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事件 平成 15年 (ワ) 1105号 不正競争行為差止等請求事件
原告 株式会社サンファミリー
訴訟代理人弁護士 西口徹
同 奥村太朗
補佐人弁理士 浅谷健二
被告 株式会社永光
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2003/08/28
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告は、別紙被告商品目録記載の商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入してはならない。
2 被告は、原告に対し、金50万3276円及びこれに対する平成15年2月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は、これを2分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
5 この判決は、第1、第2項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 請求の趣旨 (1) 主文第1項同旨 (2) 被告は、原告に対し、金239万1291円及びこれに対する平成15年2月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 訴訟費用は被告の負担とする。
(4) 仮執行宣言 2 請求の趣旨に対する答弁 原告の請求をいずれも棄却する。
当事者の主張
1 請求原因 (1) 当事者 ア 原告は、カタログによる日用品雑貨の卸売及び小売などを業とする株式会社である。
イ 被告は、家庭用電化製品や雑貨等の輸入、卸売及び小売などを業とする株式会社である。
(2) 原告商品の開発等 ア 原告商品 別紙原告商品目録記載の商品(以下「原告商品」という。)は、トリートメントブラシであり、ブラシからマイナスイオンを放出させ、プラス電荷に帯電している毛髪がマイナスイオンにより電気的に中和されることにより、髪をとかしたときにさらさら感が得られるとともに、細胞組織の新陳代謝が活発化して、痛んだ毛髪をよみがえらせるケアーブラシとして使用されるものである。
イ 原告商品の開発等 (ア) 原告は、平成13年5月ごろから原告商品の開発の検討を開始し、
同年7月13日、イージーデザインことAと協議の上、開発を正式に決定し、同月24日、Aから提出されたデザイン3種類のうちから1種類を選択し、同年8月23日、基本設計図面が作成され、同年9月12日、基本仕様が確定され、同月16日、第1回目のモデルの修正が行われ、同年10月16日、マークのデザインが行われ、その後、金型の修正などを経て、平成14年4月4日、パッケージの仕様を決定し、同月5日、中国の工場で初回分の生産に着手し、同月22日、初回に生産された原告商品約5900個が我が国に輸入され、同月23日、そのうち2016個が初めて出荷された。
(イ) 原告商品は、本体部と、取り外し可能なアタッチブラシから成るところ、原告は、平成14年4月16日、原告商品全体についての意匠登録出願(意願2002-10194号)及び本体部についての部分意匠の意匠登録出願(意願2002-10198号)をした。
(ウ) 当初の原告商品は、マイナスイオンの発生量が、約1500個/ccであったが、イオン効果を高めるため、マイナスイオンの発生量を約4万個/ccとする改良を行い、平成14年7月3日から、改良した原告商品を販売している。改良後の原告商品の形態は、当初の原告商品とほとんど変わらず、包装箱の表面の上部中央付近に掲載された、折り畳んだ状態の原告商品の写真の背景色について、当初紫色であったのを黄色に変更しただけである。
(エ) 原告商品の包装箱の裏面には、発売元として株式会社ニーズの商号が記載されている。同社は、原告代表者が過半数の株式を有し、代表者となっている原告の関連会社であり、同社が発売元として責任を負う代わりに売上げに応じたマージンを取得することとされており、原告商品の輸入、販売は、原告が行っている。
(オ) このように、原告商品の企画、設計、生産、販売は、すべて原告が行った。
ウ 原告商品の宣伝等 (ア) 原告は、次のように、原告商品について、通信販売のカタログ、新聞の折込広告及びテレビショッピング番組に掲載するなどの宣伝広告を行った。
@ 平成14年5月15日 同日付の全国雑貨流通新聞に、原告が新商品として原告商品を販売していることが掲載された。
A 同年6月7日ころ 通信販売のカタログ「アイデア雑貨バザール」に原告商品が掲載された。
B 同年7月5日ころ 日用品店MYCAL SATYのちらしに原告商品が掲載された。
C 同月8日ころ 通信販売のカタログ「アイデア生活」に原告商品が掲載された。
D 同月15日ころ 通信販売のカタログ「メルシー」に原告商品が掲載された。
E 同年8月15日 同日から、株式会社オークローンの行っているテレビショッピングで、原告商品の通信販売が開始された。
(イ) 原告商品は、次のように、トレンド商品として雑誌、テレビで紹介された。
@ 平成14年8月20日 同日号の雑誌「TOKYO1週間」に掲載された。
A 同月26日 フジテレビ系列の番組「めざましテレビ」で紹介された。
エ 原告商品の販売数 (ア) 原告商品の販売数は、平成14年4月23日の販売開始後、同日から同年5月20日まで8614個(出荷8628個うち返品14個)、同月21日から同年6月20日まで1万6551個(出荷1万7574個うち返品1023個)、同月21日から同年7月20日まで7万0624個(出荷7万0721個うち返品97個)というように順調に増加し、同年4月23日から同年7月20日までの販売数の合計は9万5789個(出荷数から返品数を除く)であった。
(イ) 平成14年7月以降、原告商品の販売数は減少し、同月21日から同年8月20日までの原告商品の販売数は、1万6166個(出荷1万6275個うち返品109個)であり、同年6月21日から同年7月20日までの販売数の4分の1以下であった。原告商品の販売数は、同年8月21日から同年9月20日まで4663個(出荷5098個うち返品435個)、同月21日から同年10月20日まで3283個(出荷3647個うち返品364個)、同月21日から同年11月20日まで2594個(出荷2771個うち返品177個)であった。
(3) 被告商品の販売等 被告は、平成14年8月ごろから、別紙被告商品目録記載の商品(以下「被告商品」という。)の販売を開始した。
(4) 原告商品の形態と被告商品の形態 ア 原告商品の形態 (ア) 原告商品は、本体とアタッチブラシとから構成されている。本体は、持ち手部とブラシ取付部がヒンジを介して連結されて成る。
持ち手部は、矩形平板状で、表面部の面内に凹み部が設けられ、この凹み部内に、スイッチと電源ONで緑色に点灯する駆動表示ランプが配置されている。また、持ち手部の内面部側には電池カバーが脱着可能に設けられている。
ブラシ取付部は、表面を彎曲状、内面を平坦状とした断面略半円形状の板体で、先端部側が先細彎曲状とされている。そして、ブラシ取付部の彎曲面部には、面内に小さな楕円形状をした四つの空気孔が開設されている。
(別紙1原告商品の説明図中のA1全体斜視図) (イ) 持ち手部の先端には、円筒状の固定筒が固着され、ブラシ取付部の基端両側の短筒状回動部が、固定筒の左右両側に回動可能に取り付けられてヒンジを構成している。これにより、ブラシ取付部は持ち手部に対し、重ね合わせ状に二つ折りにすることができる。
(別紙1原告商品の説明図中のA2分離状態図及びA3折畳み状態図) (ウ) ブラシ取付部の平坦面部の面内には、長さの長いスリットと短いスリットを直列状に配した一対のイオン流出孔が上下2列に開設されており、イオン流出孔の先端側と後端側の上下両側には、係合孔が開設されている。
アタッチブラシは、平板状の台座部と、この台座部に立設される多数のブラッシング杆で構成される梳かし部から成る。
台座部の面内には、四つのH型孔部が並列状に配置され、一端部側と他端部側のH型孔部のそれぞれ両端中央には、先端が外向きに屈曲する係合片を立設している。この係合片が、平坦面部の係合孔に対し係脱することで、平坦面部に対し、アタッチブラシ(台座部)を脱着可能に取り付けることができる。そして、
取付状態において、重合する台座部のH型孔部と平坦面部のイオン流出孔とは連通する。
(別紙1原告商品の説明図中のA2分離状態図、原告商品目録中の3形態、背面図) (エ) 原告商品は、ABS樹脂の成形品であり、色はパールホワイトで、
表面には光沢がある。
(オ) 本体の長さは230mm(持ち手部の長さ120mm、ブラシ取付部の長さ110mm)であり、ヒンジ位置の高さは32mm、持ち手部基端の幅は39mmである。また、アタッチブラシの長さは98mm、基端の幅は38mm、
高さは28mmである。
(別紙3具体的構成態様の比較) (カ) 持ち手部の内部には、2個の電源電池が並列配置されるとともに、
電子部品を実装するプリント配線基板が収納配置されている。また、ブラシ取付部の内部には、変圧器と、プリント配線基板に囲まれた二つの電極(放電部)があり、これらが電気的に接続されている。
(別紙1原告商品の説明図中のA4部品配置図) (キ) 原告商品は、販売時には、ブリスタートレイに、本体、アタッチブラシ、スペアーブラシ及び折り畳んだ布製ポーチを配置し、中央に透明窓のある包装箱に収納されている。
(別紙1原告商品の説明図中のA5包装状態図) イ 被告商品の形態 (ア) 被告商品は、本体とアタッチブラシとから構成されている。本体は、持ち手部とブラシ取付部がヒンジを介して連結されて成る。
持ち手部は、矩形平板状で、表面部の面内に凹み部が設けられ、この凹み部内に、スイッチと電源ONで白色に点灯する駆動表示ランプが配置されている。また、持ち手部の内面部側には電池カバーが脱着可能に設けられている。
ブラシ取付部は、表面を彎曲状、内面を平坦状とした断面略半円形状の板体で、先端部側が先細彎曲状とされている。そして、ブラシ取付部の彎曲面部には、面内に小さな楕円形状をした五つの空気孔が開設されている。
(別紙2被告商品の説明図中のB1全体斜視図) (イ) 持ち手部の先端には、円筒状の固定筒が固着され、ブラシ取付部の基端両側の短筒状回動部が、固定筒の左右両側に回動可能に取り付けられてヒンジを構成している。これにより、ブラシ取付部は持ち手部に対し、重ね合わせ状に二つ折りにすることができる。
(別紙2被告商品の説明図中のB2分離状態図及びB3折畳み状態図) (ウ) ブラシ取付部の平坦面部の面内には、長さの長いスリットと短いスリットを直列状に配した一対のイオン流出孔が上下2列に開設されており、イオン流出孔の先端側と後端側の上下両側には、係合孔が開設されている。
アタッチブラシは、平板状の台座部と、この台座部に立設される多数のブラッシング杆で構成される梳かし部から成る。
台座部の面内には、四つのH型孔部が並列状に配置され、一端部側と他端部側のH型孔部のそれぞれ両端中央には、先端が外向きに屈曲する係合片を立設している。この係合片が、平坦面部の係合孔に対し係脱することで、平坦面部に対し、アタッチブラシ(台座部)を脱着可能に取り付けることができる。そして、
取付状態において、重合する台座部のH型孔部と平坦面部のイオン流出孔とは連通する。
(別紙2被告商品の説明図中のB2分離状態図、被告商品目録中の3形態、背面図) (エ) 被告商品は、ABS樹脂の成形品であり、色はパールホワイトで、
表面には光沢がある。
(オ) 本体の長さは234mm(持ち手部の長さ120mm、ブラシ取付部の長さ114mm)であり、ヒンジ位置の高さは32mm、持ち手部基端の幅は39mmである。また、アタッチブラシの長さは103mm、基端の幅は38mm、高さは28mmである。
(別紙3具体的構成態様の比較) (カ) 持ち手部の内部には、2個の電源電池が並列配置されるとともに、
電子部品を実装するプリント配線基板が収納配置されている。また、ブラシ取付部の内部には、変圧器と、プリント配線基板に囲まれた二つの電極(放電部)があり、これらは電気的に接続されている。
(別紙2被告商品の説明図中のB4部品配置図) (キ) 被告商品は、販売時には、ブリスタートレイに、本体、アタッチブラシ、スペアーブラシ及び折り畳んだ布製ポーチを配置し、中央に透明窓のある包装箱に収納されている。
(別紙2被告商品の説明図中のB5包装状態図) ウ 原告商品の形態と被告商品の形態の比較 原告商品と被告商品の形態は、基本的構成及び各構成要素の配置位置などが細部に至るまで共通である。
原告商品と被告商品の形態の相違点は、駆動表示ランプの色が、原告商品は緑色であるのに対し被告商品は白色である点、ブラシ取付部の彎曲面部の面内に開設された小さな楕円形状の空気孔の数が、原告商品が四つであるのに対し被告商品は五つである点、本体の長さ、本体中のブラシ取付部の長さが、原告商品は230mm、110mmであるのに対し、被告商品は234mm、114mmである点、アタッチブラシの長さが、原告商品は98mmであるのに対し、被告商品は103mmである点であるが、これらの相違点は、全体に比べてわずかな差にすぎない。
したがって、原告商品と被告商品は、形態が同一である。
(5) 模倣 原告商品と被告商品は、前記(4)ウのとおり、形態が同一である。
被告商品は、当初の原告商品のパッケージのデザイン、文言、取扱説明書をそのまま使用し、原告商品のパッケージ裏面の発売元の記載部分を空白にし、パッケージに製造元、発売元、輸入元等を記載していない。また、被告は、原告商品のパンフレット等を使用して被告商品を販売していた。
原告商品の取扱説明書には、スイッチの表示方式として「ONで緑点灯」、本体の大きさとして「約230×39×32mm(使用時)」と記載されている。被告商品は、前記(4)ウのとおり、駆動表示ランプの色が白色である点、本体の長さが234mmである点で原告商品と異なるが、被告商品の取扱説明書には、
スイッチの表示方式、本体の大きさとして、原告商品の取扱説明書と同様の記載がされている。
これらの事実からすると、被告商品は、原告商品を模倣したものであることが明らかである。
(6) 不正競争 これまで述べたところによれば、被告が被告商品を輸入、販売することは、不正競争防止法2条1項3号の不正競争に該当する。
(7) 営業上の利益侵害 被告が被告商品を輸入、販売したことにより、原告は営業上の利益侵害された。被告は、今後も被告商品を輸入、販売等するおそれがあり、それにより、
原告の営業上の利益侵害されるおそれがある。
(8) 損害 ア 逸失利益 (ア) 別紙損害計算書のとおり、平成14年4月23日から同年10月20日までの原告商品の平均販売単価は1042円であり、1個当たりの平均利益率は30.26%であるから、1個当たりの利益額は、315.3092円である(1042円×0.3026=315.3092円)。
平成14年4月23日から同年10月20日まで、被告商品が販売されたことにより、原告は、原告商品3000個を販売することができなくなったから、原告の逸失利益相当の損害は94万5928円である(315.3092円×3000個=94万5928円)。
(イ) 別紙損害計算書のとおり、平成14年10月21日から同年11月20日までの原告商品の平均販売単価は797円であり、1個当たりの平均利益率は18.02%であるから、1個当たりの利益額は、143.62円である(797円×0.1802=143.62円)。
原告商品の1個当たりの利益額は、平成14年10月20日までは、
前記(ア)のとおり315.3092円であったが、被告商品が販売されたことにより、同月21日から同年11月20日までは、上記のとおり143.62円となったから、原告は、同年10月21日から同年11月20日まで、原告商品1個当たり171.69円(315.3092円-143.62円=171.69円)の逸失利益相当の損害を被った。
原告は、平成14年10月21日から同年11月20日まで、前記(2)エ(イ)のとおり、原告商品を2594個販売したから、同期間の原告の逸失利益相当の損害は、44万5363円(171.69円×2594個=44万5363円)である。
(ウ) したがって、原告の被った逸失利益相当の損害は、合計139万1291円(94万5928円+44万5363円=139万1291円)である。
イ 被告の利益 被告は、被告商品を3000個販売した。
被告商品1個当たりの販売価格は530円、仕入価格は2.95ドル(1ドル120.90円として計算すると356.655円)であるから、被告商品1個当たりの利益は173.345円(530円-356.655=173.345円)である。
したがって、被告が被告商品の販売によって受けた利益は、52万0035円(173.345円×3000個=52万0035円)であり、不正競争防止法5条1項により、この額が、原告が受けた損害の額と推定される。
原告は、前記アの逸失利益相当の損害が認められない場合、被告の受けた利益相当の損害の賠償を請求する。
弁護士費用 原告は、本訴提起を弁護士に委任し、着手金及び成功報酬として100万円を支払うことを約したから、被告の不正競争と相当因果関係にある弁護士費用相当の損害は100万円である。
エ 損害の合計 したがって、損害の合計は239万1291円(139万1291円+100万円=239万1291円)である。
(9) 結論 よって、原告は、被告に対し、不正競争防止法2条1項3号3条1項に基づき、被告商品の譲渡、貸渡し、譲渡若しくは貸渡しのための展示、輸出若しくは輸入の差止めを求め、同法4条に基づき、損害賠償として239万1291円及びこれに対する不正競争の後である平成15年2月20日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2 請求原因に対する認否 (1) 請求原因(1)(当事者)アの事実は不知であり、イの事実は否認する。
(2) 請求原因(2)(原告商品の開発等)ア(原告商品)の事実、イ(原告商品の開発等)(ア)ないし(オ)の事実、ウ(原告商品の宣伝等)(ア)、(イ)の事実、エ(原告商品の販売数)(ア)、(イ)の事実は、いずれも不知。
(3) 請求原因(3)(被告商品の販売等)の事実は、被告が、平成14年9月3日、被告商品を3000個仕入れ、同月4日、株式会社イトウに2040個販売し、同日又は同月5日に他1社に960個販売したという限度で認め、その余は否認する。
(4)ア 請求原因(4)(原告商品の形態と被告商品の形態)ア(原告商品の形態)(ア)ないし(キ)の事実は、いずれも否認する。
イ 請求原因(4)イ(被告商品の形態)(ア)ないし(キ)の事実は、いずれも否認する。
ウ 請求原因(4)ウ(原告商品の形態と被告商品の形態の比較)の事実は否認し、主張は争う。ただし、原告商品と被告商品の形態が実質的に同一であることは認める。
(5) 請求原因(5)(模倣)の事実は否認し、主張は争う。
(6) 請求原因(6)(不正競争)の主張は争う。
(7) 請求原因(7)(営業上の利益侵害)の事実は否認し、主張は争う。
被告は、平成14年9月初めに被告商品を市場調査のために3000個販売したが、その時点で市場性がなく、非常に売りにくい商品であることがわかったため、販売を中止し、その後は輸入も販売も行っていない。
(8)ア(ア) 請求原因(8)(損害)ア(逸失利益)(ア)のうち、被告商品が販売されたことにより、原告が原告商品を販売することができなくなったという事実は否認し、その余の事実は不知であり、主張は争う。
(イ) 請求原因(8)ア(イ)のうち、被告商品が販売されたことにより原告が逸失利益相当の損害を被ったという事実は否認し、その余の事実は不知であり、主張は争う。
不正競争防止法による規制の対象となるデッドコピーは、それが模倣されることにより競争上の不公平が生じるようなものであるところ、原告商品及び被告商品は、マイナスイオンの力ということにより売れたから、商品の外形は、販売にほとんど関係ない。原告商品の販売数が著しく減少したのは、NHKなどにより、空気中のマイナスイオンは存在しないという内容の放送が行われ、生活協同組合等が販売を中止し、一般消費者が購入を差し控えたことによる。
(ウ) 請求原因(8)ア(ウ)の主張は争う。
イ 請求原因(8)イ(被告の利益)のうち、被告が被告商品を3000個販売したこと、被告商品1個当たりの販売価格が530円、仕入価格が2.95ドルであることは認め、その余の事実は否認し、主張は争う。
被告商品の販売による利益を算出するために総販売価格から差し引かれる経費は次のとおり、合計132万6724円である。
@ 仕入価格(インボイス記載) 110万4480円(1ドル124.8円として計算する。124.8円×2.95ドル×3000個=110万4480円) A 送金手数料 1万円 B 税金 12万5300円 C 通関手数料 5万6944円 D 商品発送手数料 3万円(600円×50カートン=3万円) (@ないしDの合計 132万6724円) したがって、被告が被告商品の販売によって得た利益は、26万3276円(530円×3000個-132万6724円=26万3276円)を超えることはない。
ウ 請求原因(8)ウ(弁護士費用)の事実は不知であり、主張は争う。
エ 請求原因(8)エ(損害の合計)の主張は争う。
3 抗弁 (1) 通常有する形態 原告商品及び被告商品の形態は、女性用ヘアードライヤーの二つ折りタイプを原型とし、内部より送り出す熱風をマイナスイオンを含む風に変えただけのものである。そのような形態のものは40年前から販売されており、原告商品の形態は、同種の商品が通常有する形態である。
(2) 無重過失 原告商品の総販売個数は十数万個であるが、その程度の販売個数では、原告商品が原告の商品であることが認知されたとはいえない(被告におけるヒット商品は、100万個以上売れたものをいうのである。)。被告が、原告商品の開発経過に関する文書の内容を、被告商品の輸入前に知るのは不可能である。
被告が、原告が原告商品を販売しているのを知ったのは、平成14年9月中旬ごろである。被告商品の販売に原告商品のカタログを使用したのは株式会社イトウであって、被告ではなく、被告は、同カタログが被告商品の販売に使用されたことを、同年10月、本訴の仮処分事件(当庁平成14年(ヨ)第20065号)の審尋の過程で初めて知った。
したがって、被告は、被告商品の譲渡を受けた時に、被告商品が原告商品の形態模倣した商品であることを知らず、かつ、知らなかったことにつき重大な過失がないから(不正競争防止法12条1項5号)、被告商品の販売等については、不正競争防止法2条1項3号は適用されない。
4 抗弁に対する認否 (1) 抗弁(1)(通常有する形態)の事実は否認し、主張は争う。
(2) 抗弁(2)(無重過失)の事実は否認し、主張は争う。
株式会社イトウは、遅くとも平成14年8月末には、被告商品が原告商品の模倣であることを知っていたから、被告も、遅くとも同じころには、被告商品が原告商品の模倣であることを知っていたはずである。仮に被告がそれを知らなかったとしても、取引上当然に払うべき通常の注意義務を尽くせば、被告商品が原告商品の模倣であることを容易に知ることができたから、知らなかったことに重大な過失がある。
理 由1(1)ア 甲第5ないし第14号証、第15号証の1ないし7及び弁論の全趣旨によれば、請求原因(1)(当事者)アの事実が認められる。
イ 乙第1号証の1ないし3、第2、第3号証、第4号証の1ないし3、第5号証及び弁論の全趣旨によれば、請求原因(1)イの事実が認められる。
(2)ア 甲第7号証、第11ないし第14号証及び弁論の全趣旨によれば、請求原因(2)(原告商品の開発等)ア(原告商品)の事実が認められる。
イ(ア) 甲第5、第6号証、第16ないし第25号証及び弁論の全趣旨によれば、請求原因(2)イ(原告商品の開発等)(ア)の事実が認められる。
(イ) 甲第26、第27号証によれば、請求原因(2)イ(イ)の事実が認められる。
(ウ) 甲第1号証及び第4号証の各1ないし8、検甲第1号証、第3号証によれば、請求原因(2)イ(ウ)の事実が認められる。
(エ) 甲第1号証及び第4号証の各2並びに弁論の全趣旨によれば、請求原因(2)イ(エ)の事実が認められる。
(オ) 上記(ア)ないし(エ)の認定事実を総合すると、原告商品の企画、設計、生産、販売は、すべて原告が行ったことが認められる。
ウ(ア) 甲第7ないし第12号証によれば、請求原因(2)ウ(原告商品の宣伝等)(ア)の事実が認められる。
(イ) 甲第13、第14号証によれば、請求原因(2)ウ(イ)の事実が認められる。
エ(ア) 甲第15号証の1ないし3によれば、請求原因(2)エ(原告商品の販売数)(ア)の事実が認められる。
(イ) 甲第15号証の4ないし7によれば、請求原因(2)エ(イ)の事実が認められる。
(3) 請求原因(3)(被告商品の販売等)の事実のうち、被告が、平成14年9月3日、被告商品を3000個仕入れ、同月4日、株式会社イトウに2040個販売し、同日又は同月5日に他1社に960個販売したことは、当事者間に争いがない。
乙第1号証の1ないし3、第2号証、第4号証の1ないし3、第5号証及び弁論の全趣旨によれば、被告は、平成14年8月28日ごろ大阪港に到着した船便により、被告商品を中国から3000個輸入し、それを上記のように販売したことが認められる。被告がそれ以上に被告商品を輸入又は販売したことを認めるに足りる証拠はない。
(4)ア 甲第1号証の1ないし8、第4号証の1ないし8、検甲第1号証、第3号証によれば、請求原因(4)(原告商品の形態と被告商品の形態)ア(原告商品の形態)(ア)ないし(キ)の事実が認められる。
イ 甲第2号証の1ないし8、検甲第2号証によれば、請求原因(4)イ(被告商品の形態)(ア)ないし(キ)の事実が認められる。
ウ 請求原因(4)ウ(原告商品の形態と被告商品の形態の比較)について検討する。
上記ア、イの認定事実によれば、原告商品と被告商品の形態は、基本的構成及び各構成要素の配置位置において、細部に至るまでほぼ共通であることが認められる。
上記ア、イの認定事実によれば、原告商品と被告商品の形態の相違点は、
駆動表示ランプの色が、原告商品は緑色であるのに対し被告商品は白色である点、
ブラシ取付部の彎曲面部の面内に開設された小さな楕円形状の空気孔の数が、原告商品が四つであるのに対し被告商品は五つである点、本体の長さ、本体中のブラシ取付部の長さが、原告商品は230mm、110mmであるのに対し、被告商品は234mm、114mmである点、アタッチブラシの長さが、原告商品は98mmであるのに対し、被告商品は103mmである点にあることが認められる。また、
甲第1、第2号証及び第4号証の各1、5、6、8、第3号証の1、5、検甲第1ないし第3号証によれば、原告商品の本体のブラシ取付部表面の基端付近には、
「ion bh」のロゴが記載されているのに対し、被告商品には、そのようなロゴの記載はないことが認められる。しかし、これらの相違点は、いずれも微細な差異にとどまり、原告商品と被告商品の形態が、基本的構成及び各構成要素の配置位置において細部に至るまでほぼ共通であることに照らせば、原告商品と被告商品の形態は、これらの相違点を考慮したとしても、全体として、実質的に同一であるというべきである。
(5) 請求原因(5)(模倣)について検討する。
前記(4)ウに判示したとおり、原告商品と被告商品の形態は、実質的に同一である。
甲第1号証の1ないし8、第3号証の1ないし5、検甲第1、第2号証によれば、被告商品のパッケージは、当初の原告商品のパッケージの表面のモデルの写真を変え、表面及び裏面の「ion bh」のロゴを削除し、裏面の「発売元株式会社ニーズ」の表示を削除したのみで、その他は当初の原告商品のパッケージとほぼ同一である。
検甲第1、第2号証及び弁論の全趣旨によれば、被告商品の取扱説明書は、
当初の原告商品の取扱説明書とほぼ同一であることが認められ、被告商品は、前記(4)ウの認定のとおり、駆動表示ランプの色が白色である点、本体の長さが234mmである点で原告商品と異なるにもかかわらず、被告商品の取扱説明書には、原告商品の取扱説明書と同様に、表示方式として「ONで緑点灯」、本体の大きさとして「約230×39×32mm(使用時)」と記載されていることが認められる。
前記(2)イ(ア)の認定のとおり、原告商品は、平成14年4月23日、初めて出荷され(請求原因(2)イ(ア))、被告商品は、その後、前記(3)の認定のとおり、
同年8月末ごろ輸入されたものであって、原告商品の販売が開始されてから被告商品が輸入されるまでは、約4か月であり、原告商品の模倣品を製造するのに足りる期間があったものと認められる。
このように、被告商品は、その形態はもとより、パッケージや取扱説明書に至るまで当初の原告商品とほぼ同一であり、輸入時期も原告商品の模倣品を製造するのに足りる期間の経過後であったことからすると、被告商品は、原告商品を模倣したものと認めるのが相当である。
(6) 請求原因(6)(不正競争)、抗弁(1)(通常有する形態)、(2)(無重過失)について検討する。
ア 被告は、原告商品の形態が、同種の商品が通常有する形態である旨主張するが(抗弁(1))、同主張に係る事実を認めるに足りる証拠はないから、同主張は、
採用することができない。
イ 被告は、被告商品の譲渡を受けた時に、被告商品が原告商品の形態模倣した商品であることを知らず、かつ、知らなかったことにつき重大な過失がない旨主張する(抗弁(2))。
しかし、前記(2)ウ(ア)の認定のとおり、原告は、原告商品について、平成14年5月以降、通信販売のカタログ、新聞の折込広告及びテレビショッピング番組へ掲載するなどの宣伝広告を行い(請求原因(2)ウ(ア))、前記(2)ウ(イ)の認定のとおり、原告商品は、トレンド商品として雑誌、テレビで紹介され(請求原因(2)ウ(イ))、また、前記(2)エ(ア)、(イ)の認定のとおり、原告商品は、平成14年4月の発売後、相当数が販売されていたものである(請求原因(2)エ(ア)、(イ))。そして、前記(1)イの認定のとおり、被告は、家庭用電化製品や雑貨等の輸入、卸売及び小売などを業としている(請求原因(1)イ)。そうすると、これらの事実に鑑みれば、被告は、遅くとも平成14年8月末までには、原告商品が販売されていることを知っていたものと推認され、したがって、被告商品が原告商品の形態模倣した商品であることを知っており、仮に知らなかったとしても、知らなかったことにつき重大な過失があったものと推認される。
ウ したがって、被告が被告商品を輸入、販売することは、不正競争防止法2条1項3号の不正競争に該当するというべきである。
(7) 請求原因(7)(営業上の利益侵害)について検討する。
前記(6)ウに判示したとおり、被告が被告商品を輸入、販売することは、不正競争防止法2条1項3号の不正競争に該当するから、それにより、原告は営業上の利益侵害されたものと認められる。
被告は、前記(1)イの認定のとおり、家庭用電化製品や雑貨等の輸入、卸売及び小売などを業としており(請求原因(1)イ)、前記(3)の認定のとおり、被告商品を中国から輸入し販売したものであり、被告が本訴において被告商品の輸入、販売が不正競争防止法2条1項3号の不正競争に該当することを争っていることに鑑みると、被告は、被告商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入するおそれがあり、それによって原告の営業上の利益侵害されるおそれがあるものと認められる。
(8)ア 請求原因(8)(損害)ア(逸失利益)について検討する。
平成14年4月23日から同年10月20日まで、被告商品が販売されたことにより、原告が原告商品3000個を販売することができなくなったことを認めるに足りる証拠はないから、請求原因(8)ア(ア)の損害は、認めることができない。
また、原告が、平成14年10月21日から同年11月20日まで、原告商品1個当たり171.69円の逸失利益相当の損害を被ったことを認めるに足りる証拠はないから、請求原因(8)ア(イ)の損害も、認めることができない。
したがって、請求原因(8)ア(ウ)の損害も、認めることができない。
イ 請求原因(8)イ(被告の利益)のうち、被告が被告商品を3000個販売したこと、被告商品1個当たりの販売価格が530円、仕入価格が2.95ドルであることは、当事者間に争いがない。なお、弁論の全趣旨によれば、本件においては、1ドルを124.8円に換算するのが相当と認められる。
乙第4号証の1ないし3によれば、被告が、被告商品3000個を輸入するために、関税6万9300円、地方消費税1万1200円、消費税4万4800円の合計12万5300円の税金を支払ったことが認められる。
また、乙第5号証によれば、被告は、被告商品3000個を輸入するために、通関業者に対し、通関料、取扱料金、搬出料、運送料など合計5万6944円の通関手数料を支払ったことが認められる。
被告は、被告が被告商品の販売によって得た利益を算出するに当たり販売額から差し引かれる経費として、上記のほかに、送金手数料1万円、商品発送手数料3万円を主張するが、これらの金額の経費がかかったことを認めるに足りる証拠はない。
以上によれば、被告が被告商品を3000個販売したことにより得た利益を算出するために販売価格から差し引かれる経費は、仕入価格110万4480円(124.8円×2.95ドル×3000個=110万4480円)、税金12万5300円、通関手数料5万6944円の合計128万6724円であるものと認められ、これを販売価格159万円(530円×3000個=159万円)から差し引いた30万3276円(159万円-128万6724円=30万3276円)が、被告の受けた利益の額と認められ、不正競争防止法5条1項により、この額が、原告の受けた損害の額と推定され、この推定を覆すに足りる証拠はない。
ウ 請求原因(8)ウ(弁護士費用)について検討する。
本件の事案の性質、審理の経緯等に鑑みると、被告の不正競争と相当因果関係にある弁護士費用相当の損害は、20万円と認めるのが相当である。
エ 以上によれば、原告が受けた損害の合計は50万3276円(30万3276円+20万円=50万3276円)であると認められる。
(9) よって、原告の請求は、不正競争防止法2条1項3号3条1項に基づき、
被告商品の譲渡、貸渡し、譲渡若しくは貸渡しのための展示、輸出、若しくは輸入の差止めを求め、同法4条5条1項に基づき、損害賠償として50万3276円及びこれに対する不正競争の後である平成15年2月20日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当であるから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条64条本文を、仮執行宣言につき同法259条1項を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 小松一雄
裁判官 中平健
裁判官 大濱寿美
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