関連ワード | 周知表示混同惹起行為(2条1項1号) / 類似性(類似) / 外観 / 観念 / 混同のおそれ(混同) / 表示の混同 / 代理人 / 混同のおそれ(混同) / 損害賠償 / |
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事件 |
平成
13年
(ネ)
1432号
診療所名変更等請求控訴事件
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控訴人(原告) A 訴訟代理人弁護士 長岡調治 被控訴人(被告) B 訴訟代理人弁護士 河野憲壯 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2001/06/28 |
権利種別 | 不正競争 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
本件控訴を棄却する。 控訴人の当審における予備的請求を棄却する。 控訴費用は、控訴人の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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控訴人の求めた判決
1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、千葉県柏市<以下略>に開設した診療所について、「柏東口皮膚科・内科」という名称のうち、「柏東口」の部分を変更せよ。 3 被控訴人は、控訴人に対し、金100万円及びこれに対する平成12年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 |
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事案の概要
1 次の2のとおり、控訴人が当審において予備的請求を追加し、また、3、4のとおり、当審における当事者の主張の要点を付加するほか、原判決の「第2 事案の概要」のとおりである。 控訴人は、控訴人の診療所の名称である「柏皮膚科」が周知な営業表示であり、 被控訴人の診療所の名称である「柏東口皮膚科・内科」が、控訴人の営業表示と類似し、そのため混同が生じていると主張して、被控訴人に対して、不正競争防止法2条1項1号、3条、4条に基づき、被控訴人の診療所の名称の変更、並びに損害賠償金100万円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日から民法所定の遅延損害金の各支払を求めた。 これに対して、原判決は、控訴人の営業表示である「柏皮膚科」と、被控訴人の営業表示である「柏東口皮膚科・内科」とを対比すると、両者は、全体として、外観、称呼、観念のいずれにおいても類似しないものと判断して、控訴人の本訴請求をいずれも棄却した。 2 控訴人の当審における予備的請求 控訴人は、仮に、被控訴人がその開設する診療所に「柏東口皮膚科・内科」との営業表示を使用する行為が、不正競争行為に当たらないとしても、被控訴人の上記行為は、不法行為に該当するとして、被控訴人に対して、民法709条に基づく損害賠償として同額の金員の請求を予備的に追加した。 3 当審における控訴人の主張の要点 (1) 原判決は、控訴人の営業表示と被控訴人の営業表示とを類似しないものと判断しているが、その事実認識には誤りがある。すなわち、控訴人は、何人かの患者から、柏駅の傍らにも分院でも出されたのかと尋ねられており、大変迷惑しているのであり、原判決は、この点を無視している。 (2) 原判決は、上記判断の理由として、柏駅周辺には、「柏」の文字を入れた診療所が幾つかあることを挙げているが、これらの診療所は、皮膚科を専門としている診療所ではなく、原判決の判断は、この点の配慮を欠いている。 (3) 仮に、不正競争防止法に基づく本訴請求が法解釈上、困難であるならば、控訴人は、被控訴人に対して、予備的に、不法行為に基づき、精神的及び経済的な損害の賠償を求める。 4 当審における被控訴人の主張の要点 (1) 原判決が説示するとおり、控訴人の営業表示と被控訴人の営業表示とは類似していないのであるから、それにもかかわらず両者を混同する者がいるとは通常人の判断からは考えられないし、仮にそのような者がいたとしても、類似性のない営業表示の混同については、法の保護の対象ではない。 (2) 被控訴人の営業表示は、「皮膚科・内科」であり、皮膚科専門医の表示ではなく、控訴人の上記(2)の主張は、前提を欠いている。 (3) 控訴人の上記(3)の不法行為の主張は争う。 |
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当裁判所の判断
1 当裁判所も、控訴人の営業表示である「柏皮膚科」と被控訴人の営業表示である「柏東口皮膚科・内科」とは類似しておらず、被控訴人がその開設する診療所に「柏東口皮膚科・内科」との名称を付する行為は、不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当しないと判断するが、その理由は、原判決が「第3 争点に対する判断」として説示するとおりである。 控訴人の当審における主張及び立証は、いずれも上記判断を左右するに足りるものではなく、控訴人の被控訴人に対する不正競争防止法3条及び4条に基づく本訴請求は理由がない。 2 控訴人は、当審における予備的請求として、民法709条の不法行為に基づく損害賠償を請求するが、上記のとおり、被控訴人がその開設する診療所に「柏東口皮膚科・内科」との名称を付する行為は、控訴人との関係において、不正な競争行為には該当しないのであり、そのほか、被控訴人の上記行為が不法行為を構成する違法な行為であることを首肯するに足りる主張及び立証はない。 したがって、控訴人の被控訴人に対する不法行為に基づく損害賠償請求も理由がない。 |
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結論
以上によれば、原判決は相当であり、本件控訴は理由がなく、控訴人の当審における予備的請求も理由がないから、いずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 永井紀昭 |
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裁判官 | 古城春実 |
裁判官 | 橋本英史 |