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事件 令和 6年 (ワ) 512号 不正競争行為差止等請求事件
5
原告阪急電鉄株式会社
同 代表者代表取締役
同 訴訟代理人弁護士松村信夫
同 塩田千恵子 10
被告 株式会社阪急さくらホールディングズ
同 代表者代表取締役
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2024/05/16
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 15 1 被告は、その営業上の施設又は活動に「株式会社阪急さくらホールディングズ」の表示を使用してはならない。
2 被告は、その保有する看板、広告その他一切の表示物件から、前項の表示を抹消せよ。
3 被告は、大阪法務局平成24年3月14日受付をもってなされた設立登記中20 「株式会社阪急さくらホールディングズ」の商号の抹消登記手続をせよ。
4 被告は、原告に対し、550万円及びこれに対する令和6年3月18日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
5 原告のその余の請求を棄却する。
6 訴訟費用は、被告の負担とする。
25 7 この判決は、第1項、第2項、第4項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
請求
1 主文第1項ないし第3項同旨 2 被告は、原告に対し、600万円及びこれに対する令和6年3月18日から 支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
5 第2 当事者の主張 1 請求原因 (1) 原告は、鉄道事業を中心とした一般運輸業を営む会社であり、不動産事業や スポーツ・歌劇団及び娯楽施設の運営・放送・出版・物品の販売等の営業を行って いる。原告を中心とする企業グループは、「阪急グループ」と称され、その活動範10 囲は全国に及んでいる。
(2) 原告は、大正時代から、当時の商号「阪神急行電鉄株式会社」の略称として 「阪急」との表示(以下「原告表示」という。)の使用を開始した。原告表示は、
原告による事業拡張に伴い、平成24年3月時点において、原告及び原告の企業グ ループ(阪急グループ)の営業表示として全国的に著名又は周知となっており、不15 正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号又は2号の周知又は著名な 「商品等表示」に該当する。
(3) 平成24年3月、被告の申請により、「株式会社阪急さくらホールディング ズ」(以下「被告表示」という。)を商号とする被告の設立登記がされた。被告は、
以後、求人広告において、原告の持株会社(阪急阪神ホールディングズ)の関連会20 社である旨の表示をするなどした。被告表示は、「阪急」部分を要部とし、原告の 周知又は著名な表示である「阪急」と同一又は類似であるから、被告による被告表 示の使用は、不競法2条1項1号又は2号の不正競争に該当する。
(4) 被告は、被告表示の使用が不正競争に当たることを認識し又は認識し得たか ら、故意又は過失がある。
25 (5) 被告は、上記不正競争により500万円以上の利益をあげたから、原告の損 害額は、少なくとも同額の500万円(不競法5条2項)及び弁護士報酬相当額1 2 00万円の合計600万円をくだらない。
(6) 原告は、被告に対し、複数回にわたり、被告表示の使用差止めや被告の商 号登記の抹消又は変更を求めたが、応じられなかったので、被告表示の使用差止 めの必要性がある。
5 (7) よって、原告は、不競法3条に基づき、被告表示の使用差止め、被告表示 の抹消及び抹消登記手続を求めるとともに、民法709条に基づき、損害賠償金6 00万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(令和6年3月18日)から支払済 みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める。
2 請求原因に対する認否10 請求原因事実は、いずれも認める。
判断
1 請求原因(1)ないし同(4)及び同(6)の各事実は、いずれも当事者間に争いがな く、認められる。
2 請求原因(5)について15 (1) 不競法5条2項に基づく損害額 原告主張の不正競争行為により被告が500万円以上の利益をあげた事実は当事 者間に争いがなく、当該行為による原告の損害の額は500万円と認められる。
(2) 弁護士費用 本件事案の内容及び経過に照らせば、被告による上記不正競争行為と相当因果関20 係のある弁護士費用は、上記(1)の1割に相当する50万円と認めるのが相当である。
3 よって、原告の請求は主文の限度で理由があるからその限度で認容し、その 余は理由がないから棄却することとし、訴訟費用につき民事訴訟法64条ただし書、
61条を、仮執行宣言につき同法259条1項を適用して、主文のとおり判決する。