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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成11ワ22096不正競争防止法に基づく差止等請求事件 判例 不正競争防止法
関連ワード 需要者 /  信義則 /  外観 /  印象 /  商品の形態(商品形態) /  模倣 /  差止請求(差止) /  逸失利益 /  因果関係 /  無形損害 /  弁護士費用 /  侵害 /  代理人 /  商品形態模倣行為(2条1項3号) /  ドメイン不正取得(2条1項12号) /  品質等誤認表示(誤認) /  損害賠償 /  推定 /  被侵害者 / 
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事件 平成 13年 (ネ) 1073号 不正競争防止法に基づく差止等請求控訴事件
平成 13年 (ネ) 3102号 同附帯控訴事件
控訴人(附帯被控訴人) 優美社産業株式会社
控訴人 株式会社サザン
両名訴訟代理人弁護士 木村 圭二郎
同 山内玲
被控訴人(附帯控訴人) 株式会社レジャープロダクツ
訴訟代理人弁護士 永井均
同 平井昭光
同 寺下誠司
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2001/09/26
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 本件控訴及び本件附帯控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの、附帯控訴費用は被控訴人(附帯控訴人)の各負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 控訴事件について (1) 控訴人ら ア 原判決中控訴人ら敗訴部分(ただし、原判決主文第一、二項を除く。)を取り消す。
イ 被控訴人(附帯控訴人、以下「被控訴人」という。)の請求をいずれも棄却する。
ウ 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。
(2) 被控訴人 ア 本件控訴をいずれも棄却する。
イ 控訴費用は控訴人らの負担とする。
2 附帯控訴事件について (1) 被控訴人 ア 原判決主文第三項を次のとおり変更する。
控訴人優美社産業株式会社(附帯被控訴人、以下「控訴人優美社」という。)は、被控訴人に対し、金553万3565円及び内金337万8746円については平成11年10月13日から、内金6万9084円については同年11月30日から、内金7万9686円については平成12年1月31日から、内金6049円については同年3月31日から、内金200万円については平成13年6月23日から、いずれも支払済みまで年5分の割合による金員を支払え(内金200万円及びこれに対する附帯請求が附帯控訴による請求分)。
イ 附帯控訴費用は控訴人優美社の負担とする。
(2) 控訴人優美社 ア 本件附帯控訴を棄却する。
イ 附帯控訴費用は被控訴人の負担とする。
事案の概要
本件は、被控訴人が、控訴人らの輸入、販売に係る原判決別紙被告商品目録(一)、(二)記載の小型ショルダーバッグ(以下「控訴人商品」という。)の形態が被控訴人の販売に係る原判決別紙原告商品目録記載の小型ショルダーバッグ(以下「被控訴人商品」という。)の形態を模倣したもので、控訴人らの行為は不正競争防止法2条1項3号に規定する不正競争行為に該当すると主張して、控訴人らに対し損害賠償の支払を求めた事案である。なお、当該不正競争行為の差止請求(原判決主文第一、二項関係)に係る訴えは、同号の定める保護期間の経過を理由に当審において取り下げられた。
本件の争いのない事実等、争点及びこれに関する当事者の主張は、次のとおり訂正、付加するほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第二 事案の概要」のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決の訂正 原判決16頁5行目、17頁1行目及び19頁5行目の「差止め又は」を削り、24頁1行目の「(二)」を「(三)」に改める。
2 控訴人らの主張 (1) 争点1について 被控訴人は、被控訴人商品について不正競争防止法2条1項12号所定の不正競争行為及び米国のマンハッタンポーテージ社の商標の不正使用を行っており、そのような被控訴人が本訴において同法上の保護を求めることは、信義則に反し許されないというべきである。
すなわち、被控訴人は、米国のキッフェ社とは具体的な提携関係がないにもかかわらず、同社が被控訴人商品の企画製造をしたかのように偽り、また、被控訴人商品が韓国製又は中国製であるにもかかわらず、原産地を米国であると誤認させる原産地誤認表示を利用してその販売を継続し、さらに、被控訴人商品は600デニールのポリウレタン布地を使用していないにもかかわらずこれを使用しているかのような品質誤認表示をしており、これらの被控訴人の不正競争行為は、本件控訴人優美社を原告、本件被控訴人を被告とする大阪地裁平成12年(ワ)第943号同平成12年11月9日判決(乙第81号証、以下「別件判決」という。)によって明確に認められたところである。また、被控訴人は、被控訴人商品に「Manhattan passage」との商標を付しているところ、これは、「Manhattan Portage」との商標を使用してバッグ等を販売している米国のマンハッタンポーテージ社の商標及び商品の国際的な模倣にほかならない。
原判決は、控訴人らにおいて別途差止めや損害賠償の請求をもって対処し得ることを根拠として、被控訴人の本訴請求が信義則違反であるとの控訴人らの主張を排斥した(原判決32頁9行目〜33頁4行目)が、そのような措置を執り得ることは信義則違反の障害事由となるものではない。公正な競争の維持という不正競争防止法の目的からすれば、自ら不正競争を行う者による請求を認めることは同法の目的に反するというべきである。
(2) 争点2、3について 被控訴人商品の形態のうち、同種製品が通常有するありふれた形態でない部分は、その内部構造である4層の収納ケース部分だけであって、基本的な外観は従来から一般的に使用されてきた没個性的なバッグの形状にすぎない。そして、不正競争防止法2条1項3号にいう「形態」は、外部から観察し得る物品の外形であると解すべきところ、バッグ類においては、一般に内部のケースやポケットは見えない状態で流通に置かれるのであるから、上記の4層の収納ケースは不正競争防止法の商品「形態」としての保護を受けるものではない。
また、被控訴人商品と控訴人商品の形態の相違点中、特に、@控訴人商品の上蓋表面に斜めにジッパーが付いたポケットが設けられているのに対し、被控訴人商品はこれを備えない点、A控訴人商品の背面にスナップボタンで止めるポケットが設けられているのに対し、被控訴人商品はこれを備えない点は、流通に置かれた状態で目立つ形態に係るものであって、控訴人商品と被控訴人商品とは全く異なる印象需要者に与える。このことは、控訴人優美社がアイブリッジ株式会社に依頼して実施したアンケート調査の結果(乙第88、第96号証)からも明らかである。
さらに、バッグ類における色彩は「形態」の重要な要素を構成するところ、被控訴人商品と控訴人商品とは明らかに異なる色彩のものであるから、模倣が成立する余地はないというべきである。
(3) 争点4について 不正競争防止法5条1項の損害の推定規定は、被侵害者が適法に取得し得る利益を前提としているというべきところ、被控訴人商品は、関税法及び不正競争防止法に違反して販売されていたものであるから、前提とする逸失利益が発生する余地はなく、当該違反が継続している状態における利益を法的に正当なものとして賠償の対象とすることは、裁判所が間接的に違法行為に加担することを意味し、許されないというべきである。
3 被控訴人の主張 (1) 控訴人らは、被控訴人が不正競争行為及び商標の不正使用を行っている旨主張するが、この主張は本件訴訟とは関係がないばかりか、事実無根の許されざる中傷行為といわざるを得ない。また、控訴人らは、被控訴人商品及びその説明書等の本件表示(原判決別紙表示目録1〜6記載の表示)に係る関税法及び不正競争防止法違反を理由として逸失利益の不発生を主張するが、控訴人らの不正競争行為が認められる以上、本件表示の問題は控訴人らを免責させる根拠とならない。
(2) 附帯控訴に係る請求について 被控訴人は、控訴人らの不正競争行為によって被った損害として、原審では、不正競争防止法5条1項の規定に基づいて推定される損害のほか、@慰謝料200万円(原判決27頁(三)項参照)及びA弁護士費用200万円(控訴人優美社に対する請求分150万円、同サザンに対する請求分50万円。原判決27〜28頁(四)、(五)項参照)を主張したところ、原判決は、Aの弁護士費用中50万円(控訴人優美社に対して40万円、同サザンに対して10万円)を控訴人らの不正競争行為と相当因果関係を有する損害として認めたにとどまり、これを超える弁護士費用及び上記@の損害に係る賠償請求を棄却した。
しかし、被控訴人は、原判決の被控訴人敗訴部分中、上記@の内金100万円及び上記Aの内金100万円(控訴人優美社に対する請求分)に係る損害賠償請求が棄却された限度で不服があるので、以上合計200万円につき附帯控訴による請求をする(遅延損害金の起算日は附帯控訴状の送達の日の翌日である平成13年6月23日)。ただし、上記@については、原審では慰謝料の名目で主張していたものであるが、信用毀損による無形損害の賠償を求める趣旨に訂正する。
なお、上記附帯控訴については、以下の点が事情として考慮されるべきである。すなわち、控訴人優美社は、上記2(1)のとおり、被控訴人において「Manhattan passage」との商標を使用して米国のマンハッタンポーテージ社の商標及び商品の国際的な模倣をしている旨主張し、乙82の1〜6(マンハッタンポーテージ社ホームページ)、乙83、84(インターネット検索画面)、乙88、
96(アンケート結果報告書)等を提出するが、当該主張が全くの事実無根であることは前述のとおりである上、上記証拠も意図的に不正な操作が加えられたものであって、悪意に満ちた虚偽事実の流布を目的としたものである。のみならず、控訴人優美社は、被控訴人の不正競争行為を認めた別件判決が出されると、被控訴人の取引先に対し、虚偽の内容が含まれる作為的な警告文書(甲24)を配布するなどしており、被控訴人は取引先からの信用を失いかねない状況に陥っている。被控訴人は、取引先の信用維持のための業務に忙殺されており、その人件費のロスは50万円を下らない。さらに、被控訴人は、被控訴人代理人として控訴人優美社との交渉事件を担当していた福本嘉明弁護士に報告書の作成を依頼した報酬5万円その他諸雑費の支出を余儀なくされ、また、本件控訴に対する応訴のため代理人を増員するなどしているが、無用の長期裁判を強いられており、支払済みの弁護士報酬150万円のほか、さらに当審において同額以上の弁護士報酬の支払をせざるを得ない状況にある。
当裁判所の判断
当裁判所も、被控訴人の控訴人らに対する請求は、原判決が認容した限度で理由があると判断する。その理由は、次のとおり訂正、付加するほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第三 当裁判所の判断」のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決の訂正 (1) 原判決30頁2行目、32頁3行目及び33頁3行目の「差止め又は」を削る。
(2) 同32頁末行の「対処し得るのであり」を「対処し得る」に改める。
(3) 同41頁10行目〜末行の「といえる程に酷似している」を削る。
(4) 同48頁5行目から50頁10行目までを次のとおり改める。
「しかし、前記1の損害の算定の基礎となった控訴人商品の販売期間である平成11年3月から平成12年3月までの間、被控訴人が現に被控訴人商品について輸入不許可処分を受けたとか、輸入ないし販売の差止めを命ぜられた等の事実を認めるに足りる証拠はなく、かえって、甲第12号証(雑誌「ビギン」中の被控訴人商品の紹介記事)、乙第56号証(雑誌「JAF-MATE」中の被控訴人商品の広告記事)及び弁論の全趣旨によれば、上記期間中も被控訴人商品は継続して輸入及び販売がされていたことが認められる。そうすると、被控訴人は、上記期間中も被控訴人商品の販売によって現実に利益を取得していたと推認し得るのであるから、当該輸入及び販売が関税法ないし不正競争防止法違反になるものであるか否かにかかわらず、控訴人商品の販売により控訴人らが得た利益を被控訴人の損害と推定する基礎を欠くということはできない。」 (5) 同51頁8行目の「原告商品の」から10行目の「うえ、」までを削る。
(6) 同53頁末行から54頁5行目までを削り、54頁6行目の「六」を「五」に改める。
2 控訴人らの当審における主張に対する判断 (1) 信義則違反の主張について 控訴人らは、被控訴人が被控訴人商品について不正競争防止法2条1項12号所定の不正競争行為(原産地誤認表示及び品質誤認表示)及び米国のマンハッタンポーテージ社の商標の不正使用を行っているとして、本件損害賠償請求は信義則により許されない旨主張する。しかし、被控訴人商品における原産地誤認表示及び品質誤認表示ないし米国のマンハッタンポーテージ社の商標の不正使用の事実があるとしても、そのことから直ちに、控訴人らが、控訴人商品の形態模倣による不正競争防止法上の損害賠償義務を免れると解すべき根拠はない。
また、控訴人らは、自ら不正競争を行う者による請求を認めることは不正競争防止法の目的に反するとも主張するが、控訴人ら及び被控訴人の双方が不正競争行為を行っているとすれば、各自にその責任を負わせるのが同法の目的に適うというべきである。
したがって、控訴人らの上記主張は、被控訴人の不正競争行為の成否、米国のマンハッタンポーテージ社の商標の不正使用の有無について判断するまでもなく、それ自体失当というべきである。
(2) 形態の模倣の成否について ア 控訴人らは、被控訴人商品の基本的な外観は従来から一般的に使用されてきた没個性的なバッグの形状にすぎない旨主張するところ、確かに、乙第4〜第54号証(各枝番を含む。いずれも第三者の販売に係る同種商品の写真ないし広告)によれば、控訴人商品と被控訴人商品の形態を共通にする部分中、上部から前面にかぶせる形状の上蓋が付いており、それを下部のワンタッチ・プラスチックバックルで開閉する形態、上蓋の下から約4分の1のところに切り替えがある形態、
上蓋を開けた表面に開放式のポケットが付いている形態、上部のみジッパーで開閉する後室を備える形態、バッグ背面上部にベルトを通すためのベルトループが付いている形態については、同種の小型ショルダーバッグにおいて多く見られること、
これらの小型ショルダーバッグ中には、その大きさが被控訴人商品の大きさと大同小異のものも少なくないことが認められる。
しかしながら、被控訴人商品が備える前室内部が左右前後に展開する4面の収納ケースとなっている形態については、他の同種商品には見られない極めて特徴的な形態が含まれており、被控訴人商品の最も特徴的な部分というべきであるが(原判決40頁1行目〜8行目参照)、この形態においても、控訴人商品は、一部の素材を変えている以外、二つ折りの大型マップケース及び下端部分に落下による紛失防止のための三角布を縫合させた目隠し蓋兼用の収納ケースを備えているなどの具体的な構成態様に係る形態を含め、被控訴人商品の形態とほぼ完全に一致している。加えて、控訴人商品は、縦、横及び幅の各寸法において、被控訴人商品の寸法とミリメートル単位まで完全に一致していること(原判決添付の各商品目録参照)、本体の素材が、表面が高防水性210デニールナイロンリップストップ、裏面が撥水性70デニールナイロンタフタで、中間にPUフォームを内蔵する3層複合ファブリック構造である点においても、控訴人商品と被控訴人商品は完全に一致していること(原判決10頁6行目〜8行目、14頁5行目〜7行目参照)、上記のように他の同種商品に見られる形態においてさえ、控訴人商品ほど全体として被控訴人商品と酷似しているものは見当たらないこと(前掲乙第4〜第54号証)など、控訴人商品の形態と被控訴人商品の形態の共通性は顕著というべきである。
他方、@上蓋表面に設けられた斜めにジッパーが付いたポケットの有無、A背面のスナップボタンで止めるポケットの有無等の控訴人商品と被控訴人商品との形態上の相違点については、前掲乙第4〜第54号証に照らすと、むしろ同種の商品においてよく見られるありふれた形態の付加にすぎないというべきである。
そうすると、控訴人商品の形態は、被控訴人商品の最も特徴的な形態を含む大部分の点でほぼ完全に一致しており、開発費用等をほとんど要しないと考えられるありふれた形態が若干付加されているにすぎないものであるから、両者は実質的に同一というほかはない。
イ 控訴人らは、乙第88、第96号証のアンケート結果に基づいて、上記@、Aの相違点に基づいて需要者に異なった印象を与える旨主張する。確かに、上記アンケート結果には、「バッグ外側にファスナー付き収納ポケットが付いているバッグは・・」との「問1」(この問いが上記@の相違点に対応するものであることは明らかである。)に対し、「便利である」との回答が60〜61%、これに「どちらかといえば便利」との回答を加えると91〜92%、「バッグ内側(身体がわ)にホック付き収納ポケットが付いているバッグは・・」との「問2」(この問いが上記Aの相違点に対応するものであることは明らかである。)に対し、「便利である」との回答が53〜56%、これに「どちらかといえば便利」の回答を加えると86〜88%、「写真の二つのバッグA(注、控訴人商品)、B(注、被控訴人商品)を見て印象をお答え下さい」との「問4」に対し、「違う商品」又は「似ているが違う商品」との回答が、色違い商品を用いたアンケートで95%、同色の商品を用いたアンケートで89%であったことが示されている。
しかし、上記乙第88、第96号証によれば、これらのアンケートにおいては、冒頭、「写真の二つのバッグA、Bを見て印象をお答え下さい」として、
バッグA(控訴人商品)では、上蓋表面に設けられた斜めにジッパーが付いたポケットに携帯電話が差し込まれた状態の写真及び背面のスナップボタンで止めるポケットにパスポートが差し込まれた状態の写真が用いられており、これは、明らかに上記@、Aの相違点を強調したものといわざるを得ない。のみならず、控訴人商品と被控訴人商品に共通し、かつ、他の同種商品には見られない極めて特徴的な形態である「前室内部が左右前後に展開する4面の収納ケースとなっている形態」において、両者がほぼ完全に一致していることなどは、アンケート回答者に全く示されていない。
そうすると、上記のアンケート結果は、控訴人商品と被控訴人商品の形態の相違点を殊更に強調し、重要な共通点が隠された状態で行われたものにほかならないから、模倣の成否を判断する資料としては不適切というべきであり、上記の認定判断を左右するものとはいえない。
ウ 次に、控訴人らは、上記の4層の収納ケースは外部から観察し得ないから不正競争防止法の商品「形態」としての保護を受けない旨主張するが、この種の実用的な小型ショルダーバッグにおいては、需要者は、その内部構造も観察、確認するなどした上で購入するかどうかを決定するのが通常であると考えられるところ、被控訴人商品についても同様であることは、原判決の判示(42頁4行目〜8行目)するとおりである。現に、被控訴人商品の広告等において、その内部構造がむしろ重要なセールスポイントとして示されていることは、証拠(甲第12号証、
乙第3、第52号証)によって認められるところであり、控訴人らの上記主張は採用することができない。
さらに、控訴人らは、控訴人商品と被控訴人商品との色の相違についても主張するが、この種の商品は同一の形態を有する商品が様々な色のバリエーションを持つものとして販売されるのが通常であることからすると、そのような色のバリエーションの一部を異にするとしても、形状、寸法及び材質が共通している本件にあっては、同一性の判断に影響を及ぼすものではない。
エ 以上のとおり、控訴人商品は被控訴人商品と実質的に同一というべきであるから、その形態を模倣したものというべきである。
(3) 不正競争防止法5条1項の不適用について 控訴人らは、被控訴人商品は関税法及び不正競争防止法に違反して販売されたとして、不正競争防止法5条1項の不適用を主張するが、これが理由のないことは、上記1(2)のとおりである。
3 附帯控訴に対する判断 (1) 信用毀損による無形損害について 附帯控訴に係る請求中、まず、信用毀損による無形損害について見るに、
被控訴人がその事情として述べる内容は、要するに、控訴人優美社が「被控訴人による『Manhattan passage』との商標の使用は、米国のマンハッタンポーテージ社の商標及び商品の国際的な模倣である」との趣旨の事実無根の主張立証をし、被控訴人の取引先にもそのような虚偽事実の流布を行っているというにある。しかし、附帯控訴に係る被控訴人の請求は、あくまでも控訴人優美社による不正競争防止法2条1項3号所定の形態模倣の不正競争行為を責任原因とする損害賠償請求であるから、当該不正競争行為と上記無形損害との相当因果関係の存在を要するところ、被控訴人の主張する上記事情を勘案しても、これを認めるには足りないというべきである。かえって、甲第31号証(中島良之作成の報告書)によれば、信用毀損による無形損害として被控訴人の主張立証する内容は、@控訴人優美社が被控訴人の取引先等に配布した平成12年11月29日付けの「お知らせ」と題する書面(甲第24号証)の中で、「Manhattan passage NEWYORKCITY,N.Y.,U.S.A.」等の表示を使用した被控訴人商品の販売を禁止する別件判決が出されたので、当該商品の販売について不正競争防止法に違反することがないよう注意を促したこと、A米国のマンハッタンポーテージ社がインターネットのホームページ(乙第82号証の2)において、被控訴人の商号及びその使用する上記表示を明示した上、「COPIES,COUNTERFEITS,AND IMITATIONS」(複製、偽造そして模倣)について購入者に注意を喚起する文面を掲載したことを直接の原因とするものであることは明らかであって、控訴人らの形態模倣に係る本件不正競争行為とは相当因果関係がないものといわざるを得ない。そして、他に控訴人らの形態模倣に係る本件不正競争行為によって、被控訴人に信用毀損の無形損害が生じたことを認めるに足りる証拠はない。
なお、付言するに、本件訴訟の経過に照らせば、被控訴人の附帯控訴に係る信用毀損による無形損害の賠償請求が、上記@、Aに関する控訴人優美社の行為を責任原因とする独立した不法行為に基づくものであるとすれば、そのような訴えの追加的変更は、本件不正競争行為に基づく損害賠償請求とは請求の基礎の同一性を欠き、かつ、著しく訴訟手続を遅滞させるものとして、控訴人優美社がこれにつき異議を述べたが、その後、被控訴人において、附帯控訴における不服の趣旨を前記第2の3(2)のとおりであることを明らかにし、これを受けて控訴人優美社が上記異議を撤回したことが明らかである。
(2) 弁護士費用について 被控訴人は、弁護士費用について、原判決の認容額より増額すべき旨主張するが、被控訴人の当審における訴訟活動の多くは上記(1)に係る附帯控訴関係の主張立証に費やされているところ、当該請求が理由を欠くことは上記のとおりである。これに本件の事案の内容、訴訟経過等の諸般の事情を勘案しても、控訴人らの本件不正競争行為と相当因果関係を有する損害として認められる弁護士費用が、原判決の認容額を上回るということはできない。なお、被控訴人が事情として主張する諸点が控訴人らの本件不正競争行為を責任原因とする損害賠償額に影響を及ぼすものでないことは上記(1)で述べたところと同様である。
4 結論 以上のとおり、被控訴人の控訴人らに対する請求は、原判決が認容した限度において理由があるから、原判決は相当であって、本件控訴及び本件附帯控訴はいずれも理由がない。
よって、本件控訴及び本件附帯控訴をいずれも棄却することとし、控訴費用及び附帯控訴費用の負担につき民事訴訟法67条1項本文、61条65条1項本文を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 長沢幸男
裁判官 宮坂昌利
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