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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成17ワ24370損害賠償等請求事件 判例 不正競争防止法
関連ワード 周知表示混同惹起行為(2条1項1号) /  周知性 /  広く認識 /  需要者 /  営業地域 /  顧客層 /  類似性(類似) /  外観 /  観念 /  印象 /  記憶 /  連想 /  混同のおそれ(混同) /  差止請求(差止) /  営業上の利益 /  デザイン /  侵害 /  代理人 /  代表者 /  識別力 /  混同のおそれ(混同) /  推定 / 
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事件 平成 16年 (ワ) 24574号 商号使用差止等請求事件
原告 株式会社プロフェッショナル・ブレインバンク
訴訟代理人弁護士 関口明博
被告 株式会社プロフェッショナルバンク
訴訟代理人弁護士 青木秀茂泊昌之松尾慎祐望月賢司川田剛人見勝行野裕之澤田繁夫赤司修一安東恭一大本康志白日光洞敬渡辺和也
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2005/06/15
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
1 被告は,「株式会社プロフェッショナルバンク」との商号を使用してはならない。
2 被告は,東京法務局平成16年8月26日受付をもってした被告の設立登記中,「株式会社プロフェッショナルバンク」との商号の抹消登記手続をせよ。
当事者の主張
1 原告の主張 (1) 当事者 ア 原告は,平成10年12月24日,商号を「有限会社経営実務コンサルタント」とし,本店所在地を東京都渋谷区〈以下略〉として設立された有限会社であったところ,平成14年4月1日,商号を「株式会社プロフェッショナル・ブレインバンク」(以下「原告商号」という。)とし,目的を事業者の労務・経営・財務コンサルタント,一般及び特定労働者派遣事業並びに有料職業紹介事業等として,株式会社に組織変更し,同年5月1日,本店を肩書住所地に移転した株式会社である。
イ 被告は,平成16年8月26日,商号を「株式会社プロフェッショナルバンク」(以下「被告商号」という。)とし,本店所在地を肩書住所地とし,目的を企業経営(運営・統治機構等)に関するコンサルティング,人材派遣業務及び有料職業紹介業等として設立された株式会社である。
(2) 商法20条1項に基づく請求について ア 商法20条2項にいう「他人の登記したる商号」には,他人の登記した商号と同一の商号のみならず,これと判然区別することのできない商号も含まれる。
被告商号と原告商号とは,「ブレイン」の有無が相違するにすぎず,両商号とも,専門家という人材を蓄えておく場所が観念されるから,被告商号は,原告商号と判然区別することができない商号である。
したがって,商法20条2項により,被告は,被告商号を使用するに際して不正の競争の目的を有していると推定される。
イ よって,原告は,被告に対し,商法20条1項に基づき,被告商号の使用の差止め及び東京法務局平成16年8月26日受付をもってした被告の設立登記中の被告商号の抹消登記を求める。
(3) 不正競争防止法2条1項1号及び3条に基づく請求について ア 原告商号の周知性 (ア) 営業内容 原告の現在の営業内容は,@経営コンサルティング,Aマーケティングサポート及びBヒューマンリソース(人材派遣事業及び人材紹介事業)である。
原告の年間売上額は,平成14年度決算において,約1億2300万円であり,その大部分が人材派遣関連事業の売上である。
また,原告は,東京本社のほかに大阪支店を有しており,札幌,新潟,群馬,静岡,名古屋,広島及び福岡にサービス拠点(人材派遣事業に関して派遣社員の提供等につき提携・協力関係を有する会社が存在する場所)がある。
(イ) 取引先 原告の主要な取引先は,別紙「主要取引先リスト」記載のとおりであり,東京都を中心として全国各地に存在する。
(ウ) 広報活動 原告は,ウェブサイトを開設し,広報・宣伝活動を行っている。
また,原告は,派遣社員の求人広告を,「FromA」,「週刊ミュートスアッタ」,「DOMO」等の雑誌に掲載するとともに,人材派遣会社としての自社の紹介を,「イーキャリアFA」,「@ばる」等のウェブサイトに掲載しており,広告宣伝費として年間約200万円を支出している。
さらに,原告は,「月刊ボス」,「FromA」,「B-ing」等の就職・転職情報関連雑誌に記事として掲載されたことがある。
被告は,大手の人材派遣企業の広告宣伝費と比較して,原告の広告宣伝費が少額である旨主張する。しかし,本件においては,東京都を中心とする営業地域という点で,原告と被告の主たる営業地域及び顧客層が共通しているから,一定規模の営業をしていれば,広報・宣伝活動の規模が小さくとも周知性が認められるべきである。
(エ) 営業活動 原告の顧客層は人材派遣等を必要とする企業であるため,原告は専ら戸別訪問と電話による営業活動を行っている。
(オ) 小括 したがって,原告商号は,少なくとも東京都において,需要者の間に広く認知されている。
イ 原告商号と被告商号の類似性 (ア) 原告商号及び被告商号の要部は,いずれも「プロフェッショナル」及び「バンク」の部分であるから,原告商号と被告商号の要部は同一である。
(イ) 仮に原告商号と被告商号の要部が各商号全体であるとしても,両商号は,以下のとおり,外観,称呼及び観念類似する。
まず,両者は,視覚的に最もインパクトのある冒頭の「プロフェッショナル」部分と「バンク」の部分が共通しており,「・ブレイン」部分の有無が相違するにすぎず,外観類似している。
また,原告の略称が「プロバンク」であること,原告のドメイン名である「probank.co.jp」に「プロバンク」が用いられていることからも分かるように,原告商号のうち「ブレイン」部分は重視されておらず,その称呼においても,「プロフェッショナル」の「プ」及び「バンク」の「バ」に強いアクセントが置かれ,「ブレイン」部分に置かれるアクセントは相対的に弱いから,両商号は,称呼においても類似する。
さらに,両商号は,「専門家の銀行」又は「専門家を蓄えておくところ」という同一の観念を有する。
したがって,原告商号と被告商号は類似する。
混同のおそれ 原告と被告の営業は,人材派遣及び有料職業紹介事業並びに経営コンサルティング事業の点において共通している。被告は,人材関連サービス業をさらに細分化して,原告と被告の事業内容が異なる旨主張するが,一般需要者は,被告主張のように業務を細分化して認識しておらず,人材関連サービス業務という大きな括りで認識するにすぎない。
また,原告と被告は,本店所在地が千代田区であり,主たる営業地域が東京都であることも共通している。
したがって,被告による被告商号の使用は,需要者に対し,原告と被告が同一営業主体であると誤信させたり,原告と被告の間に密接な営業上の関係や同一事業を営むグループに属する関係にあるなどと誤信させるおそれがある。
営業上の利益侵害 被告が,被告商号を使用して,原告と同一の営業地域において,原告と同一の営業を行うことにより,原告と被告の営業表示が混同されるなどして,原告の営業上の利益侵害されるおそれがある。
オ 結論 よって,原告は,被告に対し,不正競争防止法2条1項1号及び3条に基づき,被告商号の使用の差止め及び東京法務局平成16年8月26日受付をもってした被告の設立登記中の被告商号の抹消登記を求める。
2 被告の主張 (1) 原告の主張(1)について 認める。
(2) 原告の主張(2)について ア 認否 否認し,争う。
イ 商法20条2項について 商法20条2項にいう「他人の登記したる商号」とは,他人の登記した商号と同一の商号を意味する。
仮に,他人の登記した商号と判然区別することができない商号がこれに含まれるとしても,原告商号と被告商号は,視覚的にも聴覚的にも容易に区別することができる。
したがって,商法20条2項推定は,本件には及ばない。
(3) 原告の主張(3)について ア 認否 原告の主張(3)のうちアは知らない。その余は否認し,争う。
イ 原告商号の周知性について 人材流動業界におけるいわゆる大手有名会社の売上は,売上順位100位の会社でさえ年間約10億円程度であるから,原告の売上は,極めて少額であり,原告商号の周知性を基礎付ける事実とはいえない。
また,原告の主張する取引先ないし提携・協力関係にある企業は,決して多数ではないし,その取引関係や提携・協力関係の具体的な内容も不明であるから,原告商号の周知性を基礎付ける事実とはいえない。
さらに,年間200万円程度の広告宣伝費の支出は,同業他社と比較しても少額であるから,原告商号の周知性を基礎付ける事実とはいえない。
原告は,周知性を基礎付ける事情として自らの営業活動をも主張するが,単に戸別訪問をし,電話をかけるだけでは,需要者広く認識されているとはいえない。
そして,原告が原告商号を使用し始めてから約3年しか経過していないこと,原告の資本金はわずか1200万円であること,被告の発行済み株式総数は2400株であるのに対して,原告の発行済み株式総数は240株であること等からすれば,原告商号が需要者広く認識されているとはいえない。
ウ 原告商号と被告商号の類似性について (ア) 原告商号の要部は,「ブレインバンク」であり,被告商号の要部は,「プロフェッショナルバンク」である。
そこで,これらの要部を対比すると,まず,両者の外観類似しない。また,称呼についても,「バンク」部分が共通するのみであり,類似しない。
さらに,原告商号の要部は,「頭脳の銀行」又は「頭脳を蓄えておくところ」という観念を生じるのに対して,被告商号の要部は,「専門家の銀行」又は「専門家を蓄えておくところ」という観念を生じるし,仮に「ブレイン」が「サポートする専門家という人材」を意味するとしても,原告商号は,「専門家であって,依頼者の顧問ないし相談役を務めるなどして依頼者をサポートする人材を蓄積するところ」という観念を生じるのに対して,被告商号は,顧問や相談役等に限らず,広い意味での「専門家を蓄えるところ」という観念を生じるから,観念類似しない。
(イ) 仮に,原告商号と被告商号の要部が,各商号の全体であるとしても,以下のとおり,両商号は類似していない。
まず,被告商号には,原告商号のうち「・」及び「ブレイン」の部分がないから,外観類似しない。また,原告商号を発音する際には,「プロフェッショナル」と「ブレインバンク」の間に一呼吸入るのに対して,被告商号は一息に発音することができるから,称呼も類似しない。さらに,原告商号は「専門家の頭脳を蓄えておくところ」という観念を生じるのに対して,被告商号は「専門家の銀行」又は「専門家を蓄えておくところ」という観念を生じるし,仮に「ブレイン」が「サポートする専門家という人材」を意味するとしても,原告商号は,「専門家であって,依頼者の顧問ないし相談役を務めるなどして依頼者をサポートする人材を蓄積するところ」という観念を生じるのに対して,被告商号は,顧問や相談役等に限らず,広い意味での「専門家を蓄えるところ」という観念を生じるから,観念類似しない。
(ウ) したがって,原告商号と被告商号は類似しない。
混同のおそれについて 原告と被告の営業内容は,互いに異なる。すなわち,人材流動関連事業は,@人材派遣業,A人材アウトソーシング業,B人材紹介業,C人材情報サイト業に分けられるところ,原告は,主として@を行っているのに対して,被告は,主としてCを行っており,Cを補完する程度にBを行うものの,@は行っていない。
原告はあくまで,人材の「派遣」を業とする会社であるのに対し,被告の業務の中心は,人材「情報の確保」であり,人材の「データバンク」であって,両者の営業の形態及び分野は明確に異なる。
また,被告会社は,資本金が2億円,発行予定株式総数が2万株であり,原告会社とは会社の規模が異なるから,需要者が両社を混同することは考え難い。
したがって,被告による被告商号の使用により,原告と被告とを混同するおそれは生じない。
営業上の利益侵害について 被告による被告商号の使用は,不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為に当たらないから,被告商号の使用により原告の営業上の利益侵害又は侵害のおそれもない。
当裁判所の判断
1 不正競争防止法に基づく請求について (1) 周知性について ア 証拠(各項に掲げる。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(ア) 原告の事業及び営業内容等(甲4ないし6) 原告は,平成10年12月24日に設立され,平成14年4月1日から原告商号を使用し,資本金が1200万円,契約社員を含む従業員数が50名の株式会社であり,肩書住所地所在の本店のほか,大阪市に大阪支店があり,札幌,新潟,群馬,静岡,名古屋,広島及び福岡の各都市に,サービス拠点を有している。
また,原告の営業内容は,@経営コンサルティング,Aマーケティングサポート及びBヒューマンリソース(人材派遣事業,人材紹介事業及び研修事業)であり,特に人材派遣事業が中心であるところ,平成14年度決算において,年間売上額は1億2289万0295円(内金1億2208万9746円が人材派遣事業による収入),広告宣伝費が198万5705円,営業損失が83万3479円,当期純損失が98万3457円であった。
(イ) 原告の営業活動等(甲4ないし15) 原告は,営業社員による戸別訪問又は電話により営業活動を行っており,そのうち電話による営業活動は,1営業日につき1ないし2名の営業社員によって行われている。原告作成の会社概要には,原告との主要取引先として,株式会社日本旅行,ソフトバンクBB株式会社,PCA生命保険株式会社,株式会社フジスタッフ,株式会社プロトコーポレーション,医療法人真和会等が紹介されている また,原告は,自社のウェブサイトを開設して,営業内容等を宣伝しているほか,「FromA(平成16年9月23日号)」,「週刊ミュートスアッタ(2002年Vol.14)」及び「DOMO(vol.147)」等の求職者を対象とした情報雑誌に,求人広告を掲載し,「イーキャリアFA」及び「@ばる」等の求職者を対象としたウェブサイトに,主として派遣社員を募集するための自社の紹介を掲載した。
なお,就職・転職情報雑誌である,「月刊ボス(2004年3月号)」及び「B-ing(2003年12月25日号)」には原告前代表者に対するインタビュー記事が,「FromA(2003年9月4日号)」には原告の従業員に対するインタビュー記事が,それぞれ掲載された。
(ウ) 人材派遣会社売上高ランキング(乙5) 株式会社人材ビジネスフォーラムが日経流通新聞による調査結果として公開している「2003年度人材派遣会社売上高ランキング」によれば,全国の人材派遣会社のうち,売上高の多い101社のランキング中に原告は含まれておらず,同ランキングに入った会社の多くが東京都に本社を置いており,特に上位10社はいずれも東京都に本社を置く会社であるところ,これらの会社の売上高は,1位のスタッフサービスがグループ企業全体として合計約2527億円,10位のヒューマンリソシアが約278億円であり,101位のキャリアデザイン(同社も東京都に本社を置く。)であっても約10億円である。
イ 検討 前記認定事実等に基づいて,原告商号の周知性について検討する。
まず,原告の設立年月日,資本金額,従業員数等からみて,原告の企業としての活動が,実績を積み重ねて広範かつ大規模に行われていたものとは到底認められない上,原告の営業活動や広報・宣伝活動等も,広く派遣社員を募集し多数の企業に対して適切な人材を派遣するという事業の内容や,原告に関する紹介記事の頻度及び広告宣伝費の額等に照らして,必ずしも大規模に行われていたものではないと認められ,原告商号が原告により使用されてから3年余りの期間しか経過していないことも考慮すれば,同商号が人材派遣事業等の需要者にとって周知であったということはできない。
この点につき原告は,広報・宣伝活動等が小規模であっても,少なくとも東京都においては需要者に広く知られている旨主張する。
しかしながら,前記「売上高ランキング」に示される人材派遣事業の市場規模,他の人材派遣会社の存在や営業状況,殊に全国的に人材派遣事業を展開している多くの企業が東京都に本社を置いていることからすると,同ランキング101位の企業の売上高の約8分の1の売上高(平成14年度決算)しかない原告は,東京都内に限ってみても,その存在及び商号が需要者に広く知られていることを認めることはできないから,原告の上記主張は,採用することができない。
そして,他に原告商号が需要者に広く知られていることを認めるに足りる証拠はない。
(2) 原告商号及び被告商号の類否について 前記(1)のとおり,原告商号が需要者に広く知られているとは認められないが,以下のとおり,被告商号が原告商号に類似すると認めることもできない。
ア 類否の基準 不正競争防止法2条1項1号所定の「同一若しくは類似」とは,取引の実情のもとにおいて,取引者・需要者が,両表示の外観,称呼又は観念に基づく印象,記憶,連想等から,両表示を全体的に類似のものと受け取るおそれがあるか否かという観点で判断すべきものと解される。
イ 原告商号 原告商号,「株式会社プロフェッショナル・ブレインバンク」のうち,「株式会社」部分は,会社の種類を表すものであって識別力がないことは明らかであり,また,「プロフェッショナル」,「ブレイン」及び「バンク」の部分は,「プロフェッショナル」が専門家を,「ブレイン」が個人又は団体・政府等の側近や顧問を,「バンク」が銀行,あるいは,特定の人や物,情報を集めて必要に備えて蓄えておく機関を,それぞれ意味するものであって,いずれも英語に由来する一般的な用語であることからすれば,原告商号は,特定の部分のみが顕著な印象を与えるものではなく,「プロフェッショナル・ブレインバンク」部分が,外観上一体として,取引者・需要者の注意を惹く要部であると認めるのが相当である。
そして,原告商号は,「プロフェッショナルブレインバンク」の称呼を生ずるとともに,この称呼が,簡易迅速が尊重される取引の場においては,やや冗長であることも考慮すれば,より簡略な「プロバンク」,「プロブレインバンク」又は「ブレインバンク」の称呼をも生じ得るものと認められる。
また,原告商号のうち,「プロフェッショナル」,「ブレイン」及び「バンク」の部分の意味合いは,前記のとおりであるから,全体として,「顧問となり得るような専門家を必要に備えて確保しておく機関」という観念を生じるものと認められる。
ウ 被告商号 被告商号,「株式会社プロフェッショナルバンク」のうち,「株式会社」部分は,原告商号と同様,会社の種類を表すものであって識別力がなく,また,「プロフェッショナル」及び「バンク」も,前記のとおり,一般的な用語であるから,被告商号は,「プロフェッショナルバンク」部分が,外観上一体として,取引者・需要者の注意を惹く要部であると認められる。
また,被告商号は,「プロフェッショナルバンク」との称呼を生じるとともに,原告商号ほどではないとしてもやや文字数が多いことから,より簡略な「プロバンク」の称呼を生じる場合もあるものと認められる。そして,「プロフェッショナル」及び「バンク」の意味合いは,前記のとおりであるから,専門家を必要に応じて確保しておく機関という観念を生じるものと認められる。
エ 対比 そこで,両商号を比較すると,両者は,外観の観点からは,「・ブレイン」の有無において明確に区別され,要部における称呼の観点からも,「ブレイン」の有無において相違するものといえる。観念の観点からは,被告商号が,専門家を必要に応じて確保しておく機関であるのに対し,原告商号は,「顧問となり得るような」という専門家を説明する意味が加わり,両者は異なるものである。なお,原告の前記略称の一部と被告商号の略称は,称呼上共通する場合があることとなるが,両商号の要部は,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相違し,その相違が取引者・需要者に明確に認識されるものであるから,全体として,両商号が類似するものと認めることはできない。
原告は,原告の使用する略称が「プロバンク」であることなどから,原告商号のうち「ブレイン」部分は重視されておらず,その称呼においても,「ブレイン」部分に置かれるアクセントが相対的に弱いから,両商号の要部は称呼においても類似する旨主張する。
しかしながら,原告商号中,「プロフェッショナル」,「ブレイン」及び「バンク」の部分がいずれも一般的な用語であって,特定の部分のみが顕著な印象を与えるものではないことは,前記のとおりであり,特に「ブレイン」部分のみが重視されておらず,アクセントも弱いとするのは,客観的な根拠を欠く原告の恣意的な主張であって,到底採用することができない。
(3) 小括 よって,その余の点について判断するまでもなく,不正競争防止法に基づく原告の請求には,いずれも理由がない。
2 商法20条1項に基づく請求について 前記1(2)において検討した,原告商号と被告商号との類似性の有無は,商法20条1項に基づく請求においても妥当するものであるところ,前記検討のとおり,両商号は,類似するものとはいえないから,同一の商号でないことはもとより,判然区別することのできない商号に該当するものでないことも明らかである。
したがって,商法20条1項に基づく請求も理由がない。
3 結論 以上より,原告の請求にはいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 清水節
裁判官 山田真紀
裁判官 田公輝
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