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事件 平成 1年 (ヨ) 2530号
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 1990/02/28
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事仮処分
主文 一 債権者らの申請を却下する。
二 申請費用は、債権者らの負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 申請の趣旨1 債務者株式会社二見書房(以下「二見書房」という。)は、別紙第一目録記載の出版物(以下「第一出版物」という。)を、債務者株式会社永岡書店(以下「永岡書店」という。)は、別紙第二目録記載の出版物(以下「第二出版物」という。)を、債務者株式会社廣済堂出版(以下「廣済堂」という。)は、別紙第三目録記載の出版物(以下「第三出版物」という。)をそれぞれ販売拡布してはならない。
2 債務者らの所有する前項の各出版物に対する債務者らの各占有を解いて、その所在地を管轄する地方裁判所の執行官にその保管を命ずる。
3 債務者らは、委託販売の目的をもつて流通過程においている前1の項記載の各出版物をそれぞれ回収せよ。
二 申請の趣旨に対する答弁 主文一と同旨
当事者の主張
一 申請の理由(被保全権利)1(一) 債権者株式会社ニツポン放送(以下「ニツポン放送」という。)は、放送法による一般放送事業等を目的とする株式会社である。
債権者株式会社ニツポン放送出版(以下「ニツポン放送出版」という。)及び債権者株式会社扶桑社(以下「扶桑社」という。)は、雑誌、書籍の出版及び販売等を目的とする株式会社である。
(二) 二見書房、永岡書店及び廣済堂は、いずれも書籍、雑誌の出版及び販売等を目的とする株式会社である。
2 ニツポン放送の営業表示ないしは商品表示とその周知性(一)(1) ニツポン放送は、昭和六二年四月九日に放送したラジオ番組「少年隊のヤングパラダイス」において、「究極の選択」という標題のクイズ番組を放送した。右クイズの内容は、「どちらも選択したくない二つの事柄を設問し、相手にその一つを無理に選ばせて会話を楽しむという趣向のいじわるクイズ」(以下「本件いじわるクイズ」という。)を集めて構成したものであつて、少年隊の一人が他の二人に質問して答えさせるとともに、聴取者からも電話で回答を寄せてもらうというものであつた。
「究極の選択」と題するクイズ番組は、その後、ニツポン放送のラジオ番組「【A】のヤングパラダイス」の中でも何回か放送された。ニツポン放送は、昭和六三年一〇月七日から、毎週金曜日深夜ないしは土曜日早朝にかけて継続的に放送された「【B】のオールナイトニツポン」と題する番組の中で、右の究極の選択と同じ趣向のクイズ番組を「どつちを選ぶ」とのコーナータイトル(コーナーとは、
ワイド番組の構成単位をなす番組をいい、コーナータイトルは、右コーナーの名称をいう。以下同じ。)で放送し、その後、同年一二月から、コーナータイトルとして、「究極の選択」と「どつちを選ぶ」とを併称する取扱とした。右番組は、平成元年四月一四日放送分以降は、「ウツチヤンナンチヤンのオールナイトニツポン」に変更されたが(以下右の二つの番組を「本件番組」という。)、「究極の選択」と題するコーナーは、右番組において現在でも継続的に放送されている。ニツポン放送は、右のとおり、昭和六三年一二月から今日に至るまで、毎週金曜日深夜ないしは土曜日早朝にかけて、「究極の選択」と題するコーナーを設けた本件番組を継続して放送している。
(2) 本件番組は、ニツポン放送をキー局として、全国の民間ラジオ放送局三一局を通じて全国にネツト放送され、人気番組として今日に至つている。「どつちを選ぶ」のコーナータイトルで始まつた右コーナーには、葉書投稿が一週間に一〇〇〇通から二〇〇〇通寄せられていたが、「究極の選択」というコーナータイトルを併用するようになつた後も、同様である。本件番組を聞く聴取者の数を民間ラジオ放送局各局の聴取率調査に基づいて算定すると、一回の放送を全国で平均一五二万一九六三人が聞いていることになり、毎週の聴取者数を累計すれば大変な数に達し、また、本件いじわるクイズが一つの社会現象として流行している現状からすると、究極の選択という同番組のコーナータイトルを知つている人の数は、全国的規模において極めて多数に達していることが知られるのである。なお、ニツポン放送は、本件いじわるクイズが人気を博してきたため、昭和六三年一二月四日の日曜日には、特別番組として、「究極の選択スペシヤル」と題し、同趣向のクイズ番組をラジオで放送した。
(3) ニツポン放送は、新聞社、雑誌等のマスコミ関係者に毎週「JOLF」という雑誌を発行配布しているが、その中で、究極の選択を紹介、宣伝し、また、毎日、各新聞社に配布している「番組解説」に究極の選択の話題を挿入し、雑誌各社にも、電話やフアツクスで究極の選択を紹介し、情報を流す努力をしている。また、ニツポン放送は、平成元年三月一四日に行つた、東京に本社がある新聞社一三社が加盟しているラジオ・テレビ記者会に対する定例会見(二か月に一回開催される。)においても、究極の選択をメインテーマとして設定し、その解説とこれを中心とした質疑応答を行つた。更に、ニツポン放送は、聴取者に対するサービスとして、ラジオ放送の番組表及び番組紹介を掲載したパンフレツトを、平成元年三月分までは「跳躍通信」、同年四月分以降は「MOMOKABOCHA」と題して希望者に配布しているが、右パンフレツトにおいて、本件番組のコーナータイトルとして「究極の選択」を表示し、右コーナータイトルの聴取者への周知を図つている。
(4) 仮に、究極の選択という名称が本件いじわるクイズという遊びの名称であるとしても、右の遊びは、ニツポン放送の放送に係るラジオ番組の中の一コーナーにおいて、毎週継続的に放送されている特定の遊びである。ニツポン放送では、究極の選択を右遊びの名称とするとともに、コーナータイトルとしたわけであるが、
既に世間で行われている遊びの名称を取つてコーナータイトルとした場合と異なり、本件の場合は、ニツポン放送が右コーナーの中で放送する右遊びの名称を究極の選択とするとともに、コーナータイトルともしたのであるから、究極の選択という名称の遊びとコーナータイトルとは、一体であり、究極の選択という言葉が、遊びの名称として使用されている場合でも、それは、ニツポン放送の当該コーナーを念頭において、そのコーナーで行われている遊びとの観念のもとに使用されているものである。また、究極の選択という名称は、後述の3のとおり、ニツポン放送出版及び扶桑社により刊行された書籍に題号として使用され、しかも、新聞、雑誌、
テレビ等の各マスコミによる究極の選択についての報道ないし紹介において、ニツポン放送の本件番組の「究極の選択」と題するコーナーにおいて放送されている遊びの名称であると言及された結果、ニツポン放送の本件番組の右コーナーにおいて聴取者に対するサービスとして行われている右遊びを表現する営業表示として、聴取者、番組のスポンサー、広告代理店等の間に周知となつたものである。
(5) 以上によれば、究極の選択という名称は、ニツポン放送が行うラジオ放送事業に係る特定の放送番組におけるコーナータイトルを示す営業表示として、又は本件番組の一コーナーで放送される遊びを表現する営業表示として、遅くとも平成元年二月までには、日本全国において、多くの聴取者の間に周知著名となり、現在に至つているものである。
(二) 放送会社が、系列の出版会社その他に対し、その放送する番組の名称ないしは番組中のコーナータイトル又は番組において使用した名称を、出版物の名称として使用させて、人気を博した番組の出版化ともいうべき出版活動を行わせることは、今日普通にみられるところである。ニツポン放送も、次の(1)ないし(6)のとおり、その放送番組を出版化し、番組名ないしは番組中のコーナータイトルを出版物の名称として使用する出版物の発行を、ニツポン放送出版に許諾し、扶桑社がこれを発売してきた。
(1) 番組名「【C】・愛にくちづけ」、出版物の名称「【C】・愛にくちづけ」(昭和五九年三月一〇日発行)(2) コーナータイトル「恐怖のヤツちやん」(番組名「ヤングパラダイス」)、出版物の名称「あなたも体験!恐怖のヤツちやん」(昭和六〇年六月二四日発行)(3) コーナータイトル「ヒランヤコーナー」(番組名「ヤングパラダイス」)、出版物の名称「これが噂のヒランヤだ」(昭和六〇年八月二九日発行)(4) コーナータイトル「10回クイズちがうね」(番組名「オールナイトニツポン」)、出版物の名称「10回クイズちがうね」(昭和六三年一月一四日発行)(5) コーナーの名称「ベロダス」(番組名「ヤングパラダイス」)、出版物の名称「新早口言葉ベロダス」(昭和六三年三月一一日発行)(6) コーナータイトル「いろんな教え」(番組名「ヤングパラダイス」)、出版物の名称「ありがたや教 経典いろんな教え」(昭和六三年一一月二五日発行) 放送番組の出版化に伴う番組の名称ないし番組中のコーナータイトル又は番組において使用された名称を出版物へ使用することが、右のように広く行われているということは、放送において使用される名称が、不正競争防止法によつて、営業表示として保護されるにとどまらず、商品表示としても保護されるべきことを示すものである。すなわち、放送も出版も、思想又は感情の公衆への伝達を目的とする点において共通の要素を有し、しかも、放送番組の出版化が日常的に行われている状況のもとにおいては、出版化される可能性のある番組の名称又は番組中のコーナータイトル、その他番組中で使用される名称であつて周知性を獲得したものは、放送会社から許諾を受けた者により、出版物の名称として使用される可能性を有している点において、不正競争防止法上商品表示としての保護を与えられるべきものと考えられるからである。したがつて、究極の選択という名称は、単に不正競争防止法1条1項2号の規定によつて保護されるニツポン放送の営業表示であるにとどまらず、同条同項一号の規定によつて保護されるニツポン放送の商品表示でもある。
3 ニツポン放送出版及び扶桑社の商品表示とその周知性(一) ニツポン放送出版及び扶桑社は、ニツポン放送の本件番組の「究極の選択」と題するコーナーが異常な人気を博したので、ニツポン放送の許諾を受けてこれを出版化することとし、平成元年三月八日、右コーナーのタイトルと同一の「究極の選択」という商品名のもとに、右放送のためにニツポン放送が自ら作成した前記趣向の設問又は聴取者から寄せられた同趣向の設問を集めて構成した単行本(以下「債権者書籍」という。)を、ニツポン放送出版発行、扶桑社発売との形態により販売し、初版三万部から同年五月二六日発行の第八版まで、合計二〇万部を発売した。なお、右の単行本には、「ニツポン放送オールナイトニツポン編」との表示が、カバー、表紙及び奥付に付されている。
(二) ニツポン放送は、本件番組において、債権者書籍が発行される旨の予告を行つたほか、債権者書籍の出版記念パーテイの模様を報道し、また、その出版後は、同書を利用した読者の体験談等を取り上げて紹介した。扶桑社は、債権者書籍の発行が決定されたのに伴い、その書籍の広報活動の一環として、同社発行の週刊誌「SPA!」(発行部数一週平均三〇万部)の平成元年一月一二日号と同年二月二日号以降に、見開き頁ないし三頁にわたる「これが究極の選択だ」と題する特集記事を設けて、本件番組の右コーナーを紹介するとともに、究極の選択を内容とする単行本を扶桑社より発売する旨の予告を行い、また、債権者書籍発行後も、右週刊誌に、同一の標題のもとに、一頁ないし二頁を使用して、右特集記事を継続して掲載し、今日に至つている。更に、本件番組の右コーナーを紹介する他の新聞、雑誌の記事においては、右コーナーのみならず、右コーナーで取り上げられた本件いじわるクイズが単行本となつて「究極の選択」という題号で発行されたこと及びその内容の一部が紹介された。
(三) 小説や学術書のような著作物の題号は、一般に、商品たる書籍について、
商品の出所表示機能又は、自他商品識別機能を有するものではないとされているが、出版業者の責任によつて編集発行され、著作者の創作物という面よりは、出版業者の商品としての性格が強く出ている書籍の題号は、出版業者の出所を表示する機能又は自他商品識別機能を有するものというべきであるところ、債権者書籍は、
出版業者であるニツポン放送出版及び扶桑社の責任において発行した、本件いじわるクイズを集めて構成した書籍であり、そのような書籍の商品としての性格を強く出すために、その題号を「究極の選択」としたのであるから、「究極の選択」は、
書籍の題号であつても、同時にその発行所であるニツポン放送出版及び発売元である扶桑社の出所を表示する機能又は自他商品識別機能を有するものである。
(四) 以上によれば、究極の選択という名称は、ニツポン放送の本件番組のコーナータイトルとして周知となつた後、債権者書籍の名称としても、遅くとも平成元年三月一五日までには、全国の取引者又は需要者の間に周知著名になり、現在に至つているものである。
(五) 仮に、債権者書籍の題号が、「究極の選択」ではなく、「脳みそパニツク究極の選択」であるとしても、債権者書籍の右題号の略称として、「究極の選択」が周知著名になつているものである。
4 債務者らの使用(一) 二見書房は、平成元年三月三〇日、「究極の大選択」という商品名(題号)を付し、そのカバー上に「どつちを選ぶ?」「テレビラジオで大爆発」という表示をも記載した文庫版の第一出版物を発行し、全国の書店に委託して、その販売拡布を行つている。
(二) 永岡書店は、平成元年四月一〇日、「究極の選択ゲーム」という商品名(題号)を付し、そのカバー上に「どつちを選ぶ?」の表示をも記載した文庫版の第二出版物を発行し、全国の書店に委託して、その販売拡布を行つている。
(三) 廣済堂は、平成元年五月二六日ころ、「超・究極の選択」という商品名(題号)を付した文庫版の第三出版物を発行し、全国の書店に委託して、その販売拡布を行つている。
(四) 債務者らの第一ないし第三出版物は、いずれも本件いじわるクイズを集めて構成した書籍を、各債務者らの責任において発行したものであつて、著作者の創作物という面は希薄であるから、右各出版物の題号は、債権者書籍の題号と同様に、出所表示機能ないしは自他商品識別機能を持つものであるから、商品表示として使用されているものである。
5 類似性 第一ないし第三出版物の商品名である「究極の大選択」「究極の選択ゲーム」「超・究極の選択」の要部は、「究極の選択」の部分にあるから、これらの表示とニツポン放送の周知著名な営業表示又は商品表示である「究極の選択」並びにニツポン放送出版及び扶桑社の周知著名な商品表示である「究極の選択」とは、観念
称呼ともに類似し、全体として類似する。
6 混同のおそれ 債務者ら発行の第一ないし第三出版物は、本件いじわるクイズを集めて構成したことを内容とするものである点において、ニツポン放送が放送している本件番組の「究極の選択」と題するコーナーの放送内容及びニツポン放送出版の発行、扶桑社の発売に係る債権者書籍の内容と変りがない。そして債務者ら発行の前記出版物の各題号が、前述のとおり、商品表示としての機能を営む以上、取引者又は需要者は、右の題号をみて、ニツポン放送が本件番組に使用している「究極の選択」という周知な営業表示又は商品表示と類似しているところから、右の各書籍の発行、販売がニツポン放送ないしはニツポン放送と何らかの関係を有する者による営業活動であるか、又はそれらの者の発行に係る商品であるかのように混同するおそれがある。また、取引者又は需要者は、前記各書籍の題号を見て、それがニツポン放送出版及び扶桑社が債権者書籍に使用している「究極の選択」という周知な商品表示と類似しているところから、右の各書籍が、債権者書籍そのものであるか、又はその続編としてニツポン放送出版及び扶桑社、あるいはそれらと何らかの関係がある者が発行したものと混同するおそれがある。右の点は、書籍の発行所として、二見書房、永岡書店又は廣済堂の表示がなされていても、何ら異なるものではない。すなわち、取引者又は需要者は、第一ないし第三出版物の書籍の題号が周知著名な債権者らの営業表示又は商品表示と類似している点に強く心を惹かれて債権者書籍と誤認し、その書籍の購入を決定することが多く、発行所の表示への注意は、粗略にならざるをえないと推測されるからである。しかも、仮に、取引者又は需要者が書籍に表示された発行所の表示を見るとしても、それをニツポン放送又はニツポン放送出版ないしは扶桑社と何らかの関係を有するものと考えるであろうことは、前述のとおりであるから、発行所の表示があることは、営業活動ないしは商品の混同のおそれに関して格別の意味を有しないものというべきである。現に、ニツポン放送が、平成元年一〇月七日午前一時から三時まで放送した本件番組において、デイレクターの【D】から聴取者に対し、債権者書籍と第一ないし第三出版物とを誤認混同した事例があれば、ニツポン放送あてに知らせてほしい旨呼びかけたところ、ラジオ放送という聴覚だけに訴える一過性の呼びかけであつたにもかかわらず、聴取者から一三通の葉書が寄せられ、債務者ら発行の第一ないし第三出版物のいずれについても、債権者らの発行に係るものと誤認混同して購入した事実が存在することが明らかになつたのである。更に、ニツポン放送の本件番組は、現在も毎週金曜日深夜ないし土曜日早朝にかけて継続して放送されており、各回ごとに、ニツポン放送自ら設問を作成し、また、聴取者から多くの設問の投稿を受け付けている。また、週刊誌「SPA!」においても、毎週、「これが究極の選択だ」と題する特集記事において設問を掲載するとともに、読者からの設問の投稿を募集している。このような状況下においては、ニツポン放送の本件番組自体、半永久性を有しているとともに、「究極の選択」と題する書籍についても、その続編の刊行が期待されているのである。
なお、廣済堂発行の第三出版物のカバーの裏表紙の見返し部分に、「本書はニツポン放送(オールナイトニツポン編)とは関係ありません。」との記載がなされているが、右の記載自体から、廣済堂が、ニツポン放送の本件番組並びにニツポン放送出版及び扶桑社の債権者書籍の存在を知つていたことが明らかであるし、また、
このような記載をしなければ、読者において、第三出版物が、ニツポン放送の本件番組又は債権者書籍と関係があるもののように誤認されるおそれがあることを、廣済堂自身が認めていたことになるのである。更に、取引者又は需要者は、第三出版物のカバーの裏表紙の見返し部分の記載を読んだうえで、これを購入するとは限らないから、右の記載は、前述の営業活動ないし商品の出所の混同を防止する意味は有しないものといわなければならない。
7 営業上の利益を害されるおそれ(一) ニツポン放送は、系列会社であるニツポン放送出版及び扶桑社に対してのみ、本件番組の「究極の選択」と題するコーナーの出版化を許諾し、両者の協力のもとに、本件番組の右コーナーの人気を永続させようと図つているものであるから、ニツポン放送の系列会社以外の者が、ニツポン放送による何らのコントロールもなく、類似の題号を用いて、本件番組の右コーナーを出版化したものと誤認されるような出版物を発行販売すると、ニツポン放送の究極の選択という営業表示について有する価値(顧客吸引力)が稀釈化されることは明らかである。したがつて、
ニツポン放送は、二見書房、永岡書店及び廣済堂による第一ないし第三出版物の発行、販売行為により営業上の利益を害されるおそれがある。
(二) 取引者又は需要者は、二見書房、永岡書店及び廣済堂の出版物を見て、ニツポン放送出版又は扶桑社の商品であるか、又は両者と何らかの関係がある者の商品であると誤認混同するおそれがあるのであるから、その分だけ、ニツポン放送出版又は扶桑社の発売に係る「究極の選択」の売行きが低下する。したがつて、ニツポン放送出版及び扶桑社は、営業上の利益を害されるおそれがあることは明らかである。
8 よつてニツポン放送は、不正競争防止法1条1項1号又は二号の規定によりニツポン放送出版又は扶桑社は、同法1条1項1号の規定により、二見書房、永岡書店及び廣済堂による第一ないし第三出版物のそれぞれの販売の差止め及び委託販売のため流通過程にある第一ないし第三出版物の回収、その他右行為の予防に必要な行為を請求することができる権利を有する。
(保全の必要性) 債権者らは、債務者らに対し、不正競争防止法1条1項1号又は二号の規定に基づく差止請求の本訴を提起すべく準備中であるが、ニツポン放送が被る営業表示の価値の稀釈化の損害は、その性質上回復不能であるとともに、損害額を算定しえず、また、ニツポン放送出版及び扶桑社は、債務者らによる第一ないし第三出版物の販売部数を把握することができないので、これまた、本案判決の確定を待つては、回復し難い損害を被るおそれがある。
二 申請の理由に対する答弁及び債務者らの主張1(一) 申請の理由の(被保全権利)1の事実は認める。
(二) 同2、3の事実は否認する。
(三) 同4(一)ないし(三)の事実は認める。同4(四)の事実は否認する。
(四) 同5ないし7の事実は否認する。
(五) (保全の必要性)の事実は否認する。
2 二見書房の主張(一) 債権者らは、究極の選択という名称は、ニツポン放送が行うラジオ放送事業に係る特定の放送番組におけるコーナータイトルを示す営業表示として、遅くとも平成元年二月までには、日本全国において、多くの聴取者の間に周知著名となり、現在に至つているものである旨主張するが、究極の選択という名称は、「どちらも選択したくない二つの事柄を設問し、相手にその一つを無理に選ばせて会話を楽しむ言葉遊び」(以下「本件言葉遊び」という。)自体の名称であり、本件番組のコーナータイトルとしては、一般に認識されていない。本件番組のコーナータイトルは、むしろ「どつちを選ぶ」であると一般に認識されているものである。なお、本件番組の「どつちを選ぶ」との名称のコーナーは、最初に「究極の選択」という叫び声で始まるが、これは、単にこれから始まる本件言葉遊びの名称を表示したものにすぎず、究極の選択という本件言葉遊びの名称を叫んで遊びを開始したからといつて、それがコーナータイトルであるとはいえず、まして、それが営業表示になるはずもない。
(二) 究極の選択という名称は、次に述べるとおり、本件言葉遊びの態様特性を普通に用いられる方法で表示するいわゆる記述的名称であり、出所表示機能又は自他営業ないし商品識別機能を持たないのであるから、不正競争防止法1条によつて保護される営業表示又は商品表示ではありえない。(1)「窮極(究極)」とは、
「物事のきわまつたところ」(岩波書店刊広辞苑)という意味であつて、究極の選択という名称は、「選択」という普通名詞に「きわまつた」という形容詞をつけてできたものであり、本件言葉遊びの特性を端的に表現する記述的な表示である。
(2)記述的表示であつても、特定の営業又は商品を表示するものとして、相当期間、独占的に使用され、その結果、取引者又は需要者において、右表示が特定人の営業又は商品に係るものであると認識することができるに至つたものは、自他営業ないし商品の識別機能を有するに至ることがあるが、本件の究極の選択という名称については、債権者らの主張によるも、ニツポン放送が、本件番組以外の番組においてこの名称を使用し、その後本件番組においてこの名称をコーナー名として使用したのは、債務者二見書房が第一出版物を発刊した僅か三月前の昭和六三年一二月になつてからであり、また、それ以後も、この名称は、各種番組の中で使用されているということであり、これらの事情に照らすと、取引者又は需要者がこの名称をニツポン放送の営業を示す表示であると考えていないことは明らかである。
(三) 究極の選択という名称は、次に述べるとおり、普通名称であり、出所表示機能又は自他営業ないし商品の識別機能を持たないのであるから、不正競争防止法1条によつて保護される営業表示又は商品表示には該当しない。
(1) 究極の選択は、自然発生的に生まれた本件言葉遊びについての一般的な呼称にすぎず、まさに普通名称である。したがつて、債権者らが、このような本件言葉遊びの普通名称を番組や書籍の題号として使用したとしても、この名称は、債権者らの当該番組又は書籍の内容をなす本件言葉遊びの普通名称にすぎないのであるから、債権者らの営業表示又は商品表示とはなりえない。すなわち、イ ニツポン放送は、昭和六二年四月九日にも、本件言葉遊びの名称を「究極の選択」と名付けて放送していたのであり、かつ、このような遊びは、放送局と聴取者との間だけでなく、聴取者間や他の子供たちなどの間で水平的に伝播するものであるから、その間に放送の中で用いられた「究極の選択」という名称が、昭和六三年一二月よりも早い時期から、この遊びの名称として一般に定着していつたのである。ロ 究極の選択という遊びは、前記のとおり、「どちらも選択したくない二つの事柄を設問し、相手にその一つを無理に選ばせて会話を愉しむという趣向の言葉遊び」であるから、究極の選択という表示は、本件言葉遊びの特徴ないし重要な構成要素を表現したものであり、その結果、当該遊びと名称とが不可分性を有するに至つているのであるから、もはやその遊びの普通名称でしかなく、何ら出所表示機能又は自他営業ないし商品の識別機能を有しない。
(2) 仮に、債権者らが、本件言葉遊びについて、最初に究極の選択という名称を付けたものであつたとしても、債権者が命名者であることは、究極の選択が普通名称であることを否定する理由にはならない。例えば、テレヴイジヨン、ワードプロセツサー等の言葉にも命名者がいるが、これは、右商品の普通名称である。
(3) 債権者らは、仮に、究極の選択という名称が本件いじわるクイズという遊びの名称であるとしても、右の遊びは、ニツポン放送の放送に係るラジオ番組の中の一コーナーにおいて、毎週継続的に放送されている特定の遊びであり、かつ、究極の選択は、コーナータイトルでもあるから、究極の選択という名称の遊びとコーナータイトルとは、一体である旨主張するが、イ ニツポン放送は、昭和六二年四月九日に「少年隊のヤングパラダイス」において一回、その後も「【A】のヤングパラダイス」において何回か究極の選択という名称のもとに本件言葉遊びを行つており、また、右以外にも「【E】と【F】のクイズ年の差なんて」、「ギヤグ満天」などの番組においても究極の選択という名称の右遊びを話題とし、更に、レギユラーコーナーで究極の選択という名称の右遊びを扱つている番組もあるから、究極の選択が、特定の番組から独立した本件言葉遊び自体を指す名称であることは明らかである。ロ 仮に、究極の選択がコーナータイトルであるとしても、右コーナーは、「なるほどザ・ワールド」や「世界まるごとハウマツチ」という番組のように、特定のシヨー形式を有するクイズ番組ではないから、究極の選択という名称は、右コーナーを特定する名称とはなりえないものである。ハ 究極の選択という名称が、本件言葉遊びを指す名称と一般に認識されていることを認めながら、出所表示機能又は自他営業ないし商品の識別機能を有する営業表示又は商品表示であると主張することは、矛盾である。すなわち、債権者らが主張するように、この遊びが、本件番組の一コーナーから広がつたものであるとしても、究極の選択という名称が、この遊びの普通名称となり、かつ、この遊びが本件番組を離れて社会で広く行われるようになつた以上、この遊びの名称を出所表示機能又は自他営業ないし商品の識別機能を有する営業表示又は商品表示であると考えることはできないのである。しかも、債権者らは、電波媒体、印刷媒体を使つて、率先して究極の選択が本件言葉遊びの普通名称であると宣伝し、あるいは普通名称であるかのように宣伝してきたのであるから、これをその後に至り営業表示であると主張することは、禁反言の法理からも許されない。
(四) 債権者らは、出版業者の責任によつて編集発行され、著作者の創作物という面よりは、出版業者の商品としての性格が強く出ている書籍の題号は、出版業者の出所を表示する機能又は自他商品識別機能をするものというべきであるところ、
債権者書籍は、出版業者であるニツポン放送出版及び扶桑社の責任において発行されたものであり、その題号は、出所表示機能又は自他商品識別機能を有する旨主張するが、出版者の責任によつて編集発行されない書籍などは存在しないし、逆に、
出版業者の商品としての性格が強く出ていない書籍というのも、自費出版等の場合を除いては考えられず、したがつて、債権者らが主張する右の要件は、極めて曖昧である。また、債権者らの右主張は、債権者書籍は「出版社が主体となつて発行した編集著作物」であるというものと理解するほかないが、例えば、辞書、事典等の編集著作物が、学者によつて編集された場合と、出版者の責任において作成された場合とを考えてみると、後者の題号についてのみ、出所表示機能又は自他商品識別機能があるとする合理的理由はない。したがつて、債権者らの発行に係る書籍が編集著作物であり、かつ、債権者らの責任によつて編集発行されたものであるとしても、その題号が当然に出所表示機能又は自他商品識別機能を有するということにはならない。
書籍の題号について、一定の場合に題号の保護が認められるのは、憲法上の表現の自由、又は著作権法等の他の法規との関係において「無害性」の保証のある場合に限られるというべきである。すなわち、書籍の題号は、著作者にとつて著作物の内容を限られた字数で表現する手段であるから、同一テーマを取扱う場合などには、著作物の内容に相違があつても、右の制約があるために、同一又は類似の題号とならざるをえないのであり、この点から、書籍の題号については、商標権や著作権による保護機能を及ぼさず、自由領域としているのである。このことは、特許庁意匠商標課の「題号の商標法上の取り扱いに関する通達」(昭和二四年一一月一五日)が、商標登録の対象である商標から書籍の題号を原則として除外していること、既に登録された商標権についても、商標法上の商標権の効力を限定していること等に示され、商標登録出願の審査実務がこのように行われていることからも明らかである。実際に、本件の債権者書籍及び第一ないし第三出版物の本のように、内容は異なつていても、テーマが同一である場合は、「脳ミソパニツク」とか「大」とか「クイズ」とか「超」とかの部分を除いては、極めて類似した題号とならざるをえないのである。これは、特に、ゲーム、スポーツ、趣味の書籍に共通の傾向である。なお、債権者らは、後記三1(二)において、本件言葉遊びをテーマとする書籍を出版する場合、究極の選択以外の題号も付けうる旨主張するが、究極の選択という本件言葉遊びをテーマとする書籍に、究極の選択という名前を使えないことが問題なのである。
(五) 債権者書籍の題号は、「究極の選択」ではなく、「脳ミソパニツク究極の選択」である。したがつて、債権者らの「脳ミソパニツク究極の選択」と二見書房の第一出版物の題号とは類似しない。
(六) ニツポン放送の営業上の活動とは、放送法による一般放送事業であり、究極の選択という表示は、その放送という営業活動の中で用いられているものであるから、債務者らの出版という営業活動と直ちに混同を生じさせるものではない。もつとも、放送会社が、自ら又は関連会社をして、出版活動をすることはあるが、放送会社の作成した放送に依存した出版物の場合は、出版物上に「……放送編」等の表示をするのが通常であり、このような表示のない書籍が、放送会社の作成に依存していると一般人が受けとめることは皆無といつてよい。また、究極の選択は、本件言葉遊びの名称であるから、この名称を本件言葉遊びを内容とした書籍に使用したからといつて、この本件言葉遊びの名称を番組のコーナー名に用いた放送会社の営業活動と誤認混同するということはありえない。仮に、このような混同が成立するとの認識に立つて、不正競争防止法の適用を認めるならば、放送会社が流行の遊びの名称をコーナー名に用い、同名称を書籍の題号に使用することにより、その遊びに関する放送媒体、出版媒体を独占することが可能となるのであり、その不当なことは明らかである。
3 永岡書店の主張(一) 「究極の選択」は、「選択したくない究極的な状況の選択肢の一つを選ばせて会話を楽しむ遊び」の一般的な名称ないしは普通名称にすぎず、債権者らの周知営業表示ないしは周知商品表示ということはできない。すなわち、究極の選択という名称は、雑誌等において、「ニツポン放送が火をつけ、中学生、高校生の間で大流行している究極の選択という遊び」というように紹介されていること、また、
ニツポン放送出版及び扶桑社発行の債権者書籍の巻頭において、「究極の選択」の正しい遊び方という見出しのもとに、その詳しい遊び方を解説していることから明らかなように、ニツポン放送の特定の番組とは離れて、一般社会に広まつていつた遊びの名称であり、ニツポン放送の営業表示ということはできない。また、ニツポン放送の本件番組中の究極の選択を取り扱つたコーナーのタイトルは、「どつちを選ぶ」であり、「究極の選択」ではない。
(二) 出版業界においては、「売れ筋の商品は、機敏に作つて売る」ということが商慣習として一般的に行われている。例えば、星座占いの本が売れれば、他の出版社も同種の類似本を発行するのであり、このようにして、売れ筋の本には、その類似本が競争相手として次々と登場し、それら類似本が、市場で競争することになる。したがつて、このような類似本は、必然的に類似の題号にならざるをえないのであるが、出版社は、その際に、類似本同士の誤認混同を防ぐため、題号、版形などでできるだけ差を設けるように腐心するのが通常である。ちなみに、永岡書店は、平成元年二月末ころ、究極の選択という遊びが一般に流行していることに注目して、第二出版物の出版を企画し、三月二日に、アイプロダクシヨンに問題の考案を含めて、編集を委託し、債権者書籍の初版第一刷発行日である三月八日ころには、大半の原稿整理を完了し、四月一〇日に第二出版物を発行したのであり、債権者書籍の発行をみて、第二出版物の発行を企画したわけではない。
(三) 債権者書籍の題号は、「脳みそパニツク究極の選択」であり、第二出版物の題号は、「究極の選択ゲーム」であるから、両者は、非類似であり、また、債権者書籍と第二出版物は、本の版形、頁数、表紙の記載文言、絵も異なるものであり、更に、発行主体が異なることは、その奥付から明らかである。
(四) 「究極の選択」は、前記遊びの普通名称であり、永岡書店は、この名称を書籍に普通に使用される方法をもつて使用しているだけである(不正競争防止法2条1項1号)。
4 廣済堂の主張(一) 債権者らの主張する本件いじわるクイズは、なぞなぞその他のクイズ遊びと同列の質の遊戯であり、特定の企業グループのみが独占的収益権を得ることは、
許されない。また、究極の選択という表現は、ことさら新規性があり、独創性がある表現ではない。特に、「究極の」との形容詞は、昨今、雑誌の記事、宣伝広告等マスコミの幅広い分野に利用されているのであるから、究極の選択という名称が債権者らの周知営業表示ないしは周知商品表示となることはありえない。
(二) 債権者書籍の題号と廣済堂の第三出版物の題号とは、究極の選択という名称が一般的な表現であること及び究極の選択を内容とする書籍の題号として使用されていることからみて、類似しているとはいえない。
(三) 債権者書籍と、廣済堂の第三出版物とは、書籍の版の大きさ、絵柄、編者ないしは著者、出版者、発行者が異なるものであり、そのうえ、廣済堂の第三出版物には、書籍のカバーの見返しに「本書はニツポン放送……とは関係ありません。」との記載があり、取引者又は需要者が、両者を誤認混同することはありえない。
三 債務者らの主張に対する債権者らの反論1 二見書房の主張について(一) 二見書房の主張(二)について 「究極」とは、とどのつまりの、もはや選択の余地のない状況を意味する言葉であり、また、「選択」とは、えらぶことという意味であるから、「選択」の語に「究極」の語を冠するときは、両者の間に矛盾を生じ、意味不明のものとなることを避けられず、少なくとも、そこに「窮地に立たされた状態での苦しい二者択一」の意味を生じる余地のないことは明らかである。したがつて、究極の選択という名称は、その文字本来の意味から離れた特殊な意味を付与して、本件の遊びの名称を巧妙に表現したものであり、記述的名称でないことは明らかである。
(二) 同(三)について 究極の選択という名称は、遊びの名称として自然発生的に生まれたわけではなく、ニツポン放送が、遊びの名称として命名したものである。また、債権者らは、
究極の選択という名称を前(一)のような特殊な意味で使用したのであるから、右名称は、普通名称ではなく、出所表示機能又は自他営業ないし商品の識別機能を有することは明らかである。更に、本件いじわるクイズの名称として、究極の選択という名称が一般に使用されることがあるとしても、(1)ニツポン放送の本件番組を聞いて、この遊びのやり方に接した者でなければ、この遊びを効果的に行うことはできないし、また、その気にもならないはずである。
(2)債権者書籍、及び究極の選択について報道紹介等を行う新聞、雑誌、テレビ番組等においては、この遊びがニツポン放送の本件番組の一コーナーから生まれたものであることが明示されていることからすると、究極の選択という名称が、ニツポン放送の本件番組において、聴取者に対するサービスとして行われている本件いじわるクイズを指すものであり、その意味において、ニツポン放送の営業表示たる性格を有することは、この遊びを行い、究極の選択を口にする人によつて認識されているものといわなければならない。また、債権者らは、ニツポン放送の本件番組の一コーナーの中で継続的に行われている本件いじわるクイズを究極の選択と名付けたにすぎず、それを普通名称と宣伝したことはなく、一般にも、究極の選択という遊びとニツポン放送の本件番組との関係は明確に認識されているのである。
(三) 同(四)について 二見書房は、書籍の題号について、一定の場合に題号の保護が認められるのは、
憲法上の表現の自由、又は著作権法等の他の法規との関係において「無害性」の保証のある場合に限られる旨主張するが、本件いじわるクイズを集めて構成した書籍を出版したい場合、究極の選択と同一又は類似の題号でなくとも、例えば、株式会社勁文社発行の「地獄の選択」とか、リム・ユナイト発行の「悪魔の選択」のように異なる題号で書籍を発行することは十分に可能である。
(四) 同(五)について 債権者書籍の題号は、「究極の選択」であり、「脳みそパニツク」はこれに付された宣伝用の修飾句ないしはサブタイトルであることは、本件書籍のカバーの表紙面、同背表紙面並びに表紙、背表紙及び中表紙における、「脳みそパニツク」と「究極の選択」の文字の大小、両者の配置関係から、一見して明らかである。
2 永岡書店の主張に対する債権者らの反論(一) 同(一)について 究極の選択という遊びが世間で話題になつている理由は、ニツポン放送の本件番組の一コーナーにおいて、右遊びが行われ、これが人気を博したことによる。したがつて、雑誌等における究極の選択という遊びの紹介もニツポン放送の本件番組の聴取者等をその対象としているものであり、本件番組の一コーナーで行われている究極の選択という遊びを再現しているものである。
(二) 同(二)について 日本書籍出版協会及び日本雑誌協会が制定した「出版倫理綱領」の第五項には、
「出版物の普及には、秩序と公正が保たれなければならない。われわれは、出版事業を混乱に導くような過当競争を抑制する……。」と定められており、永岡書店が主張する出版業界の商慣習なるものは、悪しき慣習として、右の出版倫理綱領が排除しようとしているものであり、このような商慣習により自己の出版行為を正当化しようとしている永岡書店の主張は、失当である。
(三) 同(三)について 不正競争防止法による混同は、時と所を異にして、商品に接する取引者又は需要者について、商品主体又は営業主体の混同を生ずるおそれがないかどうかが問題とされるのであり、本件においても、取引者又は需要者が、かねてより記憶している放送番組又は書籍の題号と同一ないし類似の題号の書籍であることに強く心を惹かれて、発行所を確かめることなく書籍を購入することはありうることであるし、また、発行所を確かめたとしても、その発行所を、当該放送番組の放送会社又は自己の記憶している書籍の発行所と何らかの関係を有するものと考えることは十分にありうることであるから、永岡書店の右主張は、混同を防止しうる理由とはならない。
(四) 同(四)の主張は否認する。
3 廣済堂の主張4(三)に対する債権者らの反論前2(三)と同旨。
理 由一 申請の理由の[被保全権利]1及び4(一)ないし(三)の事実は、当事者間に争いがない。
二 同2、3及び4(四)の債権者らの主張について、次に判断する。
1 平成元年(ヨ)第二五三〇号事件の疎甲第六号証ないし第九号証の各一、二、
第一一号証の一、二、第一五号証の一ないし三、八、九、一一ないし一三、第一六号証ないし第三二号証の各一ないし三、第三四号証ないし第四〇号証、第四三号証ないし第四九号証の各一、二、第六〇号証、疎乙第五号証、第九号証(以下掲記の疎号証は、いずれも同事件に提出済のものを指す。)によれば、次の(1)ないし(5)の事実が認められる。
(1)ニツポン放送は、昭和六三年一〇月七日から、毎週金曜日深夜ないし土曜日早朝にかけて継続的に放送された「【B】のオールナイトニツポン」と題する本件番組の「どつちを選ぶ」というコーナーの中で、本件言葉遊び(債権者らのいう本件いじわるクイズと同じものである。)を究極の選択という名称で放送し、更に、
平成元年四月一四日以降現在まで、右番組は「ウツチヤンナンチヤンのオールナイトニツポン」と変更されたが、同番組の「どつちを選ぶ」というコーナーにおいて、究極の選択という名称で本件言葉遊び(以下「究極の選択という遊び」という。)を放送している。(2)本件番組は、ニツポン放送をキー局として、全国の民間ラジオ放送局三一局を通じて全国にネツト放送されているが、民間ラジオ放送局各局の聴取率調査に基づいて、同番組を聞く聴取者の数を算定すると、一回の放送を全国で平均一五二万一九六三人が聞いていることになり、また、本件番組の「どつちを選ぶ」というコーナーは、人気があつたため、聴取者からの葉書投稿が一か月に四〇〇〇通ないし五〇〇〇通以上寄せられており、究極の選択という遊びは、昭和六三年一二月ころから、一つの社会現象として、小学生、中学生、高校生等の間で流行した。なお、ニツポン放送は、究極の選択という遊びが人気を博しているため、昭和六三年一二月四日の日曜日には、特別番組として、「究極の選択スペシヤル」と題し、究極の選択という遊びをその内容とするクイズ番組をラジオ放送した。(3)ニツポン放送は、新聞社、雑誌社等のマスコミ関係者に毎週「JOLF」という雑誌を発行配付し、その中で本件番組の右コーナーを紹介してきているが、例えば、同誌昭和六三年一一月二二日号五頁の「「究極の選択」というのをご存じだろうか。今、中・高校生から大学生まで若い人たちを中心にブームのきざしを見せている「遊び」なのである。」同誌平成元年三月一四日号二頁の「【B】のオールナイトニツポン」の大人気コーナー「どつちを選ぶ?」から生まれたこの「究極の選択」。もはやすつかり有名になつてしまつたが、ここでいくつか例を紹介すると……」及び同誌同年五月一〇日号六頁の「もともと「【B】のオールナイトニツポン」(89年3月終了)の大人気コーナー「どつちを選ぶ?」から生まれたこの「究極の選択」。あつという間に大流行となり、今やまさに「社会現象」になつてしまつた感がある。……この「究極の選択」は、子供たちの世界だけでなく、大人の世界にも遊びとして定着しつつあるようだ。」との記載から明らかなように、右コーナーのタイトルを「どつちを選ぶ」、本件言葉遊びの名称を「究極の選択」として紹介、宣伝しており、究極の選択という名称を右コーナーのタイトルとしては使用していない。(4)ニツポン放送出版及び扶桑社は、平成元年三月八日、ニツポン放送の本件番組の右コーナーで放送された究極の選択という遊びをその内容として編集した債権者書籍を、その題号を「究極の選択」、そのサブタイトルを「脳みそパニツク」とし、「ニツポン放送オールナイトニツポン編」「発行 ニツポン放送出版」「発売 扶桑社」として出版した。債権者書籍は、前(2)のとおり、人気番組であつた本件番組の「どつちを選ぶ」というコーナーにおいて放送していた究極の選択という遊びが社会的に流行していたことと、また、ニツポン放送の右コーナーでも、債権者書籍の宣伝広告をし、更に、扶桑社も、その発行する週刊誌SPAの平成元年一月一二日号から毎回究極の選択という遊びの特集を行い、債権者書籍の宣伝広告をしたこともあつて、同年五月二六日には、二〇万部のベストセラーとなり、現在もその販売が継続されている。なお、債権者書籍の表紙カバーの裏側には、「「究極の選択」の正しい遊びかた」という表題の下に、究極の選択という遊びの遊び方についてのアドバイスが記載されている。(5)新聞及び雑誌等では、昭和六三年一一月以降、究極の選択という遊びが社会的に流行していつたため、右の究極の選択という遊びをしばしばその話題として取り上げるようになつたが、例えば、昭和六三年一一月二九日のサンケイスポーツの「今や「究極の選択」を知らないようでは、ヤングの間では時代遅れだそう。この「究極の選択」は、ニツポン放送の「【B】のオールナイトニツポン」(毎週金曜深夜1・0)の“どつちを選ぶコーナー”がきつかけとなつて、人気に火がついた。」、週刊SPAの平成元年一月一二日号六六頁の「今、中・高校生の間で、選べないよ、
こりやー、といつた「究極の選択」という遊びが大流行だ!!ニツポン放送の【B】のオールナイトニツポンでのワンコーナーがその火つけ役。」、毎日新聞の二月一〇日夕刊の「【B】のオールナイトニツポン(ニツポン深夜1・0)人気コーナー「どつちを選ぶ」が本になるのを記念して特集を。」、同年三月二二日の報知新聞の「究極の選択、深夜放送でバカ受け、オールナイトニツポンにはがき殺到、本は驚異的売れ行き、「究極の選択」名作集(注・いずれも見出し)」、週刊読売の同年四月一六日号の「究極の選択(注・見出し)……ニツポン放送の「オールナイトニツポン」金曜パーソナリテイの【B】が伝播源のナンセンス・クイズですが」及び読売新聞の同年五月二七日付朝刊の「「究極の選択」は、選ばなければならない状況を設定し、「しようゆの一気飲みとお酢の一気飲みのどちらを選ぶ?」といつたことば遊び。」との記載から明らかなように、その記事の中で、究極の選択という名称は、本件言葉遊びそのものを意味する名称であり、かつ、究極の選択という遊びは、ニツポン放送の本件番組の「どつちを選ぶ」というコーナーで放送されたことにより一般に流行していつたこと、ニツポン放送関連の会社から、債権者書籍が販売され、これがベストセラーとなつていることがしばしば記載されたが、究極の選択という名称が、本件番組のコーナータイトルであると記載されたものはない。
右認定の事実によれば、究極の選択という名称は、本件言葉遊びが若者を中心として社会的に流行するとともに、本件言葉遊びそのものを意味するものとして一般的に用いられている名称(以下「一般名称」という。)として社会に定着していつたものであり、本件番組の「どつちを選ぶ」というコーナーのタイトルとしては一般に認識されていないこと、ニツポン放送が本件番組の一コーナーで究極の選択という遊びを放送したことにより、右遊びが若者を中心として社会的に流行したこと、本件番組の一コーナーで放送された究極の選択という遊びをその内容として編集した債権者書籍が、ニツポン放送関連の会社から出版されたのが、若者を中心として一般に知られるところとなつていつたことが認められる。
この点に関して、債権者らは、(1)本件番組の前記コーナーのタイトルは、当初「どつちを選ぶ」であつたが、昭和六三年一二月からは、「究極の選択」という名称も、コーナータイトルとして、「どつちを選ぶ」と併称されるようになり、
(2)究極の選択という名称は、ニツポン放送が行うラジオ放送事業に係る特定の放送番組におけるコーナータイトルを示す営業表示として、遅くとも平成元年二月までには、日本全国において、多くの聴取者の間に周知著名となり、現在に至つている旨主張するところ、疎甲第一二ないし第一四号証の各一、二、第一五号証の一〇、第三四、三五号証には、債権者らの右(1)の主張に添う趣旨の記載も見受けられるものの、債権者らの右(2)の主張事実を認めるに足りる疎明はなく、かえつて、究極の選択という名称は、本件言葉遊びが若者を中心として社会的に流行するとともに、本件言葉遊びそのものを意味する一般名称として社会に定着していつたものであり、本件番組の右コーナーのタイトルとしては一般に認識されていないことは、前認定のとおりである。また、債権者らは、申請の理由[被保全権利]2(一)(4)のとおり、究極の選択という名称は、ニツポン放送の本件番組の右コーナーにおいて聴取者に対するサービスとして行われている右遊びを表現する営業表示として、聴取者、番組のスポンサー、広告代理店等の間に周知となつたものである旨主張するので、検討するに、確かに、ニツポン放送が本件番組の一コーナーで究極の選択という遊びを放送したことにより、右遊びが若者を中心として社会的に流行したこと、本件番組の一コーナーで放送された究極の選択という遊びをその内容として編集した債権者書籍が、ニツポン放送関連の会社から出版されたのが、
若者を中心として一般に知られるところとなつていつたことは、前認定のとおりである。しかしながら、右に一般に知られるところとなつていつたのは、右認定の事実にみられるとおり、ニツポン放送が本件番組の一コーナーで究極の選択という遊びを放送し、これを流行させたという事実、及び本件番組の一コーナーで放送された究極の選択という遊びをその内容として編集した書籍が、ニツポン放送関連の会社から出版されたという事実にすぎないのであり、この事実は究極の選択という名称がニツポン放送の営業表示となつたことを当然に意味するものではなく、むしろ、前認定のとおり、究極の選択という名称は、本件言葉遊びが若者を中心として社会的に流行するとともに、本件言葉遊びそのものを意味する一般名称として社会に定着していつたものであり、また、本件番組の右コーナーのタイトルとしては一般に認識されていないものであるから、右名称は、一企業であるニツポン放送の営業を示す表示、すなわち、不正競争防止法1条1項2号にいう「他人ノ営業タルコトヲ示ス表示」に当たるものということはできない。したがつて、究極の選択という名称がニツポン放送の営業表示として周知となつたとの債権者らの主張は、採用の限りでない。
更に、債権者らは、究極の選択という名称は、単に不正競争防止法1条1項2号の規定によつて保護されるニツポン放送の営業表示であるにとどまらず、同条同項一号の規定によつて保護されるニツポン放送の商品表示でもある旨主張するが、究極の選択という名称はニツポン放送の周知営業表示とは認めることができないとの前説示と同様の理由により、右名称をニツポン放送の周知商品表示と認めることはできない。したがつて、債権者らの右主張も採用することができない。
2 次に、債権者らは、「究極の選択」は、書籍の題号であつても、その発行所であるニツポン放送出版及び発売元である扶桑社の出所を表示する機能又は自他商品識別機能を有するものであり、究極の選択という名称は、ニツポン放送の本件番組のコーナータイトルとして周知となつた後、債権者書籍の名称としても、遅くとも平成元年三月一五日までには、全国の取引者又は需要者の間に周知著名になり、現在に至つているものである旨主張するので、審案するに、ニツポン放送が本件番組の一コーナーで究極の選択という遊びを放送したことにより、右遊びが若者を中心として社会的に流行したこと、本件番組の一コーナーで放送された究極の選択という遊びをその内容として編集した債権者書籍が、ニツポン放送関連の会社から出版されたのが、若者を中心として一般に知られるところとなつていつたことは、前認定のとおりであるが、同時に、究極の選択という名称は、本件言葉遊びを意味する一般名称として社会に定着していつたものであることも、前認定のとおりであるから、ニツポン放送出版及び扶桑社は、究極の選択という遊びをその内容とする本に本件言葉遊びの一般名称である「究極の選択」という題号を付して販売しただけであるというほかはない。そうすると、債権者書籍の右題号は、単にその本の内容を表示するだけであるから、その本の出所を表示する機能又は自他商品識別機能を有しないものといわざるをえない。したがつて、債権者書籍の「究極の選択」との題号がニツポン放送出版及び扶桑社の周知商品表示であるとの債権者らの主張は、採用しえないものである。
3 また、不正競争防止法1条1項1号は、「他人ノ商品タルコトヲ示ス表示ト同一若ハ類似ノモノヲ使用シ又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販売、拡布若ハ輸出」する行為、同条同項二号は、「他人ノ営業タルコトヲ示ス表示ト同一又ハ類似ノモノヲ使用」する行為、すなわち、商品表示又は営業表示の使用行為を差止めの対象となる行為として規定しているものであるところ、債務者らが第一ないし第三出版物にそれぞれ「究極の大選択」「究極の選択ゲーム」「超・究極の選択」という商品名(題号)を付していることは、前一のとおり争いがないが、究極の選択という名称は、本件言葉遊びを意味する一般名称として社会に定着していつたものであることは、前認定のとおりであるから、債務者らが究極の選択という遊びを内容とする第一ないし第三出版物(第一ないし第三出版物の内容が右のとおりであることは、前一のとおり争いがない。)に、右のとおり「究極の選択」という文言をその要部とする題号を付して販売した場合は、右題号は、単にその本の内容を表示するだけであつて、その本の出所を表示する機能又は自他商品識別機能を有しないものといわざるをえず、したがつて、債務者らが、第一ないし第三出版物に右各題号を付す行為は、商品表示又は営業表示の使用行為であるということをえないものである。
なお、疎甲第七一号証ないし第八三号証及び第八五号証によれば、債権者らが、
平成元年一〇月七日午前一時ないし三時放送の本件番組の前記コーナーを通じて、
本件番組の聴取者に対し、債権者書籍と債務者らの第一ないし第三出版物のいずれかとを実際に混同した事例があれば、ニツポン放送の右コーナーあてに葉書等で送つてほしい旨呼びかけたところ、実際に債権者書籍と誤認して債務者らの第一ないし第三出版物を購入してしまつたという趣旨の一三通の葉書が、ニツポン放送のもとに送られてきたことが認められる。ところで、右の葉書一三通という数字が、ニツポン放送の本件番組の全国における前認定の推定聴取者数に比べて多いか少ないかの議論はさておくとしても、このように一三通の葉書であれ、実際に誤認混同したと推認される事例が存在したという事実は、究極の選択という名称が債権者らの周知営業表示ないし周知商品表示には当たらないとの前認定、又は債務者らの第一ないし第三出版物における題号の使用が商品表示又は営業表示の使用行為ではないとの前認定に対する反証となりうると見る余地もある。そこで、更に検討するに、
本件番組の前記コーナーで放送された究極の選択という遊びをその内容として編集した債権者書籍が、ニツポン放送関連の会社から出版されたとの事実が、若者を中心として一般に知られるところとなつていつたことは、前認定のとおりであり、したがつて、ニツポン放送の本件番組の聴取者の中に、債権者書籍を購入しようとした人が多数存在したであろうことは想像するに難くないところである。しかしながら、ニツポン放送出版及び扶桑社が、究極の選択をその内容とする債権者書籍に付した題号は、前説示のとおり、「究極の選択」であつて、本件言葉遊びの一般名称にほかならず、それ自体、出所表示機能又は自他商品識別機能を有しないのであるから、「究極の選択」という題号の書籍を購入しようとする者は、題号のみからはその出所を識別することができず、したがつて、債権者書籍を購入しようとする場合には、例えば、「ニツポン放送の究極の選択」といつた識別方法を採らざるをえないものと認められるところであり、前認定のように、債権者書籍を購入しようとして間違えて債務者らの第一ないし第三出版物を購入した者がいたのは、むしろ、
債権者書籍の題号が出所表示機能又は自他商品識別機能を有しない題号であることに起因するものと認められるところである。したがつて、前認定のような混同の事例が存在することは、究極の選択という名称が周知営業表示ないしは周知商品表示であるか否かについての前認定判断を左右するものということはできない。
三 以上によれば、債権者らの本件申請は、その余の点について判断するまでもなく、理由がないので、これを却下することとし、申請費用の負担について民事訴訟法89条の規定を適用して、主文のとおり決定する。
追加
第一目録1商品の形態小型文庫版出版物2商品の名称「究極の大選択」3商品上の発行所の表示株式会社二見書房4商品の内容どちらも選択したくない二つの事柄を設問し、相手にその一つを無理に選ばせて会話を楽しむという趣向のいじわるクイズを集めて構成した書籍第二目録1商品の形態小型文庫版出版物2商品の名称「究極の選択ゲーム」3商品上の発行所の表示株式会社永岡書店4商品の内容どちらも選択したくない二つの事柄を設問し、相手にその一つを無理に選ばせて会話を楽しむという趣向のいじわるクイズを集めて構成した書籍第三目録1商品の形態小型文庫版出版物2商品の名称「超・究極の選択」3商品上の発行所の表示廣済堂出版4商品の内容どちらも選択したくない二つの事柄を設問し、相手にその一つを無理に選ばせて会話を楽しむという趣向のいじわるクイズを集めて構成した書籍
裁判官 清永利亮
裁判官 設楽隆一
裁判官 長沢幸男