審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成11ネ3070不正競争行為差止等請求控訴事件 | 判例 | 不正競争防止法 |
平成22ネ10077不正競争行為差止等請求控訴事件 | 判例 | 不正競争防止法 |
平成21ワ15343不正競争行為差止等請求事件 | 判例 | 不正競争防止法 |
平成13ワ26431商品形態模倣行為差止等請求事件 | 判例 | 不正競争防止法 |
平成25ネ10059貸金請求控訴事件 | 判例 | 不正競争防止法 |
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事件 |
平成
24年
(ワ)
13282号
不正競争行為差止等請求事件
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裁判所 | 大阪地方裁判所 |
判決言渡日 | 2013/09/19 |
権利種別 | 不正競争 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
判例全文 | |
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判例全文
平成25年9月19日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官 平成24年(ワ)第13282号 不正競争行為差止等請求事件 口頭弁論終結日 平成25年7月12日 判 決 原 告 株式会社 a r n e 同訴訟代理人弁護士 後 藤 昌 弘 同 川 岸 弘 樹 同 塚 田 聡 子 同 鈴 木 智 子 同 古 谷 渉 被 告 株式会社エア・リゾーム 被 告 株 式 会 社 宮 武 製 作 所 上記両名訴訟代理人弁護士 川 村 和 久 同 藤 岡 亮 主 文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事 実 及 び 理 由 1 第1 当事者の求めた裁判 1 原告 (1)被告らは,別紙物件目録記載の商品を輸入し,製造し,又は販売してはな らない。 (2)被告らは,前項記載の商品を廃棄せよ。 (3)被告らは,原告に対し,各自5266万8000円及びこれに対する平成 24年12月14日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 (4)訴訟費用は被告らの負担とする。 (5)仮執行宣言 2 被告ら 主文と同旨 第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。) (1)当事者 原告は,家具,インテリア用品,日用品雑貨,照明器具の製造,販売及び 輸出入等を目的とする株式会社である。 被告株式会社エア・リゾーム(以下「被告エア・リゾーム」という。)は, インターネット等によるインテリア・家具・雑貨の販売等を目的とする株式 会社である。 被告株式会社宮武製作所(以下「被告宮武製作所」という。)は,インテリ ア・家具・雑貨の企画,製造,卸売,販売及び輸出入等を目的とする株式会 社である。 (2)原告商品の製造,販売 ア 原告は,テレビ台(型番:T−003。以下「原告商品」という。)を平 成18年6月から,製造,販売している。 イ 原告商品の形態 2 原告商品の形態は次のとおりであり,その使用時の形態は別紙原告商品 使用例のとおりである。 (ア)基本形状 A 脚部を有することなく床に直接載置する構造となっている,横長で 直方体の木製の下部収納箱と B 箱状の開口部を2箇所に有する横長で直方体の木製の上部箱から なり, C 上部箱と下部収納箱とは,左右に摺動可能又は回転可能になってお り, D 上部箱底面短辺の一端の両角付近には,それぞれ各1本(合計2本) の木製の脚が取り付けられ, E 上部箱は正面と背面の区別がなく,上部箱を下部収納箱の左右いず れの側にも載置可能になっている 伸縮式テレビ台である。 (イ)具体的形状 F 下部収納箱の大きさは,横幅1050o,奥行き390o,高さ2 45oである。 G 上部箱の大きさは,横幅1050o,奥行き390o,高さ160o である。 H 上部箱を下部収納箱に載置した状態で摺動可能又は回転可能とす るために,下部収納箱の上面両端には直径約5oの穴が形成され,そ こに円柱状の止め金具を差し込める形状となっており,上部箱の裏面 には,当該金具が挿入可能な堀り込みレール部が形成されている。 I 下部収納箱は,中央に仕切板が設置され,中央やや上部に円柱様の 引き手が設置されている引出を2つ有している。 J 上部箱は,中央に仕切板が設置されている。 3 K 上部箱の2本の脚は,上から下に向かって細くなる略円錐様の形状 をしている。 (3)被告らの行為 ア 被告宮武製作所は,別紙物件目録記載のテレビ台(以下「被告商品」と いう。)を国外から輸入し,被告エア・リゾームは,平成22年から現在に 至るまで,被告商品をインターネット上のウェブサイトで販売している(販 売開始時が,平成22年の3月ころからか,6月ころからか,争いがある。。 ) イ 被告商品の形態 被告商品の形態は,次のとおりである。 (ア)基本形状 基本形状a,b,d,eは,原告商品の基本形状A,B,D,Eと同 じ(原告商品の基本形状Cと同じ形状を具備するか否かについては,争 いがある。。 ) (イ)具体的形状 f 下部収納箱の大きさは,横幅980o,奥行き390o,高さ24 0oである。 g 上部箱の大きさは,横幅1050o,奥行き390o,高さ160o である(原告商品の具体的形状Gと同じ。。 ) h 上部箱の裏面の片端にフェルトが張られている。 i 下部収納箱は,中央に仕切板が設置され,側面から見てL字状の引 き手が正面下部に設置された引出を2つ有している。 j 上部箱は,中央に仕切板が設置されている(原告商品の具体的形状 Jと同じ。。 ) k 上部箱の2本の脚は,上から下に向かって細くなる略円錐様の形状 をしている(原告商品の具体的形状Kと同じ。。 ) 2 原告の請求 4 原告は,原告商品の形態が,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示性を 有するところ,被告商品の形態がこれに類似するなどとして,被告らに対し, 同法3条に基づき,被告商品の輸入,製造,販売の差止めと,被告商品の廃棄 を,同法4条に基づき,損害5266万8000円及びこれに対する遅延損害 金(平成24年12月14日から支払済みまで年5%の割合による金員)を連 帯して支払うことを求めている。 3 争 点 (1)原告商品の形態の商品等表示性(特別顕著性及び周知性の有無)等 (2)原告商品と被告商品の形態の類否及び混同のおそれ (3)損害 第3 争点に関する当事者の主張 1 原告商品の形態の商品等表示性(特別顕著性及び周知性の有無)等 【原告の主張】 以下のとおり,原告商品の形態は,不正競争防止法2条1項1号所定の商品 等表示に当たる。 (1)原告商品の形態の特徴 ア 原告商品の形態は,前提事実(2)イのとおりであるが,その特徴は,次 のとおりである。 特徴点@ テレビ台の全体が木製のローボードであること 特徴点A 下部収納箱と上部箱を原則として一体として使用することが 予定され,その下部収納箱に対する上部箱の配置が自在であるが 故に, 正面から見た際に,下部収納箱と上部箱との間で左右いずれに おいても任意の位置で階段状の段差が形成され,より立体感にあ ふれた美感を生じさせ, 下部収納箱に対して上部箱を任意の角度をつけて載置するこ 5 とにより,全体としてより立体感にあふれた美感を生じさせる ものとなっていること 特徴点B 下部収納箱も脚部を有することなく床に直接載置する横長直 方体の形状となっているため,上部箱と組み合わせて配置した際 に,全体として安定感を有すると共に,すっきりした印象を与え ること イ 前記アの特徴は,単なる機能や目的に由来する形態に係る特徴ではなく, 伸縮させた場合の形態・美感をもアピールするものであって,上記特徴を 有する商品形態に特別顕著性を認めることができる。 なお,被告らの提出する証拠のうち,原告商品と類似の形態を有するテ レビ台は,平成22年1月ころにおいても僅かであり,原告商品の販売開 始時には,これに類似する形態のテレビ台はなかった。 (2)原告商品の形態の周知性 前提事実(2)アのとおり,原告は,原告商品を平成18年6月ころから製 造,販売しているが,インターネット上のウェブサイト(楽天市場)におけ る売上げランキングでは常に上位であり,平成22年1月ころまでに累計1 万5000台を売り上げるヒット商品となった。 テレビ台は,大量に販売される類の商品ではなく,一般に2〜3000台 でヒット商品とされており,原告商品の形態は,遅くとも平成22年1月こ ろまでには,需要者である一般消費者の間で,周知性を獲得していた。 なお,原告商品は,平成23年には約5000台,平成24年にも約40 00台の生産数を維持しており,突出した売上げを維持している。 【被告らの主張】 以下のとおり,原告商品の形態は,不正競争防止法2条1項1号所定の商品 等表示に当たらない。 (1)はじめに 6 商品の形態自体が出所識別機能を取得し,商品等表示として認められるた めには, その商品の形態が同種商品の中にあって独特の形状を有し, @ 需要 者が一見して特定の営業主体の商品であることを理解できる程度の識別力を 備えていること(商品形態の特別顕著性),A 当該商品の形態が長期間,又 は短期間であっても強力な宣伝・広告等が加わって,排他的に使用されたも のであること(商品形態の長期間の使用ないし宣伝・広告)を必要とするが, 原告商品の形態はいずれの要件も満たしていない。 (2)商品形態の特別顕著性 原告商品は,下部収納箱と上部箱の2つの部分から構成されているテレビ 台であるが,いずれの箱も収納用の箱状をした家具として極めてありふれた 形状にすぎず,格別特異な点は見られない。したがって,原告商品の形態は, 出所識別機能を取得し,商品表示としての性質を具備するに足りる独特な形 状を有するものではない。 なお,上部箱と下部収納箱の相互の位置や角度を自由に調整可能とする点 は,単に原告商品の使用の方法や工夫を述べるものにすぎず,また,原告商 品に類似する商品は,原告が周知性を獲得したと主張する平成22年1月か ら被告らが販売を開始する同年6月までの間にも多数存在しており,上記の 点をもって形態上の特徴ということもできない。 (3)商品形態の長期間の使用ないし宣伝・広告 原告商品の販売を開始した平成18年6月から,原告が,原告商品の形態 について周知性を獲得したと主張する平成22年1月までの間の3年8か月 という期間は,不正競争防止法2条1項3号の保護期間である3年を僅かに 超える程度であり,短期間にすぎない。 また,原告の主張によっても,原告商品の販売実績は,上記期間中に累計 1万5000台にすぎないというのであり,格別多いとはいえない。 しかも,原告は,インターネット上のウェブサイトや直営店舗,デパート 7 への卸販売等の販売行為をしていたという以上に,格別の宣伝・広告を行っ ていたという主張もしていない。 2 原告商品と被告商品の形態の類否及び混同のおそれ 【原告の主張】 以下のとおり,被告商品の形態は,原告商品の形態と類似の商品等表示に当 たり,被告らの行為は,原告商品と混同を生じさせるものである。 (1)形態の類否 原告商品の形態は,前提事実(2)イのとおり,被告商品の形態は,前提事 実(3)イのとおりである。 なお,被告商品は, 「上部箱と下部収納箱とは,左右に摺動可能又は回転可 能になっており(原告商品の基本形状Cと同じ。,「上部箱を下部収納箱に )」 載置した状態で摺動可能又は回転可能とするために」という機能を果たす形 状を有している。 このため,被告商品の形態は,原告商品の形態と酷似している。 (2)混同のおそれ 原告商品と被告商品は,その形態が酷似しているため,需要者において, 一見して異なる商品であると気づくことは困難であり,原告商品と被告商品 の出所について,混同を生じさせる。 【被告らの主張】 以下のとおり,被告商品の形態は,原告商品の形態と類似の商品等表示に当 たらない。また,被告らの行為は,原告商品と混同を生じさせるものではない。 (1)形態の類否 原告商品は,下部収納箱に載置した状態で回転可能となっていると解され るが,被告商品は,(回転のための)中心点を設けた構造とはなっていない。 また,原告商品には,上部箱裏面に彫り込みレール部が形成され,それに 沿って「摺動可能」となっているが,被告商品にはそのような構造は存在し 8 ない。 被告商品においても,下部収納箱の上に上部箱を(摺動可能に)載置し, 自由に角度を変えてレイアウトすることが可能であり,幅広いレイアウトに 対応することは可能であるが,このような機能面の特徴をもって,商品形態 の要素とすることはできない。 (2)混同のおそれ 前記1のとおり,原告商品の形態は,周知の商品等表示には当たらない。 したがって,仮に被告商品が原告商品の形態に類似しているとしても,原 告商品と被告商品の出所についての混同を生じさせることはない。 3 損害 【原告の主張】 被告らは,平成22年3月ころから,共同して,被告商品を輸入又は製造し, 1台当たり1万4980円で販売している。 被告商品の販売開始以降の販売数量は1か月当たり200台であり, (提 現在 訴時)まで(平成22年3月〜平成24年11月),6600台を下らない。 〔計算式〕200×33=6,600 被告商品1台当たりの被告らの利益額合計は,少なくとも7980円を下ら ない。 したがって,販売開始以降,現在(提訴時)までの間に,被告らが被告商品 の販売により得た利益の総額は5266万8000円を下らない。 〔計算式〕7,980×6,600=52,668,000 不正競争防止法5条2項により,上記金額をもって,原告の損害と推定され る。 【被告らの主張】 争う。 第4 当裁判所の判断 9 1 原告商品の形態の商品等表示性(特別顕著性及び周知性の有無)等 (1)原告商品の形態及びその特徴(特別顕著性) 次のとおり,原告商品は,特徴的な機能を有するものの,同機能に導かれ る形態としては,特徴的とはいえず,形態自体によって特別顕著性を取得し ているということは困難である。 ア 原告商品の形態 原告商品の形態は,前提事実(2)イのとおりである(争いがない。。 ) イ 原告商品の形態の特徴 前提事実(2)イ(前記ア)によると,次のとおり認めることができる。 すなわち,原告商品は,上部箱の片方だけに脚がついており,反対側(脚 のついていない方)を下部収納箱の上に載置することにより(下部収納箱 が脚の代わりとなる。,2つの箱(下部収納箱と上部箱)を組み合わせて ) 使用することが予定されている。そして,載置の範囲や位置を変えること により,2つの箱の位置関係を左右に広げたり狭めたり,角度をつけたり することができる機能を有している。 その結果,2つの箱の位置関係から,様々な形態を生じることができる。 例えば,2つの箱の位置関係を広げた場合は,2つの箱によって,段差を 生じさせた上,全体として水平的な,横長の印象を看者に与え,2つの箱 の位置関係を狭めた場合は,堅固で,質量感あふれる印象を与える。また, 2つの箱の位置関係に角度をつけない場合(180度の場合)は,正面視 において,平面的な印象を与え,角度をつけた場合(例えば90度の場合), 奥行き感を含めた立体的な印象を与える。 一方,テレビ台の全体が木製のローボードであることは,同種商品にも 多くあり,原告商品だけが有する特徴ということはできない。 ウ 原告商品の形態の特別顕著性 前記イでみた原告商品の形態の特徴は,機能に基づくものということが 10 できる。 しかも,原告が,原告商品の形態について周知性を獲得したと主張する 平成22年1月までには,既に,他社のテレビ台が同様の機能に基づく形 態上の特徴を有していたことも認められる(乙1〜6)。 これらの商品と原告商品とを対比すると,次のような相違点を認めるこ とができる。 すなわち,上部箱の片方についている脚が略円柱ではなく,略直方体で ある場合や(乙1の商品との対比。なお,乙1の商品については,インター ネット上のウェブサイト(楽天市場)において,平成20年9月3日に, 購入者によるコメントが投稿されている。, ) 上部箱の側壁が木製板でなく, 透明板である場合や(乙2の商品との対比。なお,乙2の商品については, 前同様に,平成20年9月24日にコメントが投稿されている。,上部箱 ) の片方についている支持体が2本の脚ではなく,全面板状である場合や(乙 3の商品との対比。なお,乙3の商品は,前同様に,平成21年1月24 日にコメントが投稿されている。,上部箱の片方についている脚が木製で ) はなく,金属製である場合(乙4の商品との対比。なお乙4の商品につい ては,前同様に,平成21年7月20日にコメントが投稿されている。)が 認められる。 しかし,これらの相違点は,家具などの商品を構成する,ありふれた部 分の形状に係るものであり,その差異の程度も僅かというべきである。 以上によると,原告商品の形態に特別顕著性を認めることは困難であり, その形態についての需要者における認識の程度が,後記(2)の程度であっ たことを併せ考えると,原告商品の形態が,出所を表示する機能を有して いると認めることはできない。 (2)原告商品の形態の周知性 以下の理由から,原告商品の形態が,商品等表示性を獲得するに足りるだ 11 けの周知性を獲得していると認めることはできない。 ア 販売実績 原告は,平成18年6月から,原告直営店や自社のウェブサイト,デパー トのほか,楽天市場やヤフーショッピング内における原告のサイトにおい て,原告商品を販売しており(デパートでの販売は,卸を通じたものであ り,それ以外は直販である。,平成22年1月ころまでに約1万5000 ) 台を販売したことが認められる。 証拠(甲8の1〜18,甲9,19から21,26,28,29)及び 弁論の全趣旨によると,前記販売件数は,テレビ台の販売件数としては比 較的多いということがいえる。もっとも,テレビ台全体の市場における原 告商品の市場占有率等は明らかではない。原告は,原告商品の販売実績が 多量であることを裏付ける事情として,楽天市場における販売ランキング の順位についても主張しているが,当該ランキングにおける順位は,販売 数量だけを基準としたものでないこと,楽天市場のほかにも,インターネッ トにおいて家具等を販売するウェブサイトが多数存在していることは当裁 判所に顕著な事実である。したがって,楽天市場におけるランキングのみ をもって原告商品の知名度等を評価することはできない。 そもそも,原告商品は,テレビ台であることから,その耐用年数や家庭 での需要台数を考えると,1台購入した者が引き続き購入することは考え にくい商品といえる。 イ 広告宣伝等の状況及び購買状況 原告が,原告商品について,大がかりな広告宣伝を実施していたことを 認めるに足りる証拠があるわけではなく,上記販売件数のうち相当数は, テレビ台の購入希望者が,インターネットや店頭において,他の商品と比 較しながら,原告商品を選択していったものであることを否定できない。 このことは,上記販売件数が,原告商品の持つ機能やデザインが優れて 12 いることに起因すると推測することができるものの,原告商品の形態が予 め購入希望者の意識にどの程度あり,これが,購入希望者にどのような影 響を与えているかは不明である。 以上によると,原告商品の形態が,商品等表示として出所識別機能を有 するに至るまで,顧客との間で,長年継続的かつ独占的に使用されてきた と認めることはできない。 ウ レビュー件数 確かに,インターネット販売において,原告商品に関するレビューの件 数が,他のテレビ台より格段に多いことが認められる(甲16の1〜7, 甲21)。 しかし,上記レビューの数が,単に同種商品に関するレビューの数より 格段に多いということのみをもって,原告商品の形態が,購入者層に広く 普及したと認めることは困難というべきである。 (3)まとめ 以上によると,原告商品の形態が,商品の出所識別機能を有していると認 めることはできない。 したがって,被告商品と原告商品の形態が類似しているか否かにかかわら ず,原告の請求には理由がないというべきである。 2 結論 以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求は理 由がないので,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法 61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁 判 長 裁 判 官 山 田 陽 三 13 裁 判 官 松 阿 彌 隆 裁 判 官 西 田 昌 吾 14 (別紙) 物 件 目 録 商品名を「 (アティカ)」とする伸縮式テレビ台 (色は,ライトブラウン,ダークブラウン又はホワイト) 15 (別紙) 原告商品使用例 16 |