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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成23ワ5010不正競争行為差止等請求事件 判例 不正競争防止法
平成23ワ6621不正競争行為差止等請求事件 判例 不正競争防止法
平成21ワ15343不正競争行為差止等請求事件 判例 不正競争防止法
平成21ワ43952損害賠償等請求事件 判例 不正競争防止法
平成23ワ9404不正競争行為差止等請求事件 判例 不正競争防止法
関連ワード 顧客吸引力(グッドウィル) /  需要者 /  特段の事情 /  他人の商品 /  類似性(類似) /  印象 /  商品の形態(商品形態) /  模倣 /  過失 /  デザイン /  侵害 /  代理人 /  代表者 /  商品形態模倣行為(2条1項3号) /  損害賠償 /  損害額 /  推定 /  販売数量 / 
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事件 平成 23年 (ワ) 15964号 請負代金等請求事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 東京地方裁判所 
判決言渡日 2012/01/25
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
判例全文
判例全文
平成24年1月25日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官

平成23年(ワ)第15964号 請負代金等請求事件

口頭弁論終結日 平成23年11月7日

判 決

東京都台東区<以下略>

本 訴 原 告 ( 反 訴 被 告 ) 株式会社アビオン・ド・ヌーベル

東京都豊島区<以下略>

本 訴 被 告 ( 反 訴 原 告 ) 株 式 会 社 ウ エ ザ ロ ー ル

同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 中 久 木 邦 宏

主 文

1 本訴被告(反訴原告)は,本訴原告(反訴被告)に対し,77万

6884円及びうち13万8600円に対する平成22年7月1日

から,うち51万5340円に対する同年8月1日から,うち12

万2944円に対する同年9月1日から各支払済みまで年6分の割

合による金員を支払え。

2 本訴被告(反訴原告)の本訴原告(反訴被告)に対する請求を棄

却する。

3 訴訟費用は,本訴及び反訴を通じて本訴被告(反訴原告)の負担

とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

1 本訴事件

主文第1項同旨

2 反訴事件

本訴原告(反訴被告)は,本訴被告(反訴原告)に対し,114万0880

円及びこれに対する平成22年10月20日から支払済みまで年5分の割合に

1
よる金員を支払え。

第2 事案の概要

1 本訴事件

本件は,婦人装飾品の販売等を業とする株式会社である本訴原告(反訴被告。

以下「原告」という。)が,服飾品の販売等を業とする株式会社である本訴被

告(反訴原告。以下「被告」という。)から装飾品等の製造を4回にわたり受

注し,約定の期日までにこれらの商品を製造し,納入したにもかかわらず,約

定支払期限を過ぎても被告が上記商品代金を支払わないと主張して,上記商品

の製造に関する各請負契約に基づき,未払請負代金合計額である77万688

4円及び各約定支払期限の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合に

よる遅延損害金の支払を求める事案である。

2 反訴事件

本件は,別紙被告商品目録記載1及び2の各商品(以下,同目録記載の各商

品をそれぞれ「被告商品1」などという。)を販売する被告が,原告の製造し

た別紙原告商品目録記載1の商品(以下「原告商品1」という。)は被告商品

1の,別紙原告商品目録記載2の商品(以下「原告商品2」という。)は被告

商品2の各商品形態模倣したものであるから,原告が原告各商品を第三者に

譲渡した行為は不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争行為に該当すると

主張し,同法4条に基づき,損害賠償金合計114万0880円及びこれに対

する反訴状送達日の翌日である平成22年10月20日から支払済みまで民法

所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

3 前提事実(争いのない事実以外は,証拠等を末尾に記載する。)

(1) 当事者等

ア 原告は,婦人装飾品の販売等を業とする株式会社である。

イ 被告は,装身具,アクセサリーの製造,販売,アパレル商品の企画,

製造,販売等を業とする株式会社であり,「Clasky」(「クラ

2
スキー」)の標章を付して,婦人用小物雑貨等を販売している(乙2

6)。

ウ 原告は,平成18年ころ,被告代表者が小物雑貨ブランドとして上

記「Clasky」を立ち上げたことなどから取引を開始し,被告と

の間で,品質条件,納品条件,決済条件等を定めた取引基本契約(甲

22は平成21年12月25日に締結されたものである。)を締結す

るなどした上,被告から,毛糸を手編みして作成された動物の形の人

形(編みぐるみ)やアクセサリー類の製造を受注して,これを納入し

ていた(甲22,乙26)。

(2) 原告商品1及び被告商品1(ウサギ)に関する経緯等

ア 被告は,平成20年3月ころ,株式会社サンエーインターナショナ

ルと共同して,ウサギの編みぐるみを使用したバッグチャームの製作

を企画し,デザインの概略を決定した上で,同月26日,原告に対し,

サンプル品の製作を発注した(乙2,26)。

イ 原告は,同月ころ,被告に上記サンプル品を納入し,被告は,これ

に修正を加えた上で,上記サンエーインターナショナルが展開する

「FREE’S SHOP」との共同企画商品(コラボレーション商

品)として,ウサギの編みぐるみにスカートやペンダントなどの装飾

品を付け,サクランボやサイコロなどの形の付属品を付したもの(別

紙 被 告 商 品 目 録 記 載 1 (1)「 F R E E ’ S コ ラ ボ パ ン ク 」 , N o . 8

6001)と,ウサギの編みぐるみにチェーンなどの装飾品を付け,

ギ タ ー や C D な ど の 形 の 付 属 品 を 付 し た も の ( 同 目 録 記 載 1 (2)「 F

REE’Sコラボフォークロア」,No.86002)の二種類から

なる被告商品1の販売を決定し,同年6月ころ,納期を同年7月中旬

として,原告に上記被告商品1の製造を発注した(乙3の1・2,5

の1・2,8,26)。

3
ウ 被告は,同年6月ころ,上記サンエーインターナショナルから,原

告商品1とよく似た商品を株式会社ワールドが商品として開発してい

る旨の情報提供を受け,原告に対し,この点に関し問い合わせた(乙

26)。

これに対し原告は,同業者である伊藤工房から他社製のウサギの編

みぐるみを見せられ,編みぐるみの発注を受けたこと,原告は,上記

の他社製編みぐるみを参考にしたウサギの編みぐるみ(原告商品1)

を合計40個製造して上記伊藤工房に納入したこと,伊藤工房は,上

記編みぐるみに装飾品や付属品を付けてバッグチャームとし,株式会

社ワールドに納入する予定であることなどを説明した(甲4の1,乙

23の9,24の1ないし3,26)。

エ 被告は,原告に対し,原告商品1を使用した商品の店頭販売を行わ

ないこと及び納入済みの原告商品1を伊藤工房から回収することを申

し入れ,原告は,これを受けて,伊藤工房に納入した原告商品1合計

40個を回収し,同年6月25日ころ,謝罪文(甲4の1)とともに

被告に対し送付した(甲4の1・2,乙6の1・2,7,23の1な

いし9,26)。

オ 被告は,上記エのとおり原告から謝罪を受けたことなどから,前記

イの被告商品1の納入を予定どおり受けることとし,同年7月中下旬

ころ,原告から,被告商品1の納入を受け,同商品の販売を開始した

(乙3の1・2,4の1ないし4,8,26)。

(3) 原告商品2及び被告商品2(クマ)に関する経緯等

ア 被告は,平成20年5月ころ,クマの編みぐるみを使用したバッグ

チャームの製作を企画し,被告社内で編みぐるみ部分のサンプルを作

成した上で,同年6月ころ,上記サンプル品のサイズ,手足の向き,

バランス等を若干変更し,また,原告担当者から,手足の付け根にボ

4
タンを付けることなどの提案を受けてこれを採用し,編みぐるみ部分

デザインの概略を決めて,原告に編みぐるみ部分のサンプルの製造

を発注した(乙26)。

イ 原告は,同年6月ころ,被告に上記編みぐるみ部分のサンプルを納

入し,被告はこれにハート型のパスケース,チェーン,ボンボンなど

を付けて被告商品2のデザインを決定し,同年7月ころ,原告に対し,

被告商品2の製造を発注した(乙12の1,26)。

原告は,原告から納入を受けた被告商品2の広告を若年女性向け雑

誌に掲載するとともに,同年8月ころから,株式会社伊勢丹,株式会

社ララ・プラン等を通じ,被告商品2を販売した(乙11ないし18

〔枝番含む〕,26)。

ウ 被告は,平成22年4月ころ,株式会社小学館が発行する「Ane

Can」5月号別冊付録「AneCan GOLF」に「セントクリ

ストファー」を販売元として原告商品2が掲載されていることに気付

き,同商品が被告商品2に酷似していると感じたことから,セントク

リストファー名で商品を販売している株式会社カキヌマに対し,被告

が平成20年8月ころから被告商品2を販売していること,被告商品

2は,被告のオリジナル商品であること,原告商品2の販売は被告の

著作権侵害に当たり,かつ,不正競争防止法2条1項3号の不正競争

行為に該当する疑いがあることなどを記載した警告書を送付した(乙

19の1ないし3,20の1・2,26)。

エ 株式会社カキヌマは,同年4月30日,被告に対し,原告商品2は

原告から提案を受けて仕入れたものであり,また,被告の著作権を侵

害しているとは認識していない旨の回答書を返送した(乙21,2

6)。

オ 被告は,そのころ,原告に対し,原告商品2を製造するに至った経

5
緯を問い合わせ,原告は,原告商品2は平成19年ころ他社から依頼

を受けて製作した商品を参考にして企画したものであるなどと回答し

た(甲18,乙26)。

カ 被告は,原告に対し,原告商品2を回収するよう申し入れ,原告は,

これを受けて,平成20年5月28日,株式会社カキヌマに納入した

原告商品2合計86個のうち,既に販売済みであった7個を除いた合

計79個を売価で買い戻し,その返品を受けた(甲6の1・2,1

7)。

キ 被告は,同年6月17日,原告に対し,株式会社カキヌマから返品

を受けた原告商品2を被告に送付すること及び同日以降に支払期限の

到 来 す る 請 負 代 金 ( 下 記 (4)(ア )な い し (エ )の 請 負 代 金 ) を 2 0 % 減

額することなどを求める書面を送付した(甲17,乙22,26)。

(4) 本訴事件に関する経緯等

ア 別紙請負物件目録記載の商品の発注・納品等

原 告 は , 被 告 と の 間 で , 下 記 (ア )な い し (エ )の と お り 装 飾 品 等 の 製

造に関する請負契約を締結し,下記仕事完了日欄記載の各日までに各

商品の製造を完了した上で,これらを被告に納入した。

(ア ) 契約日 平成22年4月1日

受注品目及び受注数量 フリーズマートウサギ 150個

フリーズマートライオン 150個

受注金額 合計13万2000円(税込み13万8600円)

仕事完了日 平成22年4月20日

代金支払日 平成22年6月30日

(イ ) 契約日 平成22年5月14日

受注品目及び受注数量 胴長ハワイアンクマ 91個

胴長ハワイアンウサギ 93個

6
胴長ハワイアンアヒル 50個

アフリカンファットライオン 41個

アフリカンファットサル 47個

受注金額 合計46万4800円(税込み48万8040円)

仕事完了日 平成22年5月14日

代金支払日 平成22年7月31日

(ウ ) 契約日 平成22年5月14日

受注品目及び受注数量 胴長ハワイアンクマ 20個

受注金額 合計2万6000円(税込み2万7300円)

仕事完了日 平成22年5月25日

代金支払日 平成22年7月31日

(エ ) 契約日 平成22年6月14日

受注品目及び受注数量 オーストラリアンポーサー 89個

ヒャンコラ ストラップ修理品 1個

受注金額 合計11万7090円(税込み12万2944円)

仕事完了日 平成22年6月11日

代金支払日 平成22年8月31日

イ 被 告 は , 前 記 第 2 の 3 (3)キ の と お り , 同 年 6 月 こ ろ , 原 告 が 原 告

商品2を株式会社カキヌマに納入したことに対するペナルティーとし

て , 上 記 ア (ア )な い し (エ )の 請 負 代 金 を 減 額 す る よ う 申 し 入 れ た が ,

こ れ に 原 告 が 応 じ な か っ た こ と な ど か ら , 上 記 (ア )な い し (エ )の 請 負

代金を支払っていない(乙22,26)。

4 争点

(1) 原告商品1につき,不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争の成否

(2) 原告商品2につき,不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争の成否

(3) 原告商品1に関する不正競争による損害額

7
(4) 原告商品2に関する不正競争による損害額

第3 争点に対する当事者の主張

1 争 点 (1)( 原 告 商 品 1 に つ き , 不 正 競 争 防 止 法 2 条 1 項 3 号 所 定 の 不 正

競争の成否)について

(被告の主張)

(1) 「他人の商品」(不正競争防止法2条1項3号)該当性

不正競争防止法2条1項3号による保護の要否については,当該商品

を商品化し,市場に置くに際して,費用や労力を負担したか否かにより

決せられるところ,被告は,被告商品1を企画し,デザインを決定した

上で原告にその製造を発注し,納品を受けて,これを被告の取引先に販

売したものであり,@商品の色指定,原材料の指定,付属品のデザイ

ン・色等の決定等はすべて被告が行ったものであり,A原告は,被告の

上記指示・指定に従って被告商品1を製造したものにすぎず,上記製造

費用についても被告から支払を受けている上,B被告商品1の販売先は,

被告の従前の取引先であって,原告から紹介を受けたものではないので

あって,被告商品1を商品化し,市場に置くに際して要する費用,労力,

販売リスク等は,すべて被告が負担したものであるから,被告は同法に

より保護されるべき者に当たり,被告商品1は,原告にとって「他人の

商品」に該当する。

(2) 形態模倣

ア 実質的同一性

被告商品1は@体全体が細長いウサギの形状であること,A黒色の

毛糸を手編み(こま編み)し,中にポリエステル綿を詰めて製作され

ていること,B目の部分に,スワロフスキー社製の薄いピンクのチャ

トン石が縫いつけられていること,C耳の内側部分と口部分は白色の

毛糸を手編みして製作されていること,D鼻及び口は,黒色で錨型に

8
刺繍されていることなどを特徴とするところ,原告商品1は@体全体

が細長いウサギの形状であること,A黒色又はベージュ色の毛糸を手

編み(こま編み)し,中にポリエステル綿を詰めて製作されているこ

と,B手先,足先及び耳の内側部分は,茶色又は金色の毛糸で作られ

ていること,C目の部分に,スワロフスキー社製のブルー又はルビー

色のチャトン石が縫いつけられていること,C鼻及び口は,黒色で錨

型に刺繍されていることなどの点において,被告商品1とほぼ同一で

あり,かつ,ウサギの身長,頭及び胴体の大きさ,耳及び手足の長さ

もほぼ同一であるから,一般の顧客が両商品を客観的かつ全体的に観

察した場合,両者を同一のもの又は極めて類似した商品と判断するこ

とは明らかである。

イ 依拠

原告は,被告から被告商品1のサンプルの製造を受注してこれを作

成したものであり,被告商品1のデザインに接する機会があったもの

であるから,原告が被告商品1に依拠して原告商品1を製造したこと

は明らかである。

(3) したがって,原告が原告商品1を製造し,第三者に譲渡した行為は,

不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争行為に該当する。

(原告の主張)

(1) 被告商品1は,原告が,被告から,株式会社三陽商会が「ジョアン

ナホー」のブランド名で販売しているウサギの編みぐるみを渡され,同

じものをコピーして作るよう依頼されて作成したものであり,被告商品

1のデザインは被告のオリジナルのものではないから,被告商品1の形

態は被告の商品形態ではない。また,原告は,被告商品1のサンプルを

作成するに当たり,素材,付属品等を準備し,編み方等を企画提案して

いるのであって,原告は被告商品1の商品化のリスクを負担しているか

9
ら,被告商品1は原告にとって「他人の商品」に該当しない。

(2) 原告は,伊藤工房から,株式会社三陽商会の販売しているウサギの

編みぐるみを示され,同商品を参考に商品を製作するよう依頼されて原

告商品1を製作したものであって,原告商品1と被告商品1は,いずれ

も株式会社三陽商会の商品をコピーして作成したものであり,原告は被

告商品1の類似品として原告商品1を作成したものではない。

加えて,原告は,被告の指示を受け,伊藤工房から原告商品1をすべ

て引き上げ,被告に送付しているのであって,原告商品1を使用した商

品は販売されていない。

(3) したがって,原告商品1に関し,原告に,不正競争防止法2条1項

3号に該当する行為はない。

2 争 点 (2)( 原告商品2につき,不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争

の成否) に つ い て

(被告の主張)

(1) 被告は,被告商品2のデザインを決定した上で原告にその製造を発

注し,納品を受けたものを被告の取引先に販売したものであって,被告

商品1と同様に,@商品のデザイン等の決定はすべて被告が行い,A原

告は,被告の上記指示・指定に従って被告商品2を製造したものにすぎ

ず,上記製造費用についても被告から支払を受けており,かつ,B被告

商品2の販売先は,被告の従前の取引先であって,原告から紹介を受け

たものではないのであって,被告商品2を商品化し,市場に置くに際し

て要する費用,労力,販売リスク等はすべて被告が負担したものである

から,被告商品2は原告にとって「他人の商品」に該当する。

(2) 形態模倣

ア 実質的同一性

被告商品2のうち,クマの編みぐるみ部分は@手足を前方に出し,

10
足先が「く」の字型に屈曲した,丸まった感じのクマであること,A

目の付いていないシンプルなクマであること,B10色(黒,赤,青,

茶,グレーなど)のうちいずれか一色の毛糸で全体を手編み(こま編

み)し,中にポリエステル綿を詰めて製作されていること,C手足の

付け根に毛糸と同色のボタンが付けられていることなどを特徴とする

ものであるところ,原告商品2のうち,クマの編みぐるみ部分は,手

足の付け根にボタンは付けられていないものの,@手足を前方に出し,

足先が「く」の字型に屈曲した,丸まった感じのクマであること,A

目の付いていないシンプルなクマであること,B5色(ベージュ,ピ

ンク,黄,黄緑,紫)のうちいずれか一色の毛糸で全体を手編み(こ

ま編み)し,中にポリエステル綿を詰めて製作されていることなどの

点において,被告商品2とほぼ同一であり,かつ,クマの胴体や頭の

大きさ,手足,耳の長さなどの寸法もほぼ同一であるから,クマの編

みぐるみ部分を観察した場合,両者は実質的に同一のものである。

また,クマの編みぐるみに装飾品及び付属品を付けた被告商品2全

体についてみると,被告商品2は@クマの頭頂部に小さな金具を付け,

波型コイルを介して長さ12センチメートルの金色のアルミチェーン

をつなぎ,その先端に「鉄砲ナス」と呼ばれる金具及び「Clask

y」のロゴ入りの小さなハートプレートを付けていること,A上記波

型コイルに,直径約8ないし9センチメートルの毛足の長い黒色ラビ

ットファーでできたボンボンと,「Clasky」のロゴ入りのハー

ト型パスケースなどを付けていること,Bクマの首の部分にボールチ

ェーンを巻き,「Clasky」のロゴ入りのハートプレートを装着

させていることなどを特徴とするところ,原告商品2は,@クマの頭

頂部に小さな金具を付け,波型コイルを介して長さ12センチメート

ルの金色のアルミチェーンをつなぎ,その先端に「鉄砲ナス」と呼ば

11
れる金具を付けていること,A上記波型コイルに,直径約4センチメ

ートルの黒色ボンボン及び「St.Christpher golf

club」と印刷した紙タグを付けていることなどの点において被告

商品2と同一であり,チェーン先端部分及びクマの首部分のハートプ

レートの有無やパスケースの有無などの細部における違いはあるもの

の,一般顧客が両商品を全体的に観察した場合,両者を同一のもの又

は極めて類似した商品と判断する可能性は極めて高いものである。

イ 依拠

原告は,被告から被告商品2の製造を受注し,これを納品したもの

であるから,原告が被告商品2に依拠して原告商品2を作成したもの

であることは明らかである。

(3) したがって,原告が原告商品2を製造し,株式会社カキヌマに納入

して販売した行為は,不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争行為

に該当する。

(原告の主張)

(1) 被告商品2のうち,クマの編みぐるみ部分は,平成19年ころ,原

告が有限会社コムテックから発注を受け,糸の種類や編み方を考えて製

作したクマ編みぐるみと同一のものであって,世界中で見られるような

デザインであり,付属品であるチェーンやボンボンも20年前から販売

されているものであって,いずれも特別なものではないから,被告商品

2のデザインは被告の商品形態ではない。

なお,被告は,被告商品2は被告代表者デザインし,デザイン及び

製作依頼書(乙9)を原告に送付してデザイン,毛糸の種類,編み方等

を指示し,付属品等も準備したと主張するが否認する。原告従業員は編

み物に関し服飾業界では卓越した人物であり,被告は,編みぐるみ部分

の編み方,毛糸の種類,編み目等を原告従業員任せにしていたのであっ

12
て,原告は,被告商品2のサンプルを作るに当たって,毛糸等の素材や

付属品を準備し,編み方等も企画提案しているのであるから,商品化の

リスクを負担しているものということができ,被告商品2は原告にとっ

て「他人の商品」に該当しない。

(2) 原 告 商 品 2 は , 上 記 (1)の と お り 平 成 1 9 年 に 株 式 会 社 コ ム テ ッ ク の

依頼により製作したクマの編みぐるみのデザインを参考に製作したもの

であり,被告商品2に依拠して類似品を作成したものではない。

(3) したがって,原告商品2に関し,原告に,不正競争防止法2条1項

3号に該当する行為はない。

3 争 点 (3)( 原 告 商 品 1 に 関 す る 不 正 競 争 に よ る 損 害 額 ) に つ い て

(被告の主張)

(1) 原告は,被告から被告商品1の製造を受注中であった平成20年6

月に原告商品1を製造販売したものであって,故意により,原告商品1

に関する不正競争行為に及んだことは明らかであるから,不正競争防止

4条に基づき,上記不正競争行為により被告が被った損害を賠償する

責任を負う。

(2)ア 被告は,原告から,被告商品1のうち「パンク(No.8600

1)」を80個,「フォークロア(No.86002)」を100個

仕入れ,これらを株式会社サンエーインターナショナルに転売した。

上記「パンク(No.86001)」の仕入れ価格は2750円,

転売価格は3950円であり,上記「フォークロア(No.8600

2)」の仕入価格は2800円,転売価格は4450円であるから,

各商品1個当たりの利益(消費税相当額込み)は前者につき1260

円,後者につき1732円となり,上記1個当たりの利益の平均は1

496円となる。

イ 原告が原告商品1を大量に製造販売していることは明らかであり,

13
原告の販売数量は,被告の今までの販売数量である180個を下回る

ことはない。

ウ したがって,原告商品1に関する不正競争行為により被告が被った

損害は,下記計算式のとおり26万9280円と推定される(不正競

争防止法5条1項)。

1 4 9 6 円 ×1 8 0 個 = 2 6 万 9 2 8 0 円

(原告の主張)

(1) 被告の主張のうち,事実に関する点は否認し,法的主張は争う。

(2) 原告は,被告の指示を受け,原告商品1を回収して被告に送付して

おり,原告商品1を使用した商品は販売されていないから,原告は原告

商品1により利益を得ておらず,被告に損害は生じていない。

4 争 点 (4)( 原 告 商 品 2 に 関 す る 不 正 競 争 に よ る 損 害 額 ) に つ い て

(被告の主張)

(1) 原告は,故意又は過失により原告商品2に関する不正競争行為に及ん

だものであるから,不正競争防止法4条に基づき,上記不正競争行為に

より被告が被った損害を賠償する責任を負う。

(2)ア 被告は,原告から,被告商品2を合計319個仕入れ,これらを株式

会社伊勢丹新宿店,株式会社ララ・プランなど計25社に転売した。

上記仕入価格合計は99万1000円であり,上記転売価格合計は15

4万8511円であるから,上記転売による被告の利益(消費税相当額込

み)は58万5387円となり,商品1個当たりの利益は,1835円

(円未満切り捨て)となる。

イ 被告は,平成20年10月17日,被告商品2のうち,クマの編みぐる

み部分については同一であり,装飾品及び付属品のみ異なる商品(No.

81777)を原告から合計40個仕入れ,株式会社スタートトゥデイへ

転売した。

14
上記仕入価格合計は12万4000円であり,上記転売価格合計は21

万3600円であるから,上記転売による被告の利益(消費税相当額込

み)は9万4080円となり,商品1個当たりの利益は2352円となる。

ウ 被告は,同年11月17日,上記イと同様に,被告商品2のうち,クマ

の編みぐるみ部分は同一であり,装飾品及び付属品のみ異なる商品(No.

81014)を原告から合計41個仕入れ,株式会社ブランディングへ転

売した。

上記仕入価格合計は12万7100円であり,上記転売価格合計は21

万8940円であるから,上記転売による被告の利益(消費税相当額込

み)は9万6432円となり,商品 1 個当たりの利益は2352円となる。

エ アないしウの各商品1個当たりの利益の平均は2179円となるところ,

原告が,株式会社カキヌマを通じ,原告商品2を大量に製造販売している

ことは明らかであり,上記販売数量は,被告の今までのアないしウの各商

品の販売数量合計である400個を下回ることはない。

オ したがって,原告商品2に関する不正競争行為による被告の損害は,下

記計算式のとおり87万1600円と推定される(不正競争防止法5条

項)。

2179円×400個=87万1600円

(原告の主張)

(1) 被告の主張のうち,事実に関する点は否認し,法的主張は争う。

(2) 原告は,被告が株式会社カキヌマに警告書を出したり電話を架けたりし

て迷惑を掛けるため,株式会社カキヌマから売価で在庫品を引き取っており,

原告商品2の販売数は差し引き7個にすぎない。

第4 当裁判所の判断

1 争 点 (1)( 原告商品1につき,不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争

の成否) に つ い て

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(1) 不 正 競 争 防 止 法 2 条 1 項 3 号 は , 「他人の商品の形態…を模倣した商

品を譲渡し,貸し渡し,譲渡若しくは貸渡しのために展示し,輸出し,又

は輸入する行為」を不正競争行為と規定しているところ,上記趣旨は,費

用,労力を投下して商品を開発し,市場に置いた者につき,投下した費

用・労力の回収を容易にし,商品化への誘因を高めるために,一定期間

(最初に販売された日から起算して三年間),上記商品の形態模倣した

商品を流通に置く行為を規制し,市場における先行利益を確保することに

あるものと解されるから,同号の保護を受けるべき者に当たるか否かは,

当該商品に関し,費用や労力を投下して商品化したのみならず,これを市

場に置く行為をしたか否かによって判断されるものというべきである。ま

た,これを侵害する行為があったといえるためには,侵害を構成するとさ

れる商品(他人の商品の形態を模倣したといえる商品)を譲渡等すること

を要するものというべきである。

(2) そこで,原告商品1に関する不正競争行為の成否について検討する。

前 記 第 2 の 3 (2)で み た と お り , 原 告 は , 原 告 商 品 1 を 製 造 し , 伊 藤 工

房に納入したものであるが,前記前提事実によれば,原告が原告商品1

を製造し,納入した平成20年6月までの時点では,被告商品1は未だ

市場において販売されるに至っておらず,被告を,原告商品1に先立っ

て被告商品を商品化し,市場に置いた者ということはできない。

また,原告商品1は,株式会社ワールドがバッグチャームとして販売

する目的で伊藤工房に製造を委託し,上記伊藤工房が,上記バッグチャ

ーム商品のうち,編みぐるみ部分のみを,いわゆる孫請けとして原告に

製造させたものにすぎず,原告が伊藤工房に納入した原告商品1は,装

飾品や付属品を付してバッグチャームとして商品化される前のいわば部

品 に す ぎ な い 。 他 方 , 被 告 商 品 1 は , 別 紙 1 (1), (2)の と お り , 装 飾 品

や付属品を付したバッグチャームの完成品であって,バッグチャームの

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部品にすぎない原告商品1がその完成品である被告商品1を模倣したも

のということはできない。そして,前記事実関係によれば,バッグチャ

ームの完成品を原告が株式会社ワールド又は伊藤工房と共同して開発し

たような事情も認められない。

以上によれば,原告が被告商品1を模倣した商品を譲渡したとは認め

られないから,原告に不正競争防止法2条1項3号違反の行為があった

とは認められない。

なお,被告代表者の陳述書(乙26)には,原告が原告商品1を回収

して被告に送付した後に,株式会社ワールドがウサギ編みぐるみを使用

した商品を販売していることを確認した旨の記載があるが(同号証5

頁),同陳述書にも,上記商品がどこで生産されたかは分からない旨記

載されており,上記商品のウサギの編みぐるみ部分が原告の製造したも

のであることを認めるに足りる証拠はないから,上記事実をもって,原

告が,回収した40個の商品以外に原告商品1を譲渡した事実を認める

ことはできない。

(3) そうすると,原告商品1については,原告に,不正競争防止法2条

1項3号所定にいう「譲渡」行為が認められないから,原告商品1と被

告商品1の形態の実質的同一性等の点について検討するまでもなく,原

告商品1に関し,原告に同号所定の不正競争は成立しない。

2 争点(2)(原告商品2につき,不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争

の成否)について

(1) 前提事実(3)によれば,被告商品2の商品化の発案は被告がしたものであ

り,原告は,上記発案を受けて,サンプル品及び量産品の製造を受注したも

のにすぎないものと認められる。すなわち,@被告商品2中の編みぐるみ部

分の編み方や手足のボタンの有無などに関し,原告従業員に任されている点

や,原告の提案が採用された点があったとしても,これらの点は細部にわた

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るものにすぎないのであって,被告商品2の全体的なデザインについては,

販売者である被告に決定権があったものと認められること,A被告商品2の

上記デザインの概要については,被告から原告に指示がされていたものと認

められ,デザイン指示書(乙9)の送付等があったか否かは証拠上明らかで

はないものの,上記指示が口頭によるかデザイン指示書等の文書によるかと

いう点は結論を左右するものではないこと,B原告は,サンプル品及び量産

品を被告に納入することにより,被告商品2の市場における販売数量等とは

無関係に被告から請負代金の支払を受けているものであって,上記@のとお

り被告商品2のデザインの決定権が被告にあったものと認められることなど

を考慮すると,被告商品2を商品化し,市場に流通させることに関するリス

クを負担していたのは被告であって,原告が商品化し,市場に流通させるリ

スクを負担していたものとは認められない。よって,被告商品2は,原告に

とって「他人の商品」に該当するものと解される。

なお,原告は,被告商品2は世界中で見られるようなデザインのものであ

り,原告が被告商品2の販売前に有限会社コムテックの依頼を受けて製作し,

同社に納入した編みぐるみとも同一の形状であるから,被告商品の形状は被

告の商品形態に当たらず,したがって,原告にとって「他人の商品の形態」

にも該当しない旨主張する。しかし,原告が有限会社コムテックの依頼を受

けて製作したとする商品は,クマの形の編みぐるみの顔部分に黒色の毛糸に

よって目鼻が付けられ,手足の付け根に模様入りの金色のボタンが付けられ

ており,かつ,頭頂部に銀色の細いボールチェーンがつながれているのみで,

他に付属品は付けられておらず(甲7の1・2),後記(3)でみる被告商品

2の具体的形状とはこれらの点で大きく異なるものであり,被告商品2の形

状が上記商品と同一のものであるということはできない。また,被告商品2

の具体的形状は,後記(3)でみるとおり,クマの形の編みぐるみというにと

どまるものではなく,その質感,目鼻の有無,装飾品や付属品の有無及び形

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状等も被告商品2の形態を構成するものであって,これらの要素を併せた被

告商品2の商品形態が世界中で見られるような一般的デザインであるとは認

められず,被告が費用及び労力を投下して上記デザインを有する被告商品2

を商品化したものとみることができるから,被告商品2は,被告の商品形態

に当たり,原告にとって「他人の商品の形態」に該当するものということが

できる。これに反する原告の主張は採用できない。

(2) 前提事実(3)エのとおり,株式会社カキヌマは,被告の送付した警告書に

対し,原告商品2は原告から提案を受けて仕入れたものである旨回答してい

ること及び他に前記カキヌマの回答に反する証拠は見当たらないことなどに

照らせば,原告は,株式会社カキヌマを通じて自ら原告商品2を流通に置い

たものとみることができ,原告に,同号にいう「譲渡」に当たる行為を認め

ることができる。

(3) そこで,原告商品2が被告商品2の形態を模倣したものに当たるかにつ

いて検討する。

証拠(甲7の1ないし5,18,乙10の1・2,11の1・2,19の

1ないし3,25の1・2,26)及び弁論の全趣旨によれば,被告商品2

及び原告商品2の各構成は,それぞれ以下のとおりであると認められる。

ア 被告商品2の構成

(ア) 被告商品2は,毛糸を手編みして作成されたクマの形の人形(編み

ぐるみ),ハート型のパスケース及びラビットファー素材のボンボンを,

鍵取り付け用金具3個とともに丸型の金具及びチェーンにつないだ商品

であり,「カードケース付きクマキーチャーム」として9345円で販

売されている。

(イ) 編みぐるみ部分

編みぐるみ部分は,赤,橙,茶,緑,青などのうちいずれか一色の毛

糸で頭,胴体及び手足をそれぞれ手編みしたものをつなげ,中に綿を詰

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めて作成されており,手足を前方に突き出して座っているクマを模した

形状となっている。クマの顔部分に目及び口は付けられておらず,手足

の付け根には毛糸と同系色のボタン各1個が縫い付けられ,首部分には,

「Clasky」のロゴが入ったハートプレートを通したボールチェー

ンが巻かれている。編みぐるみの頭部分は縦約5センチメートル,横約

4.5センチメートル,胴体部分は縦約5.5センチメートル,横約4

センチメートル,手部分は長さ約4センチメートル,足部分は長さ約5.

5センチメートルであり,アクリル70%,ウール30%の毛糸を使用

して編まれている。

(ウ) ボンボン部分

ボンボン部分は直径約8ないし9センチメートルの黒色の毛足の長い

ラビットファー素材で構成されている。

(エ) パスケース部分

パスケース部分は光沢のある黒色又はヒョウ柄の大きなハート型をし

ており,表側中央には金色で「Clasky」のロゴが表示され,裏側

には切り込みが入れられ,鉄道乗車用ICカード等を入れられるように

なっている。

(オ) 金具,チェーン等

編みぐるみ,ボンボン及びパスケースは,金具又はボールチェーンを

介し,鍵取り付け用金具3個及び長さ12センチメートルのチェーンと

ともに「波型コイル」と呼ばれる輪状の金具につなげられている。上記

チェーンの先端には「鉄砲ナス」と呼ばれる金具及び「Clasky」

のロゴの入ったハートプレートが取り付けられており,バッグなどに取

り付けることができるようになっている。

イ 原告商品2の構成

(ア) 原告商品2は,毛糸を手編みして作成されたクマの形の人形(編み

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ぐるみ)及びアクリル素材のボンボンを,輪状のボールチェーンととも

に丸型の金具及びチェーンにつないだ商品であり,「ベアチャーム」と

して4935円で販売されている。

(イ) 編みぐるみ部分

編みぐるみ部分は,紫,黄,ピンク,黄緑,ベージュのうちいずれか

一色の毛糸で頭,胴体及び手足をそれぞれ手編みしたものをつなげ,中

に綿を詰めて作成されており,手足を前方に突き出して座っているクマ

を模した形状となっている。クマの顔部分に目及び口は付けられていな

い。編みぐるみの頭部分は縦約5センチメートル,横約4.5センチメ

ートル,胴体部分は縦約5.5センチメートル,横約4センチメートル,

手部分は長さ約4センチメートル,足部分は長さ約5.5センチメート

ルであり,アクリル100%の毛糸を使用して編まれている。

(ウ) ボンボン部分

ボンボン部分は直径約4センチメートルの毛足の短い黒色のアクリル

素材で構成されている。

(エ) 金具,チェーン等

編みぐるみ及びボンボンは,金具を介し,輪状のボールチェーン及び

長さ12センチメートルのチェーンとともに「波型コイル」と呼ばれる

輪状の金具につなげられている。上記チェーンの先端には「鉄砲ナス」

と呼ばれる金具が取り付けられており,バッグなどに取り付けることが

できるようになっている。

ウ 以上に基づき,被告商品2と原告商品2とを対比検討する。

(ア) 不正競争防止法2条1項3号にいう「模倣」とは,他人の商品形態

に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいい,

双方の商品を対比して観察したときに,形態が同一であるか又は実質的

に同一であるといえるほどに酷似していることを要するところ,前記第

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4の2(3)ア及びイのとおり,原告商品2のうち編みぐるみ部分は,@

頭,胴体,手足などの各部分の寸法が被告商品2とほぼ同一であり,A

手足を前に突き出して座っているクマという全体的な形状や,B一色の

毛糸で全体が編まれている点,C顔に目・口が付けられていない点など

においても被告商品2と共通するものであって,黒色のボンボンが付け

られていること,金具及びチェーンの色や形状が共通していることなど

の点とも相まって,一見すると,原告商品2は被告商品2と似た印象

与えるものであるということができる。

(イ) しかし,前記第4の2(3)ア及びイでみたとおり,被告商品2及び

原告商品2には,@ハート型パスケースの有無,Aボンボンの大きさ及

び素材の違い,Bクマの首元及びチェーン先端のロゴ入りハートプレー

トの有無,Cクマの手足付け根部分のボタンの有無,D鍵取り付け用金

具の有無などの相違点が存在する上,編みぐるみ部分を構成する毛糸の

素材が異なることにより,編みぐるみ部分も,被告商品2の方が光沢感

のある質感を有するものとなっているなどの違いがあることが認められ

る。 そして,被告商品2及び原告商品2は,いずれも若年女性がバ

ッグなどに装飾品として付けて使用することが予定されている商品であ

り,その価格が被告商品2につき9345円,原告商品2につき493

5円と若年女性らにとって安価とはいえないものであることにも照らす

と,需要者である若年女性らは,各商品の購入を検討するに際し,細部

におけるデザインや各付属品の形状,質感等にまで着目し,これらを考

慮要素として,各人の好みや用途に沿った商品を選択するものと解され

るのであって,上記@ないしDの違いは,需要者にとって,軽微な相違

ということはできないというべきである。

加えて,前記@及びDの相違点のとおり,被告商品2にはパスケース

及び鍵取り付け用金具が付けられており,ICカードを入れたり,鍵を

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付けるなどして使用することができるのに対し,原告商品2にはこれら

が付いていない上,原告商品2がゴルフ用品として宣伝広告されており,

主としてキャディバッグに装飾品として付けて使用することが予定され

ているものと認められるのであって(乙19の1・2),被告商品2と

原告商品2の用途を同一のものとみることはできない。

さらに,被告の主張によれば,「Clasky」ロゴは首都圏地域に

おいて若年女性層に広く知られたブランド名であり,十分な顧客吸引力

を有するものであるというのであって,上記ロゴの入ったパスケースや

ハートプレートの有無は,需要者である若年女性らにとってとりわけ重

要な相違点であると解されることなども考慮すると,上記ウ(ア)でみた

共通点を考慮しても,被告商品2と原告商品2を実質的に同一のものと

いうことはできないというべきである。

(ウ) なお,被告は,被告商品2と原告商品2のうち,編みぐるみ部分の

みを取り上げて対比する主張をしており,同部分の形態模倣を主張する

ものとも解される。しかし,不正競争防止法2条1項3号は,「他人の

商品の形態…を模倣した商品を譲渡し,貸し渡し,譲渡若しくは貸渡し

のために展示し,輸出し,又は輸入する行為」を不正競争行為と規定し

ているのであるから,同号にいう「商品」とは,「譲渡し,貸し渡し,

譲渡若しくは貸渡しのために展示し,輸出し,又は輸入する」対象とな

るものであること,すなわち,それ自体独立して譲渡,貸渡し等の対象

となるものであることが必要であり,商品の形態の一部分が独立した譲

渡,貸渡し等の対象ではなく,販売の単位となる商品の一部分を構成し

ているにすぎない場合には,当該一部分に商品の形態上の特徴があって,

その模倣が全体としての「商品の形態」の模倣と評価し得るなどの特段

の事情がない限り,当該一部分の形態をもって「商品の形態」というこ

とはできないと解されるところ,本件において,原告又は被告が編みぐ

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るみ部分のみを単体で販売しているなどの事情は認めることができず,

かつ,前記ウ(イ)でみたとおり,被告商品2と原告商品2には,編みぐ

るみ部分以外の部分において相違点が存在し,上記相違点は軽微なもの

ということができないものであるから,編みぐるみ部分のみの形態の共

通性をもって「商品の形態」の模倣と評価することはできず,被告の主

張を採用することはできない。

(4) したがって,原告商品2は,被告商品2の商品の形態模倣したものに

当たらず,原告商品2に関し,原告に,不正競争防止法2条1項3号所定の

不正競争行為は認められない。

3 小括

したがって,その余の点について検討するまでもなく,被告の反訴請求はい

ずれも理由がないことに帰着する。

他方,原告の本訴請求の原因には争いがないから,原告は,被告に対し,請

負代金合計77万6884円及びうち13万8600円に対する前記第2の3

(4)ア(ア)の代金支払日の翌日である平成22年7月1日から,うち51万5

340円に対する前記第2の3(4)ア(イ)及び(ウ)の各代金支払日の翌日であ

る同年8月1日から,うち12万2944円に対する前記第2の3(4)ア(エ)

の代金支払日の翌日である同年9月1日から各支払済みまで商事法定利率年6

分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。

第5 結論

したがって,原告の本訴請求は理由があるから認容し,被告の反訴請求は理

由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。



東京地方裁判所民事第29部




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裁判長裁判官 大 須 賀 滋




裁判官 菊 池 絵 理




裁判官 森 川 さ つ き




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(別紙)



被告商品目録



1(1) 品番及び商品名 No.86001 FREE’Sコラボパンク

別添写真1のとおり

(2) 品番及び商品名 No.86002 FREE’Sコラボフォークロア

別添写真2のとおり



2 品番及び商品名 No.86006 シンプルベアー

別添写真3のとおり(なお,クマの編みぐるみ部分は緑,ピンク,紫,黄,

茶,青など合計10色のうちいずれか一色からなる。)




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(別紙)



原告商品目録



1 ウサギの編みぐるみ

別添写真4のとおり



2 ベアチャーム

別添写真5のとおり(なお,クマの編みぐるみ部分は黄緑,紫,黄,ピンク,

ベージュの5色のうちいずれか一色からなる。)




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