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事件 令和 4年 (ワ) 3577号 不正競争行為差止等請求事件
5
原告 株式会社京童
同訴訟代理人弁護士 伊原 友己
同 橋本 祐太 10
被告 Style On株式会社
同訴訟代理人弁護士 高木 淳
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2023/12/04
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 15 1 被告は、別紙被告商品目録記載の各商品を譲渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。
2 被告は、別紙被告商品目録記載の各商品を廃棄せよ。
3 被告は、原告に対し、429万0624円及び内363万5044円に対する令和5年2月1日から、内65万5580円に対する令和5年7月1日から、各20 支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
4 原告のその余の請求を棄却する。
5 訴訟費用は、これを15分し、その1を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
6 この判決は、第3項に限り、仮に執行することができる。
25 事 実 及 び 理 由第1 請求11 主文第1項、第2項同旨2 被告は、原告に対し、520万0568円及び内363万5044円に対する令和5年2月1日から、内156万5524円に対する令和5年7月1日から、
各支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
5 第2 事案の概要本件は、原告が、被告による別紙被告商品目録記載の各商品(以下、同目録1の商品を「被告商品1」、同目録2の商品を「被告商品2」といい、総称して「被告各商品」という。)の販売が不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項3号の不正競争に該当すると主張して、被告に対し、不競法3条に基づく、被告各商品10 の販売等の差止請求及び廃棄請求と、不競法4条に基づく、損害賠償金520万0568円及びこれに対する各販売行為の後日(詳細は後記原告主張のとおり。)から支払済みまでの民法所定の割合による遅延損害金の各支払請求をする事案である。
1 前提事実(争いのない事実及び証拠〔各枝番を含む。 により容易に認定できる〕15 事実)(1) 当事者ア 原告は、コンピューター通信を利用した通信販売等を目的とする株式会社である。
イ 被告は、衣料品、革製品等の輸入及び販売等を目的とする株式会社である。
20 (2) 原告による商品販売ア 原告は、遅くとも令和3年6月22日から、ECサイトの一つである楽天市場において、別紙原告商品目録記載1の商品(以下「原告商品1」という。
)(通帳ケース)の販売を開始した。(甲1、2)イ 原告は、遅くとも令和3年11月9日から、楽天市場において、別紙原告25 商品目録記載2の商品(以下「原告商品2」という。(長財布)の販売を開)始した。(甲3、4)2(3) 被告による商品販売(争いがない)ア 被告は、遅くとも令和4年2月25日から、いずれもECサイトである楽天市場、SHOP LIST、Wowma(au PAYマーケット)、PayPayモール(当時) ポンパレモールにおいて、
、 被告商品1(通帳ケース)5 を販売した。
イ 被告は、遅くとも令和4年3月10日から、上記アと同じECサイトにおいて、被告商品2(長財布)を販売した。
(4) 商品の形態(争いがない)ア 通帳ケース(原告商品1、被告商品1)10 原告商品1の形態の構成は、別紙原告商品目録1の【商品形態の構成】記載のとおりである。
被告商品1の形態の構成は、別紙被告商品目録1の【商品形態の構成】記載のとおりである。
イ 長財布(原告商品2、被告商品2)15 原告商品2の形態の構成は、別紙原告商品目録2の【商品形態の構成】記載のとおりである。
被告商品2の形態の構成は、別紙被告商品目録2の【商品形態の構成】記載のとおりである。
2 争点20 (1) 被告商品1は原告商品1の形態を模倣した商品に該当するか。(争点1・請求原因)ア 被告商品1と原告商品1の形態は実質的に同一であるか。
イ 被告商品1は原告商品1に依拠したものであるか。
(2) 被告商品2は原告商品2の形態を模倣した商品に該当するか。(争点2・請25 求原因)ア 被告商品2と原告商品2の形態は実質的に同一であるか。
3イ 被告商品2は原告商品2に依拠したものであるか。
(3) 原告の損害額(争点3・請求原因)第3 争点に関する当事者の主張1 争点1(被告商品1は原告商品1の形態を模倣した商品に該当するか)につい5 て【原告の主張】(1) 実質的同一性についてア 原告商品1と被告商品1は、外装が完全に同一であり、内部の仕切り板やポケットの大きさや数等も同一である(別紙原告商品目録1の【商品形態の10 構成】A〜C、E、Fと別紙被告商品目録1の【商品形態の構成】a〜c、
e、f)。両商品は、外装部の裏面ポケットの有無、小ポケットの数及び小ポケットの位置(別紙原告商品目録1の【商品形態の構成】D1〜D3と別紙被告商品目録1の【商品形態の構成】d1〜d2)において相違するが、これらの点は、取引者・需要者が強く着目する部分ではない。
15 したがって、原告商品1と被告商品1の形態は実質的に同一である。
イ 被告は、原告商品1の形態が、不競法により保護すべき形態にあたらないと主張するが、ありふれた形態であるか否かは形態全体について検討すべきであるところ、原告商品1の形態はありふれた形態ではなく、被告の主張は根拠を欠く。
20 (2) 依拠性についてア 原告商品1と被告商品1の形態の同一性の程度は非常に高い。
イ 原告商品1は、自由に閲覧可能な楽天市場等のECサイトにおいて宣伝、
販売されており、被告は当業者として容易に原告商品1の形態にアクセス可能であった。
25 ウ 原告商品1は、令和3年11月14日以降、楽天市場の「財布・ケース」や「バッグ・小物・ブランド雑貨」部門で1位を複数回獲得しており、同様4のECサイトで販売活動を行っていた被告が原告商品1の販売状況を閲覧しないことはあり得ない。また、被告代表者は、令和3年8月7日に原告商品1を購入している。
エ 被告は、被告各商品以外にも、原告が先行して販売した商品に類似する商5 品を販売している。
オ 以上によれば、被告商品1が原告商品1に依拠して製造されたことは明らかである。
【被告の主張】(1) 実質的同一性について10 ア 原告の主張を否認ないし争う。
イ 通帳ケースでは内部形状が重要であり、内部形状の開発に労力や時間がかけられるところ、被告は、原告商品1の販売前の令和元年9月3日から、被告商品1と同様の内部構造(@8つのじゃばら式のマチ付きポケット、A8つのカード入れ、B外側全体にスキミング防止フィルム加工、Cサイズ〔高15 さ約12センチメートル、幅約18.5センチメートル、マチ約2.5センチメートル〕)を有する通帳ケースを販売していたから、原告が内部形状の開発に労力や時間を費やしたことはない。また、仮に、原告商品1の外側ポケットを原告が考案したとしても、原告商品1の販売前から、被告において外側に2つのポケットを付した商品や外側ポケットの入口を斜めにする商20 品を販売していたことや、外側ポケットの斜線を交わらせるデザインが単純なデザインの組合せであり、他社でも採用され、日本古来のデザイン「伊達衿(重ね衿) として存在することからすれば、
」 原告商品1の外側ポケットはありふれた形態である。
したがって、原告商品1の形態は不競法で保護すべき商品の形態ではない。
25 (2) 依拠性について上記(1)イのとおり、被告は、原告商品1の販売前から被告商品1と同様の5内部構造を有する通帳ケースや外側に2つのポケットを付した商品や外側ポケットの入口を斜めにする商品を販売していた。
したがって、被告商品1は原告商品1に依拠して製造されたものではない。
なお、原告の取締役が令和2年8月18日に被告の通帳ケースを購入してい5 ることも考慮すると、原告が被告の商品を模倣したと考えるのが自然である。
2 争点2(被告商品2は原告商品2の形態を模倣した商品に該当するか)について【原告の主張】(1) 実質的同一性について10 ア 原告商品2と被告商品2の構成は完全に同一であり(別紙原告商品目録2の【商品形態の構成】A〜Fと別紙被告商品目録2の【商品形態の構成】a〜f)、いわゆるデッドコピーであるから、各形態は実質的に同一である。
イ 被告は、原告商品2の形態が、不競法により保護すべき形態にあたらないと主張するが、原告商品2の形態はありふれた形態ではなく、被告の主張は15 根拠を欠く。
(2) 依拠性について上記1【原告の主張】(2)ア・イ・エと同様の理由(ただし、ア・イについては原告商品2と被告商品2と読み換える。)から、被告商品2が原告商品2に依拠して製造されたことは明らかである。
20 【被告の主張】(1) 実質的同一性についてア 原告の主張を否認ないし争う。
イ 財布では内部形状が重要であるところ、被告は、被告商品2の内部形状として特徴的な部分(財布の中央部分の小銭入れの部分が中央で仕切られてい25 ること、小銭入れのファスナーがL字型で開閉できるようになっていること)を採用した長財布を原告商品2の販売前である平成29年9月14日に販6売しており、内部形状の開発に原告が労力や時間を費やしたことはない。また、仮に、原告商品2の外側ポケットが原告の考案であるとしても、上記1【被告の主張】(1)イのとおり、当該外側ポケットの形態はありふれた形態である。
5 したがって、原告商品2の形態は不競法で保護すべき商品の形態ではない。
(2) 依拠性について上記(1)イのとおり、被告は、原告商品2の販売前から、上記特徴的部分を採用した長財布を販売していた。また、被告商品2のデザインは令和3年9月7日時点で確定され、同月18日にサンプル品が被告に届いている。
10 したがって、被告商品2は、原告商品2に依拠して製造されたものではない。
なお、原告の取締役が同年6月5日に上記特徴を有する長財布を購入したことも考慮すると、原告が被告の商品を模倣したと考えるのが自然である。
3 争点3(原告の損害額)について【原告の主張】15 (1) 被告の得た利益(不競法5条2項)ア 被告商品1について被告は、被告商品1の販売が開始された令和4年1月1日から令和5年1月31日まで(以下「期間A」という。、被告商品1を少なくとも(以下個)数につき同じ)5009個販売し、さらに同年2月1日から同年6月30日20 まで(以下「期間B」という。)に5個を販売した。
被告商品1の単価はおおむね2090円であり、限界利益は、1個当たり420円である。
以上から、被告商品1について被告の得た利益は、210万5880円(期間Aにつき210万3780円、期間Bにつき2100円)を下回らない。
25 イ 被告商品2について被告は、被告商品2の販売が開始された令和4年1月1日から期間Aにお7いて、被告商品2を1709個販売し、さらに期間Bまでに294個を販売した。
被告商品2の単価はおおむね2970円であり、限界利益は、1個当たり896円である。
5 以上から、被告商品2について被告の得た利益は、179万4688円(期間Aにつき153万1264円、期間Bにつき26万3424円)を下回らない。
よって、被告は、期間Aにつき363万5044円、期間Bにつき26万5524円及びこれに対する各行為の後日(各期間の末日の翌日)からの遅10 延損害金の支払義務を負う。
(2) 弁護士費用被告の不正競争と相当因果関係のある弁護士費用は130万円である(遅延損害金の起算日は期間Bの末日の翌日)。
【被告の主張】15 被告商品1及び同2の各期間の売上数及び1個あたりの限界利益額は認め、その余は否認ないし争う。
第4 判断1 争点1(被告商品1は原告商品1の形態を模倣した商品に該当するか)について20 (1) 実質的同一性についてア 原告商品1と被告商品1の形態は、前記前提事実第2の1(4)アのとおりであり、これらを対比すると、別紙原告商品目録1の【商品形態の構成】A〜C、E、Fと別紙被告商品目録1の【商品形態の構成】a〜c、e、fにおいて共通し、別紙原告商品目録1の【商品形態の構成】D1〜D3と別紙25 被告商品目録1の【商品形態の構成】d1〜d2において相違する。
原告商品1と被告商品1は、通帳ケースの外側のすべての形態(通常全体8の大きさ及び形状、正面外側部に設けられたポケットの形状、大きさ及び位置、背面部の形状) マチ部の上面及び側面部のすべての形態、 (開閉可能なファスナーの配置)及び内部の形態の大部分(仕切り板の枚数及び大きさ、内側ポケットの数)において共通しているから、各商品から受ける商品全体と5 しての印象が共通し、両商品の商品全体の形態が酷似しているといえる。他方で、上記のとおり、両商品は、正面側及び背面側の各外装部裏面の裏面ポケットの有無、各外装部裏面の表面に設けられたカード等を収納するための小サイズのポケットの数(原告商品1は6個、被告商品1は4個)及び配置位置(高さ約1ないし2センチメートルの範囲内)の点で相違するが、いず10 れも些細な差異であり、商品の全体的形態について需要者に与える印象に影響するようなものではない。
したがって、原告商品1と被告商品1の形態は実質的に同一であると認められる。
イ これに対し、被告は、原告商品1の販売前から同商品内側の特徴を備えた15 商品を販売していたことや、被告の従前の販売商品や伊達衿のデザインが存在することに照らせば、原告商品1はありふれた形態であり、不競法2条1項3号により保護すべき形態に該当しないと主張する。
証拠(乙1、2)によれば、被告が、令和元年9月3日以降、楽天市場において、@外側の平面視で縦幅約12センチメートル、横幅約18.5セン20 チメートルの寸法で、厚み約2.5センチメートルの横長四角形状、A正面側外装部及び背面側外装部の各裏面(ケースの内部側の面)には、カード等の小サイズの収納物を上部から挿入可能な小ポケットが4個設けられている、Bマチ部の上面及び両側面には、ファスナーにより開閉自在の開口部が設けられており、開口することにより、底部を軸として側面視扇状に正面部25 分と背面部分が展開する、C内部には、上記小ポケットとは別に、仕切板7枚により等間隔に8個の内側ポケットが設けられている、との原告商品1に9共通又は類似する構成を有する通帳ケースを販売していた事実、及び、令和2年9月29日から、外側に入口部分を斜めの形状にしたカードケースを販売していた事実、がそれぞれ認められる。
しかしながら、原告商品1には、外側部に入口部分が斜めに交差するポケ5 ットが設けられており、これは商品の全体的形態について需要者に与える印象に影響する形態であるところ、上記通帳ケースには当該構成が設けられていない。また、上記カードケースの外側ポケットの入口部分は斜めに交差する形態ではない。また、通帳ケース外装に和装の伊達衿(乙32)のデザインを採用し得るとしても、態様は多様なものが考えられるのであって、その10 ことから直ちにそのような通帳ケース自体がありふれたものといえるわけでもない。そして、本件記録上、原告商品1の外側ポケットの形態がありふれた形態であると認めるに足りる証拠はない。
したがって、被告の上記主張を採用することはできない。
(2) 依拠性について15 ア 前記前提事実第2の1(2)アのとおり、原告は、遅くとも令和3年6月22日から、第三者が自由に閲覧可能なECサイトである楽天市場で原告商品1を販売しており、被告において容易に原告商品1にアクセス可能であったといえ、証拠(甲22、23)によれば、実際に、被告代表者が令和3年8月7日に原告商品1を購入した事実が認められる。また、前記前提事実第220 の1(3)アのとおり、被告商品1の販売開始時期は原告商品1の販売開始から約8か月後の令和4年2月25日である。
以上によれば、被告商品1は原告商品1に依拠して製造販売されたと認められる。
イ これに対し、被告は、原告商品1の販売前から同商品と同様の内部の形態25 を有する通帳ケースを販売していたことや、原告の取締役が原告商品1の販売前に被告の販売する通帳ケースを購入したことから、被告商品1は原告商10品1に依拠していないなどと主張する。
しかしながら、上記(1)イで検討したとおり、原告商品1と同商品の販売前に被告が販売していた通帳ケースとは需要者に与える印象に影響を与える形態である外装部の形態が相違しているから、両商品の内部の形態が同一5 又は類似することや原告の取締役による購入履歴がある旨の被告主張の事情を踏まえても、依拠性に係る上記判断は左右されない。
2 争点2(被告商品2は原告商品2の形態を模倣した商品に該当するか)について(1) 実質的同一性について10 ア 原告商品2と被告商品2の形態は、前記前提事実第2の1(4)イのとおりであり、両商品の形態はすべての構成において共通する。
したがって、原告商品2と被告商品2の形態は実質的に同一であると認められる。
イ これに対し、被告は、原告商品2の販売前から同商品内側の特徴を備えた15 商品を販売していたことや、仮に、原告商品2の外側ポケットを原告が考案したとしても、ありふれた形態であると主張する。
しかしながら、上記1(1)イと同様に、原告商品2の外側部にある入口部分が斜めに交差するポケットが設けられているとの形態は商品の全体的形態について需要者に与える印象に影響する形態である上、当該形態はありふ20 れた形態であるとはいえない。
したがって、被告の上記主張を採用することはできない。
(2) 依拠性についてア 前記前提事実第2の1(2)イのとおり、原告は、遅くとも令和3年11月9日から、第三者が自由に閲覧可能なECサイトである楽天市場で原告商品25 2を販売しており、被告において容易に原告商品2にアクセス可能であったといえる。また、前記前提事実第2の1(3)イのとおり、被告商品2の販売開11始時期は原告商品2の販売開始から約4か月後の令和4年3月10日である。
以上によれば、被告商品2は原告商品2に依拠して製造販売されたと認められる。
5 イ これに対し、被告は、原告商品2の販売前から同商品と同様の内部の形態を有する長財布を販売していたことや、被告商品2のデザインが令和3年9月7日時点で確定されていたので、被告商品2は原告商品2に依拠していないなどと主張する。
しかしながら、上記(1)イで検討したとおり、原告商品2と同商品の販売10 前に被告が販売していた長財布とは需要者に与える印象に影響を与える形態である外装部の形態が相違している。また、証拠(乙7、8、30、31)によると、被告商品2様のものの写真がサンプル品として掲載され、その初回発送時期が令和3年9月18日であるとする「サンプルシート」と題する資料が存することが認められるが、同資料の作成経緯は被告主張によっても15 なお不明確といわざるを得ず、また、寸法図等の当該デザインの完成を直接証明するものでもない。加えて、被告商品2の販売が当該デザインの完成時期から6か月もの間隔があることについても合理的な説明がないことなどからすると、これらによっては被告主張を裏付けるには足りず、他に被告商品2のデザインが令和3年9月時点で確定していたことを認めるに足りる20 証拠はない。
したがって、被告の上記主張を採用することはできない。
3 争点3(損害額)について(1) 不競法5条2項により推定される損害被告商品1及び同2につき、原告主張の各期間における販売個数及び限界利25 益については当事者間に争いがないから、当該販売個数に限界利益を乗じた金額が原告の被った損害と推定され、この推定を覆滅させる事実の主張立証はな12い。
よって、被告商品1につき210万5880円(期間Aにつき210万3780円、期間Bにつき2100円) 被告商品2につき179万4688円、 (期間Aにつき153万1264円、期間Bにつき26万3424円)が原告の被5 った損害と認められる。
(2) 弁護士費用について本件に現れた一切の事情を斟酌すると、被告の不正競争行為と相当因果関係のある弁護士費用は39万0056円と認めるのが相当である。
(3) 小括10 したがって、被告は、原告に対し、429万0624円及び内363万5044円に対する令和5年2月1日から、内65万5580円に対する令和5年7月1日から、各支払済みまで年3パーセントの割合による遅延損害金の支払義務を負う。
第5 結論15 以上の次第で、原告の請求は主文1ないし3項掲記の限度で理由があるからその限度で認容し、その余は理由がないから棄却することとする。
よって、主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第26民事部20裁判長裁判官松 阿 彌 隆2513裁判官島 田 美 喜 子5裁判官阿 波 野 右 起1014(別紙)被告商品目録1 被告商品1(通帳ケース)5(正面) (背面)(ケース内部)【商品形態の構成】10 a 平面視で縦幅約12.5p、横幅約19pの寸法で、厚み約2.5pの横長四角形状の通帳ケースである。
b 正面部分(正面側外装部)において、2つのポケットが設けられており、右側外縁部の高さ約10pの点と左側外縁部の高さ約6pの点とを結んだ斜辺を開口部とする外側ポケットと、その内側に、左側外縁部の高さ約10pの点15 から、当該斜辺と約21°で交錯する斜辺を開口部とする内側ポケットからなる。
15c 背面部分(背面側外装部)は平面となっている。
d1 正面側外装部及び背面側外装部の各裏面(ケースの内部側の面)には、カード等の小サイズの収納物を上部から挿入可能な小ポケットが4個設けられており、当該小ポケットは、正面側外装部及び背面側外装部の各裏面(財5 布の内部側の面)の長手方向の中央付近において上端から約2p下を起点に下端部まで約9pの長さで縦方向に存在する1本の縫い目によって左右対称に等幅に区切られている。
d2 上記小ポケットは、上端部より約2p下を起点に、順次1.4p縦寸法を減じる形で2段階の高さ寸法で設けられている。
10 e マチ部の上面及び両側面には、ファスナーにより開閉自在の開口部が設けられており、開口することにより、底部を軸として側面視扇状に正面部分と背面部分が展開する。
f ケースの内部には、上記裏面ポケット及び小ポケットとは別に、横幅約14p、縦幅約10pの仕切板7枚により等間隔に8個の内側ポケットが設けられ15 ており、当該内側ポケットは、両側端部がそれぞれ外方向へ展開可能とされているため、紙幣等の横長収納物をも収納可能となっている。
162 被告商品2(長財布)(正面) (背面)5 (財布の内部:ファスナーを閉じた状態)(財布の内部:ファスナーを開けた状態)【商品形態の構成】a 平面視で縦幅約10p、横幅約20pの寸法で、厚み約3pの横長四角形状の長財布である。
10 b 正面部分(正面側外装部)において、2つのポケットが設けられており、右側外縁部の高さ約8.5pの点と左側外縁部の高さ約5pの点とを結んだ斜辺を開口部とする外側のポケットと、その内側に、左側外縁部の高さ約8.5pの点から、当該斜辺と約19°で交錯する斜辺を開口部とする内側のポケットからなる。
15 c 背面部分(背面側外装部)は平面となっている。
d1 正面側外装部及び背面側外装部の各裏面(財布の内部側の面)には、横幅17約19p、縦幅約7.5pの紙幣等の横長収納物も上部から出し入れ可能な裏面ポケットが設けられている。
d2 当該2個の裏面ポケットの各表面には、さらにカード等の小サイズの収納物を上部から挿入可能な小ポケットが6個設けられており、当該小ポケット5 は、裏面ポケットの長手方向の中央付近において上端から約1p下を起点に下端部まで約6.5pの長さで縦方向に存在する1本の縫い目によって左右対称に等幅に区切られている。
d3 上記小ポケットは、上記裏面ポケットの上端部より順次1pずつ縦寸法を減じる形で3段階の高さ寸法で設けられている。
10 e マチ部の上面及び両側面には、ファスナーにより開閉自在の開口部が設けられており、開口することにより、底部を軸として、側面視扇状に正面部分と背面部分が展開する。
f 財布の内部には、3つのポケットが設けられており、中央のポケットはファスナーにより開口自在の開口部となっており、ファスナーを開けるとその内15 部にはさらに3つのポケットが設けられている。
18(別紙)原告商品目録1 原告商品1(通帳ケース)5(正面) (背面)(内部)10 【商品形態の構成】A 平面視で縦幅約12.5p、横幅約19pの寸法で、厚み約2.5pの横長四角形状の通帳ケースである。
B 正面部分(正面側外装部)において、2つのポケットが設けられており、右側外縁部の高さ約10pの点と左側外縁部の高さ約6pの点とを結んだ斜辺15 を開口部とする外側ポケットと、その内側に、左側外縁部の高さ約10pの点19から、当該斜辺と約21°で交錯する斜辺を開口部とする内側ポケットからなる。
C 背面部分(背面側外装部)は平面となっている。
D1 正面側外装部及び背面側外装部の各裏面(ケースの内部側の面)には、横5 幅約19p、縦幅約8pの紙幣等の横長収納物も上部から出し入れ可能な裏面ポケットが設けられている。
D2 当該2個の裏面ポケットの各表面には、さらにカード等の小サイズの収納物を上部から挿入可能な小ポケットが6個設けられており、当該小ポケットは、裏面ポケットの長手方向の中央付近において上端から約1p下を起点に10 下端部まで約7pの長さで縦方向に存在する1本の縫い目によって左右対称に等幅に区切られている。
D3 上記小ポケットは、上記裏面ポケットの上端部より順次1pずつ縦寸法を減じる形で3段階の高さ寸法で設けられている。
E マチ部の上面及び両側面には、ファスナーにより開閉自在の開口部が設けら15 れており、開口することにより、底部を軸として側面視扇状に正面部分と背面部分が展開する。
F ケースの内部には、上記裏面ポケット及び小ポケットとは別に、横幅約14p、縦幅約10pの仕切板7枚により等間隔に8個の内側ポケットが設けられており、当該内側ポケットは、両側端部がそれぞれ外方向へ展開可能とされて20 いるため、紙幣等の横長収納物をも収納可能となっている。
202 原告商品2(長財布)(正面) (背面)5(内部1) (内部2)【商品形態の構成】A 平面視で縦幅約10p、横幅約20pの寸法で、厚み約3pの横長四角形状10 の長財布である。
B 正面部分(正面側外装部)において、2つのポケットが設けられており、右側外縁部の高さ約8.5pの点と左側外縁部の高さ約5pの点とを結んだ斜辺を開口部とする外側のポケットと、その内側に、左側外縁部の高さ約8.5pの点から、当該斜辺と約19°で交錯する斜辺を開口部とする内側のポケット15 からなる。
C 背面部分(背面側外装部)は平面となっている。
21D1 正面側外装部及び背面側外装部の各裏面(財布の内部側の面)には、横幅約19p、縦幅約7.5pの紙幣等の横長収納物も上部から出し入れ可能な裏面ポケットが設けられている。
D2 当該2個の裏面ポケットの各表面には、さらにカード等の小サイズの収納5 物を上部から挿入可能な小ポケットが6個設けられており、当該小ポケットは、裏面ポケットの長手方向の中央付近において上端から約1p下を起点に下端部まで約6.5pの長さで縦方向に存在する1本の縫い目によって左右対称に等幅に区切られている。
D3 上記小ポケットは、上記裏面ポケットの上端部より順次1pずつ縦寸法を10 減じる形で3段階の高さ寸法で設けられている。
E マチ部の上面及び両側面には、ファスナーにより開閉自在の開口部が設けられており、開口することにより、底部を軸として、側面視扇状に正面部分と背面部分が展開する。
F 財布の内部には、3つのポケットが設けられており、中央のポケットはファ15 スナーにより開口自在の開口部となっており、ファスナーを開けるとその内部にはさらに3つのポケットが設けられている。
22
事実及び理由
全容