運営:アスタミューゼ株式会社
  • ポートフォリオ機能


追加

元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
元本PDF 裁判所収録の別紙1PDFを見る pdf
元本PDF 裁判所収録の別紙2PDFを見る pdf
元本PDF 裁判所収録の別紙3PDFを見る pdf
事件 不正競争行為差止等請求
令和5年1月23日判決言渡 同日判決原本交付 裁判所書記官 令和4年(ワ)第2188号 不正競争行為差止等請求本訴事件 令和4年(ワ)第4887号 不正競争行為差止等請求反訴事件 口頭弁論終結の日 令和4年11月15日 5判決
本訴原告・反訴被告 合同会社Bless (以下「原告」という。)
訴訟代理人弁護士 中野 宗一郎
同 吉本 晴海 10 本訴被告・反訴原告 株式会社キングジム (以下「被告」という。)
訴訟代理人弁護士 西川 喜裕
同 大出 萌
本訴被告訴訟復代理人弁護士兼 15 反訴原告訴訟代理人弁護士 中村 朋暉
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2023/01/23
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告は、被告が販売している別紙被告商品目録記載のスピーカー付きマイクが、原告が販売している別紙原告商品目録記載のスピーカー・アンプ内蔵型マイクを模造した商品であるとして被告に対し販売の中止と損害賠償を求める訴20 えを提起した旨を、口頭、文書又はインターネットを通じて第三者に告知又は流布してはならない。
2 原告は、別紙ウェブサイト目録記載1のウェブページにおける別紙表示目録記載の表示及び別紙ウェブサイト目録記載2のウェブページを削除せよ。
3 原告の本訴請求をいずれも棄却する。
25 4 訴訟費用は、本訴反訴を通じ、原告の負担とする。
事実及び理由
請求
1 本訴 (1) 被告は、別紙被告商品目録記載のスピーカー付きマイク(以下「被告商品」 という。)を販売してはならない。
5 (2) 被告は、被告商品を廃棄せよ。
(3) 被告は、パンフレットやインターネット上のウェブサイトから、被告商品 の表示を抹消せよ。
(4) 被告は、原告に対し、1832万4000円及びこれに対する令和4年3 月30日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
10 2 反訴 主文1項及び2項と同旨
事案の概要等
本件本訴は、別紙原告商品目録記載のスピーカー・アンプ内蔵型マイク(以下 「原告商品」という。)を販売する原告が、被告商品の販売行為が不正競争防止15 法(以下「不競法」という。)2条1項1号の不正競争に該当すると主張して、
被告に対し、不競法3条1項及び2項に基づき、被告商品の販売の差止め等を求 めるとともに、不競法4条に基づき、損害賠償1832万4000円及びこれに 対する不正競争行為の後の日(本訴状送達の日の翌日)である令和4年3月30 日から支払済みまで民法所定年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案20 である。
本件反訴は、被告が、原告が別紙ウェブサイト目録記載のウェブサイト(以下 「原告サイト」という。 に別紙表示目録記載の表示 ) (以下「本件表示」という。) を掲載したことが不競法2条1項21号の不正競争に該当すると主張して、原告 に対し、不競法3条1項及び2項に基づき、本件表示の告知又は流布行為の差止25 め及び原告サイトから本件表示を削除することを求める事案である。
1 前提事実(争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に 認定できる事実) (1) 当事者 原告は、音響機器や理美容器具等の輸出入や代理店業務等を目的とする合 同会社である。
5 被告は、事業用又は家庭用文具の製造販売等を目的とする株式会社である。
(2) 原告商品 原告商品の外観は、別紙原告商品目録のとおりである。
原告は、平成30年1月2日、大韓民国のE-BEST Co.,Ltd との間で、同社が開発した原告商品の日本国内における独占的販売権を付与10 する旨の契約を締結し、その頃から、同社の日本国内における総代理店とし て、原告商品の販売を開始した(甲2の1・2)。
また、原告との間で販売代理店契約を締結した全国各地の販売代理店や地 域販売店(以下「販売代理店等」という。)は、各地域で原告商品の営業活 動等を行っている。
15 (3) 被告商品 被告商品の外観は、別紙被告商品目録のとおりである。
被告は、令和3年9月29日から、被告商品の販売を開始した。
(4) 本件表示 原告は、本訴請求に係る訴えの係属中である令和4年5月19日、別紙ウェ20 ブサイト目録記載1及び2の原告サイトのトップページ上の「お知らせ欄」 及びその他のウェブページにおいて、本件表示を掲載して、第三者に対し、
その旨を告知した。
2 争点 本件の主要な争点は次のとおりである。なお、原告は、原告商品の形態が、
25 「原告の」商品等表示であること(他人性)、需要者の間に広く認識されてい ること(周知性)、原告商品の形態と被告商品の形態類似していること、被 告商品が原告商品との混同を生じさせていること(混同のおそれ)についても 主張し(請求原因)、被告はこれらを争っている。
(1) 本訴請求関係(争点1・請求原因) ア 原告商品の形態が原告の「商品等表示」(不競法2条1項1号)に該当 5 するか(争点1-1) イ 損害の発生及びその額(争点1-2) ウ 差止め及び廃棄の必要性があるか(争点1-3) (2) 反訴請求関係(争点2) ア 本件表示の内容が「他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」(不競法10 2条1項21号)に該当するか(争点2-1) イ 差止め及び削除の必要性があるか(争点2-2)
争点に関する当事者の主張
1 争点1-1(原告商品の形態が原告の「商品等表示」(不競法2条1項1号) に該当するか)について15 【原告の主張】 (1) 次の@ないしBの形態を組み合わせてデザインされたC原告商品の全体的 な形状が、一般的なワイヤレスマイク(ハンド型)と同様の円筒状様の形態 である点が、従来の「スピーカー内蔵マイク」には用いられたことがなかっ た独自性のある斬新な形態である。
20 すなわち、@従来の「スピーカー内蔵マイク」のスピーカー部の形状は、
トランジスタメガホンや電子ポータルメガホンではトランペット状であり、
カラオケマイクではマイク部とハンドル部との間にありマイク竿体内に収ま らない円盤状の出っ張ったものであった。これに対し、原告商品は、スピー カー部がマイク下部の竿体内に組み込まれた独自の特徴ある形態(以下これ25 を「原告形態A」という。)をしている。A従来の「スピーカー内蔵マイク」 のうち、カラオケマイクは、その主たる用途に鑑みて、ストラップで持ち運 ぶ必要がなく、ストラップを通すためのストラップリングは付いていなかっ た。これに対し、原告商品は、ストラップを通すシリコン製のストラップリ ングをマイク部分とハンドル部分との間に設置した、独自の特徴ある形態(以 下これを「原告形態B」という。)をしている。B従来の「スピーカー内蔵 5 マイク」のうち、カラオケマイクは、外部入力端子部分が剥き出しの状態で あった。これに対し、原告商品は、3種類の外部入力端子をハンドル部竿体 を少し凹ませた箇所に設置して、その上からシリコン製のカバーで覆い、同 カバーを開閉できる、独自の特徴ある形態(以下これを「原告形態C」とい う。)をしている。
10 (2) 原告商品のパッケージや取扱説明書には原告名が大きく明記されているこ と、全国各地の販売代理店等は、これまで全国のほぼすべての教育機関に対 し原告商品の個別営業活動を行っており、企業等を含めるとその営業対象数 は全国で6万6400以上にのぼること、販売代理店等では、各社のホーム ページ上に原告商品の宣伝を掲載しており、地元紙でも取り上げられている15 こと、平成30年5月以降、大規模な展示会で原告商品の宣伝広告を行って いること、原告商品の発売より前に、原告商品と同様の形態のスピーカー内 蔵マイクは存在せず、被告商品が発売されるまでは、原告商品の販売市場占 有率は100%であったことから、遅くとも、被告が被告商品の販売を開始 した令和3年9月までには、原告商品の形態は、主な需要者である全国の教20 育機関や教育関係者の間で周知であった。
(3) 被告は、原告商品の同種商品はマイクである旨を主張する。しかし、原告 商品のターゲットは、会議室やセミナー、教会、幼稚園、展示会、ガイド、
クラブ活動など音響機器との接続を想定しない需要者であり、従来の有線マ イクやワイヤレスマイクの需要者と原告商品の需要者は同一ではなく、市場25 において競合しない。
(4) 以上から、原告商品の形態は原告の商品等表示に該当する。
【被告の主張】 原告形態Aは、スピーカーが内蔵されているという機能そのものの主張であっ て、客観的、可視的な形態として特定できていない。また、マイク下部は単に 円筒状をしており、特徴的な形態ではないし、内蔵されたスピーカーの形状を 5 通常の用法で認識することはできない。その余の点についても、原告形態Bは、
ストラップを通すリングが設置されている形態、原告形態Cは、外部入力端子 がカバーで覆われており開閉できる形態、これらを組み合わせた全体形状が一 般的なワイヤレスマイクと同様の円筒状の形状というように抽象的に指摘する のみで、具体的な形状の特定としては不十分である。また、原告商品は、原告10 の販売代理店等やECサイトにおいて、「音響設備のいらないマイク」などと 紹介されており、一般的な有線マイクやワイヤレスマイクの代替品として提案 されているものであるから、需要者は、原告商品をマイクとして認識する。し たがって、原告商品の需要者にとって、マイク全般が原告商品と同種商品であ ると認識されるところ、原告形態Aないし同C及びこれらを組み合わせた全体15 の形状は、いずれも同種商品であるマイクと同様のありふれた形態であって、
特徴的な形態であるとはいえない。
以上から、原告商品は、他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しておらず、
原告商品の形態は原告の商品等表示に該当しない。
2 争点1-2(損害の発生及びその額)について20 【原告の主張】 (1) 逸失利益1666万4000円 被告は、プレスリリースにおいて、被告商品を年間5000本販売するこ とを目標としている旨を述べているから、令和3年9月29日から令和4年 2月末日までの約5か月間で約2083本を販売したものと見込まれる。ま25 た、被告商品の限界利益は、平均して1本当たり8000円を下回らないと 推定される。
したがって、原告は、被告商品の販売により被った損害額は、これらを乗 じた合計1666万4000円を下らない(不競法5条2項)。
(2) 弁護士費用166万円 原告は、本訴の遂行を原告訴訟代理人弁護士に委任したところ、被告の不 5 正競争行為と相当因果関係のある弁護士費用は、前記(1)の1割相当である1 66万円である。
【被告の主張】 争う。
3 争点1-3(差止め及び廃棄の必要性があるか)について10 【原告の主張】 被告は、被告商品の販売を行っており、原告の営業上の利益侵害され又は そのおそれがあるから、販売行為の差止め、被告商品の廃棄並びにパンフレッ ト及びインターネット上のウェブサイトからの被告商品の表示の抹消を求める 必要がある。
15 【被告の主張】 争う。
4 争点2-1(本件表示の内容が「他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」 (不競法2条1項21号)に該当するか)について 【被告の主張】20 本件表示は、被告商品が原告商品を模造した商品であると断定し、販売の中 止と損害賠償を求める訴えを提起した旨が記載されたものであり、これに接し た者は、被告商品が原告商品の違法な模造商品、違法な権利侵害品であるとの 印象を受ける。また、本件表示は、本訴係属中に掲載されたものであり、本件 表示中の「訴訟」が本訴を意味することは明らかであって、「模造した製品」25 の販売等とは、販売の差止め及び損害賠償の対象となる不競法2条1項1号に 該当する違法な行為を意味すると解される。
しかし、前記1の【被告の主張】のとおり、被告が被告商品を販売等する行 為は不競法2条1項1号の不正競争には該当せず違法な行為ではないから、本 件表示で摘示された事実は虚偽であり、一般人に対し、被告商品が原告商品の 違法な模造商品であるとの誤った印象や被告が違法に模造行為を行った会社で 5 あるとの誤った印象を抱かせるものであって、被告の営業上の信用を棄損する ものである。
したがって、本件表示は「他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」に該当 する。
【原告の主張】10 本件表示は、単に「模造」と記載しているのみで、不競法2条1項1号には 一切触れていないのであるから、本訴請求の帰趨にかかわらず、反訴請求で審 理されるべき対象は、被告商品が原告商品を「模造」したとの記載が虚偽か否 かである。
模造とは、「実物に似せて造ること」であり、不競法上の文言では、不競法15 2条1項3号の「模倣」が同義語に該当する。この点、同号の「模倣」とは、
他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出す こと」をいう。被告商品が原告商品に依拠して製造され販売に至ったという経 緯、原告商品の形態と被告商品の形態を比較すると、相違点や改変点があるも のの、両商品を全体的に観察した場合には、実質的に同一であるといえること20 から、被告商品は、まさに原告商品に似せて造られた商品であり、原告商品を 模造したとの本件表示に虚偽はない。
したがって、本件表示は「他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」に該当 しない。
5 争点2-2(差止め及び削除の必要性があるか)について25 【被告の主張】 ウェブサイトの性質上、いつでも誰でも本件表示を閲覧することが可能であ り、かつ、本件表示がトップページという非常に目に付きやすい場所に、目に 留まりやすいデザイン、色彩等を用いて掲載されていることから、本件表示の 掲載により、被告の営業上の信用に対する侵害が将来にわたって不断に発生す ることは確実である。
5 したがって、本件表示の差止め及び本件表示が掲載されたウェブページの削 除を求める必要性がある。
【原告の主張】 争う。
当裁判所の判断
10 1 本訴請求について (1) 争点1-1(原告商品の形態が原告の「商品等表示」(不競法2条1項1 号)に該当するか)について 不競法2条1項1号所定の「商品等表示」とは、「人の業務に係る氏名、
商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示す15 るもの」をいうところ、これは、周知な商品等表示の有する出所表示機能を 保護する観点から、周知な商品等表示に化体された他人の営業上の信用を自 己のものと誤認混同させて顧客を獲得する行為を防止し、事業者間の公正な 競争等を確保する趣旨と解される。そして、商品の形態は、特定の出所を表 示する二次的意味を有する場合があるものの、商標等とは異なり、本来的に20 は商品の出所表示機能を有するものではないから、その形態が商標等と同程 度に不競法による保護に値する出所表示機能を発揮するような特段の事情が ない限り、商品等表示には該当しないというべきである。そうすると、商品 の形態は、@客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴(特別顕著性)を 有しており、かつ、A特定の事業者によって長期間にわたり独占的に利用さ25 れ、又は短期間であっても極めて強力な宣伝広告がされるなど、その形態を 有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知である (周知性) と認められる特段の事情がない限り、不競法2条1項1号にいう商品等表示 に該当しないと解するのが相当である。
原告形態A、同B及び同Cは、いずれもその形態を特定するのに必要とさ れるスピーカー・アンプ内蔵型マイクの全体形状及びこれを構成する各パー 5 ツの具体的な形状、寸法、位置関係といった構成要素を何ら具体的に特定す るものではなく、その構成要素の一部についてのみ抽象的、断片的に指摘す るにとどまるものである。加えて、スピーカー部がマイク下部の竿体内に組 み込まれた形態(原告形態A) 抽象的な位置関係のみをいうのであれば、
は、
そのような配置をしようとすれば避けられない形態であるし(そのように配10 置すること自体はアイディアであって、商品等表示とは性質を異にする。 、
) ストラップを通すリングがあること(原告形態B)や、端子カバーを開閉可 能につけること(原告形態C)は、いずれも落下防止や端子の汚損等の防止 のために行われるありふれた工夫であって、出所表示として機能するものと は到底考えられない。
15 原告は、原告形態Aないし同Cを組み合わせた全体的な形状が一般的なワ イヤレスマイク(ハンド型)と同様の円筒状様の形態であることを指摘して いるにとどまり、円筒形状であることを超えて、その全体形状及び各構成要 素について何ら具体的に特定するものではない。したがって、原告形態Aな いし同C及びその組み合わせが、商品等表示として機能するものとして特定20 されているとはいい難い。
この点を措くとしても、原告商品はスピーカー・アンプ内蔵型のマイクで あり、原告は、原告商品をマイクとして広告宣伝していること(甲9の1〜 9の13)に照らすと、スピーカーが内蔵されているか否かにかかわらず、
マイク全般が原告商品の同種商品に該当するものと認められる。そうである25 ところ、マイク自体が、実用品であって、需要者がその形態等を鑑賞するた めのものではないことに加え、原告が主張するとおり、原告商品は、全体的 な形状が一般的なワイヤレスマイク(ハンド型)と同様の形態とするもので あるから、原告商品が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴(特別顕 著性)を有さないことは明らかである。
以上から、原告形態Aないし同C及びこれらを組み合わせた形態が原告の 5 「商品等表示」に該当するものとは認められない。
(2) したがって、本訴請求に係るその余の点を判断するまでもなく、原告の本 訴請求は理由がない。
2 反訴請求について (1) 争点2-1 (本件表示の内容が 「他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」10 (不競法2条1項21号)に該当するか)について 本件表示は、原告が、原告商品を模造した被告商品を販売している被告に 対して販売の中止と損害賠償を求める訴えを提起した旨を摘示するものであ る。この点、「模造」とは、「実物に似せて造ること」を意味し(乙3)、
その言葉自体、本物でない、まがいものを作出するといった否定的に捉え得15 るものであることに加え、訴えを提起したという表現は、本件表示の全体の 文意からすれば、相手方が違法行為に及んでいることを摘示するものと解さ れるから、これに接した閲覧者は、被告が、原告商品を違法に模造した被告 商品を販売していると認識するものと認められる。また、本件表示が掲載さ れた時期や記載内容に加え、本訴請求のほか、原告が被告に対して原告商品20 に関する訴えを提起したことをうかがわせる証拠はないことに照らすと、本 件表示中の訴えの提起は、本訴請求を指していると解される。
そうであるところ、前記1のとおり、本訴請求には理由がなく、その他、
被告商品が原告商品を違法に模造したことを裏付ける証拠はないから、本件 表示のうち、被告商品が原告商品を模造した違法なものであることを摘示す25 る部分は「虚偽の事実」に該当するものと認めるのが相当である。そして、
本件表示を閲覧した者は、被告商品が違法な模造商品であると認識し、本件 表示は、被告商品の市場価値を明らかに低下させるものといえるから、被告 の「営業上の信用を害する」ものと認めるのが相当である。
以上から、本件表示は「他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」に該当 する。これに反する原告の主張は採用できない。
5 (2) 争点2-2(差止め及び削除の必要性があるか)について 前記(1)のとおり、本件表示は被告の信用を害するものであり、また、本 訴請求の内容や本件表示の内容、態様等に照らすと、本件表示の違法性を阻 却する事情があるとはいえない。
したがって、被告は、原告に対し、被告商品が原告商品を模造した商品で10 あるとして、被告に対して訴えを提起した旨を第三者に告知又は流布するこ との差止めを求めるとともに、原告ウェブサイトから本件表示を削除するこ とを求めることができる。
(3) 以上から、被告の反訴請求には理由がある。
3 結論15 よって、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却し、被告の反訴請求は 全部理由があるからこれを認容することとして、主文のとおり判決する。