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関連ワード 周知性 /  需要者 /  営業地域 /  特段の事情 /  営業規模 /  類似性(類似) /  外観 /  観念 /  混同のおそれ(混同) /  営業の混同 /  代理人 /  識別力 /  混同のおそれ(混同) /  損害賠償 / 
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事件 平成 12年 (ワ) 16998号 診療所名変更等請求事件
原告 【A】
訴訟代理人弁護士 長岡調治
被告 【B】
訴訟代理人弁護士 河野憲壯
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2001/02/26
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
1 被告は,【千葉県柏市<以下略>】に開設した診療所について,「柏東口皮膚科・内科」という名称のうち,「柏東口」の部分を変更せよ。
2 被告は,原告に対し,金100万円及びこれに対する平成12年6月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
原告は,原告の診療所の名称が周知な営業表示であり,被告の診療所の名称が原告の診療所の名称と類似し,そのため混同が生じている旨主張して,被告に対し,不正競争防止法に基づき,診療所の名称の変更及び損害賠償を求めた。
1 争いのない事実及び弁論の全趣旨により認められる事実 (1) 原告は,昭和42年4月1日,頭書住所地に「柏皮膚科」という名称(以下「原告表示」という。)で,診療所を開設し,現在に至っている。
(2) 被告は,平成11年12月16日,【千葉県柏市<以下略>】に,「柏皮膚科・内科」という名称で,診療所を開設した。
(3) 被告は,原告からの診療所名変更の申入れを受け,平成12年1月から,診療所の名称を「柏東口皮膚科・内科」(以下「被告表示」という。)と変更して,現在に至っている。
2 争点 (1) 原告表示の周知性 (原告の主張) 原告は,昭和42年4月1日から原告表示を使用して皮膚科診療所を開設してきたから,原告表示は周知性がある。
(被告の反論) 原告の診療所は個人医院であり,営業規模もそれほど大きくない。原告の診療所と被告の診療所とは,距離も離れており,地域の環境も異なることから,被告の営業地域においては原告表示が周知であるとはいえない。
(2) 原告表示と被告表示の類似性 (原告の主張) 原告表示と被告表示は類似する。
(被告の反論) 原告表示と被告表示を比較すると,「東口」「内科」との表記の有無で異なっているから,一般人の注意力を基準とすれば,両者は類似しない。さらに,「柏」という地名を名称に付した病院は,原告及び被告の各診療所以外に,柏駅周辺に多数存在するから,「柏」という部分に,識別力はなく,「柏」に続く名称を全体として見て初めて,それぞれの病院を区別認識できるのであって,原告表示と被告表示は類似しない。
(3) 原告営業と被告営業の混同のおそれ (原告の主張) 原告表示と被告表示の類似性に加え,原告と被告の営業が皮膚科で共通していることや距離が近いことに照らすならば,両営業の混同が生じるおそれがあるといえる。現に混同事例が多い。
(被告の反論) 原告営業と被告営業の混同が生じるおそれはない。
前記のとおり,「東口」「内科」との表記の有無で原告表示と被告表示は異なっているから,混同は生じない。被告の診療所は名称どおりJR柏駅の東口駅前に存在し,他方,原告の診療所は,同駅の西口から400メートル離れた場所にある。原告の診療所も被告の診療所も個人病院であって,個人病院では医師が誰かということこそが重要であるから,両者の間で混同を生じることはない。
争点に対する判断
1 争点(2)(原告表示と被告表示の類似性)について,まず判断する。
(1) 原告表示は「柏」「皮膚科」から構成され,他方,被告表示は「柏」「東口」「皮膚科」「・」「内科」から構成されている。両表示を比較すると,「柏」及び「皮膚科」については共通するが,被告表示は「東口」「・」及び「内科」が付加されている点において異なる。
ところで,「柏」という表記部分は,診療所の所在地を示すものであると一般に理解されることが明らかである。さらに,弁論の全趣旨によれば,柏駅の周辺には,以下のような名称の診療所,すなわち,「柏診療所」(診療科目は内科,皮膚科である。以下括弧内に診療科目を示す。),「柏クリニック」(内科,婦人科),「柏健診クリニック」(内科,呼吸器科,消化器科,外科等),「柏整形外科内科」(内科,整形外科),「柏外科医院」(内科,外科,整形外科,皮膚科,放射線科),「柏メンタルクリニック」(精神科,神経科),「柏整形外科」(整形外科)等の診療所があることが認められる。このように,柏駅周辺に「柏」という表記を含む名称の診療所が多数存在している状況もあわせて考慮すれば,特段の事情のない限り,「柏」という表記部分には,格別の識別力がないと解すべきである。また,「皮膚科」や「内科」という表記部分は,診療科目を示すものであると一般に理解されることが明らかであり,右各部分にも,格別の識別力はないと解すべきである。
(2) そこで,原告表示と被告表示とを対比する。@原告表示及び被告表示の両者とも,地名と診療科目のみの組み合わせからなり,格別に識別力のある表示部分はないので,対比に当たっては,表示全体を一体のものとして較べるのが相当であること,A両者の共通する表示部分である「柏」「皮膚科」は,いずれも,需要者の注意を惹く部分とはいえないこと,B被告表示は「東口」「・」及び「内科」が付加されている点において相違することを考慮すると,原告表示と被告表示は,全体として,外観,称呼,観念のいずれにおいても類似しないというべきである。
2 よって,その余の点を判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がない。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 沖中康人
裁判官 石村智
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