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この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成17ワ14972不正競争行為差止等請求事件 平成17ワ22496損害賠償等請求事件 判例 不正競争防止法
関連ワード 周知表示混同惹起行為(2条1項1号) /  周知性 /  広く認識 /  需要者 /  営業地域 /  類似性(類似) /  混同のおそれ(混同) /  表示の使用 /  商業登記 /  差止請求(差止) /  既判力 /  営業上の利益 /  侵害 /  代理人 /  代表者 /  識別力 /  混同のおそれ(混同) /  品質等誤認表示(誤認) /  損害賠償 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 16年 (ワ) 20488号 不正競争行為差止等請求事件
原告 株式会社五分利屋
訴訟代理人弁護士 岡田暢雄 今西一男 山本正 遠藤憲子 岡田尚人
被告A
訴訟代理人弁護士 妹尾修一朗
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2005/03/23
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告は,その営業につき,「酒類五分利屋」,「酒のデパート五分利屋」,「酒五分利屋」,「五分利屋団地店」,「五分利屋梶v及び「五分利屋梶i酒店)」との表示を使用してはならない。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
請求
主文同旨
事案の概要
本件は,原告が,被告に対し,被告が「酒類五分利屋」,「酒のデパート五分利屋」,「酒五分利屋」,「五分利屋団地店」,「五分利屋梶v及び「五分利屋(酒店)」との営業表示を使用する行為につき,不正競争防止法2条1項1号,3条1項に基づいて,上記各表示の使用差止めを求めた事案である。
1 前提事実((2)の事実は弁論の全趣旨により認められ,その余の事実は当事者間に争いがない。) (1) 原告は,昭和26年11月10日,商号を「株式会社五分利屋」(以下「原告商号」という。)とし,和洋酒類調味料の販売等を目的として設立された株式会社であり,肩書住所地に所在する本店のほかに,東京都江東区所在の団地内支店(以下「団地店」という。)を有していたが,平成4年2月に同店を閉店した。
ただし,商業登記簿上は,平成16年2月24日,同支店の廃止登記がなされた。
(2) Bは,原告代表者の父であり,昭和26年11月10日から死亡する平成10年6月24日までの間,原告の代表取締役であった。
(3) 被告は,Bの妹であり,平成10年5月ころから,団地店(同支店廃止登記後は同支店所在地)において,自動販売機を設置し,居酒屋を経営することにより酒類を販売しており,その営業につき,「酒類五分利屋」,「酒のデパート五分利屋」,「酒五分利屋」,「五分利屋団地店」,「五分利屋梶v及び「五分利屋(酒店)」との営業表示(以下,これらの表示を併せて「本件営業表示」という。)を使用している。
2 原告の主張 (1) 周知性 ア 原告商号は,昭和初期,原告代表者の祖父が,原告の本店所在地において,薄利多売の営業方針を意味する「五分利屋」という営業表示を用いて酒類小売業を始めたことに由来する。
イ 原告は,酒類等の店頭小売販売のみならず,各種飲食店及び個人宅への配達業務を行っており,その配達区域は,東京都江東区,墨田区及びこれらの周辺地域である。原告従業員は,配達業務に際し,原告商号を付したシートを掛けたトラックを使用している。
また,原告は,東京都江東区大島,亀戸及び砂町の各地域において,概ね2週間に1回,原告商号を付した約5万枚のチラシを新聞折り込みにより配布している。
ウ したがって,原告商号は,東京都江東区,墨田区及びこれらの周辺地域(以下「本件営業地域」という。)において,需要者の間に広く認識されている。
(2) 類似性 原告商号のうち「株式会社」は,会社の種類を示すだけであるから,原告商号の要部は「五分利屋」である。
他方,被告が使用する本件営業表示のうち「五分利屋」以外の部分は,業種又は支店の名称を示すにすぎず,自他識別力を有しないから,本件営業表示の要部はいずれも「五分利屋」である。
したがって,原告商号と本件営業表示とは,要部が同一であり,類似する。
(3) 混同のおそれ 団地店の所在地は,原告の本店所在地から徒歩5分程度の距離にあり,原告の配達区域及びチラシ配布地域に包含される地域である。
また,被告は,団地店所在地において居酒屋を営業し,原告と同じ酒類を取り扱っている。
したがって,原告と被告とは,営業主体が同一であると誤認されるおそれが大きい。
(4) 営業上の利益侵害 ア 被告が,団地店において居酒屋を営業し,看板を東京都江東区大島6丁目団地内の共有地に立てたことにより,原告は,都市基盤整備公団(現,独立行政法人都市再生機構。以下同じ。)東京支社や上記団地の管理事務所から苦情を受け,近隣住民からも原告が契約違反行為をしているという誤解を受けており,その信用を著しく害されている。
イ 被告が,タウンページには「五分利屋梶v,ハローページには「五分利屋(酒店)」との表示を使用して電話番号を掲載しているため,原告の顧客がどの番号に架電したらよいか分からないという不都合が生じている。また,原告の得意先が被告の電話番号に架電したものの話がかみ合わず,後に原告に苦情が持ち込まれ,原告が,得意先を失ったこともあった。
ウ 被告の税務申告に関して,原告が税務署から指導を受けたり,原告の負担において団地店における酒類販売管理者を選任せざるを得ないなどの不都合が生じている。
エ したがって,原告の営業上の利益が害されている。
(5) 営業表示の使用権限について ア 被告は,平成15年5月19日,原告に対し,被告が団地店における酒類販売等の営業権を有することの確認等を求める訴えを提起したが,被告の請求をいずれも棄却する旨の判決(東京地方裁判所平成15年(ワ)第11122号同16年1月30日判決)がなされ,これに対して被告の提起した控訴が棄却され(東京高等裁判所平成16年(ネ)第1439号同年6月30日判決),さらに,被告の提起した上告が棄却され,上告受理の申立てを受理しない旨の決定(最高裁判所平成16年(オ)第1434号,同年(受)第1565号同年11月2日第三小法廷決定)がなされて,第一審判決が確定した(以下,これらの判決及び決定を総称して「本件確定判決」という。)。
イ(ア) 原告は,平成10年5月ころから,団地店に関して被告が負う賃料,電話料金及び組合費の各債務を立替払いしていた。
(イ) また,原告は,被告が原告に対して慰労金1億円の支払を求めて平成13年4月25日に提起した訴訟において,被告に対し,損害賠償金406万2000円及びこれに対する同年6月8日からの年5分の割合による遅延損害金の支払を求める反訴を提起したところ,被告の請求が棄却され,原告の請求を認容する旨の判決(東京地方裁判所平成13年(ワ)第8524号,同年(ワ)第11679号同14年3月26日判決)がなされ,これに対して被告の提起した控訴が棄却され(東京高等裁判所平成14年(ネ)第2485号同15年2月27日判決),さらに,被告の提起した上告が棄却され,上告受理の申立てを受理しない旨の決定(最高裁判所平成15年(オ)第876号,同年(受)第933号同年9月30日第三小法廷決定)がなされて,第一審判決が確定した。
(ウ) 原告は,平成16年1月15日,被告に対し,上記(ア)の立替金の未払分合計220万7500円並びに上記(イ)の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めるとともに,被告との間の一切の契約を解除する旨の意思表示をした。
3 被告の主張 (1) 原告の主張に対する認否 ア 原告の主張(1)のうち,原告商号を付したチラシの配布の頻度及びその枚数は知らない。その余は認める。
イ 原告の主張(2)及び(3)は認める。
ウ 原告の主張(4)は否認する。
エ 原告の主張(5)のうち,イ(ア)は否認し,その余は認める。
(2) 営業表示の使用権限について ア 原告は,平成10年ころ,被告に対し,団地店における営業権を譲渡したから,被告は本件営業表示を使用する権限を有する。
イ 本件確定判決は,原告が,真正に成立した文書である取締役会議事録(乙1)及び臨時株主総会議事録(乙2)について,いずれも偽造文書である旨の主張をし,これに沿う証拠を提出して,取得したものである。
したがって,本件確定判決は,原告が裁判所を欺罔して取得した本来あり得べからざる内容の確定判決であるから,その既判力は本件訴訟に及ばない。
当裁判所の判断
1 周知性について 証拠(甲13ないし15(引用する書証はいずれも枝番を含む。以下同じ。))及び弁論の全趣旨によれば,原告の主張(1)の事実が認められる。
したがって,原告商号は,本件営業地域において,周知といえる。
2 類似性及び混同のおそれについて 原告の主張(2)及び(3)の事実は,当事者間に争いがない。
したがって,原告商号と被告による本件営業表示とは類似しており,原告と被告とは営業主体が同一と誤認されるおそれが大きいといわなければならない。
3 営業上の利益侵害について 証拠(甲2ないし5,11,19,20)及び弁論の全趣旨によれば,@平成12年7月ころ,団地店の建物の賃貸人である都市基盤整備公団東京支社から,被告が団地店において本件営業表示を使用して居酒屋を営業していることについて,賃貸借契約上許可されていない業種を営業している上,近隣居住者から多数の苦情が寄せられているとして,原告に対して早急な是正を求める旨の文書が送付されたこと,A被告が,タウンページには「五分利屋梶v,ハローページには「五分利屋(酒店)」との表示を使用して電話番号を掲載している一方,原告も,上記記載に並列して,同様の表示を使用して電話番号を掲載していること,B被告の団地店における税務申告に関して,原告が税務署から指導を受けたり,原告において団地店における酒類販売管理者を選任したことがあったことが認められ,これに被告が本件営業表示の使用を継続していることを併せ考慮すれば,被告が本件営業表示を使用して団地店を経営していることにより,原告の営業上の利益侵害されているものといわなければならない。
4 営業表示の使用権限について (1) 被告は,平成10年ころ原告が被告に対して団地店における営業権を譲渡したとして,被告には本件営業表示を使用する権限がある旨を主張する。
しかしながら,本件確定判決(甲10)の既判力に基づき,被告が団地店における営業権を有しないことは明らかといえる。
したがって,被告が本件営業表示を使用する権限を有するとも認められないから,被告の上記主張は,採用の余地がない。
(2) この点について,被告は,本件確定判決は原告が不当に取得したものであるから,本件訴訟にはその既判力が及ばない旨主張する。
しかしながら,被告の上記主張は,前訴において被告が書証として申し出た文書(乙1,2)について,原告がその成立を争い,本件確定判決において偽造文書であると認定されたことが,真実に反するというものであり,詰まるところ,本件確定判決に対する不服をいうにすぎないから,到底,これを採用することはできない。
5 結論 以上により,原告の請求には理由があるから,これを認容することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 清水節
裁判官 榎戸道也
裁判官 田公輝
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