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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成17ワ2682損害賠償請求事件 判例 不正競争防止法
平成13ワ7445損害賠償等請求事件 判例 不正競争防止法
平成16ワ25297営業行為差止請求事件 判例 不正競争防止法
関連ワード 信義則 /  差止請求(差止) /  過失 /  不当利得 /  代理人 /  代表者 /  秘密管理(秘密管理性) /  秘密保持義務 /  有用性 /  非公知性 /  営業秘密 /  2条1項7号 /  2条1項8号 /  保有者 /  損害賠償 / 
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事件 平成 15年 (ワ) 27899号 不正競争行為差止等請求事件
原告 株式会社ナリシゲ
訴訟代理人弁護士 赤井文彌
同 舩崎隆夫
同 宮崎万壽夫
同 岡崎秀也
同 相澤重一
同 奈良恒則
同 山本裕子
同 矢野公士
同 藤川和之
被告 有限会社大和ユニオン(以下「被告大和ユニオン」という。)
被告 有限会社エスティーサイエンス(以下「被告エスティーサイエンス」とい う。)
被告A(以下「被告A」という。)
被告ら訴訟代理人弁護士 竹内洋
同 谷健太郎
同 田子真也
同 富岡孝幸
同 吉野彰
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2004/08/30
権利種別 不正競争
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
請求
1 被告大和ユニオンは,別紙営業秘密目録記載の技術(以下「本件製造方法」という。)を使用して,別紙物件目録記載のガラス管(以下「本件ガラス管」という。)を製造し,販売してはならない。
2 被告エスティーサイエンスは,本件製造方法を使用して被告大和ユニオンが製造した本件ガラス管を販売してはならない。
3 被告Aは原告に対し,金441万0328円及びこれに対する平成15年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
(被告大和ユニオンに対する請求) 原告は,被告大和ユニオンに対し,同被告は,@原告が開示した本件製造方法を秘密保持義務に違反して使用し,本件ガラス管を製造販売している,A競業避止義務に違反して本件ガラス管を製造販売している,B不正な利益を得る等の目的で原告から開示を受けた営業秘密である本件製造方法を使用して本件ガラス管を製造販売している,と主張して,秘密保持及び競業避止契約及び不正競争防止法2条1項7号,3条1項に基づき,本件製造方法を使用して本件ガラス管を製造販売することの差止めを求めた。
(被告エスティーサイエンスに対する請求) 原告は,被告エスティーサイエンスに対し,同被告は,被告大和ユニオンと共謀し,同被告が不正な利益を得る等の目的で,原告から開示を受けた営業秘密である本件製造方法を使用して本件ガラス管を製造販売している,と主張して,不正競争防止法2条1項8号,3条1項に基づき,被告大和ユニオンが本件製造方法を使用して製造した本件ガラス管を販売することの差止めを求めた。
(被告Aに対する請求) 原告は,被告Aに対し,@原告の従業員であった同被告は,原告を退職した後に,被告エスティーサイエンスを設立して被告大和ユニオンの上記不正競争行為等に協力するなどしたが,被告Aの同行為が不法行為を構成し,原告は同被告に支給した退職金相当額の損害を被った,A同被告の上記行為は,退職金不支給事由に該当するが,原告はこれを知らず,錯誤によって退職金を支給したもので,退職金の支給について法律上の原因を欠く,と主張して,不法行為又は不当利得に基づき,退職金相当額及びこれに対する遅延損害金の支払いを求めた。
1 争いのない事実等(証拠を示さない事実は当事者間に争いがない。) (1) 原告は,昭和60年1月28日に設立され,マイクロマニピュレーターを始めとするバイオテクノロジー関連機器の開発,製造,販売等を業とする株式会社である(甲1,2)。
被告大和ユニオンは,昭和54年8月1日に設立され,光学機器の製造,販売等を業とする有限会社である。
被告エスティーサイエンスは,平成14年10月1日に設立され,マイクロマニピュレーター及びその周辺機器の販売等を業とする有限会社である。
被告Aは,昭和62年3月23日に原告に入社し,平成13年5月16日,課長補佐の地位で一旦定年退職した原告の元社員である。被告Aは,定年退職後も引き続き原告のショールーム・接客の業務を担当し,平成14年1月20日に原告を再度退職し,その後,被告エスティーサイエンスを設立した。被告Aは,現在,被告エスティーサイエンスの代表者取締役の地位にある。
(2) 原告は,平成4年2月,被告大和ユニオンに対し,ガラス管の製造を委託し,被告大和ユニオンはこれを承諾した(以下,原告と被告大和ユニオンとの間のガラス管の製造委託に関する契約を「本件製造委託契約」という。)。
原告は,被告大和ユニオンに対し,ガラス管引伸機である「PY-6」を貸与し,被告大和ユニオンは,同月から平成14年9月ころまで,上記「PY-6」を使用して自社工場でガラス管を製造し,これを原告に納入していた。
(3) しかし,被告大和ユニオンは,平成14年10月ころから,被告エスティーサイエンスに対して,自社工場で製造したガラス管を販売し,同被告は,そのガラス管を一般ユーザーに販売している。なお,被告大和ユニオンは,被告エスティーサイエンスと取引を開始する以前の平成13年8月31日,訴外ケイエスオリンパス株式会社から「PY-6」を購入している。
(4) 原告は,被告Aに対し,退職金441万0328円を支給した。
(5) 原告の就業規則(甲3)には,次の規定がある(以下,原告の就業規則を「原告就業規則」という。)。
第46条 次の各号の一に該当する場合は,懲戒解雇に処する。ただし,情状によっては,通常の解雇または減給若しくは出勤停止にとどめることがある。
1〜4(略) 5 故意または重過失により災害または営業上の事故を発生させ,会社に重大な損害を与えたとき 6(略) 7 第29条から第37条まで,または第38条の規定に違反した場合であって,その事案が重篤なとき 8 その他前各号に準ずる程度の不都合な行為を行ったとき (6) 原告の退職金規程(甲4の1)には,次の規定がある(以下,原告の退職金規程を「原告退職金規程」という。)。
第7条 次の者については退職金を支給しないか,または減額することがある。
1 就業規則第46条に定める懲戒規定に基づき懲戒解雇された者 2 退職後,支給日までの間において在職中の行為につき懲戒解雇に相当する事由が発見された者 2 争点 (1) 被告大和ユニオン及び被告エスティーサイエンスによるガラス管の製造販売は,秘密保持義務違反及び競業避止義務違反又は不正競争防止法2条1項7号,8号の不正競争行為に当たるかどうか。
(2) 被告Aは,原告に対し,受領した退職金相当額につき,不法行為に基づく損害賠償義務又は不当利得に基づく利得金返還義務を負うかどうか。
争点に関する当事者の主張
1 争点(1)について (原告の主張) (1) 秘密保持及び競業避止に関する契約の存否及び義務違反の有無 ア 本件製造方法の開示 本件製造委託契約において,原告は,被告大和ユニオンに対し,本件製造方法を開示し,これを使用してガラス管を製造することを委託し,被告大和ユニオンはこれを承諾した。
原告は,平成4年2月,自社製品であるガラス管製造装置「PY-6」を被告大和ユニオンに無償で貸与し,被告は,同月以降,自社工場において,本件製造方法を使用し,「PY-6」を用いてガラス管の製造を開始し,その製造に係るガラス管を原告に納入した。
イ 秘密保持及び競業避止に関する契約 被告大和ユニオンは,原告に対し,本件製造委託契約の締結に際し,開示を受けた本件製造方法を使用する範囲は,委託を受けた原告製品の製造に限り,その秘密を保持すること,及び本件製造方法を使用するか否かにかかわらず,原告の営業と競合する事業活動は一切しないことなどを約した。
ウ 被告らの義務違反行為 被告大和ユニオンは,平成14年初め以降,原告に秘し,自社製品として,本件製造方法を使用してガラス管を製造し,これを直接ユーザーへ販売した。
そして,平成14年10月ころからは,被告エスティーサイエンスと共謀し,本件製造方法を使用して製造したガラス管を同被告に販売し,同被告がユーザーに販売するようになった。
被告大和ユニオンの上記行為は,本件製造委託契約に伴い約した秘密保持及び競業避止に関する義務に違反する。
(2) 不正競争防止法違反 ア 本件製造方法の営業秘密性 原告が被告大和ユニオンに開示した本件製造方法は,以下のとおり,不正競争防止法2条4項に規定する「営業秘密」に該当する。
すなわち,本件製造方法は,その保有者である原告が,その情報にアクセスできる者を開発担当者,現場作業者等に限定し,かつ,その情報にアクセスした者が権限なしに使用開示してはならないように義務を課していたものであるから,秘密管理性を有する。
また,ガラス管の製造は,微細な作業であり,高精度かつ平準化した製品を生産コストの範囲内で効率的に多数製造するには,多くの技術的困難が伴う。
本件製造方法は,こうした技術的課題を克服し,事業活動に活用され,費用の節約,経営効率の改善等に役立つものであるから,有用性を有する。
さらに,本件製造方法は,原告の管理している範囲外では,一般にアクセスできない状態にあり,公然と知られていないから,非公知性を有する。
イ 被告らの不正競争行為 被告大和ユニオンの上記(1)ウの行為は,不正競争防止法2条1項7号の不正競争行為に該当する。
また,被告エスティーサイエンスの上記(1)ウの行為は,不正競争防止法2条1項8号の不正競争行為に該当する。
(被告大和ユニオン及び被告エスティーサイエンスの反論) (1) 本件製造方法の不開示等 本件製造方法が不正競争防止法2条4項の「営業秘密」に当たるとの主張は争う。本件製造方法の内容は,全く特定されていないので,これが営業秘密に当たる旨の原告の主張は,主張自体失当である。
また,被告大和ユニオンが原告から本件製造方法の開示を受けたことは否認する。被告大和ユニオンは,原告からガラス管の製造委託を受けるに当たり,ガラス管引伸機である「PY-6」の交付を受けたことはあるが,ガラス管の研磨方法やポリッシュ製法に関する情報の提供を受けたことはない。
したがって,被告大和ユニオンは,原告との間で,原告主張に係る前記(1)イの秘密保持及び競業避止に関する契約を締結したことはない。
(2) 被告らの行為 被告大和ユニオンが原告からガラス管の製造を受注していたのは,平成14年9月ころまでであり,その後,被告大和ユニオンは,自ら考案・開発した研磨等の製品化技術により,ガラス管の製造・販売を行っている。被告大和ユニオンは,本件製造方法を使用してガラス管の製造したことはない。
また,被告エスティーサイエンスは,本件製造方法に関する事情を認識しておらず,原告の主張する被告大和ユニオンと被告エスティーサイエンスの共謀の事実も存在しない。
(3) 被告大和ユニオンのガラス管製法 被告大和ユニオンは,平成13年8月31日,市販されている「PY-6」を購入し,これを使用してガラス管を製造している。「PY-6」は原告の製品であるが,市販され,利用方法も説明書に記載され,公開されている。
被告大和ユニオンは,「PY-6」により細く引き伸ばされたガラス管を一定の長さごとに分断した上,分断されたガラス管に切り込みをいれて先鋭化し,また,ファイアーポリッシュの方法によりガラス管の一端を丸くする等の方法を用いることで,ガラス管の利用目的に応じた種々の加工を施して製品化し,販売している。
被告大和ユニオンは,上記のガラス管製品の製造に関する,一定の長さごとに分断する方法,分断されたガラス管の端を先鋭化する・丸くする等の加工方法をいずれも独自に検討・考案の上で開発し,実施しているのであり,原告から開示された情報は一切使用していない。
2 争点(2)について (原告の主張) (1) 退職金の支給 被告Aは,平成13年5月16日,課長補佐の地位で原告を退職した後,嘱託として原告のショールーム・接客担当の業務に従事し,平成14年1月20日,退職した。
原告は,原告就業規則及び原告退職金規程に従い,平成14年1月20日,被告Aに対し,441万0328円の退職金を支給した。
(2) 被告Aの不法行為等 ア 被告Aは,雇用契約上の義務又は信義則上の義務として,在職中はもとより,退職後においても,原告の業務上の秘密を保持すべき義務がある。原告就業規則30条4項は,従業員の服務心得として「会社の業務上の機密および会社の不利益となる事項を他に漏らさないこと」と規定している。
イ 被告Aは,本件製造方法が原告にとって営業上極めて重要であることを認識しながら,被告大和ユニオンが平成12年夏ころから本件製造方法を使用してガラス管を製造販売することに協力し,また,被告大和ユニオンと共謀の上,同社が本件製造方法を使用して製造するガラス管を販売会社を介して販売することを実現するため,平成14年10月,被告エスティーサイエンスを設立し,被告大和ユニオンから本件製造方法を使用して製造したガラス管を買い受け,これをユーザーに販売し,被告大和ユニオンの前記1(原告の主張)の不正競争行為等に協力した。
ウ 被告Aの上記イの行為は,前記アの秘密保持義務に違反し,民法709条の不法行為を構成する。
(3) 懲戒事由及び退職金不支給事由 被告Aの前記(2)イの行為は,原告就業規則46条5,7,8号に規定する懲戒事由に該当し,また,原告退職金規程7条1,2号に規定する退職金不支給事由に該当する。
原告は,被告Aが退職した平成14年1月20日の時点で,被告Aに上記懲戒事由及び退職金不支給事由があることを知っていれば,当然,懲戒処分をするとともに,退職金を支給しなかったはずであるが,被告Aが上記行為を秘匿したため,原告は錯誤により,被告Aに上記懲戒事由及び退職金不支給事由が存在せず,原告退職金規程に従った退職金の支給が相当である旨誤信し,規程どおりの退職金を被告Aに支給した。
(4) まとめ 被告Aの前記(2)イの行為は,前記秘密保持義務に違反し,民法709条の不法行為を構成し,これにより原告は退職金相当額の損害を被った。したがって,原告は,被告Aに対し,不法行為に基づき,支給した退職金相当額の損害賠償請求権を有する。
また,被告Aに支給した退職金は,本来,退職金不支給事由があるのに原告が錯誤により支給したものであり,退職金の支給につき法律上の原因を欠くというべきであるから,原告は,被告Aに対し,退職金相当額について不当利得返還請求権を有する。
(被告Aの反論) 被告Aが,秘密保持義務に違反する行為を行ったとの原告の主張は争う。
当裁判所の判断
1 被告大和ユニオン及び被告エスティーサイエンスに対する請求 (1) 秘密保持及び競業避止に関する契約の有無 ア 原告は,本件製造委託契約の締結に際して,原告と被告大和ユニオンとの間で,被告大和ユニオンは,原告から示された本件製造方法について秘密を保持する旨及び原告と競業する事業を行わない旨の約束をしたと主張する。
しかし,原告の同主張は,以下のとおり失当である。すなわち, (ア) 原告と同被告との間で,秘密保持及び競業避止に関する契約について書面は全く交わされていないこと,締結した時期,場所,状況等について,具体的な詳細が明らかにされていないこと,保持義務や競業義務の対象となる内容,範囲等が明らかにされていないこと等の事実に照らすと,原告と同被告との間で,原告主張のとおりの契約が締結されたことを認定することは到底できない。原告は,同被告に対して,ガラス管の製造委託をするに当たり,ガラス管引伸機である「PY-6」を交付したことはあるが,「PY-6」は,市場に流通し,第三者も購入することができる製品であるから,そのような経緯があることによって,原告が同被告に対して,保護の対象となる情報を提供し,秘密保持契約を締結したと推認することもできない。
したがって,原告の上記主張はこれを認めるに足りる証拠がなく,理由がない。
(イ) この点について,原告は,被告大和ユニオンの専務取締役であるB(以下「B専務」という。)が,原告から本件製造方法の提供を受けながら隠れて自社開発をしていたことを自認し謝罪したとして甲16ないし20の書面を提出する。甲16ないし20が,B専務及びその妻の作成に係る書面であることは争いがなく,また,その文面からは,B専務夫妻が原告代表者らに対して,何かを謝罪するような内容が読み取れるが,いかなる点についての謝罪かは明らかではなく,上記書面から原告の上記主張を認めることはできない。
また,原告は,上記主張を裏付けるものとして原告代表者らの作成に係る甲25ないし27の書面を提出するが,その内容は,原告代表者らが平成14年10月8日,被告大和ユニオンに貸与していた「PY-6」を取りに行った際に,貸与に係る「PY-6」の他に被告大和ユニオンが購入した「PY-6」があったことやガラス管製品の在庫があったことなどが記載されているが,本件製造委託契約において,原告が被告大和ユニオンに対して本件製造方法を開示した点や上記秘密保持及び競業避止に関する契約の点についての記載は一切なく,上記書面から原告の上記主張を認めることはできない。
イ よって,原告の被告大和ユニオン及び被告エスティーサイエンスに対する秘密保持及び競業避止に関する契約に基づく請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
(2) 不正競争行為の有無 ア 原告は,本件製造方法が不正競争防止法2条4項営業秘密に該当し,被告大和ユニオンはこれを不正に使用している旨主張する。
しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。すなわち, (ア) 前記(1)で判断したとおり,原告が被告大和ユニオンに対して,本件製造方法((イ)のとおり,その内容の特定もない。)を開示したと認めることはできないから,被告大和ユニオンが本件製造方法を使用していると解することもできない。
(イ) 原告は,本件製造方法の具体的な内容を示すものとして甲34を提出するが,甲34に記載された事項と本件製造方法との関連が明確ではなく,本件製造方法の具体的内容が特定されていない。他に本件製造方法の内容を明らかにする原告の主張立証はない。
(ウ) 本件全証拠によっても,原告において,本件製造方法に属する情報がどのように管理されているのか等に関する具体的状況は明らかではなく,本件製造方法について秘密管理性は認められない。
イ よって,原告の被告大和ユニオン及び被告エスティーサイエンスに対する不正競争防止法に基づく請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
(3) 小括 以上のとおり,原告の被告大和ユニオン及び被告エスティーサイエンスに対する請求はいずれも理由がない。
2 被告Aに対する請求 (1) 判断 原告は,被告Aは,@本件製造方法が原告にとって営業上極めて重要であることを認識しながら,被告大和ユニオンが平成12年夏ころから本件製造方法を使用してガラス管を製造販売することに協力した,A被告大和ユニオンと共謀の上,同社が本件製造方法を使用して製造するガラス管を販売会社を介して販売することを実現するため,平成14年10月,被告エスティーサイエンスを設立し,被告大和ユニオンから本件製造方法を使用して製造したガラス管を買い受け,これをユーザーに販売し,被告大和ユニオンの不正競争行為等に協力したとし,これらの各協力行為が不法行為を構成し,また,原告退職金規程に定める退職金不支給事由に該当する旨主張する。
しかし,原告の上記主張は,被告大和ユニオンが本件製造方法を使用してガラス管を製造していること及び原告主張に係る不正競争行為等を行ったことを前提とするものであるが,前示のとおり,被告大和ユニオンが本件製造方法を使用してガラス管を製造したとの事実,及び原告主張に係る不正競争行為等を行ったとの事実はいずれも認められない。したがって,原告の上記主張はその前提を欠き,理由がないというべきである。
なお,甲28によれば,被告Aは,平成13年4月11日,被告大和ユニオンを訪問し,B専務夫妻に対し,FIB用針の作成について技術指導をした事実が認められるが,この事実は,被告大和ユニオンが本件製造方法を使用していることを窺わせるものではないから,前記認定を左右しない。
(2) 小括 よって,原告の被告Aに対する不法行為又は不当利得に基づく請求はいずれも理由がない。
3 結語 以上のとおり,原告の被告らに対する請求はいずれも理由がない。よって,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 榎戸道也
裁判官 山田真紀
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