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事件 昭和 55年 (ワ) 4304号
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 1982/02/26
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告は、その製造販売にかかる鏡に別紙イ号目録(1)ないし(4)記載の各表示を使用し、又は右各表示を使用した鏡を販売してはならない。
二 被告は、その所有する前項記載の各表示を使用した鏡から右表示を抹消し、同表示を印刷する原版を廃棄せよ。
三 被告は、原告ジヨン・ヘイグに対し金一二六万〇五〇〇円、原告ジヨン・ウオーカーに対し金一五四万一〇〇〇円、原告マクドナルドに対し金一二六万〇五〇〇円、原告ホワイト・ホースに対し金一二六万〇五〇〇円及び右各金員に対する昭和五五年六月一九日から支払いずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
四 原告らのその余の請求を棄却する。
五 訴訟費用は、これを五分し、その一を原告らの、その余を被告の、各負担とする。
六 この判決の第一ないし第三項は、仮に執行することができる。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
(原告ら)一 主文第一項と同旨。
二 被告は、その所有する前項記載の各表示を使用した鏡及び同表示を印刷する原版を廃棄せよ。
三 被告は、原告ジヨン・ヘイグに対し金二一五万円、原告ジヨン・ウオーカーに対し金二九〇万円、原告マクドナルドに対し金二一五万円、原告ホワイト・ホースに対し金二一五万円及び右各金員に対する昭和五五年六月一九日から支払いずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
四 訴訟費用は被告の負担とする。
五 仮執行宣言。
(被告)一 原告らの請求を棄却する。
二 訴訟費用は原告らの負担とする。
原告らの請求原因
一 不正競争行為の差止請求(一) 原告らの営業とその使用表示の周知性1 原告らは、いずれもその肩書地に本店を有し、ウイスキーの製造販売を業とする英国法人である。
そして、原告ジヨン・ヘイグが販売するウイスキーの中には「ヘイグ」と呼ばれるものがあり、同原告は、これに別紙権利目録(1)記載の標章(商標)を附して販売している。
原告ジヨン・ウオーカーが販売するウイスキーの中には「ジヨニー・ウオーカー・ブラツク・ラベル」、「ジヨニー・ウオーカー・レツド・ラベル」と呼ばれるものがあり、同原告は、これに別紙権利目録(2)(イ)ないし(ホ)記載の各標章(商標)を附して販売している(ただし、同(ロ)の標章は右ブラツク・ラベルのものについてのみ使用)。
原告マクドナルドが販売するウイスキーの中には「オールド・パー」と呼ばれるものがあり、同原告は、これに別紙権利目録(3)記載の標章(商標)を附して販売している。
原告ホワイト・ホースが販売するウイスキーの中には「ホワイト・ホース」と呼ばれるものがあり、同原告は、これに別紙権利目録(4)記載の標章(商標)を附して販売している(以下右各標章を順次本件権利標章(1)ないし(4)という)。
2 しかして、原告らが販売する右各ウイスキーは、日本へ古くから輸入され愛用されている著名な商品であり、これに使用されている右各標章は、単にウイスキーの愛好家のみならず、多少ともウイスキーについて知識を持つ者の間で広く知られた標章である。
すなわち、右各標章は、これを附されたウイスキーを他の商品(ウイスキー)と区別して個別化し、その同一性を認識させるものであり、我が国において広く知られたものであるから、不正競争防止法1条1項1号にいう「本法施行ノ地域内ニ於テ広ク認識セラルル……他人ノ(原告らの)商品タルコトヲ示ス表示」に該当する。
また、原告らは、本件各権利標章を使用して商品を販売するという一連の系統的な営業行動を行つている。そしてその活動は我が国において広く知られている。したがつて、右各表示は、同項二号にいう「本法施行ノ地域内ニ於テ広ク認識セラルル……他人ノ(前同)営業タルコトヲ示ス表示」にも該当する。
(二) 被告の営業活動と混同惹起1 被告は、板硝子及び硝子鏡等の製造販売を業とする会社であるが、遅くとも昭和五三年頃から、その前面ほぼ全体に別紙イ号目録(1)ないし(4)記載の各表示(以下これを順次本件イ号表示(1)ないし(4)という)を表示した鏡(以下被告製品という)の販売を開始し、後記大阪地方裁判所の不正競業行為禁止仮処分決定の執行がなされる頃まで右販売を継続していた。
2 しかして、被告が使用する右各表示のうち、本件イ号表示(1)は本件権利標章(1)と、本件イ号表示(3)は本件権利標章(3)と、本件イ号表示(4)は本件権利標章(4)と、それぞれ同一であり、本件イ号表示(2)もそのうち(イ)ないし(ニ)の表示は、本件権利標章(2)の(イ)ないし(ニ)の標章と同一である。ただ、同イ号表示のうち(ホ)の表示(紋章)は、本件権利標章(2)の(ホ)の標章(紋章)と同一ではないが類似しており、本件イ号表示(2)は、全体として本件権利標章(2)に同一といつてよい程酷似している(なお、右イ号表示(ホ)の紋章中に記されているCaldbeckという言葉は、原告ジヨン・ウオーカーの我が国における総代理店であるコールドベツク株式会社のことである)。
3 右のとおり、本件各イ号表示は、いずれも我が国において著名な本件各権利標章と同一ないし同一といつてよい程酷似したものであるから、一般大衆が右各イ号表示を使用した被告製品を見た場合、それが原告ないし原告と密接な関係のある者(子会社とかライセンスを受けている者)の商品であるとか、あるいは右鏡の製造販売の営業と原告らの営業との間に業務上組織上なんらかの特殊な関係があるかのように誤認混同するおそれのあることは明らかである。
このことは、会社の事業が一段と多様化し一つの会社が営む営業も単一ではなく多種多様なものになつている今日、大衆が当該会社がいかなる事業を営んでいるのか正確には知りえなくなつていることからみて疑問の余地がない。ちなみに、原告ジヨン・ヘイグは、昭和五一年に日本の株式会社レオに前記権利標章(1)を鏡に使用して販売することを許諾し、同社が昭和五四年まで右鏡の販売を続けていた事実がある。
4 よつて、被告製品の販売が、不正競争防止法1条1項1号、二号にいう「他人ノ……表示ト同一若ハ類似ノモノヲ使用シ……他人ノ商品ト混同ヲ生ゼシムル行為」及び「他人ノ……表示ト同一又ハ類似ノモノヲ使用シテ他人ノ営業上ノ……活動ト混同ヲ生ゼシムル行為」に該当することは明らかである。
(三) 営業上の利益を害されるおそれ 原告らは、いずれも我が国ではその総代理店を通じてその商品を販売しているが、右販売のための宣伝広告に多額の費用を投じて名声を築きこれを維持している。被告の前記行為は、原告らがそれぞれ多額の投資をして築きあげた名声に只乗りするものであり、重大な営業上の利益侵害である。
そして、原告らの本件各権利標章は品質保証機能を有している。すなわち、原告らは、一定の品質を備えた商品にのみ右標章を用いることにより、当該商品は信頼できるものであるとの評判を獲得している。そのために原告らは、商品の品質管理に万全の注意を払つている(例えば、原告ジヨン・ヘイグは、前記株式会社レオに対し必ず製品の見本を送らせ、それについて承認を与えた後でなければ右製品の販売を認めないことにしていた)。しかるに、被告製品についてはこのような品質管理を行うことが不可能であり、この意味で被告製品が出廻ることにより原告らの前記標章の品質保証機能が害されるおそれはすこぶる大きい。これもまた重大な営業上の利益侵害である。
原告らが、いずれも不正競争防止法1条1項柱書にいう「営業上ノ利益ヲ害セラルル虞アル者」に該当することはいうまでもない。
(四) したがつて、原告らは、不正競争防止法1条1項1号及び二号に基づき、
被告の前記不正競争行為の差止めを求める権利を有し、また、これに附随するものとして本件各イ号表示を使用した被告製品と右表示を印刷する原版の廃棄(被告製品についてその表示の抹消が可能なときはその抹消)を求めうると解すべきである。
損害賠償請求(一) 被告製品の販売行為が不正競争防止法1条1項1号及び二号に違反する違法行為であることは前記のとおりであり、被告は、故意に、そうでなくとも過失によつて右違法行為を行つたものである。
すなわち、原告らの商品は、いずれも我が国においてつとに著名であつた。したがつて、被告は、本件各権利標章が原告らの商品ないし営業活動を示すものであり、かかる表示を使用した鏡を製造販売すれば、原告らの商品ないし営業活動との混同を生ずるとの認識を持ちながら、あえてそれと同一ないし同一といつてよい程酷似した本件各イ号表示を使用した鏡を製造販売したのであり、仮に、被告において右のような認識がなかつたとしても、当然そのような認識を持つべきであつたから少なくとも過失の存在は疑いない。
(二) そして、被告の前記違法行為により、原告ジヨン・ヘイグ、同マクドナルド、同ホワイト・ホースは、それぞれ各二一五万円相当の、原告ジヨン・ウオーカーは二九〇万円相当の損害を蒙つた。
1 権利標章不正使用による損害 原告らは被告にその権利標章を無断で使用されたことにより財産上の損害を蒙つたが、その具体的な数額については、被告が被告製品を販売したことによつて得た利益額と同額と推定すべきである(小野昌延「註解不正競争防止法」一七二頁参照)。仮にそうでないとしても、本件各権利標章の使用許諾料相当額を損害の額とすべきである。
(1) 被告の得た利益相当額の損害イ 昭和五三年以降の販売数量(イ) 本件イ号表示(1)、(3)、(4)を使用した鏡 各三〇〇〇枚(ロ) 本件イ号表示(2)を使用した鏡 六〇〇〇枚ロ 販売価格 一枚各五〇〇円ハ 利益率 三〇パーセントニ 損害額(イ) 原告ジヨン・ヘイグ、同マクドナルド、同ホワイト・ホースの分 各四五万円(ロ) 原告ジヨン・ウオーカーの分 九〇万円(2) 使用許諾料相当額の損害イ 使用許諾料 前記販売価格の五パーセントロ 損害額(イ) 原告ジヨン・ヘイグ、同マクドナルド、同ホワイト・ホースの分 各七万五〇〇〇円(ロ) 原告ジヨン・ウオーカーの分 一五万円2 弁護士費用相当額の損害 原告らは昭和五四年三月頃被告の前記違法行為を知り、まず原告ジヨン・ウオーカーの代理人が被告に対し、同月二九日附内容証明郵便をもつて、直ちに右違法行為を中止するよう申入れたが、被告は、これを無視して右違法行為を継続し、同年七月一〇日附内容証明郵便をもつて、右行為は原告らのいうような違法行為にはならない旨原告に回答するに至つた。
そこで、原告らは、やむなく昭和五四年秋頃から大阪地方裁判所に対し不正競業行為禁止仮処分命令の申請をなし(原告ジヨン・ヘイグの同裁判所昭和五四年(ヨ)第五六四六号、原告ジヨン・ウオーカーの同第四四四六号、原告マクドナルドの同第五六四五号、原告ホワイト・ホースの同第五六四七号各不正競業行為禁止仮処分事件)、その頃、その旨の決定を得た。そして、右仮処分決定の執行後、原告らは、今度こそ話合いによる解決ができるものと信じて、昭和五五年二月一二日附内容証明郵便によりその旨被告に申入れたが、被告はこれを拒否した。そこで、
原告らは、被告の前記違法行為を確定的に差止め、また右各仮処分事件の結着をつけるため、やむなく本件訴訟を提起した。
しかして、右事件は、いずれも不正競争防止法違反の有無に関する専門的な事件であり、法律の専門家である弁護士なしに当事者本人が遂行できる性質のものではない。ことに、原告らは外国法人であり本人訴訟は不可能である。
したがつて、右各事件遂行のために要する費用は、いずれも被告の前記違法行為によつて蒙つた損害にほかならず、その金額は次のとおりであるが、これは右各事件において提出された英文書類の翻訳、英語による原告らと受任弁護士との連絡等に多大の労力と費用を要すること、また受任弁護士が東京に事務所を有する者であるため大阪地方裁判所への出張費用も嵩んでいることからすれば、甚だ控え目なものである。
(1) 原告ジヨン・ヘイグ、同マクドナルド、同ホワイト・ホースの分イ 前記各仮処分事件につき 各七〇万円ロ 本件訴訟事件につき 各一〇〇万円(2) 原告ジヨン・ウオーカーの分イ 前記仮処分事件につき 一〇〇万円ロ 本件訴訟事件につき 一〇〇万円 なお、原告ジヨン・ウオーカーの仮処分事件の費用が他の原告らのそれよりも多くなつているのは、右事件が一番最初になされたものであるからである。
三 結論 よつて、
原告らは被告に対し、(1)不正競争防止法1条1項一、二号により被告製品の販売行為の差止めと、(2)これに附随するものとしてその所有する被告製品と本件各表示を印刷する原版の廃棄、及び(3)前記損害金、原告ジヨン・ヘイグ、同マクドナルド、同ホワイト・ホースにつき金二一五万円、原告ジヨン・ウオーカーにつき金二九〇万円及び右各金員に対する本件訴状が被告へ送達された日の翌日である昭和五五年六月一九日から支払いずみに至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
被告の答弁
一 請求原因一について(一) 同(一)1の事実は認めるが、2の事実及び主張は争う。
(二) 同(二)1、2のうち、被告が本件各イ号表示を使用した被告製品を販売したこと、原告ら主張の各仮処分決定の執行がなされたこと、本件各イ号表示が原告らの主張のとおり本件各権利標章と同一又は類似のものであることは認めるが、
その余の事実は争う。3、4の事実及び主張は争う。
(三) 同(三)の事実及び主張は争う。
(四) 同(四)の主張は争う。
二 請求原因二について(一) (一)の事実は否認する。
(二) (二)1のうち、被告製品の販売数量は争わないが、その余の事実は否認する。販売価格は一枚四七〇円である。2のうち、原告らがその主張の仮処分申請をなしその決定の執行がなされたこと、本件訴訟が提起されたことは認めるが、その余の事実及び主張は争う。
三 請求原因について争う。
被告の主張
一 被告が被告製品を販売することは、なんら原告の商品ないし営業活動との誤認混同を生じさせるものではない。
(一) 不正競争防止法1条1項一、二号にいう混同は、その対象となる商品や営業活動が競業関係にあることを前提としている。競業関係のないところに不正競争や不正競業はありえないからである。そして、競業という以上、その商品や営業の内容に共通性や関連性がなければならない。
(二) ところが、原告らが販売する商品はウイスキーであり、鏡ではない。一方、被告が販売している商品は室内装飾品としての鏡であり、ウイスキーではない。
右原告らのウイスキーと被告製品である鏡は全く異種の商品であり、同一店舗で同一営業主によつて取扱われることはない。
しかも、原告らのウイスキーに附されている本件各権利標章は、まさに商標として自他商品識別機能、出所表示機能を営む態様において使用されているのに対し、
被告製品に用いられている本件各イ号表示は、鏡の前面全体にデザインとして意匠的に使用されているにすぎず、商標として使用されているものではない。それは、
商標の自他商品識別機能や出所表示機能とは関係のない使用態様のものである。
右のような原告らの商品と被告の商品の性質の相違やこれに使用されている本件各権利標章と本件各イ号表示の使用態様の相違に照らすと、両者間に混同を生じる余地のないことは明白である。
(三) また、原告らが行つている営業活動はウイスキーの製造販売であり、原告らが鏡を販売したことはない。一方、被告が行つている営業活動は鏡の製造販売であり、被告がウイスキーを販売したことはない。
しかも、そこで使用されている本件各イ号表示の使用態様が、原告らが使用する本件各権利標章の使用態様と全く異なるものであることは、前記のとおりである。
したがつて、たとえ、本件各権利標章が原告らの営業を示す表示にあたるとしても、被告の営業と原告らの営業の間に競業関係はなく、かつ被告は本件各イ号表示を営業表示として使用していないのであるから、両者の営業活動に混同を生ずるおそれはない。
二 被告には原告ら主張のごとき故意、過失はない。
被告は、本件各権利標章に只乗りし、あるいはこれを稀釈化する意図など全く有していなかつたし、その意思もなかつた。このことは本件各イ号表示の前記使用態様からみて客観的に明らかである。
三 原告らには、その主張のごとき損害賠償請求をなしうる法的根拠はない。
(一) 不正競争防止法は商標法38条のごとき規定を設けていない。したがつて、原告らが被告製品の販売により営業上の損害を蒙つたというのであれば、自から現実に営業上の損害を蒙つたこと及びその数額を主張、立証すべきである。
(二) ところが、原告らはなんら右主張、立証をなさず、商標法38条1項の類推適用を言うものと思われるが、そもそも原告らのウイスキーと被告製品とは全く異種のものであるから、被告製品が販売されたからといつて原告らのウイスキーの売上げが減少して営業上の損害を蒙つたりする筈はなく、被告製品と原告らの商品が実際に混同され、原告らが現実に営業上の損害を蒙つた事実は認められない。そして、現実に損害を蒙つていないものについてまで商標法38条1項を類推適用すべき余地はない。同条項は損害の発生までを推定するものではない。
(三) また、不正競争防止法1条1項一、二号にいう「表示」について、法律上いわゆる実施許諾料を請求しうる根拠はなく、原告らの主張する実施許諾料相当額の損害賠償請求もまた失当である。
(四) 更に、原告らは、弁護士費用を損害として請求しているが、右は被告製品の販売と因果関係のないものであり、その請求は失当である。
原告らの反論
一 被告は、不正競争防止法が適用される前提として、商品ないし営業間に具体的な競業関係が存しなければならない旨主張するが、右は同法の目的とするところを無視するものであり失当である。
不正競争防止法は、単に被告のいうような具体的な競業関係にあるものについての混同行為だけでなく、もともとは競業関係にない商品や営業であつても、他人のものとして著名な表示を用いることによつて、その他人と関係づけられ混同をもたらすおそれのある行為をも禁止しているのであり、このような混同を生ずるおそれがあるかぎり、商品や営業の種類がかなり異なるものであつても適用されるものである。このことは数多くの判例によつて確認されているところであり、原告らもこれと同旨の主張をしているにすぎない。
二 また、被告は、本件各イ号表示が装飾的、意匠的に使用されているから混同を生じないかのように言うが、これも失当である。
本件における不正競争防止法の適用に関しては、被告の主観的意図、目的は問題にならず、使用されている表示が装飾的であるか否かも問題にならない。問題は、
本件各イ号表示を使用した被告製品を見た者が、これを原告らと関係づけて見るかどうかである。被告製品に表示された本件各イ号表示が装飾的なものであるにせよ、客観的にみて、鏡の前面全体に原告らの本件各権利標章をそのまま印刷した被告製品が、見る者に対し原告らの商品ないし営業との関係を想起せしめない筈はない。装飾的、意匠的に使用された右表示が同時に商品の自他識別機能、出所表示機能を果し、営業表示としての機能を果しても少しもおかしくはない。
しかも、被告が本件各イ号表示を装飾的に使用したのは、本件各権利標章が著名であるがゆえに、これと同一の表示を使用した被告製品を見た者がこの点に興味をひかれ注目するであろうと考えたからにほかならない。被告は、原告らのウイスキーのイメージあるいは名声を利用して被告製品を販売したのであり、このように本件各イ号表示が原告らのウイスキーを想起させることを積極的に期待して使用されたものである以上、商品の出所ないし営業主体に関する混同を生ずるおそれがあることも当然に予想されるというべきである。
三 不正競争防止法に商標法38条のような規定のないことは被告主張のとおりである。
しかし、だからといつて、被告のように不正な競争行為により利益を得た者が、
そのまま利益を保持しうるということは許されるべきことではない。
原告らがその主張のごとき損害賠償請求権を有するか否かは、基本的には不正な競争行為により得た利益をその不正競争行為をした侵害者と被侵害者のいずれに帰属させるのが衡平かという観点から決せられるべきことである。従来から、かかる観点に立つて、準事務管理の理論に基づいて侵害者の得た利益を被侵害者に移転せしめようとする見解(鳩山秀夫「日本債権法各論」下巻七七八、七七八頁)や、損失者の損失に重点を置かないで不当利得の理論による解決を示唆する見解(谷口知平「不当利得の研究」二八〇頁)が発表され、あるいは特許法102条、商標法38条等の類推適用を認める裁判例もある(東京地方裁判所昭和四八年三月九日判決判例時報七〇五号七六頁等)。
そして、その理論構成のいずれを採るかは別として、被告が被告製品を販売したことにより得た利益全てを原告らに返還せしめることが、最も衡平かつ妥当なことは間違いなく、このことは、被侵害者において当該侵害行為と同種の営業行為を現に行つていない場合でも変りはない。けだし、前記各理論はいずれも、侵害者に不正競争行為により得た利益をそのまま保持させておくことは正義感情の見地からみても許されるべきでない、との判断に基づくものだからである。
もし、本件のような場合に、被告が得た利益相当額を損害賠償として請求できず、せいぜいいわゆる実施許諾料相当額の損害しか請求しえないものとすれば、侵害者は結果的に実施許諾料相当額さえ払えば良いということになつて、いわば安んじて侵害行為に踏み切ることができることになり、侵害者は不当に利得を保持することになる。これでは、現実の競業関係の存在を不正競争の要件と解していない通説、判例の立場からすれば、損害賠償の領域においてはなんらその目的を貫徹していないこととなり不当である。
このようなことは断じて認められるべきではない。
四 更に、弁護士費用相当額の損害賠償請求も、本件のごとき場合には当然認められるべきである。
本件のごとき不正競争行為がなされた場合、原告らとしてはこのような事態を放置するわけにはいかない。何物にもかえがたい原告らの商品のブランドイメージを守るために被告の行為の中止を求めなければならず、また被告が任意に違法行為を中止しないかぎり、費用過多になるとしても、本件各権利標章の名声、信用を維持するためには訴訟手続によらざるをえない。
しかも、被告は、原告らが事前に話合いによる解決を再三にわたつて申入れたにもかかわらず応じなかつたものであり、このような状況において、被告の出捐はただその違法行為によつて得た利益相当額(それも実際の額よりおそらく少ないであろうし、実施許諾料相当額ということになればさらに少額になる)を支払えばよく、正当な権利の行使をした原告らが、かえつてその権利行使による出費を負担すべきであるというのはいかにも衡平に反する。
原告らが負担した弁護士費用相当額の損害は被告に負担せしめるべきである。
証拠(省略)
理 由
差止請求について
一 原告らの営業とその使用表示の周知性 請求原因一の(一)1の事実(原告らの営業と本件各権利標章使用の事実)については当事者間に争いがなく、いずれも成立につき争いのない甲第一号証の一、同二の二ないし四、同三、第二、第三号証の各一、同各二の一ないし四、同各三、第四号証の一、同二の一、同二の一ないし四、同三、第五号証の一ないし三及び弁論の全趣旨によれば、原告らの本件各権利標章は、いずれも原告らが古くから製造販売しているスコツチ・ウイスキーに附して使用されている標章であり、我が国においても遅くとも昭和五三年頃には、右各権利標章が附されたウイスキーは原告ら特定の英国企業の商品であること、及びその営業主体が原告ら特定の英国企業であることは広く認識され、本件各権利標章は、右当時、既にウイスキーに関する表示として著名なものになつていたと認められ、右事実によれば、本件各権利標章は、いずれも原告ら主張のとおり、不正競争防止法1条1項1号の「本法施行ノ地域内ニ於テ広ク認識セラルル……他人ノ(原告らの)商品タルコトヲ示ス表示」に該当すると同時に、同項二号の「本法施行ノ地域内ニ於テ広ク認識セラルル……他人ノ(前同)営業タルコトヲ示ス表示」にも該当すると解するのが相当である。
二 被告の営業活動と混同惹起(一) しかるところ、被告が本件各イ号表示を使用した鏡すなわち被告製品を販売していたこと、及び本件各イ号表示が原告ら主張のとおりそれぞれ相対応する本件各権利標章と同一ないし類似するものであることについては争いがなく、一部類似のものを含む本件イ号表示(2)は、全体として本件権利標章(2)に同一といつてよい程酷似していると認められ、成立につき争いのない甲第八号証、第一二号証、第一八、第一九号証及び証人【A】の証言によれば、被告は本件各イ号表示を使用した被告製品を原告ら主張の期間中販売していたものと認められる。
(二) そこで、右被告製品の販売行為が原告ら主張のごとく不正競争防止法1条1項一、二号にいう「混同ヲ生ゼシムル行為」に該当するか否かについて考えるに、同項一号の混同を生ずる場合とは、他人の商品と現実に店頭での取違いを生ずる場合のみならず、商品の出所ないし商品主体になんらかの関係があるような誤認を生じさせるおそれがある場合をも含み、同項二号の混同を生ずる場合というのも、営業主体が同一であるとの誤認を生じさせる場合のみならず、営業主体相互の間に取引上、経済上あるいは組織上なんらかの関係があるものとの誤認を生じさせるおそれがある場合をも含むと解するのが相当である。
けだし、不正競争防止法は公正な競業秩序の形成維持を目的とするものであり、同法1条1項一、二号において、第三者が周知表示と同一又は類似のものを用いて他人の商品あるいは営業上の施設又は営業活動と混同を生ぜしめる行為を原則として禁じているのも、右のごとき行為は、一般に営業における自由競争の限界を逸脱して取引秩序をみだすものであり、営業上の誠実な慣習あるいは信義誠実の原則に反するものであると考えたからにほかならないと解せられるところ(大阪高裁昭和四一年四月五日判決高民集一九巻三号二一五頁、パリ条約10条の2(2)参照)、
前記のごとき意味で混同を生じさせる行為も、商品主体ないし営業主体の同一性について混同を生じさせる場合と同様、周知表示のもつ商品表示あるいは営業表示としての識別機能、品質保証機能等を害することには変りがなく、これは右規定が予定する営業上の誠実な慣習あるいは信義誠実の原則に反するものであると解されるからである。
(三) そして、本件各権利標章が前記のとおり我が国において著名な表示であり、一方、本件各イ号表示はこれと同一ないし同一といつてよい程酷似していること、被告がその製造する鏡に本件各イ号表示を使用したのは、その主観的意図はともかく、客観的には本件各権利標章のイメージないし名声を利用したものにほかならないと認められること等を考慮すると、被告製品の販売が前記のごとき意味での混同を生じさせるおそれのあることは明らかであるというべきである(なお、この点については、前掲【A】証人の証言により認められる、原告ら主張のように、かつて原告ジョン・ヘイグが我が国の株式会社レオに本件権利標章(1)を鏡に使用して販売することを許諾した事実があることも参照)。
被告は、原告らの商品ないし営業と被告の商品ないし営業とは全く異種のものであり競業関係にないから、不正競争防止法1条1項一、二号にいう混同を生じない旨主張するが、被告主張のごとき競業関係の存在を右規定適用の要件と解すべき法文上の根拠はなく、前記のごとき意味での混同を認める以上、それが被告主張のごとき競業関係のないところにも生ずることは明らかであるから、右競業関係の存在を右規定適用のための要件とすべき合理的理由はない。右競業関係の存否が前記混同の有無を認定判断するうえで重要な資料となることは明らかであるが、これがないかぎり混同もありえないとする被告の主張には、たやすく賛同できない。
また、被告は、本件各イ号表示の使用態様が装飾的、意匠的なものであることをもつて混同を否定する理由の一つとするが、たとえ右表示が装飾的、意匠的に使用されているとしても、だからといつて直ちに右表示に商品ないし営業の識別標識としての機能がないと即断できないことはいうまでもない。そして、本件各権利標章が原告らの商品ないし営業の表示として広く認識されるに至つていること、及び本件各イ号表示がこれと全く同一ないし同一といつてよい程酷似したものであつて、
それ自体としては右権利標章と同一の機能を果しているものであることは前記のとおりであり、それが被告製品において装飾的、意匠的に使用されていることを否定するものではないけれども、そこに表示された本件各イ号表示が、なお本来マークとして有していた性質、機能を失うに至つていないことは、いずれも被告製品であることにつき争いのない検甲第一、第二号証(第一は本件イ号表示(2)を、第二は本件イ号表示(4)を使用した鏡)自体から明白である(そこでは、本件各イ号表示はその形状を変えられることなくそのまま使用されている)。要するに、本件各イ号表示が被告製品において装飾的、意匠的に使用されているからといつて、そのことのゆえに右表示の商品表示ないし営業表示としての識別機能が失われていると解さねばならない合理的理由はなく、被告の右主張はたやすく採用できない。
(四) よつて、被告製品の販売行為は、不正競争防止法1条1項1号、二号にいう「他人ノ…表示ト同一若ハ類似ノモノヲ使用シ……他人ノ商品ト混同ヲ生ゼシムル行為」及び「他人ノ…表示ト同一又ハ類似ノモノヲ使用シテ他人ノ営業上ノ……活動ト混同ヲ生ゼシムル行為」に該当するというべきである(右二号の「使用シテ」とは営業表示として使用している場合のみならず、商品表示として使用している場合も含むと解すべきである)。
営業上の利益を害されるおそれ 前記一に掲記の甲号各証及び前掲【A】証人の証言によれば、本件各権利標章には、いずれも当該原告が長年にわたつて築きあげた名声と信用が附帯しており、それはそれぞれ固有の品質保障機能、顧客吸引力を有しているものと認められ、これを保持することは、それ自体、原告らの有する営業上の利益であると解される。
しかるところ、被告のように本件各権利標章と同一ないし類似の表示を使用して商品を販売する者が多数あらわれ、その者らが原告らの統制に服さないまま右標章と同一ないし類似の表示を粗悪な商品に勝手気ままに使用した場合、たとえそれが原告らが販売するウイスキーとは全く異種の商品であつたとしても、本件各権利標章のもつ品質保証機能が害され、ひいてはその顧客吸引力が弱められるおそれのあることは明らかである。不正競争防止法1条1項柱書にいう「営業ノ利益」を単に収支計算上ないし会計上の利益にのみかぎると解すべき理由もない。
そうだとすれば、原告らは、いずれもその主張のとおり右柱書にいう「営業上ノ利益ヲ害セラルル虞アル者」に該当するというべきである。
差止請求の当否 以上の事実と文書の様式体裁により真正に成立したものと認められる甲第一五号証と証人【B】の証言によると、本件各イ号表示は原版を使用して鏡に印刷されるものであると認められることに徴すると、原告らの差止請求は理由があるというべきである(なお、廃棄ないし抹消請求も可能なことについては最高裁昭和四二年四月一一日判決民集二一巻三号五九八頁参照)。
ただし、原告らの訴求する請求の趣旨第二項の廃棄請求のうち被告製品に関する部分については、右甲第一五号証や右証人の証言によれば、そこに表示されている本件各イ号表示を抹消することも技術的には可能であると認められるので、抹消の限度にとどめるのが相当である。
損害賠償請求について
一 責任原因 被告の被告製品販売行為が違法行為となることは前記のとおりであり、本件各権利標章が被告において右販売行為を行つていた昭和五三年当時既に我が国において著名な表示になつていたこと(前記第一の一の事実)に照らすと、被告は、原告ら主張のとおり故意もしくは過失によつて右違法行為を行つたものと認めるのが相当である。
二 損害の発生とその額(一) 権利標章不正使用による損害1 原告らの本件各権利標章が不正競争防止法1条1項一、二号の保護を受けるものであり原告らの独占的使用が認められるものであること、及び右各権利標章には原告らが永年にわたつて築きあげてきた名声と信用が附帯していることは前記のとおりであり、これらの事実に照らせば、右各権利標章は、それ自体として一定の財産的価値を有するに至つているものと解すべきである。
したがつて、被告が原告らに無断で右各権利標章と同一ないし同一といつてよい程酷似する本件各イ号表示を使用したことは、原告らの有する右独占的使用権と本件各権利標章の有する財産的価値を侵すものであり、原告らは、そのこと自体によつて一種の財産的損害を蒙つているというべきである。けだし、右各権利標章は、
それぞれ原告らの独占的使用ないし管理支配に委ねられることによつてその財産的価値を生みだし、またこれを維持するものであると考えられるからである。
2 ただ、その損害額については、その財産的価値が無体のものにかかわる関係上その算定は必ずしも容易ではないが、当該権利標章の性質、内容、侵害行為の態様等を参酌して評価、算定すべきであり、算定不能とすべきでない。
しかし、本件の場合、右損害を原告ら主張のごとく被告が被告製品を販売したことによつて得た利益と同額とするのも妥当でない。けだし、原告らの商品ないし営業と被告の商品ないし営業が全く異種のものでありいわゆる競業関係にないことは前記認定事実(第一の一、二参照)から明らかであり、また、弁論の全趣旨によれば、原告らは、かつて一度も自から本件各権利標章を使用した被告製品のごとき鏡を販売したことはないと認められることに徴すると、被告が被告製品を売却して得た利益全部を原告らがうべかりし利益ないし原告らの蒙つた損害と考えることは、
著しく経験則に反する結果となり相当でないからである(なお、この点について、
原告らが援用する学説判例それ自体は相応に合理性のある見解と解されるが、これを直ちに採用すべきかについてはなお検討すべき点も多く、仮に、右判例の見解に従い商標法38条1項推定規定の類推適用を認める立場をとつたにしても、前記のごとき事情は右推定を覆すに足る事情であると解される余地の存することも参照)。
本件のごとき場合には、右損害の額は、原告らがその保有する本件各権利標章の使用を他人に許諾した場合に得るであろう利益又は対価(商標権の使用許諾料に相当する対価)によつて評価、算定されるというのが相当である。
3 そこで、これにより右損害額をみると次のとおりである。ただし、販売数量については争いがなく、販売価格については被告の自認する一枚各四七〇円とする。
前掲甲第一五号証や成立につき争いのない甲第一七号証の二及び前掲【B】証人の証言によれば、被告製品のなかには一枚五〇〇円ないし五一〇円で販売されたものもあると認められるが、全販売数量のうちどの分がいかなる値段で販売されたかは明らかでなく、またその平均価格が五〇〇円を下らないことを証するに足る証拠もない。よつて、被告自認の限度で認定する。また、使用許諾料については、原告ら主張のとおり右販売価格の五パーセントとするのが相当である。
イ 昭和五三年以降の販売数量(イ) 本件イ号表示(1)、(3)、(4)を使用した鏡 各三〇〇〇枚(ロ) 本件イ号表示(2)を使用した鏡 六〇〇〇枚ロ 販売価格 一枚各四七〇円ハ 使用許諾料率 五パーセント4 以上によると原告らの損害は次のとおりである。
(イ) 原告ジヨン・ヘイグ、同マクドナルド、同ホワイト・ホースの分 各七万〇五〇〇円(ロ) 原告ジヨン・ウオーカーの分 一四万一〇〇〇円(二) 弁護士費用相当額の損害 被告製品の販売行為が損害賠償請求の対象となるべき不法行為であることは前記のとおりであり、このような不法行為の被害者が、自己の権利擁護のため仮処分申請ないし訴の提起を余儀なくされ、その遂行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、認容された請求の内容、金額その他諸般の事情を参酌して相当と認められる額の範囲内のものにかぎり、右不法行為と相当因果関係ある損害となると解するのが相当である(最高裁昭和四四年二月二七日判決民集二三巻二号四四一頁参照)。
しかるところ、前掲甲第八号証、第一二号証、第一八、第一九号証、前掲【A】証人の証言により成立を認むべき甲第二九、第三〇号証及び右証人の証言によれば、請求原因二(二)2記載の事実(本訴提起に至るまでの経緯と弁護士費用負担に関する事実)が認められ(ただし、仮処分申請とその決定の執行及び本訴提起の事実については争いがない)、右事実と本件における前記不正競争行為の内容、右仮処分事件及び本件訴訟の審理経過(右仮処分事件の審理がこの種事件としては比較的短期間のうちに終つたことは当裁判所に顕著な事実であり、本件訴訟における主たる争点が不正競争防止法の適用をめぐる法律解釈の点にあり、事実認定の問題に関しては必ずしも複雑多岐にわたる争点が存した訳でないことは訴訟上明らかな事実である)、並びに前記認容すべき請求の内容等諸般の事情を統合考慮すると、
原告らが負担した弁護士費用のうち前記不法行為と相当因果関係にある損害として被告に賠償を求めうる額は、右費用の七割相当額(原告ジヨン・ウオーカーにつき金一四〇万円、その余の原告らにつき各金一一九万円)と認めるのが相当である。
(なお、本訴において認容された標章の不正使用による損害金は多額なものではないが、その原因関係すなわち被告製品の販売行為の違法性についての主張立証に成功するための訴訟活動には相応の時間と手数を要したものと認められるから、前記弁護士費用相当損害金を定めるさいに右認容金額にのみこだわることは相当でない。また、原告らは、本訴において前記損害金請求のほか不正競争行為差止請求も訴求し認容されたわけであるが、右請求の原因は前記不法行為の原因関係とほとんど共通であるから、本件においては右差止請求認容によつて享受する原告らの利益も考慮されてしかるべきである。換言すると、本件においては差止請求訴訟もまた実質上不法行為訴訟と同視しー民訴法15条1項をめぐる解釈参照ー前記金額判断にさいし重要な資料とすべきである)。
結論
以上のとおりとすると、原告らの本訴請求中、(1)被告製品の販売差止請求部分、(2)被告製品の本件各イ号表示の抹消と右表示の印刷原版の廃棄請求部分、
(3)原告ジヨン・ウオーカーに対し金一五四万一〇〇〇円、その余の原告らに対し各金一二六万〇五〇〇円の損害金及び右各金員に対する本件訴状が被告に送達された日の翌日であることが記録上明らかな昭和五五年六月一九日から支払いずみに至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める部分は理由があるが、その余の請求部分は理由がない。
よつて、原告らの本訴請求を右の限度で認容し、その余を棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法89条92条93条を、仮執行の宣言につき同法196条を、各適用して、主文のとおり判決する。
追加
権利目録(1)<12275-001>権利目録(2)<12275-002><12275-003>権利目録(3)<12275-004>権利目録(4)<12275-005>イ号目録(1)別紙権利目録(1)に同じ。
イ号目録(3)別紙権利目録(3)に同じ。
イ号目録(4)別紙権利目録(4)に同じ。
イ号目録(2)<12275-006><12275-007><12275-008>
裁判官 金田育三
裁判官 上野茂
裁判官 若林諒
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