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事件 平成 22年 (ワ) 8605号 損害賠償請求事件
高知県四万十市<以下略>
原告株式会社ウェルネス四万十研究所 東京都中央区<以下略>
被告FC・ジャパン・ホールディングス株式会社
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2011/03/10
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1被告は,原告に対し,1634万8045円及び内金1600万円に対する平成22年1月8日から支払済みまで年6分の割合による金員を,内金34万8045円に対する同月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を,それぞれ支払え。
2原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は,これを20分し,その9を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
全容
第1請求被告は,原告に対し,3000万円及びこれに対する平成22年1月7日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要1請求原因(1)債務不履行に基づく損害賠償請求ア原告と被告は,平成20年3月7日,以下の内容の,日本国産冬虫夏草の健康補助食品に関する長期売買契約(以下「本件契約」という )を締。
結した。
[第1条 (商品概企画)]原告が生産販売する商品は,財団法人日本食品分析センターにて分析(「」 した成分分析表記載の高知県の高山で株式会社CNR 以下 CNR社という )と提携生産している冬虫夏草を主原料とし,日本古来の漢方 。
ヨモギ末を副材とした次のとおりの商品(以下「原告商品」という )。
である。
内容量66g(300mg220粒)仕様直径9mm丸錠コーチングなし遮光ビン金キャップ,専用ラベル,専用化粧箱服用料1日目安6〜8錠原材料(8錠中),() 冬虫夏草1280mg殺菌 マイクロパウダー 5μヨモギ粉末270mgアシタバ末120mg賦形材730mg(試作により変動)計2400mg[第2条 (商品製造製薬会社) ]原告の商品委託製造会社は,芳香園製薬株式会社(以下「芳香園」という )とする (一部省略) 。。
[第3条](省略)[第4条 (類似商品等の販売禁止) ]原告は,被告の同意なく,同等の商品及び類似商品を被告以外の者に供給してはならないものとし,また,同様の商品を製造する業者に原料の供給をしてはならないものとする。
[第5条 (売買価格)]原告商品の売買価格は,1個1700円(消費税込み)と定め,被告の指定する配送センターまでの輸送費は原告の負担とする (以下省略)。
[第6条 (被告の注文指示)]被告は,原告に対する初回の注文については次のとおりとし,次回以降は,少なくとも3か月前に生産数量及び納品期日を文書(FAX)で指示しなければならないものとする (以下省略)。
[第7条 (売買代金の決済)]原告商品の売買代金の決済は,月末締めの翌月末支払とし,被告は,原告に対し,下記の口座に振り込み支払うものとする (以下省略)。
[第8条 (売買契約期間)]原告及び被告は,本契約は長期定時生産売買を基本とし,契約を解除するときは,3か月前に相手方に文書により申し入れなければならないものとする。
[第9条 (省略)][第10条 (守秘義務)]原告及び被告は,本契約に規定した売買価格等契約内容その他の情報を第三者に漏洩してはならない。
[第11条第14条 (省略)]イ被告は,平成20年4月22日,本件契約に基づき,原告に対し,原告商品3万個を,納品時期を同年5月から7月まで,各月末日限り各1万個と定めて,発注(以下「本件発注」という )した(以下,本件発注に基 。
づく原告商品のことを,上記納品時期にあわせて「5月分の原告商品」などということがある。。)ウ原告は,平成20年5月28日,被告に対し,5月分の原告商品1万個を納品した。
エ原告は,6月分及び7月分の原告商品(合計2万個)を製造するため,平成20年5月31日までに,CNR社から,原告商品の原料である冬虫夏草800kg(CNR社において5ミクロン(5μ)の大きさのマイクロパウダー(微細粉末)に加工したもの)を,代金1600万円で購入した。
オ被告は,平成20年6月8日,原告に対し,在庫があるので6月分及び7月分の原告商品の納品をしばらく待つよう通知し,原告商品の受取りを拒んだ(以下「本件通知」という。。)カ原告は,本件通知を受けて,CNR社に対し,上記エの冬虫夏草の返品を申し入れた。しかしながら,上記冬虫夏草は,上記エのとおり既にマイクロパウダー化され,他の用途に使用することが困難な状態となっていたため,CNR社は,返品に応じなかった。また,後記(2)のとおり被告が原告に無断で原告商品の粗悪な模造品を販売したため,冬虫夏草の健康食品の信用は失墜し,原告において原告商品の新たな販売先を開拓することは困難である。
キ仮に,被告が本件通知によって6月分及び7月分の原告商品の受取りを拒まなければ,原告は,6月分及び7月分の原告商品を被告に販売することによって,次のとおり合計700万円の利益を得ることができた。
?原告商品1個当たりの製造原価1320円(冬虫夏草原料 704円)(加工費(ヨモギ,明日葉,賦形材含む)573円)(化粧箱 26.4円)(ラベル印刷代 9.2円)(輸送代 8円)?原告商品1個当たりの雑費30円?原告商品の被告に対する販売価格1700円({}) ?原告商品1個当たりの原告の販売利益350円 ?- ?+??6月分及び7月分の原告商品の販売に700万円(?×2万個)よる原告の利益クよって,原告は,被告に対し,被告の債務不履行(被告が,本件通知をし,6月分及び7月分の原告商品の受取りを拒んだこと)に基づく損害賠償として,2300万円(上記エの冬虫夏草の購入費1600万円及び上記キの逸失利益700万円の合計額)及びこれに対する訴状送達の日である平成22年1月7日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(2)不正競争防止法(以下「不競法」という )2条1項3号違反に基づく損 。
害賠償請求ア原告商品は,瓶の容器に入れられ,その容器が化粧箱に納められた状態で,販売されている。原告商品の容器及び化粧箱の形態は,別紙1ないし6の「原告商品」の写真のとおりである。
イ被告は,大栄トレーディング株式会社(以下「大栄トレーディング」という )から,冬虫夏草の健康補助食品(以下「被告商品」という )を購 。 。
入し,平成20年6月から同年12月までの間に,被告商品を合計2万1000個販売した。
ウ被告商品は,瓶の容器に入れられ,その容器が化粧箱に納められた状態で販売された 被告商品の容器及び化粧箱の形態は 別紙1ないし6の 被 。 ,「告商品」の写真のとおりである。
, エ原告商品の容器及び化粧箱の形態と被告商品の容器及び化粧箱の形態は次のとおり実質的に同一であり,被告は,原告商品の容器及び化粧箱の形態に依拠して被告商品の容器及び化粧箱の形態を作り出したものである。
(ア)容器について原告商品の容器と被告商品の容器とは,前者が「日本国産」と表示しているのに対し後者は「日本製」と表示している点が異なるほかは,形状,寸法,色,遮光瓶,金キャップ,ラベルの図柄,配置,色彩,商品内容の表示のいずれも,同一である。
(イ)化粧箱について原告商品の化粧箱と被告商品の化粧箱とは,前者が「日本国産」と表「」 , 示しているのに対し後者は 日本製 と表示している点が異なるほかは形状,寸法,色,全体の図柄,配置,色彩,商品概要説明の表示のいずれも,同一である。
オ原告商品1個当たりの原告の販売利益は,前記( )キのとおり350円で1ある。
カよって,原告は,被告に対し,不競法2条1項3号違反による損害賠償,( ) として 700万円 2万1000個×350円=735万円の一部請求及びこれに対する訴状送達の日である平成22年1月7日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2請求原因に対する認否( )請求原因( )(債務不履行に基づく損害賠償請求)について11ア請求原因( )アないしウの事実は認める。 1イ請求原因( )エないしキの事実及び主張は,否認ないし争う。 1( )請求原因( )(不競法2条1項3号違反に基づく損害賠償請求)について 22ア請求原因( )アの事実は認める。 2イ請求原因( )イの事実のうち,被告が大栄トレーディングから被告商品 2を購入し,これを販売したことは認め,被告が販売した被告商品の個数については否認する。被告は,平成20年4月10日付けで大栄トレーディングに対して被告商品2000個の製造を依頼し,同社から同数の被告商品の納品を受けたが,納品を受けた被告商品のうち被告において販売した被告商品の数は,500個程度である。
ウ請求原因( )ウの事実は認める。
2エ請求原因( )エの事実ないし主張のうち,原告商品の容器及び化粧箱の 2形態と被告商品の容器及び化粧箱の形態が類似していることについては争わない。これは,被告が,当時,商品の包装のデザイン等を決めることに関与し,そのデザイン等の権利が被告にあるものと考えていたため,他社製造に係る同種商品についても同じデザイン等を用いることができ,その方が面倒でないと安易に考えたためである。被告が原告商品の容器及び化粧箱の形態を模倣したとの主張については,争う。
オ請求原因( )オの事実及び主張は,否認ないし争う。
23抗弁( )原告の債務不履行による解除(抗弁( ))1 1ア被告は,原告から仕入れた原告商品を被告の会員に販売した。しかしながら,原告商品における冬虫夏草の成分は,本件契約の第1条で定めたものよりも少なく,ヨモギや明日葉(アシタバ)の成分が多いものであったため,被告から原告商品を購入した会員の評判は極めて悪く,これでは冬虫夏草とはいえないなどとして,被告に対する返品等が相次いだ。
イまた,原告代表者は,本件契約の第10条に違反して,被告の会員数名に対し,本件契約における原告商品の売買価格が1個当たり1700円であることを漏らした。
ウそこで,被告は,平成20年5月中旬ないし下旬に,原告に対し,原告の上記債務不履行(本件契約の第1条及び第10条違反)を理由として,本件契約を解除する旨の意思表示をした。
( )和解(抗弁( ))22ア原告と被告は,原被告間の高知地方裁判所中村支部平成21年(ワ)第30号売買代金請求事件について,同裁判所において,平成21年5月29, (「」。)。 日 次のとおりの内容の裁判上の和解をした 以下 別件和解 という?被告は,原告に対し,和解金として208万4000円の支払義務があることを認める。
?被告は,原告に対し,上記?の金員を,次のとおり分割して,原告名義の普通預金口座に振り込んで支払う。
平成21年6月15日限り52万円同月30日限り52万円同年7月15日限り52万円同月31日限り52万4000円?被告が上記?の分割金の支払を1回でも怠ったときは,当然に期限の利益を失い,被告は,原告に対し,208万4000円から既払金を控除した残金及びこれに対する期限の利益を失った日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払う。
?原告は,その余の請求を放棄する。
?原告及び被告は,原告と被告の間には,本件に関し,この和解条項に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。
?訴訟費用は各自の負担とする。
イ別件和解は,同和解条項に定めるもののほかに原被告間に何らの債権債務がないことを相互に確認したものである。したがって,上記和解金のほかに被告が原告に対して損害賠償債務を負うものではない。
4抗弁に対する認否( )抗弁( )(原告の債務不履行による解除)について11抗弁( )アないしウの事実は否認する。 1( )抗弁( )(和解)について22ア抗弁( )アの事実は認める。 2イ抗弁( )イの事実及び主張は,否認ないし争う。別件和解の第5項(上 2記?)は 「原告及び被告は,原告と被告の間には,本件に関し,この和 ,解条項に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する 」と定めたものであり,この「本件」とは,別件和解に係る民事訴訟 。
( ) 事件 高知地方裁判所中村支部平成21年(ワ)第30号売買代金請求事件のことである。したがって,別件和解によって清算がされたのは,上記民事訴訟事件に関するものに限られ,別件和解によって被告の原告に対する損害賠償債務が消滅したものではない。
第3当裁判所の判断1債務不履行による損害賠償請求について( )認定事実1ア請求原因( )アないしウの事実は,当事者間に争いがない。 1イ上記争いのない事実に加え,証拠(甲1,4〜7,15,原告代表者,被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(ア)本件契約において,被告は原告商品を注文する場合には原告に対して少なくとも3か月前に生産数量及び納品期日を文書で指示しなければならないと定められている(同契約・第6条 。これは,本件契約が, )原告の手元に常に在庫があるとか短時間で入手することのできる商品を販売するといったものではなく,原告が,本件契約に基づく被告の注文を受けて,CNR社から原材料である冬虫夏草(昆虫などに寄生して成長するキノコの一種)を購入し,これを,CNR社において,原告商品,, に使用するために5μの大きさの粉末に加工した上で 芳香園に搬送し芳香園において,上記粉末にヨモギ粉末や明日葉粉末を加えるなどして錠剤の形に加工した商品(原告商品)を被告に納品する,という手順をとることを前提としており,CNR社から原材料を入手するための期間や,芳香園における上記加工作業におおむね40日程度を要することなどを考慮したためである。
,, , (イ)原告は 本件契約成立時に 被告から原告商品1万個の発注を受け平成20年4月5日,被告に対し,原告商品1万個(以下「4月分の原告商品」という )を納品した。。
, , (ウ)原告は 本件契約に基づき平成20年4月22日に本件発注を受けこのうち5月分の原告商品については,同年5月28日に被告に納品した。原告は,本件発注を受けた商品のうち6月分及び7月分の原告商品2万個を製造するため,同月31日までに,CNR社から,冬虫夏草800kg(CNR社において5μの大きさのマイクロパウダーに加工したもの)を,代金1600万円で購入した。
(エ)原告は,芳香園において加工作業を行うため,上記冬虫夏草をCNR社から芳香園に搬送する段階にあった。ところが,被告は,平成20年6月8日ころ,原告に対し,在庫があるので本件発注に係る6月分及び7月分の原告商品の納品をしばらく待つよう通知し,原告商品の受取りを拒んだ(本件通知 。)(オ)原告は,本件通知を受けて,CNR社に対し,上記(ウ)の冬虫夏草の返品を申し入れた。しかしながら,上記冬虫夏草は,既に原告商品の原料として使用するためにマイクロパウダー化され,他の用途(錠剤以) ,, 外の用途 に使用することが困難な状態となっていたため CNR社は返品に応じなかった。また,原告において被告以外の原告商品の新たな販売先を開拓することは,困難である。
(カ)原告は,被告に対し,予定どおり6月分及び7月分の原告商品を納品したいので,これを受け取ってほしいと伝えようとしたものの,被告に連絡がつかなかった。また,被告は,原告が被告に納品した4月分及び5月分の原告商品の代金についても,その一部を支払わなかった。
被告は,その後,後記のとおり,原告商品の容器等の形態を模倣した被告商品を販売するなどしたこともあり,本件発注に係る上記原告商品の納品を求めることはなかった。
(キ)そのため,原告は,上記未払代金の回収等を弁護士に依頼し,同弁, ,, 護士は 平成20年10月9日付けの内容証明郵便により 被告に対し4月分及び5月分の原告商品の未払代金(同年9月末日現在308万4000円)の支払や,被告が本件通知により6月分及び7月分の原告商品の受取りを拒んだことにより原告に生じた損害(原告が同商品の原料としてCNR社から購入した冬虫夏草の代金(1600万円)相当額)の賠償等を求めた。
(ク)原告は,平成21年に,被告に対し,本件契約に基づく4月分及び5月分の原告商品の売買代金の支払を求める訴えを高地地方裁判所中村支部に提起し,同訴訟につき,同年5月29日に別件和解が成立した。
( )被告の債務不履行の有無2上記事実関係によれば,?本件契約は,もともと,被告の発注を受けて原告がCNR社に冬虫夏草を注文し,同社において原告商品用に冬虫夏草をマイクロパウダー化した上で,これを芳香園に搬送し,芳香園において原告商品に加工することを予定しており,原告と被告との間で,被告による原告商品の発注から同商品が被告に納品されるまでの期間は,少なくとも1か月程度を要すると認識されていたこと,?原告は,本件発注を受けて,6月分及び7月分の原告商品を納期に納品するため,CNR社に冬虫夏草を注文し,平成20年5月31日までに,CNR社においてマイクロパウダー化された冬虫夏草を購入したところ,これを芳香園に搬送する前に被告から本件通知を受けたため,芳香園への搬送を取り止め,CNR社に対して上記冬虫夏草の返品を申し入れたものの,既にマイクロパウダー化された冬虫夏草を錠剤以外の用途に使用することは困難であることを理由に,CNR社に同申入れを拒まれたこと,?原告は,本件通知を受けた後でも,上記冬虫夏草の加工を芳香園に委託することは可能であったものの,その場合,芳香園に対して加工料(後記2(3)のとおり,原告商品2万個を製造するために芳香園に支払う加工料は約1300万円となる )を支払う必要があったこと, 。
?本件契約において,原告は,被告の同意なく原告商品及びその類似商品を被告以外の者に販売したり,同様の商品を製造する業者に原告商品の原料の供給をしたりしてはならないと定められている上,原告において被告以外,。, の販売先を新たに見付けることは困難であったこと が認められる そして被告は,本件発注から1か月以上が経過し,原告商品の納期が約3週間後に迫った時期になって本件通知をすれば,原告が上記?ないし?のような不利益を被ることを当然に予測することができたといえる。また,原告は,本件発注に基づき原告商品を被告に納品する義務を負っていたとはいえ,上記のとおり被告が一方的に納品を拒んでおり,被告から代金が支払われる見通しの立たない状況において,原告に対し,更に加工費を負担して原告商品を完成させることまで求めるのは酷であるといえる。
このような事情に照らすと,被告が,原告に本件通知をし,そのために,事実上被告に対して原告商品を納品することができず,これをCNR社に対して返品することも,第三者に売却することもできない状態に原告を陥らせたことは,相手方に損害を被らせないように配慮すべき契約上の付随義務の違反に当たるというべきであり,被告は,この債務不履行により原告が被った損害(具体的には,CNR社から冬虫夏草を購入した代金相当額である1600万円)について損害賠償義務を負う。
なお,原告は,被告の上記債務不履行による原告の損害として,原告が本件契約に基づき本件商品2万個を被告に納品した場合に得ることのできた利益相当額(700万円)についても請求する。しかしながら,上記認定のとおり,本件では,原告は原告商品の原材料を仕入れたにとどまり,いまだこれを原告商品の形に加工していない(芳香園に対して上記原材料を原告商品に加工することを製造委託していない)ことからすると,被告の上記債務不履行によって原告の主張する損害が原告に生じたとは認められない。原告の上記請求は,原告において,本件発注を受けた6月分及び7月分の原告商品について,被告に対して給付の実現に必要な準備をしていないにもかかわら, , ず 事実上これらの商品の売買代金全額の支払を求めるに等しいものであり理由がない。
( )抗弁の成否3ア抗弁( )(原告の債務不履行による解除)について 1被告は,平成20年5月中旬から下旬にかけてのころ,原告に対し,原告の債務不履行(本件契約の第1条及び第10条違反)を理由として本件,(), 契約を解除する旨の意思表示をしたと主張し Aの陳述書 乙1 中には原告が酒会の場で被告の会員数名に対して原告商品の原価が1700円であることを話していた旨の記載がある。
しかしながら,被告が原告に対して上記の時期に本件契約を解除する旨の意思表示をしたことや,解除の原因となる事実(原告商品は,これを購入した会員の間で極めて評判が悪く,返品等が相次いだこと,原告が被告の会員数名に対し,本件契約における原告商品の売買価格が1個当たり1700円であることを漏らしたこと)については,これを裏付けるに足りる客観的な証拠はない上,?被告代表者は,同人が原告に対して本件契約を解消する旨を伝えたのは平成20年6月の第1週又は第2週ころであり,その理由も,原告が被告に対して本件契約に関する紹介料の支払を何度も催促したことに嫌気がさしたからであると述べていること,?Aの陳述書は,どのような経緯で原告商品の原価が話題となったのかなどの事情が明確でなく,具体性に欠けるものである上,その作成日は本件訴訟の提起後であり,Aが被告の依頼を受けて作成したものであること(被告代表者 ,?被告は,同年5月28日,特段のトラブルもなく,5月分の )原告商品の納品を受けていること,などを考慮すると,Aの上記陳述書の内容はにわかに信用し難いというべきである。被告の上記主張は理由がない。
イ抗弁( )(和解)について 2(ア)抗弁( )アの事実は,当事者間に争いがない。 2(イ)被告は,別件和解における第5項(前記抗弁( )ア?)は,同和解 2条項に定めるもののほかに原被告間に何らの債権債務がないことを相互に確認したものであるから,上記和解金のほかに被告が原告に対して損害賠償債務を負うものではないと主張する。
しかしながら,別件和解における第5項は 「原告及び被告は,原告 ,と被告との間には,本件に関し,この和解条項に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを確認する(下線は,裁判所が付加した ) 。」 。
とするものであるから,同項が清算の対象とするのは 「本件 ,すな,」わち,別件和解に係る民事訴訟事件(高知地方裁判所中村支部平成21年(ワ)第30号売買代金請求事件)に関するものに限られることが明ら。, ,, かである また 前記1( )で認定した事実によれば 上記訴訟事件は1原告が被告に対し4月分及び5月分の原告商品の未払代金の支払を求めたものであることが認められる。
したがって,別件和解における第5項は,4月分及び5月分の原告商品の未払代金に関して,原被告間に同和解条項に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを確認したにすぎず,別件和解によって上記1の損害賠償請求権が消滅したものとは認められない。
( )小括4よって,債務不履行に基づく原告の損害賠償請求は,1600万円及びこれに対する弁済期(訴状送達の日)の翌日である平成22年1月8日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
2不競法2条1項3号違反による損害賠償請求について( )被告による原告商品の形態模倣の有無1ア請求原因( )ア及びウの事実,並びに,同イの事実のうち被告が大栄ト 2レーディングから被告商品を購入してこれを販売したことについては,当事者間に争いがない。また,証拠(甲7〜12)及び弁論の全趣旨によれば,原告商品の容器及び化粧箱の形態と被告商品の容器及び化粧箱の形態とは,容器のラベル及び化粧箱に前者が「日本国産」と表示しているのに対し後者は「日本製」と表示している点,及び,前者が「製品企画株式会社ウェルネス四万十研究所」と表示しているのに対し後者は同表示がない点が異なるほかは,容器の形状,寸法及び色,遮光瓶であること,容器の金キャップの形状,容器のラベルの図柄,色彩及び配置,容器の商品内容の表示,化粧箱の形状,寸法,図柄及び色彩,商品概要説明の表示のいずれも同一であり,いわゆるデッドコピー商品であることが認められる。
イ上記事実関係によれば,原告商品の容器及び化粧箱の形態と被告商品の容器及び化粧箱の形態は,実質的に同一であり,被告は,原告商品の容器及び化粧箱の形態に依拠して被告商品の容器及び化粧箱の形態を作り出したもの,すなわち,原告商品の形態模倣したものと認められる。
また,上記事実関係によれば,被告には,被告商品を販売することによって原告商品の販売者である原告の営業上の利益侵害したことについて,少なくとも過失が認められる。
( )被告商品の販売個数2(,, ,) , 証拠 甲17〜20 乙2 4 被告代表者 及び弁論の全趣旨によれば被告は,大栄トレーディングに被告商品の製造を委託し,平成20年6月ころ以後,少なくとも1000個の被告商品を販売したことが認められる。
これに対し,原告は,被告は平成20年6月から同年12月までの間に被告商品を2万1000個販売したと主張し,原告代表者の供述中には,これに沿う部分がある。また,原告は,上記主張を裏付ける事実として,?被告の会員数は当時2万人以上であったこと ?冬虫夏草の健康補助食品 原 , (告商品ないし被告商品)は,当時,被告が会員に販売する商品の中で最も人, , 気の高かった商品であり 被告の会員の相当数が同商品を購入していたこと?原告が入手した被告商品の賞味期限の表示は4種類( 2010.5 ,「」「10.5「10.8.06「2010.09.09 )あること(甲 」,」, 」17〜20)から,被告商品は,少なくとも,大栄トレーディングにおいて4回にわたって製造されていること,を挙げる。
しかしながら,原告の主張する上記?及び?の事実については,これを裏付けるに足りる客観的な証拠はない。また,上記?の事実については,確かに,証拠(甲17〜20)によれば,大栄トレーディングにおいて被告商品を少なくとも3回にわたって製造し,これを被告に納品していることがうかがえるものの,他方で,大栄トレーディングから被告に対する1回当たりの納品数や,被告に納品されたもののうち被告によって現に販売された被告商品の数が被告代表者の自認している1000個を超えることについては,これを裏付けるに足りる証拠はない。また,本件証拠を精査しても,他に原告の上記主張を認めるに足りる証拠はない。
したがって,原告の上記供述を採用することはできず,原告の主張は理由がない。
( )原告商品1個当たりの販売利益の額3証拠(甲1,4,5,15,甲21の1〜3,甲22〜29,甲30の1〜4,甲31〜40,原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,原告が5月分の原告商品を被告に販売した際の原告商品1個当たりの販売利益の額は,次のとおり,348.045円であると認められる。したがって,上記金額をもって,被告商品が販売されることがなければ原告が販売することができた原告商品1個当たりの販売利益の額(不競法5条1項)であると認めるのが相当である。
?原告商品1個当たりの製造原価1351.955円(冬虫夏草原料 704円)(加工費(ヨモギ,明日葉,賦形材含む)573円)(化粧箱 26.4円)(ラベル印刷代 9.2円)(輸送代 8.5円)(に係る消費税 30.855円?原告商品の被告に対する販売価格1700円?原告商品1個当たりの原告の販売利益(?-?)348.045円( )原告の販売能力4前記認定の事実関係によれば,原告は,被告商品と市場において競合する( ) , 商品 冬虫夏草の健康補助食品 である原告商品を販売している業者であり被告が販売した被告商品1000個について,これに相当する原告商品を販売する能力(不競法5条1項)を有していたと認められる。
( )原告の損害5したがって,被告の不正競争により原告が受けた損害の額は,34万8045円(348.045円×1000個)であると推定される(不競法5条1項 。)( )抗弁( )(和解)の成否62抗弁( )の主張に理由がないことについては,前記1( )イで説示したとお2 3りである。
( )小括7以上のとおり,不競法2条1項3号違反を理由とする原告の損害賠償請求は,34万8045円及びこれに対する不正競争の後(訴状送達の日)である平成22年1月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある(なお,原告は,商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を請求する。しかしながら,不競法2条1項3号違反による損害賠償請求権は,同法の規定する「不正競争 (他人の商品の」形態を模倣した商品を譲渡する行為等)によって営業上の利益侵害された場合に発生する債権であって,営利性を考慮すべき債権ではない。したがって,上記債権を商行為によって生じた債権(商法522条)又はこれに準ずる債権であると解することはできず,商事法定利率による遅延損害金を請求することはできない。。), , 3よって 原告の請求は主文第1項記載の限度で理由があるからこれを認容しその余の請求についてはいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門優
裁判官 柵木澄子
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