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事件 昭和 51年 (ワ) 950号
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裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 1978/05/31
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 原告1 被告は別紙第二目録記載のハンドバツグを販売してはならない。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決二 被告主文同旨の判決
当事者の主張
一 原告の請求の原因1 原告は、高級婦人服、ハンドバツグ、靴、宝飾品等の意匠開発、製造及び販売を業とする会社である。
2 原告の販売するハンドバツグ(検甲第一号証。以下、「原告製品」という。)は、別紙第一目録記載のとおりであるところ、その形態上の特徴は次のとおりである。
(一) ハンドバツグ全体は特別厚いふとん仕立て(いわゆるキルテイング仕立て)にして極めて豊かな手ざわりとし、外部全体はミシンで菱形模様の刺し子(いわゆるステツチ)を施している。
(二) ハンドバツグの上部には左右の肩の部分に各一対の金メツキをした金属縁の眼(透孔)があけてあり、これに金メツキをした美麗な鎖を通している。
(三) この鎖は眼を自由に通過移動しうるようになつているので、二筋合わせて通常のハンドバツグと同様の把手としても使用できるし、これを一筋にのばしてシヨルダーバツグとしても使用できる。
(四) また、この鎖は、前記目録中の図面に示すとおり特殊の形状をしているため、シヨルダーバツグとして肩にかけた際ずり落ちない作用を有するとともに、これに施した金メツキと相まつて極めて美観的効果を大ならしめている。
(五) ハンドバツグのポケツトの特徴としては、背中の部分に大きないわゆるアウトポケツトをステツチしてあり、外蓋の裏側にはチヤツクで閉開しうる大きなポケツトがあり、また外蓋と中蓋との中間は大きなポケツトとなつており、バツグとしての大きな機能を発揮している。
(六) ハンドバツグの蓋は、外蓋と中蓋との二重になつており、中蓋を開いた内側の濃い赤色地には<12072―001>の標章が中蓋の内側一杯に大きくステツチしてある。
(七) ハンドバツグの外蓋の縁には特に部厚い舌片を付し、これに止めネジを受ける金具の穴をあけている。
(八) 右金具には<12072―001>の標章を付している。
3 原告製品は、右のような形態上の特徴を有する結果、これに接する者をして直ちに原告の商品であることを認識させるものであつて、その形態自体が不正競争防止法第1条第1項第1号にいう「他人ノ商品タルコトヲ示ス表示」となつているものである。
ところで、原告は、日本に対する原告製品の販売方法として、特に販売代理店等を置くことなく、専らフランス国パリ市<以下略>所在のシヤネル高級服飾店(フランス国法人)を通じての店頭販売及び郵便による注文販売の方式を採つている。
原告製品はもとより最高級の部類に属するものであるが、右販売店における一個当たりの販売価格は、革製のもので八〇〇フランないし八五〇フラン(邦貨換算約五万五〇〇〇円ないし五万八〇〇〇円)、布製のもので約七〇〇フラン(同約四万七〇〇〇円)である。このように、原告製品は入手方法の限定された、しかも最高級の商品であるにもかかわらず、その日本人向けの販売数量は、前記販売店に残つている資料(甲第一号証)から明らかなものだけでも、昭和四七年から昭和五〇年までの間において合計七二四個に上つており、その購入者の居住地域は東京及び大阪を中心に日本各地に及んでいる。
原告製品は、前述のような形態上の特徴と販売実績とが相まつて、遅くとも本訴提起の時点までには、その形態自体が原告の商品たることを示す表示として、わが国内において需要者、殊に高級品愛好者間に広く認識されるに至つていたものである。
4 被告は、東京都港区<以下略>に「十仁プラザ」と称する店舗を開設し、高級婦人衣裳、ハンドバツグ、靴、宝飾品等を陳列販売しているものである。
5 被告が昭和四九年頃から販売するハンドバツグ(検甲第二号証の一。以下、
「被告製品」という。)は、別紙第二目録記載のとおりであるところ、その形態上の特徴は、被告製品の外蓋の舌片の金具に<12072―001>の標章が付されていないとの点を除き、原告製品の前記形態上の特徴と同一である。
6 原告製品と被告製品とは、右に述べたとおり、外蓋の舌片の金具に<12072―001>の標章が付されているか否かの点を除き、その形態上の特徴は全く同一であり、全体としても同一もしくは類似のものであつて、ことに中蓋の裏側に原告の標章として著名な<12072―001>の標節(原告の名称の頭文字Cを背中合わせに交叉させたもの)が大きくステツチしてある点においても共通であり、
しかも商品として完全な競合関係にあるため、被告製品に接する顧客がこれを原告製品と混同する事態を生じており、原告はこれによつて現に営業上の利益を害され、また今後とも害されるおそれがあるものである。
なお事情として付言すれば、被告による被告製品の販売の態様は以下に述べるとおりであつて、不正競争の意思を窺わせるに十分である。
(一) 被告の店員は顧客に対し、「シヤネルのハンドバツグは東京では本来一一万円位もするのであるが、当店のものはシヤネル社と提携してその承認のもとに製造されたものなので、四万六五〇〇円という値段で売つている。」と説明している。
(二) 原告の入手した被告製品(検甲第二号証の一)には、フランス語で「chanel rabat agneau marine」(シヤネル、蓋、小羊、濃紺色)と書かれた小紙片が付され、かつ「メイド・イン・フランス」というゴム印を押した小布片(同号証の二)が貼付されている。
(三) 陳列ケースの前には「シヤネルコーナー」と記載された札が置かれている。
7 よつて、原告は被告に対し、不正競争防止法第1条第1項第1号の規定に基づき、被告製品の販売の差止めを求める。
二 請求の原因に対する被告の認否及び主張1 請求の原因1及び2の事実は不知。同3の事実のうち、原告製品の販売方法、
販売価格及び販売数量に関する部分は不知、その余は否認する。同4の事実は認める。同5の事実のうち、被告が昭和四九年頃被告製品(検甲第二号証の一)を数個販売したことは認めるが、被告が現在もこれを販売していること、その形態が別紙第二目録記載のとおりであること及びその余は否認する。なお、被告が現在販売しているハンドバツグは、後述のような「Jujin」との表示が付されている点を除き、検甲第一号証のハンドバツグと全く同一の形態のもの(但し、原告製品ではない。)である。同6の事実は否認する。
2 原告が原告製品につき不正競争防止法による保護を受けえないことは以下、に述べるところから明らかである。
(一) 原告製品の形態について 原告は、原告製品の形態自体がいわゆる商品表示に該当し、これが需要者間に広く認識されていると主張する。
しかしながら、商品の形態が専らその技術的機能に由来する場合には不正競争防止法による保護を受けえないものと解すべきところ、フアツシヨン産業においては商品の型ないし型態が実は技術的機能そのものというべきものであるから、原告製品の形態につき右法律による保護を求めることはそもそも許されない。また、原告製品は他の製造業者が創案し製造したものを原告において販売しているにすぎないから、原告製品の形態は原告の商品表示とはいえない。さらに、原告製品は日本国内で販売されていないうえ、これと形態の類似した商品(例えば検乙第一号証、第四、第五号証)が従前から東京都内のデパート等で広く販売されていたから、原告製品の形態は商品識別機能を持ちえなかつたし、これが需要者間に周知となる余地もなかつた。ちなみに、「シヤネル・バツグ」という名称はキルテイング仕様で鎖の把手のついたハンドバツグを指す普通名称にすぎず、原告製品のみを指称するものではない。
また、原告は、原告製品の形態のうち、とくに<12072―001>その標章が原告の標章として著名であると主張する。
しかしながら、右の標章は、グツチ社及びカルテイエ社においても使用しており、またその他の業者の販売するベルト、ブローチ、財布、セーター等のデザインとしても従前から広く使用されているばかりか、原告自身の広告物に登載されていない例(乙第一九、二〇号証の各一、二)も見受けられるのであつて、原告の標章として著名であるとは到底いい難い。
(二) 商品の混同について 原告製品と被告製品とは外側の中心部分につけられた金具の形状が著しく異なるうえ、被告製品には中蓋の<12072―001>型の縫い取りの下に、被告の店舗の名称「十仁プラザ」を示す「Jujin」との表示が付されているから、顧客が両者を混同するおそれは全くない。
(三) 商品の競合関係の有無等について 原告は、その主張によれば、原告製品を専らパリ市所在の販売店においてのみ販売しているというのであつて、日本においては販売店舗あるいは販売代理店を持たず、原告製品の販売は行つていない。これに対し、被告は原告が主張する前記地番所在十仁病院ビル一階の店舗において被告製品を販売していたにすぎない。したがつて、原告製品と被告製品との間には商品としての競合関係はなく、原告が被告の右販売行為によつて営業上の利益を害されるということもない。
三 被告の主張に対する原告の反論1 (被告の主張2(一)について)原告製品の形態はハンドバツグとしての技術的機能に由来する必然的な結果とはいえないから、これと異なる被告の主張は失当である。原告製品が他の業者にとつて創案製造されたとの被告の主張は争う。また、原告製品の形態が商品の識別力を有しかつ周知性を取得していることは既述のとおりであり、被告主張の類似品なるものはいずれも原告製品の名声に便乗した不正模造品にすぎず、これらが出まわることによつて右の識別力周知性が失なわれたということもない。「シヤネル・バツグ」の名称は前述のような形態を備えた原告製品を指すものであつて、単なる普通名称ではない。
次に、グツチ社の使用する標章はその名称の頭文字Gを背中合わせに組み合わせたものであるし、カルテイエ社の使用する標章はなるほどCの文字を背中合わせに組み合わせたものではあるが、その使用については原告との間に協定が成立しており、しかも右カルテイエ社の標章は、Cの文字に特殊の裁飾が施され、かつCの文字を長くして中央の交叉部分の間隙を大きく取つた形状のものであつて、両者とも極めて簡明な構成からなる原告の<12072―001>の標章とは大いに異なる。また、その他の業者がその販売するベルト・ブローチ、財布、セーター等に<12072―001>の図柄を使用しているのは、原告の著名標章を冒用し、原告の名声に便乗しようとしたものにほかならない。したがつて、右の事情はいずれも<12072―001>の標章が原告の標章として著名であることを否定する根拠とはなりえない。
2 (同2(二)について)原告製品の形態が周知著名である以上、これと同一もしくは類似の形態の被告製品に被告主張のような表示が付されているとしても、顧客は高々被告製品が原告の許諾のもとに製造されたと誤解するにとどまるであろうから、なお出所の混同は避け難いし、現に右の混同を生じているのである。
3 (同2(三)について)原告が日本各地の居住者に多数の原告製品を販売してきた実績を有することは前述のとおりであるから、原告が日本国内に販売店舗等を有しないからといつて、原告製品と被告製品との間に競合関係がないとはいえない。
証拠関係(省略)
理 由一 成立に争いのない甲第一号証、証人【A】の証言により原告製品であることが認められる検甲第一号証及び同証言によれば、原告は香料類の製造、販売を主たる業務とし、その他高級婦人服、ハンドバツグ、靴、宝飾品等の意匠開発、製造、販売をも行うスイス国籍の株式会社であること、原告製品は別紙第一目録記載のとおりであつて、原告主張のような形態上の特徴を有することが認められる。
また、被告が東京都港区<以下略>に「十仁プラザ」と称する店舗を有し、高級婦人服、ハンドバツグ、靴、宝飾品等の販売を行つていること、被告が昭和四九年頃被告製品(検甲第二号証の一)を販売したことは、当事者間に争いがなく、被告製品であることにつき当事者間に争いのない検甲第二号証の一によれば、被告製品は別紙第二目録記載のとおりであつて、その外蓋の舌片の金具に<12072―001>の標章ないし図柄が付されていないとの点を除き、原告製品と殆んど同一の形態を有することが認められる。
二 ところで、商品の形態は、本来その商品が果たすべき実質的機能をよりよく発揮させ、あるいは美感的効果を高めるという見地から選択されるものであつて、その商品の出所を表示することを目的とするものではないけれども、その形態自体が二次的に出所表示の機能を有するに至つた場合には、これをもつて、不正競争防止法第1条第1項第1号にいう「他人ノ商品タルコトヲ示ス表示」とみて妨げないものと解すべきである。
そこで、原告製品の前記形態上の特徴が原告の商品であることを示す表示に該当するか否か、さらには、それがかかる表示として本訴提起時又は本件口頭弁論終結時において原告主張のように需要者間に広く認識されていたか否かにつき判断する。
(一)前掲甲第一号証、成立に争いのない甲第三、第四号証の各一、二、乙第一九、第二〇号証の各一、二、第二六号証の一ないし四、証人【A】の証言(ただし、後記措信しない部分を除く。)及び被告本人の供述を総合すれば、原告は、フランスの女性服飾デザイナー、【B】の創立にかかる会社であつて、厳選された高級品のみの製品、販売を手がけているところ、ことにその香水「シヤネル五番」は有名であり、またその服飾品も「シヤネル・ルツク」あるいは「シヤネル・スタイル」等の造語を生み出しているほどであつて、原告の名称はいわゆる「パリ・モード」の旗手として世界的に周知、著名となつていること、しかしながら、香水を除くその他の原告の商品は、専ら原告主張のパリ市内所在「シヤネル」店においてのみ販売されており、これを入手するには直接同店に赴くか、又は同店を通じての通信販売の方法によるほかはなく、原告製品もその例外ではないこと、したがつて日本人で原告製品を購入した者は東京及び阪神地区を中心に日本各地に及んではいるものの、その数量は昭和四七年六月から昭和五〇年一二月までの三か年半で合計七〇〇個余にすぎず極めて少量であり、この数量のうちには、一般消費者の購入分のほか、業者が営業用の商品として購入した数量も含まれ、この業者の関係では被告自身が昭和四七年及び昭和四八年に合計二一個を購入して、前記「十仁プラザ」において販売したことがあるほかは、三越及び高島屋等のデパートで散発的に販売された例があるにとどまり、また末端における販売価格は一個当たり金一二万円程度でかなり高額であること、なお、「シヤネル・バツク」という名称は、もともと原告の前記創立者の名前に由来し、原告製品のみを指称するものであつたが、現在ではより一般的にキルテイング仕様で鎖の把手のついたハンドハッグを指すものとして使用される場合が多いことが認められ、(二)他方、成立に争いのない乙第二二号証、被告本人の供述により真正に成立したものと認められる乙第九号証及び第二一号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第四一号証及び第四五号証、被告主張のような写真であることにつき争いのない乙第三九、第四〇号証、弁論の全趣旨により被告主張のような写真であることが認められる乙第三四ないし第三八号証、前掲検甲第二号証の一、被告主張のようなものであることにつき争いのない検乙第五号証、被告本人の供述により被告主張のようなものであることが認められる検乙第一号証及び第四号証、弁論の全趣旨により被告主張のようなものであることが認められる検乙第一六号証及び第一七号証の一ないし三、証人【A】の証言(ただし、後記措信しない部分を除く。)及び被告本人の供述並びに本件口頭弁論の全趣旨を総合すれば、原告製品と類似の形態を有するハンドバツグが、遅くとも昭和四九年頃から、被告の前記店舗のほか、伊勢丹、名鉄百貨店、和光、西武ピサ、新宿丸井デパート等において広く陳列販売されており、しかもこれらの類似品のうちには一般の需要者において原告製品とにわかに判別し難いほど酷似しているものもあること、これら類似品にしてもこれを見る一般需要者は、そのハンドバツグが原告の製造、販売にかかるものとはほとんど理解していないことが認められ、証人【A】の証言中以上の認定に反する部分は措信し難く、他に右認定を覆えすに足る証拠はない。
そして、前記前段の認定事実によれば、原告の名称が、ことにその販売にかかる香水の名称と相まつて我国においても周知、著名であることは認められるし、またその入手方法の制約にもかかわらず、我国の高級品愛好者に原告製品が浸透していることも窺知するに難くはないけれども、原告製品の普及の態様及び程度すなわち、さきに認定したような、日本人が原告製品を入手する方法、日本人が前記三か年半で入手した数量や末端販売価格がかなり高額であること、業者による販売例も散発的であることのほか、後記認定のような<12072―001>の標章ないし図柄がわが国において見られる使用の状況等を総合して考察するときは原告製品の前記形態上の特徴が(仮にこれをいわゆる商品表示とみるとしても)、本訴提起時又は本件口頭弁論終結時において、原告の商品であることを示す表示として、原告主張のように我国の需要者間に広く認識されていたと認めるには到底十分でなく(なお、原告製品に付された<12072―001>の標章が原告の商品であることを示す表示として需要者間に周知であつたとはいえないことは、後に説示するとおりである。)、前掲証人【A】の証言中、原告製品の形態が周知であつて、前掲検甲第二号証の一、検乙第一号証、第五号証等の類似品に接する顧客の半数はこれを原告の商品と誤認して購入すると思うとの趣旨の部分は、にわかに措信できないし、ほかに原告製品の前記形態が周知であることを認めるに足りる証拠はない。のみならず、前記後段の認定事実によれば、原告製品の前記形態上の特徴は、被告製品の販売の点を除外して考えてみても、その他の類似品が広く我国の市場に出まわることによつて、ますますその独自性を減殺されるに至つているものといわざるをえない。
次に、原告は、原告製品に付された<12072―001>の標章が原告の商品であることを示す表示として需要者間に周知であつたと主張するので、この点につき判断する。
前記(一)の認定事実と、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第七号証の一ないし三、第八号証の一、二、前掲検甲第一号証、証人【A】の証言により原告主張のようなものであることが認められる検甲第三号証の一、二、弁論の全趣旨により原告主張のようなものであることが認められる検甲第四号証の一、二及び証人【A】の証言を総合すれば、原告はフランス国において「<12072―001>」及び「<12072―002>」の各標章につき商標登録を有し、かつこれらの標章を原告製品や香水等の商品に付して販売していること、右商品のうち、原告製品の我国における普及状態は前に認定したとおりであるが、香水は正規の販売代理店を介して我国に輸入、販売されているため、原告製品をかなり上廻る普及を見せていることが認められる。しかしながら、一方、成立に争いのない乙第一〇号証の一、二、第一八号証の一、二、被告本人の供述により真正に成立したものと認められる乙第一一号証の一、二、第一二、第一三号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第二九ないし第三三号証、被告本人の供述により被告主張のような写真であることが認められる乙第一四ないし第一六号証、前掲検乙第一号証、第四、第五号証、第一六号証、第一七号証の一、被告本人の供述により被告主張のようなものであることが認められる検乙第二号証、弁論の全趣旨により被告主張のようなものであることが認められる検乙第七ないし第一三号証、証人【A】の証言及び被告本人の供述を総合すれば、イタリーのグツチ社及びフランスのカルテイエ社においてもその販売する商品に原告の前記標章と同様の標章を使用しており、これらの商品は我国にも輸入、販売されていること、もつとも、グツチ社の標章は「<12072―001>」の形状であり(前掲乙第一〇号証の二参照)、カルテイエ社の標章は原告のそれより若干縦長で、しかも装飾が施されている(前掲乙第一一号証の二参照)が、いずれも原告の標章と類似の構成を有すること、また、<12072―001>型の模様は前述の原告製品と類似の形態を有するハンドバツグに付されているほか、我国で販売されるセーター、ネクタイ、ペンダント、財布あるいはベルト止め金の図柄ないしデザインとして極めて一般的に使用されていることが認められる。
以上の認定事実を合わせ考えれば、<12072―001>の標章ないし図柄は、少なくとも我国においては原告の商品に独自のものではなく、本訴提起時又は本件口頭弁論終結時において原告の商品であることを示す表示として原告主張のように需要者間に周知となる余地はなかつたというべきである。
三 以上の次第であつて、原告製品の形態自体がいわゆる商品表示として需要者間に周知であることを前提とする原告の本訴請求は、その余の点につき判断するまでもなく理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第89条の規定を適用して主文のとおり判決する。
追加
(別紙)第一目録(1)ハンドバツク全体は特別厚いふとん仕立て(いわゆる「キルテイ」仕立)にして、極めて豊かな手ざわりとし、また外部全体はミシンで菱形模様の刺し子(いわゆる「ステツチ」)を施してある。
(2)ハンドバツクの上部には左右の肩の部分に各々一対の金メツキした金属縁の眼があけてあり、これに金メツキした美麗なる鎖が通してある。
(3)この鎖はハンドバツクの肩の部分にある眼を自由に通過移動しうるようになつており、二筋合せて通常のハンドバツクと同様の把手としても使用できるし、
また、これを一筋にのばして肩にかけ、シヨルダーバツクとしても使用できる。
(4)この鎖の各環は、この図のような特殊の意匠と形をしており、これに施したる金メツキと相俟つて、極めて美観的効果を大ならしめている。また、この形は、シヨルダーバツクとして肩に掛ける際、すべりにくい作用をしている。
(5)ハンドバツクの枢要実用部分たるポケツトの特徴としては、(@)バツグの背中部分に大きな、いわゆるアウトポケツトがステツチしてあり、(D―@)、
また(A)外蓋の裏側にチヤツクで開閉しうる大きなポケツトがあり(D―A)、
さらに(B)外蓋と中蓋との中間が大きなポケツトとなつている(D―B)。また(C)中蓋をあけると、バツグ本来の物入れ場所として大きなポケツトのほか数個のポケツトがあり(D―C)、さらに(D)その前側には小豆色の裏皮のついた大きなポケツトがある。
(6)ハンドバツクの蓋は、外蓋(E―@)と中蓋(E―A)との二重になつている。
(7)中蓋を開いた内側には濃い赤色地<12072―001>の標章が、中蓋の内側一杯に大きくミシンでステツチしてある。
(8)外蓋の縁に特に部厚い皮の舌片を附し、これに止めネジを受ける金具がつけてある。
(9)右金具には、<12072―001>の標章がつけてある。
<12072―003>(別紙)第二目録(1)ハンドバツク全体は特別厚いふとん仕立て(いわゆる「キルテイ」仕立)にして、極めて豊かな手ざわりとし、また外部全体はミシンで菱形模様の刺し子(いわゆる「ステツチ」)を施してある。
(2)ハンドバツクの上部には左右の肩の部分に各々一対の金メツキした金属縁の眼があけてあり、これに金メツキした美麗なる鎖が通してある。
(3)この鎖はハンドバツクの肩の部分にある眼を自由に通過移動しうるようになつており、二筋合せて通常のハンドバツグと同様の把手としても使用できるし、
また、これを一筋にのばして肩にかけ、シヨルダーバツクとして使用できる。
(4)この鎖の各環は、この図のような特殊の意匠と形をしており、これに施したる金メツキと相俟つて、極めて美観的効果を大ならしめている。また、この形はシヨルダーバツグとして肩に掛ける際、すべりにくい作用をしている。
(5)ハンドバツグの枢要実用部分たるポケツトの特徴としては、(@)バツグの背中部に大きないわゆるアウトポケツトがステツチしてあり、(D―@)、また(A)外蓋の裏側にチヤツクで開閉しうる大きなポケツトがあり(D―A)、さらに(B)外蓋と中蓋との中間が大きなポケツトとなつている(D―B)。また(C)中蓋をあけると、バツグ本来の物入れ場所として大きなポケツトのほか数個のポケツトがあり(D―C)、さらに(D)その前側には小豆色の裏皮のついた大きなポケツトがある。
(6)ハンドバツグの蓋は、外蓋(E―@)と中蓋(E―@)との二重になつている。
(7)中蓋を開いた内側には赤色地に<12072―001>の標章が、中蓋の内側一杯に大きくミシンでステツチしてある。
(8)外蓋の縁に特に部厚い皮の舌片を附し、これに止めネジを受ける金具がつけてある。
(9)右金具には、なんら標章をつけていない。
<12072―004>
裁判官 秋吉稔弘
裁判官 佐久間重吉
裁判官 安倉孝弘
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