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関連ワード 周知性 /  広く認識 /  需要者 /  全国的に周知 /  類似性(類似) /  混同のおそれ(混同) /  表示の使用 /  誤認混同 /  差止請求(差止) /  競業関係 /  代理人 /  代表者 /  混同のおそれ(混同) /  品質等誤認表示(誤認) /  損害賠償 /  営業上の信用 / 
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事件 平成 11年 (ワ) 4658号 商号使用禁止等請求事件
原告 住友林業株式会社右代表者代表取締役 【A】 右訴訟代理人弁護士 平正博
被告 住友殖産株式会社右代表者代表取締役 【B】 右訴訟代理人弁護士 武川襄
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2000/03/30
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告は、不動産の売買・交換、賃貸借の仲介、斡旋、住宅の分譲、宅地の造成事業、土木建築設計・施工・請負、不動産の管理業務の営業上の施設又は活動に「住友」の名称を使用してはならない。
二 被告は、住友殖産株式会社の商号の抹消登記手続をせよ。
三 被告は、別紙第一物件目録記載の各看板を撤去せよ。
四 被告は、原告に対し、金五〇万円及びこれに対する平成一一年六月四日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
五 原告のその余の請求を棄却する。
六 訴訟費用は、これを五分し、その四を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
七 本判決の第三項及び第四項は、仮に執行することができる。
事実及び理由
請求
一 主文第一項ないし第三項と同旨 二 被告は、原告に対し、金一〇〇万円及びこれに対する平成一一年六月四日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
事案の概要等
一 事案の概要 本件は、財閥解体前の住友財閥(住友本社)の系譜に連なり、「住友林業株式会社」との商号を使用して営業活動を行っている原告が、「住友殖産株式会社」との商号等を使用して不動産業等を営む被告に対し、「住友」の表示は旧住友財閥の系譜に連なる企業グループの名称として需要者の間に周知であるところ、被告が使用する商号等は原告の表示と類似し、需要者誤認混同を生じるとして、不正競争防止法3条4条2条1項1号に基づき、「住友」の表示の使用差止め、商号抹消登記手続、看板の撤去、損害賠償等を請求している事案である。
二 前提的事実(証拠により認定した事実は、後掲各証拠による。) 1 原告の設立及び経歴・商号 (一) 原告は、昭和二三年二月二〇日に設立された会社であり、現商号になるまでの経歴は、別紙社歴書記載のとおりである。すなわち、原告は、住友本社が財閥解体により解体されたことに伴って、株式会社住友本社の林業所を六社に分割したものが、順次合併を重ねて、昭和三〇年二月に現商号である住友林業株式会社と称することとなったものである。(甲7) (二) 原告の会社の目的は、別紙営業目的一覧表記載のとおりである。(甲1) 2 被告の設立、営業目的及び使用商号 (一) 被告は、昭和六二年八月三日に設立登記された株式会社であり、会社の目的は、不動産の売買・交換・賃貸借の仲介・斡旋、住宅の分譲・宅地の造成事業、土木建築設計・施工・請負、不動産の管理業務、貸金業、右に附帯関連する一切の業務である。(甲2の2) (二) 被告は、「住友」の下に「殖産」を付した商号を使用して、営業活動を行っている。また、被告は、その営業活動の施設として使用している別紙第一物件目録記載二の建物に同目録記載のとおり「住友殖産株式会社」と記載した看板を、また、同目録記載一の土地上に「住友殖産梶vと記載した看板をそれぞれ掲げているほか、少なくとも平成一〇年四月ころまでは、右建物に掲げた看板に第二物件目録記載のとおり別紙標章目録記載の標章(以下「本件標章」という。)を付していた。(甲2の2、4の1ないし7、5の1ないし4) 被告の創業者及び役員に「住友」の姓を名乗る者はなく、また、被告の本社所在地の地名にも「住友」の地名はない。(甲2の2、弁論の全趣旨) 三 争点 1 「住友」の表示及び本件標章は、原告及び旧住友財閥の系譜に連なる企業の表示として需要者の間に広く認識されているか。
2 被告の商号、標章等の表示は、原告及び旧住友財閥の系譜に連なる企業の表示に類似し、需要者の間に誤認混同を生じるおそれがあるか。
3 被告の不正競争行為により、原告は損害を被ったか。損害を被ったとした場合、その額。
四 当事者の主張 1 争点1について 【原告の主張】 (一) 原告の商号における「住友」の名称は、昭和二三年に住友財閥が解体されるまでは、住友本社の表示として、「三井」、「三菱」、「安田」と並んで広く知れ渡っており、「住友」といえば住友本社のことであると認識されていた。
(二) 昭和二三年の財閥解体により、住友本社に関連する各社は別紙住友系図表記載のとおりに分割された。原告は、住友本社の林業所が分割され、その後合併により著名である住友本社の名称を受け継いで、昭和三〇年から現商号である「住友林業株式会社」を称している。
(三) 住友本社においては、本件標章を用いていたところ、原告を始めとする別紙住友系図表記載の各会社も本件標章を用いており、本件標章は原告及び住友本社の系譜に連なる会社の標章として全国的に著名、周知である。
(四) 原告は、別紙支店・営業所等開設一覧表記載のとおり支店及び営業所を開設しているが、そのいずれの地域においても住友本社の系譜に連なる会社として著名で、営業上の信用を得ており、「住友」の表示は原告の商号及び営業表示として全国に周知されている。
【被告の主張】 争う。
2 争点2について 【原告の主張】 (一) 被告の営業は、原告の営業と同一である。
(二) 原告は、住友本社の系譜に連なる会社として「住友」の名称を商号として使用し、かつ、その象徴である本件標章を自己の標章として営業を行っている。
被告も、「住友」の名称を商号として使用し、かつ原告と同一の営業を実施しているほか、本件標章を自己の標章として使用していた。
(三) 被告が「住友」の表示を用いて営業を行うことは、広く一般に周知された著名な原告及び住友本社の系譜に連なる会社の商品表示と同一のものを使用し、商品の譲渡等をする行為となる。
【被告の主張】 争う。
住友の標章である本件標章と被告が用いていたマークとは、かなり形態が異なる。また、井桁のマークについては、現在は使用していない。
3 争点3について 【原告の主張】 (一) 被告がことさら商号及び営業に「住友」の表示を用いるのは、「住友」の名称が、前記のとおり原告及び解体された住友本社の系譜に連なる会社の名称として広く一般に周知された名称であることを取引に利用すべく、被告もその系譜に連なる会社であると消費者を誤認させることを意図するものである。
(二) 原告は、解体された住友本社の系譜に連なる会社として、一般に信用を得ており、全国的に営業を展開しているところ、被告は、原告の営業と同一の営業を、原告と同一の商号である「住友」の名称を用いて行っているから、被告の営業が原告の営業と誤認され、原告の信用が損なわれるおそれがある。
また、被告は、原告と同一の営業を実施しているので、被告の「住友」の表示を用いた営業を排除するには、原告の顧客及び原告の営業所を訪れる消費者に対して、被告が原告と全く無関係であり、かつ、著名である住友の系譜に属する会社ではないことを説明しなければならなかった。
(三) 原告は、その営業についてテレビ・新聞・その他全国ネットによるマスメディアを通じて広告・宣伝しているところ、被告は、前記の意図の下に営業施設及び活動に「住友」の表示や本件標章を用いたりすることによって、何らの費用をも投下することなく原告の広告・宣伝に便乗した営業をしているものである。
(四) かかる被告の行為による原告の損害を償うには、相当額の賠償を必要とするが、これには、金一〇〇万円の支払が相当である。
【被告の主張】 (一) 原告の主張は争う。
(二) 被告は、昭和六二年ころ、当時の【C】社長が設立したもので、その時、京都市<以下略>に【D】が社長をしている住友不動産株式会社という住友財閥系でない独立の不動産会社が二〇年近くも営業しており、これを見て住友という名前を使用したものである。当時、被告の設立登記をする時に、京都市の司法書士に調査を依頼したところ、「住友殖産」ならば違法ではなく登記ができる旨返答されたので、設立登記をしたものであり、専門家の意見を聞いた上での手続であった。
(三) 被告が今までに原告の営業活動を妨害したことは一切ない。
さらに、住友財閥系の住友不動産、住友銀行、及び住友信託銀行との取引もあるが、何ら問題があったことはない。
(四) 被告が、原告の広告宣伝に便乗して営業したことはない。
当裁判所の判断
一 争点1について 証拠(甲6、14、15)及び弁論の全趣旨によれば、原告の商号である「住友林業株式会社」の一部である「住友」の表示は、旧住友財閥の系譜に連なる企業の多くが自己の商号の一部に使用しているものであり、商号中に「住友」の表示を含む企業は、旧住友財閥の系譜に連なる企業、又はこれらの企業と資本、業務提携等において緊密な関係にある企業であると広く一般に認識されていること、本件標章は、明治時代の中葉以降、住友財閥あるいは住友財閥の系譜に連なる企業が、自己の標章、商標、社章などとして使用してきたものであり、右の事実も広く一般に認識されていることが、それぞれ認められる。
また、証拠(甲6、7、15)によれば、原告は、住友本社の林業所として営業活動を行っていたものであり、昭和二三年に財閥解体に伴って六社に分割されたものの、これら六社が順次合併をして、昭和三〇年二月に商号を「住友林業株式会社」として発足して現在に至っていること、原告は、旧住友財閥の系譜に連なる企業として、「住友」の表示のほか、本件標章を自己の標章として使用していること、原告は、全国の主要都市に広く支店、営業所を設置して全国的に営業展開をし、年間およそ六〇億円の費用をかけて、新聞全国紙、雑誌、テレビジョン放送等を通じて原告の商号等を表記した広告などにより宣伝活動を行っていることが、それぞれ認められる。
したがって、原告の商号の一部である「住友」の表示及び本件標章は、旧住友財閥の系譜に連なる企業、あるいはこれらの企業と資本、業務提携等において緊密な関係にある企業の営業表示として、原告、被告の取引相手たる需要者を含めた一般に広く認識されており、また、原告の商号も、このような旧住友財閥の系譜に連なる企業として、全国的に周知であるということができる。
二 争点2について 被告は、「住友殖産株式会社」なる商号を使用して営業活動を行っているほか、右商号を記載した看板を営業施設として使用している建物及びその敷地に掲げていること、少なくとも平成一〇年四月ころまでは建物の看板に本件標章も付していたことは、前記前提的事実記載のとおりである。
そして、証拠(甲15)によれば、原告及び被告は、いずれも不動産の仲介業等を業務としており、競業関係にあると認められるところ、前記一で述べたとおりの「住友」の表示及び本件標章について形成された需要者の認識からすれば、「住友」の表示に「殖産」の語を加え、これに会社の種類である「株式会社」を加えた被告の商号は、原告を始めとする旧住友財閥の系譜に連なる企業、あるいはこれらの企業と資本、業務提携等において緊密な関係にある企業であるとの誤認混同を生じ、ひいては同種の業務を行う原告の営業と誤認混同を生じるおそれがあるというべきである。
したがって、原告の被告に対する請求のうち、「住友」の名称の使用差止め、商号の抹消登記手続、看板の撤去を求める請求は、いずれも理由がある。
三 争点3について 証拠(甲6、14、15)によれば、原告を始めとする旧住友財閥の系譜に連なり、その商号に「住友」の表示を使用している企業は、住友商標委員会なるものを組織し、「住友」の表示及び本件標章を、旧住友財閥の系譜に連なる企業集団を象徴するものとして、共同してその信用の維持、管理に努めていることが認められる。また、前記一で認定したとおり、原告は、年間およそ六〇億円の費用をかけて、新聞、雑誌、テレビジョン放送等において自社の商号等の宣伝広告活動を行っている。
他方、証拠(甲14、15)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、旧住友財閥とは何ら関連を有しないことが認められる。
そうすると、被告が「住友」の表示及び本件標章を使用する行為は、何らの費用を負担することなく原告を始めとする旧住友財閥の系譜に連なる企業集団が形成した信用力に便乗するものであるということができ、また、これらの表示、標章に形成された信用力を希釈化することにより、現実に競業関係にある原告に損害を与えたものというべきである。そして、前記一、二で述べたとおりの「住友」の表示及び本件標章の周知性の程度に加え、被告が「住友」の表示のみならず、平成一〇年四月ころまでは本件標章をも自己の表示として使用していたことからすれば、
被告は、「住友」の表示及び本件標章を用いて営業活動を行うことにより、右各表示を使用する旧住友財閥の系譜に連なる企業と誤認混同を生ぜしめ、右各表示に化体された信用力に便乗することを認識しつつ、これらを使用したものと推認される。この点、被告は、住友不動産株式会社と称する旧住友財閥とは関係のない企業が存在し、また、会社設立に際して専門家である司法書士に商号について相談した旨主張するが、「住友」の表示及び本件標章の周知性の程度に鑑みれば、仮に右主張が事実であったとしても、被告が右のような認識を有していたことを否定することはできない。
本件に現れた一切の事情を考慮すれば、被告の「住友」の表示の使用及び本件標章の使用により生じた原告の損害を償うためには、五〇万円の支払をもって相当と認める。
四 よって、原告の請求は主文の限度で理由がある。
(平成一二年三月九日口頭弁論終結)
裁判長裁判官 小松一雄
裁判官 渡部勇次
裁判官 水上周
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