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事件 平成 29年 (ワ) 30499号 不正競争行為差止等請求事件
5原告 株式会社PETTERS
同訴訟代理人弁護士 浅村昌弘
同 松川直樹
同 和田研史
同 和田嵩 10 被告株式会社マキシム
同訴訟代理人弁護士 若本修一
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2018/07/30
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
15 事 実 及 び 理 由第1 請求1 被告は,別紙1被告商品目録記載1ないし6の商品を譲渡し,譲渡のために展示し(インターネットショッピングサイトにおける譲渡のための展示を含む。)又は輸入してはならない。
20 2 被告は,別紙1被告商品目録記載1ないし6の商品を廃棄せよ。
3 被告は,原告に対し,3298万6800円及びこれに対する平成29年9月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要本件は,原告が,被告に対し,被告において別紙1被告商品目録記載1ないし6の25 各ブラウス(以下,個別には同目録記載の番号に応じて「被告商品1」などといい,これらを併せて「被告各商品」という。)の譲渡,譲渡のための展示又は輸入(以下1「譲渡等」という。 をする行為は,) 別紙2原告商品目録記載1ないし4の各ブラウス(以下,個別には同目録記載の番号に応じて「原告商品1」などといい,これらを併せて「原告各商品」という。)の形態を模倣した商品の譲渡等として不正競争(不正競争防止法2条1項3号)に該当すると主張して,@不正競争防止法3条1項による差5 止請求権に基づき譲渡等の禁止,A同条2項による廃棄請求権に基づき被告各製品の廃棄,B同法4条による損害賠償請求権に基づき損害賠償金3298万6800円及びこれに対する不正競争後の日(本訴状送達の日の翌日)である平成29年9月16日から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
10 1 前提事実(当事者間に争いがない又は後掲の証拠〔以下,書証番号は特記しない限り枝番の記載を省略する。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)? 当事者原告は,婦人服等の企画,製造,販売を業とする株式会社であり,「tocco」等のブランド名を使用して婦人服を販売している。
15 被告は,衣料品等の販売,卸売及び輸出入等を業とする株式会社であり,「KOBELETTUCE」 「神戸レタス」又は のブランド名を使用して婦人服を販売している。
? 原告各商品の販売原告は,平成27年8月7日から原告商品1及び原告商品3の販売を,平成28年3月18日から原告商品2及び原告商品4の販売を,それぞれ開始した(甲9) 原告。
20 は,原告各商品を「tocco closet」と題するインターネットショッピングサイトにおいても販売している(甲2,22)。
? 被告各商品の販売被告は,遅くとも平成28年5月1日以降,被告各商品を輸入し,公式ウェブサイト及び楽天株式会社の運営する楽天市場等の多数のインターネットショッピングサ25 イトや実店舗において,被告各商品を譲渡し,譲渡のために展示した。
? 被告による販売継続2原告は平成29年2月25日,被告に対し,不正競争防止法上の差止請求権に基づき,被告各商品の譲渡等の停止と在庫の廃棄を求める旨等を記載した警告書を送付したが,被告は原告の要望に応えることはできない旨を回答し,現在も被告商品の譲渡等を継続している。
5 2 争点? 原告各商品は不正競争防止法2条1項3号の「他人の商品」に当たるか(争点1)? 被告商品1は原告商品1の,被告商品2及び被告商品5は原告商品2の,被告商品3及び被告商品6は原告商品3の,被告商品4は原告商品4の各形態を模倣した10 商品であるか(争点2)? 原告各商品の形態は不正競争防止法2条1項3号の「商品の形態」に当たるか(争点3)? 損害の発生及び額(争点4)3 争点に対する当事者の主張15 ? 争点1(原告各商品は不正競争防止法2条1項3号の「他人の商品」に当たるか)について(原告の主張)原告は,平成27年2月から3月上旬にかけて,原告各商品の開発を行った。原告各商品が開発,発売されるまで,「ノースリーブブラウスに後からふんわりとボリュ20 ームを持たせた同じ生地の袖を縫い付けることで少し肩を見せる形態」(以下「本件特徴」という。)を有するブラウスは存在していなかった。
原告従業員は,平成27年2月頃までに原告各商品の形態デザインし,総丈,肩幅及び天幅などの寸法の情報並びに身頃,袖裏及び袖口の仕様の情報や図面を記載した縫製仕様書を作成し,同年3月5日に大韓民国(以下「韓国」という。)所在の縫製25 工場を有するDabok社(現在の商号は「JOY TRADING」である。)にFAXで送信した。原告は,同月中旬にDabok社から受領したサンプルの襟元や袖3部分に問題があったため,同月19日,Dabok社に対し,上記縫製仕様書に修正箇所を加筆してFAXで送信し,再度のサンプル作成を依頼した。しかし,Dabok社からは,満足のいく質のサンプルが得られなかった。
そこで,原告は,平成27年5月27日頃,韓国の別のメーカー(以下「原告商品5 メーカー」という。 に対し,) 同日付けの縫製仕様書を示してサンプル作成を指示し,同年7月6日,原告の関係会社である有限会社セレクションに対し,原告商品メーカーを指定して「発注確認書(オーダー表)」を提出して,原告商品1及び原告商品3を発注し,同年8月7日に原告商品1及び原告商品3を発売した。
したがって,原告各商品は,不正競争防止法2条1項3号の「他人の商品」に当た10 る。
(被告の主張)本件特徴を有するブラウスは,原告が,原告商品1及び原告商品3の販売を開始する平成27年8月7日より前に,既に株式会社DHOLIC FBL(以下「DHOLIC社」という。 が遅くとも同年5月14日に販売しており,) 各種雑誌やSNSで15 多数取り上げられて評判になっていた。
そうすると,原告各商品は,原告が独自にデザインしたものではなく,むしろDHOLIC社の商品に依拠して制作された可能性が高いから,不正競争防止法2条1項3号の「他人の商品」には当たらない。
? 争点2(被告商品1は原告商品1の,被告商品2及び被告商品5は原告商品220 の,被告商品3及び被告商品6は原告商品3の,被告商品4は原告商品4の各形態を模倣した商品であるか)について(原告の主張)ア 実質的同一性について被告各商品の形態と原告各商品の形態は,いずれも本件特徴を備えたブラウスであ25 る点,生地は布帛(織物生地)である点,襟ぐり及びシルエットの点で共通する。また,原告商品1と被告商品1の色は黒色で共通する。
4被告各商品の形態と原告各商品の形態は,原告各商品には袖に黒色のリボンが付されている一方で,被告各商品には袖にリボンが付されていない点で一応相違するが,本件特徴を有するブラウスのうち,原告以外の者が販売する商品については,袖にリボンのないものも含めて「tocco風」と一般に認識されているなど,リボンの有5 無は商品の全体的形態に大きな変化を与えるものではなく,商品全体から見ると些細な相違にとどまる。また,被告各商品と原告各商品の色は,原告商品2の方が被告商品2よりやや色が暗い点,原告商品3はオフホワイト色であるが被告商品3はアイボリー色である点,原告商品4における格子柄の方が被告商品4における格子柄よりも細かい点,原告商品2はネイビー色だが被告商品5は紺色である点,被告商品6はコ10 ーラル色だが原告商品3はオフホワイト色である点で一応相違する。しかし,色の相違はそれほど大きくないか,単なる色違いとの印象を与えるに過ぎず,格子柄の幅の相違も,商品の全体的形態に大きな変化を与えるものではなく,商品全体から見ると些細な相違にとどまる。
以上によれば,被告商品1と原告商品1の形態,被告商品2及び被告商品5と原告15 商品2の形態,被告商品3及び被告商品6と原告商品3の形態,被告商品4と原告商品4の形態は,実質的に同一である。
イ 依拠性について上記アのとおり,原告各商品と被告各商品の形態は同一であり,原告各商品の形態が特徴的であることからすれば,両者の同一性が偶然に生じることはあり得ない。
20 また,原告各商品は,被告各商品が販売される以前から市場において流通しており,原告は,原告各商品を,原告の店舗だけでなく,原告のウェブサイト及び楽天市場において販売してきている。被告は,婦人服の販売等を業として行っているのであるから,原告各商品の形態を知っていたというべきである。
さらに,被告はこれまでも,原告が平成26年に販売を開始した「イベリア」とい25 う名称のブラウスの模倣品を平成27年に,原告が平成28年に販売を開始した「ミーリス」及び「フォービス」という名称のワンピースの模倣品を平成29年に,それ5ぞれ販売を開始した。被告は,原告が開発,販売した商品を数か月から1年後に模倣,販売し,原告が作り出した流行に便乗するという行為を連続的にビジネスとして行っている。したがって,被告各商品の形態は,被告による連続的な模倣行為の一環として,原告各商品に依拠して作り出されたものである。
5 (被告の主張)ア 実質的同一性について(ア) 原告各商品と被告各商品の共通点及び相違点について被告各商品が,原告各商品の創作的特徴を有するという点,襟ぐり及びシルエットが同一であるとする点は否認する。また,原告各商品と被告各商品は,襟の前後の下10 がりの深さや袖形状が異なる。
(イ) 原告各商品と被告各商品の対比についてリボンの有無や,色彩及び格子柄の細かさの相違が,商品全体から見ると些細な相違だとする点は争う。リボンの有無は明らかに見る者の注意を惹く部分であるといえ,全体的形態の相違は明らかである。
15 また,本件特徴を有するブラウスのうち,原告以外の者が販売する商品が「tocco風」と一般に認識されているとする点は否認する。
イ 依拠性について争う。
上記アのとおり,被告各商品と原告各商品の全体的形態は相違している。
20 また,原告各商品の形態は,一般的なものであって,多数のメーカーが商品化しているから,被告は,同様の形態について販売主体が原告であることは認識していなかった。
上記「イベリア」「ミーリス」及び「フォービス」の形態も,いずれも他のメーカ,ーや被告が商品化して販売している一般的なものであって,原告が創作した形態では25 ない。よって,被告はこれまでに原告が販売した商品の形態模倣したことはない。
さらに,被告は,遅くとも原告各商品の販売開始前である平成27年8月5日には,6原告各商品と同じ形態的特徴を有する商品を販売していたから,被告各商品は,原告各商品に依拠していない。
? 争点3(原告各商品の形態は不正競争防止法2条1項3号の「商品の形態」に当たるか)について5 (原告の主張)原告各商品が開発,販売されるまで,本件特徴を有するブラウスは存在していないのであり,本件特徴を有するブラウスは,一般に「tocco風」と認識されているのであって,原告各商品の形態は,ありふれた形態ではないから,不正競争防止法2条1項3号の「商品の形態」に当たる。
10 (被告の主張)被告は,同じ生地を縫い付ける形態ではないが,「ノースリーブブラウスに後からふんわりとボリュームを持たせた生地の袖を縫い付けることで少し肩を見せる形態」の商品の販売を,遅くとも,原告各商品が販売される1年以上も前の平成26年7月17日に開始した。また,被告は,袖を縫い付ける形態ではないものの,「ふんわりと15 ボリュームを持たせた同じ生地の袖のある少し肩を見せる形態」の商品の販売を,平成26年5月20日に開始した。このように,被告は,原告各商品が販売される以前から,原告各商品の商品形態を有する商品を販売している。さらに,販売開始時期は明らかではないが,多くの有名ブランドから原告各商品と同様の形態の商品が販売されている(乙11〜29)。 特徴を有するブラウスが,一般に20 「tocco風」と認識されている事実もない。
なお,原告各商品のショルダーデザインは,ファッション辞典にも掲載されている伝統的なデザイン手法であるオープンショルダー又はベアショルダーの範疇に含まれるものである。
以上によれば,原告各商品の形態は,ありふれたものであり,不正競争防止法2条25 1項3号の「商品の形態」に当たらない。
? 争点4(損害の発生及び額)について7(原告の主張)被告が故意又は過失により被告各商品を輸入し,譲渡のために展示し,譲渡したことによって,原告の営業上の利益侵害された。これによって原告に生じた損害は,下記ア又はイ及びウの合計額3298万6800円である(下記ア又はイのうち高額5 なものを選択的に請求する。。
)ア 不正競争防止法5条1項により推定される損害額被告は,平成28年5月1日から平成29年9月(本件訴え提起時)までの間に,被告各商品を併せて少なくとも合計1万4000枚販売した。
被告各商品が販売されなければ,原告は上記被告販売枚数と同数を販売することが10 できた。その1枚当たりの原告の利益額は平均して2142円を下らない。
よって,不正競争防止法5条1項により推定される原告の損害額は,上記被告販売枚数に上記利益額を乗じて算出される2998万8000円である。
イ 不正競争防止法5条3項2号に基づく損害額上記アのとおり,被告は,平成28年5月1日から平成29年9月(本件訴え提起15 時)までの間に,被告各商品を併せて少なくとも合計1万4000枚販売していたところ,被告各商品の1枚当たりの単価は,1890円であるから,被告の上記期間における被告各商品の売上総額は2646万円である。
原告各商品の形態につき使用を許諾した場合の使用料率は30%を下らない。
よって,不正競争防止法5条3項2号に基づく損害額は,上記被告売上総額に使用20 料率30%を乗じて算出される793万8000円を下らない。
弁護士費用被告による不法行為と相当因果関係のある弁護士費用額は,299万8800円である。
(被告の主張)25 否認又は争う。
第3 当裁判所の判断81 事実認定後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
? 原告各商品の形態等ア 原告各商品は,「afres」の名称で,「チョイ肩見せお袖リボンお目立ち令5 嬢ブラウス」との説明を添えて販売されている色を除いて形態を共通にする商品である(甲2,22)。
イ 原告各商品の形態は,別紙2原告商品目録記載1ないし4の各写真のとおりであり,具体的には次のとおりである(甲2,5〜8,16〜21,22)。
(ア) 全体・シルエット10 裾に向かって若干広がっているノースリーブブラウスに,ボリュームを持たせたフリル袖を縫い付けることで肩及び上腕の上部を少し見せる形態としたブラウスである。
(イ) 生地生地は,布帛(織物生地)が用いられている。
15 (ウ) 色原告商品1は黒色,原告商品2は濃いネイビー色,原告商品3はオフホワイト色,原告商品4は,白色と黒色の縦横とも同じ太さのギンガムチェックである。
(エ) 袖袖は,その上部がブラウスの裾とほぼ水平になるようにフリルを設けて縫い付けら20 れており,下部の広がりはあまりない。半袖と同様の長さがあって,袖の長さより長い黒色のリボンが付されている。
? 被告各商品の形態等ア 被告各商品は,「オープンショルダーデザイン♪フレアブラウストップス」との説明を添えて販売されている色を除いて形態を共通にする商品である(甲23)。
25 イ 被告各商品の形態は,別紙1被告商品目録記載1ないし6の各写真のとおりであり,具体的には次のとおりである(甲10〜21,23)。
9(ア) 全体・シルエット裾に向かって若干広がっているノースリーブブラウスに,ボリュームを持たせたフリル袖を縫い付けることで肩及び上腕の上部を少し見せる形態としたブラウスである。
5 (イ) 生地生地は,布帛(織物生地)が用いられている。
(ウ) 色被告商品1は黒色,被告商品2はネイビー色,被告商品3はアイボリー色,被告商品4は,白色と黒色の縦横とも同じ太さの原告商品4より幅が太いギンガムチェック,10 被告商品5は紺色(デニム色),被告商品6はコーラル色である。
(エ) 袖袖は,ボリュームのあるフリルを設けて縫い付けられており,半袖と同様の長さがあって,下部は広がっている。リボンは付されていない。
(オ) 襟15 原告各商品よりも襟の前後の下がりが浅い。
2 争点2(被告商品1は原告商品1の,被告商品2及び被告商品5は原告商品2の,被告商品3及び被告商品6は原告商品3の,被告商品4は原告商品4の各形態を模倣した商品であるか)について本件事案の内容に鑑み,まず,争点2について判断する。
20 ? 実質的同一性についてア 共通点について原告各商品と被告各商品は,前記1の認定事実のとおり,(a)ノースリーブブラウスにボリュームを持たせたフリル袖を縫い付けることで肩及び上腕の上部を少し見せる形態としたブラウスである点,ノースリーブブラウスは裾に向かって若干広がって25 いる点,(b)生地は布帛(織物生地)である点,(c)原告商品1と被告商品1の色は黒色で同じであり,原告商品4と被告商品4は白色及び黒色で構成される縦横とも同じ太10さの格子柄(ギンガムチェック)である点で共通である。
イ 相違点について原告各商品と被告各商品は,前記1の認定事実のとおり,@原告各商品の袖は,ブラウスの色を問わずいずれも袖の長さより長い黒色のリボンが付されており,下部も5 余り広がらない形状であるが,被告各商品の袖は,リボンは付されておらず,裾は広がっており,フリルにボリュームがある点,A原告商品2の色は被告商品2のネイビー色より濃いネイビー色である点,原告商品2の色はネイビー色であるが被告商品5の色は紺色(デニム色)である点,原告商品3の色はオフホワイト色であるが被告商品3の色はアイボリー色であり,被告商品6の色はコーラル色である点,B原告各商10 品よりも被告各商品のほうが襟の前後の下がりが浅い点,C原告商品4の格子幅は被告商品4より細かい点で相違する。
ウ 判断上記イのとおり,原告各商品は,裾に向かって若干広がったノースリーブブラウスにフリル袖を縫い付けたブラウスであるが,ノースリーブブラウスの部分には特徴的15 な点はないから,原告各商品のうち,特徴的であり需要者の目を引く部分は,フリル袖であるといえる。
そこで,袖について検討すると,原告各商品と被告各商品は,いずれもノースリーブに縫い付けられフリルを設けたものである点で共通するものの,上記相違点@のとおり,フリル袖の広がり及びフリルのボリュームの相違という袖形状の相違は,袖全20 体の形状であり着用時も含めて需要者印象を大きく左右するものであるから,その相違の程度が些細なものであるとはいえず,形態の全体的な印象に影響を及ぼすものといえる。また,原告各商品と被告各商品には,黒いリボンの有無という相違がある。
原告各商品の黒いリボンは,正面から見たときに見える部分に付されており,袖の長さからはみ出す長さであるから,ブラウスの装飾として存在感があり,フェミニンさ25 を強調するものである。さらに,地色が淡い原告商品3(オフホワイト色)及び原告商品4(白地に黒のギンガムチェック)においては,黒いリボンの存在は更に印象的11である。したがって,リボンの有無は,全体的な印象を左右するものであるといえる。
以上によれば,需要者の着目するフリル袖の部分に上記相違(相違点@)があるから,商品全体の形態として対比した場合に,原告各商品と被告各商品が全体として酷似しているということはできない。よって,被告各商品の形態は,原告各商品の形態5 と実質的に同一であると認めることはできず,これに反する原告の主張はいずれも採用できない。
? 小括したがって,被告商品1は原告商品1の形態を,被告商品2及び被告商品5は原告商品2の形態を,被告商品3及び被告商品6は原告商品3の形態を,被告商品4は原10 告商品4の形態をそれぞれ模倣したと認めることはできない。
第4 結論以上によれば,その余の争点につき検討するまでもなく,原告の請求にはすべて理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第29部15裁判長裁判官山 田 真 紀20裁判官25 伊 藤 清 隆12裁判官棚 橋 知 子513(別紙1)被 告 商 品 目 録以下の写真(正面及び背面)により示されるブラウス([C2203]との品番が付されているものを含みこれに限られない)5 1 被告商品1正面背面10142 被告商品2正面背面5153 被告商品3正面背面5164 被告商品4正面背面5175 被告商品5正面背面5186 被告商品6正面背面519(別紙2)原 告 商 品 目 録以下の写真(正面及び背面)により示されるブラウス(品名【afres アフリス】商品番号 127-099387)5 1 原告商品1正面背面10202 原告商品2正面背面5213 原告商品3正面背面5224 原告商品4正面背面523
事実及び理由
全容