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関連ワード 信義則 /  差止請求(差止) /  営業上の利益 /  侵害 /  代理人 /  代表者 /  秘密管理(秘密管理性) /  秘密保持義務 /  有用性 /  非公知性 /  営業秘密 /  2条1項7号 /  2条1項8号 /  営業誹謗行為(2条1項14号) /  営業誹謗 /  不正の利益を得る目的(図利目的) /  損害賠償 / 
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事件 平成 16年 (ネ) 2672号 不正競争行為差止等請求控訴事件

控訴人(1審原告) パール工業株式会社
同訴訟代理人弁護士 松本徹
同 大田口宏
被控訴人(1審被告) 株式会社ノダアールエフテクノロジーズ
被控訴人(1審被告) CC
被控訴人(1審被告) BB
被控訴人ら訴訟代理人弁護士 松井俊輔
裁判所 大阪高等裁判所
判決言渡日 2005/02/17
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は、控訴人の負担とする。
事実及び理由
控訴の趣旨等
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人らは、第三者に対し、原判決別紙目録1ないし3記載の情報を開示し、又は使用してはならない。
3 被控訴人株式会社ノダアールエフテクノロジーズは、原判決別紙目録4記載の商品を廃棄せよ。
4 被控訴人らは、控訴人の取引先に対して、自ら行い又は第三者と共同して、
若しくは第三者をして、原判決別紙目録5記載の陳述を行ってはならない。
5 被控訴人らは、控訴人に対し、日本経済新聞に、原判決別紙謝罪広告記載の謝罪文を、その表題、控訴人・被控訴人らの名前及び商号は4号活字、その他は8ポイント活字で、引き続き2回掲載せよ。
6 被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して金1億円及びこれに対する平成14年10月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
7 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人らの負担とする。
8 仮執行宣言 (以下、控訴人を「原告」、「被控訴人株式会社ノダアールエフテクノロジーズ」を「被告会社」、被控訴人CCを「被告CC」、被控訴人BBを「被告BB」というほか、略称は、原判決のそれによる。また、原判決中に「別紙目録」とあるのを「原判決別紙目録」と読み替える。)
事案の概要
1 事案の要旨 (1) 本件は、原告が、被告ら(商品の廃棄請求については被告会社のみ。商法254条ノ3、264条違反に基づく損害賠償請求については被告CC及び被告BB)に対し、
ア 不正競争防止法3条1項、2項、2条1項7号(営業秘密の不正目的使用開示行為)、8号(営業秘密の不正開示後悪意転得行為)に基づき、原判決別紙目録1ないし3記載の情報(原告のアメリカ合衆国企業向けの特別仕様品である162MHz高周波電源装置に関する図面、高周波電源装置の製造技術、顧客情報)を開示し、又は使用することの差止め、及び同目録4記載の商品(プラズマ用VHF帯高周波電源NR5NP60M-01)を廃棄することを、
イ 不正競争防止法3条1項2条1項14号(競争者営業誹謗行為)に基づき、原告の取引先に対して、自ら行い又は第三者と共同して、若しくは第三者をして、原判決別紙目録5記載の陳述を行わないことを、
ウ 不正競争防止法7条2条1項14号(競争者営業誹謗行為)に基づき、日本経済新聞に、原判決別紙謝罪広告記載の謝罪文を、その表題、原告・被告らの名前及び商号は4号活字、その他は8ポイント活字で、引き続き2回掲載することを、
エ 不正競争防止法4条2条1項7号(営業秘密の不正目的使用開示行為)、同項8号(営業秘密の不正開示後悪意転得行為)、同項14号(競争者営業誹謗行為)、商法254条ノ3、264条(取締役の忠実義務・競業避止義務)違反又は民法709条(一般不法行為)に基づく損害賠償請求として、損害金2億7746万7484円の内金1億円及びこれに対する不正競争行為、商法上の上記義務違反行為又は不法行為後である平成14年10月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案である。
(2) 原審は、原告の請求をいずれも棄却し、これに対し、原告が本件控訴を提起した。
2 当事者の主張 当事者の主張(請求原因及びこれに対する認否)は、次のとおり訂正等するほかは、原判決の事実第2、1及び2(原判決2頁15行目から17頁11行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
【原判決の訂正等】 (1) 7頁末行の「60」の前に「甲」を加え、8頁25行目の「被告従業員」を「被告会社の従業員」と改める。
(2) 10頁1行目、11頁4行目、同7行目及び同11行目の各「上記」をいずれも「前記」と改め、同18行目の「被告ら」の次に「(商品の廃棄請求については被告会社のみ。商法254条ノ3、264条違反に基づく損害賠償請求については被告CC及び被告BB)」を加え、同21行目の「廃棄」を「廃棄すること」と改める。
(3) 12頁2行目の「又は」の前に「、商法254条ノ3、264条違反」を、同19行目の「さらに」の前に「すなわち、取締役は会社と委任関係にあり、
役員規定の改定により取締役に新たな義務を課す場合には当該取締役の了解が必要であるところ、被告BBは、役員規定第15条ニの制定に関知すらしていない。」をそれぞれ加える。
(4) 13頁15行目の「基盤」を「基板」と、17頁1行目の「業務提供」を「業務提携」とそれぞれ改める。
3 争点の概要 前記2によれば、原告の主張(請求原因)の要旨は、次のとおりであり、被告らは、(1)エのうち被告BBの取締役辞任日及び(2)ないし(10)を争っている。
(1) 当事者 ア 原告(昭和34年6月20日設立)は、電気機械の製造、光学機器並びに光学測定器の製造販売等を業とする株式会社である。
イ 被告会社(平成14年5月1日設立)は、プラズマ発生用高周波電源装置の製造及び販売、有害ガス除去装置用高周波電源装置の製造及び販売、直流電源装置の製造及び販売等を業とする株式会社である。
ウ 被告CCは、平成2年2月1日から平成14年3月11日まで原告の取締役であったが、現在は、被告会社の代表取締役である。
エ 被告BBは、平成9年1月27日から平成14年4月26日まで原告の取締役であったが、現在は、被告会社の代表取締役である。
(2) 秘密保持義務 被告BBは、原告の社員就業規則及び役員規定により、原告に対し、退任後も秘密保持義務を負う。
(3) 不正競争防止法2条4項(営業秘密) 原告の本件高周波電源装置情報(原判決別紙目録1(1)ないし(9)記載の本件装置に関する図面、同目録2(1)ないし(7)記載の原告が設計、製造している高周波電源装置一般における製造技術に関するノウハウ等)及び本件顧客情報(同目録3記載の原告が管理する顧客リスト、顧客名簿)は、有用性非公知性及び秘密管理性を有しており、不正競争防止法2条4項にいう「営業秘密」に該当する。
(4) 不正競争防止法2条1項7号(営業秘密の不正目的使用開示行為) 被告BBは、不正の競業その他の不正の利益を得る目的で、又は原告に損害を加える目的で、原告の営業秘密である本件高周波電源装置情報を、被告CC、
被告会社及び原告の競業企業であるダイヘンに対して、開示した。
(5) 不正競争防止法2条1項8号(営業秘密の不正開示後悪意転得行為) ア 被告会社及び被告CCは、被告BBが不正目的で開示していることを知りながら、被告BBから本件高周波電源装置情報を取得し、同情報を使用して原判決別紙目録4記載の商品(プラズマ用VHF帯高周波電源NR5NP60M-01)及びその他高周波電源装置を製造し、あるいは同情報をダイヘン又は高周波電源装置製造委託先の会社に開示した。
イ 被告会社は、原告の大阪本社従業員DD及び原告の東京事務所所長EEの不正目的を知りながら、同人らから本件顧客情報(DDから西日本関係、EEから東日本関係の顧客情報)を取得し、同情報を使用して、被告BB、被告CC及び被告会社の従業員らに、原告の顧客に対して、営業活動あるいは原判決別紙目録5(1)ないし(6)記載の文言を使用した誹謗中傷行為を行わせた。
(6) 不正競争防止法2条1項14号(競争者営業誹謗行為) 被告らは、自らあるいは第三者をして、原告の取引先に対し、「パール工業の今度の社長は器が小さい。」、「パール工業はBBがいなくなったので、今後開発できなくなる。人もどんどんやめていくだろう。」などと、原判決別紙目録5(1)ないし(6)記載の虚偽事実の陳述をした。
(7) 不正競争防止法3条1項、2項 ア 被告BBが被告会社に対して本件高周波電源装置情報を提示したことにより、被告会社は、原判決別紙目録4記載の商品を完成させた。被告CC及び被告会社が、本件高周波電源装置情報をダイヘンに対して開示したことにより、ダイヘンは、従前製造できなかった高周波電源装置を製造できるようになった。
イ 原告は、被告らの前記(6)記載の行為により、取引先を失った。
ウ 原告は、前記ア、イにより、営業上の利益を現に侵害されており、また、その他営業上の利益侵害されるおそれがある。
(8) 商法254条ノ3、264条(取締役の忠実義務・競業避止義務)違反 被告BB及び被告CCは、原告の取締役として在任中、次の行為をし、取締役に課せられている忠実義務及び競業避止義務に違反した。
ア 被告BB及び被告CC―原告の代表取締役に関する誹謗中傷行為 イ 被告CC―原告とダイヘンとの業務提携の妨害行為(ダイヘンからの業務提携の申込みを報告しなかったこと) ウ 被告CC―原告に関する誹謗中傷行為 エ 被告BB―原告の製造委託先に対する設立予定の被告会社との取引要請行為 オ 被告BB及び被告CC―被告会社の設立準備行為 カ 被告BB及び被告CC―原告従業員らに対する設立予定の被告会社への勧誘行為(従業員引抜き行為) キ 被告BB―京都大学教授からのDC電源装置の受注妨害行為(同教授からの同装置製造の見積もり依頼を報告しなかったこと) (9) 民法709条(一般不法行為) 被告BB、被告CC及び被告会社が行った前記(4)ないし(6)、(8)の各行為は、被告CCが原告退職後に行った原告従業員を被告会社への勧誘行為と併せて、
民法709条の不法行為に該当する。
(10) 損害 被告らの前記(4)ないし(6)、(8)及び(9)の各行為により、原告の平成14年4月1日から同年6月30日までの3か月間の高周波電源装置の売上は、同期間の前年売上高と比較すると、2億2376万4100円減少した。これを1年間に引き直して、原告の高周波電源装置に関する利益率31パーセントを乗じた額2億7746万7484円が原告の損害である。
当裁判所の判断
1 当裁判所も、原告の請求はいずれも理由がないものと判断する。
その理由は、次のとおり訂正等するほかは、原判決の理由1ないし5(原判決17頁13行目から39頁18行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
【原判決の訂正等】 (1) 請求原因(1)(当事者)、(2)(秘密保持義務)関係 ア 17頁17行目冒頭から同19行目の「(前同)」までを「甲第1号証の1、第24ないし第26号証、第90号証、第99号証、第109号証、乙第20号証、被告CC本人兼被告会社代表者(以下、単に「被告CC本人」という。)及び被告BB本人各尋問の結果(甲第109号証、乙第20号証、被告BB本人尋問の結果については、後記信用しない部分を除く。)」と改める。
イ 18頁1行目の「同人の」の次に「別件における本人尋問調書(甲第109号証)、)」を加える。
ウ 18頁8行目冒頭から19頁1行目末尾までを、次のとおり改める。
「 役員規定第15条ニについて検討する。
前記争いのない請求原因(2)イによれば、同規定は、平成14年4月22日の取締役会(役員会)における役員規定の改定により追加されたものである。しかるに、被告BBは、前記(1)イ記載のとおり平成14年4月26日に取締役を退任しているが、役員規定第15条ニが追加された同月22日の役員会に欠席していること(甲第26号証)、同役員会の議事録(甲第26号証)や改定後の役員規定(甲第3号証)の末尾署名欄には、役員らの署名押印がされていないこと、原告の取締役会(役員会)議事録の中には、欠席した役員も署名押印しているものがあること(甲第61、第62号証、第98号証)、被告BBが別件の本人尋問において、同月22日の役員会議事録が同月26日までに被告BBの机の上に置いてあるのを見たが、同月20日で退職し、残務のために出社していたので、読んでも仕方ないと思い、内容を読まずに署名押印しないまま、すぐに他へ回した旨供述していること(甲第109号証)からすると、被告BBは役員規定追加の事実を確知していたとは認め難く、他に原告が被告BBに対し、役員規定改定の事実を知らせた事実を認めるに足りる証拠はない。その他、被告BBが原告との間で役員規定第15条ニの義務を負うことの明示又は黙示の合意をしたことを認め得る根拠もない。
この点について、原告は、平成14年4月22日の取締役会の時点で、
被告BBは、原告の取締役であることに変わりがなく、退任後の秘密保持義務に関する規定(役員規定第15条ニ)を設けられることに反対することを希望するならば、取締役会に出席することが可能であったこと、被告BBは、同月26日まで原告事務所に出勤していたところ、上記取締役会の議事録は会議後に同人の机の上に置かれて、これに署名押印を求められていたにもかかわらず、署名押印をしなかった(甲第109号証)のであり、そもそも同規定を認識する機会は十分に存在していたこと、同規定の効力は、該当者の認識の有無にかかわらず、取締役会で決定された以上効力を生じるものであることからすると、同規定の効力は被告BBにも及ぶ旨主張する。
しかし、商法上、取締役と会社の関係は委任関係であって、法定の競業避止義務については、取締役の退任による委任関係終了後には及ばないとされていることからすると、委任関係の内容の一部である役員規定の改定によって、被告BBに退任後の秘密保持義務という新たな義務を課すためには、同人の了解が必要であるから、原告の上記主張は採用することができない。
また、従業員は、社員就業規則第25条により退職・解雇後も守秘義務が課されており、役員は、役員規定第15条ハにより在任中守秘義務が課されていること、上記のとおり取締役と会社の関係は委任関係であって、取締役は善管注意義務を負うと解されていることなどからすれば、取締役は、一定の範囲では退任後も引き続き在任中に知り得た会社の営業秘密を第三者にみだりに開示してはならないとの信義則上の義務を負っているということはできるが、そのことから直ちに、
取締役の退任後の守秘義務を定めた役員規定第15条ニが、被告BBの知らないままに、同人を拘束するということはできない。」 (2) 請求原因(3)(営業秘密)関係 ア 19頁13行目の「証人FFの証言」を「甲第46、第47号証、証人FFの証言及び弁論の全趣旨」と改める。
イ 19頁22行目冒頭から20頁3行目末尾までを、次のとおり改める。
「 高周波電源装置で、中電力又は小電力の高周波を複数の増幅器で並列に増幅し、各増幅器の出力を合成することにより大電力の高周波を発生させる場合、
大電力かつ高周波ゆえに、その作動安定性に欠けることがあるため、その解決手段として、増幅器からの出力の一部を入力側に送り戻して出力を安定させる帰還回路、複数の増幅器を並列して作動させるときに各増幅器のアンバランスをアンバランス回路を用いて検出し停止させる保護回路、耐反射電力性能を持たせるためのサーキュレータなどが取り付けられる。」 ウ 20頁20行目の「甲第69号証の1及び2」から21頁12行目末尾までを、次のとおり改める。
「 甲第23号証、第69号証の1及び2、甲第70、第71号証、第95号証、第110ないし第124号証、第128、第129号証、第132号証、乙第19、第20号証、第32号証、証人FFの証言、被告CC本人及び被告BB本人各尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(ア) 原告には、平成14年3月当時、約100名程度の従業員がおり、
そのうち、高周波電源装置を扱うRF部門には、35ないし40名の従業員がいた。
原告では、その製造している各種装置の図面は、原告の本社建物5階の開発設計部門がある設計室のキャビネットで保管することとなっていた。同5階には、エレベーターを降りてすぐの場所に、「厳守業者立入禁止」、設計室の入口には、「厳守業者立入禁止」、「関係者以外立入禁止」及び「立入禁止工場内」とそれぞれ記載したボードが掲示されており、外注業者等の部外者は、原則として自由に出入りすることができないようになっていたが、原告従業員は、設計室に入ることについて特段制限されていなかった。図面が保管されているキャビネットには、「持ち出しはダメ。」、「持ち出しお断り 設計の方以外は5階以外への持ち出しをお断りします。設計の方も早く戻して下さい。」とそれぞれ記載された張り紙があり、一般従業員は設計室で図面を閲覧することが認められており、開発設計部門の従業員には設計室からの持出しも認められていた。上記キャビネット自体は施錠されておらず、各図面には、特に秘密として扱われるべきことが明らかとなるような印等は付されていなかった。
(イ) 原告では、各従業員にパソコンが配布されており、各種装置の図面の電子データは、原則としてランサーバーに保存することになっていたが、実際には、当該図面を必要とする従業員のパソコンにおいて保存されていることもあった。ランサーバーのアクセス権限は、開発設計部門の従業員に限定されていたため、他部門の従業員は、ランサーバーに保存されている図面を自由に閲覧することはできなかった。これに対し、開発設計部門の従業員に配布されていたパソコンには、図面の読み込みに必要なCADソフトがインストールされていたため、他部門の従業員は、当該パソコンを立ち上げる際に、所定のパスワードを入力することにより、同パソコン内に保存されている図面を閲覧することが可能であった。原告は、実際問題として、各種装置の図面の電子データを必要とする従業員が配布されたパソコンに当該図面を保存することを制限したことはなく、あるいは図面の電子データの取扱いに格別の指示をしたこともない。」 エ 21頁18行目の「締結したこともない。」の次に「この点について、
原告は、他社と秘密保持契約を締結していたと主張し、その証拠として機密保持契約書等(甲第125ないし第127号証)を提出している。しかし、上記各契約書によっても、当該契約が高周波電源装置の製造に関する技術を対象とするものであるか不明である上、そもそも他社から原告が技術指導を受けたことに基づいて締結された契約であるとは認め難いから、原告の上記主張は採用することができない。」を加える。
オ 22頁1行目冒頭から同2行目末尾までを、次のとおり改める。
「 これらの文書(組立要領書等)は、前記設計室のキャビネットに保管されており、その保管状況は、前記図面のそれと同様であって、各文書には、秘密として扱われるべきことが明らかになるような印等は付されていなかった。」 カ 22頁15行目末尾の次に改行して、次のとおり加える。
「 もっとも、原告において、平成8年以降、アイデア等を書面化して確定日付を付してこれを保管するという処理をしたのは3件のみであり、平成11年3月以降は同処理をしたものはない。その一方で、原告においては、重要アイデアのうち特許取得が可能で、原告の経営戦略上有用なものについては特許出願を行うという運用がされていたが、本件高周波電源装置の製造に関する技術について特許出願がされた形跡もない。」 キ 24頁9行目冒頭から同16行目末尾までを、次のとおり改める。
「 また、前記アのとおり、高周波電源装置の製造においては、帰還回路、
保護回路及びサーキュレータの設置や、各種調整を行う必要があること、半田付け等は的確に行うべきであることはいずれも周知のことであり(ちなみに、原告では、本件高周波電源装置の製造に関する技術について特許出願をしていない。)、
その上、本件高周波電源装置情報については、特に書面化して確定日付を付してこれを保管するという処理もされていなかったのであるから、原告自身、本件高周波電源装置情報について営業秘密性があるとは認識していなかったと考えられ、従業員が、これを営業秘密と認識することはできなかったというべきである。」 (3) 請求原因(6)(競争者営業誹謗行為)関係 ア 25頁2行目の「甲第6号証」から同4行目末尾までを「前記2(2)アで認定した事実、甲第6号証、第8、第9号証、第11ないし第14号証、第22号証、第26号証、第58号証、乙第5、第6号証及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。」と改め、同13行目の「平成14年1月」の次に「24日」を、同21行目の「原告従業員ら」の前に「原告代表者の陳述書(甲第22号証)及び」をそれぞれ加える。
イ 25頁23行目冒頭から26頁5行目末尾までを、次のとおり改める。
「 しかしながら、@原判決別紙目録5(1)ないし(6)記載の発言が被告らあるいは被告会社関係者によって告知されたとする原告代表者(甲第22号証)及び原告従業員ら(甲第6号証、第8、第9号証、第11ないし第14号証)の各陳述書はいずれも、誰が発言したか不明のまま被告らによってなされたと原告従業員が推測しているか、取引先の従業員から被告らが発言していると原告従業員が聞いたというものであり、その推測を裏付ける的確な証拠はないこと、A当該取引先従業員はいずれも、そのようなことを原告従業員に述べた事実はないと述べていること(乙第4ないし第6号証、被告CC本人尋問の結果)、B被告CC及び被告BBが、被告会社従業員に、営業活動に際し原告の誹謗中傷行為をしないように注意していたとしていること(乙第19、第20号証、被告CC本人及び被告BB本人各尋問の結果)を考慮すると、上記原告代表者及び原告従業員らの各陳述書の記載内容をもって、被告らが原告主張の誹謗中傷行為をしたとは認め難い。そして、他に同行為を認めるに足りる証拠はない。」 (4) 請求原因(8)(取締役の忠実義務・競業避止義務違反)関係 ア 26頁10行目の「甲第64号証」から同12行目末尾までを「甲第22号証、第58号証、第64号証、第75号証、第79、第80号証(後記信用しない部分を除く。)、第109号証、乙第21ないし第23号証、証人FFの証言、被告CC本人及び被告BB本人各尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。」と改め、同18行目の「N.SS」の次に「(以下「SS」という。)」を加える(以下、原判決中に「N.SS」とあるのをすべて「SS」と改める。)。
イ 27頁18行目の「甲第1号証の2」から同21行目末尾までを「甲第1号証の2、甲第3号証、第7号証、第22号証、第29号証、第57、第58号証、第59号証の1及び2、甲第60ないし第63号証、第77号証、第87、第88号証の各2、乙第19号証、被告CC本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。」と改める。
ウ 28頁23行目の「案件では」を「案件は」と、29頁7行目の「営業課長」を「業務課長」とそれぞれ改め、同22行目の「文書」の次に「(甲第58号証)」を加え、30頁5行目の「営業本部長等」を「取締役相談役」と改める。
エ 31頁20行目冒頭から同25行目末尾までを「甲第20号証、第76号証(後記信用しない部分を除く。)、第86号証(前同)、第90号証、第109号証、乙第23号証、被告CC本人及び被告BB本人各尋問の結果によれば、平成14年4月3日に、原告から高周波電源に関する仕事を受注している株式会社デュアル電子工業の技術部長のW.GG(以下「GG」という。)と、被告BB及び被告CCが会食した事実が認められる。」と改める。
オ 32頁1行目の「GGは、」を「GGの」と、同2行目の「陳述書において」を「陳述書には」と、同5行目から6行目にかけての「なされたことなどを陳述する。」を「なされたことなどの記載がある。」と、同7行目の「日付は入っていないものの」を「作成年月日付欄には「平成14年」と記載されているが、月日の記載がないものの」とそれぞれ改め、同9行目の「被告CC」の前に「同年5月14日以前に」を加え、同11行目の「甲第76号証及び第86号証」を「GG(甲第76号証、第86号証)及び被告BB(乙第23号証、第32号証)の各陳述書」と、同20行目の「陳述内容」を「陳述書の記載内容」とそれぞれ改める。
カ 32頁20行目末尾の次に改行して、次のとおり加える。
「 したがって、平成14年4月3日、被告BBが、GGに対し、今後新しく設立する被告会社と取引をするよう要請した事実は認められない。」 キ 32頁22行目の「甲第1号証」から同24行目末尾までを「前記1(1)イの認定事実、前記(2)ア(ウ)の認定事実、甲第4号証、第22号証、第27、第28号証、第58号証、第109号証、乙第19、第20号証、第22号証、第24号証、被告CC本人及び被告BB本人各尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、
次の事実が認められる。」と改め、同25行目の「前記(2)ア(ウ)記載のとおり、」を削る。
ク 33頁10行目の「RF部門の営業部長であった」を削り、同21行目の「T.UU」の次に「(以下「UU」という。)」を、同行目の「Y.JJ」の次に「(以下「JJ」という。)」をそれぞれ加え(以下、原判決中に「Y.JJ」とあるのをすべて「JJ」と改める。)、同23行目の「手続」を削り、同24行目の「T.UU」を「UU(原告の取引先の元従業員)」と改める。
ケ 34頁14行目の「上記」を「前記」と改め、同23行目の「取引先の者」の次に「(GG)」を、同25行目の「証拠にはならず」の次に「(ちなみに、GGの前記陳述書(甲第20号証、第76号証、第86号証)には、被告会社の工場に関する記載が全くない。)」をそれぞれ加える。
コ 35頁4行目の「甲第10号証」から同7行目末尾までを「甲第10号証、第81号証、第90号証、第92、第93号証、第106号証、乙第7ないし第11号証、第24ないし第27号証、証人FFの証言、被告CC本人及び被告BB本人各尋問の結果によれば、次の事実が認められる。」と、同13行目の「LL、QQ及びP.MM」を「K.LL、X.QQ及びP.MM(以下「MM」という。)」と改める(以下、原判決中に「P.MM」とあるのをすべて「MM」と改める。)。
サ 36頁16行目の「上記」を「前記」と改める。
(5) 請求原因(9)(一般不法行為)関係 ア 39頁2行目の「請求原因(4)ないし(6)、(8)記載の各行為」を「請求原因(4)及び(5)の各行為については、その前提である不正競争防止法2条4項にいう「営業秘密」の要件を欠いており、また、同(6)及び(8)の各行為」と改める。
イ 39頁17行目末尾の次に改行して、次のとおり加える。
「 もっとも、原告は、MMは原告において有害ガス除去装置用高周波電源装置を担当できる貴重な存在であり、RF部門にとって、MMが引き抜かれることは大きな経済的損失になると主張する。しかし、MMの引抜きが原告に及ぼす影響を客観的に明らかにする資料はなく、原告の上記主張は採用することができない。」 2 前記のとおり、被告BBは、取締役退任後の秘密保持義務を定めた役員規定15条ニの拘束は受けないものの、社員就業規則第25条、役員規定第15条ハ及び信義則により、原告の取締役を退任した後も原告に対する守秘義務を負っている。しかし、本件高周波電源装置情報及び本件顧客情報は、いずれも、アクセスした者がこれらが営業秘密であることを認識できるような手段は講じられておらず、
また、これらにアクセスできる者の限定が十分ではなかったから、不正競争防止法2条4項の「営業秘密」であるとはいえない。したがって、本件高周波電源装置情報及び本件顧客情報が上記「営業秘密」であることを前提とする、原告の同法2条1項7号、8号に関する主張は、いずれも、その前提を欠くから理由がない。
また、被告らが原告主張の競争者営業誹謗行為を行ったこと、被告らが取締役の忠実義務又は競業避止義務に違反したことを認めるに足りる証拠はない。そして、被告らに民法上の不法行為を構成する違法行為があったともいえない。
3 その他、原審及び当審における当事者提出の各準備書面等に記載の主張に照らし、原審及び当審で提出、援用された全証拠を改めて精査しても、当審及び当審の引用する原審の認定判断を覆すに足りるものはない。
4 以上の次第で、原告の請求をいずれも棄却した原判決は相当であって、本件控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(当審口頭弁論終結日 平成16年12月8日)
裁判長裁判官 竹原俊一
裁判官 小野洋一
裁判官 長井浩一
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