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事件 昭和 56年 (ワ) 7770号
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 1983/12/23
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告大洋潜水株式会社は、別紙目録(一)(1)ないし(25)記載のウエツトスーツの赤線部分に、別紙目録(三)1記載のA′ラインまたはB′ラインを使用したウエツトスーツを製造、販売してはならない。
二 被告株式会社タバタは、前記記載のウエツトスーツを販売してはならない。
三 被告株式会社マコト産業は、別紙目録(一)(1)ないし(25)記載のウエツトスーツの赤線部分に、別紙目録(三)2記載のA″ラインまたはB″ラインを使用したウエツトスーツを販売してはならない。
四 被告大洋潜水株式会社、同株式会社タバタは、原告に対し、各自金一五万円を支払え。
五 被告株式会社マコト産業は、原告に対し、金一五万円を支払え。
六 原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。
七 訴訟費用はこれを三分し、その一を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。
八 この判決は、原告勝訴の部分に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨1 被告大洋潜水株式会社・同株式会社タバタは、別紙目録(一)(1)ないし(25)記載の赤線部分に、別紙目録(三)1記載のA′、B′、C′、D′の各ラインを使用したウエツトスーツを製造・販売してはならない。
2 被告株式会社マコト産業は、別紙目録(一)(1)ないし(25)記載のウエツトスーツの赤線部分に、別紙目録(三)2記載のA″、B″、C″、D″の各ラインを使用したウエツトスーツを製造・販売してはならない。
3 被告らは原告に対し、各自金六〇万円を支払え。
4 訴訟費用は被告らの負担とする。
5 仮執行の宣言。
二 請求の趣旨に対する答弁1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
請求原因
一 原告は、主にウエツトスーツ(潜水及びサーフイン用の防寒、防水服ー以下適宜「スーツ」という)の製造販売を業とする会社である。
二1 原告は、昭和五三年五月以来、別紙目録(二)記載の、各色を三色ずつ組み合わせたAないしDのライン(以下各別に「Aライン」などといい、合わせて「本件ライン」という)を、別紙目録(一)記載のいずれかの箇所に使用したスーツ(以下「原告製品」という)を製造販売している。
2 原告は、右のとおり、昭和五三年五月、トロピカルラインと名づけて本件ラインを使用したフアツシヨン性を重視したカラースーツを発表し、同時に販売したが、それは、ウエツトスーツ業界における従来の常識に反するものであつた。
すなわち、昭和五三年以前には、海洋スポーツも現在ほどレジヤー化しておらず、黒のスーツよりかなり高価なカラースーツを買うという状況にはなく、スーツの需要者は、スーツをフアツシヨンとして着て楽しむのではなく、防寒、防水のために着るという伝統的な考え方から抜け切れなかつた。
3 原告は、原告製品をスーツ製造販売業界、小売店及び消費者に広く知られるように左記の宣伝を行つた。
(一) 昭和五四年中に原告製品を掲載したカタログ(昭和五四年用ー甲第一号証の二)を全国の主要販売店約一〇〇店に、昭和五五年中に同様なカタログ(甲第一号証の三)を約一五〇店に、それぞれ持参して挨拶にまわり、その他の販売店には郵送した。
(二) 昭和五三年五月から昭和五五年一二月にかけて、別紙「原告製品掲載誌一覧表」番号@ないしD、F、同GないしL記載の各雑誌(以下各別に「掲載誌@」などという)に原告製品の広告を掲載した。
4(一) 原告の右宣伝とは別に、掲載誌E、F、K、Lのダイビング、サーフイン関係の雑誌は、昭和五四年、同五五年に原告製品の特集記事を掲載し、原告製品に使用されている本件ラインが原告の商品であることを、業界、需要者などに知らしめた。すなわち、
(1) 同Eには、「関西では有数のメーカー、タンクが今シーズンに向けて発表したウエツト・スーツは、新感覚に溢れている。これまでになかつたメタリツクなカラートーンは、スキー選手のユニフオームのようなスピード感を漂わせ、ウエツト・スーツに初めて本格的なフアツシヨン感覚を取り入れている。素材には動きやすいトルコツトを用い、機能的にもより研究されたものばかりだ」。
(2) 同Fは、数多くのカラースーツの中から特に原告の本件ライン入りカラースーツの特集を行つている。
(3) 同Kでは、ウエツトスーツのフアツシヨン性を特集し、原告の本件ライン入りスーツを大きく取り扱つている。
(4) 同Lは、カラフルウエツトスーツ特集として、各社のカラースーツと共に原告製品を掲載している。
(二) 昭和五四年における掲載紙E、Fの紹介記事は、同年春から夏にかけてのダイバーやサーフアーの関心が、フアツシヨン性のあるカラースーツに集まり、中でも原告の本件ライン入りスーツが注目の的であつたことを如実に物語つている。
5 商品に施された色彩は、「他人」の商品がその色で知られ、その色の商品を見る者がだれでも「他人」の商品と判断するに至つた(セカンダリーミーニング)場合とか、その色である旨を表示すればだれでも直ちに他人の商品であると判断する(トレードネーム)場合など、その色が「他人」の商品と極めて密接に結合し、出所表示の機能を果たしているような特別の場合には、不正競争防止法1条1項1号にいわゆる「他人ノ商品タルコトヲ示ス表示」に当たる。
ところで、前記2ないし4の事実によれば、遅くとも昭和五五年夏には、販売店は勿論、サーフインやダイビングに関心のある者ならだれでも、本件ラインの付されたウエツトスーツを見れば直ちにこれを原告の商品であるとの判断をなすに至つたこと、すなわち本件ラインが原告製品と極めて密接に結合して原告の商品であるとの出所表示の機能を獲得し、かつ原告の商品の表示として周知となつたことが明らかである。
三1 被告大洋潜水株式会社(以下「被告大洋潜水」という)は、昭和五六年二月頃から、別紙目録(二)1記載のA′、B′の各ライン(以下各別に「A′ライン」などといい、A’ないしD’ラインを合わせて「タバタライン」という)を使用したスーツを業として製造販売し、被告株式会社タバタ(以下「被告タバタ」という)は、これを買受けて業として販売している(以下「タバタ製品」という)。
2 被告株式会社マコト産業(以下「被告マコト産業」という)は、昭和五六年四月以来別紙目録(二)2記載のA″、B″ライン(以下各別に「A″ライン」などといい、A″ないしD″ラインを合わせて「マコトライン」という)を使用したコメツトゴアテツクススーツ(以下「マコト製品」という)を業として製造販売している。
四 原告が使用するA、Bラインと被告大洋潜水・同タバタが使用するA′、B′ライン及び被告マコト産業が使用するA77 、B″ラインとが極めて類似していることは見た目にも明らかであるが、JIS規格による色に関する表示によつても両者の類似性が裏づけられる(甲第一七号証の一・二)。すなわち、色名による表示によればAラインとA′ライン・A″ライン、BラインとB′ライン・B″ラインの各々三本のライン中二本までが同一の表示となつている。また三属性による表示、XYZ表色系による表示(JISZ八七〇一)の各数値を比較してもかなり類似しているといえる。
そのために、被告大洋潜水、同タバタのタバタスーツの製造販売、或いは販売行為、及び被告マコト産業のマコトスーツの販売行為によつて、タバタスーツまたはマコトスーツが原告スーツであるかのような誤認混同を同業者・需要者に生じさせており、それによつて原告の営業上の利益が害せられるおそれがある。
したがつて、被告らの右製造販売行為或いは販売行為は、不正競争防止法1条1項1号に違反する違法なものである。
五 CラインとC′・C″ライン、DラインとD′・D″ラインとはそれぞれ同一であるところ、被告らがそれらの使用をしていないとしても、既に類似品が出まわつており、被告らが、いつ右各ラインを入手し、使用するやも知れないので予め使用差止めを求めておく必要性がある。
六1 被告大洋潜水、同タバタは、タバタ製品を製造販売し、或いは販売し、被告マコト産業は、マコト製品を製造販売することにより、需要者をしてタバタ製品、
マコト製品が原告製品であるかのような混同を生ぜしめることを知りながら又は過失により知らないで、右行為をしたのであるから、民法709条により、原告の蒙つた左記の損害を賠償する義務がある。
2 原告は、被告らの右不法行為により、原告訴訟代理人【A】に本訴の提起と追行を委任することを余儀なくされ、同人に弁護士費用として六〇万円を支払う旨約したが、これは本件不法行為による損害に当たる。
七 よつて原告は、不正競争防止法1条1項1号に基づき、被告大洋潜水・同タバタに対し請求の趣旨1記載の差止め、被告マコト産業に対し同2記載の差止め並びに被告ら各自に対し、不法行為に基づき、弁護士費用六〇万円の支払いをそれぞれ求める。
請求原因に対する認否
一 請求原因一は認める。
二1 同二1は不知。
2 同2のうち原告が昭和五三年五月、トロピカルラインと名づけて本件ラインを使用したフアツシヨン性を重視したカラースーツを発表し、同時に販売したことは不知、その余は否認する。
3 同3は不知。
4 同4(一)は不知、同(二)は否認する。
5 同5は否認する。
三1 同三1中被告大洋潜水が三色ラインを使用したカラースーツを業として製造販売し、被告タバタがこれを買受けて業として販売していることは認めるが、ラインの構成については争う。
2 同2のうち被告マコト産業がコメツトゴアテツクススーツを業として販売していることは認めるが、その余は争う。
四 同四は争う。
五 同五は争う。
六1 同六1は争う。
2 同2のうち原告が原告訴訟代理人に本訴の提起と追行を委任し、同人に弁護士費用として六〇万円支払う旨約したことは不知、その余は争う。
七 同七は争う。
被告大洋潜水、同タバタの主張
一 原告は、本件ラインを使用したウエツトスーツが原告商品であることの商品出所表示機能を有すると主張するけれども、右主張は以下のとおり失当である。
1 本件ラインは、特別顕著性がないから商品個別化作用を有せず、したがつて、
本件ラインを使用した原告製品は、不正競争防止法1条1項1号の商品表示たり得ない。
(一) 商品に付する色彩は、何人も自由にこれを選択使用することが許されているから、商品の色彩のみでは原則として商品表示たり得ない。
商標法2条によると、色彩は、それと文字、図形若しくは記号とを結合した構成のもとにおいて、はじめて特別顕著性のあることが定められており、不正競争防止法1条1項1号所定の商品表示も商品の出所を示すに値する他の特徴、例えば、色彩がセカンダリーミーニングを有するとか、トレードネームに当たる場合のように極めて特殊かつ独自のものであり、永年にわたつて継続的かつ独占的に使用された場合にのみ特別顕著性、自他商品識別機能を生ずる余地があるのである。
(二) しかるに、本件ラインは、ごくありふれた色彩、配色よりなるものであり、また我が国において、永年にわたり独占的に使用されてきたものでもない。
(三) また原告は、その製造販売にかかる商品に本件ライン以外の表示を付して広告・宣伝している。すなわち、原告製品には、サンフアン(SUNFAN)、タンク(TANK)及び動物を型どつたマークの各商標を附し、これらの商標によつて原告製品は自他識別がされている。
また原告の製造販売にかかるウエツトスーツは、黒色無地のもの、色無地のもの、各種のカラーラインを使用したものなど各種にわたつており、これらが、同時に広告・宣伝されている。
(四) これらの事情に照らすと、原告の商品表示は、前記各商標によつてなされており、本件ラインが自他商品識別機能を果たしていないことは明らかである。
2 本件ラインを使用したウエツトスーツが不正競争防止法1条1項1号所定の商品表示であるとする原告の主張は特定性を欠く。
すなわち、原告は、別紙目録(一)(1)ないし(25)の赤線部分に本件ラインを使用した二五種類の各ウエツトスーツが商品表示であると主張するけれども、
右主張により原告の商品表示の内容が特定されているとはいえない。
すなわち、原告製品において本件ラインが主要部とはいえず、むしろ本件ラインを使用した部分以外の部位が、その面積・色彩・形態において大きな比重を占めており、同部位における生地の材質・色彩・形態如何によつてスーツ全体の特徴が全く異なつたものとなり、第三者に対して別個のスーツであるとの印象を与えるものである。
3 本件ラインを使用したウエツトスーツは、商品を個別化する作用を有せず、商品表示たり得ない。
(一) ウエツトスーツ業界において、ウエツトスーツは黒というのが従来常識であつたとの原告の主張は誤りである。
カラーラインなどを使用したフアツシヨン性スーツは、昭和五三年以前より業界において多数製造販売され、消費者が着用して現在に至つている。
すなわち、
(1) 東京都に本社を有するキヌガワパシフイツク株式会社は、既に昭和四六年頃、ライン入りカラースーツを製造販売し、宣伝用パンフレツトを作成配布している。
(2) 株式会社ビクトリイは、昭和四五年から昭和四九年にかけて一二、三種類の色を使つたカラフルなスーツを製造販売し、また、昭和五〇年より「レインボウライン」と称するカラーラインを使用したウエツトスーツを一〇〇〇着以上製造販売している。
(3) 原告代表者であつた【B】は、従前、被告大洋潜水の従業員であつたが、
同人が同社に在職中、被告大洋潜水は、【B】も参画させたうえで、三色組み合せのラインを使用したスーツを企画発表し、その後もライン入りスーツを継続的に製造販売してきた。
(4) 本件ラインの製造元である訴外東レテキスタイル株式会社は、昭和五三年五月以前より本件ライン及びその他の各種三色ラインを大量に製造販売し、これらのラインは、種々の流通経路を通じて原告・被告らはもとより、その他のウエツトスーツ業者多数により購入、使用されている。
(5) 本件ラインを使用したスーツが出所表示の機能を有するに至つた時期と原告が主張する昭和五四年の夏以前である、昭和五四年初頭、本件ラインと同一の三色ラインを使用したパイピングホツトのウエツトスーツが、被告タバタにより輸入され、国内で多数販売されている。
(6) 本件ラインと同一又は極めて類似するラインを使用したスポーツウエアが、市場には多数出まわつており、特にスポーツ用品業界最大手の株式会社美津濃の製品に、右の如きラインが多数使用されている。
(二) 以上(1)ないし(6)のとおり、昭和五三年五月の時点或いは昭和五五年までの間において既に各種ラインを使用したスーツ、スポーツ衣料が多数製造販売されている事情のもとでは、本件ラインを使用したスーツが、原告の商品たることを表示する機能を獲得したとは到底いい難い。
二 本件ラインを使用したウエツトスーツには周知性がない。
仮に原告が主張するように、昭和五三年五月に本件ラインを使用したウエツトスーツの製造販売を原告が開始し、その後雑誌などを通じて原告が宣伝に努めたとしても、未だ、本件ラインを使用したスーツは、原告の商品表示として保護を受けるに値する周知性を得るに至つていない。
すなわち、本件ラインと同一或いは類似の各種ラインを使用したスーツが、昭和五三年五月の前後にかけて、ウエツトスーツ、スポーツ衣料に使用され販売されてきたことは、前記一3(一)(1)ないし(6)記載のとおりであり、その中にあつて原告は、本件ラインを使用したウエツトスーツが当時周知性を有していなかつたからこそ宣伝活動を展開せざるを得なかつたのである。
また原告は、掲載誌E、Fの本件ラインを使用したスーツの紹介記事或いは、同Gをはじめとする各種業界誌に原告が本件ライン入りスーツの宣伝・広告記事を掲載したことなどをもつて本件ラインを使用したウエツトスーツの周知性の根拠とするが原告が宣伝活動を行うことは、原告製品が周知性を有するか否かに関わりがなく、業界誌における前記の紹介記事は、業者の商品を宣伝するための一手段としてなされている場合が殆んどである。
したがつて、単なる雑誌の紹介記事や、雑誌を媒体として宣伝に努めたことをもつて、周知性の指標とすることはできない。
三1 タバタ製品にはすべて被告タバタの独自の商標が付されている。また、被告大洋潜水が製造し、直接販売しているA′、B′ライン入りのスーツの大部分には、被告大洋潜水の商標が付されている。
したがつて殆どの場合、原告製品とタバタ製品・被告大洋潜水が直接販売している製品との異同は、前記原告の各商標だけによつても明瞭となつている。
2 のみならず、タバタラインの入つたタバタ製品は、右ラインの使用部位、長さ、ライン部分以外の面積、生地色、その他の配色などのすべてにわたり、原告の本件ラインを使用した原告製品のいずれとも異なつており、異なつたイメージを同業者或いは一般需要者に与えている。
被告マコト産業の主張
一 ウエツトスーツは、ダイビング用、サーフイン用、サーフアン用の三種類があり、そのうちサーフイン、サーフアンは、いずれも遊戯を基本としており、またダイビングも遊戯である場合には、そのためのウエツトスーツは、フアツシヨン性を加味したものが販売される。ところで、遅くとも昭和四〇年頃にはダイビングも既に遊戯性を持ち、サーフインは昭和四四年頃、サーフアンは昭和五三年頃から流行時期に入り、それぞれの時期にフアツシヨン性を加味した、右各用途に応じたウエツトスーツが販売されている。そしてダイビング用ウエツトスーツにおいては、遅くとも昭和四〇年頃には、ゴム素材の黒のみならずカラーライン入りのものを含むカラースーツが販売されていた。これらのウエツトスーツのフアツシヨン性は、
色、色の形、ラインなどの様々の配合形態によつて決定されるもので、原告の本件ラインも、右フアツシヨン性を決定する一要素である色ラインの一形態にすぎない。
したがつて、本件ラインをもつて商品を特定化させる機能を有するとはいえない。
二 原告のパンフレツト(甲第一号証の一ないし三)、被告タバタのパンフレツト(甲第二号証)、被告マコト産業のパンフレツト(丙第一号証)によれば、それぞれの商品には、ブランド名やその記号、マークが使われており、これらが商品を特定化し、その出所を明らかにする機能を有しているのであつて、フアツシヨンの一形態がその役割を果たしているのではない。
被告らの主張に対する認否
争う。
証拠関係(省略)
理 由一 請求原因一の事実(原告の営業内容)は、当事者間に争いがなく、いずれも成立に争いのない甲第一七号証の一、二、
証人【C】(第一回)の証言により本件ラインの写真であることが認められる検甲第一号証・原告製品の写真であることが認められる検甲第二号証、及び右証言を総合すると、請求原因二1の事実(原告が本件ラインを使用した原告製品を製造販売していること)が認められる。
二 そこで、本件ラインを使用した原告製品が原告商品であることの出所表示機能・周知性を有しているか否かにつき検討する。
1 いずれも成立に争いのない甲第四号証、第五、第六号証の各一、二、第八号証の一ないし五、第九号証、証人【C】(第一回)の証言及び弁論の全趣旨によりいずれも真正に成立したものと認められる甲第一号証の一ないし四、第一一号証の一、二、第一三号証の一、二、証人【D】、同【E】の各証言(但し、いずれも後記採用しない部分を除く)及び右証言により被告タバタが昭和五四年初め頃オーストラリアから輸入して国内で販売したパイピングホツトのウエツトスーツの写真であるものと認められる検乙第二号証を総合すると次の事実が認められる。
(一) 原告は、昭和五三年五月、本件ラインを使用したカラースーツを発表したが、それ以前において、ゴム地に各種の色布を張りつけたカラースーツが昭和四五年頃からウエツトスーツ業者により販売されていたものの、ウエツトスーツの色は、素材であるゴム地の色をそのまま使用した黒色が主流であつた。
(二) 昭和五二年当時我が国においては、海洋スポーツの先進国である欧米ほどにカラースーツの着用がみられない状況にあつたことから、原告は、フアツシヨン性豊かなカラースーツの開発を試み、同年秋、それに使用するラインとして本件ラインを組み合わせた上、訴外東レテキスタイル株式会社に委託して本件ラインの布地を製作させ、訴外山本化学工業株式会社においてスポンジゴムに右布地を接着させて、これを買取り原告製品を製作することとした。
(三) 本件AないしDラインは、別紙目録(二)に示されるように、それぞれ黄赤、青、黄みの緑、赤紫を中央に配置した色(以下「中央の色」という)とするこれと同系色三色の組合わせからなり、各ラインの三色は右中央の色を真中に、その隣りにこれより明度の低い濃い色を、その反対側には右中央の色より明度の高い淡い色を配した配列、業界でいわゆる色落ちの配色、即ち最も明度の低い濃い色を基調として、順次明度が高く淡い色へと移行する配色となつており、原告製品の発売以前には、このような色落ち三色ラインを使用したものはウエツトスーツ業界にはなかつた。
(四) 原告は、昭和五三年中、本件ラインをトロピカルラインと名付けて別紙目録(一)(1)ないし(25)のウエツトスーツの箇所(以下「使用箇所(1)」などという)に使用した原告製品のカタログを北海道から沖縄までの取引先約五〇店に配布し、更に掲載誌@に、使用箇所(8)、(12)に本件ラインを使用した原告製品の広告を掲載して宣伝に努めたところ、原告製品の売り上げが寄与して、
同年中における原告商品全体の販売高が若干の増大をみた。
(五) 原告は、昭和五四年中使用箇所(1)ないし(25)に本件ラインを使用した原告製品のカタログを全国約一〇〇の販売店に配布し、掲載誌AないしD、Fに本件ラインを使用した原告製品の広告を掲載し、うち7には、使用箇所(1)、
(17)に右ラインを使用したものが掲載されている。
また、掲載誌Eには、請求原因二4(一)(1)に記載どおりの紹介記事並びに使用箇所H、M、I、●に本件ラインを使用した原告製品が掲載されている。
更に掲載誌Fには、「カラースーツを着ると粋なダイバーになれる!」と題して原告製品の特集記事を載せ、その中で使用箇所(1)、(17)の原告製品を紹介している。
そして、昭和五四年における原告製品の売り上げ高は、昭和五三年に比べ大むね二割程度の伸びを示し、同年末には、東京池袋所在の西武百貨店、神戸所在のスポーツワールドサーテイスリーの二店に原告製品を納品するようになつた。
(六) 原告は、昭和五五年中使用箇所(1)ないし(25)に本件ラインを使用した原告製品のカタログを、全国約一五〇店の販売店に配布し、更に相当数の専門誌に本件ラインを使用した原告製品の広告を掲載したが、掲載誌Kには、「80年はウエツトスーツのフアツシヨン性が問われる」と題するウエツトスーツの特集記事において、使用箇所(1)、(1)と(3)、(8)、(12)、(17)、
(18)と(19)に本件ラインを使用した原告製品が掲載されている。
また掲載誌Lには、「カラフルウエツトスーツ」と題して他社製品と共に、使用箇所(1)、(17)、(18)と(19)に本件ラインを使用した原告製品が紹介されている。
そして、昭和五五年中における原告製品の売り上げ高は、三割前後の伸びを示した。
(七) なお、訴外山本化学工業株式会社は、原告の承諾を得てオーストラリア所在の訴外ダイブ・エヌ・サーフターキー社に対し、昭和五三年一一月から昭和五五年七月までの間に少量の本件ラインを輸出し、被告タバタは、昭和五四年初め頃右訴外会社からAラインを使用した商品名「パイピングホツト」というウエツトスーツを輸入し販売をはじめたので、同年秋、原告から同被告宛に同一ラインを使用したウエツトスーツを販売しないようにとの口頭の警告をしたところ、程なく右商品の殆んどが店頭から姿を消した。これ以外に昭和五五年一〇月末以前本件ライン及びこれと類似のラインを使用したウエツトスーツがウエツトスーツ市場に出た形跡はない。
以上の事実が認められ、証人【D】、同【E】の証言中右認定に反する部分とりわけ、被告タバタがAラインを使用したパイピングホツトのウエツトスーツを多数輸入販売したかのように述べる部分は、前記のとおり訴外サーフターキー社への本件ラインの輸出量が小数であること、昭和五四年における掲載誌E、昭和五五年における掲載誌Lの各被告タバタのウエツトスーツに関する広告中にはAライン入りのウエツトスーツの掲載がないこと、更には、昭和五五年五月一日発行の別冊サーフインライフ誌中にはパイピングホツトの製品広告があるのに右ライン入りウエツトスーツの掲載が全くないこと(前掲甲第五号証の一、第六号証の二、第一三号証の一、二、成立に争いのない甲第一二号証による)、並びに証人【C】(第一回)の証言に照らしてにわかに採用し難い。
2 以上の事実に基づき、原告製品の商品出所表示機能・周知性の有無をみる。
(一) ところで、色彩は、本来何人も自由に選択して使用することが許されるものであるが、特定の単色の色彩又は複数の色彩の特定の配色の使用が当該商品には従来見られなかつた新規なものであるときには、特定人が右特定の色彩、配色を当該商品に反覆継続して使用することにより需要者をして右特定の色彩・配色の施こされた商品がこれを使用した右特定人のものである旨の連想を抱かせるようになることは否定できないところであり、このように商品と特定の色彩・配色との組合せが特定人の商品であることを識別させるに至つた場合には、右商品と色彩・色彩の配色との組合わせも又、商品の形態と同様、不正競争防止法1条1項1号にいう「他人ノ商品タルコトヲ示ス表示」たり得るものといわなければならない。
(二) これを本件につきみるに、前記認定のとおり、本件AないしDラインの如き黄赤、青、黄みの緑、赤紫を中央の色とした同系色三色をそれぞれ明度の低い濃色から明度の高い淡色へ移行する色落ちに配列した色ラインを使用したウエツトスーツは、原告製品の発売時である昭和五三年五月以前になかつたこと、本件ラインを使用した原告製品がその後売り上げを順調に伸ばし、昭和五五年末までに海洋スポーツの各種専門誌にも自ら多数広告して宣伝に努め、また右各雑誌社の紹介記事にも数回にわたり掲載されており、これらの月当たり発行部数も八万部から三五万部と多く、販売地域も全国にまたがつていること(前掲甲第八号証の一ないし五による)、原告製品に使用されている本件ラインは見た眼にも鮮やかで、人の眼を惹くに足るものであり(この点は前掲甲第一号証の一ないし四、第四号証、第五、第六号証の各一、二、検甲第一、第二号証による)、昭和五三年五月の発売から昭和五五年一〇月末までの間に、一時、Aライン付きの輸入スーツが販売されたものの少数に止まり原告からの警告により市場から姿を消しており、結局、右期間中原告は、本件ラインを独占的かつ継続的に原告のウエツトスーツに使用してきたといえることを考慮すると、本件ラインを使用箇所(1)ないし(25)に使用した原告製品は、遅くとも昭和五五年におけるウエツトスーツの一般需要者の最多需要期を過ぎたと思われる同年八月末には、原告商品であることの出所表示機能を獲得し、
同業者、小売店、一般需要者などに広く知られるに至つたということができる。
(三) もつとも、被告大洋潜水、同タバタは、昭和五三年五月以前に(イ)キヌガワパシフイツク株式会社、(ロ)株式会社ビクトリー、(ハ)被告大洋潜水がそれぞれライン入りカラースーツを発売していたと主張し、これに副うかのような前掲証人【D】、同【E】の各証言、証人【F】の証言、被告マコト産業代表者本人の供述及び右各証言によりいずれも真正に成立したものと認められる乙第一号証の一ないし三、いずれも成立に争いのない乙第二号証の一、二、第三、第四号証の各一ないし三、第五号証の一、二が存するけれども、右各書証及び人証を総合すると、(イ)の製品は、紺地のスーツの袖・脇・下肢の両側面にそれぞれ黄と赤の単色ラインが使われているもの、胴体全体にわたり縦縞模様の入つたものなどがあり、また、(ロ)の製品は、レインボーラインと称する赤・緑・黄・橙・青が順次配列されたカラーライン(証人【D】の証言により訴外株式会社ビクトリーの使用しているカラーラインの色見本の写真であることが認められる検乙第一号証)をスーツ両側の縦方向の黄色ライン上に短く横向きに継続的に使つたもの・スーツ両面に縦方向のラインとして使つたもの、赤地のスーツ両側に白と黒の組合せラインを入れたものなどであり、(ハ)の製品は、肩、上肢・胴・下肢側面に、黄色ラインを中心にそれをはさんだ形の黄緑色ラインの合計三本からなるラインを縦方向に使用したスーツ、赤・白・紺の組合せラインを使用したスーツなどであることが認められ、いずれもさきに認定した本件ラインにみられる黄赤・青・黄みの緑・赤紫を中央の色とする同系色の三色を順次色落ちに配列した特徴を備えているものではない。ために、同じくライン状の模様を使用した商品の中にあつても原告製品は右特徴のある本件ラインを使用したことによつて看る者に他と際立つた特別の印象を与えていることが明らかであるから、右各製品の存在が前示原告製品の有する商品表示機能を失わしめるものではない。
(四) また同被告らは、訴外株式会社美津濃が本件ラインと同一又は酷似するラインを使用した製品を発売していると主張するところ、なるほどいずれも成立に争いのない乙第六号証の一、二によれば、スポーツウエアの上下肢両外側面に各種の色ラインを二本又は数本組み合わせたラインを使用したもの、或いは、このラインの両上腕部を胸の上部において横一文字に引いた同じラインで連結したものなどが昭和五四年の株式会社美津濃の製品カタログに掲載されているけれども、これらのラインも前同様本件ラインの特徴である同系色で順次色落ちの三色を一組のラインとする構成を有するものではないことが認められ、この点において原告の本件ラインと異なる上に、陸上における使用を目的としたスポーツウエアである点において、原告製品の如きウエツトスーツとは使用目的場所を異にすることが明らかである。
(五) 次に被告らは、原告製品において本件ラインが主要部をなしておらず、それ以外のスーツ本体の色彩、形態などによつて看る者に異なる印象を与えると主張するところ、前掲甲第一号証の一ないし四、検甲第一号証によれば、本件ラインは、看る者の眼を惹きつける鮮やかな色調を有し、殊に地が黒色系、反対色系の場合に一層目立つことが認められ且つ原告も、前示本件ラインの開発の目的上当然のことながら、右本件ラインを別紙目録(一)の(1)ないし(25)の個所に目立たしめる様な態様でこれを付しているのであるから、原告製品における本件ラインは、それ自体スーツ本体の色彩、形態から独立して商品の出所表示機能を有するというに妨げない。
(六) 右(三)ないし(五)のとおり、本件ラインを使用した原告製品が商品出所表示機能・周知性を有しない旨の被告らの主張は採用の限りでない。
三 被告大洋潜水が三色ラインを使用したカラースーツを業として製造販売し、被告タバタがこれを買い受けて業として販売していること、被告マコト産業がコメツトゴアテツクススーツを業として販売していることは当事者間に争いがなく、いずれも成立に争いのない甲第二、第三号証、第一〇号証、被告大洋潜水の製品であることにつき被告大洋潜水、同タバタと原告との間で争いのない検甲第三号証、マコト製品であることにつき被告マコト産業と原告との間で争いのない検甲第四号証、
いずれも被告大洋潜水が訴外セド化学工業株式会社より購入し、使用している色ラインであることにつき同被告及び被告タバタと原告との間で争いのない検乙第三、
第四号証、被告マコト産業の昭和五五年度発行のパンフレツトであることにつき同被告と原告との間で争いのない丙第一号証、いずれも被告マコト産業が訴外株式会社東潜から買い取り同被告が使用している色ラインであることにつき争いのない検丙第一、第二号証、前掲甲第一七号証の一、二、前掲証人【D】の証言、被告マコト産業代表者本人の供述を総合すると、次の事実が認められる。
1 被告大洋潜水は、昭和五五年一一月から、別紙目録(三)1のA′、B′ラインの各両側に黒地を、各三色ラインの一色幅より太めに残したものをそれぞれ使用したタバタスーツを業として製造販売し、被告タバタは、これを買受けて業として販売しており、タバタスーツにおける右ラインの使用箇所は、使用箇所(1)と(2)、(1)と(3)、(2)、(12)、(17)である。
しかし、同被告らは、同目録1記載のC′、D′ラインを使用したウエツトスーツを現在は勿論過去においても製造、販売したことはない。
2 被告マコト産業は、昭和五六年四月から、コメツトゴアテツクススーツと名付けて、別紙目録(三)2記載のA″、B″ラインを使用したマコト製品を、訴外株式会社東潜に製造納品させて業として販売しており、マコト製品には、A″、B″ラインの使用箇所が使用箇所(12)と(13)でしかも(12)の箇所のラインを二列としているもの、(19)と(21)でしかも(21)の箇所のラインを二列としているものがある。
しかし、同被告は、C″、D″ラインを使用したウエツトスーツを、現在は勿論過去においても製造販売したことはない。
以上のとおり認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。
四 そこで、右二、三で認定したところに基づき、本件ラインを使用した原告製品とタバタ製品及びマコト製品を対比する。
1 まずA、Bラインを使用した原告製品とA′、B′ラインを使用したタバタ製品とを対比する。
(一) A、BラインとA′、B′ラインは、各三色ラインの幅において一致し、
各三色ライン間の黒色ラインの幅も近似する。
(二) AラインとA′ラインとは見た眼において、いずれも黄赤系の色を中央の色とし、順次濃色(黄みのさえた赤)から淡色(ふかい黄又は黄赤)へと色落ちとなつた三色からなる色ラインであり、鮮やかな色調を有する点で類似するのみならず、JIS規格の一般色名において三色中二色が一致している上に、明度においても低い色から順次高い色へと配列されている点で類似していることが窺われ、これらから、AラインとA′ラインとは類似の色ラインということができる。
(三) BラインとB′ラインとは、見た眼において、いずれも青色を中央の色とし、順次濃色(さえた青又は紫みの青)から淡色(にぶい青)へと色落ちとなつた三色からなる色ラインであり、鮮やかな色調を有する点で類似するのみならず、JIS規格の一般色名において三色中二色が一致している上に、明度においても順次低い色から高い色へと配列されている点で類似していることが窺われ、これらの点からBラインとB′ラインとは類似の色ラインということができる。
(四) 原告製品とタバタ製品とは、色ラインが使用箇所(1)、(2)、
(3)、(12)、(17)に目立つように使用してある点において共通する。
(五) したがつて、タバタ製品は、原告製品中右各使用箇所にA、Bラインを使用してあるものとのみ類似し、右原告製品との間に誤認混同を生ぜしめているというべきである。
2 A、Bラインを使用した原告製品とA″、B″ラインを使用したマコト製品とを対比する。
(一) A、Bライン、A″、B″ラインは、各三色ラインの幅において一致し、
各三色ライン間の黒色ラインの幅も近似する。
(二) AラインとA″ラインとは、見た眼において、いずれも黄赤系の色を中央の色とし順次濃色(黄みのさえた赤)から淡色(ふかい黄又は黄赤)へと色落ちとなつた三色からなる色ラインであり、鮮やかな色調を有する点で類似するのみならず、JIS規格の一般色名において一致している上に、明度においても低い色から順次高い色へと配列されている点で類似していることが窺われ、これらからAラインとA″ラインとは類似の色ラインということができる。
(三) BラインとB″ラインとは、見た眼において、いずれも青色を中央の色とし、順次濃色(さえた青又は紫みの青)から淡色(にぶい青)へと色落ちとなつた三色からなる色ラインであり、鮮やかな色調を有する点で類似するのみならず、JIS規格の一般色名において一致している上に、明度においても低い色から順次高い色へと配列されている点で類似していることが窺われ、これらから、BラインとB″ラインとは類似の色ラインということができる。
(四) 原告製品とマコト製品とは、色ラインが使用箇所(12)、(13)、
(19)、(21)に目立つように使用してある点において共通する。
(五)したがつて、マコト製品は、原告製品中右各使用箇所にA、Bラインを使用してあるものとのみ類似し、右原告製品との間に誤認混同を生ぜしめているというべきである。
3 なおタバタ製品の色ラインは、A′、B′ラインの両側に各三色ラインの一色よりやや幅広の黒地を残したものである点において本件A、Bラインとの相違がみられるけれども、右黒地部分は、A′、B′ラインと相俟つて五列の配色ラインをなすというよりむしろ、A′、B′ラインの部分を鮮明に浮き立たせていることが看取(前掲甲第一、第二号証、第一〇号証、検甲第三号証による)されるのであるから、前記2の類似性に関する各結論に消長を来たさない。
4 被告らは、原告製品、タバタ製品、マコト製品にはそれぞれ独自の自社商標が付されており、また、それぞれ色ライン以外の部位の配色、形態などに独自性があるから、原告製品と右被告らの製品間に誤認混同を生じないかの如く主張するところ、前掲甲第一号証の一ないし四、第二、第三号証、丙第一号証、検甲第二ないし第四号証、前掲証人【C】(第一回)、同【D】の各証言、被告マコト産業代表者本人の供述を総合すると、原告製品には、「TANK」「SUNFAN」、アザラシのマークの一個又は複数個がついているものだけでなく、これらの商標が付いていないものもあること、被告大洋潜水・同タバタの製品の中にも、同様自社の商標の付いていないものがあること、マコト製品には、被告マコト産業のウインドサーフイン用の商標であるコメツトマークが付いていること、これら各製品は、色ライン以外の部位の形態、色彩、配色において相違すること、しかしながら、右各製品を全体として観察するときには、右各色ラインに共通する鮮やかな色調とメタリツクな光沢が需要者の眼を強く惹くのに比べて、これらの相違部分は、いずれもさほど目立たず、むしろ被告製品における前示ラインの使用も原告製品における前示使用態様と同じく、スーツ本体の生地・形態の如何に拘らず、これを目立たしめるような態様において使用されていることが認められ、右事実のもとでは、右各製品における、色ライン以外の部分の形態、色彩、配色の相違及び商標が付されていることは、未だ本件ラインによつてもたらされる原告製品と被告製品との混同誤認を妨げる機能を果たしているということはできない。
五 そうすると、被告大洋潜水が、使用箇所(1)、(2)、(3)、(12)、
(17)にA′、B′ラインを使用したウエツトスーツを製造販売し、被告タバタがこれを販売する行為及び被告マコト産業が使用箇所(12)、(13)、(19)、(21)にA″、B″ラインを使用したマコト製品を販売する行為によつて原告の営業が害せられるおそれがあるし、また、被告らが別紙目録(一)中右各使用箇所以外の箇所に右の各ラインを使用したウエツトスーツを製造販売し、
又は販売したことを認めるに足りる証拠はないけれども、右各ラインの使用箇所を変更することは容易であり、しかも被告らが右各ラインを使用した製品の製造、販売がA、Bラインを使用した原告製品との誤認混同を生ぜしめることを争つていることは本訴弁論の全趣旨に徴し明らかであるから、被告らは、これらの箇所にもそれぞれのラインを使用した製品を製造販売し、または販売するおそれがあるというべきである。
したがつて原告は、不正競争防止法1条1項1号に基づき、被告大洋潜水に対し、使用箇所(1)ないし(25)にA′、B′ラインを使用したウエツトスーツの製造販売の差止め、被告タバタに対し右製品の販売の差止め、被告マコト産業に対し右使用箇所にA″、B″ラインを使用したウエツトスーツの販売の差止めを各請求する権利を有する。
ところで、証人【C】(第二回)の証言及びこれにより訴外大和ゴム工業製造のカラーラインであることが認められる検甲第五号証によれば、訴外大和工業は、本件C、Dラインと類似の色ラインを製造販売していることが認められる。
しかしながら、被告大洋潜水、同タバタがC′、D′ラインを、被告マコト産業がC″、D″ライン(CラインとC′・C″ライン、DラインとD′・D″ラインとが同一の色ラインであることは、本訴弁論の全趣旨に徴し明らかである。)を現在は勿論これまでにも使用したことがないことは前判示のとおりであり、被告らが訴外大和ゴム工業の色ラインを使用するおそれがあることを認めるべき証拠はないから、原告は被告らに対して、これらのラインを使用したウエツトスーツの製造販売、または販売の差止めの必要性がないといわざるを得ない。
六 更に進んで、原告主張の不法行為の成否につき検討する。
1 被告らの前記三の各行為は、不正競争防止法1条1項1号に該当する違法行為であるところ、いずれも成立に争いのない甲第七号証の一ないし四、被告マコト産業代表者本人の供述に弁論の全趣旨を総合すると、原告は、被告タバタに対し、昭和五六年三月二日付その頃到達の内容証明郵便にてA′ラインを使用したタバタ製品が原告製品の三色ラインと類似するので不正競争防止法1条1項1号に基づき販売の停止を求める旨の警告書を送付したこと、同年四月頃被告マコト産業に対しても右同旨の警告書を発送し、これに対して被告タバタは、同年三月一三日付その頃到達の内容証明郵便にて、現在入手し得る資料によつては被告タバタが発売予定のウエツトスーツを販売する行為が右法条に違反するとは考えていない旨、原告が同被告の取引先などに右ウエツトスーツが原告の権利を侵害すると言い触らしているが右行為は同法1条1項6号に違反する旨の回答並びに警告を行つていることが認められ、右の事実によれば、タバタ製品の製造元である被告大洋潜水も又その頃、
被告タバタより、右原告からの警告の事実を知らされていたものと推認される。
2 右のとおりであるから、被告大洋潜水は右警告の事実を知りながら、被告タバタ、同マコト産業は、右警告を受けながら、それぞれその製品を製造販売し、又は販売したのであるから、少なくとも過失により前判示のとおり原告製品との混同を生ぜしめる行為をしたものと認められる。
したがつて被告らは、不法行為に基づき原告の蒙つた左記損害を賠償する義務がある。
すなわち、証人【C】(第一回)の証言と弁論の全趣旨によれば、原告は、被告らの右不法行為により、本訴の提起を余儀なくされ、その追行を原告訴訟代理人【A】に委任し、弁護士費用として六〇万円を支払う旨約したことが認められるところ、本訴における事件の難易、訴額、右差止請求の認容の程度などを考慮すると、右弁護士費用のうち金三〇万円は右不法行為と相当因果関係にある損害と認めるのが相当である。
原告は右損害全額につき被告ら三名が不真正連帯債務関係に立つものとして被告ら各自にその全額を請求しているが、本件において、被告大洋潜水の製造・販売と被告タバタの販売とが共同不法行為となることは明らかであるが、これと被告マコト産業の製造販売とは相互に別個独立の行為であるから、右損害全額につき被告三名の共同不法行為の成立を認めるわけにはいかない。しかして右損害につき被告大洋潜水、同タバタと被告マコト産業との寄与率を的確に把握し得る資料はないのでこれを折半し、その一を被告大洋潜水、同タバタの負担に、その余を被告マコト産業の負担に帰せしめるのが相当である。
七 以上のとおり、原告の本訴請求は、被告大洋潜水に対し、別紙目録(一)(1)ないし(25)記載のウエツトスーツの赤線部分に、同目録(三)1記載のA′ライン又はB′ラインを使用したウエツトスーツの製造販売の差止め、被告タバタに対し右ウエツトスーツの販売の差止め、被告マコト産業に対し別紙目録(一)(1)ないし(25)記載のウエツトスーツの赤線部分に同目録(三)2記載のA″ライン又はB″ラインを使用したウエツトスーツの販売の差止め、並びに被告大洋潜水、同タバタ各自に対し損害金一五万円の、被告マコト産業に対し損害金一五万円の各支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は失当であるから棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法89条92条93条を、仮執行の宣言につき同法196条をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。
追加
目録(一)<12399-001><12399-002><12399-003><12399-004><12399-005><12399-006><12399-007>目録(二)原告使用ラインの説明書末尾添付写真の1ないし3(A)、4ないし6(B)、7ないし9(C)、10ないし12(D)の各色を組合わせたラインにして各色の間隔は9ミリメートルで、各色の間に1ミリメートルの黒色のラインを含んだもので、各色の名称は左記のとおり。
<12399-008><12399-009><12399-010>目録(三)1被告大洋潜水株式会社・同株式会社タバタ使用ライン末尾添付写真の1ないし3(A′)、4ないし6(B′)、7ないし9(C′)、10ないし12(D′)の各色を組合わせたラインにして各色の間隔は9ミリメートルで、
各色の間に2ミリメートルの黒色のラインを含んだもので、各色の名称は左記のとおり。
<12399-011><12399-012>2被告株式会社マコト産業使用ライン末尾添付の1ないし3(A″)、4ないし6(B″)、7ないし9(C″)、10ないし12(D″)の各色を組合わせたラインにして各色の間隔は9ミリメートルで、各色の間に2ミリメートルの黒色のラインを含んだもので、各色の名称は左記のとおり。
<12399-013><12399-014><12399-015>「原告製品掲載誌一覧表」<12399-016>
裁判官 潮久郎
裁判官 鎌田義勝
裁判官 徳永幸蔵
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