関連ワード | 周知表示混同惹起行為(2条1項1号) / 周知性 / 需要者 / 類似性(類似) / 外観 / 観念 / 混同のおそれ(混同) / 表示の使用 / 差止請求(差止) / 営業上の利益 / 逸失利益 / 弁護士費用 / 侵害 / 代理人 / 得べかりし利益 / 識別力 / 混同のおそれ(混同) / 品質等誤認表示(誤認) / 損害賠償 / 損害額 / |
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事件 |
平成
16年
(ワ)
22844号
不正競争行為差止等請求事件
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原告 中央環境株式会社 訴訟代理人弁護士 川崎真樹子 被告 中央補償株式会社 訴訟代理人弁護士 東松文雄 |
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裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2004/12/06 |
権利種別 | 不正競争 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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請求
1 被告は,建築及び土木工事に伴う環境調査,環境調査による査定及び清算,測量にかかわる計画,設計及び施行並びに消防設備の工事及び点検の営業につき,「中央補償株式会社」との商号及び「中央補償」との表示を使用してはならない。 2 被告は,東京法務局新宿出張所平成16年5月26日受付をもってした被告の設立登記中,「中央補償株式会社」との商号の抹消登記手続をせよ。 3 被告は,原告に対し,金669万7200円及びこれに対する平成16年11月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 |
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当事者の主張
1 請求原因 (1) 当事者 ア 原告は,商号を「中央環境調査株式会社」とし,建築及び土木工事における環境調査等を目的として,昭和50年12月18日に設立され,昭和59年12月1日に商号を「中央環境株式会社」に変更した株式会社であり,建設工事に関する多種多様な問題に伴う環境調査業務,特に家屋調査,物件調査,騒音,振動調査,水質調査及び測量等の業務を行っている。 イ 被告は,建築及び土木工事における環境調査等を目的として平成16年5月26日に設立された株式会社であり,原告と同一の事業を行っている。 (2) 原告の商号等の周知性 原告の業務は,官公庁,ゼネコンをはじめとする建設会社を需要者とするものである。原告の売上高は,平成14年度が3億5235万4341円,平成15年度が4億2209万9633円,平成16年度が3億7104万3807円であり,原告の商号である「中央環境株式会社」及びその略称である「中央環境」は,原告の営業表示として,東京都,神奈川県,千葉県及び埼玉県の建設業者等の需要者に広く認知されている。 (3) 被告の行為 被告は,原告と同一の事業を行うにつき,「中央補償株式会社」との商号及びその略称である「中央補償」を営業表示として使用しているが,これらの営業表示は,原告の周知な営業表示である「中央環境株式会社」及び「中央環境」と類似するから,被告の上記使用行為は,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号所定の不正競争行為に該当する。しかも,被告は,原告の会社案内と同一の内容の会社案内を作成し,あたかも原告が「多種多様の時代に即し,新会社」として被告を設立したかのような記載をして,原告の取引先に対し,原告の営業と被告の営業の主体を誤認,混同させている。 (4) 損害 原告は,被告の上記行為により営業上の利益を侵害されたが,これによる損害額は次のとおりである。 ア 逸失利益 69万7200円 被告は,被告を原告と誤認した取引先との間で,建設工事に伴う環境調査である近隣家屋調査業務を請け負っており,その請負代金は合計129万4400円である。そして,同調査業務の利益率は50%であるから,原告の得べかりし利益は69万7200円である。 イ 信用毀損 500万円 被告は,「中央補償株式会社」という商号の使用行為により,原告の信用を毀損した。 ウ 弁護士費用 100万円 (5) まとめ よって,原告は,被告に対し,不競法2条1項1号,3条及び4条に基づいて,「中央補償株式会社」との商号及び「中央補償」との表示の使用差止め,「中央補償株式会社」との商号の抹消登記手続並びに損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成16年11月3日から支払済みまでの民法所定の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 請求原因に対する認否 (1) 請求原因(1)のうち被告が原告と同一の事業を行っていることは否認し,その余は認める。 (2) 請求原因(2)のうち,原告の売上高は知らない。その余は否認する。 (3) 請求原因(3)のうち,被告が「中央補償株式会社」という商号を使用していることは認めるが,その余は否認する。 (4) 請求原因(4)は否認する。 (5) 請求原因(5)は争う。 |
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当裁判所の判断
1 請求原因(1)アの事実及び被告が「中央補償株式会社」との商号を使用している事実は,当事者間に争いがない。 2 そこで,原告の商号及びその略称として原告が主張する「中央環境」と被告の商号との類否について検討する。 原告及び被告の各商号のうち,「中央環境」部分と「中央補償」部分が,それぞれ一体として需要者の注意を惹く部分であると認めるのが相当である。「株式会社」部分は自他識別力を有しない。 そこで,「中央環境」と「中央補償」とを対比すると,前者は,周囲の事物を意味する「環境」の語頭に真ん中を意味する「中央」を付したものであるのに対して,後者は,損害や出費を金銭等で補うことを意味する「補償」の語頭に「中央」を付したものであるから,両者は観念において相違し,また,外観,称呼においても相違する。両者は,「中央」との部分が共通するが,会社名において,「中央」を使用する例は数多く見られ,真ん中を意味する語であって,さほど識別性が高いと解することはできないことから,同部分が共通であることによって,両者の全体が類似するとみることはできない。 したがって,原告の商号及びその略称として原告が主張する「中央環境」と被告の商号とが類似するとは認められない。 同様に,原告が被告の営業表示であると主張する「中央補償」も原告の商号等に類似するとは認められない。 なお,原告は,被告の会社案内に原告の会社案内と同一の内容が記載されている旨を主張するが,このような事情は,不競法2条1項1号の不正競争行為の有無に関する判断を左右するものとはいえない。 3 よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求には理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 飯村敏明 |
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裁判官 | 榎戸道也 |
裁判官 | 田公輝 |