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関連ワード 顧客吸引力(グッドウィル) /  周知性 /  広く認識 /  需要者 /  他人の営業 /  類似性(類似) /  外観 /  呼称 /  観念 /  印象 /  連想 /  混同のおそれ(混同) /  誤認混同 /  営業方法 /  差止請求(差止) /  営業上の利益 /  ライセンス /  デザイン /  ただ乗り(フリーライド) /  侵害 /  著名表示(著名性) /  代理人 /  識別力 /  混同のおそれ(混同) /  品質等誤認表示(誤認) / 
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事件 平成 5年 (ヨ) 2289号
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裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 1993/10/15
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事仮処分
主文 一 債務者は、その営業表示中に別紙目録一記載の標章を使用してはならない。
二 債務者は、大阪府堺市<以下略>所在のパチンコ店「ミナノ・パート2」の看板、ポール看板、立看板、ガラス戸上及び店舗内に付された別紙目録二記載の営業表示から別紙目録一記載の標章を抹消せよ。
三 申立費用は債務者の負担とする。
事実及び理由
申立の趣旨
主文同旨
事案の概要
一 事実関係1 債権者は、昭和四六年五月一日、ハンバーガー・レストランチェーンとして著名な米国法人マクドナルド・コーポレーション(以下「米国マクドナルド社」という。)が資本の五〇パーセントを出資し、残りの五〇パーセントを日本法人が出資して設立された合弁会社であり、米国マクドナルド社とのライセンス契約に基づき、ハンバーガー類の販売を業としている。債権者及び米国マクドナルド社の略称である「McDonald’s」又は「マクドナルド」は、債権者の営業を示す表示として我が国において著名であり、また、債権者が商品の容器及び包装に使用する別紙目録四記載の標章(別紙目録三記載の標章「<26529-001>」の下段に「McDonald’s」の文字を横一列に配した標章、以下「債権者商品ロゴマーク」という。)も、債権者の商品及び営業を示す表示として我が国において著名である(甲六、一二、審尋の全趣旨)。
2 債権者は、昭和四六年七月二〇日の第一号店の開店以来、その営業を示す表示として、前記1の各表示のほか、別紙目録三記載の標章(以下「債権者ロゴマーク」という。)を使用している。
3 債務者は、パチンコホール及びマージャンクラブの経営等を業とする株式会社であり、平成四年一二月ころから、本店所在地において、「ミナノ・パート2」の名称でパチンコ店(以下「債務者店舗」という。)を経営している。債務者は、自己の営業を示す表示として、債務者店舗の正面上部、ポル看板及び立看板、並びに、右店舗のガラス戸上及び店内のパチンコ台の上部等に、別紙目録一記載の標章(以下「債務者ロゴマーク」という。
)をその一部とする別紙目録二記載の標章(以下「債務者標章」という。)を使用しているが、その際、債務者ロゴマークを他の文字の二倍以上大きく表示し、他の文字及び数字を青色、緑色、黄色で表示するのに対し、債務者ロゴマークだけを赤色に着色してこれを強調している(甲九の1〜4)。
二 争点1 被保全権利 債権者には、債務者に対し、不正競争防止法1条1項2号に基づき、債務者ロゴマークの使用を差し止める権利があるか。
(一) 債権者ロゴマークは、債権者の営業であることを示す表示として周知、著名であるか。
(二) 債務者が債務者ロゴマークを使用することにより、債権者の営業と債務者の営業の間に誤認混同が生じるおそれがあるか。
2 保全の必要性
当裁判所の判断
一 争点1(一)(債権者ロゴマークの周知性)について1(一) 債権者は、昭和四六年七月二〇日に第一号店を開店して以来、日本全国にマクドナルド・ハンバーガー店を展開しており、初出店から二二年目に当たる平成五年七月二〇日には一〇〇〇店目の店舗を開設し、同年八月二四日現在、全国に一〇〇九店舗を有している。債権者の年間売上高は、昭和五七年に我が国外食産業界で第一位(七〇三億円)となって以来、現在までその地位を保持しており、平成四年度には二一二〇億円に達している(甲五、六、一二)。
(二) 債権者は、世界共通の営業方法(マクドナルド・システム)に従い、店舗の外観、看板、従業員の制服、商品の包装等を統一しており、店舗表示として、各店舗の正面に、赤地に黄色の債権者ロゴマークと「マクドナルドハンバーガー」又は「McDonald’s」の白文字を記載した大看板を掲示することが多いが、
赤地の看板を用いないで黄色の債権者ロゴマークを単独で正面部の外壁に表示したり、「<26529-001>」の隣に「マクドナルド」「McDonald’s」と白色又は赤色で小さく表示している。また、債権者は、店舗入口の前に、黄色の債権者ロゴマークと「マクドナルドハンバーガー」の白文字を記載した赤地の可動式看板を置いたり、外壁、入口や窓のテント、駐車場、屋上等に黄色の債権者ロゴマークを大きく掲げたり、隣接の小遊園地の外柵、遊具等に黄色の債権者ロゴマークを表示したりしている(甲四四〜五四、五六〜五九、六二、六三、六五〜六七、六九〜七八、八〇、八二〜一九八、二〇九、二一〇)。
(三) 債権者の店舗は郊外型のドライブスルー店(自動車に乗ったまま商品を購入することができる店舗)が約半数を占めているが、これらの店舗では、走行中の自動車から店舗の存在を認識できるよう、必ず赤地の表示板と黄色の債権者ロゴマークを頂部に載置したポール看板が道路脇に立てられており、入口にも、自動車の侵入路を示すため、赤地に黄色の債権者ロゴマークと「←IN」の白文字を記載した可動式看板が置かれている(甲四の1、2、四七、四八、五一、五二、五七、七五、七七、八〇、八五、九〇、九一、九三〜九五、九七〜九九、一〇六〜一〇九、
一二四〜一三九、一四四、一四七、一四八、一六二、一七三、一七六、二一六)。
(四) 債権者ロゴマークは、債権者店舗内の商品注文カウンターや座席の仕切部分に表示されているほか、入口のドアの把手に浮き彫りされたり、椅子の背もたれに打ち抜かれたりして使用され、債権者の女子従業員のブラウスやセーターの胸元、男子従業員のシャツ、ネクタイ及びタイピンにも一貫して表示されている(甲四五、五五、六〇、六一、六四、六八、七九、八一、一九九〜二〇八、二一二、二一三、二一五、審尋の全趣旨)。
(五) 債権者は、テレビ・雑誌等のマスメディアにおいて宣伝広告活動を行っているが、その際、ハンバーガー等の商品の映像に加えて、常に債権者ロゴマーク又は債権者商品ロゴマークを表示しており、現在行っている期間限定キャンペーンでは「<26529-002>」という表示を用いている(甲一二、二一一、二一四、審尋の全趣旨)。
以上の事実によれば、債権者ロゴマークは、遅くとも昭和五七年ころには、我が国において債権者の営業を示す表示として広く認識され、周知表示を超えて著名表示の域に到達していたものと認められる。
2(一) 債務者は、債権者ロゴマークがアルファベットのM一文字という極めて簡単でありふれた標章に過ぎないから識別力を有せず、また、このような字体を債権者に独占的・排他的に使用させることは許されるべきではないと主張する。
しかし、たとえアルファベットの一文字をデザインした単純な標章であっても、
字体に特殊な技巧が加えられていたり、長期間継続して特定の者によって使用されたり、短期間でも効果的に広告されたりした結果、それが自社の営業を示す表示として識別力を備え、いわゆるセカンダリー・ミーニングを得るに至った場合には、
不正競争防止法1条1項2号にいう営業表示として、同法による保護の対象となると解するのが相当であり、債権者ロゴマークは、@二個の細長いアーチ型を左側アーチの右側部と右側アーチの左側部が重なるように組み合わせたM字形で、A何処にも直線又は角の部分がなく、Bアーチの幅がMの左、右、中央各下端から山型の頂部に向けて順次滑らかに細くなり、頂部が細い円弧状になっており、CM字の中央下端が左右下端部よりも僅かに上方にある、という顕著な特徴を有し、他にこれらの特徴を全て備えたMが存在することは本件全疎明によっても認めることができないのであるから、たとえ、アルファベットのM一文字という簡単な標章であっても、字体に特殊な技巧が加えられているというべきであり、このような標章が債権者により長期間継続して使用、広告宣伝された結果(前記1)、現在では、債権者の営業を表示するものとしての自他識別力を備えていると考えるのが相当である。
債務者は、債権者ロゴマークの特徴は、@二つの山型の頂点が左下端と谷部の頂点を結ぶ線分及び、谷部の頂点と右下端を結ぶ線分の中線上にある、A山型の頂点が丸みを帯びている、BMを構成する四本の線がいずれも円弧状であるという三店であり、「キオスク エクストラ書体」「キオスク エクストラボールド書体」のMが@、「アイシャム ボールド書体」のMがABの特徴を有するから、債権者ロゴマークには識別力がないと主張するが、債務者の右主張によっても、これらの書体の中に債権者ロゴマークの特徴を全て備えたMはないうえ、これらの文字を全体的に観察すれば、前二者は角張ったM、後者は幾分丸みを帯びているが肉筆で描かれた文字を思わせる左右非対称のMであり(乙一八)、いずれも二個のアーチ型の組み合わせという債権者ロゴマークの主要な特徴とは全く異なる印象を与えるから、これらの文字の存在によって、債権者ロゴマークに自他識別力がないということはできない。
さらに、債務者は、債権者ロゴマークが「書体アドバタイザー ゴシック デミ ボールド」のWを逆向きにしたものに酷似しているから識別力はないと主張するが、債権者ロゴマークはアルファベットのMであり、全く別の文字であるWとは最初から識別力を有するものであるから、債権者ロゴマークを一見した者がWを逆向きにしたものを連想することは、現実には殆どあり得ないと考えられる。
(二) 債務者は、債権者ロゴマークがほとんど常に「マクドナルド」又は「McDonald’s」という他の標章と組み合わされており、単独で用いられることは稀であるから、債権者ロゴマークには周知性がないと主張する。
しかし、債権者ロゴマークは、現在では単独で店舗の内外に表示されたり、広告宣伝に使用されるなど、必ずしも単独で用いられることが稀であるとは言い難く(前記1)、仮に他の標章と組み合わされることが多いとしても、字体に特殊な技巧が加えられ、二二年間にわたり、全国の店舗に「マクドナルド」又は「McDonald’s」という著名表示と同等に表示され続け、同じく著名表示である債権者商品ロゴマークの要部の一つとして商品の包装等に使用され続けた結果、現在、
需要者の間では、他の著名標章と組み合わされなくとも、「<26529-001>」が「マクドナルドのM」であるという認識が発生するに至っているというべきであり、債務者の右主張は採用することができない。
(三) 債務者は、債権者が債権者ロゴマークを殆どの場合黄色に着色し、サービスマークの特例出願に当たっても、黄色の債権者ロゴマークを提出するなど、その周知性獲得の努力が全て黄色という色彩による識別力を加味した表示により行われてきたと主張する。
しかし、色彩は標章の付随的な構成要素であり、形態に主たる特徴がない場合に初めて要部となると解されるところ、債権者ロゴマークには、M字の形態に顕著な特徴があり、現実の使用に当たっても、赤色で座席の仕切部分に描かれていたり(浅草橋店)、銀色又は金色で店内のカウンターや外壁に表示されていたり(六甲アイランド店、金沢文庫店、福島ルミネ店、下北沢店)、無着色でドアの把手や椅子の背もたれに表示されるなど(伊勢店)、少ないながらも黄色以外の色が用いられる場合があり、この場合にも、債権者ロゴマークとしての同一性が失われているとは考えられない(甲五六、六八、七一、七六、八一)。
二 争点1(二)(誤認混同のおそれ)について1 債権者は、現在、債権者ロゴマーク等の営業表示及び各種商標を用いて、おもちゃ、文房具、衣類等の商品化事業を展開したり、スイミングスクールや自動車ショールーム等の異業種と提携して同一敷地、同一建物内での複合出店を行なったりして事業の多角化を図っているが、他方、自社イメージを保持するため、提携相手の選定及び業務遂行の内容には常に細心の注意を払っており、債権者の事業の多角化傾向にもかかわらず、現時点において、債務者が債務者ロゴマークを営業表示中に使用することによって、直ちに、一般消費者及び需要者の間で、債権者がパチンコ店を経営しているという認識や、債権者がパチンコ店と提携して同一建物に出店しているという認識が生じるとはいえない(甲二、三の1、2、七、八、一二)。
しかし、債務者店舗は、大阪府南部の主要幹線道路である泉北一号線沿いに位置し、債権者のドライブスルー店(マクドナルド大庭寺店)から約二キロメートルという近距離にあること、債務者標章は、道路際のポール看板及び債務者店舗の店頭という、債権者のドライブスルー店における債権者ロゴマークの位置と酷似した場所に設置されており、その際、債務者ロゴマークだけが大きく描かれたうえ目立つ赤色に塗られ、傍に他の文字及び数字が黄色、青色、緑色で小さく斜書されているため、これを走行中の自動車等から離隔観察した場合には他の文字の印象が薄れ、
赤い債務者ロゴマークだけが容易に看取しうること、日本全国に五二八店ある債権者のドライブスルー店では、ポール看板に黄色の債権者ロゴマークを設置する際、
これを赤地の表示板と組み合わせているが、これらのドライブスルー店は大半が郊外の道路沿いに位置しているため、日頃自動車を利用する者にとって、右ドライブスルー店のポール看板等に設置された債権者ロゴマークの形態と同様に、赤と黄色という色の組み合わせの印象が鮮烈であることを考慮すれば、債務者が店頭、ポール看板等の債務者標章に掲げた赤い債務者ロゴマークは、走行中の自動車等からこれを見た者に対し、債権者ロゴマーク、ひいては債権者の営業を容易に連想させる態様で取り付けられているといわざるをえず、債務者がその営業表示中に債務者ロゴマークを使用してパチンコ店を営むことは、一般消費者若しくは需要者の間において、債務者の営業が債権者の営業と何らかの業務上、組織上の関係を有するのではないかと思わせるものであり、誤認混同が生じるおそれは高いというべきである(甲四の1、2、乙四、審尋の全趣旨)。
加えて、債務者は、債務者店舗の姉妹店である「ミナノ・パート1」「ミナノ・パート3」の営業表示では、Mの字にゴシック体のMを使用しており(乙二〇の1、2)、本件全疎明によっても、債務者店舗において「MINANO」のMにどうしても債務者ロゴマークを使用しなければならない理由は認められないから、債務者による債務者ロゴマークの使用には、少なくとも、債権者が創業以来の企業努力及び多額の投資によって獲得した債権者ロゴマークの顧客吸引力ただ乗りする意図が看取されるといわざるをえず、これによって、債権者ロゴマークの品質保持機能が害され、顧客吸引力が希釈化されるなど、債権者の営業上の利益が害されるおそれがあることは明らかである。
2(一) 債務者は、債務者ロゴマークが債務者の営業表示のごく一部であり、営業表示としての「標章」とはいえないから、表示の同一又は類似混同の有無を判断するに当たっては、債務者がその営業表示として用いている債務者標章全体と債権者ロゴマークを比較するべきであると主張する。
しかし、不正競争防止法1条1項2号にいう「標章」とは、保護の対称となるべき営業表示の例示であって、侵害の態様を限定するものではないうえ、同条にいう「使用」は、営業表示の誤認混同を招来する態様のものであれば如何なる態様でもよいと解するのが相当であるから、他人の営業表示を自己の営業表示の一部として表示する場合も、「使用」に当たることはいうまでもなく、債務者の右主張は採用することができない。
(二) 債務者は、債務者標章が一体として「MINANO(ミナノ)」という店名のローマ字表記であることは一目瞭然であり、債権者ロゴマークから導かれる呼称は、「マクドナルド」又はその略称の「マック」であるから、両者に混同のおそれはなく、また、債務者店舗では、ポール看板に設置された巨大なゴリラの人形が人目を引くよう工夫されていること等から、需要者が債務者標章のうち債務者ロゴマークだけに着目して、債権者ロゴマークと混同を生じることもありえないと主張する。
確かに、債務者標章は一体として「ミナノ」の呼称を生じ、債権者ロゴマークから生じる呼称「エム」とは全く異なるが(債務者が債権者ロゴマークの呼称と主張する「マクドナルド」又は「マック」は、むしろ債権者ロゴマークの観念である。)、他方、債務者標章は、その色彩及び大きさにより債務者ロゴマークだけを強調しており、これを離隔観察した場合には「INANO」「2」という他の文字及び数字の印象が薄れ、債務者ロゴマークだけが容易に看取しうることは前記のとおりであるから、債務者標章を見た一般消費者は、「ミナノ」という店名を認識すると同等、若しくはそれ以上に、債権者ロゴマークひいては債権者の営業を連想するものといわざるをえず、右印象は、ポール看板に設置されたゴリラの人形の印象によって左右されるものではない。
(三) 債務者は、債権者が代表するファーストフード業界に対して栄養面及び安全性に対する強い批判があることから、債権者の主張する良好なイメージは債権者の営業若しくは商品に密接に結び付いたイメージではなく、そのようなイメージを保持することは、不正競争防止法の「営業上の利益」とはいえないと主張するが、
たとえ、債権者の営業に対して債務者主張のような批判があるとしても、右批判は、債権者が長年の企業努力及び多額の投資によって一貫して形成してきた自社イメージ及び債権者ロゴマークの顧客吸引力とは全く別の次元に属するものであるから、右批判の存在によって、債権者に不正競争防止法により保護されるべき営業上の利益が存在しないということはできない。
三 争点2(保全の必要性)について 債権者は債務者に対し、平成五年五月七日付内容証明郵便をもって、債務者が立看板、ポール看板等に使用している「<26529-001>」マーク(債務者ロゴマーク)が債権者ロゴマークに酷似しており、その使用は不正競争防止法1条1項2号に違反する違法な行為であるとして、右マークの使用の中止及びM文字の変更を求めたが、債務者はその求めに応ぜられない旨返答し、その後の代理人間の話合い及び本件仮処分の審尋においても、右回答を変更する意思はないと主張して債務者ロゴマークの使用を継続していることが認められる(甲一〇、一一、審尋の全趣旨)。
債務者が債務者ロゴマークの使用を継続した場合には、債権者ロゴマークの持つ信用が希釈化され、それが債権者の営業に対する重大な侵害となることは明らかであり、しかも債権者店舗が大阪府南部の幹線道路である泉北一号線に面し、日々多くの人の目に触れる事情を考慮すると、債権者が被るこのような侵害は後日金銭的賠償によって容易に回復しうる性質のものではなく、たとえ、債務者店舗が開店から一〇か月という比較的新しい店舗であり、債務者が債務者ロゴマークを他のM文字に変更するためには、結果的に新しい看板を設置するのと同様の費用が必要となるとしても、右不利益は、これを放置することによって債権者が被る不利益と比較してなお些少なものといわざるをえないから、債権者には、本案判決の確定を待っていては回復し難い損害を被るおそれがあると認めるのが相当であり、債務者ロゴマークの使用の差止を求める仮処分の必要性があるものというべきである。
裁判官 阿多麻子
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