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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成17ワ8362不正競争行為差止等請求事件 判例 不正競争防止法
昭和60ワ4131秘密保持義務存在確認等請求事件 判例 不正競争防止法
平成17ワ23171損害賠償等請求事件 判例 不正競争防止法
平成16ワ25297営業行為差止請求事件 判例 不正競争防止法
平成18ワ5172損害賠償請求事件 判例 不正競争防止法
関連ワード 周知表示混同惹起行為(2条1項1号) /  広く認識 /  需要者 /  信義則 /  商品等表示 /  類似性(類似) /  類似商品 /  差止請求(差止) /  共同不法行為 /  不当利得 /  デザイン /  侵害 /  代理人 /  秘密管理(秘密管理性) /  秘密保持義務 /  有用性 /  営業上の情報 /  非公知性 /  営業秘密 /  2条1項4号 /  プログラム /  損害賠償 /  損害額 / 
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事件 平成 15年 (ネ) 1010号 損害賠償請求控訴事件
控訴人(原告) ウイン通商株式会社
被控訴人(被告) テクノブロード株式会社(「被控訴人テクノブロー ド」という。)
被控訴人(被告) Ya
被控訴人(被告) Yb
被控訴人(被告) 株式会社ゼネラルリサーチオブエレクトロニックス (「被控訴人GRE」という。)
被控訴人ら訴訟代理人弁護士 松井秀樹、大庭浩一郎
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2003/10/21
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 本件控訴を棄却する。
控訴人の当審における追加請求をいずれも棄却する。
控訴費用(当審における追加請求につき生じたものを含む。)は控訴人の負担とする。
事実及び理由
控訴の趣旨等
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して100万円及びこれに対する訴状送達の翌日(被控訴人Yaにつき平成14年3月17日、被控訴人Ybにつき同月18日、その余の被控訴人らにつき同月19日)から支払済みに至るまで年6分の割合による金員を支払え。
3 当審における追加請求 (1) 被控訴人らは、スポーツマンズマーケット社(別名スポーティズパイロットショップ)と、控訴人を抜かして、取引をしてはならない。
(2) 被控訴人らは、原判決添付の訴状別紙目録(1)の商品一及び商品二(航空無線機「JD-200」及び「JD-100」)及び航空無線機SP-200の製造及び販売をしてはならない。
(3) 被控訴人らは、原判決添付の訴状別紙目録(1)の商品四及び五の類似品の開発及び販売をしてはならない。
(4) 被控訴人らは、原判決添付の訴状別紙目録(1)の商品五のローカライザー/VOR/OBS/CDIに関わる演算方法及び他の関連技術成果を開示又は使用してはならない。
事案の概要
控訴人は、被控訴人らに対し、不正競争防止法違反、不法行為、著作権侵害等に基づいて500万円の損害賠償(控訴人主張の損害額88億6743万2321円の一部)を請求したが、原判決は控訴人の請求をいずれも棄却したので、これを不服として控訴を提起し、原判決の取消しを求めた上、損害賠償の請求については、
これを100万円及びその遅延損害金に減縮し、さらに当審における新たな請求として、上記第1の3の(1)ないし(4)記載の差止請求を追加した。
請求の原因及びこれに対する被控訴人の答弁は、原判決事実及び理由欄の「第1 請求の趣旨及び原因」の「2 請求の原因」及び「第2 被告らの答弁」(原判決2頁4行から4頁25行)に記載されたところに加えて、本判決添付の平成15年5月9日付け「控訴理由書」と題する書面、同年7月26日付け「準備書面」、
同年7月27日付け「請求の趣旨の理由書」及び同日付け「準備書面」に記載のとおりである。
以下では、訴状添付の「別紙目録(1)」記載の商品一、二をそれぞれ「被控訴人商品一、二」といい、同目録記載の商品三ないし六を「控訴人商品三ないし六」といい(必要に応じ、商品名(型式)を括弧内に付記する。)、控訴人商品三ないし六をまとめて「控訴人商品」という。
当裁判所の判断
1 事実関係についての控訴人の主張 事実関係についての控訴人の主張は、概ね、次のとおりであると理解することができる。
(1) 控訴人は、その市場調査や海外出張により得た知見に基づき、控訴人商品三ないし六を企画し、控訴人の仕様に基づき、これらの商品の開発・製造を、訴外ジャルインフォテック株式会社(訴外JIT)の前身である訴外テスコム株式会社(テスコム。裁判所注)に請負契約で委託した。
(裁判所注:訴外テスコム株式会社は、その後、商号をジャルデータ通信株式会社と変更し、平成8年、日航情報開発株式会社と合併して、商号がジャルインフォテック株式会社となった。判決文中では、同訴外会社を訴外JITと表示するが、
必要に応じて当該時期の旧商号(「株式会社」は省略。)を括弧内に付記する。) 控訴人は、訴外JIT(テスコム)に対し、開発費用(金型代、版下、フィルム、検査治具、コンピュータプログラム開発費等)、数千万円を支払った。控訴人商品の金型、基板の版下、コンピュータプログラムの著作権等は、いずれも、控訴人が訴外JIT(テスコム及びジャルデータ通信)から買い取っている。
訴外JITは、外注メーカーとして、控訴人の仕様に基づき、控訴人のために控訴人商品を開発・製造し、控訴人がこれを輸出していたのであるが、控訴人と訴外JIT(テスコム)との間には、控訴人商品に関して訴外JITが控訴人から開示を受けた営業秘密について秘密保持義務を負うこと、控訴人商品のデザイン・仕様等の変更や航空無線機他社への販売をしてはならないこと等を定めた契約が締結された。
控訴人は、控訴人商品について、訴外JIT(テスコム、ジャルデータ通信)の社員であった被控訴人Ybに対し、様々な情報や指示(VOR、多重無線、手動スイッチ、142.975Mhzまでの延長、アルカリバッテリー、ローカライザーの採用等を内容とする商品企画等々。その詳細内容は、訴状添付の「別紙目録(2)」のウに記載されている。)を与えた。
控訴人は、控訴人商品について、米国の訴外マーケット社から大量の受注を受けており、同社から継続的に受注を受ける見込みであった。
(2) 訴外JITは、被控訴人Yb及び同Yaに、控訴人商品三ないし六をそっくり真似たコピー品又は類似品である被控訴人商品一、二(JD-200、JD-100)を開発させた。
被控訴人Ya及び同Ybは、その後、被控訴人テクノブロードを設立し(その設立登記日は、被控訴人Ya及び同Ybが訴外JITを退職する前の平成11年6月16日である。)、訴外JITを退職した後、被控訴人テクノブロードのそれぞれ代表取締役及び取締役として、航空無線機の販売事業を行ってきた。被控訴人テクノブロードの設立は、控訴人商品をコピーした被控訴人商品一、二を、控訴人を介することなく、直接訴外マーケット社に販売するためであった。
被控訴人テクノブロードは、訴外JITから、被控訴人商品一、二の製造・販売を引き継ぎ、同商品を訴外マーケット社に輸出した。そのため、控訴人は、控訴人商品の販路を失い、莫大な損害を蒙った。
(3) 被控訴人テクノブロードが販売する被控訴人商品一、二は、もともと、被控訴人GREが訴外JITからの製造委託を受けて製造していたものであるが、被控訴人テクノブロードが訴外JITから同商品を引き継いだ後は、被控訴人GREが被控訴人テクノブロードからの製造委託を受けて製造している。
被控訴人商品一、二の製造には、被控訴人Ybが被控訴人GREに不正に開示した控訴人の営業秘密(控訴人商品三ないし六の回路図、技術資料、見本、製造ノウハウ等。営業秘密の詳細内容は、後記2記載の目録のとおりである。)が使用されている。VORの演算式一つとってみても、ブラックボックスになっており、これを利用しなければ、被控訴人商品一、二の製造は不可能である。
2 控訴人の主張する営業秘密 控訴人が営業秘密と主張するものは、訴状添付の「別紙目録(2)」及び控訴人の平成14年9月13日付け準備書面添付の「別紙目録(2)訂正」に記載されたところに即して考えると、次のアないしウのとおりであると理解することができる。
ア 訴外マーケット社の社名及び住所 イ 訴外マーケット社が航空無線機の輸入を希望していること。どのような機能で、どのようなデザインで、どのような仕様であるか。いくら位で何台売れるかという営業上の情報
ウ 控訴人商品三ないし六に関する情報 @ 商品三(モデル名:ATC720XNU)に関して 商品企画、製品仕様書、市場調査情報、米国での実際の飛行のテストデータ、販売ルート、売り先(訴外マーケット社)、のれん、どういう航空無線機がヒットするかの情報、仕入れと販売の値段、大量に継続して売れるという情報等。
VOR、VOR信号を受信しコンピュータで計算し、ディスプレーにVORの磁方位を表示させる特殊プログラム、VOR機能、及び多重無線方式、及び両手を離して飛行機を操縦できる手元スイッチ方式の採用。米国にあるヘッドホンメーカーの回路に合わせること。アルカリバッテリーを販売基本ユニットとする。デザイン(控訴人の米国特許)、機構、142.975MHZまでの延長。取扱い説明書、
操作方法、電気仕様書等。
コンピュータプログラムの資料、回路図、版下、調整手順書(修理マニュアル)、商品マニュアル、生産上の知識、その他技術資料の全て。
A 商品四(モデル名:ATC720XNV(控訴人の原審平成14年9月13日付け準備書面添付の目録(1)訂正によればATC760XNV))に関して 商品企画、市場調査情報、製品仕様書、仕入れ値段、販売価格、数量、開発費、
形状、機構、色、液晶を後ろからグリーンで照らす方式、手のひらに当たる部分がずり落ちないように製品にギザギザを付ける。バッテリー2本を追加。12Vのシガレットソケットからも電源を取れる。ローカライザー/VOR/OBS/CDIを一つの液晶にまとめて表示させる小型航空無線機では世界の業界初の控訴人のアイデア、及びこれがヒットするという情報、これに付随する技術情報、資料及び技術成果。商品五に述べた全情報を含む。
B 商品五(モデル名:TW-300-1)に関して 商品企画、開発資料一式、製品仕様書、部品表、飛行機でのテストデータ、回路図、基本回路構成、ブロックダイアグラム、取扱い説明書、生産仕様書、ローカライザー/VOR/OBS/CDIの一体表示システム、構想、表示方法、基本回路構成、特殊プログラム。コンピュータープログラムの開発資料全て、例えばルーチン、サブルーチンオブジェクトコード、ソースプログラム。フローチャート、メモリーマップ、ハードウェア、モジュール構成図、解析方法。日立の同一型番のCPU(I.C.)を使用した同等CPU回路、及び全体の回路構成。ローカライザー、VOR、OBS、CDIの特殊計算方法(演算式)。ローカライザー、VOR信号の信号を受信してコンピュータで計算し(これは知られていない特殊計算でブラックボックス)、VORとローカライザーの情報及びそれぞれに対するコースのずれをグラフィックに表示するシステム。及びこの一体表示のアイデア。全ての開発生産に関わる技術資料及び成果。
C 商品六(モデル名:WIN-108)に関して 形、仕様書、機能、販売価格、数量、周波数142.975MHZまで延長する控訴人の発案。版下等、控訴人の客先からの品質に関するコメント(テスト情報)。部品を小型化した(チップ部品)ローコストにする控訴人の案。継続して取引ができるという取引上の情報。
3 不正競争防止法違反の主張について 当裁判所は、次のとおり付加するほかは、原判決と同一の理由により、不正競争防止法違反の主張は理由がないものと判断する。
(1) 控訴人は、被控訴人らによる営業秘密の不正取得・使用・開示等(不正競争防止法2条1項4号ないし9号)を主張するが、控訴人が営業秘密として主張する前記2のアないしウに掲記のものは、いずれも、その性質上「営業秘密」たり得ないものであるか(例えば、容易に調査可能な訴外マーケット社の社名や住所、商品自体又はその附属文書等を見たり分析したりすることによって容易に知り得る商品の仕様、機能、構造、操作方法等に関する情報など)、あるいは、本件全証拠を検討しても、不正競争防止法2条4項の「営業秘密」の要件である秘密管理性有用性及び非公知性の全部を充足するとは認められないものである。
控訴人は、被控訴人らとの間に守秘義務契約が存在することを理由に、いわゆる秘密管理性の要件が充たされると主張するかのようであるが、後記のとおり、そもそも、このような守秘義務契約が控訴人と被控訴人らとの間で締結されたとは証拠上認められない上、仮に両者間に何らかの契約が締結されたことがあるとしても、
秘密を守る旨の債権的契約から直ちに不正競争防止法上の秘密管理性等の要件が充足されるわけではなく、秘密管理性等の要件を具体的に充足したことについての主張立証はないから、いずれにしても控訴人の主張を採用することはできない。
(2) なお、控訴人は、被控訴人商品一、二は、控訴人商品の回路図、版下、プログラム、その他の控訴人商品に関して作成された技術資料を使用し、同控訴人商品をそっくり真似て作られたコピー品であると主張するが、本件全証拠(とりわけ控訴人が物真似の証拠であるとする甲16,22ないし44。枝番の表示省略)を検討しても、控訴人主張の事実を認めることはできない(商品の仕様、機能、性能、
操作方法、形態、表示方式等の同一ないし類似性は、それのみでは、控訴人商品の技術資料が被控訴人商品一、二に使用されていることを推認させるものではない。)。
(3) また、控訴人は、被控訴人らが控訴人の周知の商品等表示(不正競争防止法2条1項1号)を使用したとも主張する。訴状添付の「別紙目録(1)」(及び平成14年9月13日付け準備書面添付の「別紙目録(1)訂正」)記載の「商品三」の外装、箱、バッテリーケース等、控訴人が商品等表示として主張するものの特定が不十分である点はさておいても、証拠上、これらが控訴人の商品等表示として「需要者の間に広く認識されている」(同号)ものと認めることはできない。
(4) 以上によれば、不正競争防止法違反に基づく控訴人の損害賠償請求及び差止請求は、理由がない。
4 不法行為の主張について 当裁判所は、次のとおり付加するほかは、原判決と同一の理由により、不法行為の主張は理由がないものと判断する。
(1) 控訴人の主張するところは必ずしも明確ではないが、善解すれば、控訴人は、訴外JITが控訴人との間で締結した秘密保持契約を遵守する義務が被控訴人らにもあることを前提に、被控訴人らが、同契約で保護の対象とされた情報を開示・使用した行為をもって、共同不法行為に当たると主張していると解される。
(2) 証拠(甲1ないし14)によれば、控訴人と訴外JIT(テスコム、ジャルデータ通信)との間には、昭和62年(1987年)から平成5年(1993年)にかけて、次のような書面が取り交わされたことが認められる(〔 〕内は当事者)。
@ 1987年(昭和62年)12月8日付け覚書〔控訴人とテスコムとの間〕(甲13) エアバンドレシーバー「WIN-108」について、最初の出荷日から3年間に控訴人が5000台を引き取る予定のため、訴外テスコムは、海外及び国内の一手販売権を控訴人に与えること、控訴人の承諾なくして類似品を他社に販売しないこと等が記載されている。
A 1988年(昭和63年)9月16日付け「VHF航空バンド小型携帯トランシーバー(VOR標示機能付き)の製作請負に関する契約書」〔控訴人とテスコムとの間〕(甲3) VOR表示機能付きVHF航空バンド小型携帯トランシーバーの製作請負契約であり、控訴人の定めた仕様に基づきテスコムが同商品を製作すること(1条)、販売権は控訴人が有し、テスコムは、変更、類似商品の製造、請負開発、販売を避けること(7条)、両当事者は、この契約の履行にあたり知り得たお互いの業務上の資料又は知識を相手方の承諾なくして第三者に漏洩し又は公表してはならないこと(24条)等が規定されている。
B 1989年(平成元年)6月19日付け「覚え書き」〔控訴人とテスコムとの間〕(甲6) テスコムは、控訴人と取引しているHANDY AIR BANDトランシーバーに関し、営業活動を行わず、引き合いがあったときは控訴人に連絡し、営業活動を任せること等が記載されている。
C 1989年(平成元年)6月23日付け「ORDER」と題する書面〔控訴人とテスコムとの間〕(甲5) 注文品として、携帯式エアバンドトランシーバーのPCボードのCPUに関するフィルム・版下、NCテープ、金型及びピールコート版下並びにRTX回路に関するフィルム・版下、NCテープ、金型、ピールコート版下(合計代金202万円)を記載した部分に続けて、注文品を他社のために使用したり、改造、設計変更をしないこと等を記載した文面がある。
D 1989年(平成元年)9月1日付け「覚書」〔控訴人とテスコムとの間〕(甲1) 訴外テスコムは、WIN-108HANDYエアバンドトランシーバーについての取引をすべて控訴人を通じて行い、自らを製造元として公表せず、また、顧客からの直接引き合いには応じないこと等が記載されている。
E 1989年(平成元年)12月11日付け「開発業務請負契約書」〔控訴人とテスコムとの間〕(甲9) テスコムが控訴人の委託を受けて行う開発業務(開発代金980万円)につき、
開発成果(販売権を含む。)は控訴人の所有とすること(14条)、テスコムは本件業務及びこれに関連する技術的成果を第三者に公開してはならないこと(15条)、本件業務に関する仕様書、その他の資料についてはテスコムは特に厳重な取扱いを行い、その保管管理につき控訴人に対し一切の責を負うこと、仕様書その他資料(回路図を含む。)を控訴人以外のために使用しないこと、テスコムが本件業務の遂行によって知り得た控訴人の販売上その他業務上の機密を乙は第三者に漏洩してはならないこと(16条)、等が規定されている。
F 1989年(平成元年)12月11日付け覚書〔控訴人とテスコムとの間〕(甲11) テスコムは控訴人からの依頼を受けたときはIn・Dashエアバンドトランシーバーの量産製作を請け負うという内容のもの。
G 1990年(平成2年)1月25日付け「譲渡証書」〔控訴人がジャルデータ通信に宛てたもの〕(甲4) ジャルデータ通信はATC720XNUのプログラムを控訴人に譲渡するという内容のもの。
H 1990年(平成2年)5月1日付け「注文書501」と題する書面〔控訴人がジャルデータ通信に宛てたもの〕(甲8) 米国向けのMOCK-UP型用図面を注文する書面。ソフトウエア及び仕様についての指示(CDI、ローカライザーを入れる、バッテリケースはニカド、アルカリ電池兼用とする等)が記載されている。
I 1990年(平成2年)5月2日付け「ORDER NO.502」と題する書面〔控訴人とジャルデータ通信との間〕(甲14) WIN108を発注する注文書の中に、開発業務一式420万(開発費320万、サンプル、金型等100万)について記載した文面があり、サンプル、金型、
版下等は控訴人に所有権が帰属すること及び販売等については従来の覚書どおりとする旨の記載がある。
J 1990年12月18日付け「製作請負契約書」〔控訴人とジャルデータ通信との間〕(甲10) IN・DASHポータブルエアーバンドトランシーバーの製作請負契約。ジャルデータ通信が控訴人の仕様に基づき製品を製作すること(1条)、一切の販売権は国内、国外とも甲が有し、ジャルデータ通信は本製品を他に製造・販売しないこと(16条)が規定されている。
K 1991年(平成3年)3月20日付け「ORDER NO.320」と題する注文書〔控訴人がジャルデータ通信に宛てたもの〕(甲2) VOR付き携帯エアバンドトランシーバーの注文を記載した文章の下に、訴外スポーツマンズ社から引き合いがあっても、取引はすべて控訴人を通して行い、直接取引をしないことを控訴人がジャルデータ通信に要請する文面が記載されている。
L 1991年平成3年3月28日付け「譲渡証書」〔控訴人とジャルデータ通信との間〕(甲12) インダッシュトランシーバーモデルTW300-1のプログラムの著作権を控訴人に譲渡する旨を記載した証書。
M 1993年(平成5年)2月22日付け「注文書」〔控訴人がジャルデータ通信に宛てたもの〕(甲7) ATC720XNU HANDY エアバンドトランシーバー500台2口の注文の下に、@ないしEとして、デザイン、仕様等を変更して他社へ航空無線機を開発販売しない、控訴人の販売先とは直接取引せず、すべて控訴人を通して行うこと等が箇条書きされている。
(3) 上記(2)の@ないしMの契約等のうち、昭和63年(1988年)9月16日付けの製作請負契約(上記アA、甲3)の第24条及び平成元年(1989)年12月11日付けの「開発業務請負契約書」(同E、甲9)の第16条に、それぞれ機密保持に関する定めがあること、また、後者の契約書の第15条には、契約に係る業務に関する仕様書、その他の資料(回路図を含む。)を甲(控訴人)以外に使用しない旨の定めがあることが認められる。しかし、上記各契約の機密保持条項にいう「契約の履行に当たり知り得た甲又は乙の業務上の資料又は知識」が極めて漠然としていることをさておいても、それらの契約当事者は、いずれも訴外JIT(テスコム)であるから、同契約に基づいて、訴外JITとは別個の法主体である被控訴人らが控訴人に対して秘密保持義務等の義務を負うということはできない。
控訴人は、入社時の誓約書、労働基準法、信義則、公序良俗等を列挙した上、不法行為の成立を主張しており(平成14年7月31日付け準備書面9頁、平成15年7月27日付け準備書面4頁)、条理上の秘密保持義務の成立及びその違反を主張する趣旨とも解されるが、上記契約のような秘密保持の対象となるべき情報を特定しない秘密保持条項に基づいて契約当事者以外の者に秘密保持義務を負わせることは妥当でないと考えられる上、そもそも被控訴人商品が秘密保持義務の対象となる具体的な情報を使用して開発・製造されたという点については、これを認めるに足りる証拠もない。
(4) 以上によれば、被控訴人らに控訴人に対する秘密保持義務の違反があったとの前提に立って、被控訴人らに共同不法行為が成立するとする控訴人の主張は、採用することができない。
5 著作権法違反の主張について 当裁判所は、次のとおり付加するほかは、原判決と同一の理由により、著作権法違反の主張は理由がないものと判断する。
(1) 控訴人が訴外JIT(ジャルデータ通信)から、控訴人商品三及び控訴人商品五のソフトウェアプログラムに関する著作権の譲渡を受けた事実は当事者間に争いがない。
(2) 控訴人は、被控訴人商品一は控訴人商品五のソフトウェアプログラムを、被控訴人商品二は控訴人商品五のソフトウェアプログラムを、それぞれ使用しているから、著作権侵害であると主張し、@控訴人商品一と控訴人商品五の類似点として、液晶表示方法、基本回路、CPUの型番・回路、特殊演算方法、ローカライザー等を、A被控訴人商品一と控訴人商品五の類似点として、操作方法、電気仕様、
表示方法、受信して演算して表示するという基本構想を、B被控訴人商品二と控訴人商品五の類似点として、操作方法及び表示方法を、それぞれ挙げている(平成14年7月31日付け準備書面15,16頁、平成15年7月27日付け準備書面8頁)。
しかしながら、仮に、上記諸点において各商品が同一ないし類似する事実を認めることができたとしても、これらはいずれも一般的な機能やアイデアそのものであるから、これらの類似をもって直ちに著作権侵害を肯認することはできない。控訴人は、被控訴人商品一、二のソフトウェアプログラムが控訴人商品のソフトウェアプログラムに関する控訴人の著作権を侵害する事実は、甲22ないし24の書面(鑑定書、陳述書等)により、明らかであるというが、これらの書面は、ブロックダイヤグラム、基本回路構成の類似性、ソフトウェアプログラムの互換性等を挙げた上、開発者が同一ならソフトウェアプログラムも実質同一であると考えられると結論づけているものであって、技術的見地からする信頼性に乏しく、控訴人の主張を裏付けるものということができない。 (3) 以上によれば、著作権法違反をいう控訴人の主張も、採用することができない。
6 その他の主張について 控訴人は、その他、請求原因として、不当利得、事実たる商慣習、控訴人が有する米国のデザイン特許の侵害を主張するが、これらの主張が理由のないことについては、原判決7頁の18行ないし8頁3行の説示のとおりである。
結論
以上のとおり、控訴人の請求は、当審における追加請求を含めて、いずれも理由がなく、本件控訴も理由がない。よって、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 古城春実
裁判官 田中昌利
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