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関連ワード 周知性 /  広く認識 /  需要者 /  他人の商品 /  類似性(類似) /  外観 /  混同のおそれ(混同) /  誤認混同 /  不正の目的(不正競争の目的) /  商品の形態(商品形態) /  模倣 /  差止請求(差止) /  営業上の利益 /  デザイン /  ただ乗り(フリーライド) /  侵害 /  代表者 /  混同のおそれ(混同) /  品質等誤認表示(誤認) /  競争関係 /  販売数量 / 
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事件 平成 3年 (ワ) 8991号
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 1995/02/27
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告は、別紙物件目録二記載のローズ形のチョコレート菓子を製造、販売し又は販売のため展示してはならない。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨主文同旨。
二 請求の趣旨に対する答弁1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
請求原因
一 (原告の営業及び商品)1 原告は、チョコレートの製造販売等を目的とする会社である。
2 原告は、昭和六〇年九月から別紙物件目録一記載のローズ形のチョコレート菓子(以下、「原告商品」という。なお、その実施例が物件目録一添付の写真である)を製造販売している。
二 (原告商品の構成及び商品表示)1 原告商品は、別紙物件目録一記載のとおり、チョコレート材料からなる大きさが異なる中心の巻込部を含めた五枚ないし八枚の花片を互いの基部を中心部から放射状の付着したローズ形の花冠を主要部とし、これに造花材料からなる葉と造花材料からなる茎を副次的に配置し、これら全体を自然のバラの花のように立体的、写実的に成形、保持し、一見して本物のバラの花と見間違うように表現したチョコレート菓子である。
原告は右物件目録一記載のチョコレート菓子を別紙参考資料A、Bの写真などのように装丁した商品の販売もしている。
2 原告は右チョコレート菓子の全体的形態をもって原告の商品たることを示す表示(商品表示)と主張する。
三 (原告商品の周知性)1 原告商品は原告がバレンタイン商品の核となる商品を目指して独自に開発し商品化した商品である。
2 原告商品の発売以前にはバラの花など花の形状をした装飾菓子製品の製造技術などが書籍によって紹介されたことはあったが、それが実際に商品化され市場に流通したことはなかった。
そのため、原告商品の斬新性は、需要者の個性化志向、本物志向、ファッション志向ともマッチし、発売とともに需要者及び取引業者の注目を集め、好評を博するにいたった。
3 原告は、原告商品の発売とともに、日本国内の有名百貨店(新宿三越、池袋東武、銀座三越、日本橋三越、梅田阪神、渋谷東急本店)で、手作り実演販売などのデモンストレーションを行うなど活発な営業活動を展開してきた。
また、原告は原告商品の宣伝、広告を新聞、雑誌、テレビなどで大量かつ活発に行っているほか、原告商品について、NHK、フジテレビ「なんでも情報」、ANB「EAT9」から取材を受け有益な報道がなされた。
4 原告が前記原告商品の商品形態の使用を開始してから被告が使用を開始するまで約四年間経過しているが、この間原告は右商品形態を継続かつ独占的に使用し、
販売量、販売額とも増大している。
5 右事実に、原告の業界における知名度などが加わって、原告商品の前記商品形態は原告の商品であることを示す表示として遅くとも昭和六三年二月頃には日本全国、少なくとも東京都を中心とする関東地方、大阪府を中心とする関西地方、名古屋市を中心とする中部地方の取引業者及び需要者広く認識されるに至っており、
今日まで右商品は継続して周知である。
このことは、全日本菓子工業協同組合連合会、日本菓子BB協会、日本チョコレートココア協会及び全日本菓子協会のチョコレート菓子関係の六団体、菓子食品新報など七誌のチョコレート及び菓子関係業界誌、株式会社不二家、森永製菓株式会社、明治製菓株式会社、江崎グリコ株式会社を初めとする八六社のチョコレート及び菓子製造業者らが、こぞって原告商品がそれまで商品化されたことのない斬新なものとして注目を集め、昭和六二年二月ないし昭和六三年二月頃には原告商品の形態が原告の製造販売にかかる固有の商品であることを表示するものとして、チョコレート及び菓子関係業界に広く知られていたことを認めていることからも明らかである。
6 なお、被告は訴外有限会社三井フローラルアート(以下「三井フローラルアート」という。なお代表者は被告の代表者と同一の【A】である。)を通じて原告商品の製造に関与し、原告商品が市場において好評を博し売行きが好調であることに目をつけ、これに便乗して不当な利益を得ようとして、訴外有限会社合次製作所(以下「合次製作所」という。
)を通じての原告との取引関係がなくなった平成元年九月頃から原告商品に酷似した被告商品の製造販売事業を開始したものであり、この行為は原告商品の好評に目をつけたフリーライドによる不正競争行為というべきで、公正な秩序の破壊行為と認められる表示の冒用行為が存するものというべきであるから、このような者に対しては、商品の周知性は相対的に低いもので足りるというべきである。
四 (被告の営業及び原告商品の商品形態の使用)1 被告は造花の加工、卸し、販売などを主たる目的とする会社であり(平成二年二月一六日菓子食品の製造加工販売を会社の定款の目的に加えた)、その関連会社である三井フローラルアートを通して昭和六〇年秋頃から原告商品の加工に携わっていた。
2 被告は、現在別紙物件目録二記載のローズ形のチョコレート菓子(以下「被告商品」という。なお、その実施例が物件目録二添付の写真である。)を製造、販売している。
五 (被告商品の構成) 被告商品は、別紙物件目録二記載のとおり、チョコレート材料からなる大きさが異なる中心の巻込部を含めた五枚ないし八枚の花片を互いの基部を中心部から放射状に付着したローズ形の花冠を主要部とし、これに造花材料からなる葉と造花材料からなる茎を副次的に配置し、これら全体を自然のバラの花のように立体的、写実的に成形、保持し、本物のバラの花のように表現したチョコレート菓子である。
このバラの花の一本ないし三本を別紙参考資料CないしFの写真に示すように、
霞草に似たものなどの数種類の花材とともに束ね、これらを包装で覆って、前面が透明のケース内に戴置して装丁している。
六 (原告商品と被告商品の商品表示の同一又は類似)1 原告商品と被告商品はともに、チョコレート材料からなる複数の花片を中心部から放射状に付着したローズ形花冠を主要部とし、これに造花材料からなる葉と茎とを副次的に配置している点で両者は類似する。
2 また、これら全体を自然のバラの花のように立体的、写実的に成形保持している点でも両者は共通する。
七 (原告商品と被告商品との誤認混同)1 原告商品と被告商品とは前記のとおり酷似しているばかりか、いずれも主としてバレンタインデーやホワイトデー向けの商品で市場において競争関係にあり、被告商品と原告商品が混同されるおそれが十分ある。
2 現に平成元年九月一四日のイトーヨーカ堂バレンタイン選定会や平成二年八月二五日の株式会社大信の展示会などのバレンタイン商品選定会において混同を生じた実例がある。
3 なお、原告商品に類似した商品の販売を始め、或いは始めようとしていた訴外株式会社パール食品、同株式会社いちもんめ、同株式会社セブン、同株式会社ボナフラワー商事は、不正競争防止法に違反するという原告の警告を受け入れ、販売を中止した。
八 (営業上の利益侵害) 原告商品と被告商品とは前記のとおり市場において競争関係にあり、被告商品と原告商品が混同されることにより、原告は営業上の利益を現に害され、また今後継続して害されるおそれがある。
九 よって、原告は、被告に対し、不正競争防止法2条1項1号3条に基づき、
被告製品の製造、販売、販売のための展示の差止めを求める。
請求原因に対する認否
一1 請求原因一のうち、1の事実は認める。2の事実については、原告が平成元年頃から、別紙物件目録一記載のチョコレート菓子を販売していることは認めるが、その余は否認。
2 昭和六二年頃、原告は右のような形の商品を販売していたが、砂糖菓子であった。したがって、原告が仮に後に主張するように周知性を取得したとしても、砂糖菓子についてである。また原告は従前原告商品を製造はしてなかったし、現在も花冠部の製造はしていない。
二 請求原因二1中、花冠部の形状が原告主張のようなものであることは認めるが、その余は否認する。参考資料Aの商品が原告の製造にかかるものであるかどうかは知らない。参考資料Bの商品は、被告の製造にかかるものである。
同2については争う。自然のバラをテーマにして商品を製作することは極くありふれたことであり、食品に限っても和洋菓子にバラをテーマにしたものはいくらもある。バラに枝がついた商品も同様である。
自然界に存在するバラの花を単に模倣したに過ぎない原告商品のバラの花の部分の形態が商品表示であるとすることはできない。このことはチョコレートのバラが業界でありふれていることからも明らかである。
三1 請求原因三のうち、1の事実中、原告が原告商品を独自に開発し商品化したことは否認し、その余は知らない。原告商品は被告が独自に開発したものである。
同2の事実中、原告商品の発売以前に花の形状をした装飾菓子製品の製造技術が書籍によって紹介されたことは認め、その余の事実は否認する。好評を博したのは被告商品である。
同3の事実は知らない。同4の事実中、原告商品の販売量、販売額の増大は知らない。その余は否認する。同5の事実は否認する。
同6の事実については、被告による被告商品の販売行為について公正な秩序の破壊行為と認められる表示の冒用行為が存在することを否認し、その余の主張は争う。
2 原告は、周知の範囲を日本全国の取引者又は需要者と主張しているが、原告商品の販売数量は、日本全国のチョコレート消費量から見れば極めてわずかの量である。また、原告商品は毎年二月一四日のバレンタインデーのための季節商品であって、特定の短期間に売上げが集中するものであるから、周知性を獲得することは困難である。原告主張の宣伝活動も、業者としてありふれたもので、その量も全体的な広告量及び大手菓子メーカーに比較すれば、少ない。
バラの花による菓子類はありふれたものであるから、これにより商品表示として周知になることは困難である。
3 なお、甲第二三号証の一ないし九二、甲第二四号証の一ないし七の陳述書は、
いずれも信用できない。
四 請求原因四の1、2の各事実は認める。なお、2の事実中、被告が原告商品の加工を開始した時期は昭和五九年かもしれない。
五 請求原因五の事実は認める。ただし、花冠と茎は接着していないものである。
六 請求原因六のうち、1の事実については否認する。
2については、争う。
七1 請求原因七のうち、1の事実については、原告商品がバレンタインデー向けの商品であること、被告商品がバレンタインデー向け及びホワイトデー向けの商品であることは認め、原告商品がホワイトデー向けの商品であることは知らない。その余は否認する。
原告は問屋販売もあるが、直接販売のウエイトが高いのに対し、被告は問屋販売が中心であるという販売先の違い、原告は、平成三年度三億円余の販売額であるのに比し、被告の販売額はかなり少ないという販売額の違い及び両製品は似ていないことから、両者は市場において競争関係になく、混同のおそれはない。
2 請求原因七2、3の事実については知らない。
八 請求原因八、九は争う。
抗弁(善意使用)
被告は、昭和六〇年夏頃、別紙参考資料A、Bの製品について、合次製作所から可能な限り生産せよとの注文を受け、右製品の花冠部を受け取り、これに造花の葉と茎をつけて同製品を完成させ、合次製作所に三井フローラルアート名をもって昭和六三年頃まで納品販売し、平成元年からは、被告名をもって製造し市販して、継続して今日に至っているものである。
原告商品の特徴はバラの花をブーケにしたことにあるが、右デザインは、アートフラワーの材料と技術を持つ被告の開発によるものである。
被告は不正の目的でなく、被告商品を製造、販売している。
抗弁に対する認否
抗弁事実は否認する。ただし、三井フローラルアートが、昭和六〇年秋頃、合次製作所から発注を受けて、別紙参考資料A、Bの製品を製造していたことはあった。ただし、製造場所、製造金額の詳細は不明である。
その事実経過は次のとおりである。
原告は昭和五八年五月頃、製菓材料用にチョコレート材料からなる複数の花片から構成された自然のバラの花のような花冠を開発し、昭和五九年四月から韓国の訴外会社に製造を委託し輸入販売していたが、右花冠部を主要部とし、これに茎とチョコレート材料からなる複数の葉をあしらい、全体を本物のバラの花のように立体的、写実風に成形保持したチョコレート製品の商品化に成功し(商品名「ファンシーローズ」)、昭和六〇年二月から販売を開始した。右商品が需要者、取引業者の注目を浴びたため、
原告はこれのバリエーション商品の販売も企画し、下請業者である合次製作所に相談したところ、同社は、アートフラワー教師である訴外【B】に造花材料からなる葉、小花を使用した「ブーケ」状の商品サンプルを試作してもらった。しかし、この「ブーケ」状の商品サンプルは豪華すぎたため、これを簡素化するため三井フローラルアートと相談し、三井フローラルアートがブーケ状の本件チョコレート菓子のサンプルを試作してきたため、原告はこれについて、ブーケの下端部をリボンで結ぶよう指示して同商品が完成し、原告が右製品の商品化を決定し(商品名「ローズブーケ」)、昭和六〇年秋頃、合次製作所に下請けとして発注したところ、同社が更に三井フローラルアートに右商品の製造を下請けさせたものである。結局被告主張の原告商品を製造していたという事実は、被告が原告の孫請けとして製造したにすぎないばかりか、被告は前記第二、三6に述べたとおり、原告商品が周知性を獲得した後の平成元年九月頃から不正競争の目的をもって被告商品の製造販売を始めたものであるから、右をもって善意使用の抗弁が成立するものではない。また右の経過からすれば、ブーケ状の本件チョコレート菓子を三井フローラルアートが創作したというものではないし、そもそもブーケ自体は決まった形があるものであるから、デザイン開発に相当する概念をいれる余地もない。
なお、原告商品は第二、二1に述べたとおりの形状で、ブーケ状の商品は原告商品の実施例である。したがって被告商品は原告商品をそのまま利用したにすぎない。
証拠関係(省略)
理 由一1 請求原因一1は、当事者間に争いがない。
2 原告代表者尋問の結果により成立を認める甲第一号証、甲第二号証の一、二、
弁論の全趣旨により成立を認める甲第二号証の三ないし七、成立に争いがない甲第五六号証ないし甲第五九号証、甲第六五号証の一ないし三、証人【C】の証言、原告代表者尋問の結果によれば、原告は、昭和四四年株式会社として設立され、現代表者【D】の父祖が大正三年から個人経営として始め、
その後合名会社を設立して営んでいたチョコレート菓子などの製造販売業を承継してきたものであるが、昭和六〇年九月から別紙物件目録一記載のローズ形のチョコレート菓子、即ち原告商品を、バレンタインデー用の商品として製造し、自ら又は株式会社ウブリエを通じて販売していること、チョコレート業界は、五大メーカーが大量販売品を製造し、それ以下の中堅、中小企業は、贈答用の高級品を製造しているところ、原告は、右の中堅、中小企業のうちの、上から五番目くらいの製造販売量であることが認められる。
3 被告は、原告が平成元年頃から、別紙物件目録一記載のチョコレート菓子を販売していたことは認めるものの、それ以前に原告が製造販売していたのは、砂糖菓子であり、チョコレート菓子ではなかった旨主張する。
しかしながら、原告代表者尋問の結果によれば、原告商品は、昭和六〇年以来ずっと同じ主原料のチョコレートに水あめを混ぜ流動性をなくし、シート状に延ばし形に切り抜いた上で、手で組み立てるという工程で花冠部が形成されていること、
チョコレート商品についてはチョコレート公正競争規約が制定されていて、その中で種類別名称が定められているが、右規約の制定時には、チョコレートの中に他の成分を練り込んだものが想定されておらず、右規約によれば、チョコレートという名称を付することができるのは、水分が三パーセント以下でなければならないとされているところ、原告商品は水あめを入れて乾燥しているので、たまに水分含有率が三パーセント以上になるものがあるため、右規約上チョコレートという表示を使うことができず、他に考えられるチョコレート菓子という表示も、チョコレートと他の食品を組み合わせたものと右規約に規定されているため、それも使えないと考えられたこと、そのため原告商品の発売当初は、公正取引協議会の職員と相談の上、種類別名称として、一時砂糖菓子という名称を使用したもので、原告商品は、
商品それ自体としては、一貫して、現在の原告商品の原料、品質と変化がないことが認められる。
そうしてみると、原告商品は昭和六〇年九月当時から今日まで原料、品質の実態には変化がなく、チョコレート公正規約の適用上表示が変更されたに過ぎず、不正競争防止法2条1項1号の適用上はチョコレートを主原料とする菓子として終始同一のものと認められるから、前記の被告の主張は採用できない。
4 被告は、原告は従前原告商品を製造はしてなかったし、現在も花冠部の製造はしていないと主張する。
原告代表者尋問の結果によれば、原告は原告商品の花冠部の製造を、韓国の下請業者に発注して製造させていること、右下請業者は、原告の技術指導を受け、原告の注文、仕様に基づいて、その実質的な指示のもと、原告の指図通りに製造工程を担っているにすぎないことが認められ、この事実によれば、原告商品の花冠部は原告が製造しているものということができる。また、後記八1認定のとおり、昭和六〇年から昭和六三年九月頃まで、原告は右の花冠部を合次製作所に提供して、これに造花用の茎と葉を付けて原告商品を製造し、これを花束状に組み合わせた商品とすることを請負わせ、合次製作所は三井フローラルアートに更に下請けさせて原告商品を製造した上、これを花束状に組み合わせさせ、これを原告に納品していたもので、不正競争防止法の適用上原告商品は原告が製造し、販売するものということができる。被告の右主張は採用できない。
二 請求原因二1については、原告商品の花冠部の形状が原告主張のように、チョコレート材料からなる大きさが異なる中心の巻込部を含めた五枚ないし八枚の花片を互いの基部を中心部から放射状に付着したローズ形であることは当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨により昭和六三年製造の原告製チョコレート菓子であることが認められる検甲第一号証ないし検甲第三号証によれば、原告商品は、右花冠部に造花材料からなる葉と茎を副次的に配置し、これら全体を自然のバラの花のように立体的、写実的に成形、保持したものであることが認められる。また右検甲第二号証及び検甲第三号証によれば、原告商品は、二本から数本を、造花の小花やリボン、飾り布と組み合わせて花束状にしてケースに入れ、例えば別紙参考資料A及びBのように包装されて、商品として販売されていることが認められる。
被告は、別紙参考資料Bは、被告の製造にかかるものである旨主張するが、この点については、後記八1認定のように、原告が、合次製作所に原告商品の花冠部を提供して、原告商品を製造し、これを花束状に組み合わせて商品とすることを請負わせ、合次製作所がこれを三井フローラルアートに更に下請けさせて製造していた際に、三井フローラルアートが創作し、合次製作所、原告が受け入れたデザインに基づくものが参考資料Bであり、右認定の事実によれば、被告は、原告から見れば孫請けの地位にある三井フローラルアートと代表者を共通にする別法人であるから、不正競争防止法の適用上、被告に独立の製造販売主体としての地位を認め、右商品を被告の製造販売にかかるものと評価することはできない。
三1 前記甲第一号証、甲第二号証の一ないし七、甲第五六号証ないし甲第五九号証、甲第六五号証の一ないし三、原告代表者尋問の結果により成立を認める甲第四三号証、証人【E】の証言により成立を認める甲第四四号証、証人【F】、証人【C】、証人【G】、証人【E】の各証言、原告代表者尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(一) 原告は昭和五八年五月頃、製菓材料用にチョコレート材料からなる複数の花片から構成された自然のバラの花のような花冠を開発し、昭和五九年四月から韓国の訴外会社に製造を下請けさせ輸入販売していたが、右花冠部を主要部とし、これにチョコレート材料で製造された複数の葉と造花用材料からなる茎をあしらい、
全体を一本の自然のバラの花のように立体的、写実風に成形保持したチョコレート製品の商品化に成功し、「ファンシーローズ」という商品名で、バレンタインデー向け商品として昭和六〇年二月から販売を開始した。
(二) 右商品が需要者、取引業者の注目を浴びたので、原告はこのバリエーション商品の販売を企画し、チョコレート材料で製造された葉はこわれやすいので造花用の葉に変更することとし、これを利用した商品の開発ができないかと、以前からチョコレートの包装、仕上げ等のアセンブリーを請負わせていた下請業者である合次製作所に相談し、商品デザインの具体化を依頼したところ、合次製作所は、フラワー教室を開催している【B】に、造花材料からなる葉、小花を使用したブーケ状の商品サンプルを試作してもらった。しかし、このブーケ状の商品サンプルは豪華すぎて商品化には向かなかったため、やがて被告代表者代表者を兼ねる三井フローラルアートに右作業を依頼したところ、同社は、花束状のチョコレート菓子のサンプルを製作したため、それをもとに合次製作所は原告と打ち合わせ、原告は花束の下端部をリボンで結ぶよう指示して、これを三井フローラルアートが受け入れて同商品が完成し、原告が右製品の商品化を決定した(この製品は後に商品名を「ローズブーケ」とされた。)。
(三) 原告商品を組み合わせて花束状にした商品は、原告が、昭和六〇年秋頃から、翌年のバレンタインデー向け商品として販売を開始したものであるが、それまで花冠のほかに茎、葉を備えたバラの花全体の形状をした装飾菓子が商品化され市場に流通したことはなかった。そのため、原告商品は、斬新なデザインによる商品として、需要者及び取引業者の注目を集めたが、中でも全日本菓子工業協同組合連合会、日本チョコレートココア協会、全国チョコレート業公正取引協議会等同業者団体を初めとする取引業者において、斬新なデザインの商品として高い評価を受けた。
(四) 原告は、原告商品を、新宿三越、池袋東武、銀座三越、日本橋三越、梅田阪神、渋谷東急本店等日本国内の有名百貨店で、手作り実演販売などのデモンストレーションを行うなど活発な営業活動を展開してきた。
2 成立に争いのない甲第一五号証の二ないし一三、甲第一六号証の四ないし一〇、一二、一三、甲第一七号証の一ないし三三、甲第一八号証の四ないし三四、甲第一九号証の一ないし三七、甲第二〇号証の一ないし四四、甲第三三号証の一ないし三八、甲第六三号証の一ないし四八、甲第六四号証の一ないし二七、原本の存在及び成立について争いがない甲第一四号証、甲第一五号証の一、甲第一六号証の一、二、三、一一、甲第一八号証の一ないし三、甲第六〇号証、甲第六一号証によれば、原告は、原告商品を組み合わせて花束状にした商品について、毎年二月一四日のバレンタインデーを目指して、次のように宣伝活動をし、また雑誌記事などにおいて原告商品が取り上げられたことが認められる。
(一) 昭和六一年二月向け(1) 昭和六〇年一二月一日、株式会社ビジネスガイド社発行の雑誌、「GiftPART2」において、原告商品が、「チョコレートの花びらを一枚一枚手作りで組み合わせて作られたもので、世界でも初めてのバラのチョコレート。ブライダル、パーティー、祝事、御見舞等の際のセンスあふれる贈りものとして使いたい。
デパート等では実演販売を行っており人気を集めている。」と紹介されている。
(2) 昭和六一年一月ないし三月発行日付の、講談社発行の「BE・LOVE」、マガジンハウス社発行の「Olive」など、バレンタイン商品である原告商品の需要者であると考えられる少女向け、女性向けの雑誌を中心とする一二誌に、バレンタイン商品の一つとして広告、紹介された。これらの雑誌ではバレンタイン商品としての複数の商品が紹介された中の一つとして紹介されている。
(二) 昭和六二年二月向け(1) 昭和六一年一一月五日、製菓実験社発行の、菓子業者向けの雑誌である「製菓製パン」において、原告商品の一面宣伝広告記事が掲載された。
(2) 昭和六二年二月、三月発行日付の、少女向け、女性向けの雑誌八誌に原告商品がバレンタイン商品の一つとして広告、紹介された。
(三) 昭和六三年二月向け(1) 昭和六二年九月から一二月にかけて、前記「製菓製パン」のほか、菓子業者向けの雑誌である日本洋菓子協会連合会発行の「GATEAUX」、「洋菓子店経営」、前記「Gift PART2」、ビジネスガイド社発行の「日刊ギフト九月号別冊 ギフトショーガイドブック」において、原告商品の一面宣伝広告記事が掲載された。
(2) 昭和六三年一月ないし三月発行日付の、三七種の少女向け、女性向け、中高年向け雑誌や一般新聞にバレンタイン商品の一つとして紹介する記事や広告が掲載された。
この中には、文化出版局発行の「装苑」、光文社発行の「女性自身」、小学館発行の「女性セブン」、「CanCan」、主婦の友社発行の「ef」などの大手の雑誌や「サンケイスポーツ」、「夕刊フジ」、「日刊ゲンダイ」、「中日新聞」、
「毎日新聞」などが含まれていた。
(四) 平成元年二月向け(1) 昭和六三年一〇月発行の「日経ギフト」誌に、バレンタイン商品の売れ筋予測についての記事中で、原告商品が同年二月話題を呼んだこと、来年向けの新タイプを発表することが写真と共に紹介された。
(2) 平成元年一月から三月発行日付の三六種の少女向け、女性向け、中高年向け、一般向けの雑誌、新聞等に原告商品が広告、紹介された。この中には、講談社発行の「FRIDAY」や、「中日新聞」、「毎日新聞」、「朝日新聞」が含まれていた。
(五) それ以後の各年度においても、一月から二月上旬を中心に、次のとおりの数の雑誌、新聞類に原告商品の紹介記事や広告が掲載された。
(1) 平成二年度において、合計三七種(2) 平成三年度において、合計四四種(3) 平成四年度において、合計三八種(4) 平成五年度において、合計七〇種3 原告代表者尋問の結果により原本の存在及び成立を認める甲第三号証の一ない一二、甲第四号証の一ないし四、甲第五号証の一ないし一七、甲第六号証の一ないし二二、甲第七号証の一ないし一三、甲第八号証の一ないし一一、甲第九号証の一ないし四、甲第一〇号証の一、二、弁論の全趣旨により成立を認める甲第六七号証の一ないし四、甲第一〇号証の一、二、弁論の全趣旨により成立を認める甲第六七号証の一ないし六、弁論の全趣旨により原本の存在及び成立を認める甲第一二号証、甲第一三号証の一ないし四、甲第三四号証の一ないし八、弁論の全趣旨により、昭和六〇年から平成二年及び平成四年、平成五年における原告商品のテレビ番組内間接宣伝・広告(パブリシティ)場面を収録したビデオテープであると認められる検甲第八号証ないし検甲第一五号証並びに原告代表者尋問の結果によれば、原告は、テレビ放送の番組中の話題として原告商品が紹介されることにより需要者に広告として作用する、いわゆるパブリシティとして原告商品が取り上げられるように努め、その結果、それぞれの年度の二月上旬を中心に、次のとおり原告商品を在京キー局のニュース、ワイドショー、トークショーその他の番組の中で取り上げた放送がなされたことが認められる。
(一) 昭和六〇年度 日本テレビの番組「モーニングサラダ」などで合計九回(二) 昭和六一年度 テレビ東京の番組「週刊ポップマガジン」などで合計三回(三) 昭和六二年度 NHKニュースなどで合計一六回(四) 昭和六三年度 日本テレビの番組「おもいっきりテレビ」などで合計二一回(五) 平成元年度 日本テレビの番組「パジャマパーティ」などで合計一三回(六) 平成三年度 日本テレビの番組「極楽シャッフル」などで合計一四回(七) 平成四年度 日本テレビの番組「ルックルックこんにちは」などで合計八回(八) 平成五年度 テレビ朝日の番組「トゥナイト」などで合計八回 なお、これらテレビ番組については、東京地域だけの放送のものもあるが、大多数は系列局を通じて、日本全国の各地方のテレビ局においても放送された。
4 証人【C】の証言により成立を認める甲第二三号証の一六、甲第五五号証、証人【F】の証言により成立を認める甲第二三号証の三五、証人【G】の証言により成立を認める甲第二四号証の三、原告代表者尋問の結果により成立を認める甲第二三号証の一ないし一五、一七ないし三四、三六ないし三九、四一ないし五四、五七ないし九二、甲第二四号証の一、二、四ないし七、弁論の全趣旨により成立を認める甲第四一号証、証人【C】、証人【F】、証人【G】の各証言、原告代表者尋問の結果によれば、全日本菓子工業協同組合連合会、日本菓子BB協会、日本チョコレートココア協会及び全日本菓子協会等のチョコレート菓子関係の六団体、菓子食品新報など七誌のチョコレート及び菓子関係業界誌、株式会社不二家、森永製菓株式会社、明治製菓株式会社、江崎グリコ株式会社を初めとする八三社のチョコレート及び菓子製造業者らが、原告商品がそれまで商品化されたことのない斬新なものとして注目を集め、昭和六二年二月ないし昭和六三年二月頃には原告商品の形態が原告の製造販売にかかる固有の商品であることを表示するものとして、チョコレート及び菓子関係業界に広く知られていたことを認めていることが認定できる。
5 原告代表者尋問の結果により成立を認める甲第二七号証、弁論の全趣旨により成立を認める甲第六八号証の一ないし四によれば、原告商品の発売以来の各年度(前年七月一日から当年六月三〇日まで)の販売金額(一万円未満切捨て)は次のとおりと認められる。
昭和六〇年 八七四万円昭和六一年 三〇四三万円昭和六二年 四九八七万円昭和六三年 九五三二万円平成元年 一億五五六七万円平成二年 一億七一〇三万円平成三年 三億一六二六万円平成四年 一億七三六五万円平成五年 五六二八万円平成六年 八八七九万円6 前記1に認定した原告商品の形態の独自性、新規性、前記2、3に認定したテレビ放送による番組広告の実施の状況、雑誌類による宣伝の状況、前記4に認定した業界の認識、前記5に認定した原告商品の販売金額の急増ぶりに照らせば、原告商品の形態はバレンタインデー向けの、バラを写実的に模したそれまでにない形態の斬新なチョコレート菓子として取引業者、需要者の注目を集め、昭和六三年二月のバレンタインデーのころには、全国の取引業者及びバレンタイン商品に関心を持つ需要者間において、原告の商品であることを示す表示として周知のものと評価される状態になり、その後もその状態にあるものと認められる。
7 被告は、原告商品の販売数量は全国のチョコレート消費量から見ればわずかの量であり、季節商品であることから、周知性を得られない旨主張する。しかし、原告商品の売上げが、日本全国のチョコレートの消費量、あるいはバレンタイン商品全体から見れば少ない量であるとしても、周知性を獲得することがおよそ問題にならないほど少量の販売量、販売金額であるとはいえないし、バレンタインデー向けの商品として自然のバラの花のように立体的、写実的に成型、保持したチョコレート菓子は話題性が高く、テレビ番組や新聞で繰り返し取り上げられたことは右認定のとおりである。
また、被告はバラの花による菓子類はありふれたものである旨主張し、原告商品が周知性を獲得したと主張する以前、あるいはその頃に市販されていた同種のチョコレート菓子であるとして、検乙第一号証ないし検乙第八号証、検乙第一〇号証ないし検乙第一四号証、検乙第一五号証の一、二、検乙第一六号証ないし検乙第一九号証、検乙第二一号証を提出する。しかしながら右各検乙号証並びに成立に争いのない甲第四八号証及び原告代表者尋問の結果によれば、検乙第一号証ないし検乙第三号証、検乙第一二号証ないし検乙第一四号証、検乙第一六号証の製品については、バラの花といっても、その花冠部は金型に型流しすることによる一体成形のもので、原告商品のように、一つ一つの花片を組み合わせて写実的にバラの花の形態を作り出したチョコレート菓子とは一見して類似しているとはいいがたいものであることが、検乙第八号証、検乙第一九号証については飴菓子(キャンデー)であって、原告商品と商品を異にするものであることが、検乙第四号証については、原告の製造販売にかかる商品であることが、検乙第一〇号証、検乙第一一号証、検乙第一五号証の一、二、検乙第一八号証については、いずれも被告商品であるが、その製造販売時期は平成元年頃であることが、検乙第一七号証については、被告が本訴において証拠として提出したものであり、被告が入手したのは平成四年一月頃であると推認されることが、検乙第五号証については、厚ぼったい花片のチョコレートをチューリップ状の形態にしたものであって、原告商品とは全く異なるものであることが、検乙第六号証は、メレンゲでできた押し出し成形のもので、
大きさも原告商品と比較するとかなり小さいものであり、原告商品との区別は明白であることが、検乙第七号証は、ブロック形状のボンボン(リキュール入りチョコレート)を紙状のもので巻いだたけのもので、原告商品とは全く異なるものであることが、検乙第二一号証は、チョコレートを紙状のものにくるんだだけで、原告商品とは全く異なるものであることがそれぞれ認められる。
被告が昭和六〇年当時訴外日新化工株式会社がプラチョコとして販売促進していた製品のビデオテープであるとして提出する検乙第九号証、その映像の写真であることは当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨により被告代表者が撮影したものと認められる乙第一四号証の一ないし七、NKプラチョコのパンフレット写である乙第一二号証についても、弁論の全趣旨により成立を認めるう甲第三九号証の一、二及び原告代表者尋問の結果によれば、右検乙第九号証に録画されている広告は、日新化工株式会社の製造販売にかかる板状のプラスチックチョコレートを使用すれば種々の形態のチョコレート菓子を作ることができるという趣旨の宣伝用のものに過ぎず、現実に、原告商品のような形態のチョコレート菓子が商業的に販売されていたことを示すものではないことが認められる。
被告が、昭和五八年から株式会社イルパッソ及びその小売店舗の菓子工房イージーにおいて、チョコレート製のバラに葉や茎をつけてバラの枝の形にした商品を製造販売していたことの証拠であるとする乙第三号証の一ないし三、乙第四号証、乙第六号証、乙第七号証、乙第一〇号証の一、乙第一三号証の一ないし四、乙第一七号証、乙第一八号証、乙第二八号証、乙第三四号証、乙第五四号証によっても、原告商品の形態が原告商品の出所を示すものとして周知となったと認められる昭和六三年二月以前の右各製品の販売数量がどの程度のもので、どの地域で販売されたかを的確に認定することはできず、右時点まであるいはそれ以後において原告商品の形態がありふれたものとなっており、商品の出所を表示するだけの形態的特異性を失なったあるいは本来有していなかったことをうかがわせ、その結果右6認定の事実を左右するに足りる証拠はない。
また、乙第二号証の一、二、乙第六三号証の一ないし三、乙第六五号証、乙第六六号証、乙第六八号証も右6認定の事実を左右するものではない。
被告の右主張は採用できない。
被告は、甲第二三号証の一ないし九二、甲第二四号証の一ないし七の陳述書についてその信用性を争い、甲第二三号証の各枝番号証は、それ自体から、同一の文言が印刷された文書に作成者名のゴム印、代表者印、法人印などが押捺された形式のもので、いわゆる付き合い上作成された可能性のある証明力の高くない文書であり、現に甲第二三号証の四〇、五五、五六については、被告代表者からの問合わせに対し陳述書を取下げる旨の回答をしていることがうかがわれる(乙第六七号証の一、四、五)。しかし、前記甲第五五号証、証人【C】の証言により成立を認める甲第六二号証、証人【F】、証人【C】の各証言、原告代表者尋問の結果によれば、原告代表者は、明治製菓株式会社(甲第二三号証の一)、森永製菓株式会社(甲第二三号証の二)、株式会社不二家(甲第二三号証の三)については、直接担当役員を訪問して、内容を説明して了解を得て、右陳述書に記名捺印を受けたこと、日本チョコレート工業協同組合(甲第二三号証の一六)については、原告代表者が、通常の理事会と常務理事会の二回にわけて、理事会の最後に説明を行い、組合の了解の決議を得て、各組合員の記名捺印を受けたことが認められ、かつ、甲第二三号証の各枝番号証(前記事実認定に供したもの)、甲第二四号証の各枝番号証の記載内容は、それらを除いても認定することのできる前記1ないし6の事実にそうことからすれば、右陳述書(前記事実認定に供したもの)は信用するに足りるというべきである。
四 請求原因四、同五は当事者間に争いがない。
五 前記二認定の原告商品の形態及び請求原因五の被告商品の形態並びに前記検甲第一号証ないし検甲第三号証、昭和六三年製造の被告製チョコレートであり、被告商品であることが争いがない検甲第四号証ないし検甲第七号証によれば、原告商品と被告商品の形態は、外観上一見して彼此とりまぎれるほど類似していることが認められる。
六1 被告商品も原告商品も、バレンタインデーにおける贈答品としてのチョコレート菓子であることは当事者間に争いがなく、右によれば、原告商品と被告商品は、市場において、競争関係にある商品であると認められる。
前記甲第四三号証によれば、平成元年九月一四日のイトーヨーカ堂バレンタイン選定会や平成二年八月二五日の株式会社大信の展示会において、取引業者が、被告商品を原告商品と誤認した事例があったことが認められる。
右認定の事実に、前記五認定のように原告商品と被告商品が彼此とりまぎれるほど類似していることに照らせば、取引業者、需要者において、被告商品と原告商品とを混同するおそれがあるものと認められる。
2 被告は、第三、七1のとおり原告商品と被告商品とは販売先や販売額の違い、
両者が似ていないことから両者は競争関係になく、混同は生じない旨主張するが、
被告の主張によっても、原告も一部は被告と同様に問屋販売を行っているものであり、被告の販売額が原告の販売額に比べて僅少であるとしても、そのことによって、混同のおそれがないとはいえない。また原告商品と被告商品が彼此とりまぎれるほど類似しているものであることは、前記五に認定したとおりであり、混同のおそれがないということはできない。
七 右五、六認定の事実によれば、被告商品と原告商品が混同されることにより、
原告は営業上の利益を現に害され、また今後継続して害されるおそれがあると認められる。
八 善意使用の抗弁について判断する。
1 原告商品の開発の経過として、前記三1の(一)、(二)の事実がある外、前記甲第一号証、甲第二号証の一ないし七、甲第四三号証、甲第四四号証、甲第五六号証ないし甲第五九号証、甲第六五号証の一ないし三、成立に争いのない甲第五〇号証の一ないし四、証人【E】の証言、原告代表者尋問の結果によれば、次の事実が認められ、被告代表者尋問中の右認定に反する部分は採用できない。
(一) 原告は、合次製作所にチョコレートでできたバラの花の花冠部を支給して、花束状の製品への加工を発注し、合次製作所は右花冠部を原告から当初一年は有償で、その後は無償で供給を受け、この花冠部と自社で調達したプラスチックの茎や商品ケース、包装カートンを三井フローラルアートに無償で支給し、花束状の製品への加工を発注した。三井フローラルアートは造花用の葉や小花、リボン、飾り布等の必要材料を調達した上、花冠部に加工して原告商品を完成し、これを組み合わせて花束状の製品とし、ケースに入れ、カートンで包装して納品していた。
右の合次製作所と三井フローラルアートとの製造関係については、三井フローラルアートはこの当時、小売価格一〇〇〇円の商品について、加工代として、一商品当たり一七五円を合次製作所から受領していた。また三井フローラルアートは、すべての花冠部を合次製作所を経由して原告から供給を受けていたので、合次製作所に納入する以外に、完成した商品を販売することはなかった。合次製作所と三井フローラルアートとの間の右のような取引きは、昭和六三年の一〇月頃、合次製作所の代表者が三井フローラルアートの代表者に暴行を加えるというトラブルがあって終了した。
(二) 被告代表者は、右合次製作所との取引きが終了した後の昭和六三年一一月ないし一二月頃、原告代表者に対し、合次製作所とトラブルがあったので、被告の名で直接仕事をやらせてもらいたい旨申し入れたが、原告代表者は、被告と直接取引きすることは長年取引きのあった合次製作所との関係で商道徳に反するものと判断し、右申入れを断った。
(三) 被告は平成元年秋頃から、被告商品を製造し、その一本ないし三本を請求原因五のように束ねて、自らの商品として販売するようになった。
2 右1の事実によれば、被告代表者代表者である三井フローラルアートが昭和六〇年夏頃、合次製作所からチョコレート等の花冠部に造花用の材料を使用した商品のデザインの具体化の注文を受けてデザインし、合次製作所及び同社に対する発注者の原告がその採用を決定し、以後、合次製作所から花冠部を受け取り、これに造花の葉と茎をつけて原告商品とし、これを組み合わせて必要な装飾を加えて製品を完成させ、合次製作所に有限会社三井フローラルアートとして昭和六三年頃まで納品していたもので、被告は三井フローラルアートと別法人であるのみか、三井フローラルアートも、あくまでも合次製作所の下請けとして、原告からみれば、孫請けとして原告の商品として市場に流通する原告商品とこれを組み合わせた花束状の製品の組み立て製造に従事したというに過ぎないもので、原告商品の形態を独立した製造販売の主体としての自らの商品表示として使用していたものとは認められないので、当時から他人の商品表示を使用したものということはできない。また平成元年秋頃から、被告が自ら販売主体となって被告商品を製造販売したことは、既に原告商品の形態が周知のものとなった後であるから、抗弁としては主張自体失当である。更に右1及び三に認定した事実によれば、被告は、合次製作所との下請関係が破綻したのち、原告商品が市場において成功したことに着目して、独自に被告商品の販売を開始したものと認められるから、被告が不正の目的でなく被告商品の製造販売を継続しているものということはできず、この点においても被告の抗弁は採用できない。
なお、原告商品及びそれを組み合わせた花束状の製品が被告と代表者を共通にする三井フローラルアートにおいてデザインしたものであっても、原告商品及び右製品の製造販売元が原告と評価でき、原告商品の形態が前記三認定のように原告の商品表示として周知のものになった以上、被告が原告商品と形態の類似する商品を自らの商品として製造、販売することは不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に該当するものである。
九 以上によれば、原告の本訴請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。
追加
別紙参考資料(省略)物件目録一原告製品は、
@チョコレート材料からなるピンク色、赤色、黄色、紫色、乳白色、オレンジ色又はチョコレート色から選ばれた同一色による大きさの異なる五〜八枚の花片を用い、中心の巻き込み部より次第に放射状になるよう互いの基部を付着すると共に、基部とは反対側の花片の先端部を前記巻き込み部より外方になるにしたがって反りを大きくすることで各花片を開いて形成した花冠と、
A造花材料としての針金に布製材料を付着した葉と、
B造花材料である合成樹脂の管又は針金を芯材としてこれにフローラテープ被覆した茎とからなり、
右@を主要部とし、これに右AとBをフローラテープで副次的に結合し、これら全体を自然のバラの花のように立体的・写実的に成形・保持したものである。
添付写真1は右原告商品の実施例である。
<29007-001><29007-002>物件目録二被告製品は、
@チョコレート材料からなるピンク色、赤色又はチョコレート色から選ばれた同一色による大きさの異なる五〜八枚の花片を用い、中心の巻き込み部より次第に放射状になるよう互いの基部を付着すると共に、基部とは反対側の花片の先端部を前記巻き込み部より外方になるにしたがって反りを大きくすることで各花片を開いて形成さいた花冠と、
A造花材料としての針金に布製材料を付着した葉と、
B造花材料である針金を花芯とした茎からなり、
右@を主要部とし、これに右AとBをフローラテープで副次的に結合し、これら全体を自然のバラの花のように立体的。写実的に成形・保持したものである。
添付写真2は右被告商品の実施例である。
<29007-003><29007-004>
裁判官 西田美昭
裁判官 大須賀
裁判官
裁判官 櫻林正己
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