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関連ワード 周知表示混同惹起行為(2条1項1号) /  周知性 /  広く認識 /  需要者 /  商品等表示 /  類似性(類似) /  商品の形態(商品形態) /  模倣 /  差止請求(差止) /  損害額の推定(損害額と推定) /  デザイン /  代理人 /  代表者 /  商品形態模倣行為(2条1項3号) /  損害賠償 /  損害額 /  推定 /  販売数量 / 
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事件 平成 15年 (ワ) 128号 不正競争行為差止等請求事件
原告 株式会社タイイング
訴訟代理人弁護士 寺尾寛
同 佐藤昇
被告 株式会社ゼロファーストデザイン
訴訟代理人弁護士 小林幸夫
補佐人弁理士 野本陽一
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2003/07/09
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
請求
1 被告は,別紙物件目録(1)記載の家具(以下「被告家具」という。)を製造し,販売してはならない。
2 被告は,原告に対し,金371万2000円及びこれに対する平成15年1月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
本件は,原告が,被告による被告家具の製造販売が不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号及び3号の不正競争行為に当たるとして,同法3条,4条に基づき,被告家具の製造販売の差止め及び損害賠償を求めた事案である。
1 争いのない事実等 (1) 原告は,店舗における営業名をマイスターとして,デザイン家具の製造,販売を業とする株式会社である。
被告は,家具メーカーなどへのデザイン提供を主たる業務とする株式会社である。
(2) 原告は,別紙物件目録(2)記載の家具(以下「原告家具」という。)を平成13年1月中旬から販売している(甲3の1ないし3)。
2 争点 (1) 不競法2条1項1号所定の不正競争行為の成否 (2) 同項3号所定の不正競争行為の成否 (3) 損害額
争点に関する当事者の主張
1 不競法2条1項1号所定の不正競争行為の成否 (原告の主張) (1) 原告家具の特徴及び商品等表示性 原告は,平成12年7月,原告家具を試作し,発表した。
原告家具は,独自の形態を有するいわゆるデザイン家具であって,以下のとおりの特徴がある。そして,それらの特徴は,原告の商品又は営業を示す商品等表示に該当する。
ア 正六角形を模した形状を基本として,その組合せにより,自由にその大きさを変えられる。
イ 正六角形を模すに際して,完全な正六角形を採用せず,角に曲線を採用して六角形の形状を独自のものとした。
ウ イの特徴を活かしながら,アの目的を達成するために,単純に一つの六角形を1単位とはせず,六角形の両外側に,六角形の一辺の長さの半分の長さの直線の張り出しを設けたものを1単位とし,4つの単位を組み合わせることにより,その中間に新たな六角形を形成し,5つの六角形ができるようにした。
(2) 周知性 原告は,原告家具が,発表時に雑誌に取り上げられて,好評を博したため,原告家具の本格的な製造に着手し,平成13年1月中旬から販売を開始した。
原告家具は,その独自のデザインが評判を呼び,雑誌に取り上げられたほか,平成13年4月には銀座松屋で開催された家具展にも出品された。また,原告は,平成13年初めの販売開始以来,平成15年2月末までの間に,原告家具を合計654セット(六角形二つで1販売単位)販売した。販売形態は,店頭等での個人売り,同業者及び内装業者向けがあり,首都圏中心であるが,ほぼ日本全国に及んでいる。
以上の販売状況等によれば,原告家具の上記のような独自の形態は,遅くとも平成13年8月ころまでには,少なくともデザイン家具業界においては,原告の営業,又は製造販売する商品等を示す表示として周知となった。
(3) 類似性 被告は,平成14年9月ころから被告家具を製造し,同年10月ころからこれを販売している。被告家具の商品形態上の特徴は,別紙物件目録(1)記載のとおりであり,前記(1)アないしウの特徴をすべて備えているので,その形態は原告家具と類似するといえる。
(被告の反論) (1) 商品等表示性及び周知性 商品の形態が,不競法2条1項1号所定の商品等表示となり得ることは一般論として認める。しかし,六角形を基本形状として組合せができるユニット家具は,原告家具が販売される前から,既に多数存在していた状況に照らすならば,原告が主張する原告家具の形態は,形態上の特徴とはいえないので,商品等表示には当たらない。
また,原告家具の販売状況,宣伝状況からすると,原告家具の形態が,原告の営業又は商品等を示す表示として周知となったとはいえない。
(2) 類似性 原告家具と被告家具の形態は,@商品の大きさが相違すること,A原告家具がビス止めによって眼鏡型のユニット家具を構成するのに対し,被告家具は一体成形された六角形を単位とした家具であること,B原告家具は,主として小物用の棚として利用されるユニット家具であるのに対して,被告家具は,机に用いたり,曲線を生かした陳列台に用いたりできるなど,組合せのバリエーションにおいて異なることなどの相違点があり,類似しない。
2 不競法2条1項3号所定の不正競争行為の成否 (原告の主張) 原告は,平成13年1月中旬から,原告家具の販売を開始したが,原告家具は,前記1(1)のアないしウのとおりの形態的特徴を有する。
被告は,平成14年10月ころから被告家具を販売している。
被告家具は,前記(1)のアないしウの特徴をすべて備えており,また,別紙物件目録(1)の図面と同(2)の写真を対比すれば,被告家具が原告家具の形態に酷似していることは明らかである。
また,被告は,原告に対し,平成14年10月15日,被告家具の製造販売の許諾を求めてきたから,被告に原告家具を模倣する意図があったことは明らかである。
したがって,被告家具は原告家具の形態を模倣したものである。
(被告の反論) 原告の主張を否認する。
被告は,被告家具の製造販売に関し,原告に許諾を求めたことはない。被告代表者は,紛争が生ずるのを回避し,原告家具と被告家具との相違点を確認するために,原告のショールームを訪ねて,担当者に被告家具の図面を示して説明したことはあるが,許諾を求めたことはない。
また,前記1の被告の反論(2)のとおり,被告家具の形態は,原告家具に類似しない。
さらに,原告家具は,何ら形態的特徴を有しておらず,その形態は,ユニット家具として通常有する形態であるから,不競法2条1項3号により保護されるものではない。
3 損害額 (原告の主張) 被告は,平成14年9月ころから被告家具を製造し,同年10月ころからこれを販売している。
現在までの被告家具の販売数は,推定100台(セット)であり,その販売利益は,原告の粗利から推定して合計371万2000円であるから,この金額が原告の被った損害額と推定される。
(被告の主張) 原告の主張を争う。被告は,被告家具を販売したことはない。
当裁判所の判断
1 争点1(不競法2条1項1号の不正競争行為の成否)について 商品の形態は,必ずしも商品の出所を表示することを目的として選択されるものではないが,商品の形態が他の商品と識別し得る独特の形態を有し,かつ,商品の形態が,長期間継続的かつ独占的に使用されるか,又は,短期間であっても商品形態について強力な宣伝等が伴って使用されたような場合には,商品の形態商品等表示として需要者の間で広く認識されることがあり,そのような場合には,商品の形態が不競法2条1項1号により保護されると解するのが相当である。そこで,この点について,以下検討する。
(1) 事実認定 前記争いのない事実等,証拠(甲1ないし5,乙1,3ないし5,11,12,枝番号の記載は省略する。以下同じ。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ,これを覆すに足りる証拠はない。
ア 原告家具の形状,販売状況等 (ア) 原告は,平成12年7月ころ,原告家具を試作し,平成13年1月中旬からその販売を開始した。原告は,販売開始から平成15年2月末までの約13か月間に,原告家具を約650セット販売した(甲3ないし5)。
(イ) 原告家具は,圧縮した1枚板を上下2枚重ね合わせ,ジョイントビスで止めたものであり,別紙物件目録(2)の写真の左上側に示されているように,六角形を横に二つ並べたような形状のものが基本単位(1セット)となっており,これを組み合わせて使用するユニット家具であり,主として小物用の棚として利用される(別紙物件目録(2)の写真は,原告家具を組み合せた使用例である。)。原告は,上記基本単位を販売単位として,原告家具を販売している。
(ウ) 平成13年1月から同年8月ころに発行された十数誌の雑誌に,原告の店舗「マイスター」の紹介記事が掲載された。同記事には,原告家具の形状が分かる写真が掲載されている(甲1)。
(エ) 原告は,平成13年4月,銀座の松屋デパートにおいて開催された家具展に原告家具を出品した(甲2)。
イ 被告家具の形状等 被告家具は,別紙物件目録(1)の図面1枚目左上に示されたように,やや扁平な六角形の形状をしたユニット家具であり,1個の六角形が一体成形により作られ,これを組み合わせて使用するものである(別紙物件目録(1)の図面は,被告家具を組み合わせた使用例である。)。被告は,被告家具を試作し,ショールームに展示しているが,現在に至るまで被告家具を販売したことはない。
ウ 原告家具が販売される前後の状況等 (ア) 平成11年12月に発行された雑誌「商店建築12月号」に,「プリーツ プリーズ イッセイミヤケ丸の内」と題する記事が掲載された。同記事には,六角形を基本形状とし,これを蜂の巣状に組み合わせて形成した「ハニカムストック」と称するディスプレイ台を撮影した写真が掲載されており,ハニカムストックは,ストックと小物のディスプレイ台を兼ねるとの説明が付されている(乙5)。
(イ) 平成12年2月に発行された雑誌「商店建築2月号」には,やや扁平な六角形を基本形状とし,これを蜂の巣状に組み合わせた「ハニカム型シェルフ」と称する棚を撮影した写真が掲載されている(乙11)。
(ウ) 平成13年6月に発行された雑誌「商店建築6月号」には,オフィスの紹介記事が掲載されている。同記事には,壁面に六角形を基本形状とし,これを横に二つ並べた形状の棚を撮影した写真が掲載されている(乙12)。
(2) 判断 上記認定事実に基づき,原告家具に関する原告の主張する特徴が,原告の商品又は営業を示す表示に当たるといえるかどうか,かつ,その商品等表示が周知となったか否かについて検討する。
ア 原告は,前記のとおり,原告家具には,@正六角形を模した形状を基本として,その組合せにより,自由にその大きさを変えられること,A正六角形を模すに際して,完全な正六角形を採用せず,角に曲線を採用して六角形に独自の形態を持たせたこと,B上記Aの特徴を活かしながら,上記@の目的を達成するために,単純に一つの六角形を1単位とはせず,六角形の両外側に,六角形の一辺の長さの半分となる長さの直線の張り出しを設けたものを1単位とし,4つの単位を組み合わせることにより,その中間に新たな六角形を形成し,5つの六角形ができるようにしたこと,以上の形態的特徴を有する旨主張する。
しかし,前記認定のとおり,六角形を基本形状とし,これを組み合わせて形成した棚は,原告家具が販売される前に,既に存在している事実に照らすならば,六角形を組み合わせた形状自体は家具として何ら独特の形態であるとは認められない。また,別紙物件目録(2)の写真によれば,原告家具の六角形の形状は,ありふれた形状であり,独自の特徴を有するとはいえない。さらに,上記@の「組合わせにより,自由に大きさを変えられること」や,上記Bの「4つの単位を組み合わせることにより,その中間に新たな六角形を形成し,5つの六角形ができるようにしたこと」は,原告家具の使用方法や工夫を述べたものにすぎず,形態上の特徴とはいい難く,主張自体失当である。
以上に判断したところに照らすならば,原告家具は,他の商品と識別し得る独特の形態を有するものではない。
イ さらに,前記認定のとおり,原告家具の販売数量は,平成13年1月中旬から平成15年2月末までの約13か月間に約650セットであり,それほど多いとはいえず,また,原告家具の宣伝広告としては,平成13年1月から同年8月ころに発行された十数誌の雑誌の記事にその形状が分かる写真が掲載されたほかは,平成13年4月に銀座の松屋デパートにおいて開催された家具展に出品された程度であり,他に宣伝広告が行われたことを窺わせる事情は認められない。
以上の点に照らすならば,原告の主張に係る原告家具の形態が,原告の商品又は営業を示す商品等表示であると認めることはできず,また,商品等表示として需要者の間で広く認識されたと認めることもできない。
(3) 小括 したがって,将来,被告が被告家具を製造販売することがあるとしても,被告の行為は不競法2条1項1号所定の不正競争行為とはならないから,これを前提とする原告の請求は理由がない。なお,前記のとおり,被告は被告家具を販売したことはないから,原告の本訴請求のうち損害賠償請求は,この点からも理由がない。
2 争点2(不競法2条1項3号の不正競争行為の成否)について (1) 判断 前記1(1)において認定した事実に基づき,原告家具の形態が不競法2条1項3号の「同種の商品が通常有する形態」に当たるかどうかについて検討する。
原告家具は,別紙物件目録(2)の写真のとおり,六角形を基本形状としてこれを組み合わせて形成される棚であるところ,前記のとおり,六角形を基本形状とし,これを組み合わせて形成した棚は原告家具以外にも存在しているから,基本形状を六角形とする家具やこれを組み合わせて形成される家具の形態は,家具としてありふれたものであること,原告家具は,他の六角形を基本形状とし,これを組み合わせて形成した棚(乙5,11,12)と基本的な形態が共通しており,細部を除けば,原告家具を他の棚(乙5,11,12)と識別し得る形態的特徴は見出し難いこと等の事実に照らすならば,原告家具の形態は,不競法2条1項3号所定の「同種の商品が通常有する形態」に当たるというべきである。
(2) 小括 したがって,将来,被告が被告家具を製造販売することがあるとしても,被告の行為は不競法2条1項3号所定の不正競争行為とはならないから,これを前提とする原告の請求は理由がない。なお,被告は被告家具を販売したことはなく,原告の損害賠償請求がこの点からも理由がないことは,前記のとおりである。
3 結論 よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 榎戸道也
裁判官 佐野信
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