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事件 令和 3年 (ワ) 11472号 損害賠償請求事件
5
原告 ANSON株式会社
同訴訟代理人弁護士 姜 永守 10 被告 P1
同訴訟代理人弁護士 三坂 和也
同 桝田 甲佑
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2023/05/11
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告は、原告に対し、5万2492円及びこれに対する令和3年10月25日15 から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを20分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
20 事 実 及 び 理 由第1 請求被告は、原告に対し、73万4620円及びこれに対する令和3年10月25日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
第2 事案の概要25 本件は、アマゾンジャパン合同会社(以下「アマゾン」という。)の運営するインターネットショッピングサイト(以下「アマゾンサイト」という。)上に開設し1ている仮想店舗(以下「原告サイト」という。)において商品を販売している原告が、被告に対し、被告がアマゾンに対して原告サイト上に掲載した画像等が被告の著作権を侵害する等の申告をした行為が不正競争防止法(不競法)2条1項21号の不正競争行為又は不法行為に該当し、当該行為により損害を被ったと主張して、
5 不競法4条又は民法709条に基づき、損害賠償金73万4620円(逸失利益9万1200円、対応人件費14万3420円及び弁護士費用相当額50万円の合計額)及びこれに対する最終申告日の後日である令和3年10月25日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
10 1 前提事実(争いのない事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実。枝番号のある証拠で枝番号の記載のないものは全ての枝番号を含む。)(1) 当事者原告は、原告サイトにおいて、「韓流 BANK」の屋号を用いて、韓国の芸能人に係る商品等を販売している。
15 被告は、アマゾンサイト上に開設している仮想店舗(以下「被告サイト」という。)において、
「P1」の屋号を用いて、韓国の芸能人に係る商品等を販売している。
(2) 原告及び被告の販売行為ア 原告は、原告サイトにおいて、別紙表記載の各商品(符号に従い「本件商20 品1」などといい、併せて「本件各商品」という。)を、遅くとも同表の各「出品停止日」欄記載の日以前から、本件各商品に係る画像(以下「原告各画像」という。)を付した上で、販売していた。
イ 被告は、同じ頃、被告サイトにおいて、本件各商品を販売していた。被告は、被告サイトにおいて、本件各商品に係る画像として、別紙表の各「対応25 する被告画像」欄記載の証拠番号の画像(以下符号に従い「被告画像1」などといい、併せて「被告各画像」という。 を掲載していた) (弁論の全趣旨)。
2(3) 被告の行為等ア アマゾンサイトでは、アマゾンサイト上で販売されている商品等に知的財産権を侵害する内容が含まれている場合、当該知的財産権の権利所有者が、
アマゾンに対し、権利侵害の申告をすることができる。例えば、権利者は、
5 著作権に関して、出品者が出品する商品並びに商品詳細ページに掲載されている画像及び文章等に権利者の著作物が許諾無く使用されている場合、アマゾンサイトにおいて「ASIN」(識別番号)によって特定される当該出品者の商品詳細ページ全体を著作権侵害として、ASIN 単位で権利侵害申告をすることができる(以上につき甲1、弁論の全趣旨)。
10 イ 被告は、遅くとも別紙表の各「出品停止日」欄記載の日までに、10回にわたり、アマゾンサイトのオンラインフォームから、アマゾンに対し、原告サイトに係る別紙表の各「ASIN」欄記載の番号、原告各画像、商品名等を特定し、侵害の種類として著作権侵害を選択した上で、権利侵害の申告(以下別紙表の符号に従い「本件申告1」などといい、併せて「本件各申告」とい15 う。)を行った(甲2〜10の各1、3の2、乙2、28、弁論の全趣旨)。
(4) 商品詳細ページの削除等原告の扱う本件各商品は、本件各申告により、別紙表の各「出品停止日」から「出品再開日」までの各期間において、アマゾンサイト上での出品が停止された(甲2〜10)。
20 2 争点(1) 本件各申告が虚偽事実の告知(不競法2条1項21号)又は不法行為に該当するか(争点1・請求原因)(2) 原告の損害の有無及びその額(争点2・請求原因)(3) 原告の本訴提起の態様が不法行為となるか(争点3・抗弁)25 第3 争点に関する当事者の主張31 争点1(本件各申告が虚偽事実の告知又は不法行為に該当するか)について【原告の主張】(1) 虚偽事実の告知の有無ア 被告各画像等が著作物でないこと5 被告各画像は、写真集に係る画像は商品に含まれる一部の写真を忠実に再現するために単に商品を平面的に撮影したものであり、単語帳及び卓上カレンダーに係る画像は特殊な配置、採光などを施すことなく正面から平面的に撮影したものであって、いずれも創作性がない。
本件各商品の商品名は、写真集については出版社等の供給元が付したもの10 であり、それ以外の単語帳及び卓上カレンダーについては単純かつ一般的な名称であるため、このような商品名について被告が著作権を有することはない。
イ 被告各画像等の使用の有無原告各画像は、写真集に係るものは韓国の真正な商品供給元から販売に用15 いることの許諾下に供給を受けたものであり、単語帳及び卓上カレンダーに係るものは原告が自ら撮影したものであるため、いずれも被告各画像を使用したものではない。また、原告は、被告サイトの商品名を盗用していない。
(2) 被告の故意過失被告は、アマゾンサイトで販売する本件各商品自体に著作権を有しないこと20 及び原告各画像が被告各画像と同じものではないこと等を十分に認識しながら、競業者である原告のアマゾンサイトでの販売を妨害することを目的として故意に本件各申告を行った。付言すると、被告は、原告訴訟代理人から送付された本件申告1ないし5について被侵害権利及び侵害行為の態様等を問い合わせる通知書(以下「本件通知書」という。)を受領した後も、何ら回答する25 ことなく、本件申告6ないし10を行っている。
4(3) 小括以上のとおり、被告各画像及び商品名について、被告は著作権を有さず、また原告が被告各画像等を使用した事実がないにもかかわらず、被告は、著作権侵害を理由として、アマゾンに対し本件各申告を行った。したがって、本件各5 申告は、被告と競争関係にある原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知する行為ないし不法行為に該当する。
【被告の主張】(1) 虚偽事実の告知の有無ア 被告各画像等が著作物であること10 被告は、被告サイトにおいて、商品名・商品画像・商品の説明文を自ら作成・撮影した上で、商品ページを作成している。
被告各画像のうち、写真集及び卓上カレンダーについては、商品の表面及び裏面を、商品の状態が視覚的に伝わるようにほぼ真上から撮影したものである。単語帳については、被告独自の配置を施した上で、商品の状態が視覚15 的に伝わるように撮影したものである。いすれの画像についても、商品の状態を的確に伝え、需要者の購買意欲を促進するという点から被告が独自に工夫を凝らしたものであり、創作性があり、被告は、被告各画像に係る著作権を有している。
商品名については、例えば本件商品9の表紙には英語表記で「PHOTO DESK20 CALENDAR」としか書かれていないが、被告は、「卓上カレンダー2022〜2023年(2年分)+ステッカーシール[12点セット]」という自ら考えた商品名を付して販売している。したがって、被告は、被告サイト上に掲載された商品名につき著作権を有している。
イ 被告各画像等の使用の有無25 原告は、原告サイトにおいて、被告各画像を被告の許諾無く盗用し、商品名及び商品の説明文においても大部分を盗用していた。したがって、原告は、
5被告各画像をはじめ商品名及び商品の説明文についても被告が有している著作権(複製権・公衆送信権)を侵害していた。なお、被告は、平成28年頃から、自ら撮影した画像の盗用を防ぐため、商品画像に「P2」の文字を入れて表示していたところ、原告が「P2」の文字が入った画像を繰り返し5 盗用して原告サイトに掲載しかつ商品名及び商品の説明文も盗用するなどしていたため、本件各申告を行った。
原告が被告各画像を盗用していたことは、アマゾンが本件各申告を受けて原告による本件各商品の出品を停止したこと及び被告からの問合せに対して被告の申告が適切であったと回答していること並びに現在アマゾンサイ10 トにおける原告のアカウントが閉鎖されていること等からも裏付けられる。
ウ 本件各申告の経緯アマゾンサイトでは、1つの商品(一意の ASIN が付与される)について既存のページがある場合、これと同一の商品について別のページを作成することが禁じられている。被告は、被告が既に商品ページを作成していた商品15 について、原告が別の商品ページを作成し、かつ被告各画像等を盗用していることを発見したため、アマゾンに対し、ASIN の重複及び原告が被告各画像等を盗用している事実を伝えた。これに対しアマゾンから、知的財産権侵害フォームから申告するよう案内されたため、被告は、当該フォームから ASINの重複及び被告各画像等の盗用の事実を申告した。この際、被告は、「著作20 権侵害」の選択肢を選んでいるが、これは何かしらの選択肢を選ばなければならないことからやむを得ず選んだものであり、詳細を記載する欄には著作権侵害とは一言も記載していない。このような一連の申告経緯からすれば、
被告がアマゾンに対して著作権侵害があると申告したものとされるべきではない。
25 すなわち、被告は、ASIN の重複及び被告各画像等が盗用されているという事実のみをアマゾンに伝えたにすぎず、前記イのとおりこれは真実であるこ6とから、仮に被告各画像が著作物と認められない場合でも、本件各申告に係る事実が虚偽であるとはいえない。
エ 以上より、本件各申告は、虚偽事実の告知とはいえない。
(2) 被告の故意過失等5 被告は、正当な権利行使の一環として本件各申告を行ったにすぎない。仮に、
被告各画像が著作物ではないとしても、前記(1)ウのとおり被告は積極的に著作権侵害の申告を行ったわけではなく、やむを得ず著作権侵害という選択肢を選んだにすぎない。著作物かどうかの判断は困難なものであり、これを正確に行いアマゾンに申告することが求められるとすれば、その権利行使を不必要に10 委縮させる。
加えて、原告は、本件各申告に対し、アマゾンに対し著作権侵害が成立しない旨を申告するか、著作権侵害がある場合には商品画像を変更すれば出品を容易に再開することができる。また、アマゾン以外のサイトにおいて本件各商品を販売することには何ら支障がない。したがって本件各申告により原告が受け15 る不利益は軽微である。
以上のとおりの事情を考慮すれば、被告に故意過失はなく、または本件各申告について違法性はない。
2 争点2(原告の損害の有無及びその額)について【原告の主張】20 (1) 損害の発生及び損害額1に述べた被告の申告により、原告は、別紙表の各「出品停止日」から「出品再開日」までの各期間において、本件各商品をアマゾンサイトにおいて販売することができず、次の損害(合計73万4620円)を被った。
逸失利益25 別紙表の各「停止期間」欄記載のとおり、本件各申告による出品停止期間は延べ228日である。
7原告サイトにおける1日当たりの本件各商品の平均販売数は0.4個であり、1個当たりの販売利益(粗利) 1商品当たり1000円を下らない。
は、
したがって、原告は、本件各申告により、販売利益9万1200円相当の損害を被った。(計算式:228日×0.4個×1000円)5 イ 対応人件費原告のアマゾンサイト担当従業員の時給は1420円であるところ、度重なる本件各申告を受けて、同従業員は、アマゾンに対する弁明、被告への問合せ、被告の販売態様等の調査・分析、原告サイト掲載画像の変更、同種商品の登録申請などの対応に従事せざるを得なくなった。
10 本件各申告による出品の停止期間は令和3年7月17日から同年10月25日までの101日であるところ、同期間において、当該従業員が前記対応に従事した時間は1日当たり1時間を下らない。
したがって、原告は、本件各申告への対応人件費相当の14万3420円の損害を被った。(計算式:1420円×101日×1人)15 ウ 弁護士費用本件の事案の内容、請求の難易等に鑑み、原告の本件訴訟に要する弁護士費用の額は50万円を下らない。
(2) 被告の主張について(因果関係過失相殺)ア 被告は、出品停止は ASIN の重複によるものであるかのように主張する。
20 しかし、アマゾンは、商品ページにおける著作権侵害を理由とする本件各申告があったことを理由として出品停止の措置を採っている。
イ 被告は、小売業者の原価率が70パーセント以上であると述べるが、信ぴょう性がなく、当該原価率は低額の小口商品に妥当しない。
ウ 被告の過失相殺の主張はいずれも否認ないし争う。
25 原告は、本件各申告に係るアマゾンの措置に対して異議等を申立て、その結果出品が再開されている。アマゾンが出品停止措置等を採る期間などは、
8原告が関与できるものではない。
【被告の主張】(1) 損害の発生及び損害額並びに本件各申告と損害との間の因果関係ア 損害の発生及び損害額5 (ア) 逸失利益について小売業の原価率は70パーセント以上であるといわれるところ、原告が主張する粗利は、いずれの商品についても原価率が30パーセント以下であり根拠がない。
事業者がアマゾンサイトにて商品を販売する場合、商品原価以外にも販10 売額の15パーセント相当の販売手数料及び売上額の1パーセント相当のアマゾンポイント費用がかかる。また、原告は、商品を輸入するに際して、仕入額の25.7パーセントの郵便料金を負担している。そのほか、
国内における商品の発送料、販売のための人件費、輸入消費税、通関料等を販売利益から控除する必要がある。
15 さらに、原告が本件各商品を販売できなかった期間は区々であるため、
逸失利益の算定にあたっては、本件各商品それぞれについて販売できたであろう個数を算定するべきである。
(イ) 人件費について原告が主張する原告従業員は固定給の正社員であり、本件各行為により20 支出が増大した事実はない。正社員の通常勤務時間内の人件費は損害とは認められず、実際に、原告従業員はアマゾン及び被告に対してメールを送付した以外にめぼしい作業を行っていない。
(ウ) 弁護士費用について否認する。
25 イ 因果関係の有無被告は、本件各申告において、原告の ASIN 重複というアマゾンの規約違9反についても申告している。原告サイトにおける本件各商品に係る商品詳細ページは、アマゾンの規約に違反したことにより削除等され、出品停止となったものであるから、被告による本件各申告と、原告の損害との間には因果関係がない。
5 (2) 過失相殺ア 原告は、アマゾンが本件各申告に基づき出品を停止したのに際して、何ら異議を述べることなくこれに従っている。したがって、仮に被告に損害賠償義務が認められたとしても、出品が停止されたことについて原告においても過失が認められるため、過失相殺がされるべきである。
10 イ 本件商品1から3及び5は、出品停止期間が長期に及んでいるところ、これは原告がアマゾンへの対応を放置したことによるものである。したがって、
これらの商品の逸失利益に関して、出品停止期間のうち5日を超える部分に係る損害については、原告の損害拡大防止義務違反が認められるため、被告に損害賠償義務を負わせるべきではない。
15 3 争点3(原告の本訴提起の態様等が不法行為となるか)について【被告の主張】原告は、当初、292万3420万円の支払を求めて本件訴訟を提起し、訴訟の後半になるまで請求の減縮を行わなかった。被告は、原告のこのような行動により、弁護士に委任することを余儀なくされ、自身の仕事にも多大な影響が出た。
20 したがって、原告は、故意又は少なくとも過失により被告に精神的損害及び弁護士費用相当額の損害を与えたというべきであり、その額は50万円を下らない。
したがって、被告は原告に対して少なくとも50万円の損害賠償請求権を有している。被告は、令和5年2月27日付け準備書面(4)(同月28日原告受領)において、原告に対し、前記損害賠償請求権の一部である50万円を自働債権とし25 て本件訴訟における原告の請求と対当額にて相殺する旨の意思表示をした。
【原告の主張】10被告は、本件各申告に根拠がないことを知りながら、原告からの連絡等を無視してなお申告を継続した。このため、原告は、本件各申告により被った損害の回復を求めて本件訴訟を提起した。原告は、損害の算定に誤りがあることが判明した後は、修正した額を基にして和解協議を継続し、その後、適切に請求を減縮し5 ている。
第4 判断1 争点1(本件各申告が虚偽事実の告知又は不法行為に該当するか)について(1) 被告サイトについてア 被告各画像について10 写真集又は卓上カレンダーに係る画像である被告画像1、2、4ないし10は、商品の表紙、裏表紙又は商品中の写真それ自体といって差し支えない画像であり、仮に被告がこれらの画像を自ら撮影した場合には、被写体である芸能人を撮影した写真を中心とし、出版元が付した商品名及びその他の商品の情報等が掲載された平面的な写真集の表紙等を、真正面から、掲載写真15 を含む当該表紙等全体を正確に表現する方法で撮影したものであると認められる。
単語帳に係る画像である被告画像3は、単語帳の表紙及びいずれか一枚に掲載されている写真それ自体といって差し支えない画像を縦2枚に並べ、その下段側の画像の右横に、当該画像の右端に少しかかる状態で、単語帳を扇20 型に広げた状態のものを撮影した画像を配置したものである。
(以上につき甲13〜17の各枝番1、甲18の1〜甲20の1の各枝番2、乙15〜24、弁論の全趣旨)被告は、指定役務を写真集の小売又は卸売の業等とする「P2」(標準文字)なる商標(以下「被告商標」という場合がある。)に係る商標権を有し25 ているところ、被告各画像には、「P2」との文字が極小さく掲載されている。(乙1、15〜24、弁論の全趣旨)。
11なお、被告は、本件各商品の制作に携わっておらず(争いがない。、これ)らの商品自体について何らの権利も有しない。
イ 商品名について本件申告当時、被告サイトにおいては、本件各商品に係る商品名として、
5 次のとおり掲載されていた。
(ア) 本件商品1「防弾少年団 BTS V テテ グッズ【写真集 Premium Photo Book 大型写真集】。
」 なお、本件商品1の表紙には「BTS V PHOTOBOOK」 裏表紙には、 「BTS-VPREMIUM PHOTOBOOK」等の文字が印刷されている(甲13の1、乙15、
10 弁論の全趣旨)。
(イ) 本件商品2「パク・ソジュン PARK SEOJUN グッズ 【写真集 Premium Photo Book 大型写真集】。なお、本件商品2の表紙には「PARK SEO JUN PHOTOBOOK」」 、
裏表紙には「PERK SEOJUN PREMIUM PHOTOBOOK」等の文字が印刷されてい15 る(甲14の1、乙16、弁論の全趣旨)。
(ウ) 本件商品3「防弾少年団 BTS ジミン グッズ 【韓国語 単語カード 単語帳 63枚入】+ケース付」。なお、本件商品3の表紙に当たるカードには「JIMIN」等の文字が印刷されている(甲15の1、乙17、弁論の全趣旨)。
20 (エ) 本件商品4「BTS 防弾少年団 バンタン JIN ジン グッズ 写真集 Premium PhotoBook 大型写真集」。なお、本件商品4の表紙には「JIN PHOTOBOOK」、裏表紙には「BTS-JIN PREMIUM PHOTOBOOK」等の文字が印刷されている(甲16の1、乙18、弁論の全趣旨)。
25 (オ) 本件商品5「防弾少年団 BTS ジョングク グッズ 【写真集 Premium Photo Book 大12型写真集】。なお、本件商品5の表紙には「JUNG KOOK PHOTOBOOK」」 、裏表紙には「JUNGKOOK PREMIUM PHOTOBOOK」等の文字が印刷されている(甲17の1、乙19、弁論の全趣旨)。
(カ) 本件商品65 「コン・ユ GONG YOO グッズ 【写真集 Premium Photo Book 大型写真集】+メッセージカード」。なお、本件商品6の表紙には「GONG YOOPHOTOBOOK」、裏表紙には「GONGYOO PREMIUM PHOTOBOOK」等の文字が印刷されている(甲18の1の2、乙20、弁論の全趣旨)。
(キ) 本件商品710 「イ ジョンソク LeeJongSuk 【写真集 Premium Photo Book 大型写真集】+ポストカード」。なお、本件商品7の表紙には「LEE JONG SUKPHOTOBOOK」、裏表紙には「PREMIUM PHOTOBOOK LEE JONG SUK」等の文字が印刷されている(甲19の1の2、乙21、弁論の全趣旨)。
(ク) 本件商品815 「防弾少年団 BTS 【写真集 Premium Photo Book 大型写真集】+ブロマイド」。なお、本件商品8の表紙には「BTS PHOTOBOOK」、裏表紙又は商品中の写真には「BTS PREMIUM PHOTOBOOK」等の文字が印刷されている(甲20の1の2、乙22、弁論の全趣旨)。
(ケ) 本件商品9及び1020 「卓上カレンダー2022〜2023(2年分)+ステッカーシール[12点セット]。
」 なお、本件商品9の表紙には、
「2022 CHA EUN WOO 2022 PHOTODESK CALENDAR 」 裏 表 紙 に は 「 CHA EUN WOO 2022-2023 PHOTO、 DESKCALENDAR」及び「CALENDAR+STICKER」等の文字が印刷されている。本件商品10の表紙及び裏表紙には、掲載されている人物の芸名等に応じて、
25 本件商品9の「CHA EUN WOO」が「V」と印刷されている以外は、本件商品9と同様の文字等が印刷されている(乙23、24、弁論の全趣旨)。
13(2) 原告サイトについてア 原告各画像について証拠(甲18の2の2、19の2の2、20の2の2、乙20〜22)並びに原告自身が被告各画像自体を盗用したものではないことを前提とした5 上で被告各画像と原告各画像が画像として異なるものであるとは主張していないこと、本件各申告に基づきアマゾンにおいて出品停止の措置が採られていること及び弁論の全趣旨に照らせば、本件各申告当時に原告サイトに掲載されていた本件各商品に係る画像(原告各画像)は、画像としては被告各画像とほぼ同一であったと認められる。
10 イ 原告サイトにおいて本件各商品の商品名として掲載されたもののうち、本件商品2は「パクソジュン(PARK SEOJUN) グッズ - プレミアム フォトブック 写真集 (Premium Photo Book) 220mm×305mm(34p)、本件商品6」は「コン・ユ (GONG YOO) グッズ ‐プレミアム フォトブック 写真集 Bver.(Premium Photo Book) 220mm×305mm SIZE(34p)、本件商品8は「防」15 弾少年団 (BTS) バンタン グッズ - プレミアム フォトブック 写真集 Bver 220mm×305mm SIZE(34p)、
」 本件商品9は「CHA EUN WOO チャウヌ (ASTRO/アストロ) 2022 年-2023 年(令和4年-令和5年) 2年間 フォト 卓上カレンダー グッズ」、本件商品10は「V(バンタン/BTS) 2022 年-2023年(令和4年-令和5年) 2年間 フォト 卓上カレンダー グッズ」であっ20 たと認められるが、その余のものは不明である(甲3の1、6の1、8の1、
9の1、10の1)。
(3) 本件各申告の内容・態様等ア 被告は、令和3年7月初旬頃、アマゾンに対し、被告サイトの商品ページと原告サイトの商品ページが重複している旨並びに原告サイトにおいて被25 告サイト上の商品画像、商品名及び商品の説明文が盗用されている旨を申告した。
14これに対しアマゾンは、同月11日、被告に対し、知的財産侵害の通知は、
アマゾンブランド登録又は侵害通知用のオンラインフォームから送る必要があること、別のアマゾンストアに出品されている ASIN を報告する場合は、
報告対象の ASIN が出品されているアマゾンストアにある侵害の通知フォー5 ムを利用する必要があること等を教示した上で、いずれかの方法で侵害の通知を再度提出してアマゾンで申立てを処理できるように協力して欲しい旨を連絡した。
(以上につき乙27の1、弁論の全趣旨)イ 被告は、前記アのアマゾンからの連絡を受け、同月17日までに、アマゾ10 ンブランド登録又は侵害通知用のオンラインフォームから、本件申告1を行った。
当該ブランド登録又は侵害通知用のオンラインフォームには、「権利侵害を申告する」という表題のほか、「このフォームは、知的財産権の権利者またはその代理人が、知的財産権を侵害されたと思われる場合に、その旨を15 Amazon に申告するためのものです。その他の規約違反や不正行為を報告するには、お問い合わせを使用してください。」と記載されている。
被告は、本件申告1に際し、「著作権侵害」「意匠権の侵害」「特許の侵、 、
害」「商標権侵害」の選択肢のうち「著作権侵害」を選択し、当該フォーム、
の検索機能等を使用して、本件商品1に係る商品詳細ページの ASIN、申告対20 象とする画像、商品名、商品のブランド名等を選択・記載し、「著作物の登録番号」「著作権のある商品/著作物を提示するサイトへのリンク」「著作、 、
権があることの説明」のうち、「著作権のある商品/著作物を提示するサイトへのリンク」を選択し、対応する被告サイトの URL を記載したほか、詳細を書き込む欄に、被告が作成したカタログの商品画像、商品名を盗用して、
25 別のカタログを作成している旨を記載した。(以上につき甲2の1、乙2、
28、弁論の全趣旨)15ウ アマゾンは、本件申告1を受け、原告サイト上の本件商品1に係る商品詳細ページを削除する等によりその出品を停止し、原告に対し、同日、原告が出品した商品に関連した商品詳細ページについて著作権侵害であるとの報告が届いたこと、該当する ASIN の番号、出品を再開するためには申告した5 権利者の著作権を侵害することがないよう商品詳細ページを訂正する必要があること、出品情報が誤って削除されたと思う場合はアマゾンに対して必要書類を提出すること、権利者が誤って通知を送信したと考えられる場合は権利者に連絡して通知取り下げの申請を依頼すること、本件申告1の際に被告がアマゾンに通知した被告のメールアドレス等を通知した(甲2の1)。
10 エ 被告は、遅くとも同月23日までに、アマゾンに対し、概ね本件申告1と同様の方法で、本件申告2を行った(甲3の1、乙3)。
オ 原告は、同月23日、被告に対し、被告より著作権侵害の申し立てを受けアマゾンサイトにおける商品出品が停止されたこと、原告は韓国の制作会社より正規ルートで輸入し販売していること、どのような点で侵害という判断15 をしたのか理由を聞きたいこと等を記載したメールを送信した(甲37の1)。
カ 被告は、遅くとも同年8月5日から同月11日までに、アマゾンに対し、
概ね本件申告1と同様の方法で、本件申告3ないし5を行った(甲3の2、
甲4の1、5の1、乙4〜6)。
20 キ 原告は、同月16日、被告に対し、被告から著作権侵害の申し立てを受け改善策を講じているが、どの点について侵害という判断になったのかがわからず困っていること、被告が所有している著作権の題号又は商標を教えて欲しいこと等を記載したメールを送信した(甲37の2)。
原告は、本件の訴訟代理人に委任の上、同代理人名義で、同月25日、被25 告に対し、本件申告1ないし5等について、当該申告に係る商品は、韓国の出版社又はメーカーが作成して販売しているものであり、これらについて被16告が著作権を有していないこと、これらの商品をありのまま撮影しただけの商品写真及び当該商品の形状、サイズ又は特徴等を表したにすぎない創作性のない説明文についても被告が著作権を有していないことが明らかであること、被告各画像には「P2」の文字が掲載表示されているが、原告を含む5 競業他社が同じ商品をアマゾンサイトで販売するに際して独自に撮影した商品写真を使用する場合、当該商品写真に「P2」の文字を付さない限り被告の商標権の侵害が生じ得ないこと、原告は被告の権利を侵害していないことから速やかに本件申告1から5等に係る申告を取り下げてほしいこと、原告が被告の権利を侵害していないことが明らかになった場合には、被告のア10 マゾンに対する権利侵害申告は不法行為に該当するとともに不正競争行為(不競法2条1項21号)に該当すると考えられるため、被告の行為によって被った損害の賠償を請求するつもりであること等を記載した通知書(本件通知書)を内容証明郵便にて送付し、被告は同月26日にこれを受領した(甲11)。
15 ク 被告は、同月26日又は27日、アマゾンに対し、本件通知書に対する対応を尋ねる旨の問合せを行った。これに対しアマゾンは、同日、被告から権利侵害の報告を受けアマゾンによる調査後商品削除の処理が行われており、
被告の対応が適切となっているので安心してほしい旨、相手方に対してアマゾンによる対応方針に沿った対応をするよう案内して欲しい旨、本件に関し20 てアマゾンにて対応できかねる旨等を記載したメールを返信した。
被告は、前記の原告からの各メールに返信をせず、本件通知書を受領した後も、遅くとも同月28日から同年10月24日までの間、概ね本件申告1と同様の方法で、本件申告6ないし10を行った(甲6〜10の各1、乙7〜11)。
25 ケ 原告は、本件各申告により原告サイト上の本件各商品の出品が停止されたことに対し、遅くとも別紙表の各「出品再開日」までにアマゾンに対する再17開の申立て等を行い、当該各日までに原告サイト上の出品が再開された。
(4) 検討ア 本件各申告の趣旨等本件各申告の内容及び態様並びにこれに対するアマゾンの対応(前記(3)5 イからエ、カ、ク)に照らせば、被告は、アマゾンに対して、原告サイト上の原告各画像及び商品名が、被告サイト上の被告各画像及び商品名を盗用したものであること、及び当該行為が著作権侵害に該当することを理由として、
権利侵害の申告(本件各申告)をしたと認められる。
イ 被告各画像等の著作物性10 (ア) 前記(1)アのとおり、被告各画像のうち、写真集又は卓上カレンダーに係る画像である被告画像1、2及び4ないし10は、販売する商品がどのようなものかを紹介するために、平面的な商品を、できるだけ忠実に再現することを目的として正面から撮影された商品全体の画像である。被告は、
商品の状態が視覚的に伝わるようほぼ真上から撮影し、商品の状態を的確15 に伝え、需要者の購買意欲を促進するという観点から被告が独自に工夫を凝らしているなどと主張するが、具体的なその工夫の痕跡は看取できない上、撮影の結果として当該各画像に表現されているものは、写真集等という本件各商品の性質や、正確に商品の態様を購入希望者に伝達するという役割に照らして、商品の写真自体(ないしそれ自体は別途著作物である写20 真集のコンテンツとしての写真)をより忠実に反映・再現したものにすぎない。
(イ) 単語帳に係る画像である被告画像3は、前記同様に商品をできるだけ忠実に再現することを目的として正面から撮影された商品全体を撮影した平面的な画像2点と、扇型に広げた商品の画像1点を配置したものであ25 り、当該配置・構図・カメラアングル等は同種の商品を紹介する画像としてありふれたものであるといえ、被告独自のものとはいえない。
18(ウ) 以上より、被告各画像は、被告自身の思想又は感情を創作的に表現したものとはいえず、著作物とは認められない。
(エ) また、商品名については、前記(1)イのとおり、いずれも商品自体に付された商品名をそのまま使用するか、欧文字をカタカナ表記に変更したり、
5 大文字表記を小文字表記にしたり、単に商品の内容を一般的に説明したにとどまるありふれたものであって、著作物とは認められない。
そのほか、被告は、本件各申告には被告サイト上の商品の説明文に関する著作権侵害も含まれるかのように主張するが、具体性を欠く上、その説明が創作性を有するとは想定できず、失当である。
10 ウ 被告各画像等の使用の事実の有無(ア) 前記イのとおり、被告各画像等についていずれも著作物とは認められない以上、仮に原告が原告サイトにおいて被告各画像等を使用したとしても、著作権侵害は成立しない。
その点を措くとしても、原告が、アマゾンから出品停止の連絡を受けた15 後、被告に対して2度にわたり原告サイトについて著作権侵害と判断した理由等を尋ねる旨のメールを送信するとともに、原告訴訟代理人に委任の上で本件通知書を送付していること、本件通知書には、原告を含む競業他社が同一商品を独自に撮影した商品写真を使用する場合には被告商標を付さない限り被告の商標権を侵害しない旨記載されていること(前記(3)20 オ、キ)、少なくとも本件商品2、6及び8ないし10の商品名は原告サイトと被告サイトとで異なること(前記(1)イ、(2)イ)、そのほか原告各画像が被告各画像それ自体であることを的確に示す証拠が存しないこと等の事情に照らせば、原告が原告サイトに掲載していた原告各画像は、被告各画像を盗用したものではなかったと認めるのが相当である。
25 (イ) 被告は、アマゾンが本件各申告を受けて出品を停止したこと及び被告からの問合せに対してアマゾンが被告の申告が適切であったと回答して19いること(前記第2「1」前提事実(4)、前記(3)ウ、ク)等から、原告が被告各画像を盗用していた事実が強く推認されると主張するが、アマゾンにおいて権利侵害申告がどのように処理されているかは不明であって、前記認定を左右しない。
5 エ 被告の故意過失・違法性前記(1)ア及びイのとおり、被告は、アマゾンから、権利侵害の申告に係る手続について、知的財産権の侵害を理由とする場合の通知方法、ASIN の重複を理由とする場合の通知方法及びそれぞれ個別に申告することが必要であるとのメールを受信し、自ら ASIN の重複を申告する方法ではなく知的財10 産権の侵害を理由とする場合の方法を選択し、申告に係る原告各画像等を特定し、「著作権侵害」の項目を選択の上で本件各申告を行っている。このような被告の行動に照らせば、被告は、アマゾンに対して自ら積極的に著作権侵害の虚偽事実を申告したといえ、被告が本件各申告をするにつき、少なくとも過失が認められ、本件各申告は違法である。
15 被告は、権利行使の一貫として本件各申告を行い、やむを得ず著作権侵害という選択肢を選んだにすぎないこと、著作物性の判断を正確に行った上で申告することが求められるとすれば権利行使を不必要に萎縮させる等と主張するが、被告に本件各商品に関する知的所有権がないことは自明である上、
原告からの問合せに対応することなく本件各申告を続けたとの事実関係の20 もとでは、採用の限りでない。
オ 小括以上のとおり、本件各申告は、原告各画像が被告各画像等を無断で使用していることを理由とする原告による著作権侵害をアマゾンに伝える趣旨の権利侵害の申告である一方、被告各画像について被告が著作権を有さず、ま25 た原告が被告各画像を無断で使用したとも言えないことから、その内容は、
いずれも、被告と競争関係にある原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を20申告する行為であり、不競法2条1項21号の不正競争行為に該当するといえる。また、被告には少なくとも過失が認められる。
なお、被告は、本件各申告が単に画像の盗用の事実のみを申告するものであり、著作権侵害の事実を申告するものではないことから「虚偽の事実」を5 申告したとはいえないと主張する。しかし、本件各申告の趣旨が著作権侵害の申告であると認められることは前記アのとおりであり、この点を措くとしても、原告が被告各画像を無断で使用、すなわち盗用したとは言えず、当該事実(盗用)の告知の点のみをもっても、被告の申告行為は、原告の営業上の信用を害する虚偽事実の告知であるといえることに変わりはない。よって、
10 この点に係る被告の主張は採用できない。
2 争点2(原告の損害の有無及びその額)について(1) 逸失利益についてア 平均販売個数及び販売価格証拠(甲39〜46)及び弁論の全趣旨によれば、本件各申告により本件15 各商品の出品が停止されるまでの原告サイトにおける直近3ヶ月の各販売個数は、別紙表の「販売実績(個数)」欄のうち「3か月前」から「1か月前」の欄に各記載のとおりであり、販売価格(税込)は、同表の各「販売価格(税込)」欄記載のとおりと認められる。当該販売実績に基づく一月当たりの平均販売個数(ただし小数点第3位以下切り捨て。)は、同表の各「月20 平均」欄記載のとおりである。
イ 経費証拠(甲47〜49、52、53)及び弁論の全趣旨によれば、原告における本件各商品の仕入れ値は別紙表の各「仕入れ値」欄記載のとおりであること、原告サイトにおいて商品が販売される場合、アマゾンに対する手数料25 として販売価格(税込)の10パーセントに相当する額及びその消費税(10パーセント)を原告が負担すること、運送費の単価(税込)が通常20921円であることが認められる。これに対し、輸入に際しての運送費、輸入消費税及び通関料等の費用については、原告が本件各商品と他の商品を国外から同時に複数輸入していると認められること(甲52、53)、少額免税等の余地があり得ること(乙54、55)等を踏まえると、本件においては経費5 として控除するのは相当でない。
以上より、本件各商品1つ当たりの利益は、別紙表の各「利益」欄記載のとおりと認めるのが相当である。
ウ 販売機会喪失による損害額前記ア及びイを踏まえると、本件各申告により出品が停止されたことによ10 る原告の販売機会喪失による損害(逸失利益)の額は、商品ごとに、月平均販売個数を日割りにし、これに各出品停止期間及び利益額を乗じた額とするのが相当である。例えば、本件商品1については、次の計算式のとおりとなる(ただし1円未満切り捨て。。
)(計算式:月平均販売個数45.33個÷31日×停止期間33日×利益15 687円=3万3150円)そうすると、逸失利益は、別紙表の各「逸失利益」欄記載のとおりとなる。
本件商品2及び8については、出品停止直前3ヶ月の販売実績が零個であり、
それ以外の販売実績も不明であることから、本件申告2及び8による各出品停止期間中に商品が販売された蓋然性があるとは認められず、逸失利益は零20 円とするのが相当である。また、原告は、本件各申告により出品が停止された延べ日数に、月平均販売個数の平均値及び平均粗利を乗じた額を採用するべきであると主張するが、出品の停止による損害は、商品ごとに個別に発生するものであるから、当該主張は採用できない。
以上より、逸失利益の合計は、4万7492円となる。
25 (2) 対応人件費証拠(甲2〜10、50、51)及び弁論の全趣旨によれば、本件各申告を22受けて、原告においては、その従業員が、被告への問合せのメール及びアマゾンに対する商品出品再開の申立て等の作業を行ったことが認められる。もっとも、証拠上表れる作業内容等を踏まえると、当該従業員が、通常の業務の範囲を超えてこれらの作業等に従事したこと及びそれにより原告における当該従5 業員に対する給与支払額等が現実に増加した等の事実は認められない。
したがって、本件各申告により原告に対応人件費相当の損害が発生したとは認められない。
(3) 弁護士費用本件に係る一切の事情を考慮して、本件の弁護士費用相当額は5000円と10 認めるのが相当である。
(4) 過失相殺被告は、原告がアマゾンによる出品停止に異議を述べることなくこれに従っていること、及び本件商品1から3及び5について、出品停止期間が5日を超える部分の損害については、原告がアマゾンに対する対応を放置したことによ15 るものであることを指摘して、原告に過失が認められると主張する。しかし、
前記1(3)のとおりの本件各申告の経緯及びこれに対する原告の対応等に照らせば、原告に被告が主張するような過失があるとは認められない。
(5) まとめ以上より、原告には、本件各申告により、前記(1)及び(3)の合計額である520 万2492円の損害が生じたものと認められる。
3 争点3(原告の本訴提起の態様等が不法行為となるか)について被告は、請求額減縮前の本件訴訟提起により、被告が精神的損害及び弁護士費用相当額の損害を受けた旨主張するが、本訴請求は一部理由があり不法行為に該当する余地はないところ、当初請求した損害の想定が異なったとしても、訴訟係25 属中に請求を減縮している等の本件の事情に照らすと、これが独立して違法となるものとは考え難い。
23したがって、原告の本訴提起の経緯が不法行為に当たることを前提とする被告の相殺の主張は、理由がない。
第5 結論以上の次第で、原告の請求は、主文掲記の限度で理由があり、その余は理由がな5 い。よって、主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第26民事部10裁判長裁判官15 松 阿 彌 隆裁判官杉浦一輝及び裁判官布目真利子はいずれも転補のため署名押印することができない。
20裁判長裁判官松 阿 彌 隆2524別紙対応する 販売実績(個数) 販売価格 アマゾン 送料番号 商品 申立て番号 ASIN 出品停止日 出品再開日 停止期間 仕入れ値 利益 逸失利益被告画像 3か月前 2か月前 1か月前 月平均 (税込) 手数料 (税込)1 V プレミアムフォトブック 乙15 2228514973 B073TVWKPD R3.7.17 R3.8.18 33 43 42 51 45.33 \1,400 \350 \154 \209 \687 \33,1502 パク・ソジュン プレミアムフォトブック 乙16 2231426463 B09721YQTZ R3.7.23 R3.10.21 91 0 0 0 0.00 \1,400 \350 \154 \209 \687 \03 ジミン 韓国語 単語帳 乙17 2235140803 B073DV5LB3 R3.8.5 R3.10.21 78 2 2 2 2.00 \1,470 \340 \162 \209 \759 \3,8204 JIN プレミアムフォトブック 乙18 2238443413 B08YDFPNTJ R3.8.14 R3.8.18 5 3 7 8 6.00 \1,400 \350 \154 \209 \687 \6645 ジョングク プレミアムフォトブック 乙19 2237303973 B06WWHH89W R3.8.11 R3.8.19 9 55 37 39 43.66 \1,400 \350 \154 \209 \687 \8,7086 コン・ユ プレミアムフォトブック 乙20 2243266853 B08ZCZL48Q R3.8.28 R3.8.30 3 1 2 1 1.33 \1,400 \350 \154 \209 \687 \887 イ・ジョンソク プレミアムフォトブック 乙21 2243627583 B01M3O6E9R R3.8.29 R3.8.30 2 4 6 3 4.33 \1,400 \350 \154 \209 \687 \191258 BTS プレミアムフォトブック 乙22 2243789203 B08XX7JCQ7 R3.8.30 R3.8.30 1 0 0 0 0.00 \1,400 \350 \154 \209 \687 \09 チャ・ウヌ 2年間卓上カレンダー 乙23 2259997613 B09G2KLQS6 R3.10.15 R3.10.18 4 0 2 2 1.60 \1,380 \300 \152 \209 \719 \14810 V 2年間卓上カレンダー 乙24 2262304003 B09G17PL9G R3.10.24 R3.10.25 2 2 18 19 15.60 \1,380 \300 \152 \209 \719 \723
事実及び理由
全容