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事件 平成 12年 (ワ) 12901号 損害賠償請求事件
原告 株式会社総合資格右代表者代表取締役 【A】 右訴訟代理人弁護士 木島 昇一郎
同 堀裕一
同 手島万里
同 近藤卓史
被告 株式会社建築資料研究社右代表者代表取締役 【B】 右訴訟代理人弁護士 石上 麟太郎
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2001/02/27
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告は、原告に対し、金一二〇万円及びこれに対する平成一二年四月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用は、これを一〇分し、その一を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
請求
一 被告は、原告に対し、金一二〇〇万円及びこれに対する平成一二年四月一〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告は、山陽新聞社会面、読売新聞岡山版、朝日新聞岡山版の各朝刊広告欄に、別紙記載の謝罪広告を同記載の条件で一回掲載せよ。
事案の概要
一 争いのない事実 1(一) 原告は、総合資格学院の名称で、主に、一級建築士、二級建築士及び宅地建物取引主任者の資格試験のゼミナール及びそれに関連する出版を行っている株式会社である。
(二) 被告は、日建学院の名称で、一級建築士、二級建築士、宅地建物取引主任者等の資格試験のゼミナール及びそれに関連する出版を行っている株式会社である。
2 被告は、平成一二年四月一〇日及び同月一一日、【岡山市<以下略>】所在の建築会館に設けられた二級建築士試験の願書提出(受験申込受付)会場(以下「本件願書受付会場」という。)の出入口付近において、以下の記載をした横書きのビラ(B5サイズでピンク色のカラー上質紙のビラ、以下「本件ビラ」という。)を、被告のパンフレット、問題集等とともに、右願書の提出者に配布した。
記 「告!告!(四倍角文字) 一級建築士資格取得を目指す皆様へ要注意(網掛け強調) 最近、学科と製図をセットにしての契約を売りにしている講習屋が出ています。
各地でトラブル多発!(網掛け強調) 実例1、大阪で学科不合格者から製図学費返還のトラブルで訴えられた講習屋が一審判決で敗訴しました。 実例2、大手ゼネコンの監督さんが、一級建築士の手続きをしましたが、
その後現場の移動が決まり近隣に教室がない為学費を捨ててしまった。
この講習屋が近々岡山にも進出するとの噂です。
これからの資格取得を目指す皆様はこのような電話のみで勧誘する講習屋に気をつけてください。
詳しいお問合せは 日建学院岡山校086-【(以下省略)】 倉敷校086-【(以下省略)】 合格実績NO・1の日建学院が応援します。」 二 本件は、原告が、本件ビラの配布は、不正競争防止法2条1項13号に定める不正競争行為又は不法行為に当たると主張して、右配布による損害の賠償及び謝罪広告の掲載を求める事案である。
争点及びこれに関する当事者の主張
一 争点 1 本件ビラの記載内容が「他人の営業上の信用を害する虚偽事実」に当たるか 2 本件ビラの記載内容が原告の名誉、信用を毀損し、本件ビラの配布が不法行為に当たるか 3 違法性阻却事由の有無 4 損害の発生及び額 二 争点に関する当事者の主張 1 争点1について (原告の主張) (一) 本件ビラに表記されている「講習屋」が、原告を表すと推知されることは、以下の点から明らかである。
(1) 本件ビラには、「講習屋」が近々岡山に進出すると記載されているところ、原告は、当該年に岡山県に教室を設置する予定であった。また、被告が本件ビラを配布していた際、原告も、その近くで、願書提出者にチラシを配布していたが、右チラシには、原告が岡山本校を開設する予定であることが記載されていた。
そして、願書提出者の多くは、本件ビラと右チラシの双方を受けとっていた。
(2) 本件ビラには、「学科と製図をセットにしての契約を売りにしている講習屋」との記載があるが、原告は、学科及び製図の過程を不可分なコースとして設定している。そして、原告が配布したチラシにも、「ライブ講義(学科)+マンツーマン指導(製図)質の高い指導内容を実感してください。」と、学科と製図を一体として指導内容としていることが記載されていた。
(3) 建築士試験の受験業界において、大手業者は原告と被告しかなく、また、本件ビラが配布されたとき、本件願書受付会場周辺で販売促進活動を行っていたのは、原告と被告だけであった。
(4) 本件願書受付会場で、本件ビラ配布以外の方法でも、被告による原告の営業活動の妨害がされていた。
(二) 本件ビラの内容は、次のとおり虚偽であって、原告の営業上の信用を害する。
(1) 本件ビラの「実例1」の記載については、訴訟及び判決の存在は真実であるが、訴えたのは形式的には受講者であっても実質は被告である。また、請求額が三〇万九〇〇〇円であるのに対し、認容額は八万〇八五三円にすぎないから、敗訴したのは、むしろ受講者側である被告である。したがって、「敗訴」という表現は虚偽である。
また、「実例1」は、本件ビラの冒頭の「最近、学科と製図をセットにしての契約を売りにしている講習屋が出ています。」との記述と併せて読むと、原告の講座が裁判所によって違法と判断されたかのような誤解を与えるものである。
(2) 本件ビラの「実例2」の記載については、原告の受講生であった【C】が、原告に入校した後、転勤によって、原告の難波校に通学できなくなったが、原告は、通信講座システムに切り替えることで、最後まで対応したのであるから、
「学費を捨ててしまった」との表現は虚偽である。また、このように受講生の転勤などの際に、受講料を返還しないのは、被告も同様である。
(3) 本件ビラの配布時、原告につき、トラブルが多発していたという事実はないから、本件ビラの「各地でトラブル多発」との記載は虚偽である。
(4) 本件ビラの「電話のみで勧誘する」との記載は虚偽である。
(被告の主張) (一) 本件ビラの内容から、「講習屋」が原告であると推知せしめるだけの特定性は認められない。
(1) 学科と製図をセットの講座としている建築士の受験指導校は他にも存在する。
(2) 本件願書受付会場でチラシを配る業者は誰でも岡山に教室を有するか、
開校予定のはずであるから、原告が岡山に開校予定と記載されたチラシを同時に配布したからといって、当然に「講習屋」が原告を表すことが推知できるとはいえない。
(二) 本件ビラの内容は真実に基づくものであるから、「虚偽の事実」に当たらない。
(1) 本件ビラの「実例1」の記載は、東京簡易裁判所において、原告の受験生が原告に対し学費の返還を求めて起こした訴えに関するもので、その内容は真実である。
(2) 本件ビラの「実例2」の記載は、【C】が、原告に入校したものの、転勤によって、原告の難波校に通学できなくなり、転勤先の島根県には原告の校舎が無かったことから、結果的に学費が無駄になったことに関するもので、その内容は真実である。
(3) 右「実例1」と同様の受講料返還をめぐるトラブルは、他にも数多く存在するから、右「実例2」のトラブルをも含めると、原告につき、全国各地でトラブルが多発している状態といえる。したがって、「各地でトラブル多発」という記載は真実である。
2 争点2について (原告の主張) 本件ビラの内容は、前記1の原告の主張のとおりのものであり、また、原告のことを「講習屋」と呼ぶなど、表現方法も著しく不相当であって、原告が各地でトラブルを多発させている悪質業者であるとの印象を強く与えるものであるから、原告の名誉、信用を毀損するものであり、本件ビラの配布は、不法行為に当たる。
(被告の主張) 原告の右主張は否認ないし争う。
3 争点3について (被告の主張) 名誉毀損については、当該行為が公共の利害に関する事実にかかり、それが専ら公益をはかる目的で、摘示された事実が真実であることの証明がなされた場合には、違法性が阻却され不法行為とならない。
本件ビラの記載内容は、一般消費者の利益を顧みない会社への警告を記載したもので、公共の利害に関するものである。また、本件ビラは、専ら、建築士資格試験講座業界全体の信用性の維持を図るという公益目的で配布されたものである。さらに、本件ビラの記載内容は、右1の被告の主張のとおり、真実である。したがって、本件ビラの配布は、違法性を欠き、名誉毀損にならない。
(原告の主張) 被告は、本件ビラを、被告の受験講座の販売促進、勧誘の一環として配布していたのであるから、この行為は、「公共の利害に関する事実にかかり、専ら公益をはかる目的」の行為ではない。
また、本件ビラの内容が真実でないことは、右1の原告の主張のとおりである。
4 争点4について (原告の主張) (一) 本件ビラは、平成一二年度の岡山県二級建築士試験の願書提出者の人数が一〇〇〇人であること、ビラを配布した日数が願書受付期間五日間のうち二日間であること、願書提出者に無差別に配布したこと等から、少なくとも三二〇人に配布されたと推定される。また、本件ビラを受け取った願書提出者から、本件ビラの内容がさらに他人に伝播したことも十分に考えられる。したがって、このような本件ビラの配布によって原告が被った無形的損害は一〇〇〇万円を下らない。
(二) 原告は、本件に関し、弁護士費用として二〇〇万円を支出した。
(被告の主張) 損害の発生及び額については争う。
本件ビラの配布枚数は三〇枚程度であり、また、本件ビラは、原告を固有名詞で表記しておらず、原告のチラシと本件ビラの双方を受け取った者のみが、本件ビラが原告を指すと推測しうるところ、これら双方を受け取った者は少なくとも三〇名以下である。したがって、原告の受けた損害は僅かである。
当裁判所の判断
一 争点1について 1 証拠(甲一、四ないし一〇、一二ないし一四、乙四、九)及び弁論の全趣旨によると、以下の事実が認められる。
(一) 本件ビラには、「この講習屋が近々岡山にも進出するとの噂です。」との記載があるところ、原告は、本件ビラ配布当時、岡山県に支店及び校舎を開設する予定があり、原告の会社案内、雑誌の広告、ダイレクトメールなどにもその旨が記載されていた。また、被告が本件願書受付会場出入り口付近で本件ビラを配布していた際、原告も、その近くで、原告のチラシを配布していたところ、右チラシには、「総合資格学院岡山本校開設予定」と原告が岡山に進出する旨が大きく記載され、右チラシの下部にも「岡山本校開設準備室」と記載されていた。
(二) 本件ビラには、「最近、学科と製図をセットにしての契約を売りにしている講習屋が出ています。」との記載があるが、原告の右チラシには、中央部分に、「ライブ講義(学科)+マンツーマン指導(製図)質の高い指導内容を実感してください」と、原告の講座が学科と製図をセットにしている旨の記載があった。
(三) 原告と被告は、本件願書受付会場の周辺において、願書提出者に対する勧誘活動を行っていたが、時には小競り合いや妨害行為があったり、警察官が出動することもあった。また、原被告以外には願書提出者を勧誘する業者はいなかった。
以上の事実によると、本件ビラを原告の右チラシと共に受けとった願書提出者は、配布の状況や両者の記載内容から、本件ビラが原告について記載したものであると認識したものと認められる。しかし、本件ビラを原告の右チラシと共に受けとらなかった者までが、本件ビラが原告について記載したものであると認識したとは認められない。
2 本件ビラの内容が「他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」に当たるかどうかについて (一) 本件ビラの「実例1」の記載について 証拠(乙五)によると、原告の受講生のうち、一級建築士試験の学科試験に不合格であった者が、原告に対し、製図講座の受講料の返還を求めて東京簡易裁判所に訴訟を提起したこと、右訴訟において、右受講生は三〇万九〇〇〇円及びこれに対する遅延損害金の支払を請求したところ、このうち、八万〇五八三円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容されたこと、以上の事実が認められる。
右事実によると、原告が学科試験の不合格者から提起された製図講座の受講料の返還を求める訴訟において一部敗訴したことが認められるから、本件ビラの「実例1」の記載が、虚偽であるとまでは認められない。
なお、本件ビラの「実例1」において、訴訟が係属したのが「大阪」であると記載されているが、東京簡易裁判所に係属した右訴訟について、大阪で訴えられたと記載したとしても、それによって、原告の営業上の信用を害するとは認められない。
以上の事実によると、本件ビラの「実例1」の記載が、「他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」に当たるとは認められない。
(二) 本件ビラの「実例2」の記載について 「実例2」が、【C】についての記載であることは当事者間に争いがないところ、証拠(乙六)及び弁論の全趣旨によると、【C】は、原告の難波校に入校したものの、島根県に転勤したことで、同校への通学できなくなったが、島根県には原告の校舎が無かったことから、原告が資料を送付し、通信教育のような形で原告の講座を受講したことが認められる。
以上の事実によると、右【C】は、転勤後も、通信講座のような形で受講を継続したと認められるから、本件ビラの「実例2」の記載のうち、「学費を捨ててしまった。」との記載は、「虚偽の事実」であり、かつ、他人である原告の営業上の信用を害するものと認められる。
(三) 本件ビラの「各地でトラブル多発」との記載について 証拠(乙五、七ないし九)及び弁論の全趣旨によると、原告は、学科と製図をセットにした講座を開設しているところ、学科について国家試験で不合格になると、製図についての国家試験の受験資格がなくなることから、製図講座を受講する必要がなくなる場合があること、学科試験で不合格となった受講生から、製図講座分の受講料の返還を求められたことが、右「実例1」の訴訟以外にも数件あったが、そのうちには、単に受講料の返還を求められただけで、訴訟等は提起されなかったものが複数存すること、以上の事実が認められる。
以上の事実によると、原告が製図講座の受講料の返還を求められたのは、数件にとどまるものであって、その全てが訴訟に発展したわけでもないことからすると、これらの事実をもって、原告にトラブルが多発しているということはできない。
なお、実例2については、右(二)認定のとおりであって、これを「トラブル」と認めることはできない。
また、他に、原告に関し「トラブル」が発生したことを認める証拠はない。
そうすると、本件ビラの「各地でトラブル多発」との記載は、「虚偽の事実」であり、かつ、他人である原告の営業上の信用を害するものと認められる。
(四) 「電話のみで勧誘する」との記載について 右記載が、原告の営業上の信用を害するとは認められない。
(五) 本件ビラについて、他に、原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の記載があることを認める証拠はない。
3 前記一1の事実に弁論の全趣旨を総合すると、原告と被告は競争関係にあるものと認められる。
4 したがって、被告による本件ビラの配布行為は、不正競争防止法2条1項13号所定の不正競争行為に該当し、それによって、原告は、営業上の信用を害されたものと認められる。
二 争点2、3について 1 証拠(甲一)によると、本件ビラの「実例1」の記載は、本件ビラの「最近、学科と製図をセットにしての契約を売りにしている講習屋が出ています。」との記載と併せて見ると、学科と製図をセットにして契約している「講習屋」が、学科の不合格者から訴えられて、製図の講習代金を返還するよう裁判所から命じられたという趣旨の記載であると認められる。そして、右「実例1」の記載に「各地でトラブル多発」という記載や「実例2」の記載を総合すると、本件ビラを見た者は、「講習屋」が学科と製図をセットにして契約していることの不当性が裁判所によって認定されたとの印象を抱くものと認められる。
そして、前記一1認定のとおり、「講習屋」は、原告と特定される。
そうすると、本件ビラの「実例1」の記載は、原告の社会的な信用を低下させるものということができる。
2 証拠(甲一二ないし一四、乙四、九)及び弁論の全趣旨によると、本件ビラは平成一二年度の岡山県における二級建築士試験の願書提出者を対象に、被告が経営する日建学院に勧誘するために配布されたものであって、「実例1」の記載は、競争関係にある原告の信用を低下させるためにされたものと認められるから、
本件ビラの「実例1」の記載が専ら公益を図る目的でされたとは認められない。
3 したがって、被告が本件ビラに「実例1」の記載をして配布した行為は、
不法行為に当たるというべきである。
三 争点4について 1 以上述べたところに弁論の全趣旨を総合すると、被告は、本件ビラの配布が、前記のとおり、不正競争防止法2条1項13号所定の不正競争行為及び不法行為に該当することを知り、又は少なくともこれを知らないことにつき過失があったものと認められるから、右不正競争行為及び不法行為によって原告が受けた損害を賠償する責任がある。 2(一) 証拠(甲一二ないし一四、乙四、九)によると、本件ビラは平成一二年度の岡山県における二級建築士試験の願書提出者を対象に、被告が経営する日建学院に勧誘するために配布されたものであること、右試験の出願者の人数は一〇〇〇人であって、郵送による出願は認められていないので、出願者は必ず本件願書受付会場に願書の提出に来ること、被告は、本件ビラを、本件願書受付会場の出入口付近において配布していたため、願書提出者は、本件ビラの配布場所を通らざるを得ないこと、本件ビラを配布した日数は願書受付期間五日間のうち最初の二日間であったこと、原告も、本件願書受付会場付近において、右二日間、チラシを配布したこと、本件ビラや原告のチラシが配布されていた際、原被告間で勧誘をめぐって小競り合いや妨害行為があり、警察官が出動したこともあること、被告は、本件ビラの配布等の勧誘行為を約二〇名で、原告は、チラシの配布等の勧誘行為を一〇名以上の者で行っていたこと、以上の事実が認められる。
(二) 被告は、本件ビラを二日間で三〇枚配布したにすぎないと主張し、乙九には、これに沿う記載があるが、右(一)認定の本件ビラの配布目的、願書出願者の人数、本件ビラ配布の状況、本件ビラ配布等の勧誘行為を行った人数に照らすと、信用することはできず、その数は、被告が主張する数よりもかなり多いものと推認することができる。しかし、最も多くても数百枚であると認められる。そして、右(一)認定の事実によると、本件ビラを受け取った者の多くは、原告のチラシも受け取ったと認められる。
(三) 以上の本件ビラの配布枚数や本件ビラの記載内容等を総合考慮すると、原告の営業上の信用が害されることによって原告が被った損害は、金銭に評価すると、一〇〇万円が相当と認められる(ただし、不正競争防止法に基づく請求につき七〇万円、不法行為に基づく請求につき三〇万円)。
3 本件事案の内容、認容額、本件訴訟の経過等を考慮すると、本件ビラの配布行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は二〇万円と認めるのが相当である(ただし、不正競争防止法に基づく請求につき一四万円、不法行為に基づく請求につき六万円)。
四 原告は、信用回復措置として謝罪広告の掲載も請求しているが、既に認定したとおり、本件ビラは、本件願書受付会場の出入口付近で配布されたのみであり、
その枚数も、多くても数百枚であることからすると、原告に謝罪広告を要するほどの営業上の信用の毀損があったとまでは認められない。
五 以上の次第で、原告の本訴請求は、主文掲記の限度で理由がある。
裁判長裁判官 森義之
裁判官 岡口基一
裁判官 男澤聡子