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関連ワード 周知性 /  広く認識 /  需要者 /  出所識別機能 /  出所表示性(出所表示) /  類似性(類似) /  連想 /  混同のおそれ(混同) /  商品の混同 /  出所の混同 /  自他商品識別力 /  誤認混同 /  商品の形態(商品形態) /  模倣 /  差止請求(差止) /  営業上の利益 /  代表者 /  商品表示性 /  識別力 /  混同のおそれ(混同) /  品質等誤認表示(誤認) /  具体的態様 / 
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事件 平成 3年 (ネ) 4363号
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裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 1994/03/23
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 原判決中、控訴人敗訴部分を取り消す。
被控訴人らの請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は、第一、二審を通じて被控訴人らの負担とする。
被控訴人ミネソタ、マイニング、アンド、マニュファクチュアリング、コンパニーにつき、この判決に対する上告のための附加期間を九〇日と定める。
事実及び理由
当事者の求めた判決
一 控訴人 主文第一ないし第三項と同旨二 被控訴人ら 本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
当事者の主張
一 被控訴人らの請求の原因1 当事者及びその商品 被控訴人ミネソタ、マイニング、アンド、マニュファクチュアリング、コンパニー(以下「被控訴人ミネソタ」という。)は、アメリカ合衆国の法人で、昭和五〇年以前から、別紙第一目録記載の、軟質合成樹脂の線条複数本をもってコイル形状を形成してなる泥砂防止用コイル状マット(以下「被控訴人製品」という。)を同国内において製造販売し、同年以降これを「ノーマッド」の商標の下に我が国にも輸出してきた。
被控訴人住友スリーエム株式会社(以下「被控訴人住友」という。)は、被控訴人ミネソタの子会社であって、我が国において、昭和五〇年から昭和六二年までは、専ら、右製品を一手に輸入して販売してきたが、被控訴人ミネソタをライセンサー、自己をライセンシーとする同被控訴人との間の製造販売実施契約に基づき、
被控訴人製品の製造をも我が国で行うことになり、昭和六三年、この準備を始めたうえ、平成元年以降は、すべての被控訴人製品を国内で製造し販売するようになって、今日に至っている。なお、被控訴人製品の商標としては、被控訴人ミネソタの「ノーマッド」の商標を用いている。
被控訴人住友は、昭和五七年八月二五日、訴外株式会社リスロン(以下「リスロン」という。)との間で特約店基本契約を締結し、リスロンに対し被控訴人製品を販売していたが、この契約は昭和六三年七月一日合意解約となった。
控訴人は、リスロンの子会社として昭和六一年四月一日設立された会社であり、
前記特約店基本契約が合意解約される前の昭和六二年四月ころから、別紙第二目録記載のコイル状マット(以下「控訴人製品」という。)を製造販売して今日に至っている。
2 被控訴人製品の形態等と商品表示 被控訴人製品は、別紙第一目録に示すとおり、軟質合成樹脂の線条複数本をもってコイル状構造体として形成してなる泥砂防止用コイル状マットで、線条の色彩は、茶、青、赤、黄、緑、グレー等からなり、ビル、店舗、学校等通行量の多い場所の出入口、エレベーター内、工場作業場等の床に敷き、泥砂が室内に入ることを防止するために用いるものである。
このうち、用途、色彩、配置場所を除いた被控訴人製品の形態の特徴的部分は、
「軟質合成樹脂の線条複数本をもって多数のコイル形状を形成してなるマット(コイル形状は別紙第一目録添付写真参照)」であり、これが、被控訴人製品を示す商品表示としての形態である(以下、この商品表示としての形態を「本件商品形態」という。)。
3 本件商品形態出所表示性周知性(一) 昭和五〇年被控訴人製品が初めて輸入される以前、我が国内で製造販売された泥砂防止用マットは、裏地の付いた布製マット、すのこ形状の金属マット、塩ビ製のフラットタイプのマット及び芝状成形のマット等であり、被控訴人製品のような軟質合成樹脂の線条複数本をもってコイル形状を形成してなるマットは全く存在しなかった。
(二) 控訴人が控訴人製品の製造販売を開始するまでの間、我が国内で販売されていた軟質合成樹脂の線条複数本をもってコイル形状として形成してなる泥砂防止用マットは、すべて被控訴人製品であり、他に全く存在しなかった。
(三) 被控訴人製品には、その形態に由来する次のような優れた特性がある。
@ 軟質合成樹脂の線条でコイル形状を形成しているため、優れたクッション性を歩行者に与える。
A コイル形状が靴底に付いた泥をきっちり捕捉し、泥はマット内を通って下に落ちるから、表面はいつもきれいに保ちながら、しかも泥取り効果において優れている。
B 掃除も、マットを裏返しにして容易に泥を取り除くことができるため、非常に簡単で誰にでもすることができる。
C 雨の日も、水を下に通すため、表面がぐちゃぐちゃになることなく、床を汚さないばかりでなく、スリップ事故も防ぐことができる。
その他、形態そのものに由来するものではないが、被控訴人製品には難燃性素材からなるため、火災を防ぐ見地からも安心して使用でき、色彩も多数あるため、場所に合った色を採用することができるという優れた特徴がある。
(四) 被控訴人住友は、被控訴人製品の販売促進のため、販売開始から間もなくの昭和五一年から昭和五八年にかけて継続的に、業界誌「ビルメンタイムス」及び「日本ビル新聞」、専門誌「安全衛生のひろば」、「新建築」、「設備と管理」、
「工場管理」、「機械技術」及び「ベース設計資料」等に多数の広告を掲載し、カタログ等を配布するなどの宣伝活動を進めてきた。これらの広告やカタログ等には一貫して、「ノーマッド」(被控訴人ミネソタの商標)、「3M」(米国スリーエム社の略称)、「住友スリーエム株式会社」(被控訴人住友の商号)の文字を記載し、被控訴人製品を示す写真やマッドの断面図を表示している。
(五) 被控訴人製品は、その特徴と被控訴人住友の右宣伝活動等により、市場で高い評価を得た。このため、被控訴人住友の販売実績は顕著であり、販売額は販売開始以来一貫して伸び続け、一五年間の販売総額は二〇億円を超すに至った。
(六) これらの事実のため、遅くとも、控訴人が控訴人製品の製造販売を開始する昭和六二年四月までに、被控訴人製品の本件商品形態は、被控訴人製品を表示するものとして、我が国において広く認識されるに至った。
4 控訴人製品の形態等 控訴人製品は、別紙第二目録に示すとおり、軟質合成樹脂の線条複数本をもってコイル状構造体として形成してなる泥砂防止用コイル状マットで、線条の色彩は、
茶、青、赤、黄、緑、グレー等からなり、ビル、店舗、学校等通行量の多い場所の出入口、エレベーター内、工場作業場等の床に敷き、泥砂が室内に入ることを防止するために用いるものである。
5 被控訴人製品と控訴人製品の混同のおそれ 前記のとおり、控訴人製品は、被控訴人製品の本件商品形態とほとんど同一の形態であり、両者をその形態によって区別することは、通常の取引者、需要者にとりほとんど不可能といって差し支えない状態であるから、控訴人は、控訴人製品の製造販売により、これと被控訴人製品との混同を生じさせているといわなければならず、被控訴人らは、これにより営業上の利益を害されるおそれがある。
6 被控訴人らの差止請求権 被控訴人住友は、昭和五〇年ころ以来一貫して我が国における被控訴人製品の販売者として、また、被控訴人ミネソタは、昭和六三年ころまでは販売ライセンサーとして、それ以降は製造販売ライセンサーとして、ともに被控訴人製品の周知性獲得に寄与した者であるから、各々、被控訴人製品の本件商品形態によって示される商品表示の主体として、控訴人の前記不正競争行為の差止めを求める権利を有する。
よって、被控訴人らは、各々、不正競争防止法(平成五年法律第四七号による改正前のもの。以下同じ。)1条1項1号の規定に基づき、控訴人に対し、控訴人製品の製造販売行為の差止めを求める。
二 請求の原因に対する控訴人の認否1 請求の原因1は認める。
ただし、被控訴人住友による被控訴人製品の「発売」開始は昭和五一年六月二一日で、それまでの間は「テスト販売」であり(甲一〇)、その後も、五、六年の間は見本販売的な状態で、本絡的な販売とはいえないものであった。このことは、昭和五七年、被控訴人住友が販路を拡張するため、リスロンに特約店契約を締結するよう申し込んできたことからも明らかである。
控訴人が控訴人製品の製造販売を開始したのは、設立と同時である。すなわち、
リスロンの代表者でもある控訴人代表者【A】らは、控訴人設立中の昭和六〇年末、既に「リスダン」の名において控訴人製品と同じ構造のコイル状マットの製造販売を行っており、この営業を法人化したのが控訴人であるから、控訴人による控訴人製品の製造販売開始は、事実上は昭和六〇年末、法律上は昭和六一年四月である。
2 同2は認める。
ただし、
被控訴人製品の「軟質合成樹脂の線条数本をもって多数のコイル形状を形成してなるマット(コイル形状は別紙第一目録添付写真参照)」との形態が、被控訴人製品を示す商品表示として出所表示性を有するとの被控訴人主張は、後記のとおり、争う。
3 同3(一)、(二)は認める。
同3(三)は知らない。
同3(四)は認める。
同3(五)、(六)は争う。
4 同4は認める。
5 同5のうち、控訴人製品は、被控訴人製品とほとんど同一の形態であり、両者をその形態によって区別することは、通常の取引者、需要者にとりほとんど不可能といって差し支えない状態であることは認める。その余は争う。
6 同6は争う。
三 控訴人の主張 本件において、不正競争防止法1条1項1号の要件を認めることはできない。
1 出所表示性の不存在(一) 商品形態出所表示性の要件 商品形態は、本来、その商品の目的とする機能をより良く発揮させるあるいは美観を高めるなどのために選択されるものであって、商品の主体を表示することを目的として選択されるものではないから、不正競争防止法1条1項1号の「其ノ他他人ノ商品タルコトヲ示ス表示」と認められる場合があるとしても、それは、その商品形態が生来的に出所表示性を有する場合を除き、第二次的に商品の識別機能が取得された場合、すなわち、いわゆるセカンダリーミーニングが獲得された場合に限られる。そして、被控訴人らが商品表示性を有するとする被控訴人製品の本件商品形態が生来的に出所表示性を有するものでないことは明らかであるから、これが出所表示性を有する商品表示となるためには、上記セカンダリーミーニングを獲得しなければならない。
(二) 本件商品形態の特定 被控訴人らは、被控訴人製品中の特定のものの形態を取り上げその商品表示性を主張しているわけではなく、被控訴人製品すべてに共通する形態を取り上げ、その形態の商品表示性を主張しているのであり、また、「軟質合成樹脂」という材料そのものが商品形態に当たらないことも自明であるから、被控訴人らが商品表示性の根拠とする被控訴人製品の本件商品形態は、
結局のところ、別紙第一目録の記載中、「線条複数本をもってコイル形状として形成してなる」との文言と添付写真によって示される形態となる。
(三) 本件商品形態の必然性と偶然性 被控訴人製品及び控訴人製品等、コイル状マットと称されるマットの製法上の要点は、細かい差異を別にすれば、溶融した樹脂をノズルから射出し、射出された糸状の溶融樹脂を冷却水に落下させることによって、冷却水表面で糸状の樹脂をループ状に屈曲させることにある。この製法による場合、樹脂同士は、ループ状に屈曲しつつ、後続又は隣接の樹脂と融着し、引き続き、冷却水で冷却されて固化して網目状となる。
本件商品形態は、この製造過程(以下「本件プロセス」という。)を経る限り必然的に生ずる。同時に、この種マットは、このような製造過程によるため、形態そのものを直接決定することはできないから、そのコイル状構造は不規則なパターンとして常に異なった形態のものとしてしか形成されえず、その意味では、その形態は偶然によって定まるものである。本件プロセスによるこのような不規則なコイル状パターンは、単に商品の種類であるに止まり、商標のように意図的にマークとして形成されるものではない。
(四) 出所表示性の不存在 被控訴人らは、被控訴人製品の競合品のない状態が長く続いたことを出所表示性発生の根拠として強調するが、単に競合品がなかっただけでセカンダリーミーニングが獲得されるものではなく、そのためには、商品の形態が、使用目的ないし機能の評価という観点からではなく、広く消費者が当該形態から特定の出所を連想し、
その出所の信用で購買するという需要者の商品選択や消費行動の動機となるものとして認識されている状態が形成される必要があるものというべきである。換言すると、需要者が、商品の形態を、その商品の製造ないし販売元を認識する「目じるし」として判断し、これを商品に対する信頼感や高級感の根拠すなわちブランドとして意識することが必要である。
また、商品の形態が商標等と同じように評価されるためには、その形状が商標等のように「マーク」として、完全に意図的にコントロールできる形状でなければならない。
ところが、本件商品形態は、本件プロセスと直結する前記のような性質のため、
不規則なパターンとして形成され、商標のように意図的に「マーク」として形成されるものではないから、単に、マットの特定の「種類」を表示するものとしてしか理解されえず、コイル状マットの購買者は、その機能により商品を選択しているのであって、本件商品形態を商品の出所を知る目じるしとして判断しているのではない。それが商品の出所を表す商品表示であるとは、かつて、被控訴人らを含め誰も考えなかったし、現在においても考えられていない。
このことは、何よりも、被控訴人住友とリスロンとの間で昭和五七年八月二五日に締結された特約店基本契約第五及び第8条において、リスロンによるコイル状マットの販売に際し、被控訴人らの商標の使用は制約されることはあっても強制されておらず、むしろ原則として禁止されていた(甲一二一号の一及び乙六九)ことから明らかである。
もともと、被控訴人らは、コイル状マットを直接需要者に販売することなく、長大なロールを無印のまま、マットの材料として特約店であると同時にメーカーでもある業者に納入していたにすぎない。需要者に渡る最終的な商品の形態は、個々の特約店が決定しており、いくつかの特約店は自らの商標を付し、自らの商品として販売して来ている。
リスロンもまた、被控訴人住友と契約した昭和五七年から合意解約した昭和六三年までの間、一貫して、被控訴人住友から被控訴人ミネソタ製の合成樹脂製コイル状マットのロールの供給を受け、エッジベルトを付するなどの加工をし、自己の商標「リスロンソフトマット」の下に、自己を出所とする形で販売し続けたのであり、これについて、被控訴人らは何ら問題にしなかったのである。リスロン及び控訴人は、被控訴人ミネソタの特許があると思っていたので、特許権の効力により、
自ら製造することも他者から供給を受けることも禁止されていると考えていたにすぎない。しかし、その特許権はすでに消滅していたのであるから、リスロンは、自社グループ内での製造も自由であると考えて、原材料の供給元を変更したのである。
同様の関係は、被控訴人住友とそこから購入する他の業者との間にもあり、そのため、被控訴人製品は、被控訴人らの商標である「3M」、「ノーマッド」等の商標のみで販売されたのではなく、「リスロンソフトマット」(リスロン)、「ミワロンフロアマット」(美和ゴム工業株式会社)、「JOHN―MAT」(株式会社白洋舎)、「CONDOR」(山崎産業株式会社)、「ダスコンタイルカーペット」(東リ社)など他者の商標の下に、そこを出所とする形で販売されている。
我が国において取引されるコイル状マットがすべて被控訴人から供給を受けたものであった期間においてでも、このような状態であったのに加え、その後今日に至るまでの間に、製造者が、被控訴人住友のほか、控訴人及びその他の第三者も含めた複数となっているうえ、購入した製品を自社を出所として販売する業者も多くなっているから、現在、コイル状マットがその商品形態ゆえに特定の出所のものと認識されることは、およそありえないことである。このような状態において、コイル状マットの出所が取引者、需要者に知られるのは、商品に付された商標等によってであって、その商品形態によることはありえない。
被控訴人らが、真実は、本件商品形態が商品表示であると考えていたわけではなく、また、現在においても誰もそのように考えていないもう一つの根拠は、被控訴人らが、本件商品形態の商品表示の主体につき、被控訴人らのうちいずれであるのか、明確にできないことである。すなわち、本件商品形態が出所を示す商品表示であるならば、その商品表示の主体が被控訴人らのうちいずれであるのか容易に明確にできるはずであるのに、被控訴人らは、この点につき、釈明を求められても、不正競争防止法上の別の要件の一つである「営業上の利益」の問題と混同し、製造販売の主体と商品表示の主体とが同一であることを前提とする主張しかしていない。
すなわち、被控訴人らは、被控訴人製品の周知性獲得の寄与に分担参加した者が、その寄与の分担に従って商品表示の主体性を取得するというが、問題にすべきは、本件商品形態周知性獲得の寄与に分担参加した者が誰かではなく、本件商品形態は誰の商品を表示するものとして「広ク認識セラルル」に至ったかなのである。商品表示の主体性を決定するため本件商品形態周知性獲得の寄与に分担参加した者が誰かを問題にするとすれば、それは、決して被控訴人らだけに止まるものではなく、リスロンはじめ、美和ゴム工業株式会社、株式会社白洋舎、山崎産業株式会社等、被控訴人製品を自社ブランドで販売していた業者や二次店等を含め、コイル状マットの販売に分担参加したすべての業者ということになり、これら業者すべてがその寄与の分担に従って商品表示の主体性を獲得することにならざるをえない。しかし、このように多くの者が主体であるときに、そのような表示が商品の出所を表示する力を有するといえないことは明らかであろう。
被控訴人らが、商品表示の主体性につき、このような不合理な主張しかできないことは、本件商品形態が「他人ノ商品タルコトヲ示ス表示」でないからこそ生じたことといわなければならない。
本件商品形態が商品表示となったことはなく、現に、被控訴人らも、真実は、本件商品形態が商品表示であると考えていたわけではないことを示すもう一つの根拠は、被控訴人らが本件商品形態出所表示性を主張しだしたのは後になってのことであり、控訴人による控訴人製品の製造販売開始後も、それに対して異議を述べる際の理由にしたのは、専ら特許権であり、本件商品形態出所表示性を有するとか、控訴人がこれを模倣しているなどという話では全くなかったという事実である。
すなわち、被控訴人住友は、コイル状マットに関連する被控訴人ミネソタの特許権(乙二二)が登録料不納付で消滅した(乙九二)後も、その特許権が存続するものとして、リスロンや控訴人のほか新規参入を望む業者を脅してその参入を排除してきた。被控訴人住友は、右特許権の消滅を告げられると、今度は訴外エンカ・グランツシュトッフ・アクチェンゲゼルシャフト(以下「エンカ社」という。)の特許権を持ち出してこれを根拠にし始めたが、本件商品形態出所表示性が根拠とされてはいなかったのである。
被控訴人らに、少しでも、本件商品形態出所表示性を有するとの意識があったのなら、決してこのような行動にはでなかったはずである。
2 周知性の不存在(一) 被控訴人らが本件商品形態周知性を根拠付けるものとする宣伝広告等は、いずれも専門業者を対象としたものであり、広く一般の消費者を対象としたものではない。したがって、一般の消費者がこれら宣伝広告等により本件商品形態とコイル状マットの出所との関連についての認識を得ることはありえない。また、これらの宣伝広告等で被控訴人製品を知りこれを購入又は取引しようとする専門業者が、本件商品形態のみを基に誤って他の製品を購入することはありえない。
これらの宣伝広告等で商品の出所表示と見られるのは、「3M」、「スリーエム」、「NOMAD」、「ノーマッド」等の商標であり、商品の形態ではない。広告にある写真では被控訴人製品の形態は理解できず、説明図にはマットのコイル状が示されていても、単にマットの機能を説明するだけの意味を有するだけで、出所表示と意識されるようなものではない。
宣伝広告等の中には、被控訴人製品の具体的形態を全く知りえないものもある。
これらの点から見て、これらの宣伝広告等は、不正競争防止法1条1項1号の定める周知性の要件を根拠付けるものとしては、ほとんど意味のないものといわなければならない。
(二) 被控訴人らは、被控訴人住友による被控訴人製品の販売実績は、顕著なものであり、販売額は販売開始以来一貫して伸び続け、一五年間の販売総額は二〇億円を超すに至った旨主張する。
しかし、被控訴人ら主張の販売額はそれ自体裏付けのないものであり、また、仮にそれが真実であるとしても、この額は現在におけるこの種マットの一年間の売上高程度にすぎず、しかも、この数字には、売上が飛躍的に増加した昭和六三年以後の売上も含まれているから、それ以前に、特に、昭和六〇年以前の年間の販売高は、おそらく年間数千万円程度の、全国規模の販売高としては全く微々たるものにすぎない。
したがって、被控訴人らが、その販売実績を通じてこの種コイル状マットについて格別の名声、信用を築いていたとは到底いうことができない。
3 誤認混同の不存在(一) 既に述べたように本件商品形態にはもともと出所表示性がないから、顧客がこれを見たところでそれだけで特定の出所に思い至ることはありえず、本件商品形態による出所の混同は生じようがない。
(二) 事実、控訴人が控訴人製品の販売を開始した後も、それが被控訴人製品であると誤認される場面は出現していない。
@ 控訴人と直接取引関係に立つ者及びそれに準ずる者は、その取引形態、それまでの取引関係や専門的知識等により、控訴人製品を控訴人製品と認識したうえ取引するから、そこに誤認混同が生ずる余地がない。
A いわゆるエンドユーザーその他の間接取引者は、もともと、商品又は包装等に付された商標で示されたものを出所として理解し、それ以上の認識や関心のないまま購入するのであるから、そこには何らの誤認混同も生じない。
この点に関連して、被控訴人らは、控訴人製品と被控訴人製品が同一商標で販売されるとき典型的誤認混同が生ずる旨主張するが、このような場合、顧客は、一貫してその商標の主体を商品の主体として購入しているのであり、控訴人製品としても被控訴人製品としても購入しているわけではないから、何ら誤認混同はない。
B 誤認混同が生ずる余地がないことは、コイル状マットの現実の販売状況を見ることにより、更に明白となる。
コイル状マットの顧客への販売に当たっては、特注品を顧客の要求に合わせて製作し(「ロールもの」といわれる原反を裁断したり貼り合わせたり、縁取りしたりして加工する。
)、販売する場合と、あらかじめ決められた大きさに作られた規格品(「ピースもの」といわれる。)を販売する場合との二つがある。
特注品を注文する顧客は、スーパー、学校、工場、病院等大規模な顧客であり、
コイル状マットの顧客の大半を占める。特注であるから、顧客は、取引業者と直接顔を合わせ、品名はもとより、種類、価格、寸法等について打合せをする。このような顧客がどこに注文するかの決定は、取引業者の販売員の売り込みによる場合もあれば、大手顧客が入札方法で決める場合もあるが、いずれにせよ、この場合には、顧客が販売員と直接顔を合わせて商談をし、それに基づいて注文している点が重要である。このような場合、顧客は、販売員の持ってくる見本帳やカタログを見てどのマットを選ぶかを決めるのであり、誰の製造であるかには関心がない。これらの顧客がコイル状マットを選択する場合、それは、特定の誰かの製造だからではなく、コイル状マットの泥砂防止能力、ファッション性、クッション性等の機能によって選んでいることは、容易に理解できることであろう。
ピースものの販売は、デパート、スーパー、ホームセンター等の店頭での店売り、特注品を必要としない業者への売り込み(商談方式)、あるいは訪問販売方式により行われる。このような販売形式による場合は、従来多くなかったが、比較的最近は店売りによるものなど、徐々に増えてきている。
控訴人製品のピースものには、その製造開始の当初、例外的にそうなっていないものもあったが、現在では、マットの四辺を高周波により加工し、そこにブランドを示す刻印又はマークを入れ、リスダンの社名、商品名、説明を入れた表示とともにビニールに入れて売られている。マットの辺部にブランドを示す刻印又はマークを入れるこの方式は、現在では、控訴人製品、被控訴人製品、その他の製品を含めコイル状マットのピースものの販売の一般的方式となっている。
4 本件商品形態の要保護性の欠如(一) 技術形態除外説不採用の意義と限界 いわゆる技術形態除外説に立たず、技術形態を商品表示として保護すべき場合があることを認める立場に立つとしても、それは、当該商品の評価が、技術的優秀性よりも、むしろ、その表示としての周知性に依存している場合に限られるものといわなければならない。確かに、このような場合、単にその商品表示が同時に「技術形態でもある」という理由で不正競争防止法上の保護を否定することは、正義に反することもありうるであろう。
しかし、本件プロセスによって製造されたコイル状マットが顧客に選択されているのは、マットとしてのその特徴によってのことであり、本件商品形態が商品表示として出所表示の機能を果たした結果としてのことではない。すなわち、本件商品形態は、商品表示であると同時に「技術形態でもある」というのではなく、「技術形態そのもの」なのである。
(二) 被控訴人らの営業努力の不存在及び反良俗行為 技術形態が商品表示として保護されるのは、当該商品がその技術的優秀性によって評価されることよりも、むしろ、その商品形態が特定の商品主体を表示するものとして周知性を獲得した場合に限られることは前述のとおりであるから、保護を受ける前提として、その商品形態の商品表示としての周知性の獲得と維持のために、
当該商品の主体により、たゆみない営業努力が払われていることが、不可欠といわなければならない。
ところが、被控訴人ら自身、自己の商標以外の商標による被控訴人製品の販売を認めるなどの行動に見られるように、本件商品形態を自己の商品表示として取り扱ってこなかったことは前述のとおりであるから、そこには、不正競争防止法によって保護されるべき営業努力は存在しない。
また、被控訴人らは、前述のとおり、コイル状マットに関連する被控訴人ミネソタの特許権(乙二二)が登録料の不納付で消滅した(乙九二)後も、その特許権が存続するものとして新規参入を望む業者を脅してその参入を排除してきた。被控訴人らは、根拠とした特許権は右特許権ではなく、エンカ社の特許権(乙二五)である旨主張するが、被控訴人らがエンカ社の特許権を持ち出したのは、昭和六二年六月、控訴人から右の特許権消滅を告げられた後のことにすぎず、それまで主張の根拠とされていたのは被控訴人ミネソタの特許権であった。
このような反良俗行為を行った者に対して不正競争防止法による保護を与えるのは背理である。
(三) 控訴人の開発努力の存在 控訴人製品と被控訴人製品とは、ともに本件プロセスによって製造されることの結果として、形態は類似しているが、完全に同一の形態を有するというわけではない。これは、控訴人が、マットとして備えるべき弾力性、耐久性、安全性等の観点から、試行錯誤の繰り返しにより本件プロセスの具体的条件を定め、改良を行ってきたためであり、最近の被控訴人製品には、控訴人による改良を取り入れたと思われる点もある。
(四) 不当な技術独占 被控訴人らが本件商品形態を独占すれば、被控訴人らは、特許制度をもってしても独占できなかった本件プロセスを独占することになり、しかも、その期間は無制限ということになりかねない。不正競争防止法上の保護と特許法上の保護とは観点を異にするという一般論を前提としても、以下の事情のある本件においてこのような結果を認めることは、無償で無期限の基本特許を被控訴人らに与えるに等しく、
不正競争防止法の予定するところをはるかに超えた保護を被控訴人らに与える明らかに不当なものといわなければならない。
@ 特許料不納付で消滅した特許権を回復させるに等しい。
A 消滅した特許が、本件プロセスのすべてを対象としていたのではなく、特定の冷却方法を伴うプロセスのみを対象としていたにすぎないにもかかわらず、その後、リスロンや控訴人が開発した他の冷却方法等を用いるプロセスを含め、本件プロセスのすべてを独占することになり、特許による保護以上に広範な保護となる。
B 被控訴人らの使用した特許権は、本来、いずれ消滅すべきものであったのであり、現に、特許料不納付の有無にかかわらず、既に消滅しているはずであるにもかかわらず、これに対して永久保護が与えられることになり、控訴人の改良技術を含めて一切の改良技術が永久に実施できないことになる。
四 控訴人の主張に対する被控訴人らの反論1(一) 控訴人の主張1(一)(商品形態出所表示性の要件)は、一般論としては認める。
もっとも、控訴人は、商品形態が商品表示となるのは一部の場合に限られる旨主張しているが、むしろ、商品形態商品表示性はほとんどの場合に肯定されると見るべきである。なぜなら、当該商品が販売された等の理由で当該商品形態が誰の商品の形態であるか分かるようになるというのがほとんどの場合であるからである(アースベルトに関する最高裁昭和六三年七月一九日第三小法廷判決・民集四二巻六号四八九頁参照)。
(二) 同1(二)(本件商品形態の特定)につき、本件商品形態として、被控訴人製品すべてに共通する形態を取り上げ、その形態の商品表示性を主張しているという点は認め、その余は争う。
(三) 同1(三)(本件商品形態の必然性と偶然性)は認める。
ここでの控訴人の主張自体、控訴人製品と被控訴人製品との間に誤認混同が生ずることを自ら認めることにほかならない。
(四) 同1(四)(出所表示性の不存在)につき、単に競合品がなかっただけでセカンダリーミーニングが獲得されるものではなく、そのためには、広く消費者が当該形態から特定の出所を連想し、その出所の信用で購買するという、形態自体商標と同じように出所を示すと認識されている状態が形成される必要があるとの一般論は認めるが、その余の主張は争う。
本件商品形態によって表示される特異な構造のマットは被控訴人製品の販売が開始されるまで我が国に存在しなかったこと、この構造のマットは被控訴人製品以外に存在しない状態が長く続いたこと、その間、被控訴人らがそれが被控訴人らの製品であることを伝える宣伝広告に努めてきたこと等により、控訴人が控訴人製品の製造販売を始めるまでに、本件商品形態が被控訴人製品を示すものとして我が国において広く認識されるに至ったこと及びそれに至るいきさつは、請求の原因3で既に述べたところである。
控訴人は、被控訴人製品が被控訴人らのものでないものを含む複数の商標の下に販売されたことを強調する。
しかし、このような状態が生じたのは、本件商品形態の特異性及びそれと結び付いた被控訴人製品の出所が取引者、需要者に十二分に認識されるに至った後、換言すれば、本件商品形態出所表示性とその周知性が確立された後のことであるから、右状態は、本件商品形態出所表示性に影響を与えるものではない。このような状態の下では、取引者、需要者は、出所を同じくする商品が異なった商標の下に販売されていると認識するだけのことである。
控訴人は、控訴人以外にも被控訴人製品以外のコイル状マットの販売製造を行う者が増えたことを、本件商品形態出所表示性の喪失の根拠として主張する。
しかし、このような状態が発生したとしても、それは最近のことであり、本件商品形態出所表示性がそれによって失われたという事実はない。また、そもそも、
本件商品形態出所表示性が控訴人による控訴人製品の製造販売開始時に確立されていたことは、既に述べたとおりである以上、被控訴人製品以外のコイル状マットの製造販売は、控訴人によるものもそれ以外の者によるものも、いずれも違法なのであり、このような違法行為が行われていることを理由に、不正競争防止法による保護が拒否されるのは、背理といわなければならない。
控訴人は商品表示の主体は誰であるかを問題にする。
しかし、商品表示の主体性は、その表示の周知性取得に寄与した者がその寄与の分担に従って取得するものであることは、当然といわなければならない。この見地から見た場合、被控訴人ミネソタは、製造者及び販売におけるライセンサーの立場で、同住友は、輸入販売におけるライセンシーの地位で、互いの協働行為により本件商品形態周知性を取得するに至ったものであるから、両者がともに主体性を有することは当然である。本件商品形態周知性確立時、販売についてのライセンシーの地位にあった被控訴人住友が、その後、製造についてもライセンシーの地位を得たとしても、いずれかが主体性を失わなければならない理由はない。
商品表示の主体性についての被控訴人らの主張に不合理はなく、これを不合理とする控訴人主張は失当である。
2(一) 同2(一)(宣伝広告等)は争う。
被控訴人らの宣伝広告が専ら専門業者向けであったことは認めるが、泥砂防止用マットという商品の特殊性、すなわち、建築、ビルメインテナンス、清掃等の専門業者が顧客の大半を占めるという事情を考慮すると、これら専門業者間で周知であるということは、当該商品の周知性を肯定するのに十分なものというべきである。
すなわち、専門業者間での周知性が確立された後、商品の使用領域が徐々に一般の需要者に拡大されるに至ったとき、その拡大された領域の部分の需要者全体に当初から十分承知されていなくとも、それは過渡期の現象にすぎないから、専門業者間での周知性が確立されたこの段階で、専門業者間で周知な商品形態を一般の需要者間でも周知なものとして扱うことは、何の問題もないところといわなければならない。
専門業者向けの宣伝広告に見られる写真、説明図、記事等により、本件商品形態商品形態として十分理解できる。したがって、これらを周知性の根拠になしえないとする控訴人の主張は、失当である。
(二) 同2(二)(販売実績)は争う。
二〇億円を超える販売額が周知性を裏付けるものとして十分なものであることは、従来の裁判例に照らしても明らかというべきである。
3(一) 同1(一)(商品表示性の不存在)は争う。誤認混同がないとの控訴人主張は、本件商品形態出所表示性がないことを前提とするものであり、前提において既に誤っている。
(二) 同3(二)(誤認の有無)は争う。
控訴人は、コイル状マットは商標を出所表示として販売されているから、そこに誤認混同は生じない旨主張するが、商品形態の有する出所表示性と商標等の有する出所表示性とは別のものであり、商標等に出所表示性があるからといって、商品形態の有する出所表示性が失われるものではないから、控訴人の右主張は非論理的である。
すなわち、控訴人が控訴人製品の製造販売を始めるまでは、被控訴人製品が本件商品形態を有する唯一の商品であったので、被控訴人らの商標以外の商標の下に販売されていても、その当初の販売者が被控訴人住友であることは、関係者間に周知されていた。例えば、リスロンが「リスロン」の名称を付して販売している場合でも、源までさかのぼれば被控訴人住友から出たものであることは広く知られているという状態となっていたのである。
このように、本件商品形態出所表示性を有する以上、控訴人製品と被控訴人製品が同一商標で販売されるとき、むしろ、典型的誤認混同が生ずるというべきである。
すなわち、ある商標の下にそれまで被控訴人製品を被控訴人製品と認識して購入していた顧客は、今度は、控訴人製品を、同一の商標の下に、被控訴人製品と認識して購入することにならざるをえないからである。
4(一) 同4(一)(技術形態除外説不採用の意義と限界)につき、本件プロセスによって製造されたコイル状マットが顧客に選択されているのは、マットとしてのその特徴によってのことであり、本件商品形態が商品表示として出所表示の機能を果たした結果としてのことではない、とする点は争う。
従前のマットにないマットとしての特徴がすなわち本件商品形態であり、本件商品形態のこの特徴が出所表示の機能を有するに至ったというのが真相である。
(二) 同4(二)(被控訴人らの営業努力の不存在及び反良俗行為)は争う。
被控訴人らによる被控訴人製品販売に向けての活動そのものが、本件商品形態周知性獲得と維持のためのたゆみない営業努力にほかならない。
控訴人製品が出現した当時、既に周知であった被控訴人製品との商品出所について混乱を生じさせる原因を作ったのは控訴人自身であり、その混乱を正すべく努力しているのが、本件訴訟である。
商標による出所表示商品形態による出所表示とは別のものであることは前述のとおりであるから、被控訴人らが自己の商標以外の商標による被控訴人製品の販売を認めたことを根拠に、被控訴人らは本件商品形態を自己の商品表示として扱ってこなかったとして、不正競争防止法によって保護されるべき営業努力は存在しないとする控訴人主張は、失当である。
被控訴人らが警告の根拠にしたのは、登録料不納により消滅した被控訴人ミネソタの特許権ではなく、当時存続していたエンカ社の特許権であったから、被控訴人らの警告を反良俗行為というのは全くの誤りである。
(三) 同4(三)(控訴人の開発努力の存在)は争う。
控訴人のいう改良は、その主張によっても本件商品形態自体を変えるものではなく、現実に被控訴人製品との間に相違を認めさせるようなものではない。
(四) 同4(四)(不当な技術独占)は争う。
不正競争防止法は、商品表示性を有する商品形態につき、その商品が今では消滅している特許権に基づいて製造されていたことを理由に、その保護を弱くすることを定めてはいない。
証拠(省略)
理 由一 当事者間に争いがない事実1 請求の原因1(当事者及びその商品)については、控訴人による控訴人製品の製造販売開始が、昭和六二年四月ころか、設立当初からかの点と、被控訴人住友による販売開始初期における正確な販売状況の点を除き、当事者間に争いがない。
同2(被控訴人製品の形態等と商品表示)については、被控訴人ら主張の本件商品形態が商品表示として出所表示性を有するとの点を除き、当事者間に争いがない。
同3(本件商品形態出所表示性周知性)(一)、(二)、(四)及び同4(控訴人製品の形態等)については、当事者間に争いがない。
請求の原因5(被控訴人製品と控訴人製品の混同のおそれ)のうち、控訴人製品と被控訴人製品とほとんど同一の形態であり、両者をその形態によって区別することは、通常の取引者、需要者にとりほとんど不可能といって差し支えない状態であることは、当事者間に争いがない。
2 控訴人の主張1(三)(本件商品形態の必然性と偶然性)は、当事者間に争いがない。
二 我が国におけるコイル状マットの販売の実情 右当事者間に争いがない事実と左記証拠によれば、次の事実が認められる。
1 被控訴人製品(一) 昭和五〇年に被控訴人製品が初めて輸入される以前、我が国内で製造販売されていた泥砂防止用マットは、裏地の付いた布製マット、すのこ形状の金属マット、塩ビ製のフラットタイプのマット及び芝状成形のマット等であり、被控訴人製品のような軟質合成樹脂の線条複数本をもってコイル形状を形成してなるものは存在しなかった(争いがない。)。
そのため、昭和五一年六月二一日に被控訴人住友が我が国における被控訴人製品の販売を開始した当初から昭和五五年ころまでは、被控訴人製品の形態が取引者及び需要者間において特異な形態であると受け止められ、その違和感を取り除くための営業上の苦労も多大のものがあった(甲一〇、証人【B】、同【C】)。
(二) 被控訴人住友は、被控訴人製品の販売促進のため、発売開始から間もなくの昭和五一年から昭和五八年にかけて継続的に、業界誌「ビルメンタイムス」及び「日本ビル新聞」、専門誌「安全衛生のひろば」、「新建築」、「設備と管理」、
「工場管理」、「機械技術」及び「ベース設計資料」等に多数の広告を掲載し、カタログ等を配布するなどの宣伝広告をしてきており、その広告やカタログ等には、
一貫して、「ノーマッド」(被控訴人ミネソタの商標)、「3M」(米国スリーエム社の略称)、「住友スリーエム株式会社」(被控訴人住友の商号)が記載され、
被控訴人製品を示す写真やマットの断面図が表示されている(争いがない。)。その他、同被控訴人は、昭和五二年から昭和五六年にかけて、ビルメンテナンス用品ショウやビルメンテナンス資材展において被控訴人製品を展示し(甲八九ないし九二、95)、また、カーペット用品発表会を開催したり、取引業者にサンプルを配布するなどの宣伝活動を行ってきた(甲九四、証人【B】)。
(三) 被控訴人製品には、その形態に由来する次のような優れた機能的効果がある。
@ 軟質合成樹脂の線条でコイル形状を形成しているため、優れたクッション性を歩行者に与える。
A コイル形状が靴底に付いた泥をきっちり捕捉し、泥はマット内を通って下に落ちるから、表面はいつもきれいに保ちながら、しかも泥取り効果において優れている。
B 掃除も、マットを裏返しにして容易に泥を取り除くことができるため、非常に簡単で誰にでもすることができる。
C 雨の日も、水を下に通すため、表面がぐちゃぐちゃになることなく、床を汚さないばかりでなく、スリップ事故も防ぐことができる。
その他、形態そのものに由来するものではないが、難燃性素材からなるため、火災を防ぐ見地からも安心して使用でき、色彩も多数あるため、場所に合った色を採用することができる(甲一、ないし八、一〇)。
被控訴人製品の右のような特徴のため、一般商業ビル、官公庁、公共施設、学校、ホテル、病院、銀行、デパート、スーパーストアや工場等に採用されるようになり(昭和六一年までの実績甲九)、その販売実績は、販売開始以来一貫して伸び、平成元年度の販売高は、被控訴人製品の約一一パーセントを取り扱う代理店であるミズシマ工業株式会社において約一億円弱となった(証人【B】、同【C】)。
(四) 被控訴人製品には、被控訴人住友の発売開始当初から、ロールものといわれる長尺ものと規格品といわれる一定のサイズの一枚ものがあった(甲一〇)が、
昭和六〇年ころまでの販売状況を見ると、その大半は、ロールものであり、建築、
ビルメインテナンス、清掃等の専門業者やこれに準ずる大口需要者の注文を被控訴人住友の営業担当社員が直接取り、その納品は代理店が行う場合や代理店が注文を取り、納入する場合があるが、いずれにしても、代理店である問屋が被控訴人住友から仕入れたロールものを注文に従って裁断加工して、自社製品として納入するといういわゆる特注品の販売が主力であった(証人【B】、同【C】)。
被控訴人製品を取り扱うこれら代理店には、この業界で問屋あるいはメーカーと呼ばれる山崎産業株式会社、ミズシマ工業株式会社、大一産業株式会社等の大手清掃用品製造販売業者があり、右のような販売方法が主力であったが、昭和五五年には、美和ゴム工業株式会社のように、被控訴人製品を仕入れて、一般家庭用や店舗用として一定のサイズに裁断しエッジベルトを付けた規格品を、「ミワロン」の商標の下に、「ミワロンフロアマット」の名称を付し、自社製品として販売するところも出(乙七〇)、控訴人の親会社であるリスロンは、昭和五七年八月二五日、被控訴人住友との間で特約店基本契約を締結し、同被控訴人から被控訴人製品のロールものを仕入れて、一般家庭用や店舗用として一定のサイズに裁断し、周囲にエッジベルトを付けて自社製品とし、「リスロン」の商標の下に、「リスロンソフトマット」の名称を付して販売していた(乙六四の一・二、六五ないし六八、九〇、九三、九四、証人【D】)。
昭和六三年四月に、被控訴人住友が被控訴人製品の製造をも我が国で行うことになり、平成元年以降は、すべての被控訴人製品を製造し販売することになった(争いがない。)。これより先、同被控訴人は規格品の販売にも力を入れ、「ノーマッドマイマット」の名称で一般消費者向けの商品を販売するようになった(甲一、一一七、一二二、一二三、乙一一八、一一九)。
被控訴人製品を「ノーマッド」の商標の下に販売するものとしては、被控訴人住友の他に、前記ミズシマ工業株式会社及び大一産業株式会社がある(乙六〇の一・二)。
これに対して、被控訴人製品をいわば原材料として仕入れ、これを施工販売もしくは規格品として加工販売するにつき、自社製品として自社の商標の下に、独自の商品名を付して販売する方法は、前記山崎産業株式会社が、自社の「CONDOR」の商標を用い、「ロンハード」の名称を付し(乙六〇の四、検乙二六)、自洋舎が、「JOHNーMAT」の名称をマット本体に表示し(乙七四)、東洋リノリューム株式会社(東リ)が、「ダスコンタイルカーペット」の名称で販売している(ただし、カタログには、マットの組成につき、被控訴人製であることを明示している。乙八五)例に見られるように、昭和六三年以降は普通に行われている。
2 控訴人製品 控訴人の親会社のリスロンと被控訴人住友との間の前記特約店基本契約は、昭和六三年七月一日合意解約に至った(乙八五)。
リスロンは、被控訴人住友との取引に満足することができなかったので、独自にコイル状マットを製造販売することとし、準備期間を経て、昭和六〇年末ごろ、控訴人製品を「リスダンコイルマット」の名称で販売し始め、昭和六一年四月に子会社として設立された控訴人がこれを引き継ぎ、その後、「リスダンコイルカラーマット」の名称で施工販売もしくは規格品として加工販売規格品や特注品を販売し、
現在は、そのエッジベルトに「リスダン」の刻印を押している(甲二、一一八、乙七〇の一ないし五、七二、九一、九三、九四、九七の一ないし三、一二〇、検甲一、四、検乙二五)。
控訴人は、大手清掃用品製造販売業者である問屋株式会社テラモトに控訴人製品を卸すようになり、同社は、控訴人製品を「ケミタングル」の名称で、自社商品として販売している(甲一二四、乙六〇の三、七三の一・二、九三、九四、九八及び九九の各一ないし五、一二〇、検乙二)。同社の控訴人製品の販売実績は、西日本において、他社による被控訴人製品の販売実績を七〇とした場合、三〇である(証人【B】)。
控訴人は、アマノ株式会社にも、控訴人製品を供給しており、同社は、これを「アマノ土砂とりコイルマット」の名称で販売している(乙九四ないし九六)。
3 その他の製品 被控訴人製品、控訴人製品の他、本件商品形態を備えるコイル状マット、あるいは、これに類似する形態を持ったコイル状マットとして、現在では、以下のものが市場に見られ、あるいは、市場に参入しようとしている。
(一) ロンシール工業株式会社発売の「DCロンマット」(韓国ラッキー社製造)(乙九四、一〇〇及び一〇一の各一ないし四、一〇二の一ないし三、一一七、
検乙二七)(二) 東洋インテリア株式会社発売の「DC印コイルマット」(韓国ラッキー社製造)(乙八一、九四、九五、一〇三の一ないし三、一一七、検乙二七)(三) 有限会社トーワ発売の「ダイヤマットDN」(同社製造)(乙九四、九五、一〇五、一〇六、検乙三八) 同社発売の「ダイヤマットC」(同社製造)は、本件商品形態類似の形態を有するものと認められる(乙九五、一一三、一一四、検乙二八、二九、三七)(四) バンドーエラストマー株式会社発売の「バンドーエラストマット」(有限会社トーワ製造)(乙九四、九五、一〇七、一〇八、検乙四〇)(五) リスロン株式会社(控訴人の親会社とは別会社)発売の「リスロマット」(有限会社トーワ製造)(乙九四、九五、一〇九、一一〇)(六) ラグロン株式会社発売の「タフマット」(有限会社トーワ製造)(乙九五)(七) 天馬株式会社発売の「ソールブライトブラシマット」(同社製造)(甲一二七、乙九五、一一一、一一二、一二七、検乙三九) なお、甲第一二七号証によれば、同社は、この製品をコイル状マットと区別して位置付けている(甲一二七)が、その形態は本件商品形態を具備しているといってよく、少なくとも類似の形態を有していることが認められる(検甲三九)。
商品形態の保護とその限界 被控訴人らが被控訴人製品の形態の特徴的部分として主張する本件商品形態、すなわち、「軟質合成樹脂の線条複数本をもって多数のコイル形状を形成してなるマット(コイル形状は別紙第一目録添付写真参照)」は、その「軟質合成樹脂の線条」の直径の大小や形条、「複数本」の本数、「コイル形状」の大小、密粗、具体的態様(コイルの変形の度合いや形成される向きが縦方向か横方向か等)、「マット」の厚さ等を限定するものではなく、添付写真を参照しても、本件商品形態を具備するマットとそうでないマットを区別する指標を見出すことは困難である。被控訴人らが被控訴人製品のコイル形状を示すものとして広告に掲載したマットの断面図には、形成されたコイルが極めて粗なものもあり(甲一一、二一ないし五四、五六ないし八一、九三、九六、九九ないし一一六)、仮にこのような断面を示すコイル形状を持つマットが現存した場合、これが本件商品形態を具備するとすると、本件商品形態に含まれるマットの範囲は極めて広範なものとなる。
一方、被控訴人らの主張する右の特徴以外に、被控訴人製品の形態を把握する特徴というべき点はないことも認められ、そして、この形態は、本件プロセス、すなわち、細かい差異を別にすれば、溶融した樹脂をノズルから射出し、射出された糸状の溶融樹脂を冷却水に落下させることによって、冷却水表面で糸状の樹脂をループ状に屈曲させるという製法によって必然的に生ずる形態であり、また、このような製造過程を経るため、形態そのものを直接決定することはできないから、そのコイル状構造は不規則なパターンとして常に異なった形態のものとしてしか形成されえず、その意味では、その形態は偶然によって定まるものであり(争いがない。)、さらに、この形態の特徴の故に、被控訴人製品が前示認定の機能的効果を有するものであることも明らかである。
これらの事実によれば、本件商品形態は、本件プロセス及び前示機能的効果と必然的に結びついた形態であり、この意味で、本件プロセスによって製造された右機能的効果を有するマット全体を総称するに等しく、換言すれば、マットの種類を示す特徴ということができる。
本件商品形態のこのような特質からして、本件商品形態を不正競争防止法1条1項1号の「他人ノ商品タルコトヲ示ス表示」として保護する場合には、この種マットを泥砂防止用に用いるため製造販売等する第三者の営業行為をすべて禁圧することにつながり、同法条が本来的な商品表示として定める「他人ノ氏名、商号、商標、商品の容器包装」のように、商品そのものではない別の媒体に出所識別機能を委ねる場合とは異なり、同法条が目的とする出所の混同を排除することを超えて、
商品そのものの独占的、排他的支配を招来し、自由競争のもたらす公衆の利益を阻害するおそれが大きいといわなければならない。
このことは、もとより、商品表示としての周知商品形態模倣し、これに化体された他人の信用に只乗りする不正競業行為を放置することをいうのではなく、不正競争防止法が保護する商品表示主体の正当な利益を害しない限度において競業行為を許容し、公衆が期待する自由競争による利益を維持するために必要な要件の検討をいうのであり、この要件は、機能的周知商品形態の持つ自他商品識別力の強弱を、競業者が採っている自他商品の混同防止手段との相関のうちにおいて観察し、
後者が混同を防止するために適切な手段を誠実に採り、前者の自他商品識別力を減殺して、混同のおそれを解消する場合において具備するものと解するのが相当である。
四 本件差止請求権の成否 右に述べたところを、前示本件の事実に即していえば、次のとおりである。
1 前示二の事実に示されるとおり、コイル状マットの市場においては、被控訴人製品、控訴人製品、その他の製品を問わず、その製造元からコイル状マットをいわば原材料として仕入れ、これを施工販売もしくは規格品として加工販売するにつき、自社製品として自社の商標の下に、独自の商品名を付して販売することは、被控訴人らが本件商品形態周知性が確立されたという昭和六二年四月より前の被控訴人製品の形態がいまだ取引者及び需要者に違和感を与えていた時点である昭和五五年以降現在に至るまで普通に行われている販売方法であるのであるから、商標や商品名が本来的に商品の出所表示機能を有するものであることと、本件商品形態がマットの種類を示す特徴であるとの事実に照らせば、このような市場の状況において、コイル状マットに接した取引者及び需要者は、この商品の出所をその商標の主体であると認識し、商品としてのマットの原材料の出所にまで思いを致さないのが通常であると認められる。すなわち、商標や商品名が持つ本来的な商品識別機能は、被控訴人製品の販売開始までは本件商品形態を持つマットは我が国に存在しなかったこと、この構造のマットが被控訴人製品以外にはない状態が長く続いたこと、その間、被控訴人らが宣伝広告に努めたこと等被控訴人らが主張する事実を考慮にいれても、マットの種類を示す特徴としての本件商品形態の商品識別力に勝ると認められる。
このことからすれば、控訴人製品について、昭和六〇年末ごろ、リスロンが「リスダンコイルマット」の名称で販売し始め、昭和六一年四月以降、控訴人がこれを引き継ぎ、その後、「リスダンコイルカラーマット」の名称で販売し、株式会社テラモトが、控訴人製品を「ケミタングル」の名称で販売し、アマノ株式会社が、
「アマノ土砂とりコイルマット」の名称で販売していることは前示のとおりであり、この商標や商品名は被控訴人住友の商標である「ノーマッド」と類似するものでないから、これにより、被控訴人製品との出所の混同を避ける手段としては、十分であるというべきである。
被控訴人らは、控訴人が控訴人製品の製造販売を始めるまでは、被控訴人製品が本件商品形態を有する唯一の商品であったので、被控訴人らの商標以外の商標の下に販売されていても、その当初の販売者が被控訴人住友であることは、関係者間に周知されていたのであるから、取引者及び需要者は、出所を同じくする商品が異なった商標の下に販売されていると認識するだけのことであると主張し、また、商品形態の有する出所表示性と商標等の有する出所表示性とは別のものであり、商標等に出所表示性があるからといって、商品形態の有する出所表示性が失われるものではないと主張するが、その当たらないことは、前示の説示に照らして明らかである。
2 被控訴人らは、控訴人製品が出現した当時、既に周知であった被控訴人製品との商品出所について混乱を生じさせる原因を作ったのは控訴人自身であると主張し、確かに、前示のとおり、控訴人の親会社であるリスロンが被控訴人住友との特約店基本契約が存続中に控訴人製品を販売し始め、その後控訴人会社を設立して、
控訴人製品の製造販売を行っており、また、右特約店基本契約には、その第1条2に「甲(注、リスロン)は前項の販売を行うにあたり乙(注、被控訴人住友)の営業方針を尊重して、製品の売上げの伸長及び販路の開発に努めるものとします。」との定めがあった(甲一二一の一)ことが認められる。
しかし、同基本契約におけるリスロンの販売権は、非独占的販売権であり(甲一二一の一、第1条4)、また、製品の購入を被控訴人住友からと限定する旨の約定があったことは認められないから、この点のみをとらえて、控訴人の控訴人製品の製造販売を不正競業行為と評価するには足らないというべきである。
また、控訴人製品は、本件プロセスにより製造されるものであることは前示のとおりであり、本件プロセスは、昭和五六年四月二六日に特許料不納の理由で抹消登録された被控訴人ミネソタの特許権(乙二二、九二)及び被控訴人らが援用するエンカ社の特許権(乙二五)の発明のほか、多数の公知の発明に基づいて実施できる製法であることが認められるから(乙一七ないし二四、二五の一・二、ないし二八)、控訴人製品の製造は特許法上の制約はなく、この意味でも、控訴人による控訴人製品の製造販売を不正な行為ということはできない。
3 以上に述べたとおりであるから、本件の事実関係の下では、控訴人による控訴人製品の製造販売行為は、被控訴人製品との混同を生じさせる行為というに足りないと解され、不正競争防止法1条1項1号に基づく差止請求権の発生を認めることはできない。
五 結論 以上によれば、被控訴人らの本訴請求は理由がないことに帰するから、これと見解を異にし、被控訴人らの本訴請求の一部を認容した原判決は、右認容の範囲で誤っているから、原判決中控訴人敗訴部分を取り消したうえ、被控訴人らの請求を棄却し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法96条89条93条1項本文、上告のための附加期間につき、158条2項を適用して、主文のとおり判決する。
追加
第一目録(被控訴人製品)一物品名泥砂防止用マット二構成及び用途軟質合成樹脂の線条複数本をもって別紙図面(写真)のとおりコイル状構造体として形成してなる泥砂防止用マットで、茶、青、赤、黄、緑、グレー等の色からなり、ビル、店舗、学校等の通行量の多い場所の出入口、エレベーター内、工場作業場等の床に敷き、泥砂が室内に入ることを防止するために用いる。
三図面(写真)の説明第1図は平面図、第2図は側面図である。
<27269-001>第二目録(控訴人製品)一物品名泥砂防止用マット二構成及び用途軟質合成樹脂の線条複数本をもって別紙図面(写真)のとおりコイル状構造体として形成してなる泥砂用防止用マットで、茶、青、赤、黄、緑、グレー等の色からなり、ビル、店舗、学校等の通行量の多い場所の出入口、エレベーター内、工場作業場等の床に敷き、泥砂が室内に入ることを防止するために用いる。
三図面(写真)の説明第1図は平面図、第2図は側面図である。
<27269-002>
裁判官 牧野利秋
裁判官 山下和明
裁判官 木本洋子