関連ワード | 差止請求(差止) / 営業上の利益 / 権利濫用(権利の濫用) / 侵害 / 代理人 / 代表者 / 営業秘密 / 2条1項4号 / |
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事件 |
平成
13年
(ネ)
3411号
不正競争行為差止請求控訴事件
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控訴人(被告) トーアエイト株式会社 訴訟代理人弁護士 廣瀬清久 被控訴人(原告) 株式会社新トーア 訴訟代理人弁護士 増田堯、松田康太郎 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2002/01/24 |
権利種別 | 不正競争 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
1 控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。」との判決を求めた。 2 被控訴人は、控訴人が被控訴人の営業秘密であるカートクレーンの設計図(本件各設計図)を不正取得し、これを使用してクレーンを製造販売したために、 被控訴人の営業上の利益が侵害されているとして、不正競争防止法3条1項に基づき、クレーンの製造、展示及び譲渡の禁止を求め、また、同条2項に基づき、クレーン及び半製品の廃棄等を求めたのに対し、原判決は、被控訴人の請求を認容した。事案の概要は、原判決事実及び理由の第2に記載のとおりである。 3 控訴理由の骨子は次のとおりである。 (1) 被控訴人の本訴請求は、平成8年11月1日付けの被控訴人と株式会社トーア(旧トーア)との間で締結された営業譲渡契約(乙5)の締結が根拠となっているが、未清算金1億7601万0611円が、被控訴人から旧トーアに支払われておらず、被控訴人は債務不履行状態にあったから、旧トーアの本件第2次解除(原判決事実及び理由第2の1(14))は有効に効力を生じている。 (2) 旧トーアは被控訴人に対し、平成10年9月25日付け書面にて本件第1次解除(原判決事実及び理由第2の1(6))及び財産返還請求の通知をしている。この時点で、被控訴人は旧トーアが本来持つべき本件各設計図に対し、権利の帰属を主張し得ない立場にあった。しかも、被控訴人は、平成10年9月10日には手形不渡事由を発生させている。このような状況の下では、旧トーアの代表者Aが本件各設計図を複写してコピーを保持することは、やむを得なかったものである。したがって、控訴人の本件各設計図の取得も不正なものではない。 (3) 本件第2次解除後に至っても、被控訴人は前記営業譲渡契約の清算を長引かせた。そのため、旧トーアないし控訴人がクレーンの製造、販売ができないのは、法的均衡、公平の原則に反する。被控訴人の本訴請求は権利の濫用である。 4 原判決事実及び理由中の第2の1の争いのない事実等及び第3の争点に対する判断で認定された事実(当裁判所も、原判決がそこで説示するとおりの事実関係を認めるものである。)によれば、以下のとおり評価することができる。 平成8年9月20日付け営業譲渡契約書(甲12)に基づいて、旧トーアが被控訴人に本件各設計図の一部を含む旧トーアの財産を譲渡したにもかかわらず(この契約書が有効なことは、旧トーアと被控訴人との間の平成10年12月25日付け本件和解協定(乙3)によって、確認されている。)、旧トーアの代表取締役であったAは、被控訴人に無断で平成10年9月15日ころから本件各設計図(被控訴人が旧トーアから譲り受け、また、被控訴人において新たに作成し、被控訴人内において保管していたもの)のコピーを開始していたものである。Aによって設立された控訴人は、このコピーされた本件各設計図を取得したものであるが、これが、 不正競争防止法2条1項4号所定の「その他の不正の手段」によったものであることは明らかである。 本件第2次解除が効力を生じないものであることは、原判決事実及び理由第3の1(2)イ(ウ)cに説示のとおりであり、本件第1次解除が本件和解協定において旧トーアにより撤回されたものであることは、原判決事実及び理由第2の1(8)、第3の1(2)イ(ウ)a(a)に説示のとおりである。そして、本訴請求をもって権利の濫用に該当するものということができないのは、原判決事実及び理由第3の4において説示するとおりである。 その他、被控訴人の本訴請求を認容すべき理由については、原判決事実及び理由第3において説示されているとおりであり、控訴人の当審における主張をもってしても、この説示は左右されない。 5 本件控訴は理由がなく、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 永井紀昭 |
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裁判官 | 塩月秀平 |
裁判官 | 古城春実 |