことが取引秩序上の信義衡平に反すると評価できる程度に知られていることを意味すると解されるから,通常は,商品等表示の使用者が,相応の時間と費用をかけて,あるいはそれほど使用期間が長くない場合には,そのことを考慮する必要がないほど,営業努力を払うことが求められるというべきである。
もっとも,上記周知性の程度については,原告の指摘するとおり,趣旨,目的,効果が異なる商標法64条の防護標章登録の要件や同法4条1項10号が定める商標登録阻止事由の要件ほどにまで達する必要はなく,同一ないし類似商品等表示を使用する相手方の営業地域において,その営業対象とされている顧客層を基準として,当該表示にその主体の信用が化体していると評価し得る程度に営業上の優越的な地位が肯定されることが必要にして十分であり,かつその基準時は,差止請求については口頭弁論終結時であり,損害賠償請求については損害が発生したと主張する時点であると解するのが相当である。
(3) そこで本件について判断するに,前記前提事実に後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の各事実を認めることができる。
ア 訴外会社における焼売等の販売状況 (ア) 訴外会社は,焼売,ギョウザ,春巻等の中華料理食品の製造販売等を目的として昭和51年5月18日に設立された資本金3100万円の株式会社である。本社は横浜市神奈川区にあり,昭和57年に神奈川県相模原市に,平成元年に岐阜県可児市に,それぞれ工場を設けて商品を生産していた。訴外会社の設立当時は,一箱当たり小売価格80円ないし90円の焼売が一般的に販売されていたが,訴外会社は,小売価格138円の商品を,次いで,小売価格200円,300円の商品を開発し,販売に努めた結果,焼売製造業界では高級品を製造する業者として知名度が上がり,中央卸売市場や大手スーパー数社を得意先として,最盛期には一月当たり数億円以上の売上げがあった(乙12,27)。
なお,訴外会社の代表者であったDは,その設立以前から焼売に関する仕事を行っており,訴外会社においても,商品開発,企画,デザイン,技術指導等の中心となっていたほか,営業活動をも担当していた(乙27)。
(イ) しかし,景気の悪化に伴って,販売店が特売を仕掛けるたびに,訴外会社は,量産を強いられたが,製造能力が追い付かなかったため,欠品が続き,それによる損害額が1000万円以上に上った。訴外会社は,その損害を埋め合わせるために約束手形を発行したが,運転資金の手当がつかず,平成12年1月31日,1回目の不渡りを出し,事実上倒産した。この時点で,同年2月から5月まで各月2000万円,6月に1700万円,7月に1000万円の各手形の満期が到来する予定であり,金融機関を除く取引債権者数は少なくとも23名に上り,負債総額は5億2000万円以上に達した(乙12,27)。
訴外会社は,同年2月2日,大口債権者7社については,発行済み手形債権を含めた債権について,支払を同年2月以降1年間棚上げすることの了解を得たが,その他の債権者については,棚上げを了解する会社と了解しない会社に分かれ,後者だけでも負債額が相当に上ったため,任意再生は難航した(甲22,乙12,27)。
(ウ) 上記手形不渡りの後,訴外会社は,スーパー等の信用を失って取引を続けることができなくなったため,一月当たりの売上げは,同年3月が7000万円で,同年7月が5000万円にとどまった(乙27)。
ちなみに,訴外会社がその当時,卸業者の中では売上げが多かった中部水産株式会社(名古屋市所在)に対する一月当たりの焼売の販売金額(1万円未満は四捨五入)は,次のとおりであり(乙9,26),それぞれ,本件包装箱等と同一の包装箱等を使用していた(弁論の全趣旨)。
a 平成12年1月 チルド赤箱焼売 435万円 チルド肉焼売 115万円 チルド牛肉焼売 70万円 チルド焼賣横濱名菜 68万円 チルド肉中華シュウマイ 147万円 その他の商品と合わせた総額 997万円 b 同年6月 チルド赤箱焼売 591万円 チルド肉焼売 157万円 チルド牛肉焼売 71万円 チルド焼賣横濱名菜 22万円 チルド肉中華シュウマイ 150万円 その他の商品と合わせた総額 1205万円 c 同年7月 チルド赤箱焼売 544万円 チルド肉焼売 145万円 チルド牛肉焼売 66万円 チルド焼賣横濱名菜 96万円 チルド肉中華シュウマイ 151万円 その他の商品と合わせた総額 1180万円 d 同年8月 チルド赤箱焼売 87万円 チルド肉焼売 14万円 チルド牛肉焼売 5万円 チルド焼賣横濱名菜 2万円 チルド肉中華シュウマイ 19万円 その他の商品と合わせた総額 144万円 イ 原告が訴外会社の工場等を譲り受けた経緯 (ア) 原告は,漢方生薬の輸入販売業等を目的とし,泰山製薬の商号をもって,平成10年7月28日に設立された有限会社であるところ,平成12年5月10日,訴外会社が使用していた設備を730万円で買い受け(同日に500万円,同月22日に230万円支払),可児工場の土地建物については,原告代表者の兄らが取得した(乙2,27)。
その後,原告は,同年6月26日,現在の商号に変更するとともに,その目的を焼売,ギョウザ,春巻等中華料理食品の製造及び販売等に変更した(乙3)。
(イ) 訴外会社の債権者である株式会社誠和は,平成12年7月5日,訴外会社に対して,売掛代金797万1855円の支払の催告と,これがなされない場合は資産の差押えを行う旨記載した内容証明郵便を送付した(なお,株式会社誠和は,同年8月8日,訴外会社を債務者とする債権仮差押決定を得ている。乙4,6)。
この事態を受けて,訴外会社の代表取締役であったDは,同年7月7日ころ,原告との間で営業譲渡契約書と題する書面に記名押印した(甲3,乙27)。その2条には,本契約に基づく営業譲渡に伴い譲渡される財産は,譲渡日現在の訴外会社の本営業に属する資産のみとし,負債は除外する旨(なお,負債を除外する旨の記載は加入記載されている。),同3条には,本営業の譲渡価格は,譲渡財産の譲渡日における時価を基準とし,双方当事者が別途協議の上決定する旨,同8条には,本契約は,訴外会社の株主総会の承認が得られたときに効力を生ずる旨,それぞれ定められている(甲3)。
上記契約書のほか,同月10日,訴外会社の臨時株主総会において,原告に対する営業譲渡と可児工場の賃貸を承認した旨の議事録が,Dら3名の取締役の記名押印をもって作成されており,また,訴外会社から原告あての営業譲渡代金の領収証3枚(同月21日付けで320万円,同月28日付けで60万円,同月31日付けで150万円)も作成されている(甲4,5の1ないし3)。
(ウ) なお,前記営業譲渡に対し,平成13年までに,訴外会社の債権者らから複数の詐害行為取消訴訟等が横浜地方裁判所に提起されて,現在も係争中である(乙12,弁論の全趣旨)。
ウ 平成13年10月までの本件各商品の製造販売状況 (ア) 原告は,平成12年7月下旬ないし8月ころから,原告が借り受け若しくは買い受けた訴外会社の工場において,訴外会社の元従業員らを雇用して,焼売の製造販売を開始したが,その際,訴外会社の包装箱等や本件バーコードの使用を継続し,訴外会社の営業所,本社事務所もそのまま使用することとした。そして,原告は,訴外会社の取引先に対し,「新規取引依頼」と題する書面を送付し,従来,訴外会社との取引によって生じた売上金を8月分から原告名義の新規取引口座に振り込むよう依頼した。
他方,Dは,原告の被用者として焼売製造の技術指導,生産管理等の業務に従事するようになったほか,従前の人脈をいかして,営業をも担当した。
なお,1年間の棚上げが了承されなかった訴外会社の従前の債務については,原告が,訴外会社に対する立替金の形式をとって,返済してゆくこととなった(甲22,乙5,8,11の1,27,弁論の全趣旨)。
(イ) 原告による本件各商品の出荷数は,次のとおりである(甲6)。
a 平成12年9月2日 チルド赤箱焼売 1506パック チルド肉焼売 111パック チルド牛肉焼売 0 チルド焼賣横濱名菜 24パック チルド肉シュウマイ 6パック チルド肉焼売まんぷく 0 チルド中華焼売 126パック b 同月13日 チルド赤箱焼売 1万6922パック チルド肉焼売 1671パック チルド牛肉焼売 240パック チルド焼賣横濱名菜 186パック チルド肉シュウマイ 201パック チルド肉焼売まんぷく4104パック チルド中華焼売 1122パック c 平成13年9月28日 チルド赤箱焼売 1万3953パック チルド肉焼売 1716パック チルド牛肉焼売 876パック チルド焼賣横濱名菜 414パック チルド肉シュウマイ 396パック チルド肉焼売まんぷく1044パック チルド中華焼売 1038パック また,最も出荷数の多いチルド赤箱焼売の月別の出荷数の状況は,概略次のとおりであり(1万パック未満は四捨五入。ただし,2万パック以下の場合は,1000パック未満を四捨五入。),それ以外の本件各商品の出荷数は,チルド赤箱焼売のそれを大きく下回っていた。
d 平成12年9月 22万パック 内訳 関東地方 1万5000パック 名古屋地区 9万パック e 同年10月 16万パック 内訳 関東地方 8000パック 名古屋地区 7万パック f 同年11月 12万パック 内訳 関東地方 8000パック 名古屋地区 3万パック g 同年12月 18万パック h 平成13年3月 22万パック i 同年9月 31万パック 内訳 関東地方 3万パック 名古屋地区 11万パック (ウ) しかし,Dは,平成13年10月ころ,訴外会社の債務の処理を巡って原告代表者等と争いになり,原告を退職した(甲22,乙27)。
エ 被告の設立とその後の状況 (ア) 被告は,平成13年10月25日,Dの妻Eの弟であるBを代表者とし,焼売,ギョウザ,春巻等の中華料理食品の製造及び販売業等を目的として設立され,平成14年1月中旬ころから,「チルド赤箱焼売」,「チルド肉焼売」,「チルド牛肉焼売」,「チルド焼賣横濱名菜」,「チルド肉シウマイ」,「チルド肉焼売まんぷく」及び「チルド中華焼売」の各商品名を有する焼売をそれぞれ製造し,被告包装箱等を使用して,関東地方や東海地方を中心に販売を開始した。そして,Dは,従前の人脈をいかして被告の営業活動に従事している(甲1,22,乙27)。
原告の売上げは,被告が設立された平成13年10月ころから減少し始めたため,原告は,平成14年1月12日,被告とは関係がない旨を記載した書面を関東地方の取引先に送付したが,かえって,同地方における売上げの激減を招いた(甲22,乙27)。
(イ) 日本ユニシス情報システムの統計によれば,本件各商品についての全国の中華総菜部門でのシェアを基準とするランクは,次のとおりである(甲11,12の1・2,16ないし20)。
a チルド赤箱焼売 平成14年11月 107位 同年12月 96位 平成15年6月 225位 同年7月 226位 なお,平成15年10月,11月及び12月は,ランク外であった。
b チルド肉焼売 平成14年11月 351位 同年12月 378位 なお,平成15年6月,7月,10月,11月及び12月は,ランク外であった。
c チルド焼賣横濱名菜 平成14年11月 709位 同年12月 758位 なお,平成15年6月,7月,10月,11月及び12月は,ランク外であった。
そして,上記集計は,流通コードセンターが運営する流通ポスデータサービスで収集されたポス単品データを元に,日本ユニシスが独自に加工した売れ筋情報を提供するものであるところ,原告と被告は,平成15年10月ころまで本件バーコードを共用していたため,同月までの売上げには,原告の売上げに被告のそれが加算されており,それぞれの売上げを区別することはできないが,原告の販売が多くを占めるであろうと推認できる東海地方については,チルド赤箱焼売の平成14年11月の順位は20位,同年12月のそれは26位,平成15年6月のそれは64位,7月のそれは51位であった。これに対し,京浜地区については,平成14年11月のそれは108位,同年12月のそれは71位,平成15年6月のそれは220位,同年7月のそれは284位にランクされていた。
もっとも,ポス単品データの収集に参加する店舗は,平成15年6月時点で食品スーパー,コンビニエンスを中心とした363店舗,平成16年1月末時点で97社・約450店舗であるが,東海地方の系列店を有するスーパーについていえば,合計43社のうち,名鉄パレ,マックスバリュー,カネスエ,トヨタ生協,川口屋スーパーの5社(1割強),店舗数では823店舗のうち125店舗(約15パーセント)がポスデータシステムに参加しているにすぎず,ジャスコ,ユニーなどの大手スーパーはこれに参加しない傾向が見られる。そのため,有名な「崎陽軒」が製造する焼売のうちで最も上位にある商品が,平成15年7月の総菜類ポス売れ筋品目ランキングにおいて,原告商品より下位の315位にランクされている(甲11,12の2,乙14及び15の各1)。
(ウ) 平成15年11月26日と同年12月24日に「みなと新聞」に掲載された同年10月と11月の総菜類ポス売れ筋品目ランキングにおいて,「ラクショクフーズ ニュー赤箱焼売 12個168g」は,それぞれ191位と179位にランクされている(甲13の1,14)。
しかし,上記商品は,本件包装箱等が使用された商品(チルド赤箱焼売)ではなく,原告が新たに開発した別の商品「ニュー赤箱焼売」であって,その包装箱も本件包装箱等と異なる(乙25)。
また,原告は,平成14年2月25日から平成15年11月26日までの間に8回,原告の商品の広告を「みなと新聞」に載せているが,いずれも,原告の新商品の広告であって,本件包装箱等に係る商品の広告ではなかった(甲10の1ないし8)。
オ 訴外会社の破産 訴外会社は,前記のとおり,いったんは任意再生が試みられたものの,平成14年1月24日,原告が横浜地方裁判所に対して訴外会社の破産を申し立てたことにより,同年5月17日午前10時,同裁判所において破産宣告を受けた(乙10の1,12,27)。
(4) 以上の認定事実を基に,本件包装箱等の周知性の有無について判断する。
ア 原告は,まず,平成13年10月ころまでに本件包装箱等が原告の商品を表示するものとしての周知性を取得した旨主張する。
(ア) 前記認定事実アのとおり,訴外会社は,卸売業者や大手スーパーを得意先とし,一時期は一月当たり数億円を売り上げたこともあったが,景気の悪化に伴って,特売を催す販売店の需要に応えられずに欠品が続き,平成12年1月31日に第1回目の手形不渡りを出したこと,そのため,スーパー等との取引も中止せざるを得なくなったこと,訴外会社の1月当たりの売上げは,同年3月が7000万円,同年7月が5000万円であったが,焼売市場の規模が大きいこと(乙16の2,3)に照らすと,わずかな市場占有率にすぎないこと,大口債権者らから債務の返済を1年間猶予してもらって経営再建を試みたが,困難な状況にあったこと,以上の事実が認められ,これに,焼売については商品開発が度々なされること(甲10の1ないし8),本件包装箱等の形態は,焼売の包装箱等としてはだれもが注目する際立った特徴を有するとまではいえないこと(甲1)をも考慮すれば,出荷販売量が激減した同年7月ころには,本件包装箱等は,訴外会社の商品を表示するものとしての周知性を相当程度失ったと判断するのが相当である。
(イ) そして,前記認定事実イ,ウのとおり,原告は,訴外会社の工場等を借り受け若しくは譲り受けて,平成12年7月下旬ないし8月ころ,訴外会社の元従業員を雇用して本件各商品の製造・販売を開始したが,本件各商品のうちで最も販売量が多いチルド赤箱焼売の販売数は,同年9月には22万パックであったものの,同年10月が16万パック,同年11月が12万パック,同年12月が18万パックと落ち込み,その後,平成13年3月が22万パック,同年9月が31万パックと持ち直したところ,これを原告の主力市場である名古屋地区について検討しても,同様の傾向が見られ,同年10月が7万パック,同年11月が3万パックと落ち込み,平成13年9月にようやく11万パックに持ち直している。
しかしながら,東海3県の小売販売店のうち系列販売店だけでも823店舗に上ることを考慮すると,上記程度の出荷数では,1店舗当たりわずかな数量しか販売していない状況にあったというほかなく,関東地方に至っては,一月当たりの上記商品の販売数が1万パックを割り込んだ期間が相当程度続き,平成13年9月においても3万パックにとどまっており,関東地方の販売店舗数が少なくとも東海3県のそれを大幅に上回ると考えられることに照らせば,その販売密度は極めて薄い状態が相当期間継続し,その状態は平成13年9月においても基本的に変わることがなかったと判断することができる。
加えて,前記認定事実エのとおり,被告が設立された平成13年10月以降,原告の商品売上げが減少し,被告が原告と関係を有しない旨を通知した平成14年1月以降,関東地方の売上げが激減したことや,原告が焼売等の製造販売を開始した平成12年7月下旬ないし8月ころから被告設立までの間,原告が独自にその商品等の販売のための宣伝・広告を行った形跡をうかがうことができないことなどをも考慮すると,平成13年10月当時,さして多いとはいえない原告の売上げは,専らDらの個人的人脈や訴外会社とのつながりによって支えられていたものであり,原告が営業上の努力を尽くした結果,その信用が本件包装箱等に化体していたとは到底認められないから,本件包装箱等が原告の商品を表示するものとして被告が営業活動をしている横浜地区及び名古屋地区における周知性を肯認することはできない。
(ウ) この点について,原告は,@平成12年9月2日の出荷数と平成13年9月28日のそれとを比較して増加していること,A原告は,平成13年10月ころ,中部地方において十四,五社の卸業者と取引を継続的に行っており,関東地方でも,多数の卸売業者と取引を継続的に行っていたこと,Bそのころ,日本ユニシスの統計では,チルド赤箱焼売の売上げは中華総菜部門で全国順位100位前後まで評価されていたことなどを根拠に,本件包装箱等の周知性を獲得していた旨主張する。
しかしながら,@原告の営業は,卸売業者への販売が中心であり,市場が休みの日には出荷量が少ないと考えられるから,月別の出荷量を比較しなければ意味がないと考えられるところ,平成12年9月2日は市場の休日に当たること,A平成13年当時の原告の取引先が原告の主張するとおりであるとしても,取引の詳細を明らかにする証拠はない上,その販売密度や信用化体の状況は前記認定のとおりであること,Bチルド赤箱焼売の売上げが中華総菜部門で全国順位100位前後まで評価されたのは,平成14年11月のランキングであり,この時点では,被告による売上げも加算されていること,以上のとおりであるから,上記判断を覆すことはできない。
イ 次に,原告が,本件口頭弁論終結時までに本件包装箱等の周知性を獲得したかについて判断する。
(ア) 前記認定事実エのとおり,被告が設立された平成13年10月以降は,原告の本件各商品の製造販売数量が減少し,特に原告と被告とが関係を有しないことが通知された平成14年1月以降,関東地方における原告の売上げが激減したこと,日本ユニシスの統計によれば,全国の中華総菜部門で,本件各商品のうち最も販売数量の多い「チルド赤箱焼売」は,平成14年11月と同年12月においては100位前後,平成15年6月と同年7月においては225位及び226位にランクされていたが,平成15年10月以降ランク外であったこと,原告と被告は,平成15年10月まで本件バーコードを共用していることから,同月までの上記の売上げには,原告の売上げに被告のそれが加算されており,それぞれの売上げを明確に区別することはできないが,原告の販売が多くを占めるであろうと推認できる東海地方については,「チルド赤箱焼売」の平成14年11月の順位は20位,同年12月のそれは26位,平成15年6月のそれは64位,7月のそれは51位であったこと,これに対し,平成14年11月における京浜地区のそれは220位と284位にランクされていたこと,もっとも,上記のランキングの基礎となるデータを提供する店舗数が限られ,しかも,大型店舗の多くが参加していないことから,そのランクから市場における占有状況を推測することは困難であること,以上の事実が認められ,これに,原告からこの期間についての出荷状況の詳細を明らかにする帳簿等が何ら提出されていないことをも考慮すれば,平成13年10月以降本件口頭弁論終結時までに,被告の主たる営業範囲である関東地方及び東海地方において,本件包装箱等を使用した焼売の販売の点で,原告が被告よりも優位に立っており,本件包装箱等に原告の信用が化体しているとは到底認められない。
(イ) この点について,原告は,@Dが退職した後,原告の売上げが落ちたのは,被告が不当な安売りをしたためであること,A原告は,平成12年1月以降も,新規商品の開発を続け,平成14年2月以降,業界新聞である「みなと新聞」に何度も新規商品等の広告を載せて宣伝するなどの宣伝や販売の努力を続けたこと,B原告は,「ニュー赤箱シュウマイ」を販売し,東海地区だけでなく京浜,関東全域においても原告単独でも好成績を上げている旨主張する。
しかしながら,@仮に被告が不当な安売りを行ったとしても,法2条1項1号は,一定の商品等表示において優位に立っているという事実状態を保護するものであるから,かかる事情は,その結果である販売数量周知性の判断資料とすることの妨げになるものではないこと,A前記認定のとおり,原告が「みなと新聞」で広告した商品は,本件各商品ではないから本件包装等の周知性を基礎付けるものではないこと,もっとも,宣伝方法のいかんによっては,原告の営業全体を広告することによって,個々の商品等表示周知性を取得することもあり得るが,「みなと新聞」での前記宣伝状況に照らせば,本件包装箱等の周知性を基礎付けるものとは考え難いこと,B前記認定のとおり,「ニュー赤箱シュウマイ」と本件各商品とは異なり,前者が好評だからといって本件包装箱等の周知性を基礎付けるものとはいえないこと,以上のとおりであるから,原告の主張は採用できない。
ウ よって,本件包装箱等は,平成13年10月ころはもとより,口頭弁論終結時においても,原告の商品を表示するものとして周知性を有するとは認められない。
2 争点(2)(本件バーコードの専用使用権の有無)について 前記前提事実のとおり,本件バーコードは,かつては訴外会社が流通コードセンターから貸与され,使用していたが,現在では,被告の製造販売する商品に表示されて使用されていることが認められるところ,原告は,訴外会社から,営業譲渡の際に,本件バーコードの専用使用権を譲り受けたと主張し,被告に対して,その使用差止めを求めている。
しかしながら,証拠(甲2)によれば,その商品等にJANコードを表示したり,その識別番号として利用しようとする事業者は,流通コードセンターが定める貸与規約を承認した上で,同センターに申請してJANメーカコードの貸与を受けなければならないとされていることが認められ,これによれば,JANメーカコードの使用権限は,同センターと貸与された事業者との間の契約に基づいて発生する債権的なものであると判断することができる。
そうすると,原告が主張するように,仮に訴外会社との間で本件バーコードの専用使用権の譲受けが合意されたとしても,上記契約当事者の関係にない原告から被告に対して,本件バーコードの使用差止めを求め得るものではなく(ちなみに,上記規約第9条によれば,営業譲渡等によって貸与されたJANメーカコードを他の事業者に使用させようとする場合,流通コードセンターの承認が必要とされているから,この手続が履践されていなければ,同センターに対しても使用を求めることができないことが明らかである。),その他原告の排他的使用権を理由付ける法律上の根拠が明らかでない以上,上記請求を認めることはできない。
3 結論 以上の次第で,原告の本訴請求は,その余について判断するまでもなく,いずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。
追加
(別紙)被告包装箱目録イチルド赤箱焼売横約17.8センチメートル,縦約11.5センチメートル,高さ約3センチメートルの寸法の赤色の直方体の箱で,箱の右側に立姿の金色で龍を配し,左側に横に横たわっている状態の同じく金色で龍を配し,その間の箱の下から約2センチメートル,箱の側面からは左右いずれも約5センチメートル,上からは約5.5センチメートルの位置に横約7.8センチメートル,縦約3.9センチメートルの開口部を設け,その開口部の上部に「チルド焼売」の文字を,左側に「伝統の味」の文字を,箱の側面の3か所に「チルド赤箱焼売」の文字を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)被告包装箱目録ロチルド肉焼売横約21.5センチメートル,縦約11.9センチメートル,高さ約3.2センチメートルの寸法の黄色の直方体の箱全体に木目模様を施し,箱の下から約5ないし6センチメートル,左から約3センチメートル,右から約11センチメートル,上からは約2ないし3センチメートルの位置に開口部を設け,箱の右上部と箱の側面2か所と箱の裏側部分にいずれも金色の下地のところを設け,「厳選国産豚肉で本格味」との文字を配し,同金色の下地の下位部分及び箱の側面部分2か所,箱の裏面には横浜の中華街の門をイメージした絵を,また箱の左下には本商品である焼売が皿に盛りつけられた絵を配し,開口部右側及び箱の側面,箱の裏面に「チルド肉焼売」との文字を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)被告包装箱目録ハチルド牛肉焼売横約17.8センチメートル,縦約11.5センチメートル,高さ約3センチメートルの寸法の直方体の箱で,下地は白色で箱の左下部分には本商品である牛肉焼売が皿に盛りつけられた絵を配し,箱の右側部分には金色で龍の絵を配し,牛肉焼売の絵の上部の,箱の上から約2センチメートル,左側から約2センチメートルの位置に上辺の長さ約9センチメートル,縦の左辺の長さ約2.5センチメートル,右側の辺は右上部から左下部へ斜めに約5センチメートル,下辺はやや湾曲した形で開口部を設け,その開口部の右側の斜めの辺に沿って2センチメートルの幅の茶色の下地を設け,金色の中華模様と「BEEFSHAO-MAI」の文字を配し,箱の表面右下部と箱の側面3か所と裏面に「チルド牛肉焼売」の文字を配し,箱の裏面には皿に盛られたケチャップとマヨネーズの絵のあるデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)被告包装箱目録ニチルド焼賣横濱名菜横約17.9センチメートル,縦約11.5センチメートル,高さ約3センチメートルの寸法の直方体の箱で黄色の地で,箱の表面部の左下部分で下から約2センチメートル,左から約3.2センチメートル,上から約4.5ないし5センチメートル,右から約9.8センチメートルの位置に縦横約4.8ないし5センチメートル開口部を設け,箱の表面部の右側には横浜中華街の門をイメージした絵と,箱の上部分には帆船2そうをイメージした絵を配し,ほぼ中央部に「横濱名菜」と,開口部の上部と側面部分3か所に「チルド焼賣」と赤いリボン様の絵を配し,その中に「YOKOHAMAMEISAI」の文字を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)被告包装箱目録ホチルド肉シウマイ横約17.8センチメートル,縦約11.5センチメートル,高さ約3センチメートルの寸法の直方体の箱で,黄色の箱全体に木目模様を施し,箱の表面部の中央,上下からはいずれも約3センチメートル,左右からはいずれも約3センチメートルの位置に,縦約5.5センチメートル,横約11.7センチメートルの開口部を設け,開口部の上左部分と箱側面3か所と裏面に扇状の赤い下地部分を設けて,その中を白抜きで「国産豚肉で本格味」との文字を配し,開口部の左側に「中華菜単」の文字を,開口部の上部分と箱の側面部分に「チルド」の文字を,そしてその右に赤色で「肉」の文字を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)被告シール目録イチルド肉焼売まんぷく縦約5.5センチメートル,横約8.4センチメートルのシールで,その上部約3センチメートルの部分にわたって緑色を施し,その左側部分に赤色で約2.4センチメートル四方の正方形を配し,その中に黒文字で「まんぷく」,右側に白文字で「チルド」,黄色の文字で「肉焼売」の文字を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)被告シール目録ロチルド中華焼売縦約6センチメートル,横約9.5センチメートルのオレンジ色の地のシールで,中央部分に黒色で「中華焼売」との文字を配し,その左側に中華模様を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)原告包装箱目録イチルド赤箱焼売横約17.8センチメートル,縦約11.5センチメートル,高さ約3センチメートルの寸法の赤色の直方体の箱で,箱の右側に立姿の金色で龍を配し,左側に横に横たわっている状態の同じく金色で龍を配し,その間の箱の下から約2センチメートル,箱の側面からは左右いずれも約5センチメートル,上から約5.5センチメートルの位置に横約7.8センチメートル,縦約3.9センチメートルの開口部を設け,その開口部の上部に「チルド焼売」の文字を,左側に「伝統の味」の文字を,箱の側面の3か所に「チルド赤箱焼売」の文字を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)原告包装箱目録ロチルド肉焼売横約21.5センチメートル,縦約11.9センチメートル,高さ約3.2センチメートルの寸法の黄色の直方体の箱全体に木目模様を施し,箱の下から約5ないし6センチメートル,左から約3センチメートル,右から約11センチメートル,上からは約2ないし3センチメートルの位置に開口部を設け,箱の右上部と箱の側面2か所と箱の裏側部分にいずれも金色の下地のところを設け,「厳選国産豚肉で本格味」との文字を配し,同金色の下地の下位部分及び箱の側面部分2か所,箱の裏面には横浜の中華街の門をイメージした絵を,また箱の左下には本商品である焼売が皿に盛りつけられた絵を配し,開口部右側及び箱の側面,箱の裏面に「チルド肉焼売」との文字を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)原告包装箱目録ハチルド牛肉焼売横約17.8センチメートル,縦約11.5センチメートル,高さ約3センチメートルの寸法の直方体の箱で,下地は白色で箱の左下部分には本商品である牛肉焼売が皿に盛りつけられた絵を配し,箱の右側部分には金色で龍の絵を配し,牛肉焼売の絵の上部の,箱の上から約2センチメートル,左側から約2センチメートルの位置に上辺の長さ約9センチメートル,縦の左辺の長さ約2.5センチメートル,右側の辺は右上部から左下部へ斜めに約5センチメートル,下辺はやや湾曲した形で開口部を設け,その開口部の右側の斜めの辺に沿って2センチメートルの幅の茶色の下地を設け,金色の中華模様と「BEEFSHAO-MAI」の文字を配し,箱の表面右下部と箱の側面3か所と裏面に「チルド牛肉焼売」の文字を配し,箱の裏面には皿に盛られたケチャップとマヨネーズの絵のあるデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)原告包装箱目録ニチルド焼賣横濱名菜横約17.9センチメートル,縦約11.5センチメートル,高さ約3センチメートルの寸法の直方体の箱で黄色の地で,箱の表面部の左下部分で下から約2センチメートル,左から約3.2センチメートル,上から約4.5ないし5センチメートル,右から約9.8センチメートルの位置に縦横約4.8ないし5センチメートル開口部を設け,箱の表面部の右側には横浜中華街の門をイメージした絵と,箱の上部分には帆船2そうをイメージした絵を配し,ほぼ中央部に「横濱名菜」と,開口部の上部と側面部分3か所に「チルド焼賣」と赤いリボン様の絵を配し,その中に「YOKOHAMAMEISAI」の文字を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)原告包装箱目録ホチルド肉シュウマイ横約17.8センチメートル,縦約11.5センチメートル,高さ約3センチメートルの寸法の直方体の箱で,黄色の箱全体に木目模様を施し,箱の表面部の中央,上下からはいずれも約3センチメートル,左右からはいずれも約3センチメートルの位置に,縦約5.5センチメートル,横約11.7センチメートルの開口部を設け,開口部の上左部分と箱側面3か所と裏面に扇状の赤い下地部分を設けて,その中を白抜きで「国産豚肉で本格味」との文字を配し,開口部の左側に「中華菜単」の文字を,開口部の上部分と箱の側面部分に「チルド」の文字を,そしてその右に赤色で「肉」の文字を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)原告シール目録イチルド肉焼売まんぷく縦約5.5センチメートル,横約8.4センチメートルのシールで,その上部約3センチメートルの部分にわたって緑色を施し,その左側部分に赤色で約2.4センチメートル四方の正方形を配し,その中に黒文字で「まんぷく」,右側に白文字で「チルド」,黄色の文字で「肉焼売」の文字を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)(別紙)原告シール目録ロチルド中華焼売縦約6センチメートル,横約9.5センチメートルのオレンジ色の地のシールで,中央部分に黒色で「中華焼売」の文字を配し,その左側に中華模様を配したデザイン
下記写真(甲1)参照(なお,写真は光線の加減で一部光っている。)
裁判長裁判官 加藤幸雄
裁判官 舟橋恭子
裁判官 尾河吉久