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関連ワード 広く認識 /  他人の営業 /  類似性(類似) /  外観 /  混同のおそれ(混同) /  不正の目的(不正競争の目的) /  差止請求(差止) /  営業上の利益 /  利益額(利益の額) /  代表者 /  混同のおそれ(混同) /  損害額 /  推定 / 
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事件 昭和 45年 (ワ) 1000号
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裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 1972/11/27
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告らは、赤色の看板、たれ幕、提燈に、白色、黄色もしくは黒色で、縦又は横に、別紙目録(一)、(二)、(三)記載の文字及び図形を表示した標章を使用してはならない。
二 被告らは、原告に対し、赤色の生地に白色、黄色もしくは黒色で、縦又は横に、別紙目録(一)、(二)、(三)記載の文字及び図形を表示した看板(袖看板、置看板、電気看板、布製看板、木製看板)たれ幕、提燈を撤去せよ。
三 原告のその余の請求を棄却する。
四 訴訟費用は、これを五分し、その四を被告らの負担、その余を原告の負担とする。
五 この判決の第一項及び第二項は、仮に執行することができる。
事実及び理由
当事者の申立
原告「一 被告らは、赤色の看板、たれ幕、提燈に、白色、黄色、もしくは黒色で、縦又は横に、別紙目録(一)、(二)、(三)記載の文字及び図形を表示した標章を使用してはならない。
二 被告らは、原告に対し、赤色の生地に白色、黄色もしくは黒色で、縦又は横に、別紙目録(一)、(二)、(三)記載の文字及び図形を表示した看板(袖看板、置看板、電気看板、布製看板、木製看板)、たれ幕、提燈等を撤去せよ。
三 被告Aは、同被告が昭和四四年一〇月七日東京法務局杉並出張所においてした「どさん子」の商号登記の抹消登記手続をせよ。
四 被告らは、原告に対し、各自金六、八〇〇、〇〇〇円及び昭和四六年一一月一日以降被告らが右第二項記載の看板、たれ幕、提燈等を撤去するに至るまで、一か月金四五〇、〇〇〇円の割合による金員を支払え。
五 訴訟費用は、被告らの負担とする。」との判決、ならびに第二項、第四項に対する仮執行の宣言を求める。
被告ら「一 原告の請求を棄却する。
二 訴訟費用は、原告の負担とする。」との判決を求める。
請求の原因
一 原告は、昭和四〇年春頃からラーメンの製造及び販売を始めたが、昭和四一年には独特な配合添加物と、適温適湿下におけるち密な醸成と練りによる製麺法で、
従来のラーメンにない独特な風味のラーメン(いわゆるサツポロラーメン)の製造に成功するとともに、それを加工料理として来客の飲食に供するため店舗を開設し、その際、赤色の看板、たれ幕、提燈に白色又は黒色もしくは白色と黄色の組合せで、縦又は横に別紙目録(一)、(二)記載の文字及び図形を表示した標章を考案使用し、原告のラーメンの販売であることを一般に表示した。
このようにして原告は、昭和四二年四月頃までに東京都内に前記のような標章を表示した看板、提燈を掲げた店舗を六店舗に増設し、ラーメンの販売を続けた。
二 その後、原告は、その製造するサツポロラーメンを自己と同一の調理方法によつて調理し、一般の客が、いつ、どこでも同一の風味をもつたラーメンを飲食できるというようにする原告の目的を実現するため、昭和四二年六月から逐次特定の第三者と次のような契約(以下「チエーン加盟契約」という。)を締結した。
すなわち、第三者は、原告に対し、一定のチエーン加盟契約金を支払い、原告は、右第三者に対し、看板、たれ幕、提燈に別紙目録(一)、(二)記載の標章を使用することを認めるが、その色は前記のものに統一すること、店内の内装はすべて原告の指導によつて原告の店舗と同一にすること、また、店舗の立地条件やラーメンの調理技術方法はすべて原告が指導するとともに、その原材料となるラーメンはすべて原告が供給すること、原告はさらに右第三者の営業に必要な一切の相談、
指導に当ることなどである。
したがつて、原告とチエーン加盟契約を締結した第三者の店舗は、店舗先に別紙目録(一)、(二)記載の標章を前記のような色を用いて表示した看板、提燈(これらは原告じしんのそれと同一でかつ劃一的なものである。)が掲げられ、店内は原告製造のラーメンが調理されて飲食に供され、しかもその風味が統一されているので、結局、別紙目録(一)、(二)記載の標章を前記のような色を用いて表示した看板等を掲げている店舗は、原告のラーメンを調理販売している店舗であるということになる。
三 原告は、昭和四二年六月から東京都内の第三者と順次右チエーン加盟契約を締結し、昭和四四年九月までには、合計一六二名の者との間に右契約を締結するに至つた。しかも、原告の直売店及び右チエーン加盟店が売り上げる数量は一日五万食から六万食分に相当するので、同年九月現在、原告が前記のような標章を使用してラーメンを製造販売していることは東京都内におけるラーメン取引業者はもちろん、一般需要家の間においても広く認識せられるところとなつた。
四 被告Aは、昭和四四年一〇月初旬、原告のチエーン加盟店(阿佐ケ谷店)での売れゆきがよいのに気付き、原告に対し、チエーン加盟契約の申込みをしたが、同被告の開店予定店舗(東京都杉並区<以下略>)が原告の右阿佐ケ谷店から六〇〇メートル以内にあつたため原告のチエーン加盟基準に合致しなかつたので、原告が右申込みを拒絶したところ、同被告は、同月七日、東京法務局杉並出張所に、営業の種類を麺類の販売、営業所を東京都杉並区<以下略>、商号を「どさん子」とする商号の登記手続を了し、さらに被告栄光商事株式会社と共同して、その頃、右場所にラーメン販売の店舗を開設し、取引業者もしくは一般需要家が原告のラーメンの販売と混同を生じるであろうことを知りながら、または少くとも不注意によりこれを知らないで、赤色の看板、たれ幕、提燈に白色、黄色もしくは黒色で縦又は横に別紙目録(一)および(二)記載の文字および図形を表示した標章を、さらに昭和四六年六月初め頃からは、前同様の色で表示した別紙目録(三)記載の標章をも併せて、使用し、同店舗においてラーメンの販売を続けている。
被告らの標章は、「札幌ラーメンどさん子」という文字(図形と組合せた)はもちろん、それらを表わす色彩も原告のそれと同一であつて、まさに原告の標章と同一であり、一般需要家及び取引業者をして原告の標章と混同を生ぜしめるものである。
五 被告らの右行為は、いずれも不正競争防止法第1条第1項第2号に該当し、原告はこれによつて営業上の利益を害せられるおそれがあるから、原告は、被告らに対し、赤色の看板、たれ幕、提燈に白色、黄色もしくは黒色で縦又は横に別紙目録(一)、(二)、(三)記載の文字及び図形を表示した標章の使用の差止を求め、
右標章を表示した看板(袖看板、置看板、電気看板、布製看板、木製看板)、たれ幕、提燈等を撤去すべきことを請求し、さらに、被告Aに対し、「どさん子」の商号の登録の抹消登記手続をなすべきことを求める。
被告Aが「どさん子」なる商号の登記を有することは、被告らが別紙目録(一)ないし(三)記載の標章を使用しうる正当な根拠とならない。もしそうでなければ、不正競争防止法施行の地域内において広く認識せられる他人の営業たることを示す表示を保護し、もつて取引秩序を維持し、健全な経済発展を企図した同法の趣旨は実効のないものとなるからである。
また、原告の広く認識せられた標章は右に述べたとおりであるが、そのうち主要な部分は「札幌ラーメンどさん子」という文字と図形の組合されたもののうち「どさん子」の部分である。「札幌ラーメン」は、商品名にすぎず、しかも一般に広く知られている商品名であるから、右標章の要部ではない。
右の点からみて、被告Aが「どさん子」を商号登記していたとしても、同被告が「どさん子」を表示してラーメンの調理販売をすることは、やはり一般需要家や取引業者をして原告の標章との混同を生ぜしめ、原告に損害を与えるおそれがあるので許されない(不正競争防止法第1条第1項第2号)。同被告の「どさん子」なる標章の使用が許されない以上、「どさん子」を商号登記しておくことも許されないので、同被告は、右登記を抹消しなければならない。
六 被告らは、前記標章を使用して、昭和四四年一〇月初めからラーメンの調理販売を行い、それ以降次のとおりの利益をあげている。すなわち、 昭和四四年一一月一日から昭和四五年一〇月三一日までに毎月金一、一〇〇、〇〇〇円相当のラーメンを売り上げ、右期間の売上合計額が金一三、二〇〇、〇〇〇円となり、その二五パーセントに当る金三、三〇〇、〇〇〇円が右期間の利益であり、昭和四五年一一月一日から昭和四六年一月三一日までに、毎月金一、五〇〇、〇〇〇円相当のラーメンを売り上げ、右期間の売上合計額が金四、五〇〇、〇〇〇円となり、その二五パーセントに当る金一、一二五、〇〇〇円が右期間の利益であり、昭和四六年二月一日から同年一〇月三一日までに毎月金二、七〇〇、〇〇〇円相当のラーメンを売り上げ、右期間の売上合計金二四、三〇〇、〇〇〇円となり、その二五パーセントに当る六、〇七五、〇〇〇円が右期間の利益である。
したがつて、昭和四四年一〇月一日から昭和四六年一〇月三一日までに被告らが得た利益の合計額は、金一〇、五〇〇、〇〇〇円となる。
しかして、被告らが右金額の利益をあげ得たのは、ひとえに原告の本件標章と同一もしくは類似の標章を使用した結果であり、その利益の額は、原告が被告らの右標章の使用によつて受けた損害の額であると推定することもできるが(商標法第38条第1項参照)、被告らが原告の本件標章と同一または類似の標章を使用しなくても右利益額の三分の一に相当する利益をあげ得たと考えられるから、右利益額金一〇、五〇〇、〇〇〇円から約三分の一に当る金額を控除した残額六、八〇〇、〇〇〇円が原告の蒙つた損害というべきである。
被告らは、昭和四六年一一月一日以降も一か月金二、七〇〇、〇〇〇円相当の売上げをなし、その二五パーセントに相当する六七五、〇〇〇円の利益を得るものと考えられるから、前記と同一理由により右利益からその三分の一に当る金二二五、
〇〇〇円を差引いた残額金四五〇、〇〇〇円が一か月当りの原告の蒙つた損害と考えるべきである。
よつて、被告らは、各自原告に対し、金六、八〇〇、〇〇〇円及び昭和四六年一一月一日以降被告らが請求の趣旨第二項記載の看板、たれ幕、提燈等を徹去するに至るまで、一か月金四五〇、〇〇〇円の割合による損害金を支払う義務がある。
被告らの答弁
一 請求原因一ないし三の事実は不知。
二 同四の事実のうち、被告Aが被告会社と共同で、原告主張の場所で、原告主張のような色彩を用いて、別紙目録(一)及び(二)記載の標章を、看板、たれ幕、
提燈等に表示してラーメンの販売をしていること、被告Aが原告主張の日に原告主張のような商号の登記をしたことは認めるが、その余の事実は否認する。
三 請求原因五の主張は、争う。
四 同六の事実は否認し、損害額の計算方法は争う。
五 被告会社は、その代表者である被告Aと共同で、被告Aが有する「どさん子」の商号権に基づき、ラーメン販売の営業をしているものである。商号は、その登記によつて専用権を取得し、同一市町村内で同一の営業のために他人がその登記をした商号を使用した場合は、不正の目的があるものとして商号権者はその使用を排除しうるのである。したがつて、原告は、被告らが営業所を有する東京都杉並区において、被告らに優先して「どさん子」の名称を使用することはできないのである。
なお、被告らは、右商号登記の時に、原告の存在またはその営業内容等を全然知らなかつたものである。
六 被告らが現在使用している原告主張の標章は、被告Aが考案したものであり、
被告らの本件店舗から生ずる利益は、被告Aの創意工夫と努力によるものであり、
原告とは全然無関係である。
サツポロラーメンの小売店は、東京都内に数限りなくあり、その使用する商標等は、いずれも同一もしくは類似のものであつて(例えば「どさんこ」の名称にも、
どさん子、どさん娘、どさんこ、どさん仔等がある。)、一般利用者にはこの区別はつかず、この商標のいかんによつて、営業内容に影響を与えるものではない。むしろ、各店舗の場所柄、営業内容、その努力の有無にかかるものである。
証拠(省略)
理 由一 証人Bの証言と弁論の全趣旨とにより昭和四四年一二月一〇日Cが原告の標章を表示した原告の看板、たれ幕、提燈等を撮影した写真であることを認めうる甲第一号証の一、二、前同日前同人が被告らの看板、たれ幕、提燈等を撮影した写真であることについて争いのない甲第二号証の一、二、昭和四六年七月一日大滝繁が撮影した、被告らが昭和四六年六月初め国電高円寺駅前に出した店舗の看板とたれ幕の写真であることに争いのない甲第二八号証、成立に争いのない甲第二三号証の一、二、同第二四号証、同第二五号証、証人Bの証言によつて真正に成立したものであることを認めうる甲第四号証、同第一〇号証、同第一一号証、同第一二号証の一ないし三、同第一三号証の一ないし三、同第一四号証ないし第一六号証、同第一七号証の一ないし三、同第二〇号証、同第二一号証の各一、二、同第二二号証、同第二七号証、証人D、同Bの各証言、原告会社代表者E本人尋問の結果を総合すると、次の事実を認めることができる。
原告会社代表者E(以下単に「E」という。)は、昭和四二年六月頃、北国商事という商号で、個人で、両国にサツポロラーメンの販売店を開き、その際その店舗に甲第一号証の一、二の写真に表示されているような、赤色の生地に白色、黄色もしくは黒色で、縦又は横に別紙目録(一)、(二)記載の文字及び図形を表示した看板、たれ幕、提燈等を使用した。Eのサツポロラーメン販売の商法は成功し、その後三か月の間に四店舗の出店を持つまでに至つた。そして、これらの店舗には、
いずれも両国店における同様な看板、たれ幕、提燈等を使用した。しかしその頃、
Eは自己の資金のみによる事業の急激な膨張には限界があることを覚り、加盟契約金という形式で他人から資金を徴収し、自分の方からはその他人にサツポロラーメン製造の技術を指導し、また、自分の方で製造した麺類及び調味料を売りつけて、
他からそれらのものを買わせないよう義務付けて、サツポロラーメンの味の管理、
品質の管理、価格の管理ができるようにした一種のチエーン店組織すなわちいわゆるフランチヤイズ・システムを採用することとし、昭和四二年九月頃他人とその最初の契約を締結した。Eは、その後昭和四三年六月頃原告会社を設立したが、原告会社は、その後も前と同様なフランチヤイズ契約を結び、これら契約の相手方(フランチヤイズ契約においては、フランチヤイジーと呼ばれる。)は、昭和四四年九月末現在において一五〇名前後となるに至つた。そして、これらフランチヤイジーの店舗は、すべて、その内装、外装、レイアウト等について原告の指導を受けて、
外観上ほとんど原告直営のサツポロラーメン販売店と同一の形態を持ち、特に看板、たれ幕、提燈等は前記の看板、たれ幕、提燈等と全く同じものを使用していた。原告がこれらフランチヤイジーに供給するサツポロラーメンの原料たる麺は昭和四四年九月末現在で一日約六万食に達し、その売上額も一か月金二五、〇〇〇、
〇〇〇円前後に達していた。そして、それらの麺に使用する小麦粉も、当時東京方面分だけで二五キログラム入りで一か月三、五〇〇袋前後であり、また、どんぶり、箸なども、原告はフランチヤイジーに、統一された規格のものを売つていた。
以上のような状態であつたから、昭和四四年一〇月当時においては、製粉業界、
製麺業界、ラーメン販売業界等においては、前記のような看板、たれ幕、提燈等を掲げてサツポロラーメンを販売する店舗は、原告の営業にかかるもの、又は原告を本部(フランチヤイズ・システムにおいては、これをフランチヤイザーという。)とするフランチヤイジーの営業にかかるものであることは、東京都およびその近郊で広く知られていたところであり、また、ラーメンを食する一般消費者の間でも広く知られていた。
右のように認めることができ、証人Fの証言および被告本人兼被告会社代表者A本人尋問の結果中右認定に反する部分は、当裁判所これを措信せず、他に右認定を覆すに足る証拠はない。
右認定の事実によれば、前記のような、赤色の生地に白色、黄色もしくは黒色で、縦又は横に別紙目録(一)、(二)記載の文字及び図形を表示した看板、たれ幕、提燈等は、不正競争防止法第1条第1項第2号の「本邦施行ノ地域内ニ於テ広ク認識セラルル…………標章」であつて、原告の「営業タルコトヲ示ス表示」であるといわなければならない。フランチヤイジー自体は、独立の営業主体であつて、
それらの営業主体が前記のような看板、たれ幕、提燈等を使用することは、それが直接に原告のみの営業たることを示す表示を使用することに該当するとはいえないが、そのような看板、たれ幕、提燈等を使用してサツポロラーメンの販売をする者は、外観上一つの企業組織に包摂せられてその販売を行なうものであると見られ得るのであり、実際にも、原告が本部(フランチヤイザー)となつて独立の各営業主体にある程度の統制を及ぼし、本件標章を用いて営業的組織としての結合を維持させているのであり、その限りでは、フランチヤイズ組織の供与者としての原告および加盟員(フランチヤイジー)によつて一種の団体ないし結合が構成せられ、その団体ないし結合があたかも原告のさん下に一つの独立した営業主体のごとく機能しているのであるから、右のような看板、たれ幕、提燈等は、なお本部(フランチヤイザー)たる原告の営業たることを示す表示であるということができる。しかして、被告Aが被告会社と共同で、原告主張の場所で、前認定のような色彩を用いて別紙目録(一)および(二)記載の標章を、看板、たれ幕、提燈等に表示してラーメンの販売をしていることは当事者間に争いがなく、前掲甲第二八号証および被告A本人尋問の結果によれば、その後同じく別紙目録(三)記載の標章をも併せ使用して国電高円寺駅前でラーメンの販売をしていることを認めることができ、右標章は、いずれも前記原告の標章と類似するものであり、これを使用してラーメンを販売することは、原告の営業上の施設及び活動と混同を生ぜしめる行為であるといわなければならない。そして、被告らのこの行為によつて、原告は、その営業上の利益を害せられる虞れがあるといえることは当然であるから、原告は、被告らに右行為の差止を請求することができ、また、それらの看板、たれ幕、提燈の撤去の請求をすることができるものといわなければならない。
二 被告Aが昭和四四年一〇月七日東京法務局杉並出張所で、営業の種類を麺類の販売、営業所を東京都杉並区<以下略>、商号を「どさん子」とする商号の登記をしたことは、当事者間に争いがない。
原告は、前認定の原告の標章のうち、主要な部分は「どさん子」と表示された部分であるから、被告Aが「どさん子」の商号登記を有するとしても、同被告が「どさん子」の表示を使用してラーメンの販売をすることは、原告の本件標章との混同を生ぜしめ、原告に損害を与えるおそれがあるので許されず、それが許されない以上、「どさん子」の商号を登記しておくことも許されないと主張するが、前認定のように、原告の標章は、これが前認定のとおりの一体となってはじめて原告の営業たることを示す表示であるといえるのであり、そのほかに、右標章から「どさん子」のみを抽出して、それが単独で、広く認識せられる原告の営業たることを示す表示であることを認めしめるに足りる証拠はないから、被告Aに対し右の商号登記の抹消を求める請求部分は、すでにこの点において理由がない。
三 原告は、被告らは昭和四四年一〇月一日から昭和四六年一〇月三一日までの間ラーメンの販売によつて金一〇、五〇〇、〇〇〇円の利益を得たところ、被告らが前認定の標章を使用しなくても右利益額の約三分の一に相当する利益はあげ得たと考えられるから、右利益額から約三分の一の額を控除した金六、八〇〇、〇〇〇円が原告の蒙つた損害であり、その賠償を請求すると主張するが、被告らの得た利益額の約三分の二がそのまま原告の損害になるという点についての立証は全くない。
したがつて、右の額の損害があることを前提とする原告のこの点の請求も失当である。
四 よつて、原告の本訴請求のうち、被告らに対し、標章の使用の差止を求める部分および看板、たれ幕、提燈の撤去を求める部分についてはその理由があるから、
正当として認容するが、その余の請求はいずれも理由がなく失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第89条第92条本文、
第93条第1項本文、仮執行の宣言について同法第196条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判官 荒木秀一
裁判官 高林克巳
裁判官 清永利亮
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